ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 初投稿からちょうど1年なので初投稿です。

 1年で約85万字。ここまで継続出来たのは、読んでくださる皆様のおかげで御座います。

 まだまだダブル吸血鬼ちゃんたちの冒険は続きますので、お付き合いいただければ幸いです。




セッションその13.5

 推しにスパチャを投げつける実況プレイ、はーじまーるよー。

 

 

 前回、これはこれで冒険な日常をお届けしたところから再開です。

 

 

 ほのぼの牧場ライフから冒険組に視点を移してみれば……お、ちょうど目的地である集落が見えてきたみたいですね。急ぐ必要のない冒険のため、車内で一泊しゆっくりと山道の景色を楽しんでいたようです。

 

 

「おお! これはこれは、毎年お世話になっております」

 

「こんにちわ! ゴブリンをみたり、なにかたりないものがあったりしない?」

 

 

 冬の緊急輸送ですっかり顔馴染みになった村長と吸血鬼君主ちゃんが挨拶を交わしています。小鬼聖騎士(パラディン)の一件以来ゴブリンたちが姿を見せることも無く、たまに獣が迷い込んで来る程度ということで、村の状況は悪くないみたいです。一晩の宿をお願いしたところ、以前作戦会議に使用した酒場を快く貸してくれました!

 

 


 

 

「――皆さん、久しぶりですわね」

 

 

 馬車を酒場に横付けし、荷解きを済ませた一行。吸血鬼君主ちゃんのインベントリーから取り出した花束を墓前に供え、令嬢剣士さんがそっと石碑に刻まれた名前に指を滑らせています。後ろに控える吸血鬼君主ちゃんたちも厳かな雰囲気に身を包み、冒険半ばで斃れた彼らに敬意を表していますね。

 

 

「あれから、たくさんの冒険に赴きました。混沌の勢力、異世界からの侵略者、同じ人間を食い荒らす(ケダモノ)の群れ……。様々な敵と対峙し、一党(パーティ)の仲間や協力して下さった皆様のおかげでそれらを退けることが出来ましたの」

 

 

 かつての仲間たちに語り掛けるように、自分が歩んできた冒険の思い出を紡ぐ令嬢剣士さん。楽しかったこと、辛かったこと、どれもみんな大切な記憶です。

 

 

「人界の守護者にして秩序の護り手たる栄纏神(えいてんしん)の神官としても認められ、永遠を添い遂げる方と結ばれることも出来ました。(わたくし)は、本当に幸せ者です……」

 

 

 眦に涙を浮かばせながら、心の内を明かす令嬢剣士さん。僅かに震える手で腰に佩いた家宝の短剣に手を伸ばし、しゃりん……と音を立てて抜き放ちました。

 

 

「未熟な私と冒険を共にしてくださった皆さんに、改めて誓いますわ。人の道から外れ、後ろ指を指されることになろうとも、私は人の営みを護り、人界を侵す者たちに立ち向かう戦士と共に戦うことを!」

 

 

 高らかに宣言しながらトレードマークのツインテールに刃を当てる令嬢剣士さん。左右二筋の剣閃が煌めき、山の涼やかな風に乗って金糸が舞い上がりました……。

 

 

 

 

 

 

「すみません、私の自己満足にお付き合い頂いて……」

 

「何を言う、自らの心にケジメをつけるのは重要な事だ。此処にそれを嗤うヤツが居るとでも思っているのか?」

 

 

 頭を下げる令嬢剣士さんに対し、腕組みをしながらぷんすこと怒る女騎士さん。他のみんなも同様の表情を浮かべていますね。彼女1人を残して全滅してしまった一党(パーティ)、悲しいことではありますが、冒険者にとってはありふれた話でもあります。実際自分だけが生き残ってしまったというサバイバーズ・ギルトに耐え兼ねて、冒険者を辞めてしまう者も多いみたいですし。お、判ってはいるのですが……と俯いてしまった令嬢剣士さんに、そっと近づく小さな姿が……。

 

 

「おとなっぽいかみがたになったね。とってもよくにあってるし、ぼくはすきだよ」

 

頭目(リーダー)……」

 

 

 下から顔を覗き込むような視線とともに差し出された両手、令嬢剣士さんに抱き上げられた吸血鬼君主ちゃんが彼女の頭を優しく平坦な胸元に抱き寄せています。

 

 

「まえのなかまのことは、たいせつにおぼえててあげてね? それがきっと、ともにたたかうみんなをすくうちからになってくれるから。それに……」

 

 

 ぎゅっと視線を遮っていたハグを解き、自らの背後を示す吸血鬼君主ちゃん。令嬢剣士さんの目に飛び込んで来たのは……。

 

 

「ああもう、そんな顔をしないでくれたまえ。思わず抱きしめたくなってしまうじゃないか」

 

「ふふ、もう抱きしめてますよね?」

 

「ちょ、なんですのいきなり……むぎゅっ!?」

 

「おあ~……」

 

 

 叢雲狩人さんと大人モードの剣の乙女ちゃん、一党(パーティ)の高身長一位と二位に吸血鬼君主ちゃんごと抱きしめられた令嬢剣士さんが目を白黒させています。押し寄せるたわわにご満悦な吸血鬼君主ちゃんが剣の乙女ちゃんに回収され、フリーになったところを叢雲狩人さんに頬擦りされちゃってますね。

