24歳、男性。Vtuberを始めるも、女性ファンより男性ファンが多い件について。   作:Rabbit Queen

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再投稿です。
今年はこれでラスト投稿になります。
よければ、来年もよろしくおねがいします。


集結。そして――

 「――それではご案内しますね」

 「ええ、お願いします」

 「お願いしますー」

 

 入り口のスタッフさんに参加券を渡し待つこと数分、確認ができたとのことで私達は待機部屋へと案内される。サキさんは事務所に所属しているので専用の部屋に、個人勢の私は同じ個人勢の人が待機する大部屋へと案内された。「後でラインするわ」という言葉を残し、先に専用の部屋に入っていったサキさんに手を振り私はスタッフさんと一緒に大部屋へと向かった。

 

 長い廊下を歩き、スタッフさんが「ここですねー」と一つのドアを指差しては立ち止まる。ドアノブを捻り「どうぞ」とジェスチャーされたので私は中に入った。大部屋はそこそこ広く、スタッフさんに話を聞くとたまにファンミーティングやゲームのオフライン大会などでも使われているとのこと。同じような部屋がいくつか存在し、そこに今日集まる個人勢の人たちを分けて入れてるらしい。この規模の部屋がいくつもあって、それが全部埋まるらしいから、今回のVtuber祭ってのは本当にでかいイベントなんだなと改めて実感する。うーむ、場違い感がやばい。

 

 既に部屋の中には一人のスタッフと数人の、同じようにVtuberをやっている中の人達がスマホをいじったり自己紹介をしてたりしていた。とりあえず挨拶だけはしておこうと思い、適当に声をかける。

 

 「おはようございます~」

 「え?あ、おはようございますー」

 「おはようございますー!」 

 「こんにちは~」

 「どうもですー」

 

 ちゃんと返事返してくれる人達でよかった。続々と増えていく個人勢の人達に挨拶しつつ、特にやることもなかった私はさてどうしたものかと思い邪魔にならないように壁に寄ってはスマホを取り出して画面を光らせる。薄く光る液晶の画面にはラインのメッセージを知らせる通知が映っていた。お?どうやら挨拶してる間にサキさんからメッセージが来ていたらしい。タップしてパスワードを入力し、ラインを開いた。

 

 

 

 

サキさん

 

 雹くん、そっちはどう?

 

 今部屋に誰もいないから、少し話さないかしら?

 

既読 あー、いいですよ。今から向かいますね~ 

 

 ヽ(=´▽`=)ノ

 

 待ってるわ。

 

+                                           
 

 

 

 

 部屋から出る前に、待機部屋に居たスタッフさんに声をかける。サキさんに「行きます~」と返したものの、自由に部屋を出入りしていいものかと思ったのだ。念の為聞いておこうと思いスタッフさんに聞いてみたところ、開催の一時間前には部屋に戻ってくれば大丈夫とのこと。その後イベントに関する注意点を再度説明して、いよいよイベントが始まるらしい。イベントが始まったあとは基本自由に動いてもらって、イベントが終わる一時間前には再度部屋に戻ってほしいとのこと。あとイベントの各コーナーに参加予定の人はそれが始まる30分前には部屋に居てほしいとのこと。まぁつまり、始まるときと終わるときには戻ってきてね~ってことっすね。はい。

 

 大体把握できたのでスタッフさんにお礼を言って、いざサキさんの待つ部屋に出陣じゃ。

 

 

 

 特に問題なく着いちゃった。ということでノックしてもしもーし。

 「どうぞ」

 「お邪魔します」

 「あっ……」

 

 ガチャリとドアを締める。え、今の「あっ」ってなに???怖いんだけど……。

 「あれ、来て大丈夫でした……???」

 「あっ、うん、ええ。大丈夫よ。大丈夫」

 「え、なんですか……大丈夫ですか本当に」

 「大丈夫、大丈夫よ。ただちょっと……」

 「うん?」

 「……よくよく考えたら、初めて会うのねって思って」

 「……あー、確かに」

 

 さっきの入り口での出会い。サキさんが気づいて私が驚いて、そのまま流れで会場に入ってきたけどまともに挨拶も会話もしてなかったな。そう言われると、確かになんかこう、恥ずかしいものがある。

