すべからく全て不慮の事故です   作:カナーさん

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ぶっちゃけワイプシまでの繋ぎ。ただ時系列的に無視するのは可笑しな話がなのでダイジェス…いつも?…うん


観客

 敗北した少年が同じく敗北に喫した弔達の前に姿を現したのはそれから数日後のことだった。

 

「…久しー。調子はどうです」

 

気負うことなく平然と、見てくれは落ち着きを保っていた弔に単調な調子で少年は話かける。

 

「……」

 

「あっ黒霧さんこれお土産です。では」

 

弔が口を開く前にお土産と称された物品を渡し、少年は入ってきた扉に戻り、そのまま姿を消してしまった。

 

「アイツ…クソ!」

 

怒りとは違う気がする。それは嫉妬に近いもの。

抑え育んでいたその憎悪が漏れ出る。

仲間だとは思っていない、だが信用の置ける存在であったのは確かだ。

………荒んだ心が叫ぶ。複雑故に声にならぬ激情の変わりに。

 

 

 

 

それが届いたのは雄英体育祭の事を担任の相澤先生から聞かされた次の、放課後であった。

ブブブ

 

「あっワリィ電話」

 

一言添えて、話していたグループから離れてから液晶に映る名前を確認する。

 

野球女

 

 

そう表示された名前を見て、瀬呂範太は僅かな驚きと懐かしさにアイコンを押した。

 

「久しぶりだなー志布志」

 

『__久々ーなんだ思ったより元気そうじゃん』

 

「残念そうに言うなよ。こっちはかなり大変だったんだからな」

 

『__いやーあのセロハンがヒーロー科に行っただけじゃなく、まさか襲われるなんて…流石に電話するわ』

 

「…ありがとうな」

 

 瀬呂は知っていた。この女、心配とは無縁の人間である。子供の頃、野球をしていた時に病院に何度も入院することがあったが心配することなく、むしろ過激に。そしてそれが当然だと思っている節がある。

だからこそ珍しい。

あの女に心配なんて感情があったなんて。

だから素直に感謝する。

そのまま適度な雑談をして通話は終了した。

 

「瀬呂…裏切ったな」

 

振り返れば性欲の塊が顕現していた。

コイツ一瞬表示されたあの名前を…!

そのまま性欲の意思を抑えている間に電話の内容も意識から消えて_

 

 

 

 

 

_喧騒が耳を射抜く。

適当な席に腰掛け、屋台から集めた八つ当たり用の荷物がドカッと床に置かれる。

 

少年はさっそく袋から焼そばを取り出し周囲に遠慮なくバクバクと食べだす。

その様子に警備の視線を集める。

なぜなら三密が推奨されている訳でもないのに、さながらクラスで円を作りフルーツバスケットをしているように少年の周りに人影は全くといってなかった。

その光景は少年が明らかな異物であることを物語っている。

特に今年は襲撃されたこともあり注目が高い。

故に、相当な混雑が予想され見事的中。席がなく中には立って観戦する人も。

さらに元々オリンピック以上の盛り上がりがある体育祭。すし詰めがデフォルト。そんな状況下、こんな光景は_

 

 

 

そこまで考えて、しかし誰も少年に近寄る者はいない。

いや近付けないが正しい。

 

「弔がいなくて良かった…今の■じゃ間違いなく巻き込んでいたからな」

 

少年は今、過負荷をフル発動していた。

他人にダメージを押しつける。では今はなにを押し付けているのか。

精神ダメージ。もっと言うなら不快感。

偉そうな連中。偉い連中。プラス。

少年はそれがだいっきらいで、AFOも弔も例外ではない。

だから、こんなだいっきらいが犇めく会場はただ不快でしかなく。かといって弔と一緒に観戦というのも出来ない事情のため。

荷が重過ぎる観戦を、押し潰されそうに成りながら_

 

と思っているのは少年だけである。

実際精神ダメージなど押しつけてない。

押し付けているのは『人』そのものである。

能力で『死』というカタチのないダメージすら他人に投げる少年だからこそ出来る芸当。

自分に向かってくる人を何処か適当な場所に追いやる。少年が行っているのはそれである。

故に訂正しよう。近付けはする。するが磁石のように反発して離れる。

 

「瀬呂…ですか。知らない名前。けれど知り合いなら眺めてましょう。その人も将来殺す候補でしょうし」

 


 

「おいイレイザーあれ」

 

「…わかっている」

 

実況席のマイクは既に切ってある。

そんな中プロヒーローの現場の声色で二人はある一点を目を向け話す。

 

「不自然とは思ったが昼まで時間はたっぷりあった。観客もヒーローもいる。連絡もした」

 

「最悪…だがこの状況を鑑みる奴は自身に障害にならない限り個性は発動しないようだ。見ろ、向かったヒーロー達は離れて行くが近付いて待機を命じた者はその場から動いていない」

 

「校長の予想通り、ただの再生系の個性ではなく根本的に別物か。頭が痛くなる話だ」

 

「触らぬ神に祟りなし…言葉通りならイレイザー、お前の個性でも厳しいんじゃないか?」

 

「痛みや人を【遠ざける】もしくは【移す】個性か」

 

「現場の人避け、重傷者のケア、後方を護り抜くという点では重宝する個性だな。あくまで予想での話だがこの個性とあの行動…敵になるような人材か?」

 

「そんなことを考えるだけ無駄だ。人に無償の愛を与えるのが当然なら人に無償の悪意を与えるのも当然で道理だ」

 

「……」

 

「……」

 

沈黙が流れる。そこ貼り付く不快感はない。

 

「俺たちは…いや。語るまでもなくこの熱狂が物語っているか」

 

「フン…マイク。観客がお待ちだぞ」

 


 

 

物理的にも熱量溢れる体育祭は平常通り幕を閉じる。

少年の存在により

離れた者(連合)繋がる者(瀬呂)離れる者(観客)結ぶ者(教師)

敵から離し、ヒーローとの縁も結び、ヒーローに認識を改めさせ強固にする。

 

これでようやく1-Aとの絡みが覗ける。ようやく未来の【悪夢】に組み込める。

 

ヒーローと敵対しながら敵連合とも仲良くしない単身第三勢力をあのポイントに誘導できる。

 

その前にショッピングでエンカウントさせなくては…弔が居るなら縁は繋ぎやすそうですね。

 

 

 




敵、ヒーローときて最後の方は…?なんか毎日顔を洗うときに見てそうですね。
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