ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 とうとう暖房を使ってしまったので初投稿です。




セッションその14-3

 前回、ボス?をナレ死させたところから再開です。

 

 

 ウィンウィンと唸りを上げていた塔が停止し、階下を覗いて内部を徘徊していた骸骨(スケルトン)粘菌(スライム)が崩れ去っているのを確認した一行。流石に60階も下りるのは勘弁ということなので、吸血鬼君主ちゃんと女魔法使いちゃんが1人ずつ仲間をお姫様抱っこし、外壁沿いに大空へとダイブ。地表すれすれで翼を展開し、無事詰め所(仮)の前に着地しました!

 

 

 突然目の前に落下してきた一行に驚き思わず槍を向けてきた兵士たちでしたが、塚人が滅ぼされたと聞くと即座に調査隊を編成し、塔の内部へと突入。ご機嫌斜めな領主様へちょっとでも良い報告をするために、財宝の類が残ってないか探しに行ったみたいです。吸血鬼君主ちゃんたちが面倒くさくてショートカットした階層にあると良いんですが……。

 

 

 

 

 

 

「あのね、おはなししたいことがあるの」

 

「お、なにかななにかな~?」

 

 

 ギルドへ帰還した一行を迎えてくれた監督官さんがいつものように抱き上げようとするのを埃塗れだからとストップし、真剣な表情でお願いする吸血鬼君主ちゃん。普段とは違う真面目な雰囲気に監督官さんも何かを感じたのか、4人を応接室へと案内してくれました。

 

 

 先達たちが冒険で獲得してきた様々な戦利品(トロフィー)が見る者の目を奪う応接室。一際目を引くのは先に砂漠の国で倒された赤竜の首級ですね! 今にもブレスを吐きそうな表情で作られた剥製は昇格試験で呼び出された冒険者たちのロマンを掻き立てる原動力になっているみたいです。

 

 

「それで、お話ししたいことって? ……あ、もしかして私への告白とか? いや~参っちゃうな~!」

 

 

 膝上に吸血鬼君主ちゃんを抱えた女魔法使いちゃんを真ん中に、左右に妖精弓手ちゃんと妖術師さんという布陣の一行へお茶をサーブしつつ冗談めかした先制の一撃を放つ監督官さん。対面のソファーによっこいしょと座り、吸血鬼君主ちゃんが話し出すのを待ってくれています。暫く考え込んでいた吸血鬼君主ちゃんですが、頭の中で整理がついたのでしょう。ゆっくりと口を開きます。

 

 

「えっと、さいきんアンデッドたいじのいらいってふえてる? このちかくだけじゃなくて、おうこくぜんたいで」

 

「んー・・・・・・。そうだね、増加傾向にあるよ。ゴブリンが数を減らしたのと同じくらいから、あちこちで死霊術師(ネクロマンサー)が活動しているみたい」

 

 

 今回の依頼もその一つだね、と続ける監督官さんの話を聞いて、合点がいったように頷く吸血鬼君主ちゃん。お、もしかして心当たりでも? と促す監督官さんの顔を真っすぐ見つめながら告げるのは――。

 

 

 

 

 

 

 

「……きけんなネクロマンサーが、おうこくぜんたいをしのうずにまきこもうとしているかも」

 

 

 ――一連のアンデッド騒ぎが、何者かによって人為的に引き起こされているかもしれないという恐るべき話でした。

 

 

 

「とうですいつくしたワイトなんだけど、よみとったきおくがスカスカだったの。ちからもイマイチだったのに、じしんだけはいっちょまえ。それに、だれかにつかえているとかじゃなくて、じぶんがしゅぼうしゃだって()()()()()()()

 

「≪分身(アザーセルフ)≫……じゃないんだよね? ――となると、まさか複製體(トークン)!?」

 

「……えっと、複製體(トークン)って何?」

 

 

 吸血鬼君主ちゃんの話を聞いて、頬を引き攣らせながらその正体を看破する監督官さん。あまり聞いたことが無い単語に首を傾げる妖精弓手ちゃんに、同じく驚愕の表情を浮かべていた妖術師さんが若干早口で説明しています。

