ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

139 / 180

 やっとこさセッションの〆になったので初投稿です。




セッションその16 りざると

 

 前回、敗北CG(触手祭り)回収をせずに済んだところから再開です。

 

 

 すべての試練(チャレンジ)を突破し、出口へと進む一行。いくつかの曲がり道を通過したところで見覚えのある光景が彼らの前に現れました。

 

 

「あれ? あの橋って最初に渡ったものじゃないですか?」

 

「どうやらそのようだの。――ほれ見てみい」

 

 

 爪先で通路の一部を指し示す鷲頭様。目を凝らしてみれば床面から壁面、天井にかけて継ぎ目が走っていますね。どうやらお化け屋敷なんかに設けられている切り替え式の通路になっていたみたいです。挑戦者が通過した後に見えない位置にあったボス部屋からの道に繋ぎ直し、ぐるっと迷宮を一周出来る造りに設計されていたんですね!

 

 

「お、帰ってきた! みんなおかえり~!!」

 

「その顔つきからすると、目一杯楽しんでもらえたみたいだね」

 

 

 石造りの階段を上ったところでは見目麗しい森人(エルフ)案内役(ガイド)が一行を迎えてくれています。お、猛女ちゃんが担ぐ金貨のみっちり詰まった頭陀袋を見て、妖精弓手ちゃんがニンマリと笑みを浮かべながら1人ひとりになにかを手渡し始めました。

 

 

「うん、ちゃ~んと金貨は持っているわね。それじゃあこれが参加賞!」

 

「これは……冒険者認識票? でもこんな素材の等級はあったかしら……?」

 

 

 上の森人(ハイエルフ)の姫に手渡された認識票を眺めて首を傾げる王妹殿下。冒険者認識票といえば等級ごとに素材が違い、通常金属もしくは鉱物で作られているものです。ですが今配られたものは何れの等級とも異なる素材、暖かみのある触感と表面に走る線はどう見ても木製ですね。

 

 

「ふふん! これはね、森人の里から株分けされた木の枝から作った特別な認識票! 表面に今日の日付が、裏面にそれぞれの名前が掘り込んであるわ。今日という日の思い出をカタチに残して持って帰ってもらうのにみんなで考えたんだから!!」

 

 

 薄い胸を張りながらドヤ顔の妖精弓手ちゃんの言葉に手渡された認識票をひっくり返す一行。そこには確かにみんなの名前が彫り込まれています。なるほど、受付で名前を書いてもらっていたのはこれを作るためでもあったんですね!

 

 

「金属を使うと認識票の偽造になる恐れがあったし、かといって普通の木じゃ長持ちしないからね。妹姫(いもひめ)さまが樹に頼んで素材を分けて貰ったんだよ」

 

 

 貝殻で作るという案もあったんだけど、時期的に難しくてねぇと続ける叢雲狩人さん。会場の外へ一行を連れ出し指し示す先には一仕事終わらせた鉱人道士さんと隻眼鍛冶師さんが木製のジョッキで乾杯する光景が。机の上に工具箱があることから察するに、2人が挑戦者たちの名前を彫り込んでくれていたみたいですね。会場の周辺では競技を終えた挑戦者たちが有志の準備していた振る舞い料理に舌鼓を打ちながら、めいめい競技の感想を話しているようです。

 

 

「さ、おなか空いたでしょ? 好きなだけ食べてらっしゃい!」

 

「ほんとですか!? よ~し、とりあえず一周しましょう兄さん!!」

 

「ちょ、もげるもげる!?」

 

 

「――ふふ、本当に仲の良い方々ですわね」

 

「フン! 生意気だが頭の回転は悪くない。生き汚い冒険者になるだろうよ」

 

 

 辺りに漂う良い香りに空腹感が刺激され、涎を垂らさんばかりの表情の猛女ちゃんが遺失魔法使いさんを引っ張って行くとすれ違うように現れた令嬢剣士さん。片手に持っていた地母神さんの神殿仕込みのワイングラスを鷲頭様に手渡しながら微笑ましい様子で2人を見ています。グラスの中身を一息で飲み干しながらの鷲頭様の言葉にも期待の色が見え隠れしていますね。

 

 

「水の街へ商いに向かう途中で視察のために立ち寄ったが、なかなか面白い余興だったぞ。赤枝(アカギ)のに誘われていた投資、本腰を入れても良さそうじゃな」

 

 

