ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 寒さが身に染みるので初投稿です。




セッションその14-2

 前回、塔の攻略に挑んだところから再開です。

 

 

 見晴らしの良い丘を下り、塔の入り口の前に到着した一行。目の前には無残に破壊された扉と、入り口付近を封鎖するように設けられた仮設の詰め所がありますね。以前はしっかりした造りの詰め所だったみたいですが、侵入者に瓦礫の山に変えられてしまったそうです。

 

 

「こんにちわー! 冒険者ギルドの依頼で来たんだけど?」

 

 

 突然現れた見目麗しい上の森人(ハイエルフ)に目を奪われている兵士へ冒険者認識票と依頼の写しを提示してニッコリ微笑む妖精弓手ちゃん。こういう時APP(外見)の能力値が高いと有利に働きますよね。逆に隠密ミッションとかだと目立ちすぎて足を引っ張ることもあるみたいですが。

 

 

「あの、しんにゅうしゃはどんなほうほうでとうにはいりこんだんですか?」

 

「対峙した人がいるんだったら、どんな服装で何の呪文を使っていたか覚えてないかしら?」

 

 

 軽やかな声を聞きつけて集まってきた兵士たちに愛想良く微笑みながら侵入者についてリサーチする一行。ジャンルこそ違えどみんな可愛い女の子ばかり、慣れた様子で情報を集める3人を一歩引いたところから妖術師さんが若干キョドりながら見守っています。原作でも交渉事を苦手そうにしてましたし、こういうのは人当たりの良い武僧さんあたりがやっていたのかも。

 

 

 お、どうやら情報が集まったみたいですね! 3人が聞いて回った情報はこんな感じです。

 

 

 

・首謀者はローブ姿の痩せぎすな男。現れた時は石で出来た巨人を従えており、巨人に命じて詰め所を破壊。塔の扉も力任せに突破していった。

 

・塔に侵入された後、塔の最上階から翼の生えた怪物が何度も行き来して、動物や野盗と思われる人間の死体を運び込んでいるのを見た。

 

・領主の命で討伐隊が突入したが、数階層上ったところで攻めあぐねて撤退を余儀なくされた。内部は骸骨(スケルトン)粘菌(スライム)が徘徊し、至る所に(トラップ)が仕掛けられていた。

 

・塔に入り込もうとしなければ怪物が襲い掛かって来ることも無いので、こうやって入り口周辺を固めて監視し、冒険者ギルドに討伐依頼を出していた。

 

 

 

「――と、こんな所かしら。ねぇ貴女、これで相手の正体の見当って付く?」

 

 

 集めた情報を指折り数えながら歌うように紡いだ妖精弓手ちゃんが訪ねる先は妖術師さんですね。暫く考え込んでいた彼女ですが、いくつか疑問はあるけど……と前置きしてから推察を語り始めました。

 

 

「討伐対象はおそらく死霊術師(ネクロマンサー)。兵士を蹴散らして塔に侵入する時に使ったのは石巨兵(ストーンゴーレム)だし、死体を運んでいるのは石像鬼(ガーゴイル)骸骨(スケルトン)粘菌(スライム)も、死霊術で生み出すことが出来るから。ただ……」

 

「ただ……?」

 

 

 言い淀む妖術師さんを下から見上げながら続きを促す吸血鬼君主ちゃん。全然そんな風には見えませんが、ダブル吸血鬼ちゃんってば死霊術のエキスパートですからね。自分よりも高位の術者の前で考えを述べるのは思わず躊躇ってしまうのも無理はありません。お、ひとつ大きな深呼吸をした妖術師さんが続きを話し始めました!

 

 

「行使している呪文の数に使役している従僕の数、それに呪文の持続時間も普通じゃ考えられないくらい多いし、長い。こんな辺境にいるのがおかしいくらいの凄腕なのか、それとも何か呪文維持を代替する手段を持っているんだと思う」

 

 

 一息で言い切った後、どうかな……という目で3人を見回す妖術師さん。話を聞いていた3人は口をあんぐりと開けて固まっちゃってますね。妖術師さんの呪文に対する造詣の深さ、そしてそこから導き出された推論に驚きを隠せない様子です。あ、真っ先に再起動した女魔法使いちゃんが咳払いをして吸血鬼君主ちゃんを小突いてますね。どうなの?という女魔法使いちゃんの問い掛けに対し、吸血鬼君主ちゃんは……。

