ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 部屋の中でも吐く息が白いので初投稿です。




セッションその17.5-3

 

 前回、悪鬼絶対逃がさないおばあちゃんが爆誕したところから再開です。

 

 ゴブリン殲滅作戦の第一段階として、混沌の軍勢を閉じ込める檻を完成させた冒険者たち。一部の戦意の低い個体や狡賢いヤツを排除することに成功しましたが、殆どのゴブリンは自分たちが脱出不可能な檻の中に居ることになど気付いておらず、餌と孕み袋を求めて森人(エルフ)に向かって絶賛侵攻中。そこで、閉じ込めに続くゴブスレさん考案の次なる一手が繰り出されようとしています……。

 

 


 

 

「ゴブリンは愚かだが馬鹿ではない。有能で冷徹な者に率いられた群れは、ゴブリンだけの集団とは比較にならない脅威度となる」

 

 

 臨時の指揮所となった迎賓樹前の広場。リアルタイムで推移する森の状況を再現している模型を睨むゴブスレさんが話すのを、花冠の女王やお付きの侍女さんたちが長耳を震わせながら聞いています。精霊たちとの対話を担当している若草知恵者ちゃんが指揮者(コンダクター)のように手を振るたび、精霊たちが持ち場で待機している冒険者の元へと指示を伝えに飛び去って行くのが見えますね。上空より降りて来た精霊から包囲が完成したことを聞いた若草知恵者ちゃんの視線を受け、ゴブスレさんが決断的に言い放ったのは……。

 

「――先ずは指揮官を()る」

 

 

 おっと、どうやら次は2か所同時に仕掛けるみたいですね! 先に妖精弓手ちゃんと従兄殿の上の森人(ハイエルフ)コンビが動くみたいなので、そちらを見てみましょうか!!

 

 


 

 

「……チッ、いくら『あのお方』の命とはいえ、何故俺がゴブリンどもの世話役など! 将を名乗るならば、己1人で面倒を見れば良いものを……」

 

 

 暴力と性欲の昂りにギャーギャーと騒ぎ立てるゴブリンたちをねめつけながら、大きな舌打ちをする巨躯の人喰鬼(オーガ)。苛立ちを向ける先は憔悴しきった顔で自分ともう1人の人喰鬼(オーガ)にゴブリンの三分の一ずつを割り振ってきた将軍(ジェネラル)に対してです。本来は同格である自分たちを見下しておきながら、いざゴブリンが手に負えなくなれば泣き付いてくるなど……と随分とご立腹な様子。

 

 雑兵に過ぎぬとはいえ、混沌の軍勢の大多数を占めるのはゴブリンとその派生種。その枯渇は秩序の勢力との争いにおいて致命的なものになりかねません。そのため、人喰鬼(オーガ)曰く『あのお方』とやらの命令でゴブリンを増やすべく彼らが森人(エルフ)の里攻めに駆り出されたのでしょう。

 

 強く命じれば媚びた顔でペコペコ(へりくだ)り、内心では己の欲望を叶えることしか考えていないゴブリンたち。自分の力を過信している田舎者(脳無し)英雄(勘違い)が露骨に反抗的な態度を見せてくるのも彼の神経を逆撫でする要因になっているのでしょう。見せしめに何人か殴り殺してみたものの、死んだ連中をせせら笑うだけで反省の態度なぞ見せないのがゴブリンらしいといえるのかもしれませんが。

 

 

「「「「GOBGOBGOB!!」」」」

 

 

 耳障りな声にうんざりしながら人喰鬼(オーガ)が見れば、そこには誰かが隠し持っていたひと握りの餌を巡って殺し合うゴブリンたちの醜い姿が。堪忍袋の緒が切れ、「いい加減にしろこの馬鹿共!」と怒鳴り声を上げようとしたその瞬間……頭上を覆う木々の合間から飛来した1本の矢が、大きく口を開き声を張り上げようとしていた彼の上半身を爆散させました!

