健康で文化的な最低限度の生活   作:佐賀のためのサーガ

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とりあえず、不定期ながらもあげられるだけあげとこうと思います。少しずつ1話の文字数も増やしていきたいですね。


6話

あの後、師匠に部屋に運んでもらった俺は少しして目を覚ました。師匠は俺にあの時俺がしてしまっていた判断ミスや、これから改善、伸ばしていくべき点を教えてくれた。しかし、全体の評価としては褒めてもらえた。

 

「画期的や奇抜といった戦法はなかったが、しっかりと基本を押さえた王道とも言えるものだったぞ。特に強化系から操作系に切り替えた最後の判断は良かった。」

 

師匠にダメージを全く入れられなかった自分を不甲斐なく感じていたが、師匠に褒められたことによって自信がついた。師匠は世界屈指のシングルハンター、身体能力、『念』、経験全てが足りなさすぎる俺が一矢報いるなど、烏滸がましい話だ。

 

「師匠、ありがとうございました。これからもっと精進します」

「うむ、これからは『念』の応用にも入り、修行も本格的なものになるじゃろう。頑張るのじゃぞ」

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

俺はそこから師匠に更なる教えを受け、ついに俺がこの世界に来て1年が経とうとしていた。

 

「ふむ。応用も含めた『念』の土台はいいだろう。もちろんこれからも修行を続けていかねばならんが、1年間よくぞここまでついてきた。お主ならば並の相手にそうそう遅れをとることもあるまい」

 

「……っ!ありがとうございました!」

 

ようやく、ようやく師匠に認められた。今まで良かった点を褒められたことは何回もあったし、次の修行に進んでもいいと認められたことはある。しかし、師匠に純粋に『認められる』というのは、これが初めてな気がする。

 

「本当に、師匠には感謝してもしきれません。今の俺があるのは全て師匠のおかげです。ありがとうございます」

 

俺は心からの感謝を伝える。正直、いくら言葉にしても足りないくらいだ。

 

「ふむ。まずはその感謝を受け取ろう。しかし、1つ訂正することがある。『全て』ワシのおかげでは無い。確かにワシはお主にきっかけや機会、知識は与えた。しかし、ここまで成長したのはお主自身の努力の結果だ。誇れ、我が弟子よ」

 

師匠には敵わない。ここまでの言葉を投げかけてくれるなんて。しかし、『念』の制御が認められたということは、この師弟関係が終わるということ。それが俺には寂しくてならなかった。

 

「お主はまた勘違いしているようだから言っておくが、別にワシとお主の師弟関係がなくなる訳では無い。ただお主を1人前とワシが認めただけの事。いきなり他人に戻るほどワシも薄情ではないつもりだ。」

 

「え…。俺、口に出てましたか…?」

 

「これでも1年間師匠となっていたのだ。四六時中とは言わぬが、お主が考えている事などある程度分かるわい。」

 

……。うちの師匠は世界一だぜ!

 

「それはそうと、ヨシヒロ。お主これからどうするつもりじゃ?お主の能力は戦闘に限らず使えるし、大抵の職業でやっていけるじゃろう。」

 

「はい、師匠。考えたんですが、やっぱりハンターになろうと思います」

 

「ふむ。ハンターか。今のお主なら試験も問題ないだろう。しかし、ハンターはある意味お主の望む平和な生活と1番離れてるかもしれんぞ?」

 

「確かにそれはあります。しかし、師匠の背中を見てきたものとしては、やはり憧れます。それに、俺は師匠のおかげで理不尽に抗う力を手に入れました。それで驕るつもりは全くありませんが、自分の立てる場所が少し高くなった今、様々な場所に旅、冒険をしてみたいと思いました。これはきっと俺の『平和』に入ります。師匠のおかげで俺の『平和』も広がったんです」

 

「そうか。そこまで考えているならば、快く送り出すのが師匠の務めだな。たまには顔を出すのじゃぞ」

 

「はい!必ず恩返しさせていただきます。」

 

「期待して待っているとしよう。それで、ハンター試験はどうする?今年1977年は既に終わってしまったぞ。受けるとしたら来年か?」

 

「いえ。とりあえずは、少し世界を回ってみようかと思います。まだまだ研鑽も足りませんし、俺は師匠とここの職員さんくらいしか交流がないので。」

 

そう、俺はこの世界の知り合いが師匠とたまに俺の身の回りの世話を時々手伝ってくれる優しい職員さん達くらいしかいないのだ。もちろん全く師匠を非難する気はないのだが、交友関係をもう少し広げたい。

 

「うむ。確かにお主は修行が主だったからな。確かに旅をし見識と人脈を広げるのは良い考えだ。」

 

「はい、なので少なくとも1年以上はそれにあてたいと思います。ハンター試験に出るのは1番早くて1979年になりそうです」

 

「しっかりと計画も立てているようだし、ワシから言うことは特にない。ああそうだ。お主のことはハンター仲間にも伝えておる。困った時ワシの名前を出せば、少し手助けをしてくれるだろう。ハンター仲間には、生い立ちは詳しくは話せんがワシの弟子で、歳は16と伝えておるのでな」

 

 

最後の最後まで師匠には頭が上がらない。

 

 

「ズルズルと延ばしても別れづらくなるだけじゃ。行くといい。成長したお主と出会うことを楽しみに待っているぞ」

 

 

「はい!」

 

 

俺は師匠の温かい言葉を受けながら、初めて自ら『安全』を抜け出し、世界に羽ばたくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前略 師匠様

私が師匠の元を旅立ってから、はや半年。いかがお過ごしでしょうか。私は今、ゴリラ、いえ、筋骨隆々な、非常に麗しい女性と共にいます。人脈もいくつかつくれ、少しずつ成長していっているとは思いますが、今が私の最期となるかもしれません。師匠より先立つ不幸をお許しください

 

 

 

 

「あんた、ビビりな癖にいい度胸してるだわさ。手紙を事実にされたいようね。」

 

「ひぇぇぇ!!?」




ようやく主人公が旅立ちました。安定志向の主人公を世界に出すための理由に少し考えましたが、一応あのような感じとなりました。この作品のタイトルで言うと旅や冒険は主人公にとって『文化的な』にあたるようです。


最後にボトバイさん以外の原作キャラが出てきました。まあみなさんお気づきの通りです。ボトバイさんとの組手から1年半、主人公の成長ぶりは次話に載せたいと思います。
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