 

 

 

 

 

 

「すっご~い!」

 

 

「うひゃあ!?」

 

 

 満面の笑みで抱き着いてきた吸血鬼君主ちゃんによってバランスを崩した妖術師さん、危うい所で転倒を回避し、蹈鞴を踏みながらも抱き止めることに成功しました! すごいすごいと連呼しつつ、胸のあたりに頬擦りしてくる吸血鬼君主ちゃんをどう扱えば良いものか、保護者達に助けを求める視線を送っていますが……。

 

 

「ぷくく……ねぇ、今どんな気持ち?」

 

「自分が如何に脳筋的思考に陥ってたかをまざまざと見せつけられた気分よ……」

 

 

 おおう……。orzの姿勢で項垂れる女魔法使いちゃんを妖精弓手ちゃんが煽り倒していますね。どうやらここ最近なんでもゴリ押しで解決してきた自分を顧みて、ちのうしすうが下がっていることに気付いてしまったご様子。もしかして吸血鬼君主ちゃんの眷属になったことによる悪影響……では無さそうですね。単純に物事を力押しで解決するのが手っ取り早かっただけでしょう。

 

 

「さて、そろそろ行きますか。斥候(スカウト)役も久しぶりねぇ」

 

 

 うーん、と伸びをして塔へと歩き出した妖精弓手ちゃんを慌てて追いかける妖術師さん。胸元には吸血鬼君主ちゃんが引っ付いたまんまですね。ガックリと肩を落とした女魔法使いちゃんもその後に続いています。待ち受ける敵と罠の数々、どうやってクリアしていくのか楽しみですね!

 

 


 

 

 

 

 

 

「――飽きた」

 

「えぇ……?」

 

 

 もう何個目か判らない罠を解除したところで呟かれた妖精弓手ちゃんの一言に、朝まであれほど冒険への意気込みを語っていたのにと妖術師さんが顔を引き攣らせています。壁のスリットに差し込んでいたキーピックを腰のポーチにしまい込み、そのままジタバタと暴れ始めちゃいましたね。

 

 

「だって、無意味な分岐に中身の無い宝箱、出て来る敵は骸骨(スケルトン)粘菌(スライム)ばっかり。うんざりするほどの(トラップ)はどれもこれも落とし穴(ピット)だし、オマケに今までの階層ぜ~んぶ同じ構造なのよ!? こんなんでやる気出せって言われても無理に決まってるじゃない!?」

 

「だよね~……」

 

 

 うがー!と吠える妖精弓手ちゃんをよしよしとあやす吸血鬼君主ちゃん。その周りには幾つもの歪な金属球(勾玉)が旋回しており、先程からわらわらと湧いて出て来る骸骨(スケルトン)粘菌(スライム)をずっとオートで処理しています。砕けた骨や飛び散った飛沫が壁や床へと吸い込まれるように消えているので、おそらく自動回収機能が働いているのでしょうか。普通だったら崩壊して再利用することは出来ませんので、やはり塔自体に秘密が隠されているのかも。

 

 

「子どもが見てないからってみっともない真似するんじゃないわよ。……それで、正攻法を諦めてどうするの?」

 

「うーん、シルマリルのピカっと光るヤツを真上にぶっぱなして、塔ごと吹き飛ばすとか?」

 

「いや、この塔自体が貴重だから解体せずに監視に留めていたんじゃないの???」

 

 

 身体の大部分を失ってもまだカタカタと顎を鳴らすしゃれこうべを踏み砕きつつ、ジト目で妖精弓手ちゃんを睨みつける女魔法使いちゃん。幼稚に見えるだろう所作なのになぜか可愛さが目立ってしまう2000歳児の駄々こねと物言いにこめかみを抑えています。なんもかんも面倒臭くなった妖精弓手ちゃんの全部吹き飛ばせばええやん理論を聞いて、妖術師さんも頬を引き攣らせていますね……。おや? 自分で言った台詞に何か引っかかったのか、妖術師さんが顎に手を添えてブツブツと呟きながら思考の海に沈んで行きました。

 

 

「――が――だから、ひょっとして――。とすると……」

 

「えっと……、またなにかおもいついたの?」

 

「うひゃあ!?」

 

