ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

16 / 171
挿絵を描く暇がないので初投稿です。

12/15 UA10000、お気に入り200件を超えてました。
拙作をお読みいただきありがとうございます。



セッションその3ー2

 前回、ストームを稼いで呪文(スペル)を使い切ったところから再開です。

 

 吸血鬼侍ちゃんが呪文を多重詠唱し、最後に異界の知識(ライブラリー)から探し出(サーチ)してきた≪苦悶の触手≫。対象から生命力を奪い術者に還元する(loses 2 life and gain 2 life)呪文なのですが、ある特殊な効果が付随しています。

 

 大雑把に言ってしまうと、この手番(ターン)に唱えていた呪文の数だけ≪苦悶の触手≫が追加発動すると思っていただければだいたいあってます。

 通常、戦闘を終わらせるのに(ライフを20点削るのに)必要な≪苦悶の触手≫(ストーム)の数は10回。今回は7回発動しましたので、軍勢の7割を喰らい尽くした扱いとなるわけですね。

 

 波が引くように影が吸血鬼侍ちゃんへと収束し、幸運にも触手から逃れることができたゴブリンの軍勢が吸血鬼侍ちゃんを見上げています。小鬼王(ロード)は持ち前の生き汚さで助かったようですが、大型種の半数以上が触手によって喰われ、戦力は大幅にダウンしています。

 

 このまま小鬼王(ロード)の首を狩って……といいたいところですが、吸血鬼侍ちゃんの出番はここで終了です。原作とほぼ同等まで数を減らせましたので後は他の冒険者に手柄を譲りましょう。

 金貨の報酬は低い等級の冒険者には貴重ですし、集団で安全を確保しながら実戦経験を積める機会を潰すのは、彼らの今後の生存率にも影響してしまいますので。前線でヒャッハーしている分身ちゃんには奇跡による治療に回ってもらい、吸血鬼侍ちゃんは押し込まれそうな防衛ラインの火消しに向かいましょうか。

 

「なかなか派手にやるじゃないちっこいの! でも小物しか残ってないから狙い難いんだけど!」

 

飛行して陣地に向かう途中妖精弓手ちゃん(同志耳長ちっこいの)が声をかけてきました。的が小さくなって文句を言ってますが、それでも外さないあたり流石ですね。サムズアップを返しつつ応援しておきましょう。

 

 とりあえず簡易櫓まで戻ってきました。さて状況は……なかなか理想的に推移しています! 破城槌として運用される予定だった大型種を先んじて減らしたために、防護壁を突破する打撃力が足りてません。突出し過ぎた騎乗兵(ライダー)は柵に引っ掛かったところを集団で袋叩きにされ、援護するはずの弓兵(アーチャー)集団はスペルキャスターの範囲攻撃で面制圧されています。

 

 雑兵たちも怖気づいて前進速度が落ち、妖精弓手ちゃんをはじめとする味方射撃部隊によって壁に取り付く前にその数を減らしていきます。お、足が止まりました。そろそろ前線が崩れるかな?

 

 

「「「GOOOOOOOOOOOOOOORRRRRB!!」」」

 

「GOB!?」

 

 あ!生き残っていた三匹の小鬼英雄(チャンピオン)田舎者(ホブ)を引き連れて後方からやって来ました! 雑兵の情けなさに痺れを切らしたんでしょう、一匹が手近なゴブリンを掴んで防護壁に投げつけてきましたね。不運なゴブリンは壁のシミにクラスチェンジしました。合掌。

 単純な戦闘能力でいえば小鬼王(ロード)を超える小鬼英雄(チャンピオン)。ゴブリンの白金等級とも呼ばれる厄介な相手です。討伐には銀等級複数で対峙するのが望ましいのですが、多種族組は各部隊の中核になっているので引き抜きは無理ですし、銅等級以下では時間を稼ぐのも難しいでしょう。

 重戦士さんと槍ニキに小鬼英雄(チャンピオン)が来たことを伝えたら、一匹ずつ引き受けてくれるそうです。雑魚の相手は飽きたから歯応えのある奴を待ってた? 流石「辺境最高」と「辺境最強」。

 

 たおせたらごほうびだね!

 

 ……≪加速(ヘイスト)≫をかけたのかと見間違う速度で向かってくれました。後ろから追いかける女騎士さんたちのなんとも言えない表情が実に味わい深いです。残りの一匹は吸血鬼侍ちゃんなら問題なく処理できるのでさっさと片付けちゃいましょう……うん?

 

「最後の一匹のところ、私たちも同行したいんだけど、いいよね?」

 

 森人狩人さんと女魔法使いちゃん? なんで此処に? さっきまで防護壁のところで稼いでなかった?

 

「消耗品の補充と休息でちょっと下がってたのよ。で、戻ってくる途中で今の話が耳に入ったってわけ」

 

 いや、なんでいるのかはわかったけど、2人が小鬼英雄(チャンピオン)のとこに行く必要ないよね? 吸血鬼侍ちゃんならソロで余裕だよ?

 

「いつまでもアンタにおんぶにだっこの状態じゃカッコつかないじゃない。ちょっとは見栄を張らせなさいよ」

 

「それともご主人様にとって、私たちは愛でるだけの愛玩動物で、都合の良い血袋でしかないのかな?」

 

 お、2人の何時にない詰め寄りっぷりに吸血鬼侍ちゃんたじたじです。そういうことならお願いしちゃいますか。あ、一応保険のために分身ちゃんを呼び戻してペアを作りましょう。怪我人が出る前に現場に到着するために、本体が女魔法使いちゃんを、分身ちゃんが森人狩人さんをお姫様抱っこして飛んで行くのが早いですね。しっかり掴まっててねー。

 

「そんな小さいナリで重くないの? まぁ重くても口に出したらお仕置きだけど」

 

 最近また成長してえっちなからだになった()が何か言ってますが、適当にあしらっておけば問題ありません。お仕置きが怖くて軽口が叩けるか! でも正座は辛いから勘弁な!

 

 雑兵ゴブリンと盛りあっている一般冒険者の頭上を飛び越え、小鬼英雄(チャンピオン)の前にやってきました。

 小鬼英雄(チャンピオン)の武装はグレートクラブか鎖マンのどちらかなのですが、お、グレクラですね! 鎖マンは間合いが長い上に振り回しによる時間稼ぎが面倒なのでラッキーです。鎖マンは槍ニキに任せた! よろしく!!

 

 おやぁ? この小鬼英雄(チャンピオン)、森人狩人さんと女魔法使いちゃんