「メリークリスマス!玲さん」
「メ、メリークリスマス、です。楽郎くん」
今日は12月24日、クリスマスイヴだ。だからまあ、本当はメリークリスマスではないのだがそんなことは気にするな。雰囲気が大事なんだよこういうのは。
ちなみに駅前で待ち合わせをして、レストランでディナーを終え、ただいまの時刻は19時を回った所。日にちが日にちなだけあって周りはカップルで溢れかえっている....は言い過ぎだがそれでもかなりの数いるように思える。まあ俺たちもその一組なのだが。
「今日はイルミネーションを見に行くってことで良かったよね?」
「はい!電車で少し行った所に、今年から開催されるイルミネーションがあるみたいで、ぜひ一度行ってみたいと思っていまして」
何を言うでもなく手を握り-手袋越しにだが-
改札へと歩き出す。
「どんなイルミネーションなの?」
「聞いたところによると、最新のAR技術を使った、電飾(光)と映像(光)のコラボレーションだとか」
「へ〜それはまた、なんかすごそうだね」
「おーすごいな」
「綺麗ですね」
電車に揺られること十数分、広い並木道までやってきた俺たちを待ち受けていたのは膨大な量のLED電球、そして星や雪、空飛ぶソリなどのARで作られた映像であった。
一通りイルミネーションを楽しんだあと、やってきたのはケーキ屋だ。ここでケーキを買い、俺の家で二人で食べるのだ。これは俺たちが大学生になってから毎年行っており、今年でn回目となる。毎年色々なケーキを食べているが、クリスマスっぽいケーキって言うと後は何があるのだろう?
「今年は何が良いかな?」
「そうですね、これまでのお店とは違うので......また変わったものもありますね」
おお、ほんとだ。何だこれ、キノコっぽい形のケーキとかあるな。後は....お!これなんか良いじゃないか。
「玲さん、これとかどうだろう」
「丸太?みたいですね。ええっと、ブッシュドノエルですか。確かにクリスマスらしいケーキですね。美味しそうですし、これにしましょう」
自分で提案したくせしてなんだけど、高くないですかコレ....ええい気にするな!このためにバイトしてきたんだろ俺!
あの後スパークリングの赤ワインも買った俺たちは、俺の家まで辿り着いていた。いやもう、人が多い。あの満員電車の中でケーキを潰さずに守り切った俺を褒めてほしい。
今玲さんがケーキを切り分けてくれているので、俺はその間にワインの用意でもしておこう。
「それじゃあ改めて」
「「メリークリスマス!」」
少し厚めに切られたブッシュドノエルがフォークで崩し、口へと運ぶ。うん、なかなかにビターなチョコだな。でもクリームの方は甘いし、これはラズベリーかな?の酸味もアクセントになっている。まとめると美味い。
赤ワインの方もケーキに合ってるな。
美味しいケーキとワインと共に玲さんとの至福の時を過ごした後は....まあ聖なる夜だからね。