ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 はじまりはグダグダからが平常運転なので初投稿です。




セッションその14-1

 えー、今回は『サードシーズン開始に伴う一党(パーティ)に参加する新キャラ枠抽選会』にご参加いただき、視聴神の皆様方には改めてお礼を述べさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました!

 

 厳正なる抽選の結果、見事枠をゲットしたのは……知識神さん、嗜虐神さん、そして鍛冶神さんです! 皆さま拍手~!!

 

 ……では、当選した3()一党(パーティ)に参加させてあげたい推しの子を教えていただけますでしょうか? その子に応じた登場タイミングを脚本(シナリオ)担当と相談して決めたいと思いますので!

 

 まず嗜虐神さんは……まぁそうですよね。登場する時に一党(パーティ)の誰かがいればすんなりと受け入れてもらえそうですし、一党の濃い面子にも早く適応出来そうです。

 

 次に鍛冶神さんは……ほほう、その子ですか! 鍛えればどこまでも伸びる無限の可能性、確かに好きそうですもんね。この子も登場タイミングは原作(オリジナル)に近いタイミングで問題ないでしょう!

 

 最後にみんなが注目している知識さんの推しの子ですが……? ふむ、ふむふむ。おお~、ここに来てまさかのチョイス、無貌の神(N子)さん的にはちょっと予想外の子でしたね!

 

 少々野暮かもしれませんが、推しの理由を聞いても? ……ほうほう、『自分のことをコミュ障で才能が無い陰キャだと思っている自称地味子ちゃんが、突然王子様に見初められて非常識人たちの冒険に巻き込まれ、アワアワしながらも必死に頑張る姿が見たい!』。可愛い無貌の神(N子)さんが言うのもなんですけど、クッソ捻じ曲がった性癖してますねぇ知識神さん、早口で気持ち悪いですし。……でも、嫌いじゃ無いですよそういうの!!

 

 となると、先に知識神さんの推しの子を合流させたほうが脚本(シナリオ)的にも良さそうですね。わかりました、あっちで必死こいて脚本(シナリオ)作成中の万知神さんに仕様の変更を伝えてきますね! あ、勿論締め切りはおんなじですよ?

 

 


 

 

 素敵な仲間が増えますよ!な実況プレイ、はーじまーるよー。

 

 

 前回、浮遊神殿(フロートテンプル)でおたからを発見したところから再開です。

 

 

 女騎士さんの依頼で浮遊神殿へ赴き、無事に新たな力となる鎧を入手した一行。その他の財宝に関しても、みんなまとめてインベントリーに放り込み、まるっとお持ち帰りしちゃいました。

 

 

 持ち帰った財宝は一党(パーティ)の自宅で鑑定、目録作成の後、その殆どは金髪の陛下に献上することに。王国の宝物庫にしまっておけば賢者ちゃんがいつでも取り出せますし、様々な便宜を図ってくれている義眼の宰相や赤毛の枢機卿に少しでも恩返し出来ればって感じですね。

 

 

 また、浮遊神殿に関してですが、当面はそっとしておく方針となりました。内部構造を詳しく調査すれば任意の場所に移動させることも可能そうなんですが、解析が出来そうな賢者ちゃんが忙しいみたいで暫くは関われないとのこと。また日を改めて調査することにしたそうです。常人では辿り着けない場所にありますし、吸血鬼君主ちゃんが太陽神さんの神官としてしっかりお参りしてありますので、魔神の類が自然湧きすることは無いでしょう、たぶん、きっと。

 

 

 

 さて、そんなこんなで時間が過ぎ、残暑が僅かに緩んできた頃。辺境の街の冒険者ギルドには大勢の冒険者が集まっています。上は金から下は白磁まで、様々な等級の冒険者が即席の壇上に立つ受付嬢さんに注目していますね。受付嬢さんの横にはおなかぺこぺこなダブル吸血鬼ちゃん、テーブルの上に所狭しと並べられた料理の放つ食欲をそそる香りに涎を垂らしている2人を横抱きにした受付嬢さんが、良く通る声で乾杯の音頭を取ろうとしています。

 

 

「――というわけで、本日をもちましてゴブリン特別討伐依頼は終了となります。皆さん、ご協力ありがとうございました!」

 

「「ました~」」

 

「西方辺境でのゴブリン変異種の駆逐完了を祝い、当支部に所属している『辺境最悪』より労いの宴席が設けられました!」

 

「「いっぱいたべて、いっぱいのんで、あしたからもがんばろうね~」」

 

「職員含めた全員分が奢りということなので、皆さん、盛大な感謝と共に……乾杯!!」

 

「「「「「かんぱ~い!!」」」」」

 

 

 カツンとぶつかり合うジョッキの音が響き渡るギルドホール。財宝を献上した報奨金の一部をみんなに還元しようと設けられた宴会は大盛況ですね!