 

 

「うむ、仲良きことは美しきかなというヤツだな!」

 

「……なんか違わなねェか?」

 

 

 満足そうに頷く女騎士さんの隣で首を捻る重戦士さん。女性たちの姦しい笑い声は猫可愛がりされることにキレた令嬢剣士さんが≪稲妻(ライトニング)≫を乱射するまで続くのでした……。

 

 


 

 

「――っはぁ。これは、いいお湯ですね……」

 

 

 夜の帳が降りた頃、剣の乙女ちゃんの艶やかな吐息が響いています。村人たちの好意で貸切りにして貰った温泉に浸かりに来た一行、じんわりと身体に感じる外気とは異なる温かさ、その快感にみんな目を細めていますね。……まぁ、快感の要因はそれだけでは無さそうですが。

 

 

「いっしょにはいればよかったのにね……んちゅ」

 

「ふふ、無理を言ってはいけないよ。殿方には矜持(プライド)というものがあるのだから。それよりも……どうかなご主人様? たしか森人(エルフ)のお乳は味わったことが無かったと思うのだけれど」

 

「ん……おゆであっためられて、すごくあまい……ちゅる……もうちょっとすってもいい?」

 

「もちろんだとも。赤ちゃんのぶんまで飲んでくれて構わないからね……んっ」

 

 

 湯に浸かった叢雲狩人さんの腿上に横座りした体勢で、たわわに口を付けたまま疑問を呟く吸血鬼君主ちゃん。どうやら混浴のつもりで重戦士さんを誘ったようですが、馬鹿言うなと真っ赤な顔で断られちゃったみたいです。こんなこともあろうかと持ってきた湯浴衣(ゆあみぎ)が使えずしょんぼりしていた吸血鬼君主ちゃんでしたが、今では叢雲狩人さんのたわわとそこから湧き出るミルキィなママの味に夢中になっていますねぇ。

 

 

「まったく、頭目(リーダー)ったら。帰ったら先輩に言いつけますわよ? それにしても……」

 

 

 湯に浮かべた木桶に手のひらサイズの使徒(ファミリア)を入れ、一緒に温泉を楽しんでいた令嬢剣士さん。ちゅーちゅー真っ最中の叢雲狩人さんとそれを興味深そうに眺めている女騎士さんの一糸纏わぬ姿をまじまじと見つめています。

 

 

「お二人とも、とても一児の母とは思えませんわね……」

 

「そうかな? 妹姫(いもひめ)様も義妹(いもうと)ちゃんも変わらないからこんなものだと思っていたのだけどね」

 

「うむ、普通は体型が崩れたり色素が定着するものらしいが。おそらく産後にかけられた奇跡にそういったものを防ぐ効果もあったのでは無かろうか」

 

 

 未だちゅーちゅーしている吸血鬼君主ちゃんを挟んで互いを見合う2人のママ。令嬢剣士さんの言う通り、出産前と変わらぬ……むしろ色気を増したプロポーションは同性にすら目の毒になりそうなほど。訓練場にて薄着で指導を受けている新人冒険者たちにはちょ~っと刺激が強いかもしれませんね。 

 

 

「それに、私たちよりも見ておくべき相手がいるだろう?」

 

「……いえ、アレは最早そういった段階を超越した何かですわ」

 

 

 女騎士さんの指差す先に視線を向け、ほぅと溜息を吐く令嬢剣士さん。温泉から受けるのとは違う熱によって頬を上気させ、必死に目を逸らそうとしていますが、本能がそれを許さず食い入るように見つめてしまうのは……。

 

 

 

「あの、そんなに見られると恥ずかしいのですが……」

 

 

 湯に浮かぶ2つの果実と、温められて仄かに朱に染まった艶めかしい輝きを放つ肌。かつてゴブリンによって刻まれた傷跡はトラウマと一緒に全て消え失せ、そこにあるのは見る者の理性を狂わせる極上の柔肉。食い入るように見つめて来る女性たちの視線に恥ずかしそうに身を捩り、淡く色づいた果実の先端を手で隠す剣の乙女ちゃんの肢体に全員が生唾を飲み込んでいます。

 

 

「うむ、私も同性を押し倒してむしゃぶりつきたくなったのは初めてだな。……心配するな、冗談ではないが本気でも無いぞ?」

 

 

 下からの圧に気付き女騎士さんが見れば、そこには叢雲狩人さんのたわわに口を付けたままじっと見上げている吸血鬼君主ちゃんの不安げな視線。くしゃりと前髪を撫でながら女騎士さんがその気はないと告げると、ホッと安心したみたいですね。ちゅーちゅーするのに満足したのか先端から口を離し、先っぽに残った雫を舌でペロリと舐め取った後に何度も口付けを落としています。ちゅっちゅっという小鳥のさえずりのような音とともに繰り出されるお礼に対し、叢雲狩人さんが身を委ねたまま余韻に浸っていましたが……。

 

 

「さて、満足したところで……次はご主人様が2人にちゅーちゅーされる番だよ?」

 

「ちゅっ……ちゅっ……ふぇ?」

 

 

