ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ 作:夜鳥空
大変お待たせいたしました。転職活動で忙しかったので初投稿です。
前回、
時計の針がちょっとだけ進み、緑色濃くなった西方辺境。牧場も青々とした牧草に覆われ、畑に植えられた作物はグングン成長しています。日ごとに背を伸ばす彼らに追い付かんと、子どもたちもどんどん大きくなってますね!
>「それじゃあ、あされんをはじめま~す!」
>「じゅんびうんどうはしっかりとね~!!」
太陽神さんが『もう辛抱たまらん!』と顔を出し始めた頃、牧場に響き渡るダブル吸血鬼ちゃんの声。夜明け前の澄んだ空気の中、お揃いの運動着に身を包んだ集団が協力してストレッチをしていますね。
「ふわぁ……昨晩もご主人様が激しかったから、まだ眠いんだけどねぇ……」
「ナニ言ってんの。一晩中あの子を貪ってたのは自分でしょうが、
半分寝ているような顔つきで地面に座り、上体前屈をしている叢雲狩人さん。その背を押している女魔法使いちゃんが呆れたようにツッコミを入れてます。上体がペタリと地面に付くほどの柔軟さとその背に押し付けられたゆんと形を歪めるたわわを見せつけられ、体操服&ブルマ姿の王妹殿下1号2号が崩れ落ちていますね。
「うう……また昨日もお預け……ッ!」
「こんなの、生殺しですのよーッ!!」
「「「わーい、かけっこだー!!」」」
……どうやら連日の交渉の結果『ほっぺすりすり』や『ちゅー』『あむあむ』までは達成できたものの、本番までには至らず2人とも欲求不満みたいですね。悶々とした感情を発散させるように駆け出すその背中を、ちょうちんブルマ姿の眩しい白兎猟兵ちゃんの妹たちが楽しそうに追いかけています。
「ったく、朝から元気なこって。――姫サンもいい加減慣れてきたみてぇだな?」
「そうね。最初は驚いたけど……より良き血を繋ぐために複数の相手と
「……マジか」
「でもそれももう限界。近親での交配が進み過ぎて、怪我や病気に罹りやすい子が増えてきているの。――濃くなり過ぎた血を薄め、新たな活力を得る。お母様が
彼女の言う通り、
「なるほど、そこで、『豊穣の秘薬』の、出番なわけ、ですね~」
「そっか! 種族はそのまま、相手の特徴……新たな因子を、継承出来る!!」
「女の子、しか、産まれないのは、まぁ、仕方ないです、けどね~」
2人の傍で納得がいったように頷いているのは、背中合わせになって担ぎ合いをしていた
「やっぱり、走るのに適した脚をしているのよね、2人とも……」
「うん、まあね。靴を履かずに素足で駆け回るのが
「すっごいカチコチなので、
羨望交じりの言葉を受け、面映ゆそうな顔で足裏が見えるようにポーズを取る
王都の試験会場で見た通り、
「……だが、そこで諦めるのは性に合わない。だろう?」
「――そうよ、私は『
勢いよく上げた顔には眉を立てた笑み。実績も、何の根拠が無くても、その内に抱く誇りと放たれる『
「みんな準備は良いみたいね。それじゃ、王様のその言葉が嘘でないところ、しっかりと見せてもらいましょうか」
「それではみなさん、いちについて~……!」
「よ~い……!!」
「「「どん!!!」」」
王妹殿下1号2号、そして白兎猟兵ちゃんの妹たちの合図で一斉に駆け出す走者たち。放牧地を利用した即席のレース場は長さ約
「ハッハァー! 【辺境最強】の名は伊達じゃねぇところを見せてやるよ!!」
見事なスタートダッシュを決めたのは槍ニキ。長い脚を
「
その背後にピッタリと追従するのは叢雲狩人さん。槍ニキと同じ脚幅の広い走りですが、彼が蹴り脚を主にしているのに対し、踏み込んだ爪先をフックに全身を前に引っ張る走り。まるで猫科の肉食獣が獲物を追いかける時のような走り方です。あえて
「今回のコースは約
「どうしたのよ急に」
「前走で1着だった【辺境最強】様ですが、その際のコースは
「貴女までどうしたのよ???」
唐突に解説面に目覚めた王妹殿下1号2号に対し、左右からダブル吸血鬼ちゃんにハグされた状態でツッコミをいれる女魔法使いちゃん。困惑した視線をレースに向ければ、先行する槍ニキと叢雲狩人さんがちょうどカーブに差し掛かったところです。速度を維持したままコーナーに突入する2人ですが、女神官ちゃんと神官銃士ちゃんの言葉通り遠心力に引かれて位置取りが外へと膨らんでいきます。そして、隙間の生まれた内側に切り込んで来る小さな影が!
