ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 次はサードシーズンと約束したな。アレは嘘なので初投稿です。


セッションその13 いんたーみっしょん その1

あ、お疲れ様です万知神さん! お役目ご苦労様でした!!

 

 いや~、正道(ルタ)神さんと奪掠神(タスカリャ)さんが盤外への逃走を防いでいる間に、信徒に成りすました本()を捕縛するとは……流石のワザマエ! この無貌の神(N子)、敬服致しました!!

 

 騒ぎを起こした当の本()は……むう、呆然自失って感じですねぇ。

 

 本来ならサークル会員神格(資格)剥奪の上、出禁にして二度と四方世界に干渉出来なくするところですが……どうせまた同じような手口を使って"啓示(掲示)"板経由で信徒を探すでしょうからねぇ。

 

 

 

 はてさて、どうしたものか……おや? ≪幻想≫さん、何か良い意見をお持ちのようで。

 

 ふむふむ、成程……いいですねぇ! 出禁にするよりよっぽど効きそうです。その手でいきましょう!!

 

 さ~て死灰神くぅ~ん? キミには特等席を用意しようじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 キミの独り善がりの我儘がどれだけ害悪であったか。キミが干渉しないだけで物語(キャンペーン)がどれだけ面白くなるのかを、目を逸らさずに見続けたまえよ。

 

 


 

 

 ヤレばデキる、それが世界の真理な実況プレイ、はーじまーるよー。

 

 前回、称号(トロフィー)【辺境最悪】を獲得したところから再開です。

 

 陛下から直々に【辺境最悪】の異名を認められたことで、ダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)の認知度も急上昇。辺境の街を中心に、周囲の環境も大きく変化してまいりました。状況説明を兼ねて、その辺りからお話しさせていただきましょうか!

 

 

 

 まず、砂漠の国に赴く前に話していたお引越しですが、当初の予定より遅くなったものの無事に完了いたしました。ゴブスレさんに購入してもらっていた土地を借りて、遣い手が限られるもののクッソ便利な≪死王(ダンジョンマスター)≫でポンと建設。触媒として必要な財貨は、銀髪侍女さんが砂漠の国から戻ってきた際に赤竜が貯め込んでいた財宝を、依頼の報酬の一部として療養所建設のコストと合わせて丸投げしてくれたのでそれを使わせてもらうことに。勿論マジックアイテムやご禁制の品には手を付けず、金貨や宝石を使用したのでご安心を。それらは剣の乙女ちゃんと魔女パイセンが鑑定の上、ヤベーイ代物は纏めて知識神の文庫(ふみくら)に投げ込まれていました。

 

 

 

 次に一党の新たな拠点となる新居についてですが、大まかには今まで住んでいた街中の屋敷をアップグレードした感じですね。

 

 寝室はダブル吸血鬼ちゃん用の大部屋2つに加え、個人用兼来客向けの個室を多数配置。もちろん全部屋冷暖房完備です。また、基礎が≪迷宮(ダンジョン)≫であることを最大限に悪用し、何処からか湧いて来る豊富で清潔な水をふんだんに使用できる大浴場とキッチンを女性陣の強い要望もあってダブル吸血鬼ちゃんが設置。おまけに()()()()()のことを考慮して、遮音性に優れた部屋も新たに設けられました。……はい、視聴神さんたちの予想通り、待望の赤ちゃんが誕生いたしました!

 

 

 

 賢者ちゃんと女魔法使いちゃんの緻密な計算に基づいた正確な魔力供給により、綺麗に出産予定日を揃えていたお母さん候補の3人。多数の神官の仲間たちが見守る中、半日ほどの時間差で全員無事に出産を終えることが出来ました。

 

 赤ちゃんが産まれた順番は早いほうから妖精弓手ちゃん、叢雲狩人さん、若草知恵者ちゃん。奇しくも子を宿したのとは逆順になってますね。一番最初に愛の結晶を宿していた若草知恵者ちゃんを差し置いて長子を出産した妖精弓手ちゃんが何とも申し訳なさそうにしていましたが……。

 

 