 「あー……なんか恥ずかしいですね」

 「ええ、そうね……」

 「んーと、えーと、あ、今更ですけど、はじめましてです。雹夜です」

 

 ぺこりと軽くお辞儀する。それを見てサキさんも座っていた椅子から立ち上がり、お辞儀した。

 「あ、ごめんなさい。私もまだだったわね。はじめまして、サキです」

 「どうもです。しかしあれですね、サキさんって」

 

 そう言って途中で言葉が止める。しまった。やってしまった。私はこの後「背が高いですね」と言うとした。しかしよくよく考えるとそれは女性に失礼なのでは?と思った。仕方ないとはいえ最初に身長に触れるのはやはりデリカシーがないのではないのだろうか。あー、どうしよ。

 「どうしたの?」

 「えーと……あー……すみません、背が高いんですねって言おうとしました。

  デリカシーないですよね……ごめんなさい」

 「え?ああ、そういうことね。大丈夫よ。言われ慣れてるから」

 「そうですか?それなら……いやでも、すみません」

 「気にしないで、大丈夫だから」

 「あー、はい」

 

 あーやってしまった。リアルで人と話す機会が少なすぎる結果、安直な事を言ってしまった。サキさん、嫌な気持ちになってないといいなぁ……無理かなぁ……。こんなんで今日のイベントやっていけるのだろうか。そう思っている私に対しサキさんはじっと見つめ、そしてクスっと笑った。

 

 「ふふ」

 「え、なんすか」

 「いえ、雹くんが優しい人でよかったわ」

 「ん?そうですか?全然デリカシーないですぞ……」

 「ふふ、そんなことはないわ。もっと自信を持って、雹くん」

 「えー……がんばります」

 

 頭をポリポリと掻きつつ何か別の会話に繋げないとなぁと思いつつ目線をウロウロさせる。机の上に置かれている紙に目が止まった。

 

 「ん?それってサキさんが出るやつのですか?」

 「ええ、そうよ。段取りとかいろいろ書いてあるわ」

 「ほぇー、台本的なやつだ」

 「ふふ、そうね」

 「初めて見ましたわ」

 

 じーっと台本らしき物を見てる私に対しサキさんは頬杖をついて言った。

 

 「見たい?」

 「んー……」

 

 一度じっくりと台本らしき物を見た後、サキさんに目線を合わせて言った。

 「んや、いいです。ステージ楽しみにしてますから」

 

 他の出演者も、誰がどんなセリフを言うのかも興味はない。

 ただ、この人が、サキさんがステージで楽しんでる姿を見たい。

 アカネちゃんもそうだ。緊張するだろうけど、少しでも楽しんでる姿を見れたら、それだけでこのイベントに来れてよかったと思える。誰がどんな事をするなんて事前に知っちゃったら、何も楽しめないからね。

 

 「ふふ、そう。よかった。他人に見せたら怒られちゃうわ」

 「あ、ですよねー」

 「ええ。……でもよかった」

 「え?」

 

 頬杖をついたままニコッと笑ったサキさんが続けて言った。

 「私の想像通りの人で良かったわ、雹くん」

 「お、おぉ、照れますな……」

 

 マイクで話してる時は褒められても何も感じなかったけど、こうして面と向かってサキさんに言われると、なんか照れるし恥ずかしい。なんだこれは、俺の青春時代にこんなのなかったぞ。その後会話に困った私は話題を探しながら天井の隅を見たり床を見たり、たまにサキさんに目線を送ったりしながら雑談をしていた。しばらくしてサキさんと同じ事務所所属のVtuberさんが来たので、私は軽く挨拶して部屋を後にした。ちなみにそのVtuberさんにはサキさんのファンをしている新人Vtuberですと言っておいた。特に怪しまれなかったし大丈夫だろう。ヨシ!

