ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

150 / 180

 区切りが良いところまで進めたので初投稿です。


 3年目に突入する前になんと150話まで辿り着いてしまいました。ここまで続くとは思っておらず、途中でエタってしまうだろうなぁというのが正直な気持ちでした。

 150話、130万字以上という長さになるまで続けられましたのも、お読みくださった皆様から感想や評価を頂けたことが一番だと思います。

 キャンペーン終了までの道筋は完成していますが、ネタが思いつく限りは途中途中に番外を挿入していく予定ですので、お付き合い頂ければ幸いです。




セッションその17 りざると

 

 前回、イベント戦闘を悲しみの一撃(ハードショット)でフィニッシュしたところから再開です。

 

 落とし子を浄化した後ガクリと膝を着く神官銃士ちゃん。やはり神器を扱った反動は大きかったみたいです。サメを片付け急降下してきた吸血鬼君主ちゃんが彼女を抱き起し負傷の度合いを確認していますが……どうやら極度に疲労しているだけで命に問題は無さそうです。胸の中で荒く息を吐く神官銃士ちゃんの頭を撫でながら、そっと頬を伝う血涙に舌を這わせ、ゆっくりと血を舐め取っていますね。

 

 

「ん……ぺろ……もう、むりしないでっていったのに……!」

 

「うぅ、面目次第もありませんわ……」

 

「――でも、ありがとう。みんながのってるふねをまもってくれて!! ……んちゅっ」

 

「ふむぅ!? ん……んく……れる……」

 

 

 血涙を舐め取り終えた舌にそのまま口内へと入り込まれ目を白黒させる神官銃士ちゃん。甘い唾液とともに注ぎ込まれた≪賦活(バイタリティ)≫の奇跡による活力のおかげで、青白かった顔に朱が戻って来ましたね! 術者と対象の接触が必要なことにかこつけて舌を絡ませあう2人を女神官ちゃんが羨ましそうに見ています。神官銃士ちゃんが1人で立ち上がれる程度に回復したところで、降伏した鰓人(ギルマン)たちを見ていた族長姉貴兄貴が声を掛けてきました。

 

 

「お熱いトコ邪魔して悪いのだケド、降伏してきた子たちの証言で例の硬貨の場所が判明したわ。ただ、対策ナシに近付くとあのたわけの二の舞になりそうなのよねぇ……」

 

 

 ああ、とっても肉体と精神に悪そうですもんねプルトニウム硬貨。となると回収に向かうのは……。

 

 

「――フム、ならば拙僧と君主殿で向かうのが宜しいかと」

 

「あ、とかげさん! おかえりなさい!!」

 

 

 お、魔蟹を担いだ蜥蜴僧侶さんが帰って来ましたね! たしかに星の力(核融合炉)を体内に持つ2人なら問題無く回収出来るでしょう!! どうやら硬貨の入った鉛の箱は神殿内部の海水に満たされた空間に移送、保管されているとのこと。では負傷者を治療している間にちゃっちゃと回収しちゃいましょうか!

 

 


 

 

 見通しの悪い海中を躊躇いなく進む大小2つの人影。尻尾をくねらせ器用に泳ぐ蜥蜴僧侶さんの手にはゴブスレさんが貸してくれた水中呼吸の指輪が嵌められていますね。呼吸不要な吸血鬼君主ちゃんは最初は可愛らしくバタ足をしていましたが、途中で触手を適当な岩に打ち込んで進むほうが速いことに気付き水中ワイヤーアクションを披露しています。両者とも暗視持ち、吸血鬼君主ちゃんに至っては【脳の瞳】の能力で視線さえ通っていれば2kmまで見通せるので暗い海の中でもへっちゃらです……っと、蜥蜴僧侶さんが海底のほうを指差してますね。映像越しにも青白い光が見えていますので、おそらくあそこにプルトニウム硬貨が……って、それってつまり蓋開けっ放し……ってコト!?