 

 

 

「うーん、相変わらずあに様の一撃は派手ねぇ!」

 

「フン! これでも森を傷付けぬよう手加減している。本気で射ればヤツの下半身も残らん」

 

「そりゃそっか……っと、次に狙うのは呪文を使うやつだったわね!」

 

 

 力を失い地面に崩れ落ちた人喰鬼(オーガ)の下半身を一瞥し、再び矢をつがえる従兄殿。木芽鏃の矢を次々と放ち呪文使い(マジシャン)呪術師(シャーマン)を射抜く妖精弓手ちゃんを一瞥し、次に狙うのは巨大棍棒(グレートクラブ)を振り回し襲撃者を威嚇している小鬼英雄(チャンピオン)。引き絞られた弓から放たれた矢はまるで一条の光線(biim)、胴体に大穴を穿たれ背骨を失った小鬼英雄(チャンピオン)は上体を支えきれず、ふたつに折り畳まれたような姿勢で地に伏しましたね。混乱する小鬼(オルク)の群れを睥睨していた妖精弓手ちゃんにふよふよと精霊が近寄り、残り2つの集団の様子を伝えています。

 

 

「――ん、ありがとうね! ……オルクボルグの指示通り、一番偉そうな人喰鬼(オーガ)()()()。もう1匹も仕留め終わって次の段階に移行するって」

 

「そうか。ならば奴らを追い立てる準備を進めておこう」

 

 

 そう言って頷き合い、先程からの続きと言わんばかりに矢を放つ2人。優先して狙うのは膂力に長けた個体や呪文能力持ちなど『()()()()()()()()()()()()()()()()』を持ったゴブリンばかり。ワンチャンすら残させないゴブスレさんのエロい(えげつない、ろくでもない、いやらしい)作戦に盤外(こちら)の視聴神さんたちも……みんな「知ってた」って顔してますね。

 

 オホン! それはともかく、もう1匹を仕留めた際の映像を無貌の神(N子)さんが押さえてくれていましたので、そちらも見てみましょうか! こちらは……令嬢剣士さんと英雄雛娘ちゃんの2人みたいですね。いったいどんな方法で……。

 

 

 な ん で 英 雄 雛 娘 ち ゃ ん が タ イ マ ン 張 っ て い る ん で す か ?

 

 


 

 

「――本気か?」

 

「は、はい。その、マスターや皆さんについてくには、もっともっと強くならないといけないんです。だから……!」

 

 

 強い意志を秘めた言葉に俯いて黙考するゴブスレさん。指揮官は令嬢剣士さんの魔剣を用い大型個体ごと一掃する予定で、英雄雛娘ちゃんにはその後を任せるつもりだったところに舞い込んで来た無茶振りにどうしたものかと考えている様子。作戦の成功と彼女の成長を天秤に掛け、出した結論は……。

 

 

「決して無理はするな。危うい時には介入する。……頼めるか?」

 

「ええ、お任せあれ。万一の時には彼女を救出しつつ強引に包囲をこじ開けて突破、所定の位置まで群れを誘引いたしますわ!」

 

 

 魔剣を掲げながらの言葉に頷きを返し、英雄雛娘ちゃんの頭に籠手(ガントレット)に包まれた手を置くゴブスレさん。生命に危機が及びそうなとき、あるいはゴブリンが雪崩れ込んで来た際には令嬢剣士さんが手を出すことを条件に彼女のお願いを認めてくれました! 隣で心配そうに見守っていた牛飼若奥さんが、その豊満なたわわに彼女を抱きしめながら頑張ってね!と応援してくれるなか、たわわに埋まって真っ赤な顔の英雄雛娘ちゃんが持つ、その白磁の認識票から見たら無謀でしかない望みとは……。

 

 


 

 

「――ドーモ、オーガ=サン。冒険者です」

 

「ドーモ、冒険者=サン。……礼儀を弁えているようだな、只人(ヒューム)の小娘。だが、何用だ? 見たところどちらも剣士のようだが……」

 

 