 

 長い前髪で表情の見えない妖術師さんにそっと近付き、下から顔を覗き込んだ吸血鬼君主ちゃん。突然の声掛けに驚いた妖術師さんがまた抱き着かれるのかと飛び退り、そこで声を掛けられたことに気付いた様子。3人の期待の目に圧されながらも、再び推察を話し始めました。

 

 

石像鬼(ガーゴイル)で空から逃げられるとはいえ、逃げ場の無い塔に建て籠るのは不利よね? 敵が骸骨(スケルトン)粘菌(スライム)しか出てこないのも、罠が落とし穴だけなのも不自然すぎる。もし塔を占拠しているのが自分の力を誇示したい類のヤツだったら、もっと殺傷能力の高い敵や罠を配置する筈」

 

「ふむ……。そうね、両方とも斬撃が効き辛く、粘菌(スライム)は攻撃した者の装備まで損傷させる性質ね。兵士を消耗させ、この塔に釘付けにするにはもってこいかも。となると……」

 

「――()()()()()()?」

 

 

 互いに補完し合うように意見を述べる一行。吸血鬼君主ちゃんの呟きに妖術師さんが頷きを返しました。

 

 

「うん。そう考えると床が落とし穴(ピット)だらけなのも納得出来る。何かを邪魔されたくないのか時間稼ぎ自体が目的なのかはハッキリしないけど、この塔を上らせたくないのは間違い無い……と思う」

 

「なるほどねぇ。となれば、さっさと上に行ったほうが良さそうね。……シルマリル?」

 

「ん! わかった!!」

 

 

 上体を起こしニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた妖精弓手ちゃんに壁を示された吸血鬼君主ちゃん。ぽてぽてと外壁に近付くと、おなかかから引き抜いた(ケイン)の出力を最小限まで絞り壁をくり抜き始めました!

 

 

「え? え?」

 

「外側に落とすと兵隊さんたちに迷惑だから、ちゃんと内側に倒しなさいね?」

 

「は~い!」

 

 

 当然のように外壁に穴を開ける様子に思考が追い付いていない妖術師さんを余所に作業は順調に進み、人ひとりが余裕で通り抜けられる程の穴が綺麗に開きました。妖精弓手ちゃんを抱きかかえた女魔法使いちゃんがぴょんと穴から飛び出すのを見送った後、吸血鬼君主ちゃんが妖術師さんの袖をクイクイと引っ張り、満面の笑みを浮かべて……。

 

 

「それじゃ、ちかみちしよっか! さいじょうかいまでひとっとび!!」

 

 


 

 

「あわわわわわ……!?」

 

「だいじょうぶ、おちてもちゃんととちゅうでひろうから!」

 

「いや、落とさないでよ!?」

 

 

 今までに体験したことの無い高度に驚き、お姫様抱っこしている吸血鬼君主ちゃんの首元へとしがみ付いた妖術師さんの悲鳴が響き渡る夏の空。見上げれば、先行した女魔法使いちゃんが同じように妖精弓手ちゃんをお姫様抱っこして飛行しているのが見えますね。青褪めた顔で抱き着いて来る妖術師さんにちょっぴり悪戯心が湧いたのか、器用に首を動かして妖術師さんの喉元に顔を埋め、肌に浮いた冷や汗をペロリと舌で舐め上げてますね。

 

 

「ひゃん!? ちょ、いきなりナニを……!?」

 

「えへへ……」

 

 

 青かった顔を羞恥で赤に染め直しながらグイグイと細い首を締め上げて来る妖術師さんに対し、ごめんなさいしながら再び顔を摺り寄せる吸血鬼君主ちゃん。懲りずに悪戯してくる小さな暴君に呆れた様子の妖術師さんでしたが、心に余裕が戻ってきたようで何よりです。

 

 

「2人とも、遊んでないで準備しなさい。ほら、お客さんよ?」

 

「ふぇ?」

 

「「「「「GARGOOOOOO!!」」」」」

 

 

 お、どうやら壁を抜かれたことに気付いて迎撃が出てきたみたいですね! 手に手に槍や四又鋤を持った石像鬼(ガーゴイル)が上層から現れ、一直線に4人へと突っ込んで来ました!!