 呵々と笑いながらグラスを令嬢剣士さんへと返し、後ろ手を振りながら去って行く鷲頭様。他の参加者たちの視線を気にも留めず、聖光(ホーリーライト)対策の黒眼鏡(サングラス)を身に着けた黒服の操る黒塗りの高級馬車に乗り込み街を後にする姿は実に大物感が漂っています。……あ、ちなみに先程も鷲頭様が言っていた"赤枝(アカギ)"ですが、森人の里に侵入しようとする外敵から里を守護する氏族の呼び名なんだとか。やたら鮭料理の上手な剣士や二刀二槍を自在に操る泣き黒子のイケメンが有名らしいです。

 

 

「どうでしたか、冒険者体験は?」

 

「ええ、とっても面白かったです! こう、模造小鬼(モブリン)のどてっぱらをブチ抜いたり、迫りくる触手をちぎっては投げちぎっては投げ……貴女にも私の活躍を見て欲しかったわ!!」

 

「うーんこの脳筋な妹その1。余、ちょっと嫁の貰い手に心配になっているのだが???」

 

 

 お、控室から戻って来た陛下が女神官ちゃんと一緒に王妹殿下と話していますね。興奮冷めやらぬといった様子で空気を震わせる拳を繰り出す妹一号を見る妹二号の目は優しく、お兄ちゃんの顔は現場猫のそれに近しいものになっています。

 

 

「ご心配には及びませんわ! 何故なら私、既に心に決めた方が居りますもの!!」

 

「「……え?」」

 

 

 そんなお兄ちゃんを安心させるように笑う王妹殿下、すわ何事かとダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)のみんなが集まって来ました。頭上に『?』を浮かべるきょうだいの前で()()()()()()()、王都での逢引(デート)を切っ掛けに冒険譚やコイバナ、爛れた夜会話やトドメの母親同士の友情を越えた繋がりの記録映像などで蝶よ花よと育てられていた彼女の新しい扉を開いてしまった……。

 

 

 

 

 

 

「……んゆ?」

 

「私の騎士であり、お母様の想い人の写し身でもある()()()。お兄様とお義姉様の間に世継ぎが産まれるのがほぼ確実な以上、後継者争いの火種となる私()()は早々に立場を鮮明にしたほうが良いですものね♪」

 

 

 ――ちっちゃな口いっぱいにふかし芋を頬張っている、吸血鬼君主ちゃんでした。

 

 


 

 

「――それじゃあ、冬至(ユール)のお祭りの成功と迷宮探検競技が無事に終わったことを祝して……かんぱ~い!!」

 

 

 例によって例の如く妖精弓手ちゃんの音頭で始まった打ち上げの宴会。王妹殿下のやらかしで騒然となった会場に居るわけにもいかず、牧場へと避難した一行。一緒に競技に参加していた猛女ちゃんと遺失魔法使いさんも女魔法使いちゃんに誘われて一緒に来ています。

 

 さて、打ち上げに参加しているのは……まずはダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)に牧場の関係者。陛下と勇者ちゃんたち王都組と冬至(ユール)を機に春まで休養&子どもたちとの触れ合い期間に入る金等級家族2組に加え、圃人剣士ちゃんと圃人巫術師さんの圃人(レーア)コンビの姿も見えますね。……秋口までに貯めていた依頼報酬を頭金に「足りない分はカラダで払いますから、春までみっちり鍛えてほしいんです!」という圃人剣士ちゃんの言葉に「ん?」「いま」「なんでもとは仰っていませんよ?」と子持ち人妻森人(エロフ)3人娘が反応していたのは内緒です。

 

 

 子どもたちも乳離れし、ちゅーちゅーするのがダブル吸血鬼ちゃんと眷属たちだけになったということでママたちも飲酒が解禁。元々お酒に弱い妖精弓手ちゃんは果実水ですが、イケル口の若草知恵者ちゃんと叢雲狩人さんは久しぶりの葡萄酒を楽しんでいるみたいです。

 

 

「おまたせ~! にんじん焼きににんじんのグラタン、それからにんじんたっぷりのポトフさんだよ~!!」

 

「すりおろした人参を練り込んだにんじん麺麭と、あま~く煮たにんじんのグラッセもありますからね」

 

 