 

 

「……ありましたな」

 

「あったね~」

 

 

 淡い輝きを放つ硬貨の山を前に呟く2人。周囲には強化を目論んだと思しき奇形化した鰓人(ギルマン)の稚魚たちが物言わぬ屍となって漂っています。両手を祈りの形に組んだ吸血鬼君主ちゃんから放たれた≪浄化(ピュアリファイ)≫の光によってあるべき場所に還る彼女たちを見送った後、蜥蜴僧侶さんが腕を伸ばし頑丈な爪の先で硬貨を摘まみ上げました。眼前に翳したそれを背中に貼り付いた吸血鬼君主ちゃんと一緒に暫し眺めた後、2人の見せた行動は……。

 

 

 

「「(……ゴクリ)」」

 

 

 ……え? ちょっと2人とも???

 

 

「……ひとつくらいたべてもバレないよね?」

 

「ウム。皆にとっては害にしかならぬモノ故、むしろここで我らが処分しても良いのではありませぬかな?」

 

 

 いや、まぁ、竜は自らの位階を高める際に己の財を喰らうこともありますけど……本当に食べて大丈夫なんですかソレ? 摘まんでいた硬貨を吸血鬼君主ちゃんの口元に差し出し、反対の手でもうひとつ摘まみ取る蜥蜴僧侶さん。2人視線を交わし、同時に硬貨を……パクリ! ボリボリという咀嚼音が続いた後、クワッと2人の目が開きました!!

 

 

 「甘露!」

 

「かんろ!」

 

 

 口から味〇様光線を吐きながら感動に打ち震える2人。なけなしの理性でそれ以上は食べずに踏み止まりましたが、もし全部食べていたら大変なことになっていたかもしれませんね。名残惜しそうに蓋を閉めたところで蜥蜴僧侶さんが吸血鬼君主ちゃんに問いかけました。

 

 

「して君主殿、この厄介な宝物は如何されるおつもりですかな? 封印するのが一番安全かとは思いますが、少々勿体のう気もしますな」

 

「えへへ……あたらしいおともだちに、とっておきのプレゼント!」

 

 

 お、なにやら腹案があるみたいですね。ニンマリと笑う吸血鬼君主ちゃんが鉛の宝箱に手を翳し……え、えぇぇぇぇ!?!?

 

 


 

 

「……で、強力で危険な力を持つコインの山を()()に加工しちゃったってワケ?」

 

「うん! このふねをいじするどうりょくげんにしたの!!」

 

 

 唖然とする一同を前にドヤ顔な吸血鬼君主ちゃん。その眼前には5フィート(1.5メートル)四方くらいの大きさの金属塊が鎮座しています。表面に埋め込まれた出力値と思しき計器は一定の数値を示しており、内部に高エネルギーが充填されていることを表していますね。

 

 

「えっと、それじゃあ格納するね……?」

 

 

 妖術師さんが指示を出すと甲板に穴が開き、内部から顔を出した触手たちが金属塊を持ち上げ船の内部へと運んでいきました。甲板の穴が塞がって少々間が空き、やがて「ドクン……」という鼓動が船全体に響いた後、肩の荷が下りたように妖術師さんがその場に座り込みました。

 

 

「ふひぃ~……船を維持する魔力の供給が私からあの魔力炉に切り替わった。これで私が呪文の維持を止めても船は消えないよ」

 

「なんと! ではこの船はこのまま……!?」

 

「うん! せんいんさんたちはぼうけんにまんぞくしたらかえっちゃうけど、ふねはまりょくろがあるかぎりうごきつづけるよ!! ひょうめんをヒヒイロカネでおおってあるから、こわれるしんぱいもなくてあんしん!」

 

 

 うわ、もしかして原子炉もどきを作っちゃったんですか!? けっこう多めに素材を消費したのか、ちょっぴり背が縮んだ吸血鬼君主ちゃんがふふんとぺったんこな胸を張っています。吸血鬼侍ちゃんと並ぶと連載初期と平成版のア〇レちゃんくらい差がありますねぇ……え、それちゃんと元の身長に戻るんですよね?

