24歳、男性。Vtuberを始めるも、女性ファンより男性ファンが多い件について。   作:Rabbit Queen

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   友達
めるのはですか?







それを求めるのは、罪ですか?

 今日も教室の中から楽しそうな声が聞こえる。

 いつもと変わらない日々。

 同級生達が楽しそうに、無邪気に、笑っている。

 心配事も、不安も。何も感じさせない、そんな楽しそうな声。

 友達と楽しそうに話す彼らの声は、何が起きても乗り越えていけるような強さを感じた。

 

 今日も教室の中から楽しそうな声が聞こえる。

 いつもと変わらない日々。

 同級生達が楽しそうに、無邪気に、笑っている声を、わたしは廊下で聞いている。

 心配事も、不安も。何も感じさせない、そんな楽しそうな声を、わたしは聞いている。

 友達と楽しそうに話す彼らの声の中心に、わたしはいない。それでも、楽しそうに話している。

 彼らの隣には友達が居る。

 

 わたしの隣には、友達がいない。

 

 それでもわたしは扉を開けた。

 いつものように、無邪気で、バカみたいな顔をして。

 誰も不安にさせないように。

 わたしがそうするのが当たり前のように。

 視線を向ける、笑顔という仮面を被った彼らに、わたしも仮面を付けて言う。

 「おはようー!!」

 

 

 

 

 夏休み前になると、教室はいつも以上に騒がしくなる。

 長期間の休みは何をするだとか、どこどこに行くだとか、そんな他愛のない話を皆がする。

 わたしはそれを黙って聞いている。

 皆が楽しそうに話す姿は、とても嬉しいし、わたし自身も、なんだか楽しくなる。

 小学校の時も、中学校の時も、変わらず同じように聞いていた。

 皆が楽しそうでよかったと、心の底から感じる。

 たとえその中にわたしが居なくても、全然構わない。

 皆が楽しいと感じるそれはきっと、わたしの喜びにもなるから。

 

 教室はいつも以上に騒がしくなる。

 他愛のない話で、皆が盛り上がっている。

 わたしはそれを、独り聞いている。

 

 

 

 夏休みが来た。

 いつもと変わらず、わたしは家で過ごしている。

 お母さんがたまに心配して、「どこか遊びに行かないの?」と聞いてくる。

 わたしはいつも通りに答える。

 「うん。もっと勉強したいから」

 

  

 夏休みがまだまだ続く。

 いつもと変わらず、わたしは家で過ごしている。

 夜、お父さんが心配して、「大丈夫か?」と聞いてくる。

 わたしはいつも通りに答える。

 「うん。もっと勉強したいから」

 

  

 夏休みがずっと続く。

 いつもと変わらず、わたしは家で過ごしている。

 可愛い妹が友達を連れてきた。「おねえちゃんも遊ぼ?」と聞いてくる。

 わたしはいつも通りに答える。

 「ごめんね、勉強があるから」

 

 

 夏休みが続く。

 ふと、思った。

 この夏は、何時まで続くんだろう。

 そして、この夏が終わった時、皆はどうしているんだろう。

 男の子は少しだけカッコよくなっているのかな?

 女の子は少しだけ可愛くなっているのかな?

 先生は少しだけ休めたのかな?

 学校は少しだけ変わったのかな?

 そんな事を思い、そして最後に、それに辿り着く。

  

 

 【皆が変わっていく中、わたしはどうなんだろう】

 

 

 このままずっと、変わらない日々が続くんだろうか。

 学校に行って、勉強して、家に帰って、また勉強して。

 試験勉強が来て、今まで頑張った成果を出し切って。

 自分の点数に満足して、喜んで、そしてまた勉強をして。

 大学に行くとしたら、もっともっと勉強して、成果を出し切って。

 就職して、そこでいろいろ学んで、もっと頑張るために勉強して。

 勉強して。勉強して。勉強して。

 

 

 その隣で、皆が楽しそうに笑って遊んでる姿がきっとあって。

 わたしはそれを独り、これから先もずっと独り、見て、聞いて、そして笑っているのだろうか。

 そんな、今と変わらない日々がこれから先もずっと、続くんだろうか。

 

