Re:ゼロから始める鬼狩りの異世界生活   作:タロ芋

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話が!進まねぇ!!

消音さん誤字脱字あざます。


14 きも……見るに堪えない顔が更に見るに堪えないぞ

「話が違うだろうがー!」

 

 そんな捨て台詞を華代は華麗に聞き流す。

 あれだけ盛大に言い切った手前、それを撤回する訳にも行かずスバルはメイド二人に屋敷案内もとい、職場紹介のために連行されていった。

 

 何故、こうしたかは簡単で監視の目をバラけさせるためだ。この館の住人は自分たちを除けば4人と1匹だけだ。

 どこかに引きこもってるベアトリスは論外。エミリアは王になるため勉学に励み、ロズワールは一応は領主のため公務をしなければならず、残りのメイドふたりは怪しさ全開のスバルの教育とをしなければならず、必然的に華代は自由に動けるようになる。

 

「(といっても、あくまでもそれは異能的な方法(…………)を用いない場合での仮定だ。ひとつでも間違えばとたんに瓦解する杜撰すぎる計画には違いない。

 それに、怪しまれてはいるが口封じにすぐ殺されてしまうことは無いだろう。

 でも、まぁあれだけ可愛らしい少女たちに囲まれるのだからスバルも男冥利に尽きるだろう)」

 

「ここをこうすればいいのかしら……?」

 

「ん、ああ、そうだ。ゆっくりと自分の手を切らないようにやるんだ」

 

「ありがとうハナヨ。それにしても、スバルってば欲がないのね。すごく、すごーく意外だったわ。あの時も名前だけを聞くだけでだったし……それに加えてここで働きたい! だなんてびっくらこいちゃった」

 

「きょうび、びっくらこいたとは聞かぬなぁ……。

 といっても、奴は文無し家なし、コネなしのないないずくしであるから。当然、拠点のひとつは欲しくなるものだ。

 それに、親密になりたい存在がいるからこそ、一緒に生活を共にしたいのであろうな」

 

「そうなの? でも、女の子と一緒の職場がいいだなんて不純よ。それに、ラムとレムのどっちが好みなのかしら?」

 

「おう……」

 

 割と好意を前面に押し出していたのだが、当の本人には全く伝わっておらず華代は少しだけスバルに同情した。

 

 現在、華代はエミリアに木彫り人形の作り方を教えている。

 最初は屋敷の案内をするために、レムがロズワールから指名されたのだが、エミリアが立候補した為に、屋敷の中を彼女に連れられ案内をしてもらった。

 なのだが、ある程度の案内を終えると彼女はモジモジしながら華代に「あ、あの! ハナヨが良かったらなんだけど、あの人形の作り方を私にも教えて欲しいの!」と言ってきたのだ。特に断る理由もない華代は快く承諾し、彼女にちょっとした工作教室を開くのであった。

 

 ちなみに、保護者のパックは昼食を終えて直ぐにベアトリスに拉致されて今はいない。

 

「お、思ったよりも難しいのね……。

 華代が竜車の中でやってた時は簡単そうに見えたのに」

 

「ハハ、確かに君から見たらその通りかもしれないな。

 隣の芝生は青いというやつだ。そいつが簡単にやっているように見えても、その根っこではそいつの経験と努力の積み重ねから来る集大成とも言えよう。

 そして、私から見たら君の使う魔法は簡単そうに見える。だが、君自身からしたら。ほれ、見方を変えてみればどうだ?」

 

「確かに、うん。そうよね……。ありがとうハナヨ、ストーンと胸に落ちたわ。世の中には本だけじゃ分からないことばかりね」

 

「ハハハ、存分に見て学べよ若人(わこうど)。本だけが世界ではないからな」

 

 暖かい目でエミリア眺め、華代は微笑む。

 その後は他愛のない会話をくりひろげた。ロズワールが王国の貴族の中では亜人趣味の変人で通っていること、この屋敷にはラムとレムの2人で管理していること。先々月まで、もう1人のメイドがいたこと。

 ベアトリスが精霊だということも。

 

 

「えっと、その、ね。他にもあるんだけど……」

 

 ふと、エミリアが彫刻刀を握っていた手を止め、恥ずかしげに声を上げる。

 

「うむ?」

 

「あの時、ハナヨはスバルとの関係を『死なば諸共の腐れ縁』って言ってたわね。

 スバルと話してる時のハナヨの口調、みんなと話してる時よりもずっと気軽で、アレが素のハナヨとかなり近いって分かったわ。

『腐れ縁』って言葉の意味はあの時は分からなくって、後で本で調べたの。そしたら、あんまり良くない意味だっていうのは分かったの。だけど、ハナヨとスバルの2人の様子を見た後だと、すごく、すごーく羨ましかったの」

 

 エミリアのその容姿は、この世界ではとても疎ましいものだと分かる。それだけで世間の目は冷たく、彼女がどんな生活をしてきたかも。

 華代とスバルの関係性が、彼女が今まで物語の中で夢見てきた友達像とそっくりで、それがとても羨ましい。

 

「その、いつもやってるみたいなお爺ちゃんみたいな喋り方もいいけど、スバルとやってる時みたいな少し砕けた口調で私に話しかけて欲しいの。それだと、距離が近い感じがするから……」

