リクエストIF話の移転先   作:あぱしー

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「ハンター×ハンター」の世界に、特殊な条件のループ能力持ちの転生者がいるお話です。



マインドクラッシュは勘弁な! × ハンター×ハンター

 

 

~原作「ハンター×ハンター」編~

 

 ループしている。神崎は怒りのままに理解した。

 

 己が転生した世界が「ハンター×ハンター」の世界であることはすぐに理解できた。彼は遊戯王シリーズを愛する生粋のジャンプっ子。ハンター×ハンターを知らぬ道理はない。

 

 だが、この世界は一般人相手の危険が散らばっているゆえ、自衛の為にこの世界特有の魔法じみた特殊能力――「念」の習得を目指すのは当然の帰結だろう。

 

 ゆえに最も安全に念を修めることができる「心源流」の道場の扉を叩き、持ち前の「戦う才」を活かして念を修めた。

 

 

 結果、なぜか幻影旅団なる盗賊団に襲撃され、生け捕りにされる――際に、家族を殺された為、激情のままに神崎が暴れた結果、殺された。

 

 

 そうして冒頭に戻り、「ループは念能力によるものでは?」と仮定し、己の状態を正確に把握する能力を生み出し、師の元で把握した後――やはり幻影旅団に殺されかけた為、ループ条件を満たし、自害した。

 

 

 ループの3つの条件は、「緋弾のアリア」編と同じな為、割愛させて貰おう。

 

 

 ただ、追加条件が1つある。それが「念が使えることを『仲間以外』に知られると、幻影旅団に生け捕りを狙われる」ペナルティ。

 

 これが一番の問題だった。

 

 仲間以外――この漠然とした基準が神崎の鬼門である。神崎は「信じること」つまり「仲間認定」が非常に苦手だ。

 

 そして心源流の同門の中にも「神崎を快く思わない相手」はいる。万人に友好的に思われるのは至難の業だろう。

 

 これらの条件から「念の師から神崎の情報が僅かでも漏れた」段階で、作中内でかなりの実力者である幻影旅団が神崎を捕らえにくると同義だ――つまり、彼を庇う両親は確実に死ぬ。

 

 なぜ、こんな理不尽を高位の存在が己に強いたかは神崎にも分からない。

 

 

 だが、神崎の胸中を占める想いは一つだった。

 

 

――殺す。

 

 

 人気キャラだろうが、悪の美学のあるキャラだろうが、作中の重要ポジションだろうが、知ったことではない。

 

 幸いにも神崎には原作知識という圧倒的なアドバンテージがある。

 

 呪いと災厄が蔓延る「暗黒大陸」という博打染みた修練法もある。

 

 高位の存在が放った「ループ」という置き土産もある。

 

 

 狂気に身をさらす結果になろうとも、神崎に生きる希望をくれた二人を、拷問の末に嗤いながら殺した相手を許すことなど、彼にはできなかった。

 

 

 彼の孤独な闘いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 かと、思いきや何度かループを繰り返した神崎がいたのはシェルターのような一室。

 

「うつほー、肝臓ちょうだい」

 

 そこで和装を着た長い黒髪の幼子――アルカから、狂気的なお願いがなされるが、冗談では断じてない。このお願いを無視し続ければ災いが起こる。だが、是と返せば死が待つのみ。

 

 そんな究極の二択を前にした神崎は――

 

「仕方がありませんね……どうぞ」

 

 ポケットから秘密道具でも取り出すように、肝臓が神崎の手に握られ、アルカの手に託されるが、興味なさげに地面に捨てられた。

 

 ベチャっと嫌な音を立てて潰れ、肉塊となる神崎の肝臓――の3代目。その意志は4代目肝臓が神崎の体内で継いでくれることだろう。

 

「うつほー、十二指腸ちょうだい」

 

「えぇ……そんなもの貰って、どうするんですか……どうぞ」

 

 しかしアルカのエキサイトタイムは止まらない。

 

 神崎の腹から引きずり出され、託された十二指腸を片手に、ヌンチャクでも振り回すようにブンブンするが、一瞬で飽きたのか地面に捨てられる。さらば5代目十二指腸。

 

 

「うつほー、背骨ちょうだい」

 

「……どうぞ。あの、これでも痛覚はあるので、あまりご無茶は……」

 

 やがて「まだだ!!」とばかりのおねだりに、背中から剣でも引き抜くように抜刀された背骨がアルカに託されるが、手に取った段階でアルカの動きはピタリと止まる。

 