 

 

「まったく、トンデモないおちびちゃんたちねェ。でも海を穢していた厄介な代物が航海の役に立つんだから、結果オーライね!」

 

 

 グッとサムズアップする族長姉貴兄貴に同じく親指を立てて返すダブル吸血鬼ちゃん。幸運にも味方鰓人(ギルマン)に死者は出ておらず、秋刀魚頭(サンマーヘッド)の支配から逃れた若魚たちも全員降伏し、群れの仲間に戻るみたいです。秋刀魚頭(サンマーヘッド)を筆頭に老害たちが海の藻屑になったことで彼女らの争いも収まり、無事北の海は平穏を取り戻すことが出来ました! 交易路の安全が確保されれば再び王国にも世界各地の名産品が入ってくることになるでしょう。陛下からの依頼もこれで完了ですね!

 

 

「さぁ、帰ろう! 帰ったら北海の平和を祈る(ドレッカ)だ!!」

 

『族長様たちも是非参加していってくださいね!』

 

「アラ素敵! そしたら行き掛けに海の幸を集めましょ!! みんな、気張っていくわよぉ~」

 

 

 (ドレッカ)と聞いて一気にテンションMAXになる入り江の民(ヴァイキング)の戦士たち。新たな交易船も手に入ったことで(ドレッカ)の前からみんなお祭り騒ぎです。戦が終われば宴で酒を飲み交わすのが北の国の作法、厳しい環境では恨みを引き摺り続けていては生きていけませんから、ね?

 

 

「フム、何か珍しいチーズがあれば良いのですがな……」

 

『お、なんだチーズが好きなのか大蜥蜴さんよ。そんならとっておきを出してやらぁ!』

 

「ほほう! それは如何様なチーズなのですかな」

 

『ふっふっふ、西の海を越えた国で作られている特別製よ!カース・マルツゥつってな……』

 

 

 それ絶対ヤバいやつ!? いや、蜥蜴僧侶さんやダブル吸血鬼ちゃんならイケるか……?

 

 

 

 冒険者、入り江の民(ヴァイキング)、そして鰓人(ギルマン)によって盛大に盛り上がった(ドレッカ)。蜥蜴僧侶さんが美味しそうに齧り付くチーズをひとくち分けてもらった妖精弓手ちゃんが盛大にお腹を壊したことで、滞在日数がちょっぴり伸びたのは内緒です。

 

 


 

 

 交易が止まり出荷出来ずに取り置かれていた塩漬けの鱈や干した海老などをたっぷりとお土産に貰い北の国を後にしたダブル吸血鬼ちゃんたち。行きに通った道を戻る形で兎人(ササカ)の集落に辿り着いた一行を迎えたのは……。

 

 

 

「いくら事前に聞いていたとはいえ、虚空に消えながら『ちょっと一狩り行ってくる!』の一言で何日も妻を待たせる亭主がいるらしいが……さて、どう思う?」

 

「申し訳ありませぬ」

 

 

 ゴゴゴゴゴ……と擬音を背負いながらニッコリと笑みを浮かべている女将軍さんでした……。

 

 

 3人でお泊りしていた夜に召喚については話していたものの、実際に目の前で消えていく姿を見送ったらそりゃ心穏やかではいられないでしょう。妖精弓手ちゃんのやらかしで数日余計に時間がとられたのも心配に繋がったことでしょう。巨体を縮こませ頭を下げる蜥蜴僧侶さんをダブル吸血鬼ちゃんをはじめとする北の国訪問組が必死に擁護する姿が印象的でした。

 

 

「訓練は良い感じに終わったよ! 途中で空きっ腹を抱えた雪男(サスカッチ)の群れが襲撃をかけてきたけど、みんながあっという間に蹴散らしちゃったし!!」

 

 

 茹で上げた魔蟹の身を頬張りながら垂れ耳おじさんが自慢げに笑うおゆはんタイム。どうやら冬山訓練は大成功だったみたいです。雪焼けした圃人(レーア)コンビや叢雲狩人さんの顔にも自信の色が見て取れますね。カタカタと震える妖術師さんの隣に座った圃人巫術師さんが何か耳元で囁いてますが……どうやら彼女の消耗を察知して魔力供給(意味深)を企んでいるみたいです。妖術師さんも只人(ヒューム)形態になれば弄ばれることも無いでしょうに、やっぱり誘い受けなんですかねぇ……?

