ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 短期で自宅警備員にジョブチェンジしたので初投稿です。



セッションその14 りざると その1

 実況を担当してくださったみなさん、お疲れ様でした!

 

 ()さん含めみんな個性的な語りと内容で視聴神さんたちも大いに盛り上がっていましたよ!!

 

 さてさて、名残惜しいところではありますが、そろそろセッションの〆の時間が近付いてまいりました。

 

 愛馬を失い明日からの生活に不安のある夫婦や女闇人さんの今後について、そしてなにより女魔法使いちゃんの心の内に救う獣をどうするか? 最後までお付き合い頂ければ幸いです。

 

 それでは吸血鬼君主ちゃんチームに再びカメラを向けて……実況再開です!

 

 


 

 

 前回、塚人覇王(ワイトキング)をもみじおろしにしたところから再開です。

 

 

 あるべき流れへと還る魂を見送り、塚人覇王(ワイトキング)の貯め込んでいた財宝や研究資料を根こそぎ回収した一行。脳内通信で座標を送って来てくれた吸血鬼侍ちゃんたち廃都市組のところへと、賢者ちゃんが≪転移≫の門を開いてくれています! ……おや? その傍らでうつ伏せに倒れてピクピクと身体を震わせている吸血鬼君主ちゃんを妖術師さんが抱き起してますね。いったい何が……。

 

 

「えっと、師匠大丈夫? っていうかいつもこんなコトしてるの?」

 

「いつもはしてないよ。どうしてもまりょくがたりないときだけ……」

 

「ふぅ、ご馳走様なのです。相変わらず豊潤で濃厚な魔力だったのです」

 

 

 艶めかしく口元を拭う賢者ちゃんの顔はほんのりと上気しており、体内に取り込んだ魔力が全身へと馴染んでいく感覚に昂っているみたいですね。……つまり、みんなの前で逆ちゅーちゅーしたんですね、このいけない猫耳フードちゃんってば。

 

 

 もはや見慣れてしまったのか、顔を僅かに赤くするだけで苦笑している勇者ちゃんと剣聖さん。その隣で若草知恵者ちゃんは羨ましそうに指を咥えています。そんなみんなにドン引きしている妖術師さんも、はたして何時まで初々しく反応をしてくれるのでしょうか……。

 

 

「さあ、門が安定したのです。維持する時間が長いほど消耗するので、また魔力を貰うようになるのです。……私は何度でも構わないのですよ?」

 

「そりゃ大変! みんな、早く行こう!!」

 

 

 捕食者の視線を吸血鬼君主ちゃんに向ける賢者ちゃんを見て一斉に門へと飛び込む一行。吸血鬼君主ちゃんも妖術師さんにおんぶしてもらって運ばれていますね。最後に飛び込んだ賢者ちゃんが「むう、惜しいことをしたのです」と呟いていたのはきっと気のせいでしょう!

 

 

 

 

 

 

「あ、みんな~!」

 

「だいじょうぶ? けがしてない?」

 

 

 まず一行が訪れたのは廃都市地下の儀式場。牙狩りの聖地である墓所ですね。吸血鬼侍ちゃんと不良闇人さんの血刀、それに奥さんと娘さんにお願いして墓所を蝕んでいた肉壁を焼き払い、棺や瓦礫が散乱しているものの以前の悍ましい光景は既に無くなっているようです。

 

 

 ゴブスレさんの外套を羽織る女闇人さんを見て吸血鬼君主ちゃんが驚いた顔をしていましたが、吸血鬼侍ちゃんから彼女の話を聞くと警戒を解き、インベントリーにしまってあったシーツをちょちょいと加工してキトーン(古代ギリシア風長衣)を作り、呪いを解かれて触れられるようになった彼女にプレゼント。同じ顔が並んでこちらも驚いていた女闇人さんでしたけど、男性陣が後ろを向いている間に素早くキトーンを纏い、冒険者セットの中から吸血鬼侍ちゃんが取り出した革紐で布がはだけないよう纏め上げています。

 

 

