ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 水道や玄関前が凍ったりしていたので初投稿です。




セッションその14-6

 前回、かつて冒険を共にした仲間と再会したところから再開です。……激うまギャグではありませんから。

 

 

 眼前のたわわを見て口を滑らせてしまった元青年剣士君と、うっかりそれに同調してしまった聖騎士君の2人。パートナーに力いっぱいビンタされた挙句女魔法使いさんから拳骨を貰い、真っ赤な頬にたんこぶをこさえて焼け焦げた飛竜(ワイバーン)の隣で正座させられております。故郷に帰ってからも鍛錬は続けていたのでしょう、腰の入った良いビンタを元女武闘家さんは披露してくれました。

 

 

「思い出話に花を咲かせたいところだけど、それは後回しにしましょう。2人は仕事で来ていたのかしら?」

 

「んぐ、んぐ……ぷはっ。うん、故郷に戻ってから2人でお金を貯めて、運送業を始めたの。軍の兵站では賄われない嗜好品や、定番外の品物を運ぶ隙間狙いの仕事ね」

 

 

 女魔法使いさんが差し出した革袋を受け取り、薄めた葡萄酒を美味しそうに飲み干す元女武闘家さん。口元の水滴を指で拭いながら、此処を訪れていた理由を話しだしてくれました。

 

 

 辺境の街を去る際、武具店の店主(じいじ)に装備を買い取ってもらい、それを元手に驢馬を購入。ダブル吸血鬼ちゃんたち一行が雪山で手に入れた莫大な貴金属を元手に整備された街道の恩恵もあり、運送業の需要は急速に拡大していたらしく従業員2人の零細であっても引く手数多だったそうです。

 

 

 その利益を元に乗用馬や馬車を揃え、運べる量が増えたところで軍の兵站統括の目に留まり、半ば軍の御用聞きみたいな待遇で仕事を請けるようになったとか。地下帝国……もとい、強制労働の場である鉱山への荷運びもその中の一つだったみたいですね。

 

 

「今まではアイツ1人でこなしてたんだけど、最近荷物の量が増えてきたの。()()()()()()()()()()()()()()()()()、あたしも復帰したんだけどね~」

 

「……()()()? ってことはもしかして……」

 

 

 驚きを隠せない様子の女魔法使いさんに、はにかむような笑みを見せる女武闘家さん。ふふんと形の良い胸を張りながら疑問に答えを返しました。

 

 

()()()の夜戦で一発命中して、今じゃ二児の母親よ? 女の子と男の子がひとりずつ、とっても可愛いんだから!」

 

 

 なんと、元青年剣士君もやりますねぇ。冒険という生と死の狭間の危機を体験して、生殖本能が高まっていたのでしょうか? 生々しい男女の話題を聞いて至高神の聖女さんの耳がダンボになってます。隣の聖騎士君から向けられる畏敬の念の籠った視線に居心地悪そうに身じろぎしている元青年剣士君でしたが、お仕置きタイムが終わったと判断したのか正座を崩しながら肩を落とし、何事かぼやいているようです。

 

 

「アイツらのために気張って稼ごうと思って、大枚はたいて買った愛馬が……痛ッ!?」

 

「命あっての物種でしょ、また最初からやり直すだけよ!」

 

 

 しょぼくれていた元青年剣士君の尻を蹴り上げる元女武闘家さん。大切な資産である馬と馬車を失ってなお明るい表情で笑える気丈さ、そんな2人を見て一行の顔にも笑みが浮かんでいるようです。やはり、母は強しということでしょうか。

 

 

 

 

 

 

「――さて、そろそろ今後についてお話しいたしましょうか」

 

 

 一頻り笑いあった後に口火を切ったのは剣の乙女さんでした。周囲に散らばる荷物から察するに、夫婦は鉱山へと向かう往路で飛竜(ワイバーン)と遭遇したみたいです。移動手段と装備を失った2人の安全を考えるならば人里まで送るのがベストですが、鉱山の状況が不明な現在一旦引き返すのは避けたいところ。そうなると採れる手段はやはり……。