 

 

「足を取られる雪上での踏み込みは難しかったですけど、なんとなくコツを掴んだ気がします!」

 

「えへへ、かえったらてあわせしようね……ふわぁ……」

 

 

 離れていた分を取り戻すように吸血鬼侍ちゃんに抱き着き、柔らかな肢体を密着させる少女剣士ちゃん。吸血鬼侍ちゃんも安心しきった顔で身体を預け、その温もりを堪能しています。体格差からダブル吸血鬼ちゃんにとっては大き過ぎて、手が埋まったり沈み込んでしまうことの多い一党(パーティ)のたわわラインナップですが、少女剣士のモノはちょうど2人のちっちゃな手に収まるナイスな大きさ。ダブル吸血鬼ちゃんから丹念に愛されることで艶を増しつつある逸品でございます。

 

 

「それで、教官の皆様を見つけることは出来ましたの?」

 

「まぁ一応ね。といっても随分手加減してもらってようやく及第点といったところだけど」

 

「あぁ成程。だから肩口や頭上でみんなドヤ顔しているのですね……」

 

 

 訓練中に仕留めたライチョウを直火で炙りつつ、令嬢剣士さんに苦笑を返す叢雲狩人さん。自分の力だけでは元陸軍特殊部隊群(グリーンベレー)の3人を見付けられず、なんと今までぞんざいに扱っていた精霊さんたちに土下座を敢行! レーダー(探知機)のように彼らの力を借りてなんとか発見できたそうです。

 

 

「今までずっと生業の影響で嫌われているのだと思い込んでいたけど、それは違ったよ。私が彼らのことを信じていなかっただけなんだ。……すまない、今まで胡散臭い目で見たりして」

 

「フフ……それに気付けたのなら、もう彼らとは仲良しですわね!」

 

 

 肩に腰掛けている精霊さんに指を差し出し、そっと頭を撫でる叢雲狩人さん。森人(エルフ)の森を荒らす外敵を排除する狩人という血生臭い生き方をしていたが故に精霊たちと真っ直ぐ向き合えなかった彼女ですが、ようやく悪戯好きな隣人たちと判り合えたみたいですね!

 

 

「なに? 単眼巨人(キュクロプス)に巨大鰓人(ギルマン)、オマケに邪神の落とし子だと!? やはり私もそちらについていけば良かった……ッ!」

 

「相手にした身としてはもう勘弁ですわ……」

 

「あはは……」

 

 

 向こうでは(ウォトカ)の瓶片手に女将軍さんが王妹殿下1号2号から北の国での戦いを聞いて心底羨ましそうに地団駄を踏んでますね。兎人(ササカ)のおじさんたちとのかくれんぼや少女剣士ちゃんを扱くのは楽しかったみたいですが、雪男(サスカッチ)では歯応えが無さ過ぎたようです。そんな彼女や村の兎人(ササカ)たちのおしりの下には真新しい毛皮の敷物が何枚も。……いっぱい押し寄せて来たみたいですけど、それでも満足していないのか……。

 

 

「とかげさん、だいじょうぶ?」

 

「はは、心配ご無用。ただ少しばかり痺れが……ぬおお……っ」

 

「……妻は怒らせるものではないな」

 

 

 硬い床で正座をしていたために言うことを聞かない足を擦り巨体を悶えさせている蜥蜴僧侶さんの隣で吸血鬼君主ちゃんが心配そうに声を掛けてますね。女将軍さんの笑みを浮かべたお説教を間近で見ていたゴブスレさんはしみじみと頷いています。そんな彼の横には上等な布に包まれた細長いものが置かれています。姪っ子2人と顔を合わせることが出来たお礼に頭領(ゴジ)から贈られたプレゼントですね!

