Re:ゼロから始める鬼狩りの異世界生活   作:タロ芋

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感想お待ちしてるのだわさ。

追記、感想にて説明不足だと言われたので加筆修正しました。確かに、説明不足だったなウン。申し訳ねぇ!


9 死なば諸共の腐れ縁と言ったところだ

「そう。そうだ、落ち着いてそこの部分から癒すんだ。治療するものが焦ってはならないぞ」

 

「う、うん……こう?」

 

「よし、そのまま維持するんだ」

 

 治癒の波動で傷口を癒すエミリアに華代は冷静に指示を出していく。

 エミリアはそれに従い、スバルの傷口は癒えていき顔色も幾ばくがマシになってきた。だが、流れ出た血のせいでまだ青白いように見える。

 そして、峠をどうにか越したスバルの腹の傷を華代が自前の道具で縫合し、緊迫した空気は霧散した。

 

「ふぅ…………、ありがとうハナヨ。貴方がいなかったら危なかったわ」

 

「…………礼はいい。コイツがいなかったら君がこうなっていたのだからな」

 

 治療が終わり、エミリアが一息ついて華代へと礼を言うがその顔には喜びの色はなくどこか冷たく、さっさと離れてしまった。

 その様子にエミリアは困惑する。先程まであった柔らかな雰囲気はなく、どこか抜き身の刃のような触れれば切れてしまいそうなヒリヒリとした雰囲気を纏っている。

 

 エミリアは彼が自分がいながら守りきれなかったことを後悔しているのかと思ったが、どこか違うようにも見えた。

 だが、募る気持ちは抑えられずエミリアは彼へと声をかけようとしたが、背後の気配にそれを断念し振り返ざるおえなかった。

 

「───何か、あったようだ」

 

 そこには王国では有名な赤髪の騎士が立っていた。

 彼は未だに燃え盛る盗品蔵を見つめ、それから視線を外すと当事者たちへ視線を向ける。

 

「貴方は……」

 

「ゲッ……マジか」

 

「剣聖、じゃと?」

 

 三者三様の反応を向けられながらも、ラインハルトは何も答えず真っ先に歩み寄ったのは華代だった。

 

 なぜ、彼がハナヨに? エミリアは疑問に思うが、口を出さずラインハルトは微動だにしない彼へと声をかけた。

 

「爆発音を聞いて駆けつけたけれど、スバルは無事かい?」

 

「ああ」

 

「済まない、これだけの大事になっていたとは気がつけず君たちが巻き込まれていたなんて。

 完全に僕の不徳だ」

 

「協力を断ったのは私だ。貴殿ほどの男が易々と頭を下げるな、そこまで安いものでは無いだろう」

 

 どこか突き放すような物言いに、ラインハルトは何も言わず後悔の滲ませた顔を浮かべて引き下がり、エミリアの元へ近づき、膝を着く。

 

「此度は自分の至らなさにより、エミリア様に多大な心労をおかけいたしました。この失態に対する罰はいかようにもお受けいたします」

 

「それについては私からは何も言いません。この出来事は私の心の甘さが招いたものです。私自身を罰するならまだしも、貴方を罰する権利など私にはありません」

 

「…………寛大な処置に恐悦至極でございます。

 では、エミリア様。せめて、何があったかだけでもご説明をしてくださらないでしょうか?」

 

 ラインハルトの願いに、エミリアは頷き事の顛末を短く簡潔に行うのだった。

 

 フェルトに徽章を盗まれ、盗品蔵へと赴きスバルたちと出会ったこと。

 そこで、徽章を狙うエルザに襲われたこと。

 華代と共闘し、エルザを撃退したこと。

 不意打ちで狙われたところを間一髪、スバルが身を呈して助けてくれたこと。

 

「……そう、ですか。『腸狩り』とスバルが」

 

「ええ、見ず知らずの2人が私のことを助けてくれたのよ。

 それだ、貴方はどこで2人と出会ったの?」

 

「ええ、実は───」

 

 ラインハルトはエミリアに裏路地で追い剥ぎを華代が撃退し終えた所で出会ったことを話す。

 

