人を愛する者共よ   作:Artificial Line

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3―Sunrise2

やってしまった。胸中の言葉を表すならばその一言である。

王の化身を撃破しそのままの流れでここに至っている為当然といえば当然であったが、今の自らの身体には残り火が宿っている。

つまりは身体に火の燻りが現れ周囲には火の粉を撒き散らしている訳で。

一般的な人間たちから見ればそれは異常であること他ならないだろう。

今まではそれが半ば当たり前のことであったため失念していた。

寧ろ昨夜からずっとその状態であったのに突っ込まないでいてくれたオイフェミアとハインリヒに感謝するべきなのかもしれない。

困った。なんと言ったものか。

あの世界の事や不死であることなど言っても余計に混乱させるだけだと考え話しすぎるのを控えていたが、このまま何も話さないのは助力をしてくれる相手対して些か無礼かもしれない。

逡巡。結果、嘘は言わないが可能な限りぼかして事実を伝える事にする。

 

「……これは…そうだな。"呪い"のようなものだ」

 

「呪い……ですか?」

 

オイフェミアがそう訊き返してくる。

怪訝な表情を浮かべ少し眉間に皺を寄せていた。

ハインリヒも同様である。

少なくとも私のような存在は彼女らの知識には存在していないらしい。

 

「ああ。といってもそちらに伝染るような代物ではない。見た目は火が燻って火の粉が舞っているが何かに燃え移る心配も無い」

 

「そうなのですか……。あのその呪いはどのような代物で……?」

 

オイフェミアが恐る恐ると尋ねてくる。

気を使ってもらって悪いが寧ろ謝るべきは真実を伝えないこちらの方である。

苦笑。なんと言ったものかを考える。

不死については伏せておくべきだ。

どのような不死であれ本来はこの世に存在するべきでは無いのだから。

いらぬ争いや面倒事は避けたいというのが本音である。

……こういう場合は印象の強いものを最初に見せれば後の追及を避けられるのでは?

これから力を貸してくれる人物に対して些か失礼極まりない考えであるが、それでも速やかにこの話題は終わりにしたい。

故に私にとっては最早手慣れた業を見せる事にする。

それはソウルの業。不死にとっては何よりも馴染みのある、ソウルへと物質を変換し保存するものである。

私がソウルから呼び出すのは一振りの特大剣。

あの世界で幾度となく振るった得物の一つをその手に呼び出す。

 

「「ッ!?武器が!?」」

 

ソウルから取り出し装備した武器の名前は『罪の大剣』

冷たい谷のイルシールの主、サリヴァーンが振るっていた得物の片割れである。

 

昨日も竜狩りの大弓を取り出した時に見せた業であるが、あの時は戦闘中であったがためよく見ていなかったのだろう。

一瞬で武器を変更した私に対して目をはちきれんばかりに見開き驚いている。

良かった。ここでその反応を見ていなければ街中などで装備を変更する所だった。

 

「ソウルの業。正式な名前は知らんが、私はそう呼んでいる。物質をソウル……魂へと返還し自らに格納する技術だ」

 

「凄い……初めて見ました」

 

「私も。短くない期間騎士なぞをしておりますが、そのような技術は見たことも聞いたこともありません」

 

どうやらこういった技術はこの世界に存在していないらしい。

安心した。少なくとも私の知る不死のような存在はいないようだ。

まあ私というイレギュラーがこの世界に誘われた以上、今後もそうであるかは怪しい所だが。

 

「その技術があれば背嚢など必要無いですね……昨日の大弓は何処から取り出したのかと思っておりましたが、納得できました」

 

「付け替えには多少の時間がかかるからよく使うものなどは身につけているがな。例を上げるなら矢筒などだ」

 

二人は感心したような表情でこちらを見ている。

辞めてくれ、その視線は詐欺師まがいの事をしている自覚のある私に刺さる。

ともかく二人はそれ以上の追及をする気はないようで一安心だ。

私達は王都とやらへ向け歩みを再開する。

今後はひと目のある場所ではなるべく慎重に動いた方が良さそうだ。

武器を罪の大剣からロングソードへと戻す。

特大剣は強力だが味方が近くにいる状況では扱いづらい。

 

道すがら雑談を交わしながら約半日を掛けて王都近郊へとたどり着く。

日も傾き始めた頃、視界の先に巨大な壁に囲われた都市が見えてきた。

街道には商人や探索者と思われる人影も増え始め、そこそこの往来が見て取れる。

 

