すべからく全て不慮の事故です 作:カナーさん
【個性】
人間が先天的に目覚める超常現象…ジョジョで言う所のスタンド能力に分類される。
また、とある科学作品のような後天的に発現する能力ではない。
というのが私の認識。
そして私が今ジャンプを読んで暇を消費しているこの場所はその個性の病院らしい。
周りの大人が様々な事を言って私をこの病院に寄こしたみたいですけど、あまりに煩かったのでその言葉は何処かに押しつけましたがね。
…しかしあまりにも遅い。今週のジャンプが読み終わってしまった。
顔を上げて見れば廊下を行き交う職員の姿がない。
それどころか本をソファに置いた音以外、なにも反響しない。
「…帰りますか」
「…ふむ?黒霧、どうやら子供の数が一人足りないみたいだけど」
「おかしいですね。この時間帯なら全員食堂に集まっている筈なのですが」
「見たところおそらくこの子じゃろ」
ほれ、と一人の残骸から拾った資料を先生と呼ばれる顔にマスクをした人物に渡す。
「
「そうか。じゃあ黒霧頼_」
バタン
三人の視線がその同じ方向を向く。
そこには特に特徴のない男の子が落とした本に目もくれず、口を開けて呆然とこちらを眺めていた。
「_必要ないみたいだね」
ゆっくりと散らかった残骸を踏み抜いてその少年へ歩み寄っていく。
少年の方はその部屋の紅く塗られた惨劇にショックを受けているのか、傍また壁にショーケースの中に並べられたガンプラのような子供達と自分の未来を想像しているのか。その場から動こうとしない。
そうして悠々と辿り着いた少年の頭を先生の掌が覆う。その瞬間に個性は奪われてしまうだろう。
「んだよオッサン」
バグッ
一瞬、先生の手が少年に触れようかというタイミング。視界に見知らぬ他人に埋め尽くされた少年は先生より速くその現象を引き起こした。
黒霧にはそれが、先生から紅い花が満開したように見えた。
先生を中心として広がる鱗粉と花びら。
それがおそらく少年の個性なのだろう。これ見る限りだと有用そうにはとても見えない。
黒霧はそんな呑気な考えを無意識で行っていた。
だが撒き散らした鱗粉と花びらがピチャと黒霧に付着した事でその考えは吹き飛んだ。
それは見慣れた物であった。
そして理解した。
周囲に付着した物が他ならぬ先生の血液と肉片である事を認識するまで。いや認識した数秒後であっても黒霧は動くことが出来ないでいた。
バラされた職員達と同じように床の汚れとなる姿を黒霧はなにも行動することなく、ただ見ていた。