妹姫(いもひめ)様、どうかお気になさらず。妹姫様が長子をお産みになられたほうが古老の皆様も納得されますでしょうし、将来お義母様(半森人夫人さん)の下へ養子に出すことになった際にも問題にはなりにくいでしょう。それに……」

 

 

 自分と同じ銀に近い白髪に一房混じった金の流星を持つ我が子を愛おし気に撫でつつ、嫋やかに微笑む若草知恵者ちゃん。そっと妖精弓手ちゃんの抱く赤ちゃんに手を伸ばし、その頬に優しく指をなぞらせて……。

 

 

「産まれた順番などでこの子たちに注がれる愛は決して変わることはありません。みんな同じ、愛しき私たち全員の子どもで御座いますから」

 

 

 ……うん、強くなりましたね、若草知恵者ちゃん。これが母親になるってことなんでしょうか。

 

 

 

 

 

 

「だいじょうぶ? いたかったりへんなところはない?」

 

「大丈夫よ、みんながしっかり癒してくれたもの!」

 

 

 幸せいっぱいの笑顔で赤ちゃんを抱く妖精弓手ちゃんを心配そうに眺める吸血鬼君主ちゃん。ケロっとした顔の本人に対し、立ち会っていた神官のみんなは一様に安堵の表情を浮かべています。

 

 今回お母さんになる3人が全員森人(エルフ)という出自。外見からも想像出来ると思いますが、その美しい容姿に比して出産が与える母胎への影響は強く、華奢な身体へ掛かる負担は只人(ヒューム)よりもはるかに大きいものになってしまいます。

 

 いざという時に備えて帝王切開の準備はしていましたが、幸いにも3人とも自然分娩で出産を終え、それに伴う裂傷と皮膚の弛みは治癒の奇跡で綺麗に治され全員魅惑のプロポーションを取り戻していますね。

 

 

「ハイエルフにしてはちょっとみみがみじかい………?」

 

「たしかに先端が少し丸いかしら? フフ、きっとシルマリルに似たのよ。ほら、そっくり!」

 

 

 初乳を飲み終わって微睡む赤ちゃんの耳。森人(エルフ)よりはずっと長く、上の森人(ハイエルフ)にしてはちょっぴり短めの長耳は妖精弓手ちゃんの言う通り吸血鬼君主ちゃんによく似ています。頭頂部にピョコンと生えたアホ毛と授乳の際にチラッと見えた瞳の色も吸血鬼君主ちゃんと同じ色ですので、成長したら2Pカラーの妖精弓手ちゃんみたいになるかもしれませんね!

 

 

 

 

 

 

「えへへ、おつかれさま。……ぶじにうんでくれてありがとう」

 

「思っていたほどの痛みは無かったからね。ご主人様が望むならすぐにでも2人目を……痛っ!? 冗談だよ義妹(いもうと)君、流石の私も暫くは育児に専念するつもりだってば」

 

「冗談には聞こえなかったわよ馬鹿義姉(ばかあね)。貴女もそんなポンポン森人(エルフ)を増やすんじゃないわよ?」

 

「は~い!」

 

 

 おやおや、ベッドで上体を起こしていた叢雲狩人さんと彼女を後ろからあすなろ抱きしていた吸血鬼侍ちゃんが女魔法使いちゃんに怒られちゃってます。2人の愛の結晶は女魔法使いちゃんのたわわに顔を擦り付けながらスヤスヤと夢の中。この子は左右の耳上の髪が吸血鬼侍ちゃんと同じ色になってますね。

 

 産まれた時に産声を上げなかったために立ち会ったみんなが焦っていましたが、叢雲狩人さんがおもむろにおっぱいを含ませると即座に上機嫌でちゅーちゅーし始めたあたり将来大物になる予感がします。

 

 


 

 

 そんな感じで無事に出産というイベントを終わらせたダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)。育児経験など無い集団でしたが、そこは若草祖母さんが全面的にバックアップ。特殊な環境である血族(かぞく)構成を考慮し、ローテーションを組んで赤ちゃんに向き合っていくことになりました。資産的には十分潤っているのであくせく稼ぐ必要はありませんが、訓練場での指導や勇者ちゃん一行から呼び出される可能性もありますので、最初からチーム戦で育児に臨むつもりのようです。