 

 

 砂漠の国から流入していた軍事教練を受けたゴブリンを一匹残らず殲滅するために、金等級に昇格した『辺境最優』(ゴブスレさん)の発案で行われていたギルドからの特別依頼。訓練場卒業生たちによって依頼前から積極的に駆除はされていましたが、ギルドから報奨金が出ることになり勢いはさらに加速。夏の間は西方辺境で盛大にゴブリン狩りが行われておりました。

 

 

 とはいえ広い西方辺境、始めは手当たり次第で駆除できていたものの、数が減ってからはなかなか発見出来ず空振りで帰還する冒険者も増えて行きました。そんな状況を打破し、参加から僅か一か月足らずで今回の駆逐完了宣言にまで導いた3人の英雄(ヒーロー)が冒険者たちに囲まれて楽しそうに談笑しています。その3人とは勿論我らが『辺境三勇士』! ……ではなく――。

 

 

 

 

 

 

「教官! 現地での指導、ありがとうございました!!」

 

「みんなスジが良い子ばかりでこっちも楽しかったよ!」

 

 

「教官! 危うくゴブリンの()()を見落としかけてしまい、本当に申し訳ありませんでした!!」

 

「あの体格だと予想外のところにだって隠れることが出来るからね。まさか、と思う場所ほど念入りに見るのがコツだよ!」

 

 

「教官! モフらせて頂いても宜しいでしょうか!!」

 

「って言いながらもうしてるじゃないか!? アハハ、くすぐったいってば!!」

 

 

 

 

 

 

 ――圃人(レーア)ほどの身長にモフモフな毛に覆われた全身、二足歩行する兎そのものの姿をした3人の元陸軍特殊部隊群(グリーンベレー)。真新しい白磁の認識票と一緒に軽銀(アルミ)製の認識票(ドッグタグ)を首から下げた、白兎猟兵ちゃんのお父さんとその親友たちですね!

 

 


 

 

「あのさ、雇い主(オーナー)であるキミの許可が貰えるんだったら、ボク達も参加したいと思うんだけど?」

 

 

 牧場の住み込み警備員として家族で引っ越ししてきたうさぎさん(USA GI)たち。雇い主であるゴブスレさんが渋い顔でゴブリン駆除の進捗具合を確認しているのを見て顔を見合わせ、協力を申し出てくれました。外見からは想像しにくいですが3人とも既に全盛期を過ぎたナイスミドル、最初はゴブスレさんも気持ちだけ受け取るつもりだったのですが……。

 

 

「――駄目だ、まったく見つけられん」

 

「ねぇシルマリル、ホントに3人とも居るのよね?」

 

「うん。3にんとも、ちゃ~んと()()()()()()()()()()にかくれてるよ!」

 

「はっはっは、いやぁ面目ない。私も慢心していたつもりは無かったんだけどねぇ」

 

 

 牧場近くの森で行われた腕試しで斥候(スカウト)技能持ちを完封。ロープで逆さ吊りになった叢雲狩人さんの乾いた笑い声が響く中で、途方に暮れるゴブスレさんと妖精弓手ちゃんに『脳の瞳』で3人の居場所を把握している吸血鬼君主ちゃんが無情にも事実を告げています。その後2人とも首筋に短剣(ナイフ)代わりの小枝を突き付けられて降参、実戦で磨き上げられてきた技術と経験の片鱗を見せつける形で、うさぎさんチームの勝利となりました。

 

 

 非魔法的な技術による探索と隠密能力では妖精弓手ちゃんを凌ぐ斥候(スカウト)であることを証明した3人はその足で冒険者登録を行い、ギルドに最新の情報を請求。本来は白磁など相手にされる訳も無いのですが、震え混じりのゴブスレさんの説得により無事に成功し、他のベテランたちに交じって作戦会議が開催されることに。