 そう宣言するや否や、くるりと吸血鬼君主ちゃんを回転させる叢雲狩人さん。後頭部をたわわに預ける形で水面に仰向けに身体を浮かび上がらせ、細い両手を脇に挟んでしっかりとホールド。上半身をロックされた吸血鬼君主ちゃんが事態が呑み込めずに動けないところで、そっとにじり寄る2つの影。水面に漂う肢体を支えるように、剣の乙女ちゃんと令嬢剣士さんが近付いてきました。

 

 

「明日は長時間の飛行(フライト)が予想されますので、今夜はしっかりと補給(チャージ)させて頂きますわ……」

 

 

 右手で小さな背中を支え、左手で鳩尾の辺りを撫でながら平坦な胸に口付けの雨を降らせる令嬢剣士さん。突然のくすぐったさに身を捩ろうとする吸血鬼君主ちゃんですが、気付いた時には下半身も拘束されております。お腹の下に感じる暴力的な柔らかさに、快感でグッと反りそうになる首を無理矢理曲げて視線を向けて見れば……。

 

 

「ん……ちゅっ……ふふ。さぁ、早く魔剣を抜いてください……」

 

 

 両脚の間から一党(パーティ)最大のたわわを想い人の肢体に乗せ、獲物を丸呑みする蛇のように舌を這わせる剣の乙女ちゃんの姿が。空いた両手で脇腹や太股など敏感なところを刺激され、こみ上げる快感に身を動かすことも出来ずひたすら昇って行く吸血鬼君主ちゃん。やがて3人の()()()に耐え切れず……。

 

 

「おお……。あいつのだんびらには及ばずとも、小さな体躯に不釣り合いなほどの一振り。流石魔剣と呼ばれるだけのことはある……!」

 

「ふふ、だろう? しかも得物に振り回されたりせず、しっかりと使いこなしているからね。みんなご主人様の剣捌きに夢中になってしまうのさ」

 

「やあぁ……はずかしいよぅ……っ」

 

 

 半ば強引に抜かされた魔剣をまじまじと見つめられ、羞恥心で顔を真っ赤にしている吸血鬼君主ちゃん。フンスとドヤ顔をしている叢雲狩人さんの隣で女騎士さんが魔剣の大きさに感嘆の声を漏らしています。逃亡の意思が無いと判断されたのか、解放された両手で顔を覆っている吸血鬼君主ちゃんを見て、眷属2人の目に肉食獣の光が宿り始めてますね……。

 

 

「温泉に魔力が混入してはいけませんので、今夜はこちらで失礼します……はむ……」

 

「では私は此方から。頭目(リーダー)、痛かったら手を上げてくださいね……ちゅ……」

 

「おあ~……」

 

 

 懇々と湧き出る温泉から発生するものとは違う水音と、合間に響く吸血鬼君主ちゃんの我慢の声は、それから約2時間ほど続いたのでした……。

 

 


 

 

「……なぁ、大丈夫か?」

 

「ん、なんとか。……そっちは?」

 

「正直ヤバかった。持久力(スタミナ)が落ちるから止めろって言っても聞かねェし、無理矢理気絶させなかったら朝まで搾り取られていたかもしれねェ……」

 

 

 真夏の夜の宴が明けて翌日、若干ふらつきながら飛行する吸血鬼君主ちゃんに、防寒着に身を包んでおぶさっている重戦士さんが心配そうに声をかけています。前を飛ぶ女性陣に恨めしそうな目を向けていることから察するに、吸血鬼君主ちゃんたちにあてられた女騎士さんが大いに盛り上がっちゃったみたいですね。

 

 

 夜明けとともに麓の村を出発し、現在朝の9時くらいでしょうか。地上の暑さとは無縁の身を切るような寒さに耐えながら雲の上を飛行する冒険者たち。昨日しっかり充電したことで、剣の乙女ちゃんと令嬢剣士さんには吸血鬼君主ちゃんから星の力(核融合炉)の熱が送られていますが、どうしても体表の温度が低下するのは避けられません。

 

「いやぁ快適快適。大司教の温もりを味わいながらの冒険とは、なんとも贅沢なものだな! まぁ欲を言えば大人の姿で抱き寄せて貰いたかったものだが」

 

「申し訳ありません。此方の姿のほうが吸血鬼としての力を制御しやすいので……」

 

 

 前方を飛ぶ至高神さん信仰のペアからは暢気な声が聞こえて来ています。もこもこの防寒着姿でお姫様抱っこされてご満悦な女騎士さんに苦笑を返す剣の乙女ちゃん。その背中からは立派な翼が展開されていますね!

 

 

「うぅ……やはりお2人のように速くは飛べませんわ……」

 

「いいじゃないか、ゆっくりでも。それに揺れが少ないから私は快適だよ?」

 

 

 列の真ん中を飛ぶ令嬢剣士さんが愚痴を零すのを笑って流す叢雲狩人さん。令嬢剣士さんの背中に見える翼は何処か硬質で、ものすご~く頑丈そうに見えますね。具体的に言うと384箇所くらい被弾しても無事に帰還できそうです。これも栄纏(A-10)神、もとい破壊神さんの加護なんですかねぇ。

 

 