 

 現状自宅に常駐しているメンバーは吸血鬼5人、森人(エルフ)が4人(2000歳児含む)に兎人(ササカ)が1人の合計10人。これを吸血鬼とそれ以外を組ませる5組に編成し、行動の際の基本単位として考えることに。昼と夜に1組ずつが育児に専念し、残りの3組のうち1組が訓練場に教官役として出勤。後の2組は緊急時に備えての待機兼休息組として、牧場のお手伝いや息抜きのデートなんかにお出掛けするみたいです。

 

 あ、ちなみに吸血鬼ママたちのおっぱいを赤ちゃんが飲んで平気なのかという疑問があるかと思いますが、賢者ちゃんが実際に味わったりして分析したところ「純粋な生命力の塊なので栄養源としては見做せないのですが、生物としての(レベル)を上げるには非常に効果が高いのです………ちゅー」とのことですので、森人ママたちのおっぱいの補助として飲ませるのはOKみたいです。

 

 また、以前銀等級カップルたちの赤ちゃんには暫く近付くなと言われていた吸血鬼が傍に居て良いのかという点ですが、既にダブル吸血鬼ちゃんの因子を持っているので平気とのこと。ついでにそろそろあっちの赤ちゃんにも近付いて良いとのお達しが出ましたので、これからも続くであろう冒険者カップルから誕生した赤ちゃんの集団保育が捗りそうですね!

 

 お、ちょうどリビングに今日のローテーションが貼ってありますのでちょっと見てみましょうか! どれどれ……?

 

 

担当①担当②
昼番若草祖母さん剣の乙女ちゃん
夜番妖精弓手ちゃん吸血鬼君主ちゃん
お仕事叢雲狩人さん【ギルド訓練場】令嬢剣士さん【ギルド訓練場】
お休み若草知恵者ちゃん【自宅待機】女魔法使いちゃん【療養所】
お休み白兎猟兵ちゃん【畑に行ってきます!】吸血鬼侍ちゃん【野良魔神退治】

 

 

 ふむふむ……。お仕事組は訓練場で教官、白兎猟兵ちゃんは弟妹たちのところへ行っているみたいですね。吸血鬼侍ちゃんが赤文字ということは、ギルドからの緊急依頼ですっ飛んでいったんでしょう。女魔法使いちゃんは療養所へ。リハビリ中の冒険者たちに今後の身の振りについて聞きに行ったのかな?

 

 

 

 さて、リビングの様子は……と。ほほう、若草祖母さんの子守歌が響いてますね。赤ちゃん3人と一緒に夜番の2人もソファーで寝息を立てています。普段は活発に飛び回っ(バクシンし)ている風の精霊たちも、その美しい旋律に身を任せ、気持ちよさげにゆったりと宙を漂っているみたいです。

 

 

「流石おばあ様の子守歌、妹姫(いもひめ)様と主さまも気持ちよさそうに寝ていらっしゃいますね」

 

「うふふ、年季が違いますから。……ごめんなさいね? ()()お乳が出ない私のために家に残ってもらっちゃって」

 

「そんな、どうかお気になさらず。今日はお天気も良いですし、ゆっくりと日向ぼっこでもと考えておりましたので」

 

 

 せっかくのお休みなのに、と頭を下げる若草祖母さんに微笑みを返す若草知恵者ちゃん。そういえばおっぱい出ませんものね、若草祖母さん。……なんか不穏当な発言が聞こえたような気もしましたが。

 

 

森人(エルフ)の年長者の方の目から見ても、それほどまでに魅力的に映るのでしょうか、共に永遠を歩んでくれる存在というものは……」

 

「そうですね……。森人の長い人生、その中で自分よりも長く生きてくれる存在というものに私たちは強く惹かれてしまうのです。上の森人(ハイエルフ)の方々との身分違いの悲恋が恋物語として人気がある理由も、その性質(サガ)にあるのでしょう」

