白雪の閃光   作:おいいいいい

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年内ギリギリですよ。
今回かなりまじめな噺やふざけた部分を入れまくったので普段の二倍くらい文字数言ってました。
何はともあれ、よいお年を~!


#02 Shooting Down Queen

手を空に向かって伸ばす。

指の隙間から朝日が顔を出し思わず顔を顰める。

この基地に来て学んだことがある、それは朝の滑走路から見る朝日は格別だという事だ。

 

「いてて…、まだ腫れてるよ。」

 

俺は先日バルクホルン大尉との模擬戦で出来たまだ治りきってない痣を撫でながら一人呟く。

そんな俺に背後から近づいてくる人がいた。

 

「よっ、おはようさん。まだ治りきってないのか?」

 

「シャーリーか、おはよう。ああまだ少しな。」

 

シャーリーは俺の横に腰掛けると大きく伸びをする。

彼女は現在かなり薄着なため、伸びをするだけで大きな果実がさらに強調され目線を奪われそうになるが自重する。

 

「今日もエンジンいじってたのか?」

 

「まぁな、今から寝ようかと思ってさ。」

 

「そっか、時間までには起きろよ。」

 

そんなそっけない俺の態度に彼女は不服に思ったのか、疑問に思ったのか分からないが少し表情を曇らせ俺に問いかけてくる。

 

「なぁ、白上。私お前が欲情するとこを見たことがないんだけど。」

 

「機械を弄り過ぎて頭が可笑しくなったか?シャーロット・E・イェーガー大尉。」

 

「いや、だって普通あり得ないだろ、こんなナイスボディーの美人の下着姿を見ても興奮しないなんて。もしかして…不…」

 

「なわけないだろう。至って健全だよ。」

 

「じゃぁどうして…はっ!お前毎朝ここで過ごしてるよな、まさかサーニャみたいな胸の小さい子がいいのか!?もしかして…ロり…」

 

「違うわ!!何言いだすんだお前!」

 

突然の物言いに思わず声を荒げてしまい俺の声が静かな滑走路に響く。

因みに俺は使い物にならないわけでも異常性愛者でもない。

 

「はぁ…我慢してるだけだっての。」

 

「だったらもうちょっと顔に出してもいいんだぞ?」

 

シャーリーはそう言うと身体をウネウネとくねらせ、見せつける様に此方にすり寄ってくる、俺はそれを一目見て溜息を一つ吐いた。

 

「我慢してるのもあるが…なんというか、その、慣れた。」

 

そう、俺がいるのは普通の部隊ではなくてウィッチーズ隊なのだ、男性職員もいるにはいるが基本的には彼女たちと過ごす時間の方が圧倒的に多い。

そんな中で彼女たちもそれぞれ気を付けてくれてたようだが、所詮は彼女たちも人間であって互いに気が緩むときがある。

そう言うのが割とあって、最初のころはドギマギしていたが今となっては、ああ、そうですか。ぐらいにしか思っていない。

そんな俺の一言で察したのか、シャーリーは気色の悪い動きを止め「なんか…ごめん。」と謝ってきた。

そんな話をしているとサーニャさんが欠伸を出しながら此方に戻ってくる姿と恐らく物資を乗せた飛空艇が見えた。

 

 

 

白上は悪い奴じゃない。

それが、あいつがここに来てからの私の評価だ。

まぁ何だか私の裸同然の姿を見ても眉一つも動かさない姿には、少しだけ自尊心を傷つけられたような気がするが。

この間のバルクホルンとの模擬戦だって最終的には負けはしたがかなり善戦していたし、その前の大型ネウロイを掻き消したっていう報告が本当ならかなり使えるだろう、それに一緒に出撃したことはまだ数回ではあるがそれなりに頼りになった。