 

 

「小鬼殺し殿はそちらの品で奥方の機嫌を取られるつもりなようで……」

 

「ああ。随分と長く家を空けてしまった。慎重に対応せねばなるまい」

 

「……やっぱり、めいわくだった? へいかに『しんゆうもいっしょにさそって』っておねがいしたこと」

 

 

 ああ、やっぱり陛下にお願いしていたんですか吸血鬼君主ちゃん。新しい金等級は3人ですし、誰が行っても問題は無かったでしょう。そんな中で一番『冒険』を望んでいたゴブスレさんを指名するようこっそり働きかけていたんでしょうね。

 

 

「……いや、とても良い冒険だった。礼を言う、戦友」

 

「ほんとう? えへへ……!」

 

 

不安げに見上げる吸血鬼君主ちゃんの頭にポンと籠手(ガントレット)に包まれた手を乗せ、不器用に撫でるゴブスレさん。物語に謳われる入り江の民(ヴァイキング)の戦士たちとの交流。幽霊船(ナグルファル)での航海、そして邪神の信者との戦い……どれも一級の冒険で間違いないでしょう! ほっとした様子の吸血鬼君主ちゃんはそのままゴブスレさんの膝上に腰掛け、彼に背を預け楽しそうに鼻歌を歌い始めました。いつぞや『姉なのるもの』ことゴブスレさんのお姉ちゃんと一緒に歌っていたソレを聞いたゴブスレさんがハッと兜の奥の目を見開きましたが、やがて彼も吸血鬼君主ちゃんに合わせるように小さく歌い始めました……。

 

 

「あら、この歌は……?」

 

「あ、私知ってます! よくギルドで酔っぱらった冒険者が歌ってますよね!!」

 

 

 おっと、2人の歌を聞きつけたみんなが続々と参加してきました! 寒く太陽神さんが顔を出す時間も短い冬ですが、地中に設けられた兎人(ササカ)の家は温かさに溢れています。訓練最後の夜は歌声に満たされたまま……。

 

 

 

 

 

 

「あー!? シルマリルが浮気してる!」

 

 

 終わらないんだよなぁ……。真っ赤な顔でゴブスレさんを指差す2000歳児の背後には空っぽになった(ウォトカ)の瓶を片手に頭を抱える闇人女医さんの姿が。どうやら冒険が終わったことで気が大きくなり、お酒に弱いのに(ウォトカ)を口にしちゃったみたいです。のっしのっしと2人に近付き、グルグル渦巻く目をしながら吸血鬼君主ちゃんをゴブスレさんから奪い取りました。

 

 

「あによシルマリルぅ! い~くら硬い胸が好きだからって、オルグボルグは無いでしょうよ! ほら、こっちにしなさいこっちに!!」

 

「おあ~……」

 

 

 はだけた胸に吸血鬼君主ちゃんの顔を押し付け、鼻息荒らく捲し立てる2000歳児。酒精(アルコール)の力で体温が上昇したことにより普段よりも増して感じられる林檎にも似た上の森人(ハイエルフ)の芳香と、唇や頬に触れる()()()の感触が齎す誘惑を必死に耐える吸血鬼君主ちゃん。それが不満なのか、むーと膨れた妖精弓手ちゃんがいっそう強く想い人を抱きしめていきます。甘い吐息と汗ばんだ肌、そして()()()から漂う生命の雫の匂いに吸血鬼君主ちゃんが負けそうになったその時……!