 

 

複製體(トークン)っていうのは、禁術によって生み出された自分と寸分たがわぬ複製のこと。生み出された複製體の能力は本体とほぼ同一だけど、あくまで仮初の存在。本体の意思ひとつで消したりも出来るし、わざと能力を落とすことも可能。もしかしたら、同一存在が干渉しあった時に起きるとされている対消滅(レジェンドルール)も発生しないかな」

 

「……それって、どのくらいの数が作れるの?」

 

専用の術式(エンチャント)を起動するための魔力(マナ)があれば、それこそ魔力が枯渇する(タップアウト)までは()()()()

 

 

 うわ、最悪じゃないと天井を見上げて呟く妖精弓手ちゃん。吸血鬼君主ちゃんの知識と塚人(ワイト)から読み取った穴開きの記憶から考えれば十分有り得そうな話です。しかも妖術師さんの言葉が正しければ、本体である塚人(ワイト)は禁術と呼ばれるだけの高度な魔術を使える凄腕ということですよねぇ。

 

 

「となると、各地のアンデッド騒ぎは儀式の一環ってところかしら」

 

「たぶん。ようどうであるとどうじに、しをまきちらしてとちをじぶんのいろにそめあげているんだとおもう」

 

 

 なるほど、本体が舞台裏にいる状態で儀式を進行させるために、自らの複製體(トークン)に陽動を兼ねて目立つ行為をさせ、同時に討伐に赴いた兵や冒険者を消耗させること(チャンプブロック)で時間を稼いでいると。うーむ、聞けば聞くほど考え方や視点が常人のソレとは違いますね。まるでかつて四方世界から飛び出して行ったという界渡りの魔術師(プレーンズウォーカー)のような……。

 

 

 

 ……あれ、どうしました≪死≫さん? え? 犯人は以前新()さんと決闘(デュエル)してフルボッコにされた死霊術師(黒使い)? 審判をしていた≪死≫さんからレギュレーション違反を指摘され、盤外への参加資格を剥奪されたのを逆恨みしている? いや、それただの困ったちゃんじゃないですかやだー!

 

 

 

……はい、唐突に今回の黒幕が暴露されましたが、盤面にいるみんなには判らないことですから!

 

 

 とりあえず今の状況を纏めますと、まず各地で多発しているアンデッド湧きの原因は、盤外(こちら)への界渡り(プレーンズウォーク)を企む死霊術師(ネクロマンサー)である塚人(ワイト)によるもの。自らの複製體(トークン)を生み出し、各地で陽動を兼ねた死の儀式を進行中。このままだと四方世界中に死をバラ撒きつつ盤外(こっち)に無理矢理エントリーしてくる可能性が高い。……最悪ですね!

 

 

 盤外云々は判らないとしても、このまま放置していれば碌なことにならないのは間違いありません。なんとかして本体である塚人(ワイト)を見付けて倒さなければいけませんし、陽動である複製體(トークン)も放置してはおけませんね。

 

 

「――うん、わかった。すぐに王都の本部に報せて、各地で発生しているアンデッド騒ぎを最優先で片付けるよう働きかけてみるね。知り合いにも声を掛けて当代の白金ちゃん達が何か掴んでないかも聞いてみるよ。それから……」

 

「ん。アンデッドがらみのいらいはぜんぶぼくたちにまわして? できるだけはやく、できるだけたくさんつぶして、あいてがイライラするのをさそう! ……あいたっ」

 

「こら、そういうのはあの子を含めて全員で相談してから決めなさい? ……まぁ、今回はしょうがないけど」

 

 

 あ、積極的に狩りを行うつもりの吸血鬼君主ちゃんがぺしっと女魔法使いちゃんにひっぱたかれちゃいましたね。報・連・相は大事、はっきりわかんだね。ごめんなさいする吸血鬼君主ちゃんの頭を優しく撫でながら叱る女魔法使いちゃんを生暖かい目で見守りながら、監督官さんがさらさらと本部に宛てた手紙を書き上げ、ギルドの印を捺して乾かしています。