 

 

「おふたりに同行して頂くのがいちばん良いよね……?」

 

「まぁ、そうするしかないわよねぇ」

 

 

 申し訳なさそうに言葉を紡ぐ至高神の聖女さん、隣でうんうんと聖騎士君も頷いています。彼女の言葉を継ぐように女魔法使いさんが、かつて冒険を共にした2人へと向き直りました。

 

 

「悪いけど、あなたたちを人里まで送る時間は無いわ。私たちと一緒に鉱山へ同行するか、それとも此処で別れるか――」

 

「一緒に行くわ。あそこには顔見知りの兵隊さんもいるし、徒歩で帰っている間にまた飛竜(ワイバーン)と出遭ったら今度こそ間違いなく腹の中だもの」

 

 

 ――選んで頂戴、と言いかけた女魔法使いさんの言葉を遮るように、決意を口にする元女武闘家さん。同じ考えなのか、隣で元青年剣士君も大きく頷いています。

 

 

「足手纏いにはならないなんて言えないけど、自分のくらい自分で守ってみせる。だから、お願い!」

 

「俺も、自分とコイツの面倒は見るよ。それ以上は……あんま期待しないでくれると嬉しいかも」

 

 

 2人の目には決して退かないという強い意志が見えますね。これなら鉱山で何か起きていたとしても心折れずに立ち向かうことが出来るかもしれません。

 

 

「わかったわ。……それじゃあコレを持ってなさい」

 

「貴方にはこちらを。山刀よりは扱いやすいと思いますわ」

 

 

 おや、女魔法使いさんが身に着けていた火竜の革手袋を元女武闘家さんに手渡しています。元青年剣士君には剣の乙女さんが腰に佩いていた太陽の直剣を差し出していますね。ほぼほぼ丸腰だった2人にとっては有難い申し出でしょう。

 

 

「うわ、軽くて付けてないみたい!」

 

鎖帷子(チェインメイル)くらいなら簡単に引き裂けるから、いざという時はそれで凌いで頂戴?」

 

「こっちの剣も凄いな……! あ、でも俺たちがこれを使っちゃって、2人は大丈夫なのか?」

 

「御心配には及びませんわ。もう一振りありますので」

 

 

 かつて振るっていた鋼の剣、そして先程まで握っていた山刀とはまるで違う握り心地に顔を綻ばせる元青年剣士君。目の前で嫋やかな笑みを浮かべている小さな女の子……剣の乙女さん(あの頃形態)に心配そうに疑問を投げかけ、続いて取り出されたレイテルパラッシュに目を丸くしています。まぁ見た目可憐な少女が魔法の武器と思われる剣を二振りも持っているとは思いませんよね。

 

 

「私も問題無いわ。赤熱化させないで鈍器として扱うなら手袋は要らないし、それに……」

 

 

 革手袋を嵌めてシャドーボクシングをしながら見つめてくる元武闘家さんに対し、ウインクを返す女魔法使いさん。キョトンとした顔の彼女の前で外套のように折りたたんでた翼を展開し、たゆんとたわわを揺らしながらポーズを決めて……。

 

 

「私、今吸血鬼やってるからすっごい力持ちよ? あ、そっちの小っちゃい子もね」

 

 

 あーあー、2人の目が点になってますよ女魔法使いさん・・・・・・。

 

 


 

 

「それじゃあ、噂は本当だったんだ・・・・・・」

 

 

 ぽてぽてと山肌の細道を進む一行。先導する元青年剣士君の頬は両方に紅葉マークが付いています。突然の吸血鬼カミングアウトの際、証拠として剣の乙女さんが大司教形態に変身した時に思わず「デッッッッッ」と漏らしてしまったからですね。まぁ、あれは不可抗力でしょう。誰だって言っちゃいます、私だって言っちゃいます。あ、聖騎士君は何とか耐えきったみたいです。至高神の聖女さんによる日頃の教育の賜物でしょうね。