 

「つまりは、君は私と『友達』とやらになりたいのか?」

 

「う、うん……」

 

 華代に言われ、エミリアは僅かに頬を朱に染める。

 その様子がなんともいじらしく、思わず華代は小さく吹き出した。

 

「うぅ……、笑わなくたっていいじゃない」

 

「ハハハ、いや済まない。そうか、クフッ……。友達か…………そうか」

 

 こうもストレートに言われるとは思わず、聞いた華代も僅かにむず痒くなる言葉に幾ばくが考える仕草をする。

 自分のした事に恥ずかしくなってきたのか、エミリアは俯くが気になるのか、何度もこちらをチラチラと見てきた。それだけで、何を求めているかは一目瞭然だ。

 

「フッ……、年は離れてはいるが宜しく頼むよエミリア。

 これでいいか?」

 

「ッ! ……うん!」

 

 輝かんばかりの笑みを浮かべるエミリア。その後は彼女のために華代は色んな木彫り人形を作ったり、エミリアの作った『ナニカ』の人形を見て華代が軽く言葉を詰まるという出来事はあったが、終始彼女はとても楽しそうではあったという。

 そして、その中で出来た人形はエミリアのとても大切な宝物として数えられた。

 

 

 〇

 

 

「ふぅ……、あ〜〜……♪」

 

「すっげぇ気持ちよさそうな顔してんなお前……。俺は生傷にお湯が染みるぜ……」

 

「後で軟膏をくれてやろう。それにしても……やはり風呂は良きものよ……」

 

 いつものピシッとした顔とは打って変わり、すっかり緩みきった表情の華代。それを見て普段とのギャップにマジかと思う。

 

 現在、2人はこの屋敷にある浴場を貸し切り状態で浴槽に浸かっていた。

 この浴場を見た時、年甲斐もなく華代ははしゃいだ。それはもう鼻歌をするぐらいだ。

 そして、スバルは服越しには見えなかったがその鍛えこまれた肉体を見てびびった。それはもう、度肝を抜かれた。筋肉もだが、その全身にある大小様々な古傷にだ。

 

「にしてもよぉ……、ハナヨは随分といいご身分だったようだなぁぁぁぁあ」

 

 不機嫌な声色のスバル。それな華代は気だるげに答える。

 

「落ち着けスバル。きも……見るに堪えない顔が更に見るに堪えないぞ」

 

「おいこら、言葉変えても意味はあんまり変わってねぇぞコノヤロウ」

 

「気のせいだ気の所為。それで、スバル。お前も今日の出来事なんでもいい、私に教えろ」

 

「うぃーっす」

 

 華代に言われ、スバルは今日一日の出来事を言い始めた。

 ラムが自分のことを「バルス」と呼ぶこと。

 レムが常に冷たい目で見てくること。

 芋の皮をむくのは包丁を動かすのじゃなくて、野菜の方を動かす。

 ラムの得意料理はふかし芋。

 分担はラムが掃除洗濯だが、レムだけでも全部ができる

 ラムはフラットだが、レムは見張るものを持っている。

 この屋敷の廊下はループする。

 文字はイ文字とロ文字というものがある。

 エミリアの服装がすげぇ、ぶっ刺さる。

 夜中に微精霊と話し合っているところが凄く可愛い。

 今こうしてみんなが入ったあとの風呂はすげぇいい匂いがしてる。

 

「ふーむ……、いくつか変な言葉もあったが聞かなかったことにしてやる。

 それにしても…………、なるほどな『廊下がループする』か」

 

「おう。俺が目ェ覚めた時に廊下を歩いてたら同じ絵が何度も見たんだよな。まぁ、そのあとトリックを見破ったらそこにベア子がいたんだよ」

 

「そして、彼女を怒らせて気絶させられたという訳だな」

 

「今思いましたらむかっ腹がたってきたな。うし、今度見つけたらあのドリル引っ張ってやる」

 

「自分の立場を悪くするようなことをするな戯け。確か、それは『扉渡り』だったか?」

 

「おう、ラムがそう言ってたな。冴えてる俺はどれも1発で見つけてやったがな!」

 

「ふーむ……、なるほどな」

 

 あんまり期待はしていなかったが、割と有用な能力を自慢げに言うスバル。

 華代は顎に手を添え、なにかに使えないかを模索するが特に思いつかず、すぐに数日ぶりの風呂を堪能することにした。

 

 

 

「そう言えばスバル。これをやろう」

 

 風呂をあがり、さっぱりした華代は懐から手のひらサイズのナニカをスバルへ投げ渡す。

 危うげにそれを掴んだスバルは首を傾げてそれを問うた。

 

「なんだこのブッサイクな……猫? 豚?」

 

「エミリアの手作りの木彫りの人形だ。喜べ、お前のために作ったものらしいぞ?」

 

「マジか、さすがエミリアたん愛してる!! 家宝にするぜ!」

 

「現金なヤツめ」

 

 そんなスバルの様子を見て、華代は肩を竦めた。

 




異世界こそこそ噂話
・エミリアの作った人形
お世辞にも上手とは言えないが、一生懸命作った様子がみてとれるパックを模した人形だが、少々見た目が禍々しいことになってる。
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