にとり「...っと、文屋の取材がやっとでおわったぁ...。」
くたびれた様子で椅子に座る。次回の水妖バザールに出す品物の整理とか、修理品や収集品の把握だってまだ終わってないからねえ、アタシだって暇じゃない。河童だって何も相撲とったりキュウリかじったりするばかりが能じゃないってことさ。さてさて、何を始めたりしたら良いものか...。アタシがところ狭しとガレージ内に並べられている、数多くの品物達に目を巡らせていると、幌に覆われていたある大きな物体に目が行く。そこで、あることを思い出した。
にとり「....ああ!...練也にこれ渡してないじゃん!あっちゃあ...スキマ妖怪から頼まれたことすっかり忘れてたなぁ...。...まあ、後ででも間に合うだろ!」
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練也「....。」
幻想郷縁記に新たに記された、ある1人の名前。それが自分の名前だ。
阿求ちゃんの手により書かれた、綺麗な筆跡の自分の名前を確かに自らの目で見た。...俺は、とうとうこの世界に受け入れられた。念願叶ったんだ。俺は、草鞋を履き玄関の戸を開けて、外の空気を吸いに出た。
練也「....だがまだ未熟だ。....。」
この世界に受け入れられた、拒絶されたとは反対のこと。嬉しく思う、それは喜ぶべきところだ。だけど俺は、...今まで負けたこと以外に何か経験を積んだ実績がなかった。戦いはしたものの、...負け戦しかしていない。...果たして。俺はこのまま...歯痒い思いを味わい続けるのか...。
嬉しさの反面、また影も生じ始めた。それは自分自身の内面、俺が今1番課題とする部分からくるものだ。
練也「....。ダメだ...。」
そのまま玄関を施錠して、俺は本殿に一礼してから境内の外に出た。人里のメインストリートへと向かう為だ。
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赤い髪に首元まで覆う赤のマント、そして褐色の強い上着とスカート。全体的に赤の主張が強めの女性が1人、ある場所へと向かう。目の先には、"八つ目鰻と書かれた暖簾が提げてある屋台が。そこへ真っ直ぐに向かう。
???「こんちわーミスチー。」
???「あらいらっしゃい、蛮奇ちゃん。」
赤い頭髪に赤い衣装の女性は赤蛮奇、ろくろ首の妖怪である彼女は八つ目鰻と昼からの晩酌をキメる為、この屋台へと足を運んで来たのである。そして屋台を引いて商売をするのは、ミスチーこと、ミスティア・ローレライ。彼女は夜雀の妖怪、このように屋台を引いて商売を営む以外にもプリズムリバー三姉妹とデュエットして音楽活動をやってたりもする。
赤蛮奇「今日はー...。」
ミスチー「何にするー?...あっ、蛮奇ちゃん。他のお客さんが来るから、もーちょっと詰めて?」
赤蛮奇「ん?はーい。」