 牛飼若奥さんと若草祖母さんによってテーブルに並べられる数々の料理は、艶やかな赤色が目立つ人参のフルコース。大好物の山を前にうさぎさんたちはパパたちを含めみんな万歳しちゃっています! ……おやおやぁ? 喜びの歓声に沸き立つリビングで1人だけ渋面を隠せていない人がいますねぇ。まるまる1本の人参をそのまま調理したにんじん焼きを前にナイフとフォークを持った姿勢で硬直しているのは……。

 

 

 

 

 

 

「……もしかして、にんじんきらいなの?」

 

「はっはっは、この国を治める頭脳明晰で武勇絶倫な余がそんなわけなかろう! ……ただちょっと苦手なだけだ

 

 

 ああ、王子様(ベ〇ータ)MSオタク(ウ〇キ中尉)ニンジン(カカ〇ット)が苦手ですもんね……と、ナイフとフォークを行ったり来たりさせている陛下の周りに兎人(ササカ)のおちびちゃんたちが集まって来ました。ヒソヒソと囁かれる「きんげのおにいさん、たべないのかなぁ……」とか「にんじんおいしいのに……」という声と邪気の無い視線に耐え切れず、青い顔になりながらにんじんと格闘し始めました。饗応の場でも予め献立から除外するほどの人参嫌いな兄が、死んだ魚の目でにんじん焼きを頬張る姿に妹1号2号はニッコリ、主の漢らしい振る舞いに銀髪侍女さんも袖で涙を拭っております。

 

 

 

「はわわ……まさか先代様とお会い出来るなんて……!?」

 

「他の方には内緒にしておいてくださいね? 一応隠遁したことになってますから」

 

「迂闊に漏らしたら物理的に消えてもらうから、頭の片隅に留めておきなさいな」

 

「イヤ怖ぇよ!? 本気で言ってるのが判るから猶更タチが悪いぞオイ!?」

 

 

 別の卓ではエロエロ大司教モードになった剣の乙女ちゃんを見た猛女ちゃんが大興奮していますね。世間的には聖女ちゃんに大司教の座を譲り渡した後は表舞台から姿を消したことになっていますし、おなじ至高神さんを信じる猛女ちゃんにとっては憧れの存在と言えるでしょう。まぁ隣では骨を砕かんばかりの力で女魔法使いちゃんに肩ポンされている遺失魔法使いさんが悲鳴を上げていますが、コラテラルダメージってヤツでしょう、たぶん。

 

 そんな猛女ちゃんの傍らには重戦士さんのだんびらに匹敵する大きさの木剣が立て掛けられていますね。試練(チャレンジ)の最中に折れてしまった長剣(ロングソード)の代わりと賢者ちゃんがくれたこの剣、東方の侍が「練り」と呼ばれる一振りに30分も時間を掛けて素振りをする鍛錬の際に用いられるものなんだとか。"ソードフィッシュ(かじき)"の異名を持つこの木剣なら猛女ちゃんの怪力にも耐えてくれますね!

 

 

 

「しかし、蜥蜴のダンナも男前っぷりに磨きがかかったもんだなァ」

 

「デカい、固い、黒い。三拍子揃ってるしな」

 

「俺もあやかりたいなぁ……」

 

 

 おやおや、金等級家族と新進夫婦、それに鉱人の吞兵衛たちは蜥蜴僧侶さんを肴に盛り上がっているみたいですね。星の力(核融合炉)を取り込んだことで位階を高めた蜥蜴僧侶さんの姿は男の子の夢をこれでもかと詰め込んだ浪漫の塊、少しづつではありますが伝説の竜王に似てきています。みんなに囃し立てられて背鰭のような器官がピカピカ明滅しているのはご愛敬というものでしょう。

 

 

 

 さて、騒ぎの要因となった王妹殿下は……お、吸血鬼君主ちゃんを膝上に抱え、甲斐甲斐しく料理を食べさせてご満悦みたいです。雛鳥のように口元に差し出されるにんじん料理を平らげる吸血鬼君主ちゃんを対面に座る妖精弓手ちゃんと令嬢剣士さんが「しょうがないなぁ」って顔で眺めていますね。

 

 

「――で、会場での言葉、どこまで本気なのかしら」

 

「すべて本気ですよ? 互いの母親同士の想いに中てられたことは否定しませんけど、それは最後の後押し。お姉様を愛する気持ちに偽りはありませんわ」

 

 

 妖精弓手ちゃんの問いに膝上の想い人を抱き上げ、その頬に唇を寄せながら応じる王妹殿下。もし吸血鬼君主ちゃんが圃人(レーア)のままだったら、異母姉妹とはいえ近親関係にあるため血が濃くなる危険性があったでしょう。しかし吸血鬼(ヴァンパイア)に成ったことで血縁関係は消失し、当人同士の気持ち以外の障害がなくなったことが彼女の背を押す決め手になったようです。