 

 

 

 特にやることもなかったのでぶらぶら~っと会場を歩いていると……あ、歩いているって言ってもブースとかステージ周辺じゃなく休憩出来る廊下とかの場所ね。流石にまだステージ周辺には入れないみたい。そんなわけで廊下を歩いているとお尻のポケットに入れていたスマートフォンがぶるぶると振動した。「おぅふ」と心のなかで声を漏らしつつお尻を心地よくマッサージしてくれてるスマホを取り出し画面を見た。

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ」

 

 小さく息を吐いて、今度は小さく空気を吸った。それを一回、二回、三回と繰り返して、自分を落ち着かせる。それからもう一度着てきた上着のポケットに入れたスマートフォンを取り出して時間を確認する。さっき確認してからまだ一分も経っていない。スマートフォンに付いているボタンを押してスリープ状態に戻し、ポケットに入れる。そしてまた浅い呼吸を繰り返してスマートフォンをポケットから取り出す。

 

 緊張で手が震えてる。心臓がドクンドクンと大きく音を立てる。それほど緊張しているのに、今日だけで後二回も大きく緊張する場面がある。一つはステージで出演者としてゲーム大会に参加すること。多くの視聴者さんやVtuberファンの人が見ているだろうし、憧れのサキさんも応援してくれる。同じVtuberの人達もその大会に参加し、そして見守っていることだろう。そんな大勢と憧れの中でボクはちゃんと出来るのだろうか。不安で不安で仕方がない。

 

 そしてもう一つは、ボクの、ボクの友達の二人と会うこと。きっとステージに出ることよりも緊張してしまうだろう。二人はこんなボクを見て友達と言ってくれるだろうか。接してくれるだろうか。応援してくれるだろうか。本当に、このまま会っていいのだろうか。こんな姿のボクを見て、友達を辞めないだろうか。何度も否定して、それでも考えてしまう。

 

 嫌われたくない。離れてほしくない。そう思うほどに、ボクにとってこれから会う二人は大事な友達なんだ。大事な友達だからこそ、どうか、どうか。

 

 どうかボクを、ボクとして接してくれますように。

 

 

 

 「アカネちゃん……だよね?」

 

 何度も聞いた可愛い声が、ボクの耳に聞こえてきた。

 

 

 

 

 家を出る時に言われた。

 

 「お姉ちゃん、本当に大丈夫……?」

 「無理してない?嫌になったらすぐに帰ってきなさいね」

 

 お母さんも妹も私を心配している。それが私に対する心配なのか、私が何か起こしてしまうんじゃないかという心配なのかはわからない。わかってる。私が心配なのも、私が何かをすることに心配なのも。だって私自身が一番自分に対して心配しているから。

 

 これから出会う二人は私を受け入れてくれるのかな。嫌われないように言葉に気をつけないと。馬鹿な子だと思われないかな。気持ち悪いと思われないかな。二人は、いつも画面越しに話すように、リアルの私ともいつもみたいに話してくれるかな。本当の友達みたいに話せるかな。笑えるかな。

 

 もう二度と、ピエロになるのは嫌だよ。

 

 

 

 

 

 「えーと、黒のパンツに黒のシャツ、黒い帽子……って、全部黒なんだアカネちゃん」

 

 ラインのチャットで教えてもらった服装を頼りに会場周辺をウロウロと歩き回る。何人かの人とすれ違うたびに自分の格好がおかしくないかと不安に感じる。向けられていないはずの視線が私に向けられていると勝手に妄想し、自分が歩く前方を見ていたはずの瞳が徐々に徐々にと自分の足元の床へと視線を落とす。帽子を持ってくるべきだったと後悔しつつ着ていたパーカーに付いていたフードを両手で強く引っ張り深く被る。ぶつからないように気をつけつつ早足で歩き回りアカネちゃんを探す。早く会いたい。早く、この不安から離れたい。

 

 

 しばらく歩き回ってふと立ち止まる。ベンチに座っている男の子に視線が釘付けになる。黒のパンツに黒のシャツ、黒い帽子を深く被っている男の子はアカネちゃんからラインで教えてもらった服装と全く同じ感じだった。一つ違うのはその服装をした人が男の子で……もしかして……いやでも、本当にそうなら、学校ですごくモテるって話が納得できる。恐る恐る男の子?へと近づき、口を開く。ここに来てから飲み物を一口も飲んでいなかった私の喉は少し乾燥していたらしく、声に出して放った言葉は少しだけかすれていて、そして震えていた。