「ふむ、こんなものか。もうこっちを向いても良いぞ男子諸君」

 

「「みておどろけ~!」」

 

 

 女闇人さんの声にゆっくりと振り返る男性陣。彼らの目に飛び込んで来たのは……。

 

 

 

「うわぁ、スタイルが良いから凄く似合ってるよ!」

 

「はい、艶のある肌の色と布地の対比が美しいですね」

 

 

 勇者ちゃんと若草知恵者ちゃんの太鼓判を押す声も耳に入らず、あんぐりを口を開けたままの男性陣。あ、ゴブスレさんは即座にそっぽ向いてますね。胸の前と背中側でばってんに掛けられた紐によって強調された胸元に、腰紐から下が全開のため露わになっている肉付きの良い太股。普段目にしたことの無いエキゾチックな魅力に男性陣とダブル吸血鬼ちゃんの目は釘付けです。

 

 

「すげぇ別嬪さんじゃねぇか! こりゃ世の男どもが目の色変えてお近づきになろうとするぜ、間違い無ェ」

 

「む、そうなのか? 地上の男の好みは良く知らんのだが」

 

 

 ヒューッ!と口笛を吹く槍ニキの称賛に首を傾げる女闇人さん。女性陣もうんうんと頷いてますね。ようやく動き回れる格好になったところでいったん彼女はダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)が預かり、消耗した体力の回復を図るとともにこれからについて話し合うことに。

 

 

 最初は同郷である不良闇人さんに同行させようかという案もあったのですが、少年魔術師君の面倒を見るので精一杯だという彼の主張とその背後の奥さんと娘さんが放つオーラに気圧されて、その案はあえなく却下。順当に訳アリな人物を抱え込むことに定評のあるダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)の拠点で静養する流れとなりました。

 

 

 彼女自身に咎が無いとはいえ、どうしても地上では悪目立ちしてしまう闇人(ダークエルフ)ですし、兄である闇人繁殖者(ブリーダー)のやらかしたことを考えれば有力者の下で保護したほうが安全ですからね。吸血鬼侍ちゃんの言っていた通り嗜虐神さんの信徒としての能力も非常に貴重ですので、ある意味囲い込みと言われても仕方ないでしょう。

 

 

「ごめんね、せっかくちじょうにきたのに、きみのいしをそんちょうしてあげられなくて……」

 

 

 申し訳なさそうに俯く吸血鬼侍ちゃん。そっと顎に伸びて来た褐色の手に導かれ、上向きになった口元に……。

 

 

「……そういえば先程の返答がまだだったな……ん」

 

「んむ!? ……ん……んちゅ……」

 

 

 目の前いっぱいに広がる闇人(ダークエルフ)の麗しい顔に、口内を蹂躙する桃色の蛇。何度も牙に身を押し付けるそれが甘い唾液と共に血を吸血鬼侍ちゃんへと流し込み、ちゅぷり、と湿った音を立てて離れていきました。

 

 

「良いだろう、()()()()。兄の引き起こした災禍の償いとして、また苦難に満ちた道を歩まんとする女たちの尊き生を祝福するため、私の持つ全てを存分に使うがいい。なに、()()()()()の代わりと思えば、貴様らに血を吸われるのも悪くないさ。痛みとは祝福であるのだからな」

 

「……ぷぁ。うん、ありがとう! ひとがいきるのにひつようのない、ゴブリンというじゃまなくるしみをほろぼすのに、ちからをかして!!」

 

 

 豊満な胸元に顔を摺り寄せて来る吸血鬼侍ちゃんを優しく抱きとめる女闇人さん。ほら、もう1人の貴女がまた新しい女を堕としたのですという賢者ちゃんのツッコミに吸血鬼君主ちゃんが苦笑を返しています。あ、生でゆりんゆりんな光景を見た元童貞たちが鼻の下を伸ばし、ムッとした顔のパートナーにお仕置きされてますね。2人にはちょっと刺激が強すぎたのか~……。

 

 

 

「それで、次はどちらだ」

 

「先に砦に向かうのです。軍勢の湧きは止めましたが、既に出現しているものは皆砦に向かっている筈なのです」

 

「ああ、生者の多いところに引き寄せられるんだったか」

 

 

 女闇人さんの艶姿を見ないように離れていたゴブスレさんの問いに答える賢者ちゃん。叢雲狩人さんが初期配置を全滅させたとはいえ増援は来ていたでしょうし、例の存在感の薄い怪物が現れているかもしれません。……まぁ、叢雲狩人さんに素の状態で焼き滅ぼされている可能性もありますけどね。

 

 

「おくすりやごはんはいっぱいしまってあるから、はやくわたしにいこう!」

 

「そうだね、きっとみんな腹ペコだよ!」

 

 

 ボス戦後と思えないほど元気な2人の声によって現実へと引き戻された男性陣がそそくさと荷物を纏め始め、吸血鬼侍ちゃんが裸足の女闇人さんをお姫様抱っこして準備完了。廃都市組を加えて再び光り輝く≪転移≫の門を潜り抜けた一行の目に飛び込んで来たのは……。

 

 

 

 

 

 

「ささ、怪異殺し(ガストスレイヤー)君。砦の倉庫から拝借した堅麺麭だよ」

 

「……む? いかんな。おい、葡萄酒が無くなっているぞ!」

 

「ふふ、お肩を、お揉み、致します、ね?」

 

「ああああああああああ……!?」

 

 

 

 積み上げられた木箱に厚布を敷いた即席のソファーに座らされ、右手にはビスケット、左手には葡萄酒の入ったグラスを持ち、クスクスと笑う魔女パイセンに肩を揉まれている女神官ちゃんが、大勢の兵士に傅かれておめめをグルグルさせながら言葉にならない呻き声を響かせている不思議な光景でした……。

 

 


 

 

「うう……みなさん酷いです……!」

 

「まぁまぁ、みんな騒げるネタが欲しかったのよ」

 

「それに、あのペリュトンを滅ぼしたのは事実ですのよ? それもたった1人で」

 

 

 死の軍勢(デスアーミー)の首謀者たる塚人覇王(ワイトキング)が滅びたという知らせを受け、どんちゃん騒ぎの始まった砦の一画。ようやく下に降りられた女神官ちゃんが、遠巻きに見守るという建前で助けを無視していた妖精弓手ちゃんと令嬢剣士さんをぽかぽかと叩いてますね。酒蔵から運び出された秘蔵の酒があちこちで封を切られ、そこかしこから「怪異殺し(ガストスレイヤー)に乾杯!」という声が聞こえて来ています。

 

 

「では、亡者共は片付いたのだな」

 

「はい。若干の打ち漏らしが残っている可能性はありますが、そちらは兵の皆様にお願いする形がよろしいかと」

 

 

 ゴブスレさんの問いに胸を張って返答する令嬢剣士さん。傍らに置かれた魔剣は未だに切先から魔力の残滓を放っており、フル回転で使われていたことが見て取れます。予想通り襲来した第二陣ですが、防衛戦で真骨頂を発揮する栄纏神の加護の下防御力を増した砦の防壁と、豊富な遠距離攻撃によって退けられ、僅かな負傷者のみで撃退に成功したそうです。

 

 

「にしても、まるで森人(私たち)みたいな矢だったわね! 単語発動の呪文で狙いを付けてたんだっけ?」

 

「ええ、ちょっとした。コツが、あるの、よ?」

 

 

 葡萄酒を煽り赤い顔になっている2000歳児が凄い凄いと連呼しているのは魔女パイセンの見せた矢による攻撃。指の間に挟み込んで片側4本左右合わせて8本の矢が手から離れると、まるで吸い込まれるように亡者を貫き、そのまま集団を一掃したんだとか。妖精弓手ちゃんの膝上の吸血鬼侍ちゃんが使()()()()()()()()矢を見せてもらったところ、砂漠の国で討伐した赤竜の牙が鏃として使われていたそうです。竜牙の矢……外れずの矢(シュートアロー)束ね撃ち……。あれ? もしかして魔女パイセンの火力って高くないですか?

 

 

「それにしても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、武器を振り回すだけが攻撃では無いのだと改めて思い知った気分だ!」

 

「いえ、そんな。たまたま上手くいっただけで……」

 

「お、なんだ? ゴブリンスレイヤーみたいな屁理屈でも押し通したのか?」

 

 

 バンバンと背中を叩きながら称賛の声を上げる女騎士さんに辟易した様子の女神官ちゃん。話題を聞きつけて集まって来た一行の視線を受けて一瞬硬直したものの、他人に面白おかしく話されるよりはマシだろうという思いが勝ったようでポツポツと話し始めてくれました。

 

 

「えっとですね、何だか鳥と鹿が混ざったような怪物が現れて、そいつには剣も矢も効果が無かったんです」

 

「うむ、私も斬りかかったのだが思いっ切りすり抜けてしまったな!」

 

「エロフの姉のほうがいれば2秒で焼き鳥だったんだろうけど、おっぱい娘と2人で地上の亡者をヒャッハーしてたからいなかったのよねぇ」

 

「それでいきなり『怖いか人間よ!! 己の非力を嘆くがいい!!』とか『我は此処に居て、此処には居らぬ!! 故に我を滅ぼすことは不可能だ!!』なんて偉そうに喋り出して、それを聞いていたらだんだん腹が立ってきて……」

 

 


 

 

「じゃあ、あなたは此処には居ないんですね?」

 

「……? 何を馬鹿なことを。我は此処に居て此処には居らぬと……」

 

「だから、『此処には居ないんですよね?』」

 

「え、いや、それは我の素敵で無敵な特性を説明したものであって……」

 

「『此処には居ないんですよね?』自分で言ったじゃありませんか」

 

「だからそれは、あくまで例え話……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あなたは、此処には居ませんよね?』

 

「そうかな……そうかも」

 

 


 

 

「んで、そのバケモンは消えちまったってワケか!!」

 

「自らの、存在、に、疑問を、抱いたから、存在を、保てなかった、の、よ」

 

 

 こ れ は ひ ど い。

 

 

 実際に現場を見ていた地母神さん曰く、『うさぴょいしたおちびさんと女冒険者たちの前に立っていた時に匹敵するオーラを出していた』そうです。女神官ちゃんの笑顔は可愛いときとおっかないときの2パターン存在する。みんなもしっかり覚えておこう!

 

 

 切り札であったペリュトンが呆気なく撃破?され、頼みの綱の飛竜(ワイバーン)は妖精弓手ちゃんと魔女パイセンによって次々と射落とされ、亡者の群れはMAP兵器で根こそぎ殲滅。そりゃ兵士たちも崇め奉るってもんでしょう。猪なのに獅子奮迅の活躍をしていた使徒くんも、危機から救出した兵士たちに備蓄の豹芋(ジャガイモ)蜂蜜(はちみー)を貰い大喜びで貪っています。

 

 

 そんな感じで戦勝ムード真っ只中な砦ですが、先刻感じた異常の出処を突き止めるべく1人行動する吸血鬼君主ちゃん。妖精弓手ちゃんと歓談している令嬢剣士さんを見付け、その袖口をクイクイ。何事かとしゃがみ込んで視線を合わせる彼女にむぎゅっと抱き着いちゃいました。

 

 

「あら、如何なさいました? おなかが空いたのでしたら少々お待ちを……」

 

「ん~ん、そっちはまだへーき。……あのね、なにかとってもかなしいこととかなかった?」

 

「悲しいこと、ですか? ……砦の兵たちが亡くなったことは悲しいですが、そういうことでは無さそうですわね」

 

 

 服の裾を捲り上げようとする令嬢剣士さんを制し、首筋に顔を埋めたまま問う吸血鬼君主ちゃん。令嬢剣士さんの答えをきくとその顔をじっと見つめ、真実かどうか見定めているようです。やがて納得がいったのかひとつ頷くとひんやりとしたほっぺに頬擦りをして、ボス部屋で感じたものについて話していますね。