 

 

「噂って、どんなのかしら? 割と興味あるんだけど」

 

 

 元女武闘家さんの言葉に食いついたのは女魔法使いさん。冒険者や王国関係者ではない、一般の人々の間で自分たちがどのように語られているのか気になるみたいですね。おや、至高神の聖女さんと聖騎士君はなにやら曖昧な笑みを浮かべています。もしかして2人は神殿を訪れる信徒から聞いたことがあるのでしょうか? ええと、怒ったり呆れたりしないでね? という前置きの後に元女武闘家さんの口から語られたのは、何処かの道化師(フラック)によって面白可笑しく誇張されたダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)の逸話の数々でした……。

 

 

 

 

 

 

◆辺境の街のギルドでは、あの怖ろしい吸血鬼が冒険者として活動している。

 

一党(パーティ)の面子は皆見目麗しき美女美少女ばかり。可憐な森人(エルフ)を何人も傅かせ、気に入った只人(ヒューム)は自らの眷属にして、永遠の美貌を報酬に自分への忠誠を誓わせている。

 

◆低能な者が大層嫌いで、ゴブリンやオーガといった混沌の種族、それに野盗や騎士崩れを見ると何処までも追いかけて根切りにする。

 

◆ギルドの幹部はすでに篭絡され、自らのシンパを増やすべく私兵集団の育成を始めた。

 

◆あの辺境三勇士を手玉に取り翻弄した挙句、その妻に手を出した。

 

◆餌となる人間を効率よく育てるために土地を買収し、人間牧場を開設した。これにはあの【辺境最優】も一枚噛んでいる。

 

 

 

 

 

 

 ……いやぁ、元女武闘家さんの口からとめどなく列挙されるダブル吸血鬼ちゃんの武勇伝(?)。元青年剣士君以外は皆一様に口元を押さえ、肩を震わせています。

 

 

「――とまぁ、春に王様の名前で正式に【辺境最悪】の存在が認められるまでは、こんな噂ばかりだったわ。……って大丈夫? ほかのみんなも……」

 

 

 

 

 

 

「も、もうダメ……私耐えられない……ッ」

 

「頑張れ! 此処で吹き出したら後で何されるか判ったもんじゃ……ッ」

 

 

 

 

 

 

「2人とも、我慢しなくていいわ。……どうやら世間で噂になっている【辺境最悪】の頭目(リーダー)は、『身の丈6フィートを超える銀髪紅瞳の偉丈夫で、人を人とは思わないほど傲岸不遜でどうしようもないほどの好色家な()らしいじゃない。もしそんな煌びやかで格好良い吸血鬼がいるってんなら、是非ともウチの頭目(リーダー)に逢ってもらいたいわねぇ。……絶対に嬉々として殺しに掛かるでしょうから」

 

 

「「ブフッ」」

 

「……ええ、間違いありませんわね……ッ」

 

 

 

 もう耐えられないとばかりにおなかを抱えて笑い転げる若人2人。その横では剣の乙女さんも目に涙を浮かべながら肩を震わせています。まるで死灰神の使徒のよう(ぼくのかんがえたさいきょうのきゅうけつき)な容貌に女魔法使いさんの口元もプルプルと震えています。……これ本人たちが聞いたらどうなっちゃうんでしょうか。真っ赤な顔になって怒るのか、それとも虚無顔になってしまうのか。実に気になります。

 

 

「えっと、2人を眷属にした吸血鬼っていうのは、あの小っちゃい子よね? ……あの子って男の子だったの?」

 

「あー……。それに関しては後のお楽しみにしとくわね。今は調査のほうに集中しましょ? ほら、アレが兵の詰め所じゃないかしら」

 

 