 お肌ツヤツヤな女性陣をやつれ気味の重戦士さん&吸血鬼君主ちゃんが追随すること暫し。地表から離れた酸素の薄い環境に耐えるために、令嬢剣士さんが風の精霊にお願いして、運ばれている3人の付けているマスクの中で呼吸の補助をして貰っていますが、精霊たちも狭い場所に飽きてきたようで隙間から顔を覗かせている精霊たちを令嬢剣士さんが頑張って宥めている状態です。地図とにらめっこしている女騎士さんの先導で浮遊神殿(フロートテンプル)を目指していますが、そろそろ見つかって欲しいところ……。

 

 

 

「む、見えてきたぞ!」

 

 

 

 お、先頭の女騎士さんから喜色に溢れた声が聞こえてきました! かじかんだ手で彼女が指差す先には、雲海に浮かぶ大きな神殿が顔を覗かせています。互いに視線を交わし、ゆっくりと神殿に近付いて行く一行。やがて神殿の端にある発着場のような場所に降り立ちました。

 

 

「どうやら何らかの方法で地上と同じ環境を維持しているみたいですわね。……ありがとうみんな、無理に付き合ってくれて」

 

 

 風の精霊たちに感謝の言葉を告げ、マスクから解き放った令嬢剣士さん。狭苦しい場所から解放された精霊たちは伸びをしながら中空へと姿を消して行きました。同じくマスクから解放された呼吸が必要な3人も、同じ姿勢で凝り固まった身体をほぐすようにストレッチをしています。

 

 

「ふぅ……。ようやく着いたわけだが、あまり見たことの無い建築様式だなぁ」

 

「そうですね。恐らく全て金属製なのでしょうが……」

 

 

 コツコツとブーツの踵で地面の感触を確かめながら周囲を見渡す女騎士さんに同意するように、床に手を当てて材質を見極めようとしていた剣の乙女ちゃんが頷いています。すべてが人工物で覆われ、木や土が全く見当たらない不思議な構造に興味を惹かれているみたいですね。

 

 

「あ……」

 

「お、どうした? なんか見付けたか?」

 

 

 インベントリーからみんなの装備を取り出していた吸血鬼君主ちゃんが不意に顔を上げ、何かを探すように辺りを見回すのを目撃した重戦士さんの問い掛けに、大きく頷きを返す吸血鬼君主ちゃん。神殿の中心と思われる建物を指差し、懐から大事そうにあるものを取り出しました。

 

 

「そいつぁ確か訓練場に飾ってた……」

 

「うん、たいようしんさまのメダル。なんとなくだけど、だれかによばれてるきがするの」

 

 

 おお、たしかに。普段から僅かに熱と輝きを帯びている太陽のメダルが普段よりも輝きを増しています。何かに導かれるように歩き出した吸血鬼君主ちゃん。その後を装備を整えたみんなが慌てて追いかけてますね。向かう先は先ほど指差していた神殿の中心部。果たして何が待ち受けているのでしょうね……。

 

 

 

 

 

 

 迷いなく歩く吸血鬼君主ちゃんを先頭に神殿内部へと足を踏み入れた一行。巨人(タイタン)が悠々と歩けそうなほど広大な回廊を進み、美しい装飾が施された大きな扉の前へと辿り着きました。両開きの扉の中心には丸い窪みがあり、そこから伸びた光が吸血鬼君主ちゃんの持つ太陽のメダルへと繋がっています。みんなから同意をもらった吸血鬼君主ちゃんが恐る恐るメダルを窪みへと嵌め込んでみたところ……。

 

 

「……何も起きませんわね」

 

「ふむ、太陽神の信徒で無くば開かないとは思っていたが、まだ何か足りないものがあるのか?」

 

「とはいえ、此処に来るまでの道すがら探索はしたけれど、そういう類のものは見付からなかったからねぇ……」

 

 

 まぁ、私が見落と(ファンブル)してなければの話だけどね、と笑う叢雲狩人さん。他のみんなもそれぞれ調べてましたけど、めぼしいものはありませんでしたし。他に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()といえば……あ。

 

 

「あ! わかった!!」

 

 

 お、どうやら吸血鬼君主ちゃんもアイデアロールに成功したみたいですね! みんなを呼び寄せて考えを話したところ、納得の笑みを浮かべたり、あらあらと苦笑したり、マジかよと頭を抱えたりとリアクションは様々。ですがみんな吸血鬼君主ちゃんの発想には賛同してくれたようです。

 

 

「それじゃあ、じゅんびはいい?」

 

 

 吸血鬼君主ちゃんの掛け声に合わせて淡く光る扉の前に横一列に並ぶ一行。その場に屈んで呼吸を整え、同一のタイミングで立ち上がっていきます。上体が伸びきると同時に両腕を斜め上に掲げ、僅かに胸を張った状態で一斉に唱える聖句はもちろん……!

 

 

 

 

 

 

Y Y Y  Y Y

 

「「「「「「太陽万歳(たいようばんざい)!!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 おお……なんて美しい太陽賛美! これはもちろん合格ですよね太陽神さん!!

 

 ……って、笑い転げてないで早く開けてあげてくださいよ!?

 

 恥ずかしさのあまり涙目になっちゃった剣の乙女ちゃんを見て、至高神さんが凄い顔でこっち睨んでますから!!

