Re:ゼロから始める鬼狩りの異世界生活   作:タロ芋

1 / 15
ふと、書きたくなったので。


1 まさか異世界転移というやつか

 怯むな! 恐れるな!! 進め! 前へ! 次へ! 先へ!!! 

 

 視界全てを覆うほどの無数の結晶の槍。

 

「ハァァァア……」

 

 炎の呼吸───肆ノ型 盛炎のうねり!! 

 

 自身を中心に、渦巻く炎のように前方広範囲を薙ぎ払う剣戟が障壁となり、無数の槍を切り払う。

 

「クハ、クハハハ! 無駄ぞ鬼狩りィ!!」

 

「だま、れ!!」

 

 倒すべき敵の声へを無視し、1歩ずつ確実に足を進める。

 ここでやつを倒さねば、それだけ数多くの無辜の人々の命が奪われてしまう。

 

 燃やせ! 血を! 精神を!! 

 呼吸を止めるな! 深く、強く、限界を超えろ!! 

 

「しぶといのう、しぶといのう。人間が鬼であり十二鬼月であり、上弦の儂にかなうものか!」

 

「そんなことを知ったことか!」

 

 そんなものなど関係ない。人を殺め、喰らい、悲しみを広げる化け物を前に逃げるなど!!! 

 

「クヒャヒャヒャハャ!!」

 

 

 血気術──金剛発破

 

 

「シイアアアア……」

 

 地面が蠢き、四方から龍を模した金剛石のような結晶が自分に向けて殺到する。

 呼吸を変え、型を切り替える。

 

 風の呼吸参ノ型 晴嵐風樹(せいらんふうじゅ)! 

 

 自身の周囲を竜巻のように激しく連続で斬り付け、鬼の攻撃を防ぐ。だが、その攻撃の激しさは防ぎきれず、土塊が頬を、足をかすり血がふきでる。

 

「脆い、なんと脆い! あぁ、実に憐れよ! 貴様ら人は土とは違いなんと脆いのか!!」

 

「人は確かに脆い。だが! だからこそ人は技を積み、経験を重ね次へと歩む!! 例え倒れても誰かがそれを継承し、次へと紡ぎ、そして巨大な木へと育てるのだ!!!」

 

「戯言をォ!」

 

 

 血気術──金剛御柱

 

 

 鬼が手を掲げ、地面へと叩きつける。

 地面が揺れ、地中から結晶の杭が突き破り、牙のように食らいつく。

 

「ガァァアッ!!」

 

 空へと吹き飛ばされ、鮮血が宙を舞う。

 

「死ねぇ、鬼狩りィ!!!」

 

 血気術──金剛夜叉明王・百剣

 

 死ぬ? ここで、俺は負けるのか……? 

 

「否! 否!! 否ッッ!!! ……俺、は…………!!」

 

 勝つ!!! 

 

 桜の花弁が舞い散る。

 無数とも言える斬撃が吹き荒れた。

 

 瞬間、体を貫くはずだった結晶の刃が全て粉砕され、キラキラと月明かりを反射し幻想的な風景を創り出す。

 

「な、に……!? 有り得ぬ! 我の攻撃を! その死に体ともいえる状態で防ぐだと!?」

 

「ォォオォオオオ!!!!!」

 

 右頬から首筋にかけて桜の花びらのような痣を浮き上がらせ、青年は荒々しく呼吸する。

 地を踏み締め、深く身を沈め、命を燃やし、目の前に立つ鬼へと突き進む! 