 文字通り空から降って湧いた2人の姿に沸き立つゴブリンたちを制し、眼前に現れた理由を問いただす人喰鬼(オーガ)。令嬢剣士さんの背に見える翼は呪物の一種であると判断したのか、余裕のある表情を崩しませんね。退屈な任務に暇潰しの材料が出来たと思っているのかもしれません。英雄雛娘ちゃんが大小二刀を抜き放ちつつ高らかに言い放った言葉は、そんな彼をさらに喜ばせるものです……。

 

 

「ゴブリンを率い、森人(エルフ)の里を襲わんとする貴方に、一対一の真剣勝負を申し入れます!」

 

「……俺の前で簡単に『真剣』という言葉を使うなよ、戦いと遊びの区別もつかぬ小娘。それに貴様のような弱者と剣を交える価値など無い、精々がゴブリン共の玩具(オモチャ)に過ぎぬわ!」

 

 

 頬を厭らしく歪めつつゴブリンに合図を出そうと手を挙げる人喰鬼(オーガ)。しかし、英雄雛娘ちゃんが二刀を赤熱化させ、腕を交差させる独特の構えを見た瞬間、その目つきが変わりました。

 

 

「――成程、ただの小娘というわけでは無さそうだな。だが相手が悪かったな! その藁のように細い四肢を砕き、胎が裂けるまで犯し、全身余すところ無く喰らってやろう!! ……ゴブリン共、邪魔をしたら殺す! 貴様等はそちらの剣士と遊んでおれ!!」

 

「「「「GOBGOBGOB!!」」」」

 

 「さっすが~、オーガ様は話がわかるッ!」と言わんばかりに歓声を上げ、令嬢剣士さんへと群がるゴブリンたち。眼前の雌を犯し、孕み袋にすることしか考えていないその表情は醜悪の極みであり、そんなゴブリンが雲霞の如く押し寄せてくる光景は女性からすれば悪夢そのもの。……ですが、既に一般女性の範疇から逸脱している令嬢剣士さんにとっては日常にも等しい眺めです。

 

 

「――舐められたものですわね。ですが、あの子の勝負の間くらいはお付き合いして差し上げましょう!」

 

「「「「「GOB!?」」」」」

 

 

 半森人夫人さんから託された軽銀の二刀が煌めくたび、鮮やかに両断される複数のゴブリン。誤射など考慮されずに撃ち込まれる矢玉や投石を背の翼で打ち払いつつ、呪文を唱えようとしてる個体に向けて疾走。人外の速さに驚愕の表情を浮かべたまま、ぽーんと宙を舞う呪文使い(マジシャン)の首。

 

 

「GOGOGOB!!」

 

 

 仲間が蹂躙されている間に詠唱を終えた別の呪文使い(マジシャン)が杖先から飛ばしたのは≪火矢(ファイアボルト)≫。間抜け共が死んでいる隙に呪文を撃ち込む頭脳プレイ。今までも何度も成功させてきた必勝法に会心の笑みを浮かべていたゴブリンですが……。

 

 

「お生憎ですが、効きませんわ……よっ!」

 

「GOB!?」

 

 

 吸血鬼(ヴァンパイア)の持つ呪文抵抗の前に自慢の術が無効化され呆然としている顔に、令嬢剣士さんの投擲したゴブリンの上半身が衝突。人外の膂力で投げつけられたソレは見事に彼と死体両方の頭を熟した果実を落としたように弾けさせました。足の遅い大型個体が漸く彼女に追い付き、雄叫びと共に振り下ろして来た得物を交差させた双剣で受け止め、逆に押し返す姿にゴブリンたちは恐怖を隠せていませんね……。

 

 

「グァッ!? この、ちょこまかと……!」

 

「身体が大きいから強いわけじゃない、声が大きいから強いわけじゃない、そんなのは、強さとはぜんぜん関係ない……!」

 

 