 

 

「よし、後でギルドと契約している鳥人(ハルピュイア)()に急いで運んでもらうから、今日中には本部に届くよ! さてと、みんなは今日はゆっくり休んで、また明日来てもらっても良いかな? 出来れば来られる人全員で来てくれると嬉しいなぁ?」

 

「りょーかい、それじゃまた明日ね。……あ、そうだ。貴女の荷物も一緒に引き上げちゃいましょ? シルマリル、運ぶの手伝ってあげてちょうだい」

 

「は~い!」

 

 

 監督官さんの言葉に大きく頷く一行……妖術師さんだけは「えっ」って顔をしてますけど、もうダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)に一員として見做されちゃっているみたいです。妖精弓手ちゃんの一声でギルドの宿泊施設にある妖術師さんの私物も一党の自宅へ回収するつもりなのが発覚し、いよいよ後戻り出来なくなってますねぇ。

 

 

「えっと、≪浄化(ピュアリファイ)≫が使えるなら先に使っておけば良かったんじゃないの?」

 

 

 部屋を出る前に埃が付いてしまった椅子を中心に≪浄化(ピュアリファイ)≫を唱え、ピカピカの状態に戻した吸血鬼君主ちゃんを見て疑問の声を上げる妖術師さん。……言われていればその通りですし、何故か今の≪浄化(ピュアリファイ)≫の効果に含めなかったのかみんなの恰好は埃塗れのままですね。キョトンとした顔で妖術師さんを見上げていた吸血鬼君主ちゃんが返した答えは……。

 

 

「さきにきれいになってたらまたクンカクンカされちゃうし、このあとみんなでおふろだもん。じゅもんはせつやく!」

 

「ぶ~ぶ~! 吸血鬼吸いしたかったのに~!!」

 

 

 いや待て、今のほうが自然な味わいが……と言いながら詰め寄る監督官さんから逃げ出しつつ、ケラケラと笑う吸血鬼君主ちゃん。2人がクルクルと応接室を走り回る姿を呆然と眺めていた妖術師さんの肩を両側から叩くのは勿論残りの2人ですね。

 

 

「まぁ、そのうち慣れるって!」

 

「当事者じゃ無ければ、見てる分には飽きないわよ?」

 

「ええ……?」

 

 

 ……頑張れ妖術師さん! 一党(パーティ)に参加したら毎日がこんな感じですよ!!

 

 


 

 

「うわ、広っ!? それにこんな沢山お湯が……!」

 

「家を()()時に一番拘ってたのが此処だったのよ。みんなお風呂大好きだから」

 

 

 さて、埃塗れで帰ってきた一行。おゆはんの支度をしていた若草の2人から「先に冒険の疲れを癒してきてくださいね(ニッコリ)」と言われ、クッソビビりつつ自慢のお風呂へと向かいました。脱衣場備え付けの籠にポイポイと服を脱ぎ捨て、風呂場へと飛び込む吸血鬼君主ちゃんと2000歳児の後に続いて入った妖術師さんが感嘆の声を上げ、その隣でうんうんと女魔法使いちゃんが相槌を打っています。

 

 

 広々とした浴室は大理石(のような石)で覆われ、奥に鎮座する浴槽は総檜(っぽい木の)造り。一度に平均的な一党(パーティ)全員が浸かっても余裕がありそうなほどの湯舟は、ダブル吸血鬼ちゃんご自慢の逸品です。……お、先に突入していた2人が何やら準備をしていますね。

 

 

 水草で編まれた耐水性の敷物を広げ、その上に木製のU字型に凹んだ椅子を2つ並べる妖精弓手ちゃん。吸血鬼君主ちゃんが大きな桶にお湯を汲んで運んでくると、壁面に設置されていた棚に手を伸ばし、幾つか並んでいる金属製の瓶を吟味し始めました。

 

 

「んー……。やっぱり冒険の後は『あわあわ』が一番ね!」

 

 

 そう言いながら瓶を取り出し、白っぽい色の中身を桶の中へと注いでいきます。トロリとした液体が十分に投入されたところで、吸血鬼君主ちゃんと2人仲良く桶の中に手を突っ込んでかき混ぜると……。

 

 

「あわあわ~」

 

 

 みるみるうちにブクブクと泡立ち、森人(エルフ)自慢のボディーソープの完成です!

