ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

152 / 180

4回目の副反応でダウンしていたので初投稿です。




セッションその17.5-1

 

 親戚付き合いは大切に!な実況プレイ、はーじまーるよー。

 

 

 森人(エルフ)の里からの手紙が届いた数日後、冬晴れの空を斬り裂いて飛翔する小さな影。めいっぱい広げた翼で太陽神さんからの(フレア)を受け取りながら、妖精弓手ちゃんをお姫様抱っこした吸血鬼君主ちゃんが楽しそうに天を舞っています。

 

 

「シルマリルの力はこんなもんじゃないでしょ? もっと速く、もっと高く飛んで()()()!!」

 

「あいまむ! しっかりつかまっててね~!!」

 

 

 久々の好天にご機嫌な吸血鬼(ヴァンパイア)の様子を見て輝くような笑みを浮かべている妖精弓手ちゃん。お気に入りの防寒具で身を固め、露出している顔は吸血鬼君主ちゃんの首筋にスリスリ。星の力(核融合炉)が齎す温もりを気持ちよさそうに受け取ってますね。

 

 

 お姉さんである花冠の森姫改め花冠の女王から女の子が産まれたとの手紙が届き、久しぶりに里帰りすることにした妖精弓手ちゃん。ダブル吸血鬼ちゃんとお嫁さんたちとの間に産まれた子どもたちはまだ森人(エルフ)の里に行った事が無く、お姉さんも逢いたいと希望しているためみんなで遊びに行く事になりました。

 

 とはいえみんなまだまだ体力のない幼女ばかり。真冬に長距離の旅をするのは難しいため、まずは吸血鬼君主ちゃんと妖精弓手ちゃんの2人だけで先行することに。残りのみんなと暇を持て余している牧場関係者及び冬季逗留組は後から()()で合流する予定になっています。

 

 なお裏技を準備するにあたり、王宮に突然押し掛けられ協力を迫られた賢者ちゃんは凄い目で吸血鬼君主ちゃんを見ていましたが、里で森人(エルフ)の伝統料理をおなかいっぱいに振る舞うことに加え、里帰り後に一晩ダブル吸血鬼ちゃんを貪る権利で了承してもらったみたいです。

 

 

「ふふ、あの子を授かってからまだ1年も経ってないのよねぇ……ん? どうしたのシルマリル?」

 

「ふぇ!? な、なんでもないよ?」

 

 

 おやぁ? 里の上空に近付いて来たところで吸血鬼君主ちゃんの様子が変ですね。瞳を覗き込んで来る妖精弓手ちゃんから尖り耳を朱に染め必死に顔を逸らしています。頭上に?を浮かべていた妖精弓手ちゃんですが、どうやら思い当たる節があるみたいですね。ニンマリと悪い笑みを浮かべながら想い人の頬を両手で挟み、自らのほうへと向けさせました。あわあわと眼を泳がせる吸血鬼君主ちゃんの様子から予想が確信に変わったのでしょう、瑞々しい桜色の唇を尖り耳にそっと近付けて……。

 

 

 

「――『揺り籠』のこと考えてたんでしょう? シルマリルのえっち♪」

 

「ふぁっ!?」

 

 

 空中で翼と両足をピーンと伸ばすという器用なことをしながら硬直する吸血鬼君主ちゃんを見て、ますます笑みを深める妖精弓手ちゃん。なるほど、経験豊富な吸血鬼君主ちゃんにとっても『揺り籠』での子を授かる儀式は特別だったんですね!

 

 閉ざされた空間で互いの求めるままに繰り返される愛の交歓、しかもお相手は永遠の美を体現した存在である妖精弓手ちゃん。言葉と魔力を交わしながら交わりを重ね、時には獣のように貪り合う生命の営みは≪真実≫さんの目を釘付けにし、神ケット用に執筆が進んでいた知識神さんの新刊を予定の2倍の厚さにするほどの艶姿でしたからねぇ……。

 

 空中で静止したまま真っ赤な顔でプルプル震える想い人の首に両手を回し、猫が甘えるように顔を擦り付ける妖精弓手ちゃん。チロリと姿を見せた舌が細い首筋を這う度に小さな身体がビクンと跳ねています。体内に溜まった熱を排出するかのように吸血鬼君主ちゃんが熱い吐息を漏らし始めたところで、追い討ちを掛けるように妖精弓手ちゃんの囁きが続きます。