 

 

 ベトナム戦争やアフガンでの非正規作戦で培った知識と豊富な実戦経験に裏打ちされた説得力のある意見に胡散臭い奴を見る目で3人を見ていた冒険者たちも顔色を変え、あっという間に必死になってメモ用紙(パピルス)に彼らの言葉を書き留め始める始末。実際に討伐に同行すれば、可愛い見た目からは想像も出来ない程の冷静さで隠れたゴブリンを次々と見つけ出し、新兵……もとい新人に殺しの経験を積ませるためにわざと足だけを石弓で撃ち抜いたりと八面六臂の大活躍。なんと牧場を訪れてから一か月足らずで砂漠の国にほど近い地域のゴブリンを完全に駆除するという偉業を成し遂げました!

 

 

 勿論これは一時的なものであり、すぐに他の地域から流れてきたゴブリンが住み着くのは確定した未来。それでも一番みんなが恐れている技術の伝播を防ぐことが出来たのは素晴らしいことでしょう。活躍を目にしたギルドも3人をすぐに呼び出し、訓練場の教官役に就かないかと持ち掛けたのですが……。

 

 

「いやぁ、ボクたちはあくまで牧場の雇われ警備員だから」

 

「もうそんなに若くないし、今から公務員になるのはチョット……」

 

「教官役もたまになら良いケド、畑で人参を作るほうが楽しいしね!」

 

 

 ゴメンね~、と3人から可愛らしく断られた受付嬢さんが、そっと目を逸らすゴブスレさんの足をおもいっきり踏んづけたのは見なかったことにしてあげましょう……。

 

 


 

 

「あ、白いほうの頭目(リーダー)ちゃん! ちょっと相談に乗ってもらいたいことがあるんだけど、いいかな?」

 

「ふぇ?」

 

 

 ゴブリンの駆除による報酬と訓練場とは異なる実戦の空気。両方を得ることが出来た一石二鳥の特別依頼は、辺境の街を拠点にしている冒険者たちに大いに歓迎されましたが、残念ながら全員がその恩恵に預かれたわけではありませんでした。ちょうど今監督官さんが相手をしている3人組もそんな冒険者の一部でしょう。

 

 

 手招きをしている監督官さんのところへぽてぽてと歩み寄り、差し出された両腕に身を任せ半ば定位置となった膝上へと抱えられる吸血鬼君主ちゃん。獣人女給さんに吸血鬼君主ちゃん用の果実水を頼みながら吸血鬼吸いを堪能する監督官さんの前には翠玉の認識票をつけた3人の冒険者が椅子に腰掛けていました。

 

 

 1人は机に立てかけるように大斧を傍に置き、困ったような顔をしている戦士風の男性。1人は聖印を首から下げた、なんだかお金とは縁遠そうな雰囲気を醸し出す逞しい体格の男神官。そして最後の1人は……。

 

 

「だ~か~ら~、私には教官役なんてむ~りぃ。知識は実践しないと意味が無い~……」

 

 

 普段は目深に被っているフードを脱ぎ捨て、机に頬を乗せながら据わった目で愚痴を零すメカクレの女性。ゴブスレさんを逆恨みして襲い掛かった挙句返り討ちに遭った圃人斥候と組んでいた、戦斧士さん、武僧さん、妖術師さんの3人ですね!

 

 

 

「――それで、3人を訓練場の教官として正式に採用するって話になったんだけど……」

 

 

 

 

 吸血鬼君主ちゃんの口に揚げ物を放り込みながら監督官さんが話してくれた相談の内容は、1人教官になることを拒んでいる妖術師さんのこれからについてでした。

 

 

 圃人斥候が()()した後、臨時で他の冒険者と組みながら堅実に功績を積み重ねてきた3人。今年翠玉まで昇格した後は訓練場で新人たちの指導を精力的にこなし、それがギルドに認められて教官として採用が決まったそうです。

 

 

 危険も少ないですしお給料も安定、冒険者家業とは比較にならないほど恵まれた職であるギルド職員への登用は冒険者にとって夢のある未来です。いい加減3人では依頼をこなすのに限界を感じていた男性2人は一も二も無く首を縦に振り、これからは新人の教育が自分たちの役割だと張り切っていたのですが……。