 

 

「そう遠くない将来、私()()は何処ぞの貴族と繋がりを深めるために政略の道具として嫁ぐか、神殿に入り生涯独身を貫くかの二択を迫られます。もちろんそれが王族の責務であり、お兄様の治世を安定させるために必要なことであることも理解してますわ。実際見合いの話もひっきりなしに届いておりますし」

 

 

 うむむ、陛下と砂漠の姫君が結ばれ懐妊が認められた今、陛下の妹である王妹殿下と女神官ちゃんの役目は王国の安定に貢献すること。そのためには有力な貴族や武官に嫁ぐのが通例といえるでしょう。

 

 

「ですが、混沌との繋がりを持っていた貴族たちが粛清され、恭順派の貴族たちの多くは急な領地拡大と王国の施策変化についていけず混乱している状態。下手に何処かの家を選んでは他家の僻みを買い、その家も増長し先王派の二の舞になりかねませんわ」

 

 

「成程、そこで選択肢として浮かんだのが頭目(リーダー)たちなのですね」

 

 

 王妹殿下の言葉に納得したように頷く令嬢剣士さん。いまいち判っていないような妖精弓手ちゃんに気付き、補足の説明をしてくれるようです。頭目(リーダー)たちの現状について、貴族たちの認識はどうなっていると思いますか?という問いに暫く考え込んでいた妖精弓手ちゃんがつらつらと考えを口にし始めました。

 

 

「んと……まずは秩序に与する『吸血鬼(ヴァンパイア)』でしょ。『銀等級の冒険者』にして『森人(エルフ)』を始めとする只人(ヒューム)以外の種族との関係も深いわよね。それから『上の森人の姫君(わたし)』や王国上層部と蜜月な『貴族令嬢(あなた)』を正妻に、多くの優秀な人材を現在進行形で……側室として抱き込んでるわね」

 

 

 やはり血族(かぞく)の間に序列を設けるのは不満なのでしょう、側室と口にした際の妖精弓手ちゃんは面白くなさそうな顔をしていますね。外面的なものとはいえどうしても納得は出来ないみたいです。そんな妖精弓手ちゃんだからこそ、令嬢剣士さんと王妹殿下も好ましく思っているんでしょうね。

 

 

「その認識で問題無いかと。"大いなる力には、大いなる責任が伴う(With great power comes great responsibility)"。逆に言えばその力を秩序の守護に用いる限り、【辺境最悪】の名が貶められることはありませんわ」

 

「つまり……これまで通りシルマリルとヘルルインが秩序の社会(にんげん)に絶望したりしないよう、私たちが護ってあげれば良いのよね?」

 

「はい。そして王妹であるお二方が血族(かぞく)となれば王国との繋がりは盤石となります。余程の愚物でなければ私たちを排斥しようなどと考えたりはしないでしょう」

 

 

 北狄に対する備えとして貴族位を授け、城塞都市跡を復興させて領地とする王国上層部の案はもうすぐ実現するところまで来ています。そこに王妹である2人が降嫁してくればダブル吸血鬼ちゃんとその血族(かぞく)の立場はより強固なものになるでしょう。秩序の護り手たるみんなを妬み、ちょっかいをかけてくるようなお馬鹿さんなんているわけ……無いとは言えないのが貴族たちの恐ろしいところですよねぇ。人の欲望に限りは無く、他者を妬むのは人が持つどうしようもないサガなのかもしれません……。

 

 

「そういうわけで、私()()と致しましてはお姉様がたに嫁ぎたいな~なんて」

 

「いや、さっきから私()()って言ってるけど姉妹の気持ちは……って……」

 

 

 にこやかに言ってのける王妹殿下にジト目を送っていた妖精弓手ちゃんの視線がキョトンとしたものに変わった理由、それは先程から会話に参加していなかった女神官ちゃんが原因ですね。正妻2人の対面、王妹殿下の隣に座っていた筈の女神官ちゃんですが……。

 

 

 

 

 

 

「うう……いつもいつも2人して私のことを揶揄ってばっかり! そんなに私のことがキライなんですか!? それに()()()指輪で他の子たちを虜にして……私だって、私だってぇ……っ!」

 

 

 

