文「練也さんのところへは行きました...。さて次に行くのは...。」
幻想郷の空を翔ける、射命丸文。彼女の忙しない1日は、空から始まる。そう、風を切るように飛び、他の追随を許さない速さが彼女の持ち味。手柄は足にあり。彼女の座右の銘の通り、今日も良質な情報を集める為に奔走する。香霖堂へ赴き魔理沙や霖之助の話を聞いて、そこから水妖バザールにて練也と関わりのあった河城にとりの下へ。
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佐藤練也の住む屋敷。飯縄神社に隣接してある母屋に、午前中に2人の少女が彼の下へとやってきた。稗田阿求と宇佐見菫子という名の少女、その2人を前にちゃぶ台を挟んで3人で話を交わしていた。彼は菫子がこの時外来人だということを知った。
練也「俺以外にも、いたんだな。...キミが外来人だったなんて。」
菫子「驚いたって顔してるわね?貴方だけじゃない、自分だけだと思った?」
練也「...。案外いるもんだ、こうして初めて会う人間同士で互いが外来人だなんて...。」
阿求「練也さん。本日は私が、練也さんに用があって来ました。」
何か阿求が、大きな巻物を取り出した。どこから取り出したというツッコミは無しにして、どうやら菫子と違って冷やかしではないということは準備されたものを見てわかった。彼女には一度聞いたことを決して忘れない、凄い能力がある。今開いた書物は、幻想郷縁記。それに俺の名を書き記したいとのことらしい。
阿求「この幻想郷縁記に、貴方の名前を刻ませて頂きたいのです。こうして直接頼みに来たのも、その為なんです。」
練也「...つまり。この幻想郷の歴史の中に、俺の名前が刻まれるわけか。名誉あることじゃないか。」
菫子「そう簡単に進まないヤツもいるのよ。貴方はそう言ってるけど、その逆の態度をとるヤツもいる。元の世界に帰してほしいって言うヤツがね。」
阿求「そういう方がいる以上、勝手にこの書物に名前を書くことが出来ません。書いてしまえば最後、幻想郷の住人となる。そうなってしまうからです。」
間隙を空けて、阿求がもう一度俺に問う。
阿求「それでも、よろしいですか?貴方はこの幻想郷の住人となることを、受け入れても?」
練也「.....。」
俺の答えは、もう既に決まっていた。
練也「喜んで、その旨お受けいたします。」
住処ごとこの世界に引っ越しして来た身だ、今更未練などないし。なんなら俺はこの世界に来れた、この世界に出会えたおかげでカブトゼクターにも会えたし、幻想郷のみんなとも仲良くくらせている。
...良い意味、刺激に溢れている毎日だ。喜んでこの世界の住人になるよ、俺は。