 

 

 楽しそうに2人が作り上げたこの『あわあわ』、森人(エルフ)の間に伝わる洗体用の石鹸だそうで、天然の植物由来で肌に優しく、そのまま水に流しても環境を汚染しない優れものなんだとか。赤ちゃんの肌も傷めないので、叢雲狩人さんが素材を集めて作ってくれたみたいです。他にも棚には『すーすー』や『ぬめぬめ』と森人の文字で書かれた瓶が並べられていますね。

 

 

 ……妖精弓手ちゃんの言ってたように、『あわあわ』は身体の汚れを落とすためのものですが、粘度の高い液(〇ーション)に変わる『ぬめぬめ』は満月が近くなった際、ダブル吸血鬼ちゃんの()()()を鎮めるために。爽やかな香りと消臭効果のある『すーすー』は夜戦の香りを消すために翌朝使われる代物だそうです。映像は残念ながら入手出来なかったのですが、お風呂を司る浴槽神さんが鼻から神性を溢れさせながらこっそり教えてくれました。

 

 

「よし、準備バッチリ! それじゃシルマリルはおっぱい眼鏡をお願いね」

 

「は~い! ふたりとも、こっちにどうぞ?」

 

 

 2人の手招きに「誰が眼鏡よ」と裸眼でちょっと目つきの悪い女魔法使いちゃんが歩き出し、その後を不安そうな顔で妖術師さんが続いています。2人を椅子に座らせると、柄の付いた小さな桶でお湯を汲み、吸血鬼君主ちゃんと妖精弓手ちゃんが2人の頭にそれをかけ、続いて『あわあわ』を手に取り、髪を優しく洗い始めました。

 

 

「おきゃくさま、かゆいところはありませんか~?」

 

「……何処で覚えたのよそんな台詞」

 

「このあいだともだちになったサキュバスのおねえさんから~」

 

 

 何やら不穏な事を口走る吸血鬼君主ちゃんと、後で追及する決意を固めた女魔法使いちゃん。背伸びをしながら一生懸命手を伸ばして艶やかな赤毛を泡塗れに変えていきます。その隣では同じく椅子に座った妖術師さんの髪を妖精弓手ちゃんがわしゃわしゃと洗っていますね。

 

 

「もう、結構痛んじゃってるじゃない! こんな癖の無い金髪なんだから、ちゃんと手入れしないと勿体無いわよ?」

 

 

 口調とは裏腹に繊細な手付きで髪を清めていく妖精弓手ちゃん。出産からこっち母性に目覚めたようで、みんなをお風呂に誘ってはこうやって洗ってあげているみたいです。なお洗われている妖術師さんは真っ赤な顔で俯いちゃってますね。その理由は……。

 

 

「あ、あの!? さっきからあたってるんだけど……」

 

「ん? ああ、別にいいじゃない。減るもんじゃないし。増えもしないけどね!」

 

 

 妖術師さんの頭を胸に抱きかかえるようにして『あわあわ』を湯で流していた妖精弓手ちゃん。胸元から上がる声を華麗にスルーし、今度は『あわあわ』を妖術師さんの身体全体に満遍なく広げていきます。『あわあわ』が入らないようにギュッと目を瞑っていた妖術師さんがそ~っと目を開いて時に入ってきたのは、自分の肢体にも泡を纏った妖精弓手ちゃんが悪戯っぽい表情で迫って来る光景でした。

 

 

「ほら、じっとしててちょうだい?」

 

「あわ、あわわわわ……」

 

 