 

 

「――だから、けんぞくのだれかがすっごくかなしんでるきがしたの」

 

「成程、私では無いとすると……」

 

「鉱山組のどちらかかしら。ヘルルインも違ったのよね?」

 

 

 優しく後頭部を撫でながら相槌を打つ令嬢剣士さんに、万一の可能性を指摘する妖精弓手ちゃん。視聴神さんたちはご存知ですが勿論吸血鬼侍ちゃんも違います。

 

 

「どっちもなかなか内心を表に出さないから、ちょっと面倒かもしれないわよ? どうする? 無理やりにでも聞き出しちゃう?」

 

「んとね、できればほんにんからちょくせつききたいの」

 

「判りました。もしかしたらもう片方が事情を知っているかもしれませんものね」

 

 

 わぁお、令嬢剣士さん鋭い。両手をワキワキしながら尋問の構えを取る2000歳児をピシャリと窘める姿はとても一党(パーティ)の最年少には見えません。まぁ女魔法使いちゃんとは半年も離れていないんですけどね。おっと、お手伝い致しますわと、いう令嬢剣士さんの協力が得られたところで勇者ちゃん達3人が鉄壁将軍さんのところから帰って来ました! 首魁を討ち果たしたという報告を受けて彼も安堵の表情を浮かべていたみたいです。

 

 

「そろそろお暇するのです。みんな、準備は出来ているのですか?」

 

 

 賢者ちゃんの呼びかけに根の生えかけていた重い腰を上げ、最後の一仕事に向かう冒険者たち。目的地である鉱山の≪転移≫場所は兵たちの居住区を指定してあるみたいです。残念ながら焼け落ちてしまっていますが、果たして合流はスムーズにいくのでしょうか……?

 

 


 

 

「……こりゃ、随分派手にやったみてぇだな」

 

 

 未だ煙の上り続ける居住地跡を見て零れた重戦士さんの呟き。その言葉に示されているのは荒廃した街並みだけでは無いのでしょう。勇敢に戦い散っていった兵士たちの亡骸に、貪り喰われて部位ごとにバラバラになった人体の一部。そして、人の尊厳を踏みにじった報いを受け、血溜りや肉片へと姿を変えた、新鮮な屍人(フレッシュゾンビ)へと堕した屑冒険者(福本モブ)たちの僅かな痕跡が辺りに見受けられます。

 

 

「これだけの人数がいきなり≪転移≫してきたら、嬢ちゃん達なら直ぐに気付くと思うんだがなぁ」

 

「いえ、どうやら先に鉱山を制圧しに向かったみたいなのです」

 

 

 おや、賢者ちゃんが持っているのは紙片(ハンドアウト)でしょうか? 流麗な筆致で鉱山に潜む元貴族たちを殲滅しに先行する旨が書かれていますね。この字体はたしか剣の乙女ちゃんだった筈です。

 

 

「……妙だね。私や妹姫(いもひめ)さまなら兎も角、妹君や大司教殿が増援を待たずに突っ込むなんて」

 

「ちょっと、それどういう意味かしら? ……まぁ、あの2人なら無理に急いだりしないわよね」

 

 

 顎に手を添えて考え込む叢雲狩人さんと、彼女の言い方に噛みつきながらも冷静に分析する妖精弓手ちゃん。他のみんなも同様の考えみたいですね。

 

 

「……考えられる理由は2つ。やむを得ず突入せざるを得なかった場合か、余程殲滅を急ぎたかった場合かだ」

 

「しんゆうは、どっちだとおもう?」

 

 

 周囲の状況を確認していたゴブスレさん、吸血鬼君主ちゃんの問いに無言で踵を返し、一行をある場所へと案内していきます。≪転移≫の登録地点だった居住地の中央広間から5分ほど歩いたその場所は……。

 

 

「何よ、これ……!?」

 

 

 

 鋭利で巨大な刃によって割断された建築物に、全身を弾丸で穿たれた死体の数々。そして何より目を引くのは、同心円状にひび割れた地面に残るドス黒く変色した血痕と、変質的なまでに解体された人体の一部です……。