 

 

 

 

 

 

「良かった、ちゃんと開きましたね……」

 

「えへへ……きっとかみさまがみとどけてくれたんだね!」

 

 重厚な音を響かせながら開いていく両扉。役目を終えてコロンと落ちてきた太陽のメダルを拾い上げながら、真っ赤な顔の剣の乙女ちゃんが恥ずかしそうに呟いています。彼女の差し出すメダルを受け取った吸血鬼君主ちゃんの顔には満面の笑み、みんなでいっしょに太陽万歳!したのが嬉しかったみたいですね。

 

 

「さぁ、鬼が出るか蛇が出るか。気ィ引き締めて行こうぜ?」

 

 

 同じく羞恥心で顔を赤くした重戦士さんが咳払いと共に先を促し、真剣な表情になった一行が扉の奥へと進み始めました。先の回廊とほぼ同じ広さの通路を歩く一行、ある場所まで進んだところでその足がピタリと止まりました。

 

 

「これは……神代の歴史を題材とした壁画でしょうか?」

 

「そうみたいだけど、どうやら左右で異なる話みたいだね」

 

 

 天井から差し込む陽光によって照らし出された回廊の壁面。そこには太陽神とそれにまつわる神々の逸話が絵画として遺されていました。

 

 

 右の壁に記されているのは、太陽神の化身である白き狼と蟲人(ミュルミドン)の少年が繰り広げる冒険の旅

 

 行く先々で困っている人を助け、時には悪戯が見つかって追いかけられ、たま~にご褒美をもらって尻尾をブンブンする珍道中

 

 人々の平和な暮らしを乱す闇の軍勢に、祈りの力を束ねることで立ち向かった物語です

 

 

 

 左の壁に記されているのは、星の彼方の世界で紡がれた五つの星を舞台に描かれた年代記

 

 太陽神の化身たる絶対の力を持つ存在が、緩やかに衰退を続ける世界で織り成す人間たちの歴史を見つめ、時に歴史へと介入し栄光と悲劇を紡ぐおとぎ話

 

 破壊神を模した存在である電気騎士が絵画中を華麗に彩る、破壊と創造の物語です

 

 

 

「どうやら、異なる世界における神々の在り方を記したものみたいですね」

 

「そうなんだ~」

 

 

 剣の乙女ちゃんの説明に判って無さそうな返事を返す吸血鬼君主ちゃん。あ、でも右の絵画に描かれている白い狼を見て、これが太陽神さんのことだってことは理解しているみたいです。お、左の壁面にある合戦の様子を描いた絵を見ていた女騎士さんが何かに気付いたみたいですね!

 

 

「おお、これは黄金の騎士(ナイトオブゴールド)ではないか。我が家に伝わる鎧が描かれているということは、いよいよ姉上の話の信憑性が増して来たな!」

 

「いやオマエ、此処まで来て自分の姉を信じて無かったのかよ……お?」

 

 

 上機嫌な女騎士さんの隣で、げんなりした様子で通路の奥を見つめていた重戦士さんの目が細くなりました。どうやら"探索"はここまでみたいですね。通路の奥から近付いて来るプレッシャーに気付いた一行が戦闘態勢を取り、吸血鬼君主ちゃんが星の力(核融合炉)の出力を上げ始めました……!

 

 

 

 

 

 

守護者(ガーディアン)……いえ、違いますね。むしろ閉じ込められていた侵入者でしょうか」

 

「うん、私もそんな気がするね。あんな禍々しい気配の太陽神の信徒がいるとは思えないし。……あ、ご主人様は特別だよ?」

 

 

 通路の奥、薄影から現れた異形の姿を見て冷静に正体を吟味する剣の乙女ちゃん。軽口を叩いている叢雲狩人さんも、口調とは裏腹に獲物から視線を外そうとしません。ゆっくりと姿を現したのは、赤い兜と鎧で全身を覆い、二刀を携えた牛の魔神。そして、その影から飛翔してきた機械仕掛けの梟の如き2体の魔神です!

 

 

「飛行している魔神2体は私たちが引き受けましょう」

 

頭目(リーダー)は皆と一緒にそちらの大型を!」

 

「ん、わかった!」

 

 

 翼を展開し飛翔する眷属2人を見送り、地上組に先駆けて牛の魔神(赤カブト)へと突っ込む吸血鬼君主ちゃん。振り下ろされた大刀を躱し、挨拶がわりにヒヒイロカネの刀で斬りかかりますが……。

 

 

「わ、かたい!」

 

「――どれ、試してみるか。……オラァ!!」

 

 

 想定外の硬さに反動で吹っ飛んでいく吸血鬼君主ちゃんと入れ替わるように踏み込んできた重戦士さんが、地を這うような姿勢からフルスイングで愛剣を叩き込みますが、やはり鎧に阻まれて本体にダメージは与えられていない様子。頭上からの叩き潰すような剣戟を刀身でいなしながら後退し、その頑丈さに悪態を吐いています。

 

 

「どうした? 自慢の逸物の硬さで負けているようだが?」

 

「もうちょい言い方ってモンを考えろよ!?」

 

「ふむ……では魔法ならどうだろうね」

 

 

 巨体による体当たりをステップで避けつつ、詠唱を始める叢雲狩人さん。軽銀製の戦棍から発射された≪稲妻(ライトニング)≫が立て続けに鎧へと降り注ぎますが、それすらも鎧の表面を滑るように逸れてしまい、有効打にはなっていません。さてどうしたものかと一行が考える中、涼やかな声を上げたのは女騎士さんです。一歩引いた位置から戦況を見ていた彼女の口から出たのは……。

 

 

 

「すまん! もう少し観察したいから、暫く囮になっていてくれ!!」

 

「は~い!」

 

「ふふ、りょ~かい」

 

「仕方無ェなぁ……」

 

 

 ……なんとも頼り甲斐のある台詞ですね!