「見えてきましたね。あれが私達の国ミスティアの王都です。約3万人の人々が生活する都市ですね」

 

徐々に増えていく人に少々面を食らう。

頭では理解していたことだが、既に滅んだような世界を旅してきた私にとってここまでの往来を見るのは初めてのことだった。

いっそ感動すらも覚えるその光景に思わず息を飲んだ。

 

「……どうされました?」

 

それが態度に出ていたようだ。

少し心配そうにオイフェミアが問いかけてくる。

道中した雑談でも感じていたがこの娘は相当に良い子だ。

 

「いや、大したことはない。美しい都市だなと思ってな」

 

「ええそうでしょう!王都は別名"水と学問の都"と言われています。その名の通り街にはいくつもの水路が流れ高名な賢者の方々が拠点にしてらっしゃいますね」

 

オイフェミアは本当にこの国を愛しているようだ。

話の節々からそれが伝わってくる。

良いことだ。なんであれ誇りに思えることがあるというのは貴いことだろう。

 

私達はそのまま王都の門へとやってくる。

門番をしていた衛兵らしき人物がオイフェミアの顔を見た途端佇まいを正して敬礼する姿には少々苦笑してしまった。

他の商人などは軽い詰問などを受けているというのにオイフェミアは顔パスで王都へと足を踏み入れてく。

さすがは公爵の娘といった所であるか。このフレーズだと某フィリアノールの騎士を思い出すな。あの雷の弓と長柄武器には幾らか苦戦させられた。

 

街中は大通りを挟んで2~4階建の石レンガ造りの建物が軒を連ねていた。

壁外とは比べ物にならない人々の往来があり活気に満ち溢れている。

時間帯的に仕事終わりの人々が多いのか、特に酒場は大きく賑わってた。

 

暫く歩けば一つの建物の前で足を止める。

石造りの3階建で瀟洒な印象を抱かせる建物だ。

どうやらここが件の目的地のようである。

 

「ようやく着きましたねー!疲れたぁ……あっ、失礼しました」

 

そう言いながら大きく伸びをするオイフェミア。

直ぐに顔を赤らめて取り繕う姿に苦笑する。

別に私は気にしないのだが、本人が取り繕っていたいというのなら別に何も言うことはあるまい。

素を出したくなれば勝手にそういう態度へと変化していくだろう。

 

扉を開き中へと踏み入れる。

正面に受付があり、左手側には酒場でも併設されいるのか探索者らしき人々がテーブルに並べられた料理や酒の前で騒いでいた。

賑やかで良い場所だ。まさか貴い人の営みをこの目で見られるなど夢にも思っていなかった。

オイフェミアに少し待っているように言われ、壁際に設置された椅子へと腰を下ろす。そういえば椅子に座ること自体かなり久々かもしれない。

ギルド内を見渡せば2種類の人間がいることに気がついた。

一つは前述した通り酒だ料理だと騒いでいる者たち。

そしてもう一つはまるで通夜の席のように悲痛な表情を浮かべているものたちだ。

 

それをみて直ぐに理解する。

ああ、誰かが亡くなったのだなと。

 

道中オイフェミアに聞いた話では探索者の仕事の多くでは魔物の相手をすることになるのだという。

であれば人死など日常茶飯事なのだろう。

昨晩犠牲になった人々を思い出し少々やるせない気分になる。

 

だが仕方のないことだ。

英雄だのなんだの持て囃されようが、救えるのは結局この剣が届く距離だけなのだから。

そもそも時折その剣の隙間からこぼれ落ちることもあるのだ。

あの世界をめぐり続けた結果、全てを救うなどというのは夢物語に過ぎないと理解している。

 

「なああんた」

 

そんな時横から声を掛けられた。

視線を向ければ若い剣士風の少年と魔術師風の少女、軽装備の少女の姿がある。

 

「私か?」

 

「そうそう!あんた探索者になりにきたのか?見た感じ認識票もかけてなかったからさ」

 

元気よく少年が声を掛けてくる。

胸には赤銅色の認識票がぶら下げられていた。

まさに新米といった雰囲気の三人組だ。

 

「ああ、そうだ」

 