 

 

「求めてくれるのは嬉しいけど、私との子作りは()()ダメよ? 王妹の2人やド変態女医、圃人(レーア)コンビに猟犬(フアン)ちゃんだってシルマリルとヘルルインのことを待ってるんだから。それに……若草のおばあちゃんもね?」

 

「えぅ……」

 

 

 これ見よがしに指折り数える妖精弓手ちゃんの攻勢にもはや半泣きに近い状態の吸血鬼君主ちゃん。名目上の正妻である存在の口から立て続けに他の女の子の名前が出るとか本来なら流血沙汰待ったなしですけど、そこは特殊過ぎるダブル吸血鬼ちゃんたちの血族(かぞく)関係。眷属にするか、生命を繋ぐか、どちらを選ぶにしろ中途半端にせずさっさと血族(かぞく)として迎え入れろという有難いお言葉ですねぇ。特に女神官ちゃんなんて例の指輪を手に「こうなったら私がパパに……!」と呟く姿が複数人に目撃されているくらいですし、早急に対処しないといけませんよ?

 

 冬の寒さもなんのその、空中でイチャイチャする2人の熱はいや増すばかり。反撃に転じようと吸血鬼君主ちゃんが妖精弓手ちゃんの唇を奪おうとしたところで……おや? 眼下の森から空に向かって何かが飛び出してきました。2人の滞空している高さを越えた物体は重力に引かれて弧を描き、グングンと下降していき……。

 

 

「むむむ……あたっ」

 

「えっ? なに???」

 

 

 風の流れを読み切って放たれた矢は、過たずに吸血鬼君主ちゃんの秘匿されたおでこに命中。先端の鏃が潰されトリモチが付けられてなければ吸血鬼君主ちゃんの頭はぱっかーんと割れていたこと間違いなしです。突然眼前の額に矢が生えたことに混乱していた妖精弓手ちゃんでしたが、矢に細長い葉が巻き付けられていることに気付き、そっと取り外しました。矢鴨ならぬ矢吸血鬼と化した吸血鬼君主ちゃんと一緒に覗き込めば、そこには流麗な森人(エルフ)の文字でデカデカと……。

 

 

 

 

 

 

【イチャついてないでさっさと降りてこい、この馬鹿義妹 (#^ω^)】

 

 

「おこってるかおがじょうずだね!」

 

「あに様、昔から詩作はイマイチだけど絵は上手だったのよねぇ」

 

 

 え? ツッコむところそっち???

 

 どうやら超ト〇ルキン人(ハイエルフ)にとっては地上からでは点にしか見えない程の対象に矢を中てることなどベイビーサブミッション、赤子の手を捻るが如き容易い技みたいですね。眼下の森から漂う怒りのオーラに顔を見合わせた2人は苦笑し、ゆっくりと従兄殿が仁王立ちしている樹上へと降下していくのでした……。

 

 


 

 

「――まったく、見回り中に姿が見えた故いつ合図の矢を放つかと待っていたが、まさかあのような破廉恥な行為に及ぶとは……!」

 

「あはは……」

 

「おあ~……」

 

 

 冬でありながらも緑濃き森人(エルフ)の里外縁部の森。矢継ぎ早に小言を繰り出す従兄殿と胸元に吸血鬼君主ちゃんを抱えた妖精弓手ちゃん、それに斥候と思しき森人(エルフ)たちが樹上を駆けています。枝から枝へと飛び移る様はまさにマシラの如く、森人(エルフ)という種族の身体能力の高さが見て取れますね。

 

 

 精霊たちの加護によって冬でも枯れることの無い森林は動物たちにとっても生命を繋ぐ貴重な食料の宝庫であり、他の季節に比べて猛獣が入り込む可能性も高くなります。そのため、里に危害を加える()が入り込まないよう定期的に巡回しているんだとか。従兄殿自ら動いているのは予想外でしたけど、手紙の返事を見てここ数日見回りに加わっていたとのタレコミが地母神さんからありましたので、判り難いツンデレの可能性が浮上してきました。

 

 