 

 

「彼女がどうしてもイヤだと言って聞きませんで。拙僧と頭目(リーダー)はもう盛りは過ぎ、腰を落ち着ける良い機会。それに……」

 

 

 そこで言葉を切り意味深に戦斧士さんに視線を送る武僧さん。ニヤニヤと笑う監督官さんに悪態を吐きながら、安定した職に就きたい切実な理由を話してくれました。

 

 

「その、な? 訓練場で面倒を見ていたじゃりン子と()()()なって、今度ガキが産まれるんだよ。俺1人なら兎も角、嫁と子どもにハラぁ減らしたまま暮らさせるワケにゃあいかねえだろ?」

 

「おお~! あたらしいパパだ~!!」

 

 

 なもんで近々そっちの世話になると思うからヨロシクな?と照れ臭げに笑う戦斧士さん。冒険者のベビーラッシュが良い感じに始まっているみたいですね! 「しかも相手は鳥人(ハルピュイア)のカワイ子ちゃんなんだよ!」というニヤニヤ笑いの監督官さん(あくま)の言葉に、「襲ってきたのはあっちだよ!」と必死に反論しています。肉食系だなぁ……。

 

 

「それで、一党(パーティ)が解散しちゃうでしょ? 教官は嫌だってことだから、彼女には新人を率いて新しい一党を率いたらどう?って言ったんだけどねぇ」

 

「むーりぃ……。人に物を教えるのも、頭目(リーダー)になるのもむーりぃ……」

 

 

 ご覧の有様だよと苦笑する監督官さん。翠玉まで昇格して教官役に推薦されるくらいなんですから、実力、人柄ともに申し分ない人だと思うんですけどねぇ……。聞けば冒険に出たくない訳でもなく、知識の蒐集とそれを実践で思う存分確かめたいんだとか。頭目(リーダー)として仲間の面倒を見るとなると、なかなかそうも言ってられないでしょうからねぇ。

 

 

「お金もべつにいらない……何も考えずに冒険がしたい……」

 

 

 机に人差し指をグリグリさせながら思いの丈を酒臭い吐息と共に吐き出す妖術師さん。憂いを帯びた表情はとても艶やかですが、駄々洩れの本心が全てを台無しにしています……おや、そんな彼女の魂の叫び(誇張表現)を長耳で聞きつけて駆け寄ってくる、あの独特なシルエットは……!

 

 

 

 

 

 

「話は聞かせてもらったわ! 貴女、私たちと組みましょう!!」

 

 

 

 おおっと、ここで2000歳児のエントリーだ!!

 

 

 

 

 

 

「貴女の気持ち、わかるわ~。シルマリルもヘルルインも、ほかのみんなもオルクボルグに影響されてゴブリンゴブリンゴブリン……あんなの冒険じゃないもん! あ、もちろんゴブリン退治が大切なのは判ってるけどね?」

 

 

 アレは冒険じゃなくて作業よ?と監督官さんから受け取った吸血鬼君主ちゃんに向けて苦笑する妖精弓手ちゃん。ゴブスレさんが冒険心に目覚め、王国からも僅かですが補助金が出るようになった今、ゴブリン退治は辺境の街の冒険者にとって重要な稼ぎであると同時に定期的に行われなければならない湧き潰し的な扱いになり始めています。

 

 

「悪辣な罠に満ちた古代遺跡、巨大なドラゴンとの死闘、山よりも高い空に浮かぶ浮遊神殿(フロートテンプル)……そう言うのが冒険ってヤツでしょ! ああ思い出したらまた悔しくなってきた……なんで風邪ひいたのよ馬鹿な私……あむ! ちゅる……」

 

「おあ~……」

 

 

 テンション高めに冒険に対する意気込みを叫び、自爆してその悔しさを吸血鬼君主ちゃんの耳をしゃぶることで紛らわそうとしている妖精弓手ちゃん。盛大に酔っぱらっているように見えましたけど、彼女が持っていたグラスの中身は檸檬水。授乳のことを考えてお酒は控えているみたいです。……となると、場の雰囲気とお酒の匂いだけで酔っぱらっているんですねこの2000歳児。

 

 

「いいなぁ……。そんな心躍る冒険がしたい……あなたたちと組めば私にも出来るかなぁ……?」

 