「だったら探索者になったら俺たちと一党を組まないか?装備もすげーしあんた騎士か何かだろ!ちょうど前衛がもうひとりほしかったんだ」

 

なるほど。一党への勧誘であったか。

別に誘いを受けるのはやぶさかではないが、生憎と今はオイフェミア達と訪れている。

どうなるにせよ彼女達には声を掛けてからにするべきだろう。

 

「誘ってくれて感謝する。だが済まない。生憎と連れの用事が終わるのを待っていてな」

 

そう言って視線を受付で話しているオイフェミアとハインリヒへと向けた。

それにつられて新米3人組もそちらを見やる。

かと思えば少年剣士が驚きの声を上げた。

 

「げぇ!?"金色の魔女姫"と"陰謀メガネ"!?あ、あんたすげえ人だったんだな……。他を当たることにするよ……」

 

恐らく二つ名であろうその呼び名を聞いて思わず吹き出しそうになった。

オイフェミアの二つ名はともかくとしてハインリヒ……まさか第一印象そのままだったとは……。

少年はとぼとぼとテーブル席の方へと向かっていく。

一党の仲間であろう少女達に『だからあんな高価なフルプレートの人に声かけるのは失礼だって言ったじゃない!』と怒られている少年の背中に向けて"頑張れ"と内心でエールを送った。

 

そのタイミングでオイフェミアがこちらへ振り向き手招きをする。

どうやら彼女たちの用事は終わったらしい。

少しの期待感を胸に彼女たちの元へと向かった。

 

 

 

昨晩村で起きた襲撃についてをギルドへ報告する。

顔なじみである受付嬢のエレーナは神妙な面持ちで私達の話を聞いていた。

 

「では50匹ほどの魔物の群に襲撃されたというんですか……?」

 

「ええそうよ。確認できたのはドレイク、オーガ、トロール、ゴブリン、フーグルかしらね」

 

「ドレイクッ!?そんなプラチナ等級以上の相手じゃないですか!ご無事で何よりです……直ぐにプラチナ等級以上の探索者で討伐隊を編成しますね」

 

「その必要はないですよエレーナさん。既に魔物達の主力は殲滅しました」

 

ハインリヒの言葉にエレーナは驚いたような表情を浮かべる。

それはそうだろう。幾らダイアモンド等級二人とはいえ50以上の統率された魔物相手では分が悪い。

閉所ならいざすらず、野戦となれば尚更だ。

少々の誤解を解くために私は言葉を続ける。

 

「私達だけで討伐したんじゃないのよ。実は私達もとある人に助けられてね。でも村の方は……数名の女性を残して全滅よ……。今は通りかかったゴールドの探索者に護衛を引き継いでもらってきたけど、早急に保護するための探索者は向かわせた方がいいわね」

 

「畏まりました……直ぐにそちらは手配しますね……」

 

エレーナがそう言うと横で詰めていた受付嬢が直ぐにギルドの奥へと下がっていった。

これで村については一安心できるだろう。悔やまれるは多くの人を救えなかったことである。

 

「それで……その助けてくれた人物というのは?」

 

「彼よ」

 

私は振り向いて(Ash)さんの方へ目をやる。

そのまま手招きで彼に合図した。

彼は座っていた腰を上げこちらへと歩いてくる。

金属鎧が奏でるガシャガシャという音がギルド内に響いた。

彼がこちらにたどり着く前にエレーナが私に問いかけてくる。

 

「フルプレートの甲冑……どこかの探索者の方ですか?」

 

「いやそうじゃないのよ。何でも遠方から最近こちらに来たらしくね。詳しくは彼を交えて話しましょう」

 

会話の切れ目で丁度良く彼がこちらへたどり着き声を掛けてくる。

 

「終わったか?」

 

「ええ報告は致しました」

 

エレーナは彼の事をみて少し驚いている。

それはそうだ。未だに彼の身体には火が燻っているのだから。

 

「エレーナ。彼、(Ash)様はまだ探索者登録していないらしいの。だから登録の手続きお願いしてもいい?」

 

「わ、わかりました。新規登録ですね。文字の読み書きはできますか?」

 

彼はそれに苦笑を漏らす。

どうやら交易共通語は読めないらしい。

 

「代筆ですと料金が掛かってしまいますがよろしいですか?」

 

「いや私が書くわ。ペンと用紙もらえる?」

 