「どうりゃぁぁぁぁぁ!!」
「そう、体格で劣る以上相手の土俵で戦う必要はありません。
水分補給のお茶を用意しつつレースを見守っていた圃人巫術師さんの声に応えるが如く、目印となる旗を掠めるほどに内側ギリギリを疾走する圃人剣士ちゃん、小さく歩幅を刻み、細かく方向を修正しながら最短距離を駆けて行きます! コーナーの終わりに差し掛かった時点で先頭は彼女に移り、抜かれた槍ニキと叢雲狩人さんの瞳に驚きと喜びの色が浮かんでいますね。
「――さて、この時点でまだ最下位。ここから抜き返せるかしらね」
呟く女魔法使いちゃんの視線の先には、ようやくコーナーの中程を過ぎたあたりを走る
>「だいじょうぶ! もんだいなし!!」
>「いまのおうさまなら、
「「「おうさまー! がんばえー!!」」」
「
「そんな……ッ」
ある日の
「既に骨格は完成している以上、無暗に筋肉だけ増やしても負担が増えるだけだ。むしろ脚を痛める原因となる可能性が高い」
淡々と告げられる言葉に耳を絞り、落ち着きなく尻尾を揺らす
「……たとえそうだとしても、それが歩みを止める理由にはならない。無理のひとつやふたつ乗り越えられずして、なにが『
「そうだ、その言葉が聞きたかった! 苦難の道を進む貴様に渡すものがある。――鍛冶師殿」
「応よ!」
闇人女医さんの呼びかけに応え一行の中から進み出たのは、黒光りする巌のような体躯に自信に満ちた表情を浮かべた隻眼の
「お前さんの靴、見させてもらったぜ。……これまで何足も履き潰してきてんだろ?」
「え、えぇ。様々な素材のものを何種類も試してみたけど、肌に合わず怪我をしたり、逆にすぐにダメにしてしまったり。やっぱりわたしの走り方が悪いのかしら……」
「いや、そうじゃねぇ。
隻眼鍛冶師さんの言葉に目を丸くする
「うそ、これって……!?」
艶めかしい光沢を放つ黒革のレッグ。
「
「な、なな……」
「なんてものをつくってるのよーーーーー!?!?」
「
「最も強度が要求される靴底には自動修復機能を持つ合金を使用。それ以外の箇所も
「それでいて魔法的な効果は持っていないので、
>「そのあたりはちゃんとかんがえてるからだいじょうぶ!」
>「レースのきやくは『やっちゃダメ』なことがかいてあるの。だから『ダメってかいてないものはぜんぶおっけー!!』」
女魔法使いちゃんのたわわを堪能した後、王妹殿下1号2号に肩車してもらいながらドヤ顔でのたまるダブル吸血鬼ちゃん。すべすべの太股で両頬を挟まれ、太陽と月の香りが直撃している姉妹の顔が大変なことになってますねぇ。
あ、そうだ(唐突)。吸血鬼侍ちゃんの発言、万知神さんの信徒らしいアレな言い分と思われるかもしれませんが、これ結構重要なんです。
所謂『ポジティブリストとネガティブリスト』の違いってヤツで、
……それを『
――おおっと、話が横道に逸れてしまいましたね!
ミシィ……
「「「――!?」」」
――ドゴォッ!!
突如背後から響いた炸裂音に息を乱す3人の走者。連続する≪
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
汗と土埃、そして撒き上がった草を化粧とし、ただゴールだけを見て駆ける
「「「すごーい! おうさまがいっちゃくだー!!」」」
「はぁ、はぁ……ちょ、ちょっと? 今は酷い有様だからくっついちゃダメよー!?」
>「そんなことないよ? ぎゅー!」
>「いまのすがたがいっちばんきれい!! ぎゅー!」
大差でゴールに飛び込んで来た
「いや、速ぇなオイ! それが負荷を気にせずに出せる本気の走りってワケか!!」
「抜かれる時、間違いなく地面が揺れてましたよ……!」
「うーむ、これは完敗だねぇ……!」
纏めて撫で切られた3人の顔に悔しさの色は無く、本来の走りを見せた彼女への驚嘆と祝福に満ちています。女魔法使いちゃんの差し出す手を取り立ち上がった
「えっと、私……勝ったの?」
「ええ、貴女が1着よ」
「素晴らしい走りでした!」
「まさに【
「――――ッ!!」
女魔法使いちゃん、そして王妹殿下1号2号の祝福の言葉と表情を見て、ようやくこれが夢ではないと感じたのでしょう。フルフルと全身を震わせ、声も無く両腕を天に突き上げる姿にみんなが笑顔で拍手を送っています。うんうん、まさに一流の走りでしたね!