 葡萄酒の酒精で赤らんだ顔を吸血鬼侍ちゃんの太股に乗せ、グリグリと擦り付けながら心情を吐露する女神官ちゃん。その首元には地母神さんの聖印と一緒に例の欠陥品の指輪が同じ鎖に通された状態で揺れています。子猫が甘えるように振る舞う彼女を髪を優しく撫でる吸血鬼侍ちゃんの顔は、なんだかいつもよりちょっとだけ大人っぽく見える気がしますね。

 

 

「……心身ともに深く傷ついた女性たちを癒す行為なのは私だって判ってます。でも、互いに産まれたままの姿になって、毎回違う女性と3人で同衾する処女(おぼこ)の気持ち、ちょっとでも考えたことがありますか? 邪な想いを抱かぬよう必死に自分を抑えて、治療の後に昂った心とカラダを鎮めるため自分を慰める時、誰の顔を思い浮かべてるか判りますか?」

 

 

 とめどなく溢れる秘匿されていた想い。言葉ととも零れる涙は怒りの表れか、それとも羞恥心の発露でしょうか。

 

 

「異母姉妹であると教えられた時、私、安心したんですよ? 『ああ、これでこの想いは届かない。この感情は家族に対する愛情だったんだ』って。……なのに、血の繋がりは無い、他人の関係に変わっていたなんて……! そんなコト知ってしまったら、もう自分の気持ちに嘘を付けないじゃないですか!?」

 

 

 後頭部を太股に預けたまま、喘ぐように手を伸ばす女神官ちゃん。2本の伸びた手が細い首をギリギリと締め上げるのを見た妖精弓手ちゃんが慌てて振り払おうとするのを視線で制した吸血鬼侍ちゃんが、首を絞められたままそっと指で女神官ちゃんの涙を拭い、自らの口へと運んでいきます。ペロリと舌で舐め取る姿を見て僅かに手の力が緩んだところで女神官ちゃんの頭を両手で掴み……。

 

 

「――――ッ!?!?」

 

 

 有無を言わさぬ勢いで唇を奪い、貪るように何度も口づけを行う吸血鬼侍ちゃん。舌、頬の粘膜、歯茎の裏まで蹂躙され、啜られ、そして送り込まれる唾液を喉を鳴らして嚥下する女神官ちゃんの見開かれていた瞳は快感に蕩け、首を絞めていた手は吸血鬼侍ちゃんの後ろへと回されその小さな頭をかき抱くような体勢へと変わっていきました。彼女の思いの丈を聞きつけた一行が固唾を呑んで見守る中、長い時間を掛けて交わされた愛の交歓は終わりを告げ、銀糸の橋を口の端から渡したまま吸血鬼侍ちゃんが女神官ちゃんをそっと抱き寄せました! 荒い呼吸を繰り返す女神官ちゃんを落ち着かせるように背中を優しく撫でながら、彼女の想いに応えるべく言葉を紡ぎます……。

 

 

「――ごめんね。きみのきもちにはきづいていたけれど、どうしてもこたえてあげられなかったの。ぼくのもつきみにたいする『すき』ってきもちが、ほんとうにきみにたいしてのきもちなのか、それともぼくのおかあさんがきみのおかあさんにいだいていたきもちののこりがだったのか、かくしんがもてなかったから……」

 

 

 なるほど、圃人侍女(おかあ)さんが伯爵夫人さんに抱いていた愛が、彼女の身体を素材として生み出された吸血鬼侍ちゃんに引き継がれ、女神官ちゃんを伯爵夫人さんと誤解して抱いていた可能性を危惧していたんですか。人違いで愛を囁くのは流石に失礼過ぎるのでその心配はなんとなく理解できますね。ですがその可能性が払拭された今、2人の間にしがらみや障害はありません!

 

 

「でも、ぼくのおかあさんがきみのおかあさんをあいしていたきおくは、ふたりがあるべきばしょにかえるときにぜんぶふたりがもっていってたの。だから……きみのことをすきなのは、ぼくじしんのおもい。 ――ぼくは、きみがすきです。きみをあいしています」

 

 

「――はいっ! 私も、貴女のことが大好きです!! 心から貴女を愛しています!!!」

 

 

 花開くような笑みとともに強く抱き合う2人。話の行く末を固唾を呑んで見守っていた吸血鬼君主ちゃんと王妹殿下はイェーイとハイタッチ、ほかのみんなも安堵の表情を浮かべ素直になれた2人に対し次々に祝福の声を投げ掛けています。可愛い異母妹たちの選んだ結末を見た陛下はと言えば……。