 

 

 

 

 

 

 地上組が攻めあぐねている中、2体の魔神と空中戦を繰り広げている眷属の2人ですが……戦況はどうでしょうか?

 

 

「あら? 当たりませんね……」

 

「くっ、速い!?」

 

「「むだむだむだむだむだむだぁ!!」」

 

 

 うーん、こちらもなかなか苦戦しているみたいです。剣の乙女ちゃんと相対している白銀魔神(コタネチク)が鳴き声を上げる度に令嬢剣士さんと格闘戦(ドッグファイト)を繰り広げている黄金魔神(モシレチク)が猛烈に加速し、黄金魔神(モシレチク)が瞳を輝かせると剣の乙女ちゃんの動きが鈍り、レイテルパラッシュから発射される弾丸さえも目視出来てしまうほどに速度を落とし悠々と白銀魔神(コタネチク)に回避されてしまっています。流石双魔神と呼ばれるだけのことはありますね……。

 

 

 吸血鬼君主ちゃんから供給される星の力(核融合炉)のエネルギーによって負傷はすぐに再生しますが、相手にダメージを与えられなければジリープアー(徐々に不利)です。魔神の異能に翻弄されている2人を嘲笑うように、金と銀の梟が縦横無尽に回廊を飛び回り好き勝手に暴れ始めました! 羽ばたく翼から抜け落ちた羽が刃に変じ、乙女の柔肌に傷を付けるのを目にした吸血鬼君主ちゃんが劣勢を押し返さんと援護に回ろうとしますが……。

 

 

「大丈夫ですわ、頭目(リーダー)!」

 

「ええ、攻略方法は見付かりましたので」

 

「……わかった。でも、むりしないでね?」

 

 

 上空から見下ろす2人の眉を立てた笑みによって押しとどめられ、一瞬の逡巡の後に笑顔を見せ、再び牛の魔神(赤カブト)へと突撃して行きました。

 

 

 

「あの魔神の力、恐らくは時間を操作するものでしょう」

 

「はい。そしてそれは、長時間持続するものではありませんわ」

 

 

 上空で2体横並びとなり、首をくりくりと動かしながら2人を観察していた魔神に対し翼をはためかせて接近する令嬢剣士さんと剣の乙女ちゃん。また先程までの焼き直しかと嘲るような視線を向けていた双魔神の瞳が、驚愕の色に染まっています。

 

 

「たしかに、(わたくし)は眷属の中で一番飛ぶのが下手ですわ。ですが――」

 

 

 粘性の高い液体に囚われたように動きの鈍い令嬢剣士さんに向かって次々と羽根の刃を飛ばす白銀魔神(コタネチク)。避け切れずに被弾する姿に満足そうな笑みを浮かべていましたが……。

 

 

そんなばかな!?

 

「――皆の中で一番頑丈(タフ)なのも私です!」

 

 

 掲げた魔剣で急所を隠し、一直線に魔神へと突き進む令嬢剣士さん。四肢への被弾は再生するに任せ、翼に穴が穿たれても速度を緩めることも無く、只管に前だけを見据えて飛翔していきます。やがて刃の雨を抜けた先、目を見開いて逃げようとする白銀魔神(コタネチク)の眼窩に突撃の勢いのまま魔剣を突き刺し……。

 

 

 

 

 

 

これが、『栄纏神官魂』です(How do you like me now)!!」

 

 

 

 毎分3900発の速度で発射された魔弾によって機械仕掛けの頭蓋を砕かれ、回廊の床へと落下していく白銀魔神(コタネチク)。核ごと粉砕されたことで召還すら許されずに消えゆく魔神を一瞥し、令嬢剣士さんは地上で戦う吸血鬼君主ちゃんたちの援護へと向かっていきました。

 

 

 

 

 

 

うっそだろおまえ……!?

 

「さて、相方は墜ちてしまいましたが……貴方は如何するのですか?」

 

 

 うっそりと微笑む剣の乙女ちゃんの迫力に気圧されたかのようにたじろぐ黄金魔神(モシレチク)。悠然と近付いて来る小柄な吸血鬼に向かって自身の異能である停滞の能力を行使しますが……。

 

 

「やはり、その力は≪停滞(スロウ)≫に似たもののようですね。それならば、≪加速(ヘイスト)≫で相殺できるのも当然ですよね?」

 

 

 身体を侵す呪いを意に介さず、等速で飛行し続ける剣の乙女ちゃん。その手が胸の護符(アミュレット)を握りしめた瞬間、剣の乙女ちゃんの動きが高速化し、抜き打ちで放たれた銃撃によって黄金魔神(モシレチク)の翼に無数の風穴が開きました!

 

 

アイエエエ……!?