 カチリ、と己の胸の内で全てがハマる。未完成であった、最後の技を見出しそれと呼応するように、握られた刀の刀身が黒く、赫く、全てを断ち切るほどの熱を放ち始める。

 

「桜の呼吸───陸ノ型」

 

「認めぬ、認めぬぞ! 私が! 上弦であるこの儂がァア!!!!」

 

「散華!!!!」

 

 月夜の下、ふたつの影が交差した。

 そして、片方は背中から夥しい血を垂れ流し、左腕が断ち切られ宙を舞う。

 

「ゴフッ……」

 

 もう片方は頸を断ち切られ、ボロボロと身体の端が崩れ、頭だけになっというのに、ソレは叫ぶ。

 

「アアアアァァァア!!! 有り得ぬ! 儂が! 上弦の陸である儂がここで朽ちるなど!!?」

 

 桜の花弁をあしらった羽織りを纏い、背中に『滅』の字を背負った青年は血を吐き出し、髪色とおなじ薄紅色の刀を杖代わりして呼吸を整えようとした。

 

「ガフッ、ゲホッ!! ぐっ、俺……は、死ね、ない。かなら、ず…………かえ、る……て!!」

 

 だが、血は止まらず手からは力が抜けていく。

 視点も定まらず、もはや死に体ともいえる状態で青年は進もうとする。

 

「ちく、しょ……う…………」

 

 悪態をつき、青年は地面へと倒れふす。

 瞳の光が失せ始め、意識も消えていく。

 

 だから、彼は気が付かなかった。体を包み込む無数の黒い手に。吐き気を催すほどの腐った果実のような甘い臭いに……

 

「か、え……で…………」

 

 大切な存在の名を紡ぎ、手を掲げるがその手には空を切るのみで、黒い手が全身を包むと今度こそ、その意識を手放すのだった。

 

 ───某日未明、鬼殺隊隊員『桜柱』”歌風(うたかぜ) 華代(はなよ)”は任務中に十二鬼月、上弦の陸と遭遇。

 これと戦闘を始める。単独で上弦の陸を討伐したこと彼の鎹鴉の報告から確認された。だが、その周辺には日輪刀はおろか亡骸や隊服の破片も見つけることは出来ず、唯一発見出来たのが周囲の戦闘による余波と、鬼の血鬼術に形成された結晶に致死量とも言える血痕のみであり、鬼殺隊上層部は彼を生死不明から死亡と断定。捜索を打ち切ったことをここに記す。

 

 

 〇

 

 

「…………ここ、は?」

 

 華代の視界に移るのはどこかの街並み。

 

 空は青く澄み渡り、道を歩く人々は見たことの無い人? ばかり。

 

 頭に獣の耳が生えていたり、普通の人間とは違い耳は先端が尖り、全身が毛むくじゃらだったり、普通の人間も見える。

 

 外国の衣装には縁はないが、華代は任務で時折見かけることはあるため恐らくはそれに類するものなのだろうが、前世含めての記憶の限り頭に獣の耳を生やした人種は見たことは無かった。

 

 とりあえず、彼は自分の体の内側に意識を向ける。

 

「(体調は万全、むしろ絶好調と言える……)」

 

「(私は確か……担当区に現れた鬼を討伐し、その後に十二鬼月…………それも上弦の陸と遭遇。これと戦った)」

 

「(記憶の限り、私は奴の頸を断ち切り、消滅したことを確認した。だが、やつの攻撃で同様に致命傷をおっていた筈だ。それだと言うのに……)」

 

 華代は自分の左腕に視線を向ける。

 肩口から切られた筈の腕はきちんとくっついており、跡も見られない。

 

「原因はあの臭いと気配か……?」

 

 意識を手放す寸前、微かに感じ取った甘ったるい腐臭と遭遇した上弦の鬼以上におぞましく悼ましい気配を思い出し、華代はその背筋を少しだけ震わせた。

 

「それにしても…………まさか異世界転移というやつか」

 

 トカゲを巨大化した生き物に引かれた荷車が目の前をとおりすぎていくのを見送り、華代はため息をこぼし呟くのだった。

 

 

 

 歌風(うたかぜ) 華代(華代)は転生者である。

 前世というものの記憶を保持し、幕末の時代にとある武家の家に生まれ落ちた。

 

 記憶を失い、ただの人として生きれたら良かったのだが残念ながらきちんと自分が過去で医学生をしていたことを把握し、そして恐れ多くも鬼を斬り、人を護る鬼殺隊において『桜柱』の称号を拝命させてもらっていた。