 当然湧き上がってくる元女武闘家さんの疑問に対し、頬をヒクつかせながら誤魔化しにかかる女魔法使いさん。まさか2人に増えた挙句()()()()()()()()出来るなんて、日が昇っているうちには言えませんものね。それ以外の噂もやっかみや誇張表現はあれどだいたいあってるのがポイント高いです。陛下が布告を出してくれたのは丁度良いタイミングだったのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 そんな感じでやって来ました地下帝国(鉱山)の入り口。山肌にへばり付く様に兵士たちの居住施設が設けられ、その奥に脱走防止用の鉄条網や柵に囲まれた労働者の生活空間が広がっていま……()()

 

 

「これは……」

 

「ひどい、みんなが暮らしてた家が滅茶苦茶じゃない……!?」

 

 

 本来は兵たちが昼の疲れを癒し、温かな食事や心休まる余暇を過ごしていたであろう施設は無残に破壊され、あちこちから火の手が上がっています。掲げられていた王国旗は赤黒い塗料によって邪神の聖印(シンボル)が上書きされており、まるでこの地が王国の統治から外れた場所であると主張しているかのよう。そして何よりも一行の目を釘付けにしているのは――。

 

 

「aaa……」

 

「ah……」

 

「ooooo……」

 

 

 ――死体と成り果てて尚、生者の温もりを求めて彷徨う兵士だった者たちの無残な姿と、それを遥かに超える数のかつて兵士だった部品が散らばる惨状でした。

 

 

 目の前に広がる地獄絵図に言葉を失ってしまった元冒険者の夫婦。呆然と立ち尽くす2人を神殿カップルが介抱する横で、眷属の2人がある方向を冷たい目で睨みつけています。鋭敏な吸血鬼の聴覚に入ってきたのは、いつか聞いたことのある粘着質な男たちのイヤらしい笑い声です……。

 

 

「ギャハハ……! 見たかよ連中の情けない顔、同僚に食いつかれてもまだ『しっかりしろ』なんて言ったやがったぜ!!」

 

「それで自分が死人になって仲間を喰らってんだから、面白いったらありゃしないぜ!」

 

「圧倒的……ッ! 圧倒的優位性……ッ!!」

 

「おいおい、喰いかけはしっかりとバラシとけよ? これ以上従僕が増えても面倒臭ェからな」

 

「チッうっせーな。判ってんだよンな事は! ……おいどうした、急に黙りやがって」

 

 

 騒々しい足音がピタリと止まり、次の瞬間駆け出すように近付いて来る足音。只人の耳にも届くほどに五月蠅い声が辺り一面に響き渡り、一行が警戒を強める中、ひとつの人影が一行の前に転がり出るように飛び込んで来ました!

 

 

 

 

 

 

「女ァ……! あたたかい血の通った、女の匂いだぁ……!!」

 

 

「……ッ」

 

 

 ……飛び込んで来た者の姿を見た至高神の聖女さんの顔が怒りと驚愕に歪んでいるのは当然と言えるでしょう。自分が裁き、この地へ追いやった元冒険者が、変わり果てた姿で現れたのですから。同じく男の顔を確認した女魔法使いさんと剣の乙女さんの表情は能面のように無を保っています。これは怒りのあまり無表情になってしまったパターンですね……。やがて男の後を追うように死人を引き連れて現れたのは――。

 

 

「テメェ、いきなり走り出してナニ考えて……!!」

 

「オイオイオイ、こんな所でボーナスキャラかよ! やっぱ俺たちツイてるぜ!!」

 

 

 ――()()洞窟で吸血鬼君主ちゃんや剣の乙女さんを穢そうとし、男の象徴をミンチに変えられた3人組。そして彼らと纏めて一緒に地下帝国送りにされた屑冒険者(福本モブ)たちの、口元や手をどす黒い血で染めた悍ましい姿でした。

 

 

 

 口元を血に染め、()()()()()()兵士の腕を放り出しニヤニヤと笑う男たち。視聴神の皆様はお察しかと思いますが、彼らは既に人の身から逸脱しているようです。白目が真っ赤に染まり、どろりと蕩けたような瞳で一行を睥睨すると、女魔法使いさんに指を突き付けながら口を開きます。

 

 

 