 さて、華麗な蹂躙劇を見せている令嬢剣士さんですが、本命の英雄雛娘ちゃんのほうは……おお、3倍以上も差のある巨体相手に優勢に立ち回ってますね! 斬撃と同時に傷口を焼くことで再生能力を阻害しつつ、関節部や太い血管の走る部位を狙う長期戦の構え。あ、今やった大振りの攻撃を誘っての回避行動……あれはダブル吸血鬼ちゃんが良くやっている立ち回り方ですね! 圧倒的な体格差を逆に利用して相手の攻撃を振り下ろしか薙ぎ払いに限定、焦れた相手が繰り出す次の攻撃は……。

 

 

「懐に飛び込まれるのを嫌った前蹴りか、掴み掛かりっ!」

 

「ガァァ!?」

 

 

 丸太のような足から繰り出された前蹴り(ヤクザキック)をサイドステップで躱し、すり抜けざまに親指とその周辺をゴッソリと斬り飛ばす英雄雛娘ちゃん。踏み込みや踏ん張りに重要な部位を喪失したことで目に見えて人喰鬼(オーガ)の動きが悪くなります。自分の膝くらいの身長しかない英雄雛娘ちゃんに一方的に攻め立てられ、再生能力も阻害された人喰鬼(オーガ)。忍び寄る『死』の影に恐れた彼が無理やりにでも彼女を引き剥がそうと自爆覚悟の呪文詠唱を始めました!

 

 

「ええい邪魔くさい! ≪カリブンクルス(火石)≫……≪クレスクント(成長)≫……なっ!?」

 

 

 胸元で印を組み、広げた両手の間に火球を生み出した人喰鬼(オーガ)が驚愕の表情で見た光景。それは、火球が最も大きくなったところで、英雄雛娘ちゃんが投擲した飛礫が火の玉と触れる瞬間です。真言の最期の一句を言い終わる前に、彼の両手の中で火球がその牙を術者に向けました……!

 

 

Kaboom(ドカーン)!!

 

 

「あ……が……」

 

 

 両腕の肘から先と、顔を含む上半身前面の肉をゴッソリと失い仰向けに倒れる巨体。常とは比較にならないほど遅い再生によって辛うじて復活したその目に映るのは、長剣を両手で掲げ、今まさに首を断たんとする小さな英雄の姿です。

 

 

「み、見事だ……小さきものよ……俺の首を獲ったこと、誇りと思え……!」

 

 

 憎しみと怒り、そして幾許かの称賛を孕んだ彼の言葉に無言で頷きを返し、剣を振り下ろす英雄雛娘ちゃん。恐怖と暴力によって辛うじて統率を維持していた彼が斃れたことでゴブリンたちも戦意を失い散り散りに……。

 

 

「「「「GOBGOBGOB!!」」」」

 

 

 なるわけがないんだよなぁ……。威張り散らしていたデカブツが死んだことで押さえつけられていたゴブリンたちの欲望は全開放、焼け焦げた元上司に矢玉を撃ち込んだり足蹴にしたりと今までの鬱憤を晴らすように死体を辱めています。やがて気が済んだのか、今度は獣欲に満ちた視線を2人に向け始めました。

 

 

「色々思うところはあるでしょうが、今は作戦の遂行が第一です。良いですわね?」

 

「……はい、わたしの我儘に付き合ってくれてありがとうございます」

 

「では、しっかり掴まっていてくださいね!」

 

 

 最後に人喰鬼(オーガ)の死体を一瞥し、ゴブリンを蹴散らしながら令嬢剣士さんの胸元に飛び込む英雄雛娘ちゃん。彼女をしっかりと抱きとめた令嬢剣士さんが翼で周囲を薙ぎ払いつつ空へと舞い上がります。獲物を逃すまいと追いかけてくるゴブリンたちが見失わない程度の速度で飛行し、統率を失った連中をそれとなく誘導していきます。血走った目で2人を見上げるゴブリンたちは気付いているのでしょうか? 周囲の地形が目に見える速度で変化し、自分たちを殺し間へと誘っていることに……。

 

 


 