 

 

 綺麗な編隊を組んでの急降下攻撃を躱し、上へと飛び始めた4人。それを追撃するように5体の石像鬼(ガーゴイル)が下から追撃を仕掛けて来ています。単純な飛行速度では吸血鬼君主ちゃんたちが二倍近く速いのですが、抱えているやわらかくてあったかい荷物のために無茶な速度は出せないみたいですね。……あ、ちなみに≪浮遊(フロート)≫の呪文と竜革の外套で慣れていたからでしょうか、3人の眷属の中で女魔法使いちゃんが一番飛ぶのが上手だそうです。女魔法使いちゃんがF-15Cで剣の乙女ちゃんが速度と引き換えに火力を増したF-15E、令嬢剣士さんは言わずもがなの我らがA-10神。ダブル吸血鬼ちゃんは……YF-23ですかねぇ、白と黒の二機ですし。

 

 

「あら、なかなか連携も上手いみたいね」

 

「おじゃまむしさん……」

 

 

 おっと、どうやら石像鬼(ガーゴイル)を振り切れないみたいですね。遠距離攻撃こそ無いものの長柄でチクチク狙われて2人もイラっとしているご様子。焦れた吸血鬼君主ちゃんが歪な金属球(勾玉)をもう一回展開して薙ぎ払おうとしたところを妖精弓手ちゃんが制止しました。

 

 

「まぁまぁ、ここは麗しき恋人に任せなさいって! ちょっと足持っててね!!」

 

 

 そう言い放つと同時に女魔法使いちゃんのたわわから抜け出し、足を持たれた状態で逆さ吊り状態になった妖精弓手ちゃん。逆さまの視界をものともせずに眼下から迫る石像鬼(ガーゴイル)に狙いを定め、次々に矢を放ちます! 石で覆われた強固な外皮を避け、唯一視界を確保するための魔法的な材質で出来ている眼部を過たず貫き……。

 

 

「「「「「GOyyyyyle!?」」」」」

 

 

 視界を失った石像鬼(ガーゴイル)はバランスを崩し次々と落下。眼下で様子を窺っていた兵士たちが慌てて逃げた地面へと激突し、粉々に砕け散りました!

 

 

「ふふん、楽勝楽勝! どうシルマリル、惚れ直したかしら?」

 

 

 フンスと()()の吸血鬼君主ちゃんを()()()()妖精弓手ちゃんですが、ドヤ顔を向けた先には真っ赤な顔でアワアワしている妖術師さんと、彼女の両手に目を塞がれてフラフラとホバリングしている吸血鬼君主ちゃんの姿。状況が飲み込めていない2000歳児を諭すように、足を掴んでいる女魔法使いちゃんが口を開きました。

 

 

 

 

 

 

「下着も付けてないのにそんな恰好ではしゃがないの。……大切な()()が見えてるわよ」

 

「あわ、あわわわわ……!?」

 

「まっくらでなにもみえない~……」

 

 

 

 ……ああ、そういえば『はいてない』し、『つけてない』んですよね妖精弓手ちゃん。それなのに逆さ吊りで大立ち回りしたら、そりゃ見えちゃいますよねぇ。

 

 

 一瞬何を言われているのか判らなかった妖精弓手ちゃんですが、呆れた様子の女魔法使いちゃんに彼女を支えているのとは反対の手で両足の付け根を指し示されてようやく気付いたみたいです。納得したようにひとつ深く頷くと、あっけらかんとした様子で言い放ちます。

 

 

「や、別に見られて困る相手は居ないし、あの子を産むときに大勢に見られてるもの。そんなに気にすること無いんじゃない? ……どうせその()()()()()()()()()()()()()

 

「これだから長命種(エルダー)の経産婦ってのはどいつもこいつも……!」

 

 

 青筋を浮かべた女魔法使いちゃんに空中で思いっきり振り回されながら、てへぺろを崩さない2000歳児のメンタル強すぎませんかねぇ……。女魔法使いちゃんの台詞から察するに、若草知恵者ちゃんと叢雲狩人さんも同様のことを言ってたっぽいですし、若草祖母さんも言動の端々から似たアトモスフィアを感じることが……。種族(エロフ)的特徴なんでしょうか?