私の申し出に彼は短く感謝を伝えてくる。

こんな事はどうということはない。彼に助けてもらった恩の100分の1も返せないだろう。

それにこれから少なかれ利用させてもらおうとしているのだ。

この程度しなければ良心の呵責に苛まれる。

エレーナが(Ash)さんに探索者シートに記すためのいくつかの質問を行っていく。

 

「役職はなんですか?」

 

「役職というのは戦闘時の立ち回りでいいか?」

 

「ええそうです。加えてよく使う武器などを教えていただけると助かります」

 

「専ら前衛だ。武器は……使えるものならなんでも扱う。直剣、曲剣、槌、槍、大剣、弓辺りが良く使うものか」

 

彼の回答に対してエレーナは驚いた表情を浮かべる。

確かに彼の戦闘を見ていなければ驚きに値することだろう。

武器というのは1つの種別に絞って使い込まなければ熟練度は上がりにくい。

だが私達はこの目で少なくとも弓と大弓を使いこなしているのを見ている。

また道中で見せてもらった特大剣などから考えて彼の言に嘘は無いだろう。

エレーナが視線でそれが事実かを確認してくる。

 

「信じられないかもしれないけど事実よ」

 

「なるほど……わかりました。では次に、魔術などは扱えますか?」

 

「純粋な魔術は扱えない。だが呪術と呼ばれるものであればいくつか使える。そちらにわかりやすく言えば炎の魔術か?」

 

その言葉に今度は私達も少し驚く。

あれだけの前衛技術があるのに魔術すらも扱えるのは驚きだ。

 

「わかりました。では次の質問をします。以前に魔物との戦闘経験はありますか?」

 

「さっきも言ったけどそれは問題ないわよ。昨晩ドレイク2体を屠ったのは彼だもの」

 

「ドレイク2体ッ!?……わかりました。オイフェミアさんが言うのならこちらとしても信じざる負えません」

 

エレーナの驚きように彼は若干苦笑を浮かべている。

表情は見えないが『まあ普通は信じられないことなんだろうなぁ』と考えているのだろう。

それはそうである。私達も実際に目にしていなければ絶対に信じないだろう。

それほどまでにドレイクという存在の脅威度は高いのだ。

具体的に言えば第4位プラチナ等級の上位一党でなければ苦戦するほどに。

 

「シートの記入は以上になります……ちょっと上役に確認してきますので少々お待ち下さい」

 

そう言ってエレーナは受付の奥へとシートを握って去っていった。

代筆者の記名欄には私の名前をサインしてある。

虚言だと切って捨てられる事は無いだろう。

 

「済まない、助かった。私だけで来ていたらさぞ時間がかかったことだろう」

 

「気にしないでください。これくらい(Ash)様に受けた恩に比べれば何でもありませんから」

 

ギルドの中は相変わらず騒がしい。

彼は興味深そうにその様子を観察していた。

無言もあれなので何か話題を振ってみる事にする。

 

(Ash)様は一党などを組んでいらっしゃったのですか?」

 

「いや。行き連れの者達と協力する事は多々あった。だが固定のメンバーというのは無かった」

 

その言葉にふむと納得する。

確かに彼の実力で考えれば他の者など足手まといになることの方が多いだろう。

少なくともダイアモンド等級のものでなければ確実にそうなる。

 

―――オイフェミアの考えは当たらずとも遠からずであった。

まあ実際は実力の近しい白霊や青霊と言った連中と好き勝手に殺し回っていただけなのだが。

 

「旅していた土地では他の方々もソウルの業や幾多の武器を操っていたのですか?」

 

「ソウルの業に関してはそうだ。それは当たり前の技術だった。武器に関しては違う。純粋な魔術師―――純魔や技量に特化した技量戦士などいろんな連中がいた。勿論私のようなものも幾人かいたが多くはない。まあ敵も味方も強いやつは多かったよ」

 

それはどんな人外魔境だ。

彼のような人が何人もいるなどそれだけで国が滅ぼせそうである。

彼に強いと呼ばせる存在は一体どんな化け物なのだ。

間違いなくマスター等級レベルの存在である。

 

「おまたせしました」

 

そんな事を考えているとエレーナが戻ってくる。

少し疲れたような表情を見て若干の申し訳無さが胸中に募った。

きっと上役に色々確認されたのだろう。

 