 そんな事を、ふと考えてしまった。

 今までずっと、考えないようにしていた。

 きっともう、限界だったのかもしれない。

 だからわたしは――

 

 

 「……ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

 生まれて初めて、心の底から叫んでしまった。

 

 

 ある日。

 可愛い妹が、とある動画をオススメしてくれた。

 それは、画面上に、男の子だったり、女の子だったり、様々な見た目のイラストがあって。

 その画面上のキャラが雑談をしたり、ゲームをしたりするような動画だった。

 

 「面白いから、おねえちゃんもこれを見て、その……元気、だしてね……?」

 

 そう言った可愛い妹は、何故かわたしとは目線を合わせないようにしていた。

 わたしは「ありがとう」と感謝して、可愛い妹の頭を撫でようと思った。

 可愛い妹は、何故か怯えた様子でお母さんの所に行ってしまった。

 おかしいなぁ。なにか変だったかな。ちゃんと笑顔で答えたのに。

 

 

 ……あれ、笑顔ってどうやるんだっけ?わたし、いま、笑えてるのかな。

 

 

 その日から、わたしはVtuberというジャンルの動画を見始めた。

 選り好みせず、検索で出てきた動画を全て見ていた。

 画面上に映るイラストのキャラはどれもこれも楽しそうだった。 

 羨ましいと思った。わたしも、また笑いたいと思った。

 おかしいよね。だって、いまもこうして、笑っているはずなのに。

 それでも心の底で、小さく、羨ましいと思った。

 

 

 

 ずっと貯金していたお金を少し使った。

 友達と遊ぶために取っておいたお金を使った。

 決して安くはない買い物だけど、わたしはそれを買ってしまった。

 久々に、物凄く緊張している。

 ちゃんと喋れるだろうか。ちゃんと話せるだろうか。

 ちゃんと、笑わせれるだろうか。どれもこれも、不安だった。

 セットしたマイクに向かって、ゆっくりと喋った。

 「……は、初めまして……は、はやて丸……でス」

 

 

 

 

 「皆さんこんばんはっス!!情報系Vtuberの、はやて丸っス!!」

 

 あれからいろんな事を経験して、学んで、ようやく、自分のキャラが出来上がった。

 今でも少し恥ずかしくて緊張してしまうけれど、でも、凄く楽しかった。

 最初は本当に苦労した。何をやっても全然人が増えなくて。

 試行錯誤して、とあるコメントで、「後輩みたいで可愛い」と言ってもらえた。

 そのコメントからヒントを得て、無邪気な後輩キャラとして売り出してみた。

 いろんな漫画やアニメを見て、後輩キャラというものを必死に勉強して。

 それでようやく、「はやて丸」が出来た。

 わたしだけのはやて丸。わたしの、友達

 嬉しくて、嬉しくて、これから先も大事にしていこうと思った。

 

 

 

 「むふふー!コラボ、楽しかったなぁ……!!」

 

 初めて、3人でゲーム配信をした。

 今までいろんな人にインタビューをしてきたけど、こういうコラボは初めてだった。

 身体が凄く火照ってる。心臓がドクンドクンと叫んでいる。

 初めての感覚、初めての気持ち。初めてがいっぱいで、すごく、楽しい!

 「ふっふふーん♪……うん?DMが来てるっスねー……えーと」

 それは、珍しく、自分をインタビューしてほしいというコラボの依頼だった。

 こういう依頼は実を言うと少なくない。

 今までインタビューしてきた内の何人かはこういう経緯でインタビューした事もあった。

 でも、全部に応えるわけではない。

 ちゃんと相手の事を調べて、それからインタビューをするか決めている。

 今回の相手は…………うん、今の所大丈夫そうだ。

 よーし、次回のインタビューも、頑張るぞー!!

