来週には宝島編おわるかな?
ちなみにお盆は更新しませんのであしがらず。
酸素ボンベが完成してしまえば、あとはカセキやその他メンバーを海から引き摺り出すのが当面の作業となる。
が、当たり前だが私は参加できないので代わりにひたすら復活液の制作がお仕事となった。
最初こそ硝酸ができる過程を見守っていたわけだが、暇ならばアルコールと混ぜて作っておけとのパイセンからの指示が飛ぶ。
復活液のレシピは硝酸30のアルコール70。ラボに設置されている設備を使い、計算間違いさえしなければ私だって作れてしまう品物なのである。
ただ少し不安があって、アルコールの量が少なく感じた。多分石化された乗組員全員分はありそうだが、その後の石化分には足りなそうなのだ。
今後の展開を考えれば早い段階で船からアルコールを奪い返すか、村からお酒を入手するかして蒸留しておきたい。
でもその不安を伝える術はない。
何たってこの後島全体が石化しますよーなんて言えるわけがないのだから。
「ま、なんとかなる、のかなぁ?」
船さえ取り返せばそれなりに持ってきてたアルコールが使えるものね?
少々人より体力が乏しい千空に運ばせるのは苦になるだろうが、そこはクロムと頑張ってくださいマル。
そんなこんなで一人のんびりと復活液を作り上げていると、洞窟の入り口からオールを漕ぐ音が聞こえてきた。船の上には新たに復活した大樹がいて、とてつもなく爽やかな笑顔でこちらに手を振っている。大声をあげて私の名前を呼ぼうとしたが千空に止められていて、その光景を見ただけで私の胸は幸せな気持ちでいっぱいになった。
はぁ、マジで幼馴染尊い。もっとやれ。
例えようもなく、そんな気持ちにしかならん。
「おーし、これで!ドローン作りに神腕職人カセキ様の復活だ。パシャっとかけちまえ茉莉」
「おーけー」
「ちょ、ちょーっと待った千空ちゃん‼︎茉莉ちゃん‼︎君たち情緒とかないね全く⁉︎ってそういう話じゃなくて、いやそれもあるけれど‼︎カセキちゃんのこの背中のとこ、ビミョーにかけてない?」
ささっと化石を組み立て復活液をかけようとすると、ゲンから静止の声が上がった。
確かに言われてみればパーツが一部ないが、それがなくとも命に問題はなさそうだ。ただその形だけが問題で、どっからどうみてもその形はどこぞのDr.スラ◯プちゃんが棒で刺しているそれなので。
「かかかかわいそすぎるんだよ……⁉︎」
「気にしねぇよ誰も。このストーンワールドでよ」
「いや、気にはするでしょ」
「確かにこれは流石に。大樹くんを待とうか」
背中にウンチマークはキツイとなり、大樹が石像を持って帰ってくるのを待つこと数分。彼は大量の荷物を抱えて海から帰ってきたのである。
「うぉぉおおお集めてきたぞ‼︎みんなの石片を──‼︎」
「さっきの海底からか⁉︎」
「どうやって‼︎⁉︎ もう酸素ボンベもないのに……」
「そりゃもう、体力担当の大樹君だもの。潜ってだよ」
「そうだぞ!素潜りだ!」
みんなが場所を見つけておいてくれたから数分ばかり息を止めていれば何とかなると大樹は言い、私と千空はその言葉に頷いた。
一般人なら無理だと思うが大樹だもの、どうにかなってしまうのだ。
大樹にカセキの石片を見つけてほしいと頼めば嫌な顔一つしないで頷き、全部とってくるとまた海へ向かって走り出す。
そしてほんの200〜300往復潜ればいいだけだからと、いとも簡単に言ってのけたのだ。
「せ、せめて途中まで船使いなよう」
「確かに‼︎」
「すっごい爽やかに言ったんだよ、ほんの200〜300って……」
「ヒィ〜‼︎まだ大樹っつう奴の非常識わかりきってねぇテメェらのドン引きが面白すぎるわ‼︎」
「それなぁ」
大樹イコール体力担当。
それを一番わかっているのは勿論千空だが、私もそれなりに知ってはいるので驚きやしない。
それにこんなことで驚いていたら、ゲンや龍水だって化け物レベルにできることがあるじゃないかと私は訴えたいものである。
その後大樹は順調に乗組員達の石片を集めていき、最初に復活を果たしたのは例の穴を塞いだカセキである。
石化が解けたカセキは体調がとても良いと飛び跳ねて喜び、千空からもらったドローンの作業書をみて腰回りに巻いてあったワカメを切り飛ばす。そしてボロボロになってしまったラボカーを前にして一旦泣き崩れてから、それを直すためにその腕を振るった。
ラボカーの修理が終わるや否やはじまるのがドローン作りで、そっちは千空とカセキの二人で取り掛かることなる。
「茉莉、今回テメェは石像パズル班だ。杠を復活させるまでテメェが要だ、平気か?」
「ン、問題ないよ。慣れてるし」
千空から専用の糊を受け取りそのまま地べたに腰を下ろし、私はスイカと共にパズルを開始。たまにクラフトを気にしているスイカに声をかけて、その都度そちらの様子を見てきてもらう。
やはり子供は興味のあることをやらせてあげた方がいい気がするし、こんな状況で無ければスイカだってドローン作りに加わりたかったのだろう。
大人の都合で行動に制限をつけすぎるのはあまり良くない。
だがな、龍水。
君はもう少し頑張れないかね。
「あんまりパズルは得意ではない?」
「ボトルシップは得意だが、石像を組み立てたことはないからな」
「そっかぁ。ま、見知った顔が多いしやり辛くはあるかもね」
石像だと思っていればいいが、視線を変えれば仲間が文字通りバラバラになっているのだ。気分の良いものではないだろう。
フランソワを組み立てる龍水の顔はほんの僅かだが不安そうで、本当に復活できるのかと心配でもありそうだ。
「そういえば、龍水君もバラバラでここまで運んできてくっつけたんだよ?」
「何?」
「体、問題ないでしょ?」
「──フッ、そうだな」
不安を取り除くように龍水をバラバラだったけど平気だろ?と言ってあげれば満足そうに笑い、そして先ほどとは違う表情をして石像を組み立てていく。そしてふと、龍水はもう一度私の方に視線を向けた。
「──茉莉、貴様は大丈夫か?」
「何が?」
「手が震えているぞ、さっきからずっとな」
「……問題ないよ」
「ついでに言わせてもらうが、顔を引き攣っている。相当無理をしてるようにしか見えん。違うか?」
「──たとえそうだとしても、この状況で休んでる暇はないでしょ。今はただ、やれることやってりゃいいの。それだけだよ」
「……そうか」
「お気遣いありがとう」
やはりというべきか、どうも科学王国民は察しが良すぎる。
ちゃんと笑っていたと思っていたのに引き攣っていたとは。
あ、だから千空は私に『任せる』ではなく『平気か』と聞いたのか。
本当に、優しすぎて困ってしまう。そういうとこ、本当に好きだわぁ。
なんて、必死にいろんなことを考えて思考を埋めて。
私はひたすらパズルを組み立てる。
風化してなければ大丈夫なのだと言い聞かせて、みんなとまた会えると信じて。
私は仮眠を挟みながら夜を越し、朝方までひたすら石像を組み立て続けたのだ。
平均3000文字を目指してますが、キリがいいのが大体3000手前。
読み足りないくらいだと感じている方がいたら申し訳ないです。
そしてアンケートの結果、泣かすことにしました。ご投票ありがとうございました!