黒と金のアヴェンジャー 作:主将
片手剣→両手剣片手持ちに変更
生まれは良い方だと思う。適度に裕福だった。
母は優しかった。優しい母だった。いつも笑っているような母だった。
父は冒険者でカッコよかった。そんな父に憧れてか物心着いた時には俺も剣を振っていた。父さんみたいになりたいんだ。そう言う俺を見て父は嬉しそう笑った。たまに剣を教えてくれることもあったと思う。父は最強のファミリアの団員だった。そんな父がいつも誇らしかった。
幼馴染みがいた。名前はアイズ。彼女は俺の3歳下で一緒に遊ぶことはよくあった。彼女の父も俺の父と同じファミリアの団員で二人は仲が良かったから俺と彼女も自然と仲良くなった。
世界で一番強くて怖くて悪い奴をやっつけてくるんだ。そう言って家を出た父は帰ってこなかった。遺体すら無かった。刃がこぼれてボロボロになった剣だけが届けられた。それは父の剣で、俺は全てを理解した。涙は溢さなかった。ただ復讐を誓った。
それを見たとき、私は柄にもなく驚いた。10歳にも満たぬ一人少年がここまでの闇を飼い慣らせるのかと。それは海のように果てなく深く、どろどろという粘り気があって、時たま寝返りのようにぐにゃぐにゃと動いていて、この世にある何者よりも黒い復讐の色。それの持ち主は子供ながらに剣の才能に秀でていて端正な顔をしている以外の部分はごくごく普通の少年のように見えて、だから尚更その子に興味が沸いた。怖いもの見たさの類でも純粋な興味でも、失いかけていた母性でもあると思った。とにかく色々な感情を刺激してくるその子をほしいと思った。
広大かつ複雑な地形のダンジョンを二人の男が向かい合って駆けた。
「…」
一人は精悍な顔立ちで逞しい身体をした赤いバンダナを額に巻いた猪人。冒険者なら誰でもその名をしる最強の冒険者、【猛者】オッタル。無言で大鉈のような得物をもって男の攻撃を受けていた。
「強いな」
もう一人はそこそこ長い黒髪を額の真ん中で分けた端正な顔で鋭敏な目つきをギラギラと光らせているヒューマン。左耳には金のピアスが輝いていた。大体の冒険者ならその名を知っている【戦鬼】シグルス。片手で持った両手剣を巧みに力強く操ってオッタルに攻撃を叩き込んでいた。
暫くシグルスの連撃が続いていたがオッタルが攻撃を始める。シグルスの剣にオッタルの重い攻撃がぶつかって火花が飛び散る。歯を食いしばって一撃ずつ耐えて鍔迫り合いが始まるとオッタルの腹に重い蹴りを一発いれた。
「…良い選択だ」
「そうかよ…!!」
再びシグルスが連撃を畳み掛ける。まるで巨大な岩石のようにオッタルは動じず淡々と攻撃を捌いていた。そしてスタミナが切れて隙を晒した俺の腹をオッタルは殴った。
「強くなっている」
冷たい声だ。しかしその声は着々と成長を遂げている自らの弟子にささやかな喜びを感じていた。シグルスは少し口元を歪ませた。自分の得物を鞘に納めて水筒の水を煽るように飲んだ。
「…帰るぞ」
「ああ」
立ち上がったシグルスが立ち去るオッタルの後ろを歩く。色の白く綺麗な顔のその目には静かな復讐の炎を灯し、それは見るもの全てを威嚇するような獣にさえ見えた。
読んでくれてありがとうございました。主人公の髪型は実写版るろうに剣心の四乃森蒼紫をモデルにしました。分かりにくかったら調べてみてください。