24歳、男性。Vtuberを始めるも、女性ファンより男性ファンが多い件について。   作:Rabbit Queen

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VTuber祭 三日目 みんなでなかよく。

 

VTuber祭、三日目。

長かったようで、あっという間だったVTuber祭も、ついに最終日を迎えた。

 

「おっさんの部屋で起きるのも、今日で最後かぁ……」

 

そんなことを思いながら、ぼんやりと天井を見上げる。思い返せば、友人であるおっさんと、その彼女さんと過ごした数日間は、ちょっとした地獄でもあった。食事のたびに見せつけられるイチャイチャっぷり。お風呂も毎日一緒に入るらしく、こちらとしては悶々とするばかりである。

 

……いや、泊めてもらっておいてこんな文句言うのもどうかとは思うけどさ。でも今日からは違う。ようやくホテルの空きを見つけることができたのだ。金銭的に問題はなかったし、そもそも最初からホテルに泊まる予定だった。ただ、あの時は空いてなかっただけの話だ。それに、おっさんと久しぶりに会えるから、つい深夜まで遊ぼうってなって、図らずもお世話になる流れになったわけで。

 

……しかし、まさか友人カップルのラブラブ生活をここまで間近で見ることになるとは。あれはちょっと、いや、かなり堪えるものがある。なので残り2日は、遠慮なくホテルに引っ込ませてもらう!

 

「ほんとに、今日も泊まらなくていいのかの?」

 

「うん、もう予約取っちゃったし。色々ありがとね」

 

「気にせんでええのに。またいつでも遊びに来るといい」

 

「うい」

 

「さて、それじゃ出発するかのぅ」

 

「行きますかー。安全運転でよろしく」

 

「まかせろぃ」

 

会場に到着した私とおっさんは、事前に決めていた集合場所へ向かった。そこで他のメンバーが来るまで談笑していると、はやて丸さんとアカネちゃんが並んでやってきた。そして最後にサキさんが登場。

 

「ごめんなさい、待たせたかしら?」

 

「全然大丈夫でス!」

 

「ボクたちも、ついさっき来たところですよ」

 

「サキさんのためならいくらでも待つって彼が言ってたのぅ」

 

「そりゃ待つでしょ」

 

「あら」

 

「ぼ、ボクの時もですか?」

 

「うん」

 

「わたしの時もでスよね!?」

 

「うん」

 

「……あれ?」

 

「どしたん?」

 

「いや、てっきり“待たない”って言われるかと……」

 

「君は僕のことを何だと思ってるんだい」

 

「ひとたらし」

 

「コミュ力おばけ……」

 

「ドS」

 

「へたれ」

 

「泣いた。あと、サキさんのは願望だろ。おっさんは黙っとれ。はいはい、行きますよー」

 

「「「はーい♪」」」

 

三人の女性が楽しそうに返事をし、それをおっさんがニコニコと見ていた。くそぉ、今日は私がいじられる日かよ。最終日の会場は、3日間の中でも特に人が多く感じた。私たちははぐれないように固まりつつ、それぞれ行ってみたいブースを挙げ合い、一つずつ巡っていくことにした。

 

「はぐれるんじゃないぞはわわ丸」

 

「バカにしないでくださいッス!」

 

「いやそっちじゃな……はやて丸ぅぅぅ???」

 

まず向かったのはデバイス関連のブース。サキさんが「新しいイヤホンが欲しい」と言っていて、目当てのものがこのブースにあるらしい。展示されているのは配信者向けのマイクやオーディオミキサー、視聴者向けのイヤホン、ゲーミングマウス、そして可愛いイラストが施されたVTuberコラボPCなど。どれも目を引くものばかりだった。そしてどれも高い高い。これPCとかの売上はどれくらい貰えるんやろ。

 

「可愛いなぁ、このPCのキャラたち」

 

「全部、VTuber事務所【ユートピア】の子たちでスね」

 

はやて丸さんが補足してくれる。【ユートピア】は、サキさんの所属する【エンドレス】よりも人気が高く、最終日のステージイベントも、ほとんどがその事務所のVTuberで占められていた。そういえば、さっき同じキャラのイラストが描かれたシャツを着た人達が結構いたような……。なるほど、納得。

 

「あったわ」

 

サキさんがそう呟いて、展示棚の一角に足を止めた。そこには【ASMR向け】と書かれたイヤホンがいくつか並んでいる。

 

「サキさん、ASMRとか聴くんですか?」

 

「前までは興味なかったのだけれど、最近ね」

 

「ほう」

 

「鈍いのぅ」

 

おっさんがボソッと何か言ってたけど、適当に聞き流す。私は何も聞いてない、聞いてないぞ。そんで私もイヤホンの一つを手に取り、店員さんに勧められるまま、試聴用端末に挿して音を聴いてみた。ブスリ。