「さて、喜ぶのはそれくらいにして疲労抜きに軽く流してきなさい。そしたら改めて靴の調整を……」
お? 闇人女医さん製作の訓練メニューを見ていた女魔法使いちゃんが空を見上げてますね。すっかり顔を出した太陽神さんの照らす空、辺境の街方面から向かってくるのは2組4人分の人影です。1組は触手を編み込んだような翼を展開している妖術師さんと、彼女に抱えられている妖精弓手ちゃん。その後ろから飛んできている硬質な翼の令嬢剣士さんが抱えているのは1人の男性です。まだ地面まで
「や~~~っと捕まえたわよ、貴女のお父さんを知ってそうなヤツ!」
「今日までほぼ一ヶ月、普段は毎日ギルドに入り浸っているクセに、用がある時に限って捕まらないぃ……」
うんざりといった様子の妖術師さん、まぁ無理もありません。彼が顔を出すまで交代で夜通しギルドに通い、
「いやぁ、どうもお待たせしてしまったようで申し訳ない。皆さんのご活躍は聴衆の方々にとても好評、私も随分稼がせて頂いておりますよ」
聴く者の耳を孕ませるとまで言われている落ち着きのある魅惑の低音! 視聴神の皆様はもうお判りですね。妖精弓手ちゃんや鉱人道士さん、蜥蜴僧侶さんたちがゴブスレさんと出会う切っ掛けとなった歌を歌っていたあの人、
整理運動と後片付けの後、他のみんなが起床したところであさごはんタイムな一行。良いお天気なので庭に敷物を敷き、牧場夫妻や新進夫婦家族も一緒ですね! お野菜たっぷりのスープに焼き立ての麺麭、身体作り中の
「なるほど、それで私を探していらしたわけですか……」
>「うん。ギルドでもさがしようがなくて、ほかにしってるひともいなかったの」
>「たいようしんでんでもきこうとおもったんだけど、ずっとおでかけちゅう……」
ダブル吸血鬼ちゃんの言葉にふむふむと頷く吟遊詩人さん。どうやら妖精弓手ちゃんってば碌に事情も話さず引っ張ってきたみたいで、何故自分を探していたのかの説明もされてなかったみたいです。そして他の手掛かりとなりそうだった蟲人英雄さんとは連絡が取れず、調査は行き詰っていたっぽいですね。
「話は理解しました。記録に残らずとも記憶に残る冒険者、幾つか思い当たる節があります」
「ほんとぉ~? あの時のオルクボルグの歌も実際とはけっこう違ってたんだけど???」
若干の胡散臭さを感じる笑みに対し、ジト目を向ける妖精弓手ちゃん。ま、まぁアレはアレでけっこう好評ですし。「物語性を重視すべく、若干の脚色はありましたねぇハッハッハ!」と言ってのける吟遊詩人さんも大概にタフだと思います……お、じゃあ早速と言いかけた妖精弓手ちゃんを吟遊詩人さんが制しましたね。
「お話しするのはやぶさかではありませんが、私も
「あーはいはい、報酬を払えってコトね」
うーんこの吟遊詩人。ニッコリと笑いながら両手を突き出す仕草は愛嬌があり、同時に絶妙なイラっとさを感じさせます。青筋を浮かべる妖精弓手ちゃんに両側から頬擦りしつつ、ダブル吸血鬼ちゃんがくりっと可愛らしく首を傾げています。
>「えっと、ほうしゅうじゃたぶんおかねじゃないよね?」
>「となると、ここはやっぱり……」
「はい。皆様の冒険について、生の声を聞かせて頂けますかな?
おお、これはなんとも吟遊詩人さんらしい報酬ですね。それじゃあ前払いねという言葉とともに、ダブル吸血鬼ちゃんが語り出したのは冒険の思い出の数々。冒険から離れていた新進夫婦や、日常に暮らす牛飼若奥さん、そして子どもたちが2人の冒険譚を夢中になって聞いています。
「そっか、2人にはそんな過去があったんだね……」
「きっと2人のママも、遠いところで親友と仲良くしてるわよ!」
>「「ふわぁ、ふかふか……」」
特に
「素晴らしい! 愛憎複雑に絡み合う物語、堪能させていただきました。良いでしょう、私の知る全てをお話しします!!」
なんやかんやと3組のヒトウサカップルや牧場夫婦のお義父さんと只人寮母さんの新婚カップルまで集まってきた冒険譚はランチタイムを挟んで半日続き、吟遊詩人さんもその内容には大満足なご様子。おゆはんを済ませた後、星明りの元で彼の知る『記録に残らない冒険者』の話をしてくれることになりました! 果たして吟遊詩人さんの知る人物は本当に
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
引っ越しの準備をするので失踪します。
投稿まで随分と間が空いてしまいました。モチベが下がったわけではないのですが、仕事関係で色々と時間を取られなかなか筆が進まずこの体たらく。悲しいなぁ……。
また次話の投稿まで暫く時間が掛かるかもしれませんが、続きは気長にお待ちいただければ幸いです。
お読みいただきありがとうございました。