「結婚して少しは慎みというものを身に着けると期待していたが、どうやら見込み違いだったようだな……」

 

「なに言ってるのあに様、たった1年やそこらで森人(エルフ)が変わるわけないでしょ?」

 

 

 クドクドと続く説教を苦笑しながら聞き流していた妖精弓手ちゃんですが、ある一言を耳にした瞬間その纏う空気が一変しました。周りで貴き上の森人(ハイエルフ)の聞くに堪えない言葉を聞き流していた斥候たちが思わず弓に手を掛けるほどの怒りを誘発させたその一言とは……。

 

 

 

「お前も()()()()となったのだから、いい加減に落ち着きというものを――」

 

「――あに様」

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()。間違えないで」

 

「――――!!」

 

 

 長耳を限界まで引き絞り、内なる怒りを押し堪えて言葉を紡ぐ妖精弓手ちゃん。天上の美と称される相貌から放たれる『威』は斥候たちが無意識に跪いてしまうほどの迫力に満ちています。己の失言に気付いた従兄殿は目を見開き、やがて肩を落とし謝罪の言葉を口にしました。

 

 

「――そうだな、そなたたちは血の交わりで結ばれた血族(かぞく)。誰の胎から産まれようとも、それは皆の子であったな。……すまぬ、星風の娘よ。そして小さき不死者殿」

 

「……ごめんねあに様、これだけは譲れないの。シルマリルとヘルルイン、2人と共に歩むと決めたその時から、この子たちが生んだ全ての命は、みんな私の子どもなんだってことだけはね!」

 

「えへへ……まだまだふえるよていだから、たくさんめいっこができるよ、おに~(義兄)さん!」

 

「貴様、まだ娘を増やすつもりなのか……!?」

 

 

 絶賛順番待ち状態ですからねぇ……。子孫繫栄に熱心な吸血鬼君主ちゃんに戦慄を隠せない従兄殿、やはり森人(エルフ)男子は草食性みたいですね……と、話している間にどうやら里の中心に到着したようです。妖精弓手ちゃんの抱っこから抜け出した吸血鬼君主ちゃんがインベントリーをゴソゴソ、おもむろに取り出したのは……そう、≪転移≫の鏡です! 地面に設置し予め聞いていたキーワードを吸血鬼君主ちゃんが唱えると、鏡に映る景色が波打ちながら移り変わっていきます。やがて鏡の向こう側には見慣れた景色とメンバーの姿が見えてきて……。

 

 

「「「パパ―!」」」

 

「わぷっ」

 

 

 弾丸のように飛び出して来た三姉妹がパパに突撃! 受け止める形になった吸血鬼君主ちゃんは勢いを殺し切れず、4人ひと塊になってゴロゴロ転がっていっちゃいましたね。従兄殿以下森人(エルフ)たちが呆然とその光景を見る横で、鏡の中からは次々と人が現れていきます。

 

 

「ん、門は安定しているみたいね。……お疲れ様、だいぶ寒かったんじゃない?」

 

「ぜ~んぜん! シルマリルがポカポカだったし、久しぶりに2人だけの時間を過ごせたもの」

 

「……後続が詰まっているから早くそのデカい胸と尻を退かすのです」

 

 

 まず出てきたのは女魔法使いちゃん。今回≪転移≫の鏡を起動したのは彼女らしく、術式が安定しているのを確認しほっと肩を撫で下ろしています。その後ろからは賢者ちゃんの声が、どうやら女魔法使いちゃんが上手く起動出来るか見守ってくれていたみたいですね。……背後から女魔法使いちゃんのたわわを鷲掴みして顔を赤くした彼女にギリギリと締め上げられてますけど、大丈夫なんですかね?