 そして目と口が黒く塗り潰されたような表情を浮かべたアルカ――いや、アルカの内にいるもう一つの人格「ナニカ」へ、神崎は願いでる。

 

「では『たかいたかい』をお願いします」

 

「……ァィ」

 

 すると神崎の身体は小さく「たかいたかい」されたように少しばかり空中にて浮き沈みを終えた後、元の表情――ナニカと人格交代したアルカは――

 

「うつほ、お兄ちゃん、どこー?」

 

「はい、今お送りしますね」

 

 腹の穴がひとりでに塞がる神崎によじ登り、兄と遊ぶべく「進めー」の号令を出した。

 

 

 

 そうしてアルカを連れ、アルカの兄である白髪のツンツン頭の少年――キルアの元に進んだ神崎は、使用人として責務を果たす――

 

「坊ちゃん、アルカ様が――」

 

「お兄ちゃーん!!」

 

 前に、兄の元にダイブしたアルカが、Tシャツ姿のラフな格好のキルア腕の中に納まった。

 

「おっ、アルカ――それにうつほじゃん。また、兄貴たちが何か願ったのかよ」

 

 そうして神崎に気易い間柄を感じさせるキルア。

 

 ちなみに、神崎のゾルディック家での立ち位置は「便利なサンドバッグ」である。

 

 今回のように「ナニカ」の「おねだり」を受けさせたり、新しい毒薬を試したり、爆殺の手口の実験台になったり――「人権がナンボのもんじゃい!」の扱いだ。

 

「申し訳ありません。坊ちゃんはアルカ様たちに自由を望んでおられるというのに、お力になれず……」

 

「お前が気することじゃないよ。俺が気にすることだし」

 

 とはいえ、キルアからすれば、ゾルディック家の中で「一般的な常識」を語れる数少ない人間でもあり、神崎がフルボッコになってくれるお陰でアルカたちの自由もそこそこ生まれた為、心的距離は意外と近い。

 

「つーか、お前は自分のこと心配するべきじゃねぇの? 幻影なんとかに狙われてんだろ? なにしたんだ?」

 

 そう、神崎がこんな人権をドブに捨ててまでゾルディック家にいるのは全てが「何故か幻影旅団が狙ってくる」為である。

 

 幻影旅団――ハンターハンターの原作にて圧倒的カリスマと実力を見せている「殺して奪う」がモットーの盗賊集団である。

 

 神崎には金品も血筋も何ら特別なものがないにも拘わらず、狙われ続ける。神の悪趣味なイタズラと評するに他ならない。

 

 過去のループでは幾人か返り討ちにしたこともあったが、結果「死者の念」という呪い染みたものに苛まれ、彼の両親に悪影響が出たため、神崎は再ループを余儀なくされた。

 

 そう、単身での限界を悟ったゆえの現在である。

 

「坊ちゃんが疑問に思うのも無理ありません――私自身も不思議に思っている次第ですし」

 

「お前の変な能力のせいじゃねぇの? 後、坊ちゃん呼びは止めてくれない? キルアで良いよ」

 

「ゾルディック家の皆様以外に明かした覚えはないのですが……気安くお呼びすれば殺されかねないので駄目です」

 

「まぁ、お前がいればアルカとナニカが、ある程度は自由に出来るから、俺としても嬉しいかな――なら、様付けしとけば?」

 

「ではキルア様、と。そろそろシルバ様に呼ばれていたお時間ですので、失礼致します」

 

「ん、敵の能力の情報のすり合わせだっけ? ガンバ」

 

 やがて、アルカを猫かわいがりするキルアからアレコレ聞かれつつも、内容自体は他愛のない世間話を得て、神崎は一礼と共にこの場を後にする。

 

 

 

 

 そうして向かう先は、大広間。

 

「個別に殺すのならば、頭脳担当の面々からですね。クロロさん、シャルナークさん、パクノダさん、この辺りでしょうか」

 

 そして4人のゾルディック家の面々が細長いテーブルに並ぶ中、神崎は原作知識とループによって暴いた幻影旅団の情報を纏め、ボードに並べていく。

 

 情報は「念能力」で仕入れたと言えば、深く追求されないのが助かるところだ。

 

「クロロさんに関しては、ヒソカさんが担当するとの話ですので、ヒソカさんが敗北した場合に手負いのクロロさんと戦うことになります」

 

「うつほ、お前は作戦参加しない気?」

 

 やがて、一先ずのまとめを終えた神崎に黒のストレートの長髪の青年――長兄イルミが平坦な声で不満を吐露した。

 