 

「おぉー」

 

「どうかね?」

 

「……こそばゆい」

 

「ふっはっは、最初はみんなそんなもんじゃ」

 

イヤホンを拭いて戻しつつ、ふと冷静になる。うーん、ASMRって、私にはあまり向いてないかもしれん。作る側としてはありだけど、聴くのはちょっと苦手かも。いや、作るのも恥ずかしいからやっぱどっちも向いてない気がする。うん。でもなぁ……意外と好評なんだよなぁ。続き、作らんといけんかなぁ。

 

「次回作も期待しているわ」

 

なんでこの人心を読んでるの???

 

 

「ふふ、ようやく買えたわ」

 

「そんなに人気な商品なんですか?」

 

アカネちゃんがサキさんに尋ねる。

 

「そこまでじゃないと思うの。でも、なぜか私が買おうとすると売り切れてて……今回はようやく手に入ったのよ」

 

「ワシもそういうこと多いのぅ。欲しかった同人誌を何度逃したことか……」

 

「今ってネットでも買えるんじゃないの?」

 

「ワシの欲しいやつはもう廃刊になっとるんじゃ。サークル自体が消えとることもあるし、はぁ……」

 

「どんまい。まぁ今日ははやて丸さんとアカネちゃんがいるし!」

 

「え、わたし達関係あるんスか?」

 

「なんと運気が上がります」

 

「置物扱い!?」

 

「よし、撫でておこう」

 

「やめるッス!」

 

「じゃあアカネちゃん」

 

「あ、えっと……やさしくお願いします……」

 

「アカネちゃん!?」

 

はやて丸をいじるのは楽しいなぁ。イヤホンを買ったサキさんに続いて、今度はアカネちゃんが「新しいマウスが欲しい」と言い出した。今使ってるのも悪くないらしいけど、やっぱり新しいのを試してみたくなるらしい。さすがゲーマーだ。

 

「ねぇねぇ、アカネちゃんや」

 

「はい?」

 

「ゲーミングマウスってそんなに違うの?」

 

「全然違いますよ!……雹夜さん、普通のマウス使ってるんですか?」

 

「普通というか、百均のやつ」

 

「……ひゃ」

 

アカネちゃんは絶句した。この3日間で初めて見た表情だ。というか、あれ、まずかったか?

 

「ぜひ試しましょう!こっちです!」

 

「うお、引っ張らないで!」

 

どこからそんな力が出てくるんだと思わせるほど、グイッと引っ張られ連れてこられたゲーミングマウスのコーナー。何がどう違うのか正直よく分からないが、アカネちゃんの熱量に押され、とりあえず手に取ってみた。ちゃんと消毒済みよ。

 

「え、これ……なにこれ」

 

「違うでしょ!」

 

「軽すぎてびっくりする。これでFPSやるの?」

 

「重めのもありますよ、はい」

 

「おぉ……なんだこの手へのフィット感……」

 

今のCMに出れるかも。じゃなくて、驚いた。本当に驚いた。今まで使ってたの、なんだったんだ?

 

「……値段は……たっか」

 

「まぁ、そうですよね……」

 

「でも……これは、価値あるなぁ」

 

「……買いますか?」

 

「ぐぬぬ……」

 

買えなくはない。財布に余裕はあるし、これを買ったせいで帰りが重たくなる、なんてこともない。でも、なんというか……気が引ける。今までの買い物で、たぶん一番高い。しかも、今すぐ必要というわけでもない。きっと、ここじゃなくても買えるはずだ。という理由をつけてみる。うん、いつでも買えるだろ。きっと、めいびー。

 

「アカネちゃん、こういうのって電気屋さんとかでも買えるのかな?」

 

「えっと、お店によりますけど……たぶん買えると思います。あとは、ネットでも手に入りますよ」

 

「なるほどね。じゃあ、今は無理して買わなくてもいいか」

 

「そうですね……でも、いずれ買う予定ではあるんですか?」

 

「うーん、使ってみたら違いを感じちゃったし、興味も湧いてきたからね。今度、ちゃんと検討して買おうかなって」

 

「……やった!」

 

言っちゃった。でも必要っちゃ必要だろうし、まぁ今度買うのもありよな。なんて思いながらアカネちゃんを見ると、小さくガッツポーズを決めた。そのガッツポーズはなんだい?ちょっと可愛くて卑怯じゃない?あと結構仕草に出すんだなぁ。おじさんちょっとびっくり。そんなことを考えながら、次の場所へと向かうのであった。

 





アンケートにご協力くださいまし。なお今回のお話は3,300文字。前回は6000文字くらい。

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