 

 

 

 「……それでは皆さん、さよならっスー!!お疲れ様でス!!」

 

 「みんなー!またねー!!」

 

 

 インタビュー配信当日。

 無事配信を終えたわたしは今回のインタビュー相手に感謝の言葉を伝えた。

 「……ふぅー。あの、今日はお疲れさまでした!インタビューもありがとうございましたっス!!」

 「……」

 わたしがそう言うと、インタビューを受けた女性は黙り込んだ。

 何か失礼な事を言ってしまったのだろうか?

 「あの……?」

 

「……あのさぁ。もうちょっと、ちゃんとインタビューしてくれない?」

 

 「え……?」

 「あんなんじゃ、私の魅力全然伝わんないじゃん。もっと考えてよ」

 「……ご、ごめんなさいでス。で、でも打ち合わせじゃあれで良いって」

 「はぁー……普通さ、生配信ならアドリブで気を利かせるべきじゃない?そんな事もわかんないの?」

 「……すみません。でも、そういうのは事前に言ってくれないとこっちも」

 「そういう事したらアドリブになんないじゃん。わかる?自然体が大事なのよ?」

 「……ごめんなさい」

 「あとさぁ、あんたのところのコメント、もうちょっとどうにかならない?」

 「……特におかしいところはなかったと思いまスけど……」

 「はぁ!?【明らかに声作ってて草】とかあったじゃん!あれがおかしくないって言うの!?」

 「……そ、それに関しては、先輩方の判断でスし、わたしは、全然可愛いと」

 「あんたの意見なんてどうでもいいっての!はぁ、評判良いから受けたのに全然ダメじゃん」

 「……すみません」

 

 「あとさ、あの「でっス~」っての、バカにしてるでしょ?」

 「そんなことはないです!!あれははやて丸のキャラで」

 「キャラねぇww……あんたさ、あのキャラが気持ち悪いってわかってないの?」

 「……え?」

 「どう考えてもあんなのウケ狙いで気持ちわるいでしょwwえ、まさか本気で皆から愛されてると思ってんの?」

 「……」

 「うわぁww流石にないわぁww私も声作ってるけどさ、あんたのほうがヤバいってww」

 「……っ」

 

 「あ、そんなことはどうでもいいや。あのさ、あんたに頼みがあんだけど!」

 「……なんですか?」

 「あんたさ、前に雹夜くんにもインタビューしたんでしょ?」

 「……しましたけど」

 「あたしさぁ、雹夜くんの大ファンなんだよね!」

 「それでー、個人的にお付き合いしたいな~って」

 「あんたさ、なんか雹夜くんと仲良いらしいじゃん。彼の友達なら紹介してよ」

 「……それは、できません」

 「なんで?」

 「……」

 「ねぇ、なんで??」

 「……貴方に、教えたくないです」

 「は?……なにそれ」

 「……」

 

 「あーそう。まぁいいけど。別に他の方法なんていくらでもあるし」

 「……」

 「インタビューに「協力」してあげたんだからさぁ、普通はお願い聞いてもいいのにねー」

 「ねーねー、友達の頼みだと思ってさぁー教えてよ」

 「……とも、だち……?」

 「そそ。あんたもあるでしょ?友達の頼みの一つや2つ聞いてあげたこと」

 「……」

 「……なにその反応。……え、うそ、マジ?」

 「な、なんですか……?」

 「あんた、もしかして友達いないの?」

 「なっ、い、います!」

 「うわぁ、動揺してんじゃん……え、マジ?ww」

 

 「あー、そっかそっか。……あんた、雹夜くんとも友達じゃないんでしょ?」

 「!?」

 「あ、やっぱりそうなんだwwまぁそうだよねぇー、あんたみたいなの、雹夜くん好きじゃなさそうだしw」

 「そんなことないです!!!雹夜せんぱいは!!」

 「じゃあ今聞いてみてよ。友達でしょ?」

 「……っ」

 「聞くだけならおかしくないでしょ?友達ならさww」

 「……」

 「やっぱり友達じゃないじゃんwwうわー、雹夜くんも可哀想。勝手に友達だと思われててww」

 

 「……貴方の言葉、全部録音してますから」

 「……は?」

 「それじゃ」

 「はぁ!?ちょ、まてよ!!!」

 

 

 

 

 スマホの通知が鳴り続ける。

 彼女のアカウントをブロックして、雹夜さんのアカウントを見る。

 

 ちがうもん。絶対に、ちがうもん。

 雹夜さんはわたしの……わたしの……ただ、聞くだけだもんね?