 

 

 突然の損傷に大きく体勢を崩した黄金魔神(モシレチク)を追撃する速度は通常の2倍。≪加速(ヘイスト)≫に対抗しようと半壊した機械仕掛けの梟も己の異能を行使し続けますが、永続化された≪加速(ヘイスト)≫を打ち消すことは出来ず徐々に天井近くへと追い詰められていきます。やがてその胴体、時計を模した機巧の中心に黒く硬質化した剣の乙女ちゃんの右腕が容赦無く叩き込まれ……。

 

 

さよなら!!

 

「これはお土産にしましょうか。親方が喜びそうですものね」

 

 

 内臓攻撃で核を抜き取られ、活動を停止する黄金魔神(モシレチク)。令嬢剣士さんが地上へ向かうのを確認すると、剣の乙女ちゃんもその後を追うようにゆっくりと降下して行きました……。

 

 

 

 

 

 

 さて、空中戦は無事に勝利しましたけど、地上のほうはどうでしょうか?

 

 

「おい、まだ時間かかるのかよ!? いい加減こっちも保たねェぞ!?」

 

 

 おや、重戦士さんの切羽詰まった叫び声が響いてますね。大刀二刀に加え口から炎を吐いて前衛の3人を攻撃し続けている牛の魔神(赤カブト)。吸血鬼君主ちゃんが適宜≪聖壁(プロテクション)≫を展開して負傷は防いでいるみたいですが、3人の持久力(スタミナ)も無限ではありません。……ただでさえ搾り取られちゃってますしねぇ。

 

 

「かいふくのこともかんがえると、そろそろ≪せいへき(プロテクション)≫はおしまい~」

 

「それは何とも嬉しい言葉だねご主人様。……後は気合い避けで如何にかするしかないかな?」

 

「ふむ……よし、だいたいわかった! 全員集合!!」

 

 

 軽口とは裏腹に真剣な表情の叢雲狩人さんが戦棍を構え直し、再び接近しようとしたところで女騎士さんののんびりとした声が響きました。≪聖壁(プロテクション)≫の効果が残っている間に後退してきた3人へと、牛の魔神(赤カブト)攻略の手順を話し始めました……。

 

 

「あの鎧、受けた衝撃を分散させることで驚異的な強度を保っているようだ。なので、攻撃を掻い潜りつつ包囲、三方向から同時に殴打を加えてみてくれ」

 

 

 女騎士さんの指示に従い、二刀とファイアブレスを躱し巨体を包囲する3人。先程までとは違う動きに牛の魔神(赤カブト)も警戒しているみたいですね。

 

 

「ったく、簡単に言ってくれるぜ……」

 

「ふふ、口ではそう言いながらしっかりと意見に従う当たり、信頼しているんだね」

 

「なかよしだもんね! ……それじゃあ、せ~の!!」

 

 

 だんびらの腹を棍棒代わりに構えた重戦士さんのボヤキに茶々を入れる叢雲狩人さん。剣を円盾()に持ち替えた吸血鬼君主ちゃんの合図で3人が一斉に殴りかかりました!

 

 

おれさまのいっちょうらが!?

 

 

 同時に着弾した三発の打撃による衝撃を鎧は吸収しきれず、身体から剥がれ飛び散る鎧。続けざまに繰り出された攻撃が剥き出しになった筋肉に刻まれていき、先程まで余裕綽々だった牛の魔神(赤カブト)の咆哮に焦りが見え始めていますね。絶え間ない攻撃を嫌がり3人を弾き飛ばすべく二刀を振りかざしたところに、女騎士さんと剣の乙女ちゃん、至高神の信徒2人が唱えた聖句によって生み出された雷光が勢いよく降り注ぎます!

 

 

「「裁きの司、つるぎの君、天秤の者よ、諸力を示し候え!」」

 

ひどい……おれさまのあいとうが!!

 

 

 聖なる稲妻に耐え切れず粉々に弾け飛ぶ二刀。そこから流れ込む≪聖撃(ホーリー・スマイト)≫の魔力に身を焼かれ、苦悶の声を上げる牛の魔神(赤カブト)。一際大きな咆哮が響くと散らばっていた鎧が浮かび上がり、傷ついた身体を覆わんと動き出しますが……。

 

 

「そうは問屋が卸しませんわ!」

 

 

 魔剣への装填(チャージ)を終えた令嬢剣士さんの斉射によって、二刀と同様に砕け散る鎧。武器と防具両方を失い呆然と立ち尽くす牛の魔神(赤カブト)にトドメを刺そうと、吸血鬼君主ちゃんがおへそのあたりに手を当てますが……おや?

 

 

「そりゃたしか思いっきり消耗するヤツだったろ? ここは先輩に華を持たせると思って、な?」

 

「……ん! おねがいします、せ~んぱいっ!!」

 

 

 肩を叩きながら不慣れなウインクを見せる重戦士さんに笑いながら前を譲る吸血鬼君主ちゃん。不敵な笑みを浮かべながら歩み寄る重戦士さんを脅威と感じたのか、牛の魔神(赤カブト)がその逞しい腕を振りかざしヤバレカバレの一撃を繰り出してきました! 直撃すれば肉片一つ残りそうもない剛腕を自慢のだんびらで受け流し、重戦士さんがすれ違いざまに一閃!!

 

 

ほな……さいなら……

 

「フン、まぁまぁ楽しめたってところだな」

 

 

 音を立て崩れ落ちる巨体を背に見得を切る重戦士さんのカットインで、戦闘終了です!