だが、あいつは空にいるときと地上にいる時で大分雰囲気が違った。

空にいるときは口調すら変わってしまうほどだ、特にネウロイと戦っているときは怒っているような、悲しんでいるような表情をする。

そんなあいつに一度何のために戦うのかを聞いたことがある。

白上は少し考えた後一言、『自由』と答えた。

『人類の自由』のためか…。そう言って戦うウィッチは多くいるし同じような感じだろうと思い話を聞いているとどうやら『人類』の為に戦っているようではなかった。

私は根底が間違っていたと思い白上に「それは『誰』の為の『自由』なんだ?」と尋ねた。

すると、「『空の自由』の為に戦っている。」と帰ってきた。

私はその言葉に少し面食らった、私も今までそれなりに色んなウィッチや兵士と会ってきたが『空』の為に戦う奴なんて見たことが無かった。

それからなぜか白上が少し心配になった。

少し枯れていたりしていて、あいつには誰か大切な人は居ないのかと、人類をどうでもいいと思っているのかと。

 

「考え過ぎかな...。」

 

「どうかしたか?シャーリー。」

 

見ていると白上が手紙を受け取る姿が見えた。

それの差出人が少し気になってふと尋ねてみた。

 

「誰からなんだ?その手紙。」

 

「あぁ…えっと、だな。幼馴染だ。」

 

そう言う白上の表情は何処か気恥しく、また嬉しそうに見えた。

その様子に先ほどまでの考えは杞憂だったなと思い、別れを告げて自室に戻った。

これは面白い物が見れそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、おはようございます。今日も早いのね。」

 

食堂で手紙の返事を書いていると、起床ラッパが鳴るのとほぼ同時に入ってきたのはミーナ中佐だ、彼女は朗らかな笑みを浮かべて朝の挨拶をする。

 

「おはようございます。中佐ほどじゃありませんよ、どうせ朝早くから書類でも片付けてたんでしょう?」

 

「そうと知っているなら手伝ってくれてもいいんじゃないかしら?」

 

「丁重にお断りさせていただきます。」

 

「あら、残念。」

 

そう言ってクスクスと中佐は笑い、俺の手元にあるものが気になったのか指さしながら尋ねてくる。

 

「手紙?誰からなの?」

 

「えーと、幼馴染からです。」

 

「幼馴染がいるのね、今は何しているの?」

 

答えようとしたところで、ドアが開かれ誰かが入ってくる。

 

「おはよーございます。」

 

「おはようございますエイラさん。」

 

入ってきたのはエイラだった。

彼女は入ってくるなり俺の手元にあるものを見つけ、顔をニヤニヤと歪ませながら此方に近づいてくる。

 

「なぁシラカミ、それって誰からの手紙ダ~?」

 

「あー…幼馴染だよ。」

 

俺は最早諦めたかのようにそう答える。

するとエイラは先ほどのニヤニヤ顔をさらに深め手紙を覗き込んでくる。

 

「なんだよ...。」

 

「どこまで行ったんダ?」

 

「どこまでってなんだよ。」

 

「わかるだろ~?件の彼女との仲ダヨ。」

 

その一言でミーナ中佐も何となく理解したのか鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。

 

「白上さん恋人がいたの!?」

 

「へッ!?ち、違いますよ!?」

 

「フフフ…中佐少し違うゾ。」

 

そうエイラが言うとミーナ中佐はエイラと同じ結論にたどり着いたのかニヤリと口角を吊り上げるのが見えた。

 

「なるほどね…。それは面白そうな話ね?」

 

「ヒッ。」

 

先程までの温和な中佐の面影は消え去り、まるで新しい玩具を見つけたかのような笑みに思わず生娘のような声を出して手紙を抱え後ずさる。

中佐とエイラは両手をワキワキと動かしながら此方ににじり寄ってくる。

向かってくるたびに後ずさる。

来る。

距離を取る。

来る。

距離を取る。

来る。

距離を…取れない。

気が付けば俺は壁に追い込まれていた。

目の前には戦場で擦り切れ、恋バナに飢えた女子(怪物)二体。

最早蹂躙されるしかないだろう。そう思い、瞼を閉じた。

 