 

 

「わわ、あったかいですねぇ!」

 

「精霊たちのおかげで、冬でも上着は不要でございます」

 

「むしろ冬毛では少々暑いかもしれませんね」

 

 

 続いて現れたのは金毛に覆われた白兎四女ちゃんを抱っこした白兎猟兵ちゃんに、氏族の衣装を身に纏った若草知恵者ちゃん、そして幾重にも長衣を重ね着している若草祖母さんですね。室内にいる時と変わらぬ服装で森の中の暖かさに目を丸くする白兎猟兵ちゃんに祖母孫コンビが森の加護について話してあげています。毛色が珍しいのか、四女ちゃんの周りに精霊たちが集まってきてふわふわの毛並みにダイブしちゃってますねぇ。

 

 

「うわぁ、ホントに森の中に街がある!」

 

「ああ、前回は妊娠中で連れて来られなかったからな」

 

「えるふのひとがいっぱい!」

 

「すごーい!!」

 

 

 お、牧場家族も来ましたね! 長女ちゃんを抱っこした牧場若奥さんが里の光景に目を輝かせ、長男君の手を引くゴブスレさんがさらっと惚気ています。前回はタイミングが合わず同行出来なかった牛飼若奥さんですが、今回は子どもも大きくなり、≪転移≫の門で旅程が大幅ショートカット出来たので無事に参加が叶いました! 双子ちゃんも始めて見る西方辺境以外の景色に喜びを露わにしていますね。

 

 

 その後も次々と人が続き、最終的に揃った面子はダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)に金等級の3家族、それから半ば一党(パーティ)入りしているような圃人(レーア)コンビとなかなかの大人数です。残念ながら鉱人道士さんは隻眼鍛冶師さんと一緒に火を入れた釜から離れられず欠席、女将軍さんと王妹殿下1号2号は王国の仕事があるので一足先に王宮へ≪転移≫し、蜥蜴僧侶さんと竜眼少女ちゃんもそちらに同行しています。

 

 鉱人(ドワーフ)蜥蜴人(リザードマン)が居なくても個性的な種族が集まった面々。良い意味で注目を集めているのは森林地帯では見かけることの少ない兎人(ササカ)の白兎猟兵ちゃん親子。彼女たちとは対照的に、悪い意味で注目されているのは……。

 

 

 

 

 

 

「――警戒と猜疑心と、侮蔑の籠った視線……フフ、悪くないな!」

 

「無敵かな? まぁ、私もあまり人のことは言えないんだけどねぇ……」

 

 

 その肌の色から斥候たちに警戒の目を向けられ、恍惚の笑みを浮かべながら自らの蠱惑的な肢体を抱きしめる闇人女医さんと、それを見た精霊たちが一斉に逃げ出すほどの首飾り――相棒である『(L.E.D.)』の召喚鍵ですね――を手で弄ぶ叢雲狩人さんの2人です。最近仲良くなった精霊さんだけが彼女の頭上に乗り、心配そうな顔をしていますが……同胞からの視線も何処吹く風といった様子ですね。その視線に気付いた妖精弓手ちゃんが声を上げようとしたところで、背後から小さな影が跳び付き、2人を纏めて抱きしめました。

 

 

「――ふたりとも、ぼくたちのたいせつなかぞくなの! だから、そんなめでみないでほしいの……」

 

 

 月の香りを纏う小さな暴君……吸血鬼侍ちゃんに見つめられ慌てて視線を逸らす斥候たち。そのうちの何人かは赤い顔になってますが……あ、彼ら初訪問の時にちゅーちゅーされた人たちっぽいです。うーうー可愛く唸る姿に毒気を抜かれたような顔の叢雲狩人さんと闇人女医さんがそっと吸血鬼侍ちゃんを抱き上げ、ひんやりとしたほっぺに自らの頬を擦り付けています。

 

 

「まったく……可愛いなぁご主人様は!」

 

「うむ、不意の一撃で思わず下腹が疼いてしまった。どう責任を取ってくれるのだ、我が主よ?」

 

「おあ~……」

 

 

 しなやかな肉食獣の如き肢体にもみくちゃにされ困惑の声を上げる吸血鬼侍ちゃん。過激なスキンシップを見せつけられた草食系森人(エルフ)たちも、思わず生唾ゴックンといった様子ですね。……ひっじょーに教育に悪い光景を前に、ママたちが一斉に子どもたちの目を手で覆っているあたり日常茶飯事なんでしょう、きっと。

 

 

「……妻が迎賓樹で待っている。そろそろ行くぞ」

 

 

 お、頭を抱えていた従兄殿が何処か吹っ切れた様子でズンズンと進み始めました。放置していればいつまでも進展しないと悟ったんでしょうね。途中で伸びてきた蔓に捕まったダブル吸血鬼ちゃんがポイポイ投げられる一幕があったりもしながら、一行は花冠の女王が待つという大樹へと進んでいきます……。