 

 

 

 

 

 

「どうしよう、余の可愛い異母妹が別の異母妹と幸せなキスをする光景を見て胸中に湧き上がるこの気持ち。義母2人の愛を見た時に心に芽生えたモノにも似たこの感情、余はこれになんと名を付ければ良いと思う?」

 

「マザコン、シスコン、ロリコンの三属性に加え、百合豚とは……つくづく陛下も業が深いよね」

 

 

 トゥンク…してる陛下に冷静にツッコミを入れる銀髪侍女さん。仕える王族のやらかしで今日もお酒が美味しいみたいですね……。

 

 


 

 

「――では年明けの依頼、よろしく頼むぞ」

 

「ああ」

 

「「へいかもよいおとしを~」」

 

 

 ダブル吸血鬼ちゃんとゴブスレさんに見送られながら≪転移≫の鏡へと消えていく陛下。その後に王妹殿下と、酔い潰れた女神官ちゃんを抱えた銀髪侍女さんが続いていきます。新年早々に陛下直々の指名依頼、これぞ金等級って感じですね!

 

 宴会も終わりの時間を迎え、それぞれの宿泊場所へと帰って行く一同。王妹殿下も泊まりたがっていましたが、女神官ちゃんが酔い潰れてしまったのと「せめて2人が貴族に叙されるまでは清い関係でいなさい!」という陛下(おにいちゃん)の言葉に渋々帰ることを承諾していました。

 

 

 牧場菅関係者と金等級家族が去り、残っているのはダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)と勇者ちゃん一行、それに今日から逗留予定の圃人(レーア)コンビといったところ。当初は猛女ちゃんと遺失魔法使いさんもお泊りの予定でしたが、猛女ちゃんの情操教育に非常によろしくない為2人はゲストハウスのほうに泊まることになりました。

 

 さて、本格的な片付けは明日にして今日はもう休もうかというところで、な~ぜ~か~リビングに緊張感が広がっていますねぇ(白目)。

 

 

 令嬢剣士さんと白兎猟兵ちゃん、英雄雛娘ちゃんに連れられて一足先に寝室へ向かい、子どもたちはスヤスヤと寝息を立てています。その一方、唐突な告白の罰として自主的に正座をしている吸血鬼侍ちゃんの見上げる先には迷宮探検競技の功労者である若草知恵者ちゃんの頬を染めた艶やかな笑みが。両隣には額を抑える女魔法使いちゃんと苦笑を浮かべる叢雲狩人さんもセットですね。今回頑張ったご褒美に、なにか欲しいものややりたいことはあるかという吸血鬼侍ちゃんの申し出に対し、若草知恵者ちゃんの出した返答はみんなの予想の斜め上を行くものでした。

 

 

「えっと……ついさっきほかのおんなのこにこくはくしていたわりとサイテーなぼくだけど、ほんとうにいいの?」

 

「はい。主さまを愛する私の想いには聊かの翳りもございません。ですので……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回のご褒美は『主さまと上姉様、下姉様による3人同時魔力供給』でお願いいたします」

 

 

 うーんこの夜の白金等級。華奢な肢体をもじもじさせながらのおねだりの破壊力は蜥蜴僧侶さんの核撃・放射(フュージョンブラスト)に匹敵する威力。勇者ちゃんや剣聖さん、圃人(レーア)コンビが黄色い悲鳴を上げる中、女魔法使いちゃんが確認するように問いかけます。

 

 

「……それはつまり『私たち3人をその子が愛する』んじゃなくて『私たち3人掛かりで貴女を愛して欲しい』ってこと?」

 

「はい。かつて捨て鉢だった私を昼夜問わず愛し抜いてくださった時のように。そして、今回お姉様たちにも()()()使()()()()()()()()()()

 

「えっと、妹ちゃん? ご主人様は兎も角、使い慣れていない私たちがこれを着けたら、たぶん抑えが利かなくなってしまうと思うのだけれど……」

 

 

 胸元から取り出した指輪を示し、生唾を飲み込みながら問う叢雲狩人さん。普段からダブル吸血鬼ちゃんに襲い掛かることはありますが、あれはあくまでスキンシップ。指輪を用いての深い繋がりはごく初期を除いて行っていなかった筈です。慣れない人はその衝動に呑まれ激しい行為に及んでしまううえに、ほぼ1回でチャージ切れを起こしてしまう魔力供給を行うことに躊躇いを感るのも無理はありません。やんわりと考え直すよう説得する叢雲狩人さんでしたが……。