「あン時は随分と世話になったよなぁ! たっぷりと礼をさせてもらうぜ?」

 

「俺たちは生まれ変わった! ()()()()()()()()()()()()()吸血鬼(ヴァンパイア)様になァ!!」

 

「抵抗は無意味……ッ! そのあたたかな肉を差し出すのが最善手……ッ!」

 

「まァ肉を喰らう前に、別の意味でも喰わせてもらうけどな! 覚悟しろよぉ?」

 

 

 

「嘘だろオイ……!? こんな数の()()()なんて相手に出来るわけないだろ……?」

 

 

 牙を剥き出しにするような笑みを浮かべ、一行の女性たちを貪らんとにじり寄る屑冒険者(福本モブ)だったものたちの視線から奥さんを庇うように進み出る元青年剣士君。しかしその手に握る太陽の直剣はカチカチと震え、切先はブレてしまっています。肩越しに感じる元女武闘家さんの恐怖を孕んだ視線を受けて、何か手はないかと周囲に目を向けています。

 

 

「ね、ねぇ。逃げなきゃ……! いくらみんなが凄腕でも、あんな数の()()()相手じゃ……」

 

 

 元青年剣士君の影に隠れるように身体を竦め、イヤらしい視線から逃れるように身を捩る元女武闘家さん。一向に動こうとしないかつての仲間とその連れに撤退を促しながら目を向けると、そこには……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吸血(ヴァンパイ)()……?」

 

「えっと、何かの冗談だよね、きっと」

 

「……いや、あの顔は本気でそう思ってるって」

 

 

 まぁ、知っている人はそういう反応になりますよね……。剣の乙女さんは無表情から困惑を隠せない顔へと変わり、神殿カップルは彼らを必死にフォローしようとしています。そしてもう1人、いちばんおっかない子が残っています。

 

 

「へへっ……それにしても()()()の身体ってのは良いモンだなぁ。力も強くなったし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

「そうだ、女どもは土下座して頼んできたら眷属にしてやっても良いぜぇ? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あの餓鬼みてぇな()()()より、俺たちに吸われるほうが良いに決まってるだろ。常識的に考えて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(ニコッ)」

 

 

「ひっ!?」

 

 

 ドヤ顔を見せている自称吸血鬼の屑冒険者(福本モブ)を眺め、満面の笑みを浮かべている女魔法使いさん。直視してしまった元女武闘家さんが悲鳴を上げてしまうほどの表情のまま、ニタニタと下卑た笑みを浮かべている眼鏡重戦士だったものへと問いを投げかけました。

 

 

「ねぇ。ひとつ聞きたいんだけどいいかしら?」

 

「あ? 命乞いならもうちょい後にしな。テメェだけは嬲り尽くしてから喰ってやるからよ!」

 

「アンタたち、吸血鬼になったのよね?」

 

 

 何当たり前なこと聞いてんだ? という侮蔑の表情を隠さず女魔法使いさんをねめつける元眼鏡重戦士。剣の乙女さんと神殿カップルが固唾を呑んで見守る中、知識判定に成功した者にとっては当然の、そうではない者にとっては困惑の言葉を紡ぎます……。

 

 

 

 

 

 

「なら、なんで血を吸わないのかしら」

 

 

 

「「「……は?」」」

 

 

 投げかけられた言葉の意味が判らず、呆けた様子の自称吸血鬼たち。元青年剣士君と女武闘家さんの2人も同じような顔をしています。一方知識判定に成功した面々は「ああ、やっぱり……」という顔をしていますね。

 

 

「吸血鬼は、その名の通り他人の生命を糧とする存在。不死を維持するために必要なのは血に代表される生命力の源であって、決して対象の肉体を飢えた野良犬のように食い散らしたりなんかしないわ」

 

 