 

 


 

 

「ほわぁ~」

 

「綺麗ですね……」

 

 

 回復と装備の点検を済ませ、神殿の最奥へと到着した一行。採光窓から差し込む陽光によって自然な明るさを保つ大広間を前にして、みんな感嘆の声を上げていますね。

 

 

「アレが姉上の手紙に記されていたモノに違いないだろう。判り易くて有難いな!」

 

 

 無造作に並べられた巻物(スクロール)魔道具(マジックアイテム)を後回しに女騎士さんがズンズンと進む先、舞台のように一段高くなっている場所で、互いに武器を突き付け合うような姿勢で静止したままの2体の鎧が己が主を待っていました。

 

 

「……あの黄金の鎧も含め、これらの鎧は異世界の神を模して作られたようですね。戦場を支配する騎士の象徴、≪破壊≫を司る神の化身たる迫撃神(モーターヘッド)。この鎧の基となった存在は、そう呼ばれていたようです」

 

 

 鎧の傍に刻まれていた銘を読み上げながら寒さに耐えるように自分の身体を抱きしめる剣の乙女ちゃん。どうやら片方の鎧から発せられている、禍々しいとさえ思える魔力におもいっきり中てられちゃったみたいですね。

 

 

「鎧は自ら遣い手を選び、己が全てを預けるという。無理に纏おうとすればどのような反動があるか……あ、こら、人の話を聞いているのか!?」

 

 

 エア眼鏡クイッをしている女騎士さんの横をすり抜けて鎧へと近付く重戦士さん、何かに導かれるように手を伸ばす先は、全身傷だらけの黒い鎧です。二本の長剣を佩き大きな円盾を携え、積層装甲に覆われた何処か東方風の趣を感じさせる漆黒の胴体。重戦士さんが触れると眩い光を放ち、新たな主を祝福するようにその身体を包み込みました!

 

 

「へぇ……なかなか良いじゃねェか。気に入ったぜ、相棒!」

 

 

 満足げに頷く重戦士さんの言葉に兜のスリットから赤い光を放つ『黒騎士の鎧(バッシュ・ザ・ブラックナイト)』。なんだか重戦士さんが装備しているとものすご~く似合ってる気がしますね、モチーフ的な意味で。二刀は腰に帯びたまま、今まで両手で扱っていた相棒であるだんびらを片手で振り回しているところから察するに、鎧装備時には身体能力向上の効果もあるみたいです。

 

 

 さて、問題はもうひとつの鎧です。剣の乙女ちゃんの震えの原因である禍々しい魔力の出処は間違いなくこっちですねぇ……。

 

 

 内部構造が透けて見える半透明の積層装甲に、全身に散りばめられた血の十字架の意匠。腰に佩いた長剣と大きな盾はあくまでも補助武器でしかありません。

 

 

 その主武装は右腕に持つ長柄武器、槍などという生易しいものでは無く、霊体や呪いといった()()()()()()()()()()焼き尽くし消滅させてしまう恐るべき火炎放射器。たった15騎で星ひとつを制圧したというオリジナルほどの力は無いと思いますけど、『最強の幻影(L.E.D.ミラージュ)』と呼ばれるだけのポテンシャルを秘めているのは間違い無さそうです……。

 

 

 ……えっと、あの、太陽神さん、破壊神さん。流石に()()はやり過ぎなんじゃ……あ、叢雲狩人さんがニコニコ笑いながら近付いちゃってますよ!?

 

 

「……うん。いいね、凄くいい。君とは仲良くやっていけそうだよ」

 

 

 ほっそりとした指で鎧の胸元に刻まれた赤い十字架に触れる叢雲狩人さん。重戦士さんの時と同様に光が彼女を包み込みます。

 

 

 光が収まったその場には、自らに相応しい主を見付け歓喜に身を震わせる鎧と、彼が持つ狂気を気持ちよさそうに受け止めている叢雲狩人さんの姿がありました……。

 

 

 

「えっと、だいじょうぶ? きぶんわるかったりしない」

 

「ああ、問題ないよご主人様。この子が持つ破壊と殺戮の本能は、私のゴブリンに対する狂気のみを増幅してくれているみたいだからね。無差別に暴れまわったりはしないさ」

 

「ん、わかった。よろいさんとなかよしになれてよかったね!」

 

「ふふ……そうだね。これからよろしく頼むよ、相棒?」

 

 

 祝福の言葉を告げる吸血鬼君主ちゃんの頭を優しく撫でる叢雲狩人さん。彼女の心の内に潜む決して消えることの無い狂気は、ダブル吸血鬼ちゃんが誰よりも知っていますからね。祝うことこそあれ、諫めるなどということは彼女に対する侮辱、長き復讐の生を全否定することに他なりません。

 

 

「ふむ、財宝の鑑定は帰ってからでも出来るだろう。すまんが全部しまうことは可能かな?」

 

「だいじょうぶ! ぜ~んぶもらってっちゃおうね!!」

 

 

 女騎士さんの声によって一斉に宝物を吸血鬼君主ちゃんの近くに運び始める一行。インベントリーにしまわれる量は多く、帰ってからの鑑定が楽しみですね!

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 




 次回サードシーズン開始!(予定)なので失踪します。

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