 

 

「望むところで御座います。枯渇している魔力を注いで頂き、さらに義姉妹の絆を深めることが出来る。まさに一石二鳥です。それに……お姉様がたに愛して頂くのは久しぶりですので……」

 

 

 堕ちたな(確信)。淫魔(サキュバス)顔負けの誘い文句に3人の理性はあえなく決壊、女魔法使いちゃんが若草知恵者ちゃんを、叢雲狩人さんが吸血鬼侍ちゃんを担ぎ上げて2階へと消えていくのを敬礼で見送る一行。若草祖母さんが「我が孫ながら大胆ですねぇ」と頬に手をあて微笑んでますが、間違いなくおばあちゃんの影響だと思います。「さ、3人同時にって……」「女には3つの……」とヒソヒソ話す耳年増な同僚に拳骨を落としていた賢者ちゃんが、緊張に身を固くしている妖術師さんへと話しかけました。

 

 

「まぁ、こうなるのは想定の範囲内なのです。それに、本題はこれからなのです。……本当にやるのですか?」

 

「う、うん。ちょうど魔力が枯渇してるからいっぱい注いで貰えるし、吸われる時間も短くて済むから失敗する可能性は低いかな。それに、なるべく多く師匠の因子を取り込みたいし……」

 

 

 厳しめに問いかけられオドオドと返答する妖術師さん。ですが、挙動に反してその瞳に迷いの色は無く、失敗のリスクも踏まえたうえで眷属化の儀式に臨むつもりみたいです。その決意の固さを確認した賢者ちゃんが剣の乙女ちゃんと闇人女医さんに視線を送り、2人が頷きを返してますね。

 

 

「では、2人にはそれぞれ途中の補給役と儀式の記録を任せるのです。時間がもったいないので早速始めるのです」

 

「はい。――さぁ、行きましょう?」

 

「実に興味深い。今後の為にも詳細なデータを取らせてもらうとしよう」

 

 

 剣の乙女ちゃんに促がされ、ぴょんと椅子から飛び降りる吸血鬼君主ちゃん。ガチガチに緊張している妖術師さんへと近付き、ちっちゃな手でそっと彼女の手を包み込んでいます。やわらかな手から感じる温かみに顔を上げた妖術師さんに触れるだけのキスを送り、そっと手を引いて立ち上がらせると彼女のたわわに顔を埋めるように抱き着いちゃいました。突然のにアワアワしていた妖術師さんでしたが、意を決したように吸血鬼君主ちゃんを抱きしめ、そのまま残りの面子へと向き直りました。

 

 

「えっと、その……行ってきます!」

 

「頑張ってくださいね!!」

 

「うふふ、もし失敗したらちゃんと始末してあげますから、安心してくださいね?」

 

「いや、不安になるようなこと言わないでよ……」

 

 

 口々にかけられる応援?に眉を下げた笑みで応じ、階段途中で待っていた賢者ちゃん達と合流する妖術師さん。耳が痛いほどの沈黙に耐えかねて、勇者ちゃんが場を取り繕うように言葉を発します。

 

 

「えっと……う、上手くいくといいね!!」

 

「あー、無理に取り繕わなくていいわよ? ヤってることに変わりは無いし、まぁどっちも悪い結果にはならないでしょ」

 

 

 顔を赤くした勇者ちゃんの言葉に手をヒラヒラと振りながら応じる妖精弓手ちゃん。果実水を啜りながら長耳をピクピクさせ、「あ。義姉のほうが暴発したわね」なんて2階の状況を実況しています。防音とはいったい……。

 

 

「しかし、聞いた話だとわざわざ儀式の難易度を上げるようなことをしているようだが……」

 

「あの子、自分を過小評価しがちだし、勘違いから来る劣等感の塊でしょ? 色々誤解されがちな死霊術師(ネクロマンサー)ってのもあって面倒な気持ちを抱えてるから、そんな自分を変えてみたいって思ったんじゃないかしら」

 

「でも、それで失敗したら……」

 

 

 失敗したら喰屍鬼(グール)に変貌するかもしれない儀式。その難易度を自ら上げる彼女に2人は不安を感じているみたいですね。でもきっと大丈夫です。()()()()()()姿()()()()()()()()()、ダブル吸血鬼ちゃんの愛は変わったりはしないでしょうから!