 

 「アカネちゃん……だよね?」

 

 ゆっくりと上げた男の子の、ううん、かっこよくて可愛い女の子の瞳が私を見つめた。

 

 

 

 

 

 「えっと、は、はじめまして……!」

 「う、うん!はじめまして、です……!」

 

 何度も何度も、昨日だってあんなに話した仲なのに、今目の前にいるアカネちゃんに私はものすごく緊張している。話を聞いていた以上にアカネちゃんはかっこよくて、でもクスッと笑う姿がとても可愛くて、あぁもぅ!ずるいよアカネちゃん!私に足りないものが多すぎて悲しくなるよぉぉぉ……。でもアカネちゃん、流石に黒一色はちょっともったいない気がするよ……

 

 

 あぅぅぅ……はやて丸ちゃん、自分は全然可愛くないって言ってたけど、そんなこと全く無いよ。お洒落だし、長く伸びる黒髪が綺麗だし、ボクなんかよりずっとずっと可愛いよ。いいなぁいいなぁ、ボクもはやて丸ちゃんみたいにお洒落してみたいなぁ……可愛いなぁ……。

 

 「あ、えっと、アカネちゃ……あーちゃんって、聞いてたよりもずっとカッコいいよね。びっくりしちゃった」

 「そ、そうかな?でもはーちゃんだって、す、すごく可愛いよ……!」

 「うぇ!?そ、そんなことないよー!」

 

 恥ずかしくなって右手の人差し指で前髪をクルクルと弄る。顔から湯気が出るほど、今の私は間違いなく真っ赤になっているはずだ。恥ずかしい……。話題を変えようと思ってアカネちゃんを見るとなぜだかウズウズしているように見えた。

 

 「……」

 「えっと、どうしたの?あーちゃん」

 「あ、あのね、髪綺麗だなぁって思って……その、触ってもいい?」

 「え?う、うん、いいよ?」

 「じゃ、じゃあ……わぁ……!」

 

 そう言って私の隣に座っていたアカネちゃんが左手を伸ばして、私の肩下まで伸びてる髪をそっと触った。最初は優しく、徐々にサワサワを触り始めるアカネちゃんの左手にくすぐったくないはずの私は何故か声が漏れそうになる。流石に恥ずかしくなってきたのもあってそろそろいいかな?と思いアカネちゃんを見る。瞳をキラキラと輝かせて楽しそうに触っているアカネちゃんの姿を見て、私は満足するまで声を我慢しながら待つのであった。

 

 

 「あーちゃんの髪もすごいサラサラだね~」

 「うぅ……恥ずかしい……」

 

 しばらく私の髪を堪能したアカネちゃんに対し私も同じようにアカネちゃんの髪を触らせてもらった。少しくせっ毛のある髪で所々ハネてる場所もあるけどサラサラしていて触ってて飽きない触り心地だった。ワシャワシャしたい欲望を抑えつつアカネちゃんの髪を触っているとスマートフォンの通知音が鳴った。私のスマホの通知音じゃないから、アカネちゃんのスマホなのかな?と思っているとアカネちゃんがポケットからスマホを取り出して通知を確認した。そして私にスマホの画面を向ける。

 

 「はーちゃん!雹夜さん、今からこっちに来るって……!」

 「ふぇ?え?わ、わ、も、もう来るの!?わー!緊張するぅぅぅ!」

 「ぼ、ボクもすごく緊張する……どんな感じなんだろう……」

 「あの声だもんね。やっぱりイケメンじゃないかな?」

 「ボクは渋い感じかなぁ……なんて」

 「案外童顔かもしれない」

 「気になるね……」

 「気になる……」

 

 あんな感じだろうかこんな感じだろうか、お互いの想像を話しては雹夜先輩の事を待つ。こんな会話をしてるけど、私は正直見た目を気にしていない。アカネちゃんもきっとそうだと思う。暗い底から引っ張り出してくれた恩人を見た目で嫌いになったりしない。緊張もしてるし不安もあるけど、それでもアカネちゃんとこうして会って話して少しだけ前向きになれた。早く会って話したいって。そしてちゃんと目を見て言いたい。ありがとうって。