 辺りに散らばる兵士の部品を見回しながら滔々と語る女魔法使いさん。彼女の言う通り、吸血鬼はその身体の維持に物質的なモノを必要とせず、血などを媒介に対象の生命力を吸っています。まぁダブル吸血鬼ちゃんの場合、みんなのおっぱいが同様の役割を果たしているみたいですけど。ごはんを食べたりもしていますが、あれはあくまで嗜好品であり、身体維持とは関係ないものですからね。

 

 

「肉ごと血を取り込んでいるのかと思ったけど、乱暴に引き千切られた兵士の死体からその可能性は低いわね。どの部品も傷口から血が溢れているもの」

 

「それに辺りをうろついているアンデッド。アンタたちはアレを自分たちが生み出した従僕と思ってるみたいだけど、あれは只の屍人(ゾンビ)。吸血鬼の僕じゃないわ」

 

「だ、だったらなんだっていうんだよ!?」

 

 

 つまり、アンタたち以外の誰かが創り出したものね、と冷たく吐き捨てる女魔法使いさんの言葉を受け、耐えかねたように悲鳴にも似た怒鳴り声を上げる元冒険者の哀れな存在達。女魔法使いさんからのアイコンタクトに気付いた至高神の聖女さんが、彼らに真実を突き付けます……。

 

 

「貴方達は、邪悪な魔術師によって儀式の生贄として殺され、その後死霊術により仮初の不死を与えられただけの……」

 

 

 

 

 

 

「貴方達が従僕扱いしている彼らと同じ、ただの新鮮な屍人(フレッシュゾンビ)です。決して、吸血鬼(ヴァンパイア)なんかじゃありません」

 

「……てか、本当に吸血鬼(ヴァンパイア)だったら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「そもそも、私たち2人が吸血鬼稀少種(デイライトウォーカー)と気付けない時点で……。少しでも不死の気配(オーラ)が感知出来れば判ると思うのですが」

 

 

 残酷な宣告を行う至高神の聖女さんに続く様に、冷静なツッコミを入れる聖騎士君。剣の乙女さんも頬に手を添え、ほう……と溜息を吐いています。

 

 

「えっと、イマイチ理解できないんだけど、つまりどういうこと?」

 

「あー……なんだ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

 先刻までの取り乱しっぷりは何処へやら、首を捻り捻り頭上に疑問符を浮かべる元女武闘家さんを庇いながら、誰にでも理解できる結論を口にする元青年剣士君。その単純明快な言葉は当然のように()()の耳へと到達し……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「ああああああアあああああああAああああああああああああアああああああああ唖あああああああああああああアああああああ嗚呼ああああああああああAああああああああああああ唖あああああああ!?!?!?」」」」」

 

 

 

 

 散々自分たちを馬鹿にしてきた(と思い込んでいる)人間を捕食する存在となったという快感や、死を克服した存在へと変貌したことによる優越感。そういった彼らの増長した自我を支えていた支柱が完全に崩れ去り、残ったのは外法によって死体を喰らう怪物に成り果てたという変わらない現実だけ。彼らの貧弱な精神はそれを認めることが出来ず、その魂ごと不定の狂気へと堕ちてしまったようですね……。

 

 

 肥大したプライドによって辛うじて残っていた人格は風前の塵芥のように吹き飛び、残ったのは終わりなき飢えと温かく柔らかな肉を求める獣性のみ。一行を取り囲むように集まって来た屍人(ゾンビ)と何も変わらない、決して満たされぬ食欲のみで動く存在へとなった彼らにもはや語ることは無いでしょう。溢れる涎を拭うこともせず、大きく口を開き駆け寄って来る屍人(ゾンビ)に対し、一行がそれぞれの武器を構え、迎撃の体勢に入りました!

 

 

 人間性を喪失した亡者の群れと戦闘に入ったところで、今回はここまで。ご視聴、ありがとうございました。

 

 

 




 お年玉にPSONEとPSPとワンダースワンカラーと3DSとメガドライブとセガサターンとネオジオミニを頂いたので失踪します。RTA(真)が捗りそうな予感……!


 評価や感想、いつもありがとうございます。読んでくださった方から反応が返ってくると、もりもりやる気が上がります。

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