「騎士として恥ずかしい話です。守るべき人々がいながら2度も遅れてやって来てしまったのですから」

 

「そうなの……。2人はその時既に盗品蔵に向かっていたのね」

 

 どうして徽章を盗まれたことを知っていたのか、なぜ見ず知らずの自分を助けたのか、そもそも2人はどのような関係なのか。考えれば考えるほどキリがない。

 だが、こうして自分は彼らに助けられた事実には変わりがない。

 とても大きな恩ができたとエミリアは思い、必ずこの大恩を返さねばと両手をムンと握り決意を新たにする。

 

「エミリア様、この恩人をどうか私の家で介抱させてはくれないでしょうか? せめて、これくらいのことは」

 

「いいえ、それには及びません。

 大恩ある彼はメイザース領にて手厚く保護させてもらいます。

 返しきれない恩だけれど、せめてこれくらいをしなくちゃ名折れですもの」

 

 エミリアはそう言い、もちろんあなたも、と華代へと視線を向けると少しの間だけ逡巡した後、スバルを見て肩を竦め小さく「行こう」と言った。

 

「……畏まりました。では、彼女たちは?」

 

 ラインハルトは僅かに残念そうな顔を浮かべ、フェルトとロム爺へと視線を向けると、エミリアはそれには及ばないと言い、フェルトへ歩み寄る。

 

「そのお爺さんは、貴方の家族?」

 

 その言葉に、覚悟を決めていたフェルトは僅かにたじろぐ。

 だが、フェルトは持ち直し頬をかきながらロム爺の頭をペシペシと叩きながら口を開く。

 

「そ、そーみたいなもんだ。ロム爺はアタシにとって、たったひとりの……うん、じーちゃんみてーなもんだな」

 

「そう。私の家族もひとりだけ。肝心なときに眠りこけてるし、起きてるときには絶対にそんなことは言えないけど」

 

「アタシだって、起きてるロム爺にこんなこと言えねーよ」

 

 心なしか、老人への打撃の威力がぺしぺしからびしびしへと上がっている。無意識なのだろう。速度も加速、白い禿頭が赤くなり始めている。

 

 それから彼女はエミリアを見上げ、その赤い双眸に弱々しい光を灯し、

 

「もっと、すげーきつくくるかと思ってた」

 

「そう、ね。さっきまでのままなら、そうだったかもしれないけど。毒気抜かれちゃったのかもね。だから少しだけど、あの子の顔に免じてあげる」

 

 エミリアはそう言うと、今も寝ているスバルを指さしフェルトは小さく謝罪する。

 

「命を助けてもらったんだ。恩知らずな真似はできねー。盗ったもんは返す」

 

 視線を路地へと向け、彼女はエミリアに許可を求める。

 

「戻ってきたとき、アンタらがやられてねーとも限らねーかんな。……別の場所に隠してきたんだけど、取りにいっても平気か?」

 

「用心深いこと。……嫌いじゃないけど。ここで待ってるわ」

 

「……いーのかよ? 口から出まかせで逃げ出すかもしんないぜ?」

 

「逃げてもいいけど、アレが追いかけてくるわよ?」

 

「「…………」」

 

 エミリアに指名され、騎士と剣士が姿勢を正す。

 金髪の少女は筆舌に尽くし難い顔を浮かべ、すぐ戻ってくることを伝えて走り出した。

 そして、徽章を手に持って戻ってきたフェルトが二三言交わしたかとおもうと、ラインハルトがフェルトの手にのっていた徽章を見つめ、その手を掴む。

 

「なっ!? なにすんだよ! いっっつ……はな、せよ!」

 

 弱々しく抵抗するが、ラインハルトの力は弱まらずその瞳には様々な感情が色めいていた。

 

「ラインハルト! その子たちは罪には問わないで欲しいってスバルに言われてるの! 