 

 

 

「ねぇ、これって……」

 

「うん、まちがいないね……」

 

 

 へたりと座り込む妖精弓手ちゃんを女神官ちゃんが支える横を通り過ぎ、陥没した地面の傍らにしゃがみ込むダブル吸血鬼ちゃん。この惨劇を生み出したのが誰なのか悟ってしまったみたいですね。これほどまでに執拗な破壊を行ってしまった眷属を一刻も早く抱きしめなければと走り出そうとしたその瞬間……。

 

 

 

 

 

 

「――あら、2人とも何処に行くつもり? もう全部片付けたわよ?」

 

 

 ()()()()()()()()()声に振り向いた2人の視線の先には数人の人影。刀身に肉片のこびりついた粉砕剣1/6(カシナート)を肩に担いだ聖騎士君と、同じく血に染まった天秤剣を布で拭き清めている至高神の聖女ちゃん。ダブル吸血鬼ちゃんを見て驚きのあまり開いた口が塞がらない様子の元冒険者夫婦。そして、背後から女魔法使いちゃんを痛まし気に見つめている剣の乙女ちゃんの姿です。

 

 

「ほら、覚えてる? 最初の冒険で一緒だった2人よ? 偶然道中で再開して、安全のために同行してもらってたのよ」

 

「……うん、もちろん! ひさしぶり~!!」

 

「まったく、合流場所に居なかったので心配してたのです。紙片が無かったらどうなっていたのか判らないのです」

 

「ああ、悪かったわね。あんまり時間をかけてたら貴腐人(ノーブルゾンビ)が逃げそうだったのよ」

 

 

 ()()()()()()()が元冒険者夫婦にダイブするのを横目に賢者ちゃんからのジト目を受け流す女魔法使いちゃん。普段通りの受け答えに見えますが、やはり何処か違和感がありますねぇ。

 

 

「ねぇ、あっちにあったのって……」

 

「……はい、内なる獣性と『敵』に対する殺意が抑えきれず……」

 

 

 甘えるようにエロエロ大司教モードな剣の乙女ちゃんの豊満な胸元へ抱き着き、たわわの感触を楽しむフリをして耳元で囁く吸血鬼君主ちゃん。想い人の尖り耳を愛撫するように口を寄せた剣の乙女ちゃんの返答もまた睦言からは程遠いものです。義姉妹からちゅーちゅーしている彼女を見る令嬢剣士さんの表情も何処か硬いものに見えますね。……お、妖精弓手ちゃんがこっそりと抜け出て2人のところに近付いてきました。剣の乙女ちゃんを背後から抱きしめ、吸血鬼君主ちゃんとは反対側の耳元にその桜色の唇を近付けました。

 

 

「あの子、ちょっと洒落にならないくらいヤバいわね。……荒っぽいけど、今夜仕掛けるわ。手伝ってくれるかしら?」

 

「ええ、勿論。大切な血族(かぞく)にして、同じ彼女(ひと)を愛する身ですもの。全力で参りますわ」

 

「ん、ありがとう。……シルマリルもいいわね? このままだとあの子、オルクボルグから聞いてた砂漠の国でのアンタみたいになっちゃうから」

 

「うん、おねがい。ぼく、あのこをこれいじょうかなしませたくない……!」

 

 

 決意に満ちた3人の視線の先には、「今後の身の振りについて提案したいことがあるから、今日はウチに泊っていきなさい」と元冒険者夫婦を≪転移≫の鏡に押し込む女魔法使いちゃんの背中。それに加えて女闇人さんの受け入れ準備や金髪の陛下への報告も残っています。そんなスタックが山積み状態で次回ED。さて、どんな結末が待っているでしょうか?

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 





 夜戦に向けてTo LOVEる並の描写研究に邁進するので失踪します。


 感想に評価、いつもありがとうございます。

 読んでいただいた方の反応が一番の活力になりますので、一言でも構いませんので頂けると嬉しいです。


 お読みいただきありがとうございました。
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