『また大破して敵を取り逃がしただと?ふざけるな!お前らにどれだけの資源を使っていると思ってるんだ!』
そうやって殴られた。
『なんだその態度は?罰則だ。今夜、私の部屋に来なさい。いつものようにしつけてやろう』
そうやって辱しめられた。
『練度の低い者は要らん。特に駆逐艦なぞ弾除けにでもしろ。大破しようが沈もうが進軍だ』
そうやって数多の仲間が沈んでいった。
『疲労?お前らは燃料さえあれば動く兵器だろう。つべこべ言ってないで資源を持ってこい!』
そうやって休む暇もなく出撃させられた。
前任の司令官たちがこの鎮守府を去った後も悪夢に苦しむ夜が続いた。きっと私以外の艦娘もそうだろう。
あの人たちはもういない。わかっていても、辛い記憶が私たちを蝕んでいく。
明後日には新しい司令官が来る。本部からその連絡を受けた今朝は1度嘔吐してしまった。
「司令官」という存在、「人間」という存在そのものに不信感と不安しかない。心の底から提督の着任を拒んでいた。
だが、私たちは提督なしでは烏合の衆なのだ。
どうか、優しい提督が来てくれますように。
私は僅かな希望を抱き、願いながら眠りについた。
※
翌朝、私たちの下に絶望の報せが届く。私の願いを神様は聞いてくれなかったようだ。
なんと、新しく着任する提督は様々な悪行を暴かれ、ここに左遷されるそうだ。
普通なら監獄行きであるが、艦隊指揮の腕は本物で、仕方なく激戦地への左遷で済んだというのだ。
「資源の横流し、横領、艦娘への暴行と肉体関係の強要。役満だな。まるで前任者たちをハイブリッドしたような男だ」
「…長門さん、他の子の前では言わないで下さいね、それ」
「…そうだな。すまない、大淀」
「いえ…ただ、貴方には弱い所は見せてほしくありませんので」
長門さんは目を細めて悲しそうな表情をした。
最低な言葉だと自覚している。だが、精神的支柱の一角である長門さんが折れてしまえば、この鎮守府は終わりなのだ。
私たちが提督に辛い目に合わされた時、慰めたり庇ったりしてくれたのは長門さんたちだ。
長門さんは数秒間目を瞑った後、決心したかのように口を開いた。
「さあ、明日の朝には新しい提督がお見えになる。できる範囲で清掃と歓迎会の準備をしよう」
「そうですね。初日から不機嫌になられても困りますし」
私は無線を取り出した。そして、淡々と事前に割り振ってあった分担を各セクションリーダーに伝えた。どうして提督
続き書くかわかりませんが、とりあえずプロローグだけ投稿しておきます。
前作?知らんなぁ…(すっとぼけ)