 それに、私は徽章が返ってくれば何も言う気は無いのよ?」

 

 動揺する2人を前にしても、ラインハルトは変わらずフェルトの手を掴み続け、その視線もその徽章に注がれている。

 その様子からはいままでの様子とはかけ離れ、華代も声をかけることはせず静観の構えをとり、ロム爺からは一触即発の空気を出していた。

 

「……君の名前は」

 

「ふぇ、フェルト……だ」

 

「家名は? 年齢はいくつだい?」

 

「こ、孤児だぜ? 家名なんて大層なもんは持っちゃいねーよ。年は……たぶん、十五ぐらいって話だ。誕生日がわかんねーから。っつか、放せよ!」

 

 話している間にいくらか調子を取り戻し、乱暴な口調で少女は暴れる。が、巧みな力加減で少女を抑制し、ラインハルトはエミリアを見つめると、

 

「エミリア様、先ほどのお約束は守れなくなりました。──彼女の身柄は自分が預からせていただきます」

 

「……理由を聞いても? 徽章盗難での罰というなら」

 

「それも決して小さくない罪ですが……。エミリア様、彼女は『候補者』である可能性が高いのです」

 

「ッ!?」

 

『候補者』という単語にエミリアが反応し、フェルトは訳が分からないと言った様子で暴れ回る。

 

「ふざ、けんな!」

 

「すまないが、君はアストレア家で保護させてもらおう」

 

「わけわかわねーこと言ってんじゃ、ねぇ! アタシは絶対に、お前の家なんか───ふにゃあ……」

 

 口汚く応戦しようとしたフェルトの首筋にラインハルトが手を添えると、途端に意識を失いラインハルトはもたれかかった彼女を丁重に受け止め抱き抱える。

 それに怒るのは当然のようにロム爺だ。

 

「すまないが、ご老体。眠っていてもらおう」

 

「ありがとう華代、助かったよ」

 

「フン、これくらい安い御用だ。だが、理由くらいは尋ねてもいいだろうか?」

 

 しかし、ラインハルトに飛びかかる寸前に華代がロム爺を(物理的に)フェルトと同じ運命を辿らせ、地べたへとその巨体が倒れ込む。

 ラインハルトは華代へと頭を下げ、フェルトから回収した徽章をエミリアへと手渡した。

 

「本当、なの?」

 

「ええ、この徽章が指し示したならば確実に。それと、エミリア様。彼に事情を説明をしても?」

 

「……さして知られても困るものではありません。

 それに、ここまで来て蚊帳の外とはいかないもの」

 

「承知しました」

 

 ラインハルトはフェルトを抱えたまま、華代に向き直り口を開く。

 

「ハナヨ、路地裏で僕が言っとことを覚えているね?」

 

「ああ。確か、王都が騒がしいと……」

 

「その通りだ。実はこの国は今は収めるべく王が不在なんだよ」

 

「その割には、市民たちに混乱している様子はないが……」

 

「ああ。国の運営自体は賢人会が引き継ぎ、つつがなく行われている。だが、いつまでもトップが居ないのもダメだろう? 

 だからこそ、新たな王を選出するため王国に伝わる預言板の竜歴石に従い、竜殊の輝きに選ばれた5人の巫女を王候補として、『王選』を開始したんだ」

 

「……それが、フェルトとなんの関係があるのだ?」

 

「実は、王選の候補者は完全には集まっていないの。王選を始めるには5人の候補者が必要だから……。けど、今はその候補者は4人しかいない」

 

 エミリアが言い、華代は察した。つまり、ラインハルトは見つけたというのだその最後の候補者を。

 

「だから、フェルトを連れていこうと言うのか……。

 本人の意思に関係なく強引に連れていくのは貴殿の流儀に反するのではないか?」

 

「……確かに、君の言う通りだ。だが、僕は祖国に身を捧げた騎士の1人でもある。その国の為ならば、いかなる罵倒も受け止めるさ。

 君こそ意外だね、てっきり僕を止めるのかと思ったけれど」

 

「あくまで私の使命は無辜の人々が闇雲に命を奪われるのを防ぐことだ。それ以降のことは干渉しかねる」

 

「そうかい……。だけど、今回は助かったよ華代。君と剣を交えるのは遠慮したかったからね。僕は君とは良き友人でありたい」

 

「私もだよラインハルト殿」

 