 

 

 もっとも、自分よりも儚い存在に心惹かれる者もおりますので全員がそうというわけではありませんが、とお茶の用意をしていた剣の乙女ちゃんの問いに答える若草祖母さん。

 

 

「私もあと何年生きられるか……というのは冗談ですが、氏族の務めを後任に託し、1人の女として自由に生きられる時間を得ることが出来ました。そんな時にこの子たちを見てしまったら……ね?」

 

 

 ソファーから吸血鬼君主ちゃんを抱え上げ、膝上に乗せながらその場に座る若草祖母さん。今まであった支えが無くなりもたれかかってきた妖精弓手ちゃんを肩口で受け止め、その頬を優しく撫でています。

 

 

「何れ人はその版図を広げ、森へと迫って来る日が訪れます。その時に両者の間に仲介者として入り込むことが出来る中立的な立場の存在を用意しなければ、混沌の勢力が付け入る隙を生み出してしまうことになりかねません」

 

 

 おそらく陛下もそれを考えて貴女たちを取り立てているのでしょうと語る若草祖母さん。万が一放蕩貴族(アホボン)たちのような輩が台頭し、自浄作用を超えて王国が腐敗するようなことがあれば、その大樹を切り倒す役目を担うのをダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)に期待しているのかもしれません。義眼の宰相あたりがこっそり考えていそうな気がしますね……。

 

 

「その為には、人間社会から侮られない程度の力を持ち、尚且つ混沌の勢力よりも大きな脅威として認識されないよう力を抑えなければならない。……難しい問題ですね」

 

 

 細い指を顎に沿えて考え込む剣の乙女ちゃん。内々に聞かされていることですが、数年後に≪死の迷宮≫があった城塞都市に貴族として封ぜられるのはそれを見越してのことなのでしょう。北方からの脅威に対する王国の盾となり、人界の守護者としての立場を確立することで迫害や脅威論を逸らすつもりなのかもしれませんね。

 

 

「まぁそれでも人間社会から排除しようとするのなら、その時はみんなで森人(エルフ)の森へお引越ししましょうか。可愛い孫や曾孫たちに手を出すつもりでしたら、私も遠慮は致しませんので♪」

 

 

 にっこりと笑う若草祖母さんですが、その瞼の奥の瞳は笑ってないんだろうなぁ……。吸血鬼と森人の長生者(エルダー)タッグに刃を向けられたら大変ですし、只人(ヒューム)が勝っている繁殖力に関しても豊穣の霊薬を用いることで解決出来ちゃいますし。倫理的にどうこうという話は絶滅戦争時にはナンセンスですからねぇ……。

 

 

「んにゅ……でも、ぼくはなるべくみんなとなかよくしたいの。ちょっときらわれても、こわがられてもへいき、【へんきょうさいあく】だから。……ナメられたら、わからせるかもだけど」

 

「主さま、聞いていらしたんですか……」

 

 

 おや、いつの間にか目を覚ましていたんですね吸血鬼君主ちゃん。くぁ~と欠伸をした後に若草祖母さんの控えめなお山に顔を擦り付け、柔らかな感触を堪能。そのまま喉元から頬へと滑るように顔を持ち上げていき、長耳へと到着した後に……。

 

 

 

 

 

 

「つぎのおやすみのとき、おばあちゃんのぜんぶがほしい。……だめ?」

 

「うふふ、こんな年寄りを堕とそうだなんて悪い子。おばあちゃんはとっても嬉しいのですが、ちょっとタイミングが良くなかったですよ?」

 

「ふぇ? ひぁぁ!?

 

「子どもを産ませたばかりの女の前で当人のおばあちゃんを口説くとは、なかなか良い度胸してるじゃないシルマリル。ほら、貴女もなんか言ってやりなさいよ」

 

 

 

 若草祖母さんに顔を寄せて愛を囁いた吸血鬼君主ちゃんの耳を甘噛みしながら青筋を立てているのは寝ていた筈の妖精弓手ちゃん。若草知恵者ちゃんのほうに吸血鬼君主ちゃんの顔を無理矢理曲げながら追撃を求めています。暫くあわあわしていた若草知恵者ちゃんですが、意を決したように真っ赤な顔で口を開きました!