 

 そして、物心つく頃には華代は絶望した。別に『鬼滅の刃』の世界ではなく時代が時代のため、なにをしてもあちこちには死亡フラグが満載であったのだ。

 

 だからだろうか、華代は死ぬ気で剣術を学び、とにかく生きることに足掻いて、足掻いて、足掻きまくる。

 

 そんな華代が鬼殺隊に入るきっかけとなったのが、己の剣の師匠である隻腕の祖父が契機だった。

 この祖父、齢が70近くで片腕だけだと言うのに出鱈目なほど強かったのだ。既に師範代であった父すら超えていたというのに、華代は手も足も出ず頭のおかしい強さであった。

 後で知ることになるが、その強さの秘訣はやはり『全集中の呼吸』である。

 

 そんなこんなで、今世の華代は剣の才に恵まれ祖父に見出されることになり、剣術に並行して幼い体に呼吸法を叩き込まれた。

 なのだが、いくら剣才があるからといって拷問まがいの鍛錬と『全集中の呼吸』の基礎を叩き込まれ、華代は割とガチで死ぬかと思った。というか何度も死にかけた。

 

 時が経ち、華代は15になると元服を済ましたや否や祖父ち拉致られ、首根っこを捕まれ鬼殺隊に入るべく最終選別に叩き込まれてしまった。

 その時、周囲では黒船来航や攘夷などで騒いでいたのだが、未来を知っていた華代はノリについていけず、冷めた目で見つめていたため、周囲とは馴染めずにいたので、別に鬼殺隊に入ることには異論はなかった。

 

 だが、なんの説明もなく『鬼』や『日輪刀』、『呼吸』について一切説明もなく。祖父からは『この翠の刀で鬼の頸を切れば死ぬ』これだけである。控えめに言ってふざけんなという話だ。説明不足にも限度がある。

 

 密かに仕込まれた呼吸法が『全集中の呼吸』で、翠の刀は祖父の日輪刀、日輪刀で頸を切って死ぬのは今でこそ鬼だとわかるが、その時の華代からしたら『何言ってんだこいつ、ボケてんの?』であった。

 

 呼吸も『めちゃくちゃキツイけど凄く動ける呼吸法』と言う認識で『そりゃ、誰しも首斬れば死ぬわ』とか、『綺麗な刀だな』くらいしか思っていなかった。

 

 そんなことをしつつ、迎えた最終選別はそれは酷いものであった。

 初めて見る鬼に、華代はとても驚かされた。

 手足を切っても直ぐに再生し、達磨にしてもすぐに元に戻って襲いかかってくる化け物たち。これで元が人間だと言うのも悪い冗談だろう。

 

 鬼に追いかけ回されている中で、華代はようやく『あ、これ鬼滅の世界だ』ということに気がつき、この時になってようやく全てが繋がった。

 教わった『全集中の呼吸』と技を使い、鬼へと反撃を開始する。

 

 その後はどうにか最終選別を生き残ったが、喜びよりも深い絶望があった。騒乱の時代よりも過酷な鬼狩りの世界へと叩き込まれたのだ。それも当然だ。

 

 晴れて鬼殺隊員になったが、行動原理は変わらず死なないため少しでも生き残るために鍛錬を積み、前世の医学の知識を鬼殺隊に広めた。

 その間にも並行して、既に常中は知っていたために基礎となる他の呼吸を学んだ。

 

 理由は簡単。祖父からは仕込まれた呼吸は『風の呼吸』だ。だが、支給された日輪刀の色が翠ではなく、『炎の呼吸』の適性を表す赤に近い薄紅色だった。

「クソが! あの爺、適正あってねぇだろッッ!!!」

 その場で思わず叫び、華代は合わない呼吸を使い死ぬ確率を高めるくらいなら、無理を言って休みの合間を縫って『炎の呼吸』を学ぶことにした。

 