 

 

 

「そのへんにしておきたまえ妹姫(いもひめ)様。……ていっ!」

 

「へぷっ!?」

 

 

 背後に回り込んだ叢雲狩人さんによって絞め落とされスヤァ・・・と崩れ落ちる妖精弓手ちゃん。彼女の衣服の乱れを直しつつ膝枕をする吸血鬼君主ちゃんを見て満足そうに頷いてますね。

 

 

「えっと、いつの間にそんな技を?」

 

「はっはっは、何度も妹ちゃんから受けているうちに自然と身に付いたんだよ」

 

「ドヤ顔で言うことか馬鹿者……」

 

 

 ああ、よく若草知恵者ちゃんから喰らってましたもんね。無駄に高等な体得(ラーニング)術を披露する叢雲狩人さんに呆れた様子の令嬢剣士さんと闇人女医さん。咄嗟に顔を背けていた男衆にもう大丈夫と声を掛けています。

 

 

「えへへ……だいすきよ、シルマリル……ヘルルイン……」

 

「もう! ずるいです!!」

 

「ちょっとだけ仕返し……えい、えいっ!」

 

 

 吸血鬼君主ちゃんの膝枕で幸せそうに眠る妖精弓手ちゃんのほっぺを2人掛かりでつつく王妹殿下1号2号。口調こそ怒っているものの、その顔は緩み切っちゃってます。だらしなく涎を垂らしてもなお陰ることの無い美貌はやはり反則でしょう。他のみんなもしょうがないなぁという顔で彼女の寝顔を眺めていますね。やがて睡魔に襲われた順に雪男(サスカッチ)の毛皮に潜り込み、長い夜は更けていくのでした……。

 

 


 

 

「「ただいま~!!」」

 

「あ、みんなおかえり~!」

 

 

 ぱからぱから……じゃなくて、のっしのっしとイボイノシシ君が牽く馬車に揺られ牧場まで戻って来たダブル吸血鬼ちゃん一行。最初にお迎えしてくれたのは早朝の見回りを兼ねた狼さんのお散歩中の牛飼若奥さんでした!跳び付いて来た2人をやさしく受け止め、防寒着越しにもハッキリと存在を主張するたわわの虜にしています……あ、ぽふぽふと人妻たわわを堪能する2人の後ろから伸びて来た手が2人を引っぺがしました。

 

 

「こ~ら、帰ってきて早々人妻に突撃とはなかなか良い根性してるじゃない。なに? お仕置きして欲しいの?」

 

 

「えへへ……ごめんなさい」

 

「それから、ただいま!」

 

「ん。みんな無事みたいね。それにその様子だと訓練も成功だったのかしら」

 

 

 甘えるように胸元に顔を埋める2人を優しく撫でながら女魔法使いちゃんが視線を向けたのはブートキャンプに参加していた女性たちです。ドヤ顔な叢雲狩人さんにヘヘンと鼻の下を擦る圃人(レーア)コンビ、たわわを押し上げるように腕を組む女将軍さんも良い感じに研ぎ澄まされた雰囲気を纏っていますね。兎人(ササカ)のおじさんたちも白兎猟兵ちゃんとその弟妹に出迎えられており、一気に場のふわふわ感が増してきました。

 

 

「こちらが今回の収支および頂き物の目録(リスト)です。確認をお願いしても?」

 

「はい、承りました。……あら、干し鱈に干し海老がこんなに!」

 

「悪阻を乗り越えた皆様に美味しいご飯をお出し出来ますね」

 

 

 令嬢剣士さんが差し出した冊子に目を通し、顔を綻ばせる若草のおばあちゃんと孫娘。一党(パーティ)の資産管理に留まらず、療養所の経営や牧場へのアドバイスも引き受けてくれている2人は間違いなくこの集団の生命線です。いつも笑みを絶やさず頑張ってくれている2人にも何かお礼をしてあげたいところさんです。

 

 

「ふふ……おふたりとも、大きく成長されたみたいですね」

 

「はわわ……!?」

 

「ぬ、抜け出せないし、抜けたくない……!?」

 

 

 おおう、エロエロ大司教モードの剣の乙女ちゃんに王妹殿下1号2号が捕まっちゃってますね。女性としてひとつの完成形ともいえる抜群のプロポーションと、トラウマを克服したことによって本来の明るさと茶目っ気を取り戻した魅力の相乗効果は協力無比、初心な2人はされるがままですね……。