数分後。

「まぁ…いたずらに根掘り葉掘り聞くものではないわね。」

 

残念だ。その言葉はもう少し前に聞きたかった。

 

やがて、他の人たちも起きてきて、朝食をとった後にミーティングとなり、今日の昼頃から温泉が出来るらしく、みんな喜んでいたが坂本少佐の提案でみんな揃って訓練に行くことに。俺は取り敢えず入れるようになるまで部屋で手紙の続きを書こうと思い部屋にこもることにした。

手紙を書いていると扉をノックする音が聞こえ、返事をするとバルクホルン大尉が部屋に入ってきた。

 

「すまない。何かしてたか?」

 

「手紙を少し、それで何か御用ですか?」

 

「いや、暇なら訓練に付き合ってもらおうと思ってな。用事があるなら大丈夫だ、失礼したな。」

 

「あぁ問題ないですよ、俺もちょうど身体動かそうと思ってましたし。」

 

「そうか、すまないな。」

 

「それで、今日は何するつもりなんですか?また模擬戦ですか?」

 

バルクホルン大尉とは初日の模擬戦以降気に入られたのか、たびたび訓練に誘われるようになりその中で模擬戦も数多く行ってきた、いつも俺が負けてしまうが。

 

「そうだな、基礎体力のメニューをした後にやってもいいかもな。」

 

そう言って二人して部屋を出て、取り敢えずはランニングをしようとなり、滑走路を走っているとバルクホルン大尉が此方に尋ねてきた。

 

「なぁ白上。私たちをどう思う?」

 

「えっどういうことですか?皆さんいい人だと思いますけど…。」

 

大尉の突然の問いに思わず深く考えずありきたりな言葉が外に出た。

大尉は俺のその言葉を聞くと、違う違うと首を横に振りながら続けた。

 

「私達ウィッチをどう思うかという事だ。」

 

「はぁ...?またどうしてそんなことを。」

 

「いや、気になっただけだ。ウィザードの白上から見た私達ウィッチはどう映っているのか…とな。」

 

「そうですね…どことなく申し訳なく思っています。」

 

「どうしてそんなことを思うんだ?」

 

「人類の為に戦ってくれていますから、そう思うのは自然ではないですか?」

 

「お前も人類の為に戦ってるじゃないか。」

 

「自分は人類の為に戦っているわけではありません、それが回りまわって人類の為になっているだけです。」

 

「それじゃあ何のために戦っているんだ。大切な人や故郷は無いのか?」

 

そう言う大尉の表情は何処か暗かった、きっと故郷の事と何より妹さんの事を思っているのだろう。

 

「いますよ。何なら好きな人だっています。」

 

「なら、その人のために戦おうとは思わないのか?」

 

「…昔、まだ自分が幼いころ空を翔けるウィッチを見ました、その時の自分は使命をもって空を飛ぶ彼女たちが輝いて美しく見えました。

でも、それと同時にとても羨まく思ったんです。

そうしてその日からずっと自分が飛ぶ妄想をしてたら、偶然、魔法力が発現して空を飛べるようになって、そのことが分かった時は飛んで喜びましたよ。でも、実際の空はあの日見た物とは違っていて、あの日垣間見た『自由』などなく、あるのは血と硝煙の臭いでした。」

 

「今の世界で、そんな物がしない空は限られるだろうな。」

 

「はい、実際自分が初めて配属されたアフリカでもそうでした。でも、『人類』の命運が自分にもかかっていると思い空を飛び続けました。ですが、ある日言われたんです「『人類』の為に飛ぶのはそんなにつらいか?」と。」

 

「何と答えたんだ?」

 