 日輪刀が示すとおり、適正の高い呼吸法は華代自信が驚くほどに学習する速度が早く、その時に自分の剣才に感謝したほどだった。

 

 およそ、3年ほどの月日をかけて『炎』と『風』の呼吸の派生として『桜の呼吸』を編み出し、階級をひとつずつ上げていき、ある日の任務において十二鬼月の下弦の鬼を討ち取り、『柱』になるための条件を満たし晴れて華代は『桜柱』となったのだ。

 

 その過程で大切な伴侶もできた。”楓”という名の、鬼殺隊の一般隊員の女性で柱としても任務で危機に陥っていたところを華代が助け、それから出来た縁で継子として育て互いに惹かれていき婚姻を結ぶ。

 

 その時は同僚の柱達や当主が総出で祝い、とても幸せな気持ちであった。

 

 子宝にも恵まれ、華代は2児の父となり長男の五歳の誕生日の時に運悪く”堕姫”・”妓夫太郎”の前任であろう上弦の陸と遭遇し、殺し合う。

 

 あの鬼は人の死角から死角へと移り、防ぐことを許さない物量攻撃を行うことに長け戦闘は辛いものがあった。だが、華代の特異体質により勝つには勝てたが、それも数々の偶然と幸運によりどうかもぎ取ることは出来た。

 

「死にたくない」を第1にして生きてきた華代だが、『柱』となり死なせたくない友や部下、家族ができた。

 あの場面で自分の命を惜しんでは、妻と子供に顔向けが出来ず、それ以上に鬼殺の剣士として引く訳にはいかないと思っていた。

 故に、相打ちであったが奴の頸を斬ることが出来た。

 

「だが、これはさすがにないだろう。本当にどこなのだここは?」

 

 陽の光がささない、じめっとした路地裏にて鬼滅の刃の定番『走馬灯』宜しく今世を振り返ってみたが答えは出ることない。

 唯一わかることは、先程の人外たちの姿が日常の風景として溶け込んでいる様が異世界ということを確信させていた。




異世界コソコソ噂話
主人公は15で入隊、3年の月日でオリジナルの呼吸を生み出し、任務で下弦の月を討伐した功績で『桜柱』を拝命したのち、20で継子と結婚。子宝に恵まれ2児のパパ。5歳と3歳の娘が二人いる。
前世では医学生だったために、その知識を活用して鬼殺隊に再現可能な医療技術全てを書き記した。ペニシリンだったり輸血法であったり。

ちなみに、メインで使うの呼吸は『炎』と『風』『桜』だが、残りの基礎となる呼吸も実戦レベルとまではいかないが使える模様。

髪色は薄紅色。割とのばしており、縁壱さんのように結っている。
何故こうなったかは幼い頃、花見をしていて眠くなって寝ていたら桜の花びらに埋もれて気がつけばこんな色になっていた。
日輪刀も髪色と同様の薄紅色。特にギミックなどは仕込まれていない普通の日輪刀。一応、予備として脇差サイズの日輪刀ももっている。

CVイメージは浪川大輔さん。

長女の5歳の誕生日のとき、運悪く任務で上弦の陸の鬼と遭遇し相打ちで命を落としたら、嫉妬の魔女さんにロックオンされてリゼロ世界に放り込まれたという不幸な境遇。
多分魔女さん的には「コイツがいればスバルきゅん強くしてくれるかも(てきとう)」的なノリ。哀れなり。
一応、痣持ちだけど嫉妬の魔女さんがあーだこーだして寿命的な問題は解決してる。透き通る世界を会得するかは後の展開しだい。

古風な口調だけど、感情が昂ったりしたら乱暴な口調になる。
性格は温厚。そして愛妻家で親バカ。多分パックと気が合う。
好物は桜餅。
苦手なものは苦いものと辛いもの。

つねに懐には応急処置をするための道具を常備しており、ある程度の怪我なら治療可能。

意外と手先は器用で、家事などは得意。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。