ウィンプの日常   作:Almin

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シャンフロに季節イベントはない。なぜならそれは神代よりも昔、遥か遠くの地球の文化だから。


そのイベントをNPCは知らないが故に

 

25:名無しの着せ替え隊

ティーアスちゃんのサンタ姿が見たい

 

27:名無しの着せ替え隊

どうした唐突に。……俺も見たいが

 

31:名無しの着せ替え隊

今何月か分かってるか?ハロウィーンが先だろ?

 

32:名無しの着せ替え隊

そもそもシャンフロは季節イベントやらないからなぁ

 

35:名無しの着せ替え隊

>>32

無いなら作ればいいんだよ

 

40:名無しの着せ替え隊

>>35

なるほど?

 

41:名無しの着せ替え隊

フレの生産職に掛け合ってくる

 

43:名無しの着せ替え隊

私も聞いてみるわ

 

48:名無しの着せ替え隊

いや、今からクリスマスは幾らなんでも早すぎるんじゃねーか?まだ8月だぞ?

 

52:名無しの着せ替え隊

>>48

シャンフロには季節イベントが無い=今の季節が分かりにくい=季節が無い=いつだってクリスマス

 

56:名無しの着せ替え隊

>>52

いつだってハロウィーンだし、正月でもある

 

59:名無しの着せ替え隊

>>56

盆と正月とクリスマスとハロウィーンが一度に楽しめる……だと?!

 

64:名無しの着せ替え隊

ちょっともみの木探してくる

 

66:名無しの着せ替え隊

じゃあ俺カボチャ

 

71:名無しの着せ替え隊

じゃあ残った門松と南天を

 

75:名無しの着せ替え隊

衣装の素材集めしに行くけど誰か来る?

 

76:名無しの着せ替え隊

>>75

新?旧?

 

80:名無しの着せ替え隊

>>76

フォルティシアン周辺を想定

 

85:名無しの着せ替え隊

>>80

俺は新大陸組なんだが

 

88:名無しの着せ替え隊

>>85

森行く?30分後くらいに蛇の林檎集合な

 

 

◇◇◇

 

「……着てあげたわよ!これでいいの?!」

 

「白い髪と赤い瞳と対照的な黒のトップスにカボチャをイメージしたスカートと王冠を合わせてみたがやはりこれは正解大正解」

 

「めちゃかわ」

 

「白い肌の際立つ40デニールも絶妙だし、その下のハイヒールも素晴らしい」

 

「可愛さで人が死ぬ」

 

「あ、サミーちゃんさんにはリボンをどうぞ!」

 

「おお、ウィンプちゃんとお揃いのネコリボンか。分かってるじゃん最高かよ」

 

「最の高」

 

「え…なに?……次はこれを着るの?」

 

服を抱えてウィンプが裏手へと戻ろうとしたとき、貸し切りの札が掛かっていた海蛇の林檎の扉が開いた。

 

「……なに、してるの?」

 

「ティーアス先生!!」

「ティーアスちゃん!!」

 

「さささ、どうぞ!こちらへ」

 

「本日は流行の最先端でトレンディなマジにヤバいナウな服を取り揃えておりますので是非に試着を……!!」

 

「……すこしだけ」

 

半ば押し付けられた服を抱えてティーアスが裏手へと入る。すこし遅れて宙に浮くリボンと共にウィンプも入っていくと、フロアに残ったのは着せ替え隊の面々だけだった。

 

「で?次の衣装担当は誰だ?」

 

「ティーアスちゃんのは私のですね。モチーフはハロウィンで雪ん子です。早く見たい」

 

アバターも声も(正真正銘?)女性の隊員が手を上げて仮設の壇上に上がる。

 

「藁系作物の茎を素材にした頭装備は、例の人(ツチノコさん)から一時期噂になってた某エジプト神(メジェド)が実は頭装備と聞いたので馴染みの裁縫師持ちの鍛冶師さんに無理言って全身覆える長さに作って貰いました。そこに着物っぽく仕立てた素朴な和風衣装と白タイツ、足元は草履と、全体的にレトロに仕上がったので、アクセサリーで現代っぽくアレンジしてみました」

 

「日本妖怪コス金髪ロシア系幼女」

 

「「「絶対可愛い」」」

 

「アクセサリー有無で2回楽しめる点も高得点だな」

 

「ウィンプちゃんの方は?」

 

「俺です。コンセプトは……あっティーアスち゛ゃ゛ん゛!!!」

 

「「「「う゛ぁぁおおおおおおお!!!!」」」」

 

「……これ、動きにくい」

 

「ア゛ッ」

 

「おい!ショックで気絶しそうだぞ!」

 

「……から鍛練にはいいかも」

 

「ア゜ッ」

 

「喜びのあまり気絶したぞ!誰かタンカ持ってこい!俺以外で運べ!俺はティーアスちゃん見てるから!!!」

 

「ティーアス様を見る方が大事」

 

「感想まで貰えるとかマジで羨ま死」

 

「え、なにこれこわい……」

 

「あっウィンプちゃん!着替え終わったんですね!!気にせずどうぞだんじょ……ア゛ッ゛」

 

「コンセプト語れずに死にやがった」

 

「これだから童貞は……」

 

「ヤツは着せ替え隊でも3流……」

 

倒れた着せ替え隊が映画で途中退場する味方のように、一枚の紙片をウィンプに渡す。

 

「えっ?いきなりなんなの……?これ読めばいいの?」

 

サムズアップ。

 

「よく分かんないけど……『コンセプトはまほうしょうじょアニメ』アニメってなに?……『に出てくるてききゃ()んぶで、ちょっとろしゅつは多いけどギリけんぜん』?『的なラインをちぇ()めてみました。』……らしいわ……ぇっと、あとは……」

 

「おい!サバさんどこ行った?!」

 

「今日はログイン前!」

 

「あの人イベント基本参加だろ、リアルか?!」

 

「録音!録音はしてるか?!」

 

「ばっちり撮影中だ!だが今の一連も入ってるからお前ら取り敢えず黙れ!!!」

 

静寂の中

 

コンセプトを読み上げるウィンプの声だけが

 

海蛇の林檎に響き渡った

 

 

◇◇◇

 

「で、そこの変態(サバイバアル)は何を?」

 

変態(ツチノコさん)に変態って言われちゃ世話ないですね」

 

疑問(そっすね):質問と回答に齟齬を確認」

 

「アレはこの前やった『ウィンプちゃんを着せ替え祭』の録画です。当日どうしても予定(リアル)が取れなかったんで、ああやって無限リピートしてるんですよ」

 

「あれ何週目?」

 

「かれこれ3日目ですかね」

 

驚嘆(なんてこった):類は友を呼ぶとはこのことですね」

 

それを言うなら同じ穴の狢じゃね?

 

「わたし、もう洞窟はこりごりよ……」

 

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