「私には再生能力くらいしか強味がありませんので、あまり期待されるような活躍は……」

 

「誓約と制約がらみの話だ。あまり踏み込んでやるな――お前もそれで納得していた筈だ」

 

「それは依頼を受けるまでって話。暗殺の成否に拘わらず、コイツと家族をゾルディック家で保護目当てで雇うんだろ――そっちは別料金貰っても罰は当たらないんじゃないかな?」

 

 だが、その発言は鋭い瞳にウェーブがかった長い髪を持つ大柄な男――ゾルディック家、現当主であるキルアの父、「シルバ」によって遮られる。

 

 しかし、それでもイルミを納得させるには至らない情景に、小柄な逆立てた白髪の老人――キルアの祖父、ゼノが助け舟とばかりに引き継ぐが――

 

「そう虐めてやるでない、イルミ。アルカの問題を引き受けた対価の依頼だ」

 

「別にうつほじゃなくても、俺の針刺した人形にやらせればいい話だろ?」

 

「保険はあるに越したことはないじゃろう? それに体の特異性の提供もなされておる」

 

「そもそも俺は反対なんだよ。アルカを檻から出すのはさ――万が一を考えれば、アレに自由なんて必要ない」

 

 イルミが問題視しているのは神崎そのものではなく、アルカへの危機意識の低下が見られていることだった。

 

「そんなこと言ってるとキルに嫌われるぜ、兄貴。アイツにへそ曲げられたら、なにしでかすか分かんないだろ?」

 

 だが、黒髪のぽっちゃり少年――次男ミルキがポツリと告げたキルこと「キルアに嫌われる」との言葉にイルミの表情が僅かにピクリと動く。それは嫌らしい。

 

 

 そんな中、此処でゼノがため息交じりに助け船を出した。

 

「まぁ、イルミの言うことも一理ある。うつほ、誰なら殺せる?」

 

「ウボォーさんやフィンクスさんですかね? 搦め手を使う方よりも、正面から打ち合う相手の方がなんとかなります」

 

「なら、その2人担当ね」

 

「っ!? 流石に単身では――」

 

「安心しろ、一度でお前に担当して貰う訳じゃない」

 

 やがて軽い感じで飛んで来たイルミの無茶振りをシルバが注釈する中、安どのため息を漏らす神崎を余所に、詳細が詰められていく。

 

 

「情報にあったクルタ族の襲撃に合わせて殺る」

 

「獲物狙う時が一番無防備だもんね」

 

 

 やがてシルバが宣言の元、一先ずの段取りが整ったと解散の流れとなる中、イルミは一足先に席を立ち、去り際に言葉を零した後、キルアの顔を見に去って行った。

 

 

 

――今回のループで終われるといいな。

 

 とはいえ、神崎の不安は尽きなかったが。

 

 




~制作秘話など~

ペナルティが「幻影旅団から狙われる」になっていた為、

提示された条件「原作知識発覚の際リセット」「裏方した段階でリセット」「原作キャラと離れ過ぎると敵が増える」に対する神崎の解が――

「なら、ペナルティ側を先に殺せば実質ノーペナルティ!」と、神崎が考えそうだな――となった為、

お金で動いてくれるゾルディック家に幻影旅団の殺害を依頼。不死性は暗黒大陸+ループによる念能力の錬磨で取得。

原作知識から相手の念能力が奥の手含めて丸わかりなので、原作の時よりも難易度はかなり下がると思います。
(追跡などの不足分は神崎の念能力をその方面に伸ばせばいいだけですし――ヒソカ式性格診断だと、強化系っぽいですけど)

ヒソカは時期的に、幻影旅団に所属していないっぽいので除外。むしろクロロとのタイマンの舞台が整ってお得やで!!

そして――やったね、クラピカ! 一族が襲撃されないよ!!


Q:よくゾルディック家が、神崎の相手したな……

A:「原作+未来の知識」と「ループによって得られた情報(暗黒大陸のものなど)」と

神崎が死なない為に入手した「不死性」の全てを、
(一般人の両親の保護+)幻影旅団を殺すだけで「好きにしていい」との契約なので

流石に相手にしてくれる筈……


Q:この先はどうなるの?

A:「幻影旅団の壊滅」だけは必ず遂行されます。それ以降は「キメラアントの壊滅」を目指す以外は、
「幻影旅団がいない」+「ヒソカもいない」+「クラピカがハンター試験を受けないかもしれない」な「ハンター×ハンター」が進んでいく感じになります。
(後、キルアのお家問題でゴンたちが揉めないくらいです)
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