白雪の閃光   作:おいいいいい

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ノリと勢いだけで描き始めちゃいました


#00 prologue

昔、空に憧れた。

 

正確には空を翔ける少女達に。

 

ストライカーユニット

 

それは新しい魔女の翼、世界を守る為の翼。

 

人類は未知の脅威に対し、自分達の力だけで戦うのを諦め、未知の力に頼ったのだ、世界を、人類を守ってくれと。

 

そんな使命を帯びて空を翔ける少女達は、当時の俺には眩しく、そして美しく見えた。

 

そして、そんな彼女達が翔ける空はどんなに素晴らしい物なのだろうか。

 

そう思ってからは、こうして空を見上げ、夢想する事が多くなった。

 

空を自由に翔ける自分を、空の更にその先の空を何処までも昇っていく自分を。

 

それは今も昔も変わらない。

 

だからこそ今日も夢想して、空に手を伸ばす

 

きっとそこにある『自由』を夢見て。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アドリア海に位置する、501JFW通称ストライクウィッチーズの基地、その執務室の窓は曇天の空から吹き荒れる雨に揺れていた。

そんな執務室にはランプでぼんやりと照らされた少女が二人。

 

「そういえば扶桑から補充隊員が来るって話だったがそろそろじゃないか?」

 

そう言ったのは扶桑皇国海軍、坂本美緒少佐である。執務室に積まれている書類を消化しながらこの部隊の隊長でもあるミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐は答える。

 

「ええ、そうね。本来なら明日到着する予定だったけど、この天候のせいで少し遅れてるみたい。」

 

「それで、いつ到着するんだ?」

 

「予定では三日後だけど…なぁに?気になるの?」

 

「気にならないわけがないだろう?」

 

そう言って坂本は男の顔写真が添付された書類を見る。

その様子にミーナはため息を吐き方を揉みながら答える。

 

「そうね、なにせ、世界初のウィッチいや、ウィザードだもの気にならない方が可笑しいわね。できれば彼は――。」

 

ドォォォォン

 

と遠方から聞こえる音によってその言葉は続かなかった。

坂本が慌てたように、雨が入るのもお構いなしに窓を開け、その眼帯の下にある魔眼を露わにし、先ほどの音の発生源を見据える。

 

「ネウロイ!?」

 

「いや、ここからでは視認できない。どうやらこの近辺ではないみたいだ。」

 

坂本のその言葉に一先ず安心しホッと一息つく。

 

「あの方角は…504の基地があるな。」

 

「ええ、ちょっと確認してみるわ。」

 

そう言ってミーナは備え付きの通信機で504に連絡を取る。

向こうはすぐに出たようで、いくつかの会話の後に、通信を終了する。

 

「どうだ?」

 

「何を使ったのかまでは分からないけれど、訓練をしていたみたい。」

 

「そうか、最悪の事態にならなくて何よりだ。」

 

そしてミーナが基地内の放送で先ほどの音は無害なものだと説明して、二人は先ほどまでと同じように溜まった書類を消化していく作業に戻り、その後何事もなく夜は更けていくのであった。

 

 

 

 

 

その日、ストライクウィッチーズの面々はブリーフィングルームに集結していた。

理由は全長30000mに及ぶネウロイに対処するためで、作戦としてはロケットブースターを使用して高度30000mまでサーニャ・V・リトヴャク中尉、宮藤芳佳軍曹を押し上げフリーガーハマーによる攻撃で先端にあるコアを破壊、その後魔法力が枯渇した両名を504が回収を行うというものだ。坂本が一通り作戦を伝えると、ミーナが後方から業務連絡を伝える。

 

「因みに、その日に新しく臨時隊員が到着する予定です。」

 

「臨時隊員?こんな時期に一体誰が来るというんだ?」

 

疑問を呈したのはゲルトルート・バルクホルン大尉である。

バルクホルンの言う通り501が再結成して随分と経つが、ウィッチ隊には戦死者が出ていないのだからそれを補うための人事というわけでもないのだろう。

その疑問に答えたのは坂本だった。

 

「まぁ言いたいことは最もだが、やってくるのは『彼』だ、一般的な人事と異なるのだろう。」

 

坂本のその言葉にバルクホルンは合点がいったように頷く。

 

「なるほど…、それなら納得だな。」

 

「アイツここに来るのか!久しぶりダナー。」

 

「なんだ?エイラ知り合いなのか?」

 

エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉は隣にいるサーニャと自分を交互に指さしながら坂本の問いに答える。

 

「私とサーニャは前に502に行ったとき知り合ったんダ。」

 

「でも、男のウィッチ…ウィザードだっけ?を基地に入れても大丈夫なのミーナ。」

 