 抱き着く様に肌を重ね、手指のみならず全身を使って妖術師さんを磨き上げていく妖精弓手ちゃん。吸い付くような肌の感触と耳元に感じる甘い吐息によって、妖術師さんの思考回路は爆発寸前。意味不明な言葉を口から漏らしながら視線を横に向ければ、そこには更に耽美な光景が……。

 

 

「あわあわで、ふわふわ~。あ~ん……」

 

「こら、もうすぐおゆはんなんだから、摘まみ食いはダメよ?」

 

「……だめ?」

 

「……ちょっとだけなら」

 

「えへへ……は~い! んちゅ……」

 

 

 女魔法使いちゃんの膝上に向き合う体勢で座り、互いの身体を清めていた吸血鬼君主ちゃんが、お湯によって人肌近くまで温められた眷属のたわわに口を付け、安心しきった表情でちゅーちゅーするギリギリな映像。『あわあわ』によって大事な部分にモザイクは掛かっていますが、それが逆にエロい!と地母神さんがガッツポしています。

 

 

 ちゅーちゅーされている側の女魔法使いちゃんも、心身を預けてくる吸血鬼君主ちゃんの小さな身体を優しく抱き寄せ、頭のてっぺんから爪先まで全身くまなく洗い清めています。真っ赤な顔でそれを見ている妖術師さんに気付くと苦笑まじりに「塔でもお姫様が言ってたけど、そのうち慣れるわよ?」と言ってるあたり、もはや日常的な行為っぽいですねぇ……。

 

 

 

 

 

 

「はぁ~。蒸し風呂も良いけど、やっぱりお湯に浸かるほうが好きだわ~」

 

「きもちいいね~」

 

 

 全身をピカピカに磨き上げた後、湯船へと浸かる一行。う~んと長い手足を伸ばしながら満足そうに呟く妖精弓手ちゃんの声が響く浴室。冒険の汚れを落とし、十分な水分を得たことでその肢体は輝きを増し、隣で肌を隠すように縮こまりながら湯に浸かっていた妖術師さんが、そのこの世のものとは思えぬ美しさに目を奪われています。

 

 

 そのまま浸かると全身が湯に沈んでしまうため、女魔法使いちゃんの膝上に乗っている吸血鬼君主ちゃんもふやけたように脱力し、後頭部を女魔法使いちゃんのたわわに預けて肩まで浸かっています。女魔法使いちゃんがその細い腰に腕を回して捕獲していなければ、そのままプカプカ浮かんじゃいそうですね。

 

 

「さっきはビックリしたでしょう? いきなり全身泡塗れにされて。お姫様ってば最近誰彼構わずああなのよ……」

 

「失礼ね、ちゃ~んとやる相手は選んでるわよ。それに私からしたら赤ちゃんもみんなも変わらない年齢だしね~」

 

 

 数十年なんて誤差よ誤差! と薄い胸を張る2000歳児。その平面を見て先程までの艶姿を思い出してしまったのか、また妖術師さんが真っ赤になってしまいました。ブクブクと湯に沈んでいく彼女を見た妖精弓手ちゃんがスルリと背後に回り込み、後ろから抱きすくめるように上体を水面上へと引っ張り上げ、細い腰に腕を回しました。両腕を交差させた状態で腹部から上に向かって這わせながら、脱衣場から気になっていたことを尋ねています。

 

 

「ねぇ、ずっと気になってたんだけど、なんで胸にサラシなんて巻いてたの? 良いモノ持ってるのに勿体ないじゃない」

 

 

 妖精弓手ちゃんの視線の先には水面に顔を覗かせる2つの果実。白兎猟兵ちゃん以上令嬢剣士さん以下というサイズで、大きいとはいえませんが形の良い美乳ですね。肩越しに覗き込んで来る美貌にドギマギしている妖術師さんが、向かいで好奇心に満ちた目をしている吸血鬼君主ちゃんから目を逸らしながら口を開きました。

 

 