 

 

「んゆ……! えっと、とりあえずはやくいらいをおわらせよう?」

 

 お、妖術師さんの目隠しを首を振って抜け出した吸血鬼君主ちゃんが珍しく建設的なことを言ってます! 妖術師さんのSAN値(常識度)がゼロになる前に依頼を終わらせないと大変なことになりそうですし、さっさとボスをしばき倒して帰りましょう!!

 

 


 

 

「オッスおじゃましま~す!」

 

「それ後輩から止めろって言われてたでしょ???」

 

 

 塔の外壁から次々と繰り出されるハリネズミのような対空砲火(≪力矢≫)Iフ〇ールド(呪文抵抗)で無効化し、最上階にダイナミックエントリーをかました吸血鬼君主ちゃん。続いて女魔法使いちゃんが柱に囲まれた広間へと降り立ち、この塔を制御している中枢へと到着しました! 如何な魔術を使っているのか、薄皮一枚隔てたように陽光を通さぬ暗い部屋。その中央には禍々しい光を放つ大きな水晶が設置され、そこから伸びた触手(ケーブル)床へと潜り込み、怪しい脈動とともに塔から膨大な魔力を吸い上げているようです。

 

 

「たぶん、あの水晶が死霊術を維持している魔術装置だと思う……」

 

「その通りだ、招かれざる訪問者……」

 

 

 妖術師さんの言葉に応じるかのように、闇の中から姿を現した1人の男。骨に乾燥しきった皮が辛うじて引っ掛かっているような肉の無い身体に、どろりと濁る輝きを湛える落ち窪んだ眼窩。手に握る杖は人間の骨を組み上げ、握りに赤子の頭蓋骨を用いた悍ましい代物。その身から放出される負のオーラに身を震わせながら、妖術師さんが眼前に立つアンデッドの正体を看破しました!

 

「まさか、塚人(ワイト)……!?」

 

「如何にも。死を克服し、魔導を極めし我の前にひれ伏すが良い、定命の者(モータル)どもよ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念! 私上の森人(ハイエルフ)だから長命種(エルダー)だも~ん!!」

 

「ぼくデイライトウォーカー」

 

「同じく~」

 

 

 

 

 

 

「……は?」

 

「わ、私は只人(ヒューム)だから! あの3人と一緒にしないでよ!?」

 

 

 骨ばった顎をカクンと落とし、マジかよ……という目で侵入者を眺める塚人(ワイト)。横で妖術師さんが必死に一般人アピールをしていますけど、残念ですが既に同一カテゴリー(同じ穴の狢)と認識されちゃってるみたいですね。

 

 

「ええい、貴様らが何であろうと我が目的を阻むのであれば結末は変わらぬ! ここで石巨兵(ストーンゴーレム)のシミになるがいい!!」

 

 

 あ、頑張って気を持ち直して自慢の石巨兵(ストーンゴーレム)を嗾けてきました。天井スレスレの大きさから繰り出されるパンチは破壊力抜群! 並の兵士や冒険者なら為す術無く床のシミにジョブチェンジ間違い無しですが……。

 

 

「パリィ!」

 

「あら、シルマリルってば器用ねぇ!」

 

 

 おっと、久しぶりに閃きアイコンを出した吸血鬼君主ちゃんが円盾()で迫る拳を受け流し、ガラ空きのボディにちっちゃな拳を叩き込みました! Aパーツ(上半身)Bパーツ(下半身)に分かれた巨体が床に崩れ落ちるのを見て、妖精弓手ちゃんが口笛とともに華麗なワンパンを褒めてくれてますね。

 

 

「な!? ……だが、それで勝ったと思うのは間違いだぞ!」

 

 

 おお、塚人(ワイト)が水晶に触れ何事か唱えると、砕けた筈の巨体が巻き戻るように修復され、再び一行の前に立ちはだかりました! どうやら生半可な攻撃では再生されてしまうみたいです。

 

 

「む~……」

 

 

 褒めて貰ってご満悦だった吸血鬼君主ちゃん、むっとした顔で再生した石巨兵(ストーンゴーレム)を睨みつけ、今度は再生させないと言わんばかりにおなかに手を伸ばしますが、女魔法使いちゃんがその頭にそっと手を置き一歩前に進み出ました。右腕に装着した重そうな籠手を示しながら、物騒な笑顔で巨体を見ています……。

 

 

「ソレは最後に取っておきなさいな。私もコレを試すよう言われてるから、ちょうど良いところだし、ね?」

 

「う~。……わかった」

 

「ハ、成りたての新参者(ニオファイト)が随分とデカい口を叩くものだ! そんな玩具(オモチャ)で一体何が……」

 

 

 ガキン!!