 彼は強い眼差しでエミリアへ「申し訳ありませんが、私は失礼します。すぐに迎えのものと竜車を向かわせますので」と言い残すと、フェルトを抱きその場を去っていってしまった。

 そして、場には意思のないスバルとロム爺、唖然とするエミリアに険しい顔のままの華代だけが残される。

 

「(ど、どうしよう……)」

 

 エミリアは思った。気まずい、と……

 直立し、剣の柄頭へと手を添えた状態で何かを考えている華代に声をかけようにも、その雰囲気からはとても声をかけにくい。でと、こんな空間で居られるほどエミリアの神経は太くない。

 でも、ここでしり込みをしていては自分の目的を果たすことは出来ないと、覚悟を決め口を開こうとしたら。

 

「……君は、随分と大変な目にあっているのだな」

 

 華代が先に口を開き、出鼻をくじかれた形になったエミリアは少しだけ傷ついたが、めげることなく真摯に答えることにした。

 

「確かに、そうかもしれない。けれど、後悔はしていないもの」

 

「そうか……。子供だというのに強い子だな君な」

 

 とりあえず、立ち話もなんだ。華代はエミリアにそう言うと、手短な瓦礫に座りエミリアも近くに座る。

 

「でも、最初はすごく、すごーく不安だったの。この徽章に選ばれた時はね」

 

「なるほど、な。少し貸してもらえるだろうか?」

 

「構わないわよ」

 

「感謝する」

 

 エミリアから徽章を手渡され、マジマジと見る。

 彼女の手で光っていたそれは華代が手に取ると途端に光が消え、少しの間ソレを観察した華代は満足したのかエミリアへと返却した。

 

「エミリア、君もわかっているだろうが今回のようなことがこれから起こるかもしれない。部外者の私が言うのもなんだが、頑張れよ」

 

「ありがとう、ハナヨ。うん、私すごーく頑張るわ!」

 

 どうやら、スバルはとてつもない人物と縁を結んだようだ。

 華代はゆっくりと空を見上げ、空高く浮かぶ月を見つめる。うっすらと白く光り、幻想的なそれは今は妖しく美しい光を放っており、華代は結っていた髪をおろし、1人思う。

 

「(どうやら、私はとてつもないことに巻き込まれたようだな)」

 

 その後、タイミングを見計らったかのように大きなトカゲが引っ張る馬車が到着するのだった。

 

 

 

「あの、ところでハナヨってスバルとはどんな関係なの?」

 

「あ、それは僕も気になってたなー。明らかにスバルの実力と言い君の実力も組むにはちょっと歪すぎるよね」

 

 ふと、竜車がメイザース領とやらに向かっている最中にエミリアがそんなことを聞いてきた。

 いつの間にかパックもおり、スバルが別の竜車で搬送されおり、彼がいないからか話題に困っていたエミリアは華代を見つめ、彼は少しだけ考えて律儀に答える。

 

「師弟関係?」

 

「嘘だね」

 

「なんで疑問形なの? すごく、すごーく気になる」

 

 まぁ、明らかにアイツは剣の才能ないしな。華代はそう思いつつ、続けた。

 

「強いて言うならば、死なば諸共の腐れ縁と言ったところだ」

 

「どういうこと?」

 

「はぁ、私だって聞きたいさ。まったく、どうしてこうなった……」

 

 酷く疲れた声色の華代。よく分かっていないエミリア。

 そんな彼らとは裏腹に、竜車はメイザース領へと入っていき、窓からは大きな屋敷が見えるのであった。




異世界こそこそ噂話
散華とはいわば斬撃のブラックホールだ。
すれ違いざまに対象を中心に真空の刃を閉じ込めた斬撃の核を作り出し、その中の刃同士が互いに弾き会い範囲を拡大し、空気を吸い込み更に大きく成長させる。
逃げられない斬撃の牢獄へとその対象を閉じこめ、切り刻む。
そして、これが納まった後にはその場には塵しか残らず、”桜の華が散った”かのような光景から『散華』と名をつけられた。
『桜の呼吸』の最後の技にして、最強の技。
もし、鬼舞辻無惨にかませば生き恥ポップコーンをさせないままぶち殺すことが出来たかもしれない。
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