 

 


 

 

「こりゃ凄ェ……!」

 

「でっかーい!」

 

森人(エルフ)の暮らしを外の方々に説明するには、実際に我らの居住様式を見て頂くのが一番ですから」

 

 

 太眉長女ちゃんを肩車した重戦士さんが感嘆の声とともに見上げている威容。外からの使者をもてなすための迎賓館としての役割を持つ大樹に案内された一行を迎えてくれたのは、妖精弓手ちゃんのお姉さんである花冠の女王。上の森人(ハイエルフ)らしいほっそりとした体型はそのままに、出産を経てより母性的な魅力を増した美貌は金等級3組の夫婦どちらもが一瞬見惚れてしまうほど。その腕には黄金の輝きを放つ髪をした赤ちゃんが抱かれています。森人(エルフ)の王族の証である長い耳を持った、次代の女王となる女の子ですね!

 

 

 血族(かぞく)以外の森人(エルフ)を間近で見るのは初めてな子どもたちは女王とその腕の中の赤ちゃんに興味津々、それぞれのママの背後に身を隠しながら様子を窺う姪っ子たちに微笑む女王がまず最初に声を掛けた相手は牛飼若奥さんです。ほけ~っと麗しの森人(エルフ)を見上げている双子ちゃんの頭を優しく撫でた後、深々と頭を下げました。

 

 

「里を離れ、外の世界で生きる同胞の(いえ)を管理されている方と聞いております。いつも妹が迷惑をかけているようで……」

 

「め、迷惑だなんてそんな!? 私の方こそ牧場の仕事や子育てを手伝って貰ってばっかりですから……!」

 

 

 ああ、そこが一番の心配の種だったんですね……。女王としてではなく2000歳児の姉として振る舞う彼女に慌てて頭を上げてもらう牛飼若奥さん。全力でそんなことはないですよアピールをした後、そっと手を彼女の抱く赤ちゃんへと伸ばしていきます。ゆっくりと近付いてきた指先にちっちゃな手を伸ばすプリンセスを優しく撫で、祝いの言葉を送りました。

 

 

「ご出産、おめでとうございます。無事に産まれてくれて良かったです!」

 

「ええ、ありがとうございます。外界の寒さもこの森の中には届きません。どうぞ、ゆっくりと楽しんでいってください」

 

 

 牛飼若奥さんを皮切りに里を訪れた冒険者たち全員と言葉を交わしていく花冠の女王。鼻の下を伸ばす槍ニキを魔女パイセンが笑顔で燃やしたり、豊穣な大地を想起させるそのたわわに目の色を変えた星風長女ちゃんが吶喊したりとハプニング満載でしたが、なんとか挨拶は終わったみたいです。良い感じにお茶の時間ということで、そのまま迎賓樹でお茶会が開かれることになりました。

 

 


 

 

「……いえ、いつか呼ばれる日が来るのは判っていたのですが……」

 

「なぁにあね様、そんなに落ち込むこと? あの子たちに"おばさま"って呼ばれたの。それとも"女王さま"って呼ばれるほうが良かった?」

 

「そんな他人行儀なのは嫌ですっ! でも……はぁ……」

 

 

 女王お手製の焼菓子(レンバス)を御茶請けに始まったティーパーティー。栗鼠のようにほっぺをパンパンに膨らませたダブル吸血鬼ちゃんが「子どもたちが真似するから止めなさい!」と女魔法使いちゃんに叱られ、只人(ヒューム)の男の子が珍しい侍女たちに泣き黒子長男くんと牧場長男くんが可愛がら(性癖を破壊さ)れているのを背景に、どんよりとした空気を纏った8000歳児がガチ凹みしています。親愛の意を込めてそう呼んだはずなのに何故か元気を失った女王の様子に???な三姉妹を、ママたちが困った顔で見ていますね。

 

 

「「おじさまー!」」

 

「"おじさま"……いいな……」

 

「へへ、いいだろ……?」

 

「ああ……いい……」

 

「お前たちは何を言っているんだ?」

 

 