 ただ、ソレを聞けば、いいだけだもんね?

 大丈夫。だってせんぱいは…………大丈夫!!

 DMを開いて、それで――

 

 

 

 

雹夜さん

 

 ゆっくり休むんだよ―。おやすみなさい。

 

 

既読 せんぱい 

 

 こんばんは、はやて丸さん。どうかした?

 

既読 なんでもないっス!! 

 

既読 また、遊びましょう!! 

 

 ……はやて丸?

 

 何かあったのかい?

 

 おーい。はわわ丸ー?

 

 

 

せんぱいは、ともだちですよね                             
 

 

 

 

 

 ごめんなさい。

 勝手にそうだと思って、ごめんなさい。

 

 

 

 ― 某掲示板 ―

 

 :はやて丸はどうしたんだ?

 :何の反応もないぞ

 :どうなってんだよ……

 :誰も何も知らないのか?

 :探ってるけど何も出てこない

 :SNSの返信も返ってこないぞ

 :どうしたんだよはやて丸……

 :家の事情かな?

 :それならSNSで何か言わないか?

 :前に少し配信お休みした時はちゃんとSNSで言ってたな

 :忙しくて更新出来ないとか?

 :うーん……

 :この前のコラボは凄く楽しかったよなぁ……

 :だな。正直、あのコラボで雹夜好きになったわ

 :また堕ちた奴がいるのか

 :賛成派の掲示板に行ってこい

 :まぁいいんじゃね?今そんな場合じゃねぇし

 :雹夜は何も知らんの?

 :DM送った奴いるみたいだけど、何も知らないですって返ってきたみたいだぞ

 :あいつも知らんのか

 :はぁー……またはやて丸の声聞きてぇな……

 

 :おい、これ……やばくね……?

 

 

 

 

 

【告白します】某Vtuberさんに脅迫されました
 
 
➤ ➽   ◉ライブ
   

【告白します】某Vtuberさんに脅迫されました

3140人が視聴中・ライブ配信開始日:0000/00/00  高評価  低評価 ↱共有 ■保存  

 

 

 

 

 :おい、なんだこれ

 :は?

 :こいつって、前のインタビューした奴?

 :最近インタビューしたやつじゃね?

 :なんだこれ……

 :この某Vtuberって誰?

 :多分はやて丸

 :は?はやて丸が脅迫??

 :マジでいってんの??

 :今配信見てるけど、これはやて丸のことだろ

 :所々ぼかしてるけど絶対はやて丸だなこれ

 :はぁ??

 :いや、意味がわからん

 :なにこれ、どういうこと?

 :一旦整理しないか?レス早すぎる

 

 

 :つまり、はやて丸がインタビュー後に脅迫してきたと。

 :ボロクソにダメ出しされて泣きそうになったって言ってるな

 :これ本当か?

 :嘘だろ。絶対嘘

 :はやて丸がそんなことするはずがない

 :ありえないだろこれ

 :間違いだったら訴えれるぞ

 :でもこいつ、名前出してないからなぁ……

 :最近絡みがあった人物に、配信後にダメ出しされたーってだけだからな

 :どう考えてもはやて丸だろ

 :いや、調べたけど何人かとコラボしてるぞコイツ

 :最近って言っても日付も時間も言ってないし、はやて丸とは限らんが……

 :声がキモすぎる。絶対コイツの嘘だろ。

 :それだけで決めるのは流石にヤバいぞ

 :どっちが言ったにせよ、はやて丸が休止してるのはコイツ関連なのは間違いないはず

 :凸るか?