 

 

 

 

 

 

「あの、おばあ様とする際には、是非私も一緒に可愛がってくださいませ!!」

 

「えっと、その。……うん、きみがいいのなら……」

 

「……いや、まぁ、当人がそれで良いってんなら何も言わないけど……えぇ……?」

 

 

 

 

 

 

 違う、そうじゃないという顔をしている妖精弓手ちゃんに、まぁ積極的ねぇと頬を染める若草祖母さん。まさにこの祖母にしてこの孫娘ありという感じですね……。

 

 


 

 

「――で、()()は何処まで本気だったのかしらシルマリル。ふざけてたら怒るし、本気ならその理由を教えて頂戴?」

 

 

 爆弾発言が飛び出たその日の夜、遮音性の高い赤ちゃん部屋で夜番の2人が顔を突き合わせています。おなかが空いて泣いていた子におっぱいを飲ませ終わった妖精弓手ちゃんが使用済みおしめを≪浄化(ピュアリファイ)≫で綺麗にしていた吸血鬼君主ちゃんを後ろからハグし、顔を合わせずに耳元で囁いています。口調とは裏腹に全く怒ってはおらず、恐らく理由も判った上での質問みたいですね。

 

 

「えっとね、おばあちゃんからのこういのぜんぶがぜんぶあいじょうってわけじゃじゃないのはわかってるの。エルフのせいぞんいきをまもりたいってきもちもあるし、かわいいまごむすめのたちばをかくりつしたいっておもってるのも、ほんにんからちょくせつおしえてもらったの」

 

「でも、ぼくたちをすきっていうきもちはほんものだし、みんなをあいしてくれているのもほんとうなの。ずっとむかしにあいするひとをうしなって、さびしいきもちをかくしてふるまってきたのもたしかなの」

 

 

 

「だから、ぼくがささえになってあげられるなら、かのじょのきもちにこたえてあげたいの」

 

 

 

「――『療養所にいる女の子たちも含めて、全員纏めて幸せにしてあげる』な~んて考えだったら、思いっきり引っ叩いてやるつもりだったんだけどなぁ……」

 

 

 抱えていた吸血鬼君主ちゃんをくるりと半回転させ、互いに向き合う形に抱え直した妖精弓手ちゃん。そのまま休息用のベッドに倒れ込み、不安そうな目を向けている吸血鬼君主ちゃんの前髪を掻き上げ、おでこにそっと口付けをしました。

 

 

「シルマリルは()()()()()()()。残酷だけど、シルマリル1人に全ての人を救うことなんて出来ないわ。いろんな人の力を借りて、たくさんの困難を乗り越えて、それでやっとここまで漕ぎ着けたくらいなんだから」

 

 

 それはヘルルインも一緒よ? と続ける妖精弓手ちゃん。どんなに強い力を持っていても、決して力では解決できない問題はいくらでも転がっていますからね。貧困とその化身がラスボス、自然の驚異が裏ボスとはよく言ったものです。

 

 

「シルマリルがそれを理解して、際限無く救いの手を差し伸べたりしないのなら、新しい()を引っ掛けて来ても歓迎するわ。だってその娘はシルマリルにしか救えないってことだもの。もちろん、普通に恋する乙女だったりしても認めてあげなくはないけど……」

 

「えっと、その……ごめんなさい?」

 

 

 変なのに限ってシルマリルとヘルルインに惹かれちゃうんだから、と溜息を吐く妖精弓手ちゃん。謝るんじゃないわよと想い人の頭をグリグリ撫でてますが……あんまり人のことは言えないんじゃないですかねぇ?