 一方では太眉長女ちゃんと牧場長女ちゃんの只人(ヒューム)女子コンビに膝上に座られ、感極まり涙する従兄殿の肩を抱き、槍ニキと重戦士さんが木製のコップを打ち鳴らし3人で乾杯中。対面に座したゴブスレさんの兜の奥の表情は宇宙猫になっていることでしょう。パパ呼びでじゃれついてくる実子も良いけど、"おじさま"と元気に、或いははにかみながら呼ばれることに対する喜びはゴブスレさんには判らないみたいですね。盤外(こちら)でも後方おじさん顔して頷く万知神さん、太陽神さん、覚知神さんに対し、酒造神さん、正道神さん、奪掠神さんがドン引きしております。≪幻想≫さん的には……うーん、ギリギリアウトだそうです!

 

 

「えぇと、その……」

 

「なんだか悩んでいるように見えるわね……」

 

「まぁ、理由は明白ですけれども……」

 

「こ、この動き……熟練の業を感じる……ッ」

 

 

 うーん、一番カオスなのは眷属ママたちの周辺ですね。先程の道すがらダブル吸血鬼ちゃんをポンポン放り投げていた蔓たちが女魔法使いちゃんたち4人を取り囲み、先端を悩まし気にくねらせながら肌に触れるかどうかのギリギリを攻め続けています。アンデッドなのは間違いありませんが、4人とも太陽に愛されし吸血鬼の花嫁(ヴァンパイアブライド)。はたして放り投げて良いものか審議中みたいです。

 

 やがて森の中で結論が出たのか、蔓が大きくうねり創り出したサインは……『〇』! ふぅ、妖精弓手ちゃんの家族と認識してくれましたね!! となると、ダブル吸血鬼ちゃんが放り投げられていたのは……ああ、地母神さんからの情報によりますと、新しい森の娘をなかなか連れてこなかったことに対する抗議の表れだったそうです。あと妖術師さんは影の触手を出して技を盗もうとするのは止めたほうが宜しいかと。侍女さんたちが凄い顔で見てますし。

 

 

 

 

 

 

「さて、今夜は宴を催すつもりだ。準備が整い次第改めて声をかけるので、一度この場は……ん?」

 

 

 おや? 木漏れ日が朱色に変わり始めた頃になり、従兄殿がお茶会を解散させようとしたタイミングで1人の森人(エルフ)が飛び込んで来ました。非礼を詫びつつ従兄殿へと近付き、何事かを耳打ちすると、従兄殿の顔がみるみるうちに険しいものへと変わっていきます。嗅ぎ慣れた厄介事の臭いに冒険者たちも表情を変え、従兄殿へと視線を向けています。やがて状況を整理した従兄殿が一度瞳を閉じ、再び開けた後、努めて明るい声で語り出したのは……。

 

 

「――フム、子どもたちも慣れぬ環境で疲れたことだろう。すまんが一足先に苗木たちを部屋へと案内して貰えるか?」

 

 

 ……子どもたちには聞かせられないことが起きているという、不器用なアピールでした。

 

 

「では、私たちが案内いたしましょう」

 

「さぁみんな、一緒に来てくださいね」

 

 

 一早くそれを察知し、子どもたちに声をかける若草の2人。ママとひいおばあちゃんに連れられて子どもたちが部屋から出た暫く後、長耳を澄ませて十分に彼女たちが離れたのを確認した従兄殿が冒険者たちに向き直りました。口を開く前に彼が視線を向けたのは、ゴブスレさん、ダブル吸血鬼ちゃん、そして……叢雲狩人さんです。その行為が何を表しているのか、賢明な視聴神さんたちならもうお判りでしょう。

 

 

 

 

 

 

「集落外縁部の複数個所に、小鬼(オルク)の群れが集結している。……我らだけでも十分に対処出来るが、奴らの狙いは何なのか、被害を減らすには如何様な対策をすべきか。貴公ら小鬼殺し(オルクボルグ)の意見を聞かせて欲しい」

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 




 いまいち体調が戻らないので失踪します。

 評価や感想、お気に入り登録いつもありがとうございます。もしお読みになられてまだ登録されていない方がいらっしゃいましたら、登録して頂ければ幸いです。

 お読みいただきありがとうございました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。