今までの話を聞いていたエーリカ・ハルトマン中尉はニシシと笑いながらミーナに尋ねる。

彼女の言わんとしていたことを理解していたミーナは深いため息を吐く。

 

「はぁ……。そうなのよね、誰かが彼と男女の仲になったらどうしようかしら。」

 

「それなら問題ないと思うゾ。」

 

ミーナの悩みにエイラは自信満々に答える。

 

「どうして?」

 

「来ればすぐ分かるッテ。」

 

エイラのその言葉をミーナは取り敢えず信じることにしたのか、今考えても仕方ないと思ったのか姿勢を正し次の言葉を発する。

 

「まぁ、今考えても仕方がないことね。取り敢えず今は目の前の作戦に集中しましょう、作戦日時は後日伝えます。解散。」

 

そう告げられると面々は蜘蛛の子を散らしたかのようにブリーフィングルームを退出し、各自の持ち場に戻る。

その際、ウィザードの話でもちきりなのか、面々はエイラとサーニャを質問攻めにしていた。

その様子を見てミーナは頭痛がする思いだった。

 

 

 

作戦決行日、空から二筋の光が堕ちてくるのと同時に、近郊にあった黒い柱は白い光となって消えたことにより、作戦を完了したことを確認した赤ズボン隊の三名は救出対象を見事に回収した。

しかし、急遽504からインカムを通して連絡が入った。

 

『ネウロイの出現を確認!そちらに向かっています!数は中型が2機!』

 

その場の5人のウィッチたちに緊張の色が走る、赤ズボン隊の面々は救出にあたり積載量を減らすため武装を基地において来ていたため、この場でまともに戦闘ができるのは誰一人としていなかった。

赤ズボン隊の隊長であるフェルナンディア・マルヴェッツィは部下の二名に命令を飛ばす。

 

「私が囮になるわ!二人は目標を避難させなさい!」

 

「でも隊長!」

 

「行きなさい!」

 

「っ!了解…」

 

フェルナンディアは一人その場を離れ、すでに視認できるほどの距離にいるネウロイに向かって突撃していく。

 

「ルチアナ!私が死んだら赤ズボン隊の指揮はあなたがしなさい、これは命令よ!」

 

「そんな!隊長!」

 

フェルナンディアに残酷な命令を下されたルチアナ・マッツェイは悲痛な叫びをあげる。

しかし突如インカムから先程とは違う人物の声が聞こえる。

 

『ルチアナ少尉、あなたがその命令に従う必要はない。』

 

「!」

 

インカムから聞こえてきたのは聞き慣れた男の声。

それと同時に中型ネウロイの片割れが撃墜され白い光をまき散らすのが見えた。

そこにはネウロイの死骸を無機質に眺める一人の男がいた、男はもう一体のネウロイに接近し這うように飛び銃弾を浴びせ、コアを炙り出す。

銃撃を浴びせ続けるとコアがむき出しの状態になり、男はそのままコアを打ち抜きネウロイは撃墜され白い光となって消え去った。

 

『ネウロイの撃破を確認。皆さんご無事で何よりです。』

 

管制塔から歓声と、安堵したような言葉を掛けられる。

 

「それで?どうしてあんたがここにいるのよ?私の決意が台無しじゃない。」

 

フェルナンディアは助かった喜びと少し拗ねたような感情をこめ、自身達を助けてくれた人物に問いかける。

 

「皆さんが武装を持たないまま出撃したからですよ。ミイラ取りがミイラになってはしょうがないですからね。」

 

それを聞いたフェルナンディアはグヌヌ…と唸って黙り込んでしまった。そんな彼女を無視しつつ抱えられながら飛んでいる知り合いの二人に話しかける。

 

「久しぶり、エイラにサーニャさん。なんか聞いてた人物と違うんだがどういうことだ?」

 

「うっ」

 

男は想定外の人物を睨みながらそう言うとエイラはバツの悪そうな顔をする。

 

「お久しぶりです。フフ……私のわがままなんですあんまりエイラをいじめないで下さい。」

 

「まぁ、サーニャさんがそういうなら問題ないんですが、取り敢えず基地に行きましょう。俺が護衛します。」

 

そうしてその後何事もなく501の基地にたどりつくと先ほどの戦闘の事を聞いていたのか滑走路に501の面々がそろっていた。

下の方から「ほんとに男だ」とか「飛んでる」とかいう感想が男の耳に聞こえてくる。

2人を無事に着陸させた赤ズボン隊の三人と別れを告げ男はストライクウィッチーズの面々に振り向き敬礼を行い、自分の名前を告げた。

 

「統合戦闘航空団特殊臨時隊員、白上昴、本日より501統合戦闘航空団の臨時隊員として着任いたします。宜しくお願い致します。」

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