 

「限定された閉鎖空間……洞窟や廃墟の中であれば俺1人で百匹を相手取るのも容易いが、開けた場所ではそうもいかん。戦場における『数』の優位さを覆すことが出来るほど俺は優秀ではないからな」

 

 

 

「でも、一人じゃダメな時はみんなが助けてくれる、でしょ? あの時だって、そうだったよね!」

 

「……ああ、そうだな」

 

 

 指揮官や重要目標を表す大きな実が取り除かれる盤面を眺めつつ、淡々と事実だけを述べるゴブスレさん。実際ダブル吸血鬼ちゃんや女神官ちゃんたちと出会うまではそうやって1人でゴブリンを殺して回っていましたし、自分だけでは対処出来ないからこそ牧場攻防戦ではみんなに助力を依頼した彼の言葉は説得力に満ちていますね。

 

 牧場に迫るゴブリンの兆候を見つけた時の絶望感を思い出し、かすかに俯くゴブスレさんの腕を包み込む暖かな感触。隣に寄り添う牛飼若奥さんが彼の腕を取り、ギュッと抱きしめてあげています。鎧越しに感じるぬくもりに顔を上げたゴブスレさんが、先程の続きを話し始めました。

 

 

「だが、そんな場所であるならば少人数でゴブリンの群れを潰すことは容易い。奴らに主導権を与えず、こちらが待ち構えているなら猶更だ。だから、次は奴らを分断し個別に対処する。……やってくれ」

 

「はい、オルクボルグ様!」

 

 

 ゴブスレさんの言葉を受け、花咲くような笑みを浮かべて模型へと手を伸ばす若草知恵者ちゃん。彼女の指先の動きに沿って土地が隆起し、木々がその幹をしならせ、森の中に幾筋もの道を生み出していきます。その分かれ道には群れを誘引するための生餌を表す青い実が置かれ、ゴブリンたちを待ち構えていますね。……どうやら先頭の群れが接触する模様。早速映像を観てみましょうか!

 

 


 

 

「――っ!」

 

「「「「GOBGOBGOB!!」」」」

 

 

 ()()()()()()視界に入っていた背の高い人影を追い立てるゴブリンたち。目深に分厚い外套(マント)を被っているためその姿は確認出来ないものの、布地から漂う()()()()()()()()は先程馬鹿な奴らを一方的に射殺していた上の森人(ハイエルフ)のソレ。彼らの理性を奪い去るにのに十分過ぎる代物です。何故樹上を華麗に跳躍出来る森人(エルフ)が地面を走っているのか、もう1人は何処へ行ったのか、そんな疑問を頭から失わせるほどに強烈な雌の匂いに誘われ、口の端から涎を垂れ流すゴブリンの群れは欲望のままに人影を追い立てます。

 

 森中では不自然な傾斜の獣道を全速力で下り、狭まった道の先は地層が丸見えの崖に覆われた行き止まり。その中心に追いかけていた人影がいるのを見て醜悪に口元を歪ませるゴブリンたち。ですが、追い詰めた!と笑う彼らの表情はすぐに変わりました。

 

 

 

 

 

 

「いや~、姫さんの匂いは効果覿面じゃねぇの! こんなに簡単に釣れるとはな!!」

 

「走り方、いつもの、まま、だったのに、ね。……まぁ、そこまで、みてない、かし、ら?」

 

「うぅ……なんかフクザツな気持ち……」

 

 

 しっかし暑いなコレ!と言いながら勢いよく()()()を脱ぎ去った下から出てきたのは長身にイケメンの偉丈夫。上空から杖に跨り降りて来た魔女パイセンに防寒着を手渡し、入れ替えに愛用の得物を受け取った槍ニキです! 雌が増えたと喜んでいたのも束の間、片方が男であったことに「騙された!」とゴブリンたちがキィキィ喚いてますね。見事に引っ掛かったゴブリンたちをニヤニヤと眺めていた槍ニキが穂先でちょいちょいと指し示す先には崖上から顔を覗かせる上の森人(ハイエルフ)コンビ、そして退路を塞ぐように立ちはだかる重戦士さんと女騎士さんの姿が! 崖上から手を振り次の群れを釣りに行った2人を見送り、剣を抜き放ちながらゴブリンへと進んでいきます。