 

 

 コツコツ……と地面を歩く音が聞こえる。音は私達の方にどんどん向かってきて、私もアカネちゃんもその音に気づいてから視線をそっちへと向けた。黒のパンツに大きな白いパーカーを着た、少し大柄で目つきも少しだけ悪い男の人が私達の前まで来て立ち止まった。私とアカネちゃんを交互に見てから、ゆっくりと口を開く。

 

 「えーと、すみません、人を探しているんですけど」

 

 念の為の確認なんだろうけど、その声を聞いた私とアカネちゃんは即座にわかった。そして同時にベンチから立ち上がり、言葉がかぶるのも気にせずお互いに口を開いた。

 

 「こ、こんにちは!雹夜先輩!!」

 「は、はじめまして、です!雹夜さん……!」

 「え?あ、おおぅ。こんにちは。はじめまして」

 

 

 

 

 

 「うーむ、アカネちゃんかっこよすぎない?」

 「そうッスよね!?やっぱそうッスよね!?」

 「そ、そんなことないですよ……」

 「いやかっこよすぎるわ。なんかもう自信無くした。元々ないけど」

 「アカネちゃんと雹夜先輩の見た目でいろいろ話してましたけど、まさかちょっと怖い系だとは思わなかったッス」

 「び、びっくりしました……」

 「やめてぇ。気にしてるのよぉ……くそぅ、イケメンになりたかった」

 「大丈夫ッス!わたし達気にしないッスから!」

 「ですです……!」

 「優しくて泣きそう。どれおじさんがジュース買ってあげよう」

 「わー!やったッス!」

 「あ、ありがとうございます……!」

 

 雹夜先輩がベンチ近くにあった自販機に向かったので私達も一緒に向かう。「好きなの選んでいいよ」と言う先輩に対し私とアカネちゃんはそれぞれ好きなジュースを選んだ。ガコン!という音と共に落ちてきたジュースを先輩は小さな入口から取り出して私とアカネちゃんに渡す。それからもう一度ベンチに戻ってジュースを飲んだ。

 

 「雹夜先輩も座っていいんスよ?」

 「ど、どうぞ……」

 

 ポンポンとアカネちゃんが私とアカネちゃんの間の空いてるスペースを軽く叩く。

 

 「ありがとう。でもいいよ。二人で使いな」

 「えー、恥ずかしいんスかぁ?」

 「ん?まぁね。二人共可愛いし、俺なんかが間に挟まるのは申し訳ないから」

 「そ、そんな風に言われるとちょっと恥ずかしくて困るッス……」

 「だ、だね。えへへ……」

 「うんうん。あぁそうだ、実は会場入る時サキさんとも会ったんだよね」

 「え!?サキさんと会ったんスか!?」

 「サキさん……!!」

 「会った会った。めっちゃ美人で綺麗だった。緊張しちゃったよ」

 「わぁー……わたしも早く会ってみたいっス!!」

 「ボクも早く会いたい……!」

 「後で皆で会いに行こうか。とりあえず飲み終わったしそろそろ中に入ろう」

 「わかりました……!」

 「わたしは外で待機してるッスね!また後で!」

 「うん。またねはやて丸」

 「またね、はーちゃん……!」

 「また後でッス!!」

 

 

 

 会場に戻りアカネちゃんを所属してる事務所の待機部屋へと送り自分も個人勢待機部屋へと戻る。最初に入った頃よりも大勢の個人Vtuberの中の人達が集まっていた。これだけいると全員に挨拶は難しいので自分が通る通路の人達にだけ挨拶し、空いてるスペースへと向かって待機する。カチカチと小さな音を立ててるであろう時計の針を見て、自分の心臓の音が少しだけ早くドクンドクンと脈打ってるのを感じた。緊張と不安の中スタッフの説明が始まり、そして気づけば、時刻は開催時間を指していた。あぁ、遂に始まるのか。

 

 

 

 【――お待たせしました!Vtuber祭、開催です♪】

 





 
 紅雹夜@個人勢の男性Vtuber@hyouya_suimin 3時間
 ではでは、皆さんよいお年を~。
  □381          ⇅2177        ♡4221         凸


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