 

 


 

 

 

 

 

 

「ヒャハハハハハハァーッ!!!」

 

 

「んななななななに!?」

 

「んぅ……うるさいですねぇ……」

 

 

 ようやく太陽神さんが顔を出し始めた早朝に響き渡る奇声。冬の間宛がわれた部屋でぐっすりと寝ていた圃人(レーア)コンビが何事かと飛び起きてしまってますね。寝ぼけ眼のまま廊下から顔を出せば、同じように顔を覗かせている英雄雛娘ちゃんと目が合いました。奇声の発生源はちょうど2組の間に位置する部屋のようですね。無言のハンドサインを交わし、静かに真ん中の部屋へと近付いていく3人。僅かに開いた扉の隙間から中を覗くと……。

 

 

 

 

 

 

「やった! 成功した!!」

 

 

 儀式の残り香が漂う部屋の中には複数の人影。寝台(ベッド)の中央に産まれたままの姿で仁王立ちし、全身で喜びを表現している()()()()()()が声の主のようです。隙間から覗く3人の気配を察知し振り返った姿は、金髪のメカクレにぺったんこなお胸を持つ、何処からどう見ても圃人(レーア)の少女……。

 

 

「あ、ねぇねぇどうかなこの姿? 師匠の因子を先輩たちより多く取り込むことで吸血鬼(ヴァンパイア)と成る前の種族を書き換えることに成功したんだ! そのままだと只人(ヒューム)の子どもに変わる筈だけど、圃人(レーア)だからほら! 全身のバランスが大人に近い状態で体格だけが縮小してるの! 想定では元の身体と同じサイズのおっぱいが残る筈だったんだけど、たぶん師匠の因子に引っ張られたからかな? でもちっちゃくても全然かまわないし、師匠とお揃いだからむしろ嬉しいかも! あ、さっき試しに日光を浴びてみたけど問題無かったから吸血鬼稀少種(デイライトウォーカー)には成れたみたい。初めての吸血は中々難しかったけど、真っ先に師匠からちゅーちゅーさせてもらって親の支配は解除してもらったんだ! 種族による差か属性(アライメント)によるものかは判らないけど、人によって血の味は違うみたい! そうだ。せっかくだから検証も兼ねて3人の血も吸わせて……」

 

 

 

 

 

 

「げんきだね~……ちゅ~……」

 

「ん……ええ、成りたてとは思えませんね」

 

「というか少々性格が変化してないですか?」

 

「いや、あれは所謂"血に酔っている"状態なのでは?」

 

 

 剣の乙女ちゃんのたわわに顔を埋め、ちゅーちゅーしながら新しい眷属を眺める()()()()()()()()。息継ぎ無しでしゃべり続ける圃人(レーア)姿の()()()()()を大人しくさせるべく賢者ちゃんと闇人女医さんが嗜虐神から賜った拘束プレイ用の縄を構えてますが……あ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらあら、随分と愛らしい姿になって……」

 

 

 

 

 

 

「そうやって私を誘惑しているのでしょう? ぶち犯してあげますね♪

 

 

 枢斬暗〇子さんかな??? 物理法則を無視する勢いで妖術師さんを寝台(ベッド)に押し倒し、種族による膂力の差など知ったことではないと言わんばかりに出来たてホヤホヤの圃人(レーア)ボディを蹂躙していく少女巫術師さん。途中から相棒である少女剣士ちゃんと吸血鬼君主ちゃんも加わり、先程までの奇声に変わって正気を取り戻した妖術師さんの悲鳴にも似た嬌声が一党(パーティ)のおうちに響き始めました。

 

 賢者ちゃんたち3人が無言で圃人(レーア)のみつどもえを記録し、顔を真っ赤にした英雄雛娘ちゃんが指の隙間からガン見する中、吸血鬼侍ちゃんたち3人を枯らしツヤツヤお肌な若草知恵者ちゃんが遅めの朝ごはんが出来たことを報せに来るまでどったんばったんおおさわぎは続くのでした……。

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 





 次は誰得な日常回予定なので失踪します。

 評価、お気に入り登録ありがとうございます。モチベ維持に繋がりますので、まだの方は評価、登録して頂けると幸いです。

 感想も併せてお待ちしておりますので、お時間がありましたら是非に。ネタバレに繋がるもの以外はなるべくお答えさせて頂きます。


 お読みいただきありがとうございました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。