 

 

 塚人(ワイト)の嘲笑を掻き消すように響く金属同士が擦れ合う音。右足を後ろに引き、突撃体勢を取った女魔法使いちゃんの右腕には籠手から突き出した鈍く輝く1本の(パイル)。引き絞るように構えられたソレは、女魔法使いちゃんの≪インフラマエ(点火)≫の呟きとともに赤熱していきます……!

 

 

「――ふっ!」

 

 

 吸血鬼の身体能力をフルに活かした全力疾走。飛ぶように突き進む姿を巨体の拳は捕らえることが出来ず、感情の無い瞳が懐に潜り込んだ女魔法使いちゃんを見下ろしています。踏み込んだ勢いと腰の捻りから生み出された突き上げ(アッパー)は正確に石巨兵(ストーンゴーレム)の正中線、その中枢を貫き――。

 

 

「≪ラディウス(射出)≫っ!!」

 

 

 ――灼熱の杭(ヒートパイル)による一撃(とっつき)が、再生の要である(コア)もろとも石巨兵(ストーンゴーレム)を粉砕しました!!

 

 

 

「ケホ……うん、動作も問題なし。革手袋のおかげで熱も伝わって来ないわね」

 

「うぇぇ……。ちょっと、全身粉塗れなんだけど!?」

 

 

 粉塵舞う広間で満足そうに頷く粉塗れの女魔法使いちゃんに、同じく真っ白になった妖精弓手ちゃんが詰め寄ってますね。ちょっと威力が高すぎて文字通り粉々になっちゃったみたいです。一方で塚人(ワイト)白粉(おしろい)を塗りたくったような格好になり、目の前で起きた惨劇にわなわなと震えています。そんな彼の身に纏う豪奢なローブの袖をクイクイと引っ張る小さな姿が……。

 

 

「ねぇねぇ、ワイトって、()はかよってるの?」

 

「あ、ああ。人とは若干異なるが、魔力を循環させるために似たようなものが……あ」

 

 

 あっ(察し)

 

 

 

 

 

 

「にがいけど、からだによさそうなあじでした」

 

 

 完全に潤いを失いサラサラと風に乗って消えていく塚人(ワイト)だったものに、ごちそうさまでしたと手を合わせる吸血鬼君主ちゃん。水晶玉を操作して塔を停止させた妖術師さんがドン引きした様子でそれを眺めています。彼女からの視線に気付いた吸血鬼君主ちゃんが、良いことを思い付いたという表情で妖術師さんに近付き、そっと耳元で囁きます……。

 

 

「……ワイトのもってたちしきはもらっちゃったから、あとでわけてあげるね?」

 

「本当!? ヒヤッホォォォウ!! ……あ」

 

 

 手のひらクルックルな妖術師さんを見ていた女魔法使いちゃんと妖精弓手ちゃんが味わい深い表情になってますね。アレは多分、この後妖術師さんを待ち受けている運命を悟ってしまったからでしょう。2人でそっと彼女の肩に手をやり、吸血鬼君主ちゃんを引き剥がして両側から耳元で告げるのは……。

 

 

「歓迎するわ、新しい妹ちゃん?」

 

「ふふ、また可愛い義娘(むすめ)が増えるわね!」

 

「え、妹? いや、私のほうが年上……。それに義娘……?」

 

 

 2人の意味深な台詞と態度に???な妖術師さん。おうちに帰ったらきっとすべてが理解出来ますよ! 光を失った水晶玉をインベントリーにしまった吸血鬼君主ちゃんがみんなのほうに振り返り、向日葵のような笑顔で宣言しました!!

 

 

「ぼうけんはせいこう! したのへいたいさんとギルドにほうこくして、それからみんなでおふろ!!」

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 





 ゆるゆると短めのセッションが続くかもなので失踪します。

 誤字のご報告ありがとうございます。かなり前のほうの話に残っているのを教えていただけると、恥ずかしい反面読んでくださる方がいるなぁと嬉しくなりました。

 評価や感想、お気に入り登録もありがとうございます。お時間がありましたら、一言ご感想を頂けると非常に嬉しく思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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