「出来るわよ! 面子は一流、支援体制もバッチリ、あとは貴女の気持ち次第! さぁ、どうする!?」

 

 

 唇が触れ合いそうな距離に近付いた妖精弓手ちゃんを見て、ギュッと瞳を閉じる妖術師さん。再び開かれたその目には、まごうことなき決断的な輝き(酒の勢い)が宿っています。

 

 

「やる! あなたたちと組んで、私ももう一度冒険者になる!!」

 

「その言葉が聞きたかった! そうと決まれば作戦会議よ!! あ、なんかちょうど良い依頼見繕っておいてもらえるかしら? 3人でもいけそうなヤツがいいわ!」

 

「りょうか~い。適当に探しておくね~!」

 

 

 間に吸血鬼君主ちゃんを挟み込みつつ、肩を組んでギルドの二階へと歩き去って行く2人+巻き込まれた人身御供。途中で机の上から失敬していた飲み物が果実水の瓶だったのは不幸中の幸いでしょう。天上の調べとも称される美しい声から繰り出されるクソみたいに音程の外れた歌を伴って闊歩する2000歳児と妖術師さんを見て、預言者が海を渡るが如く冒険者が割れて道を譲っていますね。

 

 

「おそらく部屋で呑み直すつもりでしょうなぁ……」

 

「……今日はウチに泊まりに来いよ。仲間の新たな門出を祝おうじゃないか」

 

「新婚のところ申し訳ない。……監督官殿、彼女らのこと、よろしくお頼み申す」

 

 

 階段を踏み外しそうになりながら上っていく()()()()仲間の背に祝杯を挙げ、そそくさとギルドから戦略的撤退をキメた男2人。1人残された監督官さんが手酌でワインを飲もうとした時、スッと横から伸びてきた腕が瓶を持ち上げ、彼女の持つグラスへと血のように赤い液体を注いでいきます。

 

 

「お、悪いねぇ! それじゃお返し……に……」

 

 

 瓶を受け取り親切な相手のグラスに注ぎ返そうとした監督官さん視線が、グラスから腕、紅玉の認識票が光る豊満な胸元を伝い相手の顔へと向けられていきます。終着点にあったのは、にこやかな笑みを浮かべた眼鏡の良く似合う自他ともにダブル吸血鬼ちゃんの保護者と認識している……。

 

 

 

 

 

 

「さて、夜はまだまだこれからよ。……じっくりと聞かせてもらおうかしら、あの2人にナニを吹き込んだのか、ね?」

 

「アイエエエ……」

 

 


 

 

「――うん、今日は良い冒険日和ね! お日様もシルマリルを応援してくれてるわよ!!」

 

「ソウダネ~」

 

 

 頭にでっかいたんこぶをこさえ、小脇に死んだ目をした吸血鬼君主ちゃんを抱えたた2000歳児がビシッと指で示した先、かつて3人のHFOが踏破した全60階層の塔が夏空に雄々しくそびえ立っています。その背後ではたんこぶの生産者である女魔法使いちゃんが溜息を吐き、酒の勢いで一党(パーティ)への参加を決めてしまった妖術師さんがどうしてこうなったと頭を抱えていますね。

 

 

 妖精弓手ちゃんと同じようなたんこぶをこさえた監督官が選んでくれた依頼。辺境三勇士によって攻略され、この地の領主の監視下に置かれていた魔術師の塔に何者かが侵入し、監視任務に当たっていた兵が蹴散らされるという事件が発生したため、原因であると思われる侵入者を排除せよというものでした。

 

 

 面目を潰された領主が兵を送り込んだものの、やはり勝手が違うせいか塔内部に仕掛けられた無数のトラップにひっかかり無残に敗退。苦虫を嚙み潰したような表情で持ち込まれた案件のため、みんな及び腰で引き取り手がいなかった塩漬け依頼を体よく押し付けられた感じです!