 

 

「愛を交わすのも良いけど、無暗に眷属や子どもを作るのも考えものよ? 産んだばかりの私が言うのもアレってことは判ってるけど・・・・・・。まぁそのあたりはおっぱい眼鏡にしっかり監督してもらうつもりだけどね」

 

 

 あ、兎ちゃんは例外よ? ヘルルインといっしょに目一杯()()()()()あげなさいと笑う妖精弓手ちゃん。現状一党(パーティ)で唯一定命の存在から外れることを望んでいない子ですからねぇ。かわりにたくさんの子どもを授かって、子々孫々ずっとダブル吸血鬼ちゃんたちに寄り添って生きていくのが夢みたいなので。愛し方も人それぞれ、愛の形を決めるのも本人次第ということなのでしょう。

 

 

 

 赤ちゃんたちの息遣いと妖精弓手ちゃんの呼吸音だけが静かに響く室内。赤ちゃんがぐずったらすぐに対処出来るようクッションにもたれかかった姿勢で吸血鬼君主ちゃんの頭を撫でていた妖精弓手ちゃんですが・・・・・・。

 

 

「……今日はみんなあんまり飲んでくれなかったわね。……シルマリル?」

 

「いいの? ……はむ……んちゅ……」

 

「んっ……全部飲んじゃダメよ? 後で欲しがる子がいるかもしれないから」

 

「ふぁい……ちぅ……ちゅ~……」

 

 

 う~んこの甘々カップル。赤ちゃんが寝ている僅かな時間に始まった2人のいちゃつきは、太陽神さんが東の空に顔を見せるまで続くのでした・・・・・・。

 

 


 

 

「ふわぁ…………おはよ、みんな」

 

「おはよう。2人とも夜番お疲れ様、朝食出来てるわよ」

 

 

 夜明けとともに赤ちゃんを抱きかかえてリビングへと姿を現した2人をエプロン姿の女魔法使いちゃんが迎えてくれてますね。既に朝食を済ませた叢雲狩人さんと若草知恵者ちゃんに翼で包んでいた赤ちゃんを返して吸血鬼君主ちゃんは外へ飛び出して行っちゃいました。今日もお天気が良いので、太陽神さんから日光浴で生命力を分けてもらいにいったんでしょうね。ねむねむおめめの妖精弓手ちゃんも赤ちゃんを剣の乙女ちゃんに預けて朝食に取り掛かっています。

 

 

「あふぅ………今日の予定はどんな感じだったかしら?」

 

「今日は育児担当以外の皆様で牧場の収穫のお手伝いで御座います。春まきの人参と甘唐辛子(ピーマン)、それに蕃茄(トマト)が綺麗に色づいておりました」

 

蕃茄(トマト)! 良いわねぇ、もぎたてが堪らなく美味しいのよアレ」

 

「人参も甘くて美味しいですよ! そのままでもじっくり焼いても楽しめます!!」

 

 

 妖精弓手ちゃんと白兎猟兵ちゃんのテンションが良い感じに高まってますね。お天気も良いですし、せっかくだから赤ちゃんも一緒に連れて行こうという話になったみたいです。精霊術師たちが精霊さんに温度調節をお願いし、移動式寝台(ベビーカー)に日除けを被せて熱対策もバッチリですね!

 

 

 そんな感じで朝食を終え、農作業の準備に取り掛かっていた一行ですが・・・・・・おや、なんだか外が騒がしいですね?

 

 長耳をピコピコさせている森人(エルフ)兎人(ササカ)、それに常人を遥かに超える聴覚の吸血鬼ばかりなみんなの前に、背中に吸血鬼君主ちゃんを背負った兎人の女の子が玄関を蹴破る勢いで現れました! 毛並みと体格から考えて次女ちゃんだと思うおちびさんが息を切らせながら叫んだのは・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつらうさぴょいしたんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 




 こんなのセッションじゃないわ、ただのいんたーみっしょんなので失踪します。

 話数が3桁の大台に乗り、多くの方に感想や評価、お気に入りをして頂き非常に嬉しく思っております。もしまだの方がいらっしゃいましたら、お気に入り登録していただけると幸いです。

 また誤字、脱字につきましても教えていただき非常に助かっております。こちらは減らすよう頑張りたいと思いますが、また見かけるようでしたらお声かけいただければ助かります。

 お読みいただきありがとうございました。
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