転生したら山内でした。 作:鴨の加茂
...そうか、無人島試験なんて物もあったなぁ。
まるで昨日の事の様に鮮明な記憶とはおさらばし俺にとってはこの学校で一番の試練となるであろう試験へと準備を進める。
明日は人気投票試験がある。この少し普通とは違う学校で、今まで色々あった。この世界で前世の記憶を思い出して、退学する運命に抗おうと今まで頑張った。そして、来週からもこの少し変わった学園に在籍する1人の学生として、また頑張るつもりだ。
昨日、そう決意した。だが、茶柱先生が教室へと入って来てから『オレ』の体が言う事を聞かない。まったく原作通りの動きを見せているのだ。·····まるで、ゲームとかの操作不可、拒否できないイベントかのように。
「待たせたな。これからCクラスの結果発表を行う。全員席につけ」
最初に3位、2位、1位の発表が行われた。結果は3位から櫛田、平田、綾小路の順番だった。当然、綾小路が賞賛票1位だと言われた時、『オレ』の体は、そんなの有り得ないと、ズルだと喚いた。
「そして、批判表の1位は33票獲得した生徒。残念ながらおまえだ、山内 春樹」
「さ、さんじゅうさんひょう!?」
「嫌だ!なんで、なんで俺が退学しなきゃならないんだよ!!」
「なんで、なんでなんで!なんでだよ!!こんなふざけた試験、ふざけた試験で!」
「·····どう思うのも勝手だが、この決定は取り消せないぞ山内」
「そうだ。坂柳、坂柳に聞いてくださいよ!俺に賞賛表を入れるって話だったんですよ!約束を守らないなんて、許されていいんですか!」
「その明確な約束を示すモノを、おまえは持っているのか?」
茶柱先生が問う。
「約束したんですよ!カラオケで!俺聞いたんですから!」
「信じてやりたい気持ちはあるが、それでは何の証明にもならない」
「ひでぇ、ひでぇよ·····!」
「退室だ山内」
そう言われても『オレ』は動かない、いや動けないのだろう。
「早く退室したまえよ。君の存在はもはやデリートされたのだよ」
「認めてねえよ俺は!」
「最後の最後まで君は惨めで醜く、救いようのない不良品というわけか」
高円寺が執拗に煽り、挑発をしてくる。
「あああああああああああああああ!!」
座っていた椅子を握り、高円寺に向かって突進する。そして、振り上げた両腕を高円寺に勢いよく振り下ろす。
だが、高円寺は軽々と椅子の足を掴み振り下ろしを阻止
すると、強引に『オレ』を引き寄せる。
「私に殺意を向けたんだ。何をされても文句は言えないよ?」
「そこまでだ」
茶柱先生が教壇を離れ、こっちに向かってくる。そのまま『オレ』は職員室に連れて行かれるのだろう。
「山内、これ以上は─────」
だが、なんの前触れもなく。
突然、茶柱先生の声がぴたりと止まった。いや、声だけではない。此方に向かう先生自体が静止していた。まるで時間が止まったように。
「··········え?」
しかし、俺にとっては二重の驚きだった。
「声が·····出せる?」
そう、俺以外の全てが時間が止まったように固まったが俺だけは逆に、意識通りに体が動き、喋れたのだ。