 

 

「おーおー、見事に普通のヤツばっかだな。1匹くらいデカブツが残ると思ってたンだが」

 

「それだけ間引きが上手くいったということだろう。そら、お代わりが来る前に片付けるぞ!」

 

「あいよ。……大物が居ないんなら、あいつ等にゃ剣と盾の練習台になってもらうか」

 

 

 愛用のだんびらを地面に突き立て、黒騎士の鎧(バッシュ・ザ・ブラックナイト)を身に纏う重戦士さん。どうやらいつもの大剣スタイルでも超攻撃的な二刀流でもなく、騎士剣と盾の正統派スタイルで相手にするみたいですね。同様に騎士剣と盾を構える女騎士さんと並び立つ姿に後ずさるゴブリンたちですが、背後にも肉食獣のような笑みを浮かべた槍ニキと指の間に竜牙の矢を挟んで微笑む魔女パイセンがいるのを忘れてはいけません。今いるゴブリンの数はだいたい百をちょっと超えたくらいでしょうか。お代わりも含めて4人でどれだけキルスコアを稼ぐのかなぁ……。この後は一方的な絵面が続きそうですので、他の殺し間までの道のりとその参加者を見てみましょうか!

 

 

 

「さぁさぁ、こっちですよぉ?」

 

「「「「GOBGOBGOB!!」」」」

 

 

 緑生い茂る森の中で一際目立つ白い長耳を左右に揺らし、ぴょーんぴょーんと飛び跳ねながらゴブリンたちを挑発する白兎猟兵ちゃん。焼菓子(レンバス)をおなかいっぱいご馳走になったことでスタミナ切れの心配も無く、ゴブリンたちを先導するように足場の悪い獣道を駆けています。時折振り向きざまに石弓を放ち、追いかけることに頭がいっぱいなゴブリンを斃しつつヘイトを稼いでますね。

 

 やがて彼女が飛び込んでいったのは地面にぽっかりと口を開けた洞窟の中。あからさまに怪しい場所に流石のゴブリンたちも入り口で一旦動きを止めましたが……。

 

 

「GOB……?」

 

「「「「――GOBGOBGOB!!」」」」

 

 

 洞窟内から漂ってきた極上の雌の匂いに理性を無くし、我先にと洞窟へ飛び込んでいくゴブリンたち。3匹がやっと並べそうなほど細い洞窟内、足元が不自然な石造りに変化していることなど気にも留めずハナを奪った先頭集団が真っすぐな通路に差し掛かったその瞬間……。

 

 

「「「GOB!?」」」

 

 

 ≪霊壁(スピリットウォール)≫で作られていた偽の床面が消失。急傾斜が齎す高さによって落下するその先には、待ち構えるように鋭い先端を向けた根の数々が。出遅れた後続集団が急坂を下った先で見たものは……。

 

 

「「「GO、GOB……」」」

 

 

 忌々しくも先を奪っていった連中が串刺しになり、即死しきれなかった者たちが悲痛な呻き声を上げる光景。しかしそれだけでは終わりません。太い根が蠕動を始めると、死体、まだ死んでいないものの区別なくその身体が干からびていくのが見て取れます。体中の血液を吸い尽くされミイラのようになった死体の森の向こうでは、これ見よがしに≪ライト(光明)≫の呪文によって光る冒険者認識票を首から下げた白兎猟兵ちゃんが手招きをしていますね……。

 

 

「「「「GOBGOBGOB!!」」」」

 

 