「……前の一党(パーティ)では女は私1人で、寝床も大部屋で一緒だったから。頭目(リーダー)毛皮と羽毛が好み(ケモナー)で神官は美少年好き(ショタ)だったから、2人からはそういう目で見られることはほとんど無かったんだけど、失踪した斥候の圃人(レーア)がね……」

 

「えっと、ごめんなさい……?」

 

 

 男性のチラ見は女性のガン見、一党(パーティ)の仲間からそういう目で見られるのは結構キツそうですねぇ……。周囲に気を配る振りをして動作を見られるのは溜まったものでは無いでしょう。しかし、その後に彼女が続けた言葉は、2匹の獣に火を点けるのには十分過ぎるものです。

 

 

「こんな()()()()()()()()()()()、見たって()()()()()()()()()()()()……」

 

「お、それは聞き捨てならないわねぇ? そうでしょ、シルマリル?」

 

「え? ……ひゃう!?」

 

 

 悪い笑みを浮かべた妖精弓手ちゃんが、妖術師さんの腹部に宛がっていた両腕を密着させたまま、少しずつ上部へと擦り上げていきます。薄い脂肪と筋肉の下にある骨の感触を感じながら上っていく2本の腕、やがてそれは双丘の麓へと到着し……。

 

 

 ふにっ

 

「うひゃあ!?」

 

 

 柔らかな感触とともに動きを止める妖精弓手ちゃんの腕。羞恥で朱に染まった顔で妖術師さんが振り向けど、そこには妖精弓手ちゃんの姿は無く、次の瞬間には彼女の胸元に妖精弓手ちゃんが滑り込むように姿を現しました! 驚きに身を固める彼女の両腕を取り、先程自分がやっていたように背後から抱きしめるような姿勢で妖術師さんの手を自分の腹部に宛がい、滑らかな腹部の上を滑らせていき……。

 

 

 つるん

 

 

 何の障害も無く平原を縦断。途中で可憐な桃色の感触を得ただけで、魅惑の曲線を描く鎖骨へと到着してしまいました。その平易な道のりに言葉を無くした妖術師さんに向かって、ニッコリと笑みを見せながら……。

 

 

「ね、わかったでしょ? これが本当の"無い"ってこと」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

 

 もう、謝る必要なんて無いのよ? と笑いながら妖術師さんに背を預け、浴槽を泳いで近寄ってきた吸血鬼君主ちゃんを抱き止める妖精弓手ちゃん。きめ細かな肌に舌を這わせる吸血鬼君主ちゃんの頭を撫でながら顔を横に向け、妖術師さんのお山に頬擦りを始めました。

 

 

「貴女はとっても魅力的な女の子よ? 私たちと一緒にシルマリルと歩んで欲しいくらいにね。もちろん、白うさちゃんみたいに永遠を共にするんじゃなくて、血を未来に繋いでいく道を選んでくれても良い。どちらにしても、貴女という存在は決してつまらなくなんかないわ!」

 

「あう……」

 

「それに、死霊術を学ぶのに時間は必要じゃない? 眷属になれば好きなだけ研究出来るわよ?」

 

 

 妖精弓手ちゃんの褒め殺しにタジタジなところに追撃を入れるニマニマ笑いの女魔法使いちゃん。知識の譲渡にしろ魔力供給にしろ、ダブル吸血鬼ちゃんと深い繋がりを持たなきゃいけませんからねぇ。妖術師さんから離れた妖精弓手ちゃんがくるりと向きを変え、胸元の吸血鬼君主ちゃんを2人の間に挟み込むように押し付けちゃいました。小ぶりながらも張りのある双丘に顔を埋めた状態から、揺れる瞳の妖術師さんを見上げる吸血鬼君主ちゃん。震える彼女の口元にそっと顔を近付け――。

 

 

 

 

 

 

 

「皆様、着替えは此方に置いておきま……ごゆるりと……」

 

 

 ――浴室の扉を開け、笑みを浮かべながら声を掛けてきた若草知恵者ちゃんが、同じ表情のままゆっくりとドアを閉じていきました。  

 

 

「えっと、さきにおゆはんだね……」

 

「……うん」

 

 

 ギリギリでインターセプトされちゃった妖術師さん。ちょっと残念そうに見えるのは気のせいでしょうかね……。

 

 


 

 

「それじゃ、新しい仲間の加入を祝って……乾杯!」

 

 

 ノリノリな2000歳児の音頭に続いて乾杯と唱和する一行。テーブルの上には美味しそうな料理が所狭しと並んでいますね!