 

 

 

「あはは、みんな元気だね! ……どう? 冒険は楽しかった?」

 

「ああ、多くの未知を知ることが出来た」

 

「ふむふむ、それは是非聞かせて欲しいなぁ?」

 

「ああ。だがその前に渡す物がある」

 

 

 温かくも騒々しいやり取りを見ながら言葉を交わす牧場夫婦。ゴソゴソと荷物の中からゴブスレさんが取り出したのは例の包みです。差し出されたそれを受け取った牛飼若奥さんが美しい刺繡が施された布を開くと、その中には1本の角が入っていました。螺旋状に筋の入った白く真っすぐなそれは、おとぎ話の中で語られる神聖な生き物の角……。

 

 

「わわ!? これてもしかして一角獣(ユニコーン)の?」

 

 

 

 

 

 

「――いや、偽物……でもないな、別の生き物の牙だ」

 

 

 ですよねー。四方世界でもアストラルに近い聖域などに僅かに生息している一角獣(ユニコーン)ですが、その性癖……もとい習性だけが1人歩きして色々と風評被害が甚だしい存在でもあります。その角には万病を癒しあらゆる傷を消し去る効果があると言われ、昔から死病に侵された者や富豪たちが追い求める品でありました。そんな中で良く偽物として使われていたのが、この海に住む鯨の仲間である『一角(イッカク)』の牙ですね。

 

 

「え。これ牙なの!? 不思議な形だね……!」

 

「ああ。入り江の民(ヴァイキング)の頭領から譲ってもらった。夫が漁に出ている時、家に残る妻を守護してくれるらしい」

 

 

 おおっと、ゴブスレさんにしては珍しいチョイスですね! かつて金のインゴットをそのまま差し出したのと同一人物とは思えません。彼もまた成長しているんですね……!

 

 

「ふふ、ありがと! でも、やっぱり君が無事に帰ってきてくれたのが一番嬉しいよ!!」

 

「――そうか」

 

「そうだよ。……おかえりなさい」

 

「ああ、ただいま」

 

 

 そっと牛飼若奥さんを抱き寄せ、無事の帰還を告げるゴブスレさん。静かに兜を外し、そっと彼女へと顔を近付け……。

 

 

 

 

 

 

「あ、パパかえってきた~!」

 

「おかえりなさい、パパ!」

 

 

 母屋から駆け寄ってくる双子に気付き、慌てて顔を離しました。静かに2人を見守っていたギャラリーもそのヘタレっぷりに舌打ち、呆れ顔、クソデカ溜息と悪態を露わにしてますねぇ……。

 

 

「んちゅ……ちゅ……しんゆう……」

 

「そこはきめるとこじゃないかなぁ……んちゅー」

 

「いや、2人はもうちょっと自重しなさいね???」

 

 

 女魔法使いちゃんに左右から抱き着きちゅーの嵐を巻き起こしていた2人に呆れ顔でツッコむ妖精弓手ちゃん。兎人(ササカ)の集落で見せた醜態の記憶は綺麗さっぱり残っていないみたいです。なお星風長女ちゃんたち森人(エルフ)三姉妹がダブル吸血鬼ちゃんの行為をガン見しているのはここだけの話です。

 

 

 さて、無事に我が家へと帰ってきたところで冒険は終了! まだまだ寒さは厳しいですし、しばらくはゆっくりと春を待つことになりそうですね!! 

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 





 そろそろ人物紹介も作ろうかなぁと思っているので失踪します。

 評価や感想、お気に入り登録いつもありがとうございます。もしお読みになられてまだ登録されていない方がいらっしゃいましたら、登録して頂ければ幸いです。

 日間ランキングに入った影響で一気にUAが伸びて休憩時間にビックリしました。多くの人の目に留まってくれるので嬉しいですね。見てくださった方が読み続けようと思えるようなお話を継続出来るよう頑張りたいですね。


 お読みいただきありがとうございました。
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