 :それは絶対やめとけ

 :やめろ。はやて丸に迷惑がかかるぞ

 :まだ何も確信がないからやめよう

 

 

 :もう三週間経つのに、まだはやて丸から何の反応もない……

 :これ、マジで活動終わりか……?

 :頼む、戻ってきてくれ……

 :もうはやて丸に直接連絡するしかなくないか?

 :それしかないよなぁ……

 :誰かに頼んで連絡してもらおうぜ

 :誰にするよ?

 :……いや、これ無理じゃね?

 :多分無理だぞ

 :なんで?

 :お前ら、はやて丸と仲の良いVtuberって知ってるか?

 :アカネちゃんと雹夜だろ

 :雹夜と、アカネちゃんは仲いいんじゃね?

 :雹夜だろうな。あとアカネちゃん。

 :……あれ?

 :あれ、今まで沢山インタビューしたよな?

 :うむ

 :したけど……あれ?インタビュー後も遊んだ人って雹夜とアカネちゃん以外にいたか?

 :いない

 :いないはず……

 :言われてみれば、たしかに

 :ゲーム配信のコラボも前のが初めてだったよな

 :はやて丸、意外と友達いないのか

 

 

 :どうする?アカネちゃんと雹夜しかいないぞ

 :アカネちゃんに頼むか

 :アカネちゃんなら連絡してくれそうだな

 :DM送っていいのか?

 :いいぞ

 :アカネちゃんに頼もう

 :いや……アカネちゃんもダメじゃないか?

 :なんで?

 :アカネちゃんと仲いいじゃん。頼ればいいのに

 :よく考えろ。アカネちゃんって企業勢だぞ

 :……あー、そういうことか

 :本人はわからんけど、企業側が関わらせてくれるか?

 :はやて丸、個人勢だからなぁ。 

 :個人の問題だから、企業側がアカネちゃんを止めるはず。

 :え、詰んでね?

 :無理じゃん……

 :インタビューした相手にとりあえず頼んでみようぜ

 :闇雲にやってもダメじゃね?

 :じゃあどうすんだよ。文句ばっかだなお前

 :は?

 :おいやめろよ

 :イライラしすぎだろ

 

 :……雹夜に頼もう

 

 

 あれから、3週間が経った。

 今もわたしは、Vtuberの活動を休止している。

 正直、もう戻れないかもしれない。

 わかってる。雹夜さんが悪いわけじゃない。

 わたしがあんな言葉に惑わされたのが悪いんだ。

 わかっている。わかっているはずなのに、自信が持てない。

 今までもそうだった。友達だと思った相手が皆、違かった。

 だから思ってしまう。違うとそれを振り払おうとしても、心が受け入れてしまう。

 雹夜さんは、わたしの友達じゃないって。

 

 アカネちゃんは……どうなんだろう。

 いや、きっと彼女も、同じなのかもしれない。

 彼女が好きなのは「はやて丸」で、わたしじゃない。

 話している相手は「はやて丸」で、わたしじゃない。

 友達と言った相手も「はやて丸」で、わたしじゃない。

 わかっている。もう全部、わかっているんだ。

 

 スマホを操作して、SNSのDMを開く。

 沢山の人が、メッセージを送ってくれている。

 雹夜さんも、アカネちゃんも。

 でも、中身は見ていない。怖いから。

 見てしまったら、今まで思っていたその関係が、壊れてしまうんじゃないかって。

 

 ……いや、そもそも、私達の関係は、ただのコラボ相手だったんだ。

 わたしが勝手にインタビューを持ち込んで、2人はそれに答えてくれた。

 もしかしたら、その時も。

 本当は、二人共、嫌だったんじゃないかなって。

 あの人と同じように、わたしを、気持ち悪いって思ってるんじゃないかなって。

 いろんな事を勝手に想像して、勝手に凹んで。

 本当は違うかもしれないのに。

 

 それを考える度に。

 雹夜さんもアカネちゃんも、やっぱりわたしの友達じゃないって――

 

 

 

 

 

雹夜せんぱい

 

    

 

  応答   拒否  

  

 

 

 

 

 

 

 

雹夜からの通話です。

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