 

 

「今日は畑で採れた蕃茄(トマト)と牧場産のベーコンを使ったパスタに、オルクボルグ様から立派な鯉を頂きましたので、思い切って麦酒(ビール)煮に挑戦してみました」

 

 

 可愛らしいエプロン姿の若草知恵者ちゃんがフンスと胸を張る自慢の品々。メインの2皿以外にも甘藍(キャベツ)の酢漬けや大籠いっぱいの麺麭、牧場産のチーズも用意されていますね。赤ちゃんにおっぱいを与えるためにアルコールは控え、代わりにみんなの持つグラスに注がれているのは地母神の神殿から貰った葡萄ジュース。爽やかな甘さが人気の逸品なんだとか。

 

 

「おいし~!」

 

「皮目がネットリとしていて、堪りませんわね!」

 

「一緒に煮込まれた野菜もイケるわよ!!」

 

 

 川魚特有の臭みをビールと胡椒、香草の力で消し、上手に仕上げられた鯉の身。その身から出た旨味を十分に吸った根菜たちもみんなの舌を唸らせています。普段はがっついたりしない令嬢剣士さんもですが、今日は珍しくお代わりを取っていますね。ひょいひょいと人参や豹芋(ジャガイモ)を口に放り込みながらも妖精弓手ちゃんが優雅さを保っているのは、流石上の森人(ハイエルフ)の姫君といったところでしょうか。

 

 

「あら、このパスタ冷製なのね。まだ暑いからスルスル食べられちゃう」

 

「はい! 旦那さまが氷を用意してくれました!! デザートには氷菓(アイス)もありますよ!!!」

 

 

 クルクルとフォークにパスタを巻き付け、口へと運んだ女魔法使いちゃんが眦を下げ、その隣では白兎猟兵ちゃんがキンキンに冷えた金属製の容器を掲げています。氷を敷き詰めた木桶に塩を入れ、先程まで一生懸命その上で容器を転がしてくれていましたからね。中にはきっとコクのある蕩けるようなアイスクリームが出来ていることでしょう!

 

 

「こらご主人様、ズルズル啜るから口の周りにみんな付いてしまっているじゃないか。 ……動かないでくれたまえよ?」

 

「ふぇ? おあ~……」

 

「――更にチーズを削って入れると、また味が変わりますよ?」

 

「あ、コクが増して美味しい……!」

 

 

 

 おやおや、口元を真っ赤に染めた吸血鬼侍ちゃんを叢雲狩人さんが貪ってますね。その隣では妖術師さんの具を食べ終えた麦酒(ビール)煮の碗に剣の乙女ちゃんがチーズを加え、さらに千切った麺麭を浮かべてスープの旨味を余すところなく食べる方法を伝えているみたいです。スープを吸って身重になった麺麭を口に含み、じゅわっと広がる濃厚な旨味に妖術師さんも目を輝かせていますね!

 

 

 

 

 

 

 楽しいおゆはんタイムも終わり、これからの計画について話し合うことにした一行。何人かが胸元に赤ちゃんを抱いているのはこの一党(パーティ)ならではの光景でしょう。若草祖母さんが淹れてくれたお茶を啜りながら、明日からの予定を決めてるようです。

 

 

「それじゃあ、基本は飛行可能な2人とそれに随行する2人、合計4人を基本として動くことで決まりかな」

 

「ん。ほかのふたりはおやすみして、ぼくじょうやみんなをまもる!」

 

 