 殺してやる、あるいは犯し尽くしてやる、だいたいそんな意味であろう声を上げながら再び追跡を始める後続集団。先頭集団の無残な死に方を見て多少は冷静になったのか、周囲の様子を窺いながら洞窟の奥深くへと進んでいきます。長いこと走らされ、肉体的精神的にも披露した彼らの良く着いた先。そこには、切り立った石壁に囲まれた20m四方ほどの空間が広がっていました。

 

 部屋の中心には乱雑に置かれた何処か見覚えのある衣服の数々。ゴブリンたちを狂わせた芳香はそこから漂っています。争うように服を奪い合うゴブリンたち。かぐわしき衣類の山に夢中な彼らの耳には、頭上の岩陰から響く≪酩酊(ドランク)≫の詠唱は届きません。

 

 やがて一匹また一匹とゴブリンは崩れ落ち、全てのゴブリンが上の森人(ハイエルフ)を好き勝手に弄ぶ夢に囚われたところで巫術師ちゃんをお姫様抱っこした白兎猟兵ちゃんと圃人の少女剣士ちゃんが壁面の僅かな出っ張りを足場に降りてきました。

 

 ゴブリンたちが掴む衣服に血が付かぬよう、だらしなく眠りこける無防備な連中を丈夫な紐で絞殺していく3人。念のために離れた場所で少女剣士ちゃんが全員の頭と胴体を切り離したところで鏖殺は完了、やり遂げた表情をしていた3人でしたが、やがて堪え切れずに一斉に吹き出しました。

 

 

「いやぁ、妹さまから洗濯前の服を渡された時はすわ何事かと思いましたけど、『こうかはばつぐんだ!』でしたねぇ!」

 

「脱ぎ散らかしていた本人は真っ赤な顔になってましたけど、自業自得ですよねぇ……」

 

 そう! 3人の勝利の鍵となったのは、床に落ちていたものを吸血鬼君主ちゃんがインベントリーにしまい、そのまま遊びに来ちゃったことで洗濯に出していなかった妖精弓手ちゃんの使用済み衣類でした!! いくら閉鎖空間とはいえ、風の精霊が起こした風で洞窟の入り口までその芳香を届かせるとは……上の森人(ハイエルフ)とは怖ろしい存在ですね(白目)。

 

 

「――それにしてもほんと良い匂いですよねぇ。ぼかぁ洗濯のたびに顔を埋めたくなっちゃって……あ」

 

 

 あ、次のウェーブに備えて服を重ねていた白兎猟兵ちゃんの手からホットパンツが落ちちゃいました。あんぐりと口を開けた彼女の視線の先には、グルグルお目目で1枚のシャツに顔を擦り付ける圃人(レーア)コンビの姿が。どうやら誘惑に負けて少女巫術師ちゃんがこっそり1枚懐に隠していたのを少女剣士ちゃんが目ざとく見つけ、我慢出来ずにhshsし始めちゃったみたいです……。

 

 

「はふぅ……林檎にも似た鮮烈な香りと、甘いミルクの匂いのマリアージュ……」

 

「あ、ヤバ。なんか変な気分になってきちゃった……」

 

 

 うわぁ……シャツの前後を挟んで顔を寄せあい、恍惚の表情でモジモジし始めた圃人(レーア)コンビ。寄せ餌が無くてもゴブリンが集まって来そうな盛り上がりっぷりです……おっと、漂い始めた危険な空気を白兎猟兵ちゃんがなんとか払拭しようとしているところで≪真実≫さんからイエローカードが出されちゃいました。この先は残念ながらお預けです!

 

 

 

 さて、他に動きがありそうなところは……お! 現場の無貌の神(N子)さんから妖術師さんがゴブリンの群れと接触したとの連絡が入りました!! 早速現在の様子を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イヤァァァァァ!? だぁれぇかぁたぁすぅけぇてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

 

 

 

 

 ……えっと、その。あれ、演技なんですよね? なんか迫真過ぎる気がするんですけど???

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 





 今年初の灯油を買いに行くので失踪します。

 久しぶりにオンセが出来そうでwktkが止まりません。インチキマカロニウエスタンはまかせろー! ……あ、PLではなくGMです。

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