「ダイアモンド等級の探索者からの報告もあり、特例としてブロンズⅠ等級からのスタートが認可されましたよ」

 

「ブロンズⅠがどの程度かは知らんが、感謝する。私としては最下層からでも構わんのだが」

 

やめてくれ。(Ash)さんのような人がコッパーからスタートすれば同じ等級の新米達の心を粉砕しかねない。

 

「そうですよね!まだ等級について説明してませんでした。では探索者の等級についてご説明しますね。探索者の等級は全部で8つに区分されます。第八位コッパー、第七位ブロンズ、第六位シルバー、第五位ゴールド、第四位プラチナ、第三位ダイアモンド、第二位マスター。そして第一位プレデターになります。そしてマスターとプレデター以外の等級は更に四つのランクに区分されます。シルバーⅠ~Ⅳと言った感じですね。(Ash)さんはブロンズⅠからのスタートになりますので、ブロンズ等級の中では最上位に位置する事になります」

 

「なるほど。どのように昇級する?」

 

「それまでの実績か経験がある程度貯れば昇級審査の申請が行えるようになります。その後それをギルドで認可し、面談を行い、合格と判断されれば晴れて昇級となります。マスターとプレデター等級は国家規模の難題を対処した探索者に与えられる等級となりますので、在野の実質的な最上位はダイアモンドになりますね」

 

「了解した。依頼はどのように受注すればいい?」

 

「そちらの掲示板からこなしたい依頼を受付まで持ってきてください。等級に見合ったものであれば正式な受注として受理されます」

 

ふむ、と彼は頷く。

私としては彼ほどの実力者がブロンズなどありえないと思うのだが、既に特例でのスタートであるためこれ以上とやかく言うのは良くないだろう。

エレーナはカウンターに何かを取り出す。

 

「これがブロンズⅠランクの認識票になります。もしものときの身元確認にも使いますので依頼中は絶対に携行してください。また街での身分証代わりにも使えますよ。不動産や大きな買い物をするときには必要ですので忘れないでくださいね」

 

「分かった。覚えておく」

 

「ではこれで探索者登録は終了になります」

 

彼はエレーナに短く礼をいう。

その後私達に振り返り頭を下げた。

 

「助かった、感謝する」

 

「頭を上げてください。お礼を言われることは何もしてないですよ。これは恩返しですから」

 

彼から苦笑が伝わってくる。全くあれだけの実力を有しているのに律儀な人だ。

 

「宿などの宛はありますか?もし無ければ私から紹介いたしますが」

 

「いや、必要ない。世話になった。今後ともぜひよろしく頼む」

 

そう言って彼は手を差し出してくる。

それをしっかりと握り返し、私も言葉を返す。

 

「こちらこそ宜しくおねがいします。私達はこの王都のギルドを拠点にしていますので、見かけたら声を掛けてくださいね」

 

「そうさせてもらう」

 

そこで私達は(Ash)さんと別れた。

あれだけの実力者である。すぐにでも私達と同じ等級まで上がってくるだろう。

恩人に少しばかりの恩返しができた満足感と、その恩人をこれからダシに使おうとする自らへの嫌悪感を抱きつつ、私達はギルドを後にした。

 




探索者ランク
序列一位 プレデター
序列二位 マスター
序列三位 ダイアモンド
序列四位 プラチナ
序列五位 ゴールド
序列六位 シルバー
序列七位 ブロンズ
序列八位 コッパー

序列一位 プレデター
世界規模の英雄。一騎当千、天下無双。
単騎で戦略レベルの価値。
プレデター帯の探索者は冒険者ギルドに加盟している全ての国家に籍を持つことになる。

序列二位 マスター
地域規模の英雄。
単騎で戦術レベル。

序列三位 ダイアモンド
国家規模の英雄的な探索者。
ダイアモンド以上の探索者は全体の1%しか存在していない。

序列四位 プラチナ
地方規模のとても優秀な探索者。

序列五位 ゴールド
街規模で有名な実績を重ねた探索者。大抵がここで頭打ちになる。

序列六位 シルバー
それなりの実績を重ねたベテラン探索者。

序列七位 ブロンズ
新人を抜け出した中堅探索者。

序列八位 コッパー
新人。または地位剥奪された探索者。

何処かで見たことがあるって?そうだよApexのランクにシージのコッパーランクを付け足しただけだよ。
BFみたいなFPSやりてー。
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