「「はい(Yes)」と。でも、そんな事はお見通しだったらしく豪快に笑いながら「なら自分が『失いたくない物』と『欲しい物』の為に戦え」とおっしゃって下さいました。」

 

あの時お世話になった技師を思い出す。

今でも元気に過ごしているだろうか、いや、きっと、ポルシェさんとよろしくやっているだろう。

二人の事を思い出し、口元が緩むのを感じる。

 

「『失いたくない物』と『欲しい物』か...お前は何を選んだんだ?」

 

「『空の自由』を選びました。ですから、『人類の自由』の為に戦う貴方達には申し訳なさが残るんです。」

 

「そうか…だが、戦う理由は人それぞれだ、そんな事を感じる必要は無い。」

 

そう言って大尉は俺の背中を叩きながら悪戯っぽく笑って、揶揄う様に続けた。

 

「しかし、空の為に戦うとは、酔狂にもほどがあるな。」

 

「まぁ、そうじゃなきゃそんな事考えませんからね。」

 

そう言うと二人して笑って、滑走路には俺たちの笑い声がしばらく響いていた。

 

 

 

 

 

「もう昼か、そろそろハルトマンを起こしに行かねば。」

 

訓練が一通り終わり、軽く汗を流して大尉は相部屋の部下の元に向かっていった。

その様子に二人とも大変だなーと見送ってから、自室に戻って朝の続きをすることにした。

すると、廊下が騒がしくなってきて、それとほぼ同時に部屋の照明が消えた。

どうやらこの基地では落ち着いて手紙を書くことができないらしい。

取り敢えず廊下で騒いでる面々に注意をしてくることにしよう。

 

「おーい、少し静かにして―――『こうだーー!!』――へ?」

 

その時、時が止まった気がした。

全員の視線が俺を射抜く、その線は俺の身体を締め付けるように身体の自由を奪っていく。

まて、状況を整理しよう。

現在、こちらは味方兵力0、そして敵兵力7だ、援軍は期待できないどうやって切り抜ける…。

いや、違う、考えるのはそこじゃない。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

そうして俺の脳がそのことに対する回答をくれ、息をする余裕が生まれ、俺はその僅かな隙間から自身を絡めとる線から逃れ自室に戻る。

そして時は再び動き出す。

 

「白上!?違うんだ!!」

 

「大尉、貴方がどのような癖をお持ちでも、俺は気にしませんから!!」

 

「違うと言ってるだろぉおお!!」

 

外から乙女の悲しい叫びが聞こえるが、ここは見なかったことにするのが優しさだろう。

そう思い再び筆を執り手紙を書き始める。

しばらくすると大尉もどこかに行ったのか、静かになる。

 

「やっと静かになった、これでようやく…。」

 

そう言って送られてきた手紙に再び目を通す。

 

「那佳も元気そうでよかった…。」

 

その名前を出して思わず郷愁がこみ上げる。

今思い出しても仕方ないかと、割り切り手紙を書いた。

501でのこと、そこにいるエース達のこと、その時思ったことなど割と赤裸々に書いた。

読み終わった後、これ検閲で引っかからないかな、と心配になったほどだ。

 

取り敢えずミーナ中佐に提出してこようと中佐を捜しに行くと、風呂場の辺りが騒がしく、何事かと近くにいたリネット曹長に聞くと。

 

「白上さんは見ないで下さい。」

 

と、顔を真っ赤にして、首をぶんぶんと振りながら言われてしまった。

じゃあ中佐はみませんでした?と聞くと更衣室の中を指差すので、しばらく出てくるのを待つことにした。

すると中から、パリーンとネウロイのコアが砕ける時の様な音がした気がして、曹長に聞くと。中佐がやったとのことでそれ以上の事は聞き出すことが出来なかった。

 

 

 

 

そして後日、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐は200機撃墜を称えられ勲章を授与された。

そしてその際に200機目がどのように撃破されたか知った男は笑い転げた後中佐にボコボコにされていた。

 

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