 

 

「で、如何するの? 手っ取り早く済ませるなら飛んでいくのが一番早いと思うけど」

 

「えー!? そんなのつまんない! やっぱり罠を掻い潜って進むのが冒険でしょ? 貴女もそう思うわよね!」

 

「えっ。あ、はい。ソウデスネ……」

 

 

 キラキラと輝く麗しき上の森人(ハイエルフ)の笑顔に負け、曖昧な笑みを返す妖術師さん。朝起きたら一糸纏わぬ2000歳児とロリ吸血鬼にサンドイッチされた状態で同衾しており、狭い通共有スペースを挟んだ反対側の寝台(ベッド)に味わい深い表情の女魔法使いちゃんが座っていたら悲鳴の一つや二つ上げてもしょうがないでしょう。酔いが醒めて昨日の話を思い出しガクガクと震え出したところにたんこぶ装備の監督官さんが依頼書片手に飛び込んできて、なし崩し的に此処まで来てしまった彼女は何も悪くありません。悪いのは全部酒とウィズボール(やきう)に人生を捧げている監督官さんと、そこでドヤ顔な2000歳児です。

 

 

「もう、昨日と違って堅苦し過ぎ! もっと力を抜いて、真剣に冒険を楽しみましょ?」

 

「えっと、うん。わかった。……私も素直に内部を上っていくのに賛成。構造や配置されている魔物を見て見たいし、塔を占拠している犯人の考えが知りたいから」

 

 

 毒気を抜かれたように肩を落とした後、本来の斜に構えたスタンスを取り戻した妖術師さん。発動体であり、今まで収集してきた知識を書き記してある本をしっかりと抱え直して塔を睨みつける姿はまさに冒険に挑もうとする冒険者そのもの。女魔法使いちゃんもそれを見て「しょうがないわねぇ……」と装備の点検を始めました。

 

 

「あれ、そのガントレットは?」

 

「ああコレ? 壊しちゃった相棒の部品と砂漠で仕留めた赤竜の素材を使って親方に作ってもらったの。革手袋(グローブ)も作り直して魔法の発動体になってるから、呪文も普通に使えるわ」

 

 

 お、吸血鬼君主ちゃんが見つめる先、女魔法使いちゃんの右腕に見慣れない籠手が付いてますね。竜の腕を模した革手袋(グローブ)を覆うように装備されてますけど、なんだか見た目がごちゃごちゃしてますね。()()()()()()()みたいなのが生えてますし。

 

 

「ふーん……。あ、そういえば聞いて無かった。ねぇ貴女、呪文は何を使えるの?」

 

「えっと、真言と、それから死霊術を少し。だから、死霊術の遣い手である吸血鬼のいる一党(パーティ)はずっと気になってた……」

 

 

 グイグイと距離を詰めて来る妖精弓手ちゃんに若干引きながらもちゃんと受け答えしてくれる妖術師さん。真言と死霊術の二系統を使えるのはなかなか凄いですね! 回数もそれなりに唱えられるみたいですし、流石教官に推薦されただけのことはありますね。

 

 

「それに、吸血鬼の血液や牙はなかなか手に入らない貴重な触媒。あと、呪文回数を増加させる()()()()についても教えて欲しい。それから……」

 

「ああうん、そのあたりは帰ってから()()()()と話しましょうか。ほら、まずは依頼を成功させないとね?」

 

 

 恍惚の表情でつらつらと語り続ける妖術師さんを正気に戻し、焦点を塔へと誘導する女魔法使いちゃん。……知識神さんが推しにする理由が判った気がします。

 

 

「よし、それじゃ張り切っていくわよ! 塔の上でふんぞり返っている頭でっかちの鼻を明かしてやるんだから!」

 

「お~!」

 

「おー」

 

「お、おー!」

 

 

 妖精弓手ちゃんの号令一下、塔の入り口に向かって丘を下る一行。彼女たちの行く先には、一体どんな罠が待ち受けているのでしょうか? 次回、塔の攻略スタートです!

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 


 

 

 あれ? どうしたんですかGM神さん、そんなブルーハワイを吸ったような()色になっちゃって。

 

 え、塔の内部データを作ってない? まさか本当に真正面から挑むとは思ってなかった?

 

 うわぁ……今から作るのは流石に難しいですよねぇ。

 

 あ、そうだ。逆に考えましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふざけんな!? こんな塔まともに上ってられっか!! って思わせればいいやって。

 





 妖術師さんと白粉森人さんのツーショットに胸キュンなので失踪します。

 見切り発車にも程がありますが、サードシーズンが開始となりました。

 モチベが保てるのも、読んでくださった方からの評価や感想に因るところが大きいです。

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 お読みいただきありがとうございました。

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