 叢雲狩人さんの言葉に頷きを返す吸血鬼侍ちゃん。現在の一党(パーティ)構成だと……飛行可能なのはダブル吸血鬼ちゃんに眷属3人の合計5人。若草祖母さんはカウント対象外なので、それ以外が森人(エルフ)3人に白兎猟兵ちゃん、それに新しく加わった妖術師さんで5人ですね! ダブル吸血鬼ちゃんは出ずっぱりになると思うので、眷属3人のうち2人が同行して、1人が休息兼牧場の護衛、随行組も同じような感じでしょうか。

 

 

「牧場の守りはそれで十分でしょう。英霊のお二方や狼さん、それに移住して来てくれた兎人(ササカ)のお父様たちもいらっしゃいますので」

 

「いざとなればおちびちゃんたちとそのお嫁さんたちも戦力に数えられそうだしね。……また牧場が襲撃されても余裕そうなのは気のせいかしら」

 

 

 牧場の戦力を指折り数える剣の乙女ちゃんの隣で戦力過多に気付き頭を抱える女魔法使いちゃん。冗談抜きでダブル吸血鬼ちゃん一党が居なくても牧場の戦力は過剰気味なんだよなぁ……。

 

 

「「トークンをつぶしつづけて、ほんたいがやけになるまでいやがらせしつづける。どのくらいつづくかわからないけど、みんながんばろう!」」

 

 

 ダブル吸血鬼ちゃんの声に大きく頷く一行。ギルドからの報告を受けて、陛下や勇者ちゃん達も動いてくれることでしょう。それを信じて、明日からひたすらトークン潰しです! 気合い入れていきましょう!!

 

 


 

 

「グワーッ!?」

 

「どうやら西方辺境の複製體(トークン)がやられたようだな……」

 

「ククク……ヤツは複製體(トークン)の中でも最弱……」

 

定命の者(モータル)に滅ぼされるとは不死者(イモータル)の面汚しよ……」

 

「「イヤーッ!!」」

 

「アイエエエ!?」

 

「冒険者!? 冒険者ナンデ!?」

 

「「ドーモ、トークン=サン。デイライトウォーカーです」」

 

「コワイ!」

 

「ゴボボーッ!」

 

 

 ……なんて遣り取りがあったかどうかは不明ですが、ひたすらに複製體(トークン)を狩り続けること約一ヶ月。暑さも和らぎほのかに秋を感じるようになった頃、事態は動き出しました。

 

 

「早朝から失礼! 冒険者ギルドから緊急招集です!!」

 

 

 まだお日様が顔を出す前、僅かに東の空が明るんできた時刻。牧場に響き渡るのは、口元に魔法の拡声器(メガホン)を添えた梟の特徴を持つ鳥人(ハルピュイア)の女性の声です。

 

 

「『辺境最優』と『辺境最悪』の皆様、急ぎギルドまでお越しください!」

 

 

 出せるギリギリまで速度を上げていたのでしょう。青を通り越して土気色になった顔、こけた頬に、傷つき羽根の抜け落ちが目立つ翼。それでも職務を全うすべく、彼女は声を枯らして冒険者を呼び続けています。

 

 

「各地でアンデッドの軍勢が出現、既に王国は軍を投入。冒険者にも参加要請が来ております!!」

 

 

 高度を保てなくなり、落ちてきたところをダブル吸血鬼ちゃんによって受け止められたギルドの使者。癒しの奇跡を使おうとした2人を制し、最後の力を振り絞って伝えたのは――。

 

 

 

「陛下は、これを恐るべき死霊術師(ネクロマンサー)に因る死の軍勢(デスアーミー)であると断定されました!!!」

 

 

 ――本体である塚人(ワイト)が、とうとうしびれを切らし、重い腰を上げて動き出したという皆が待ち望んでいた報せです。

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 




 次回より、再び複数神による分割実況予定なので失踪します。


 UAが130000を超えました。決して短くはない物語を皆様に読んでいただけて、非常に嬉しく思っております。

 評価や感想、お気に入り登録ありがとうございます。読んでいただけた方からの反応が次話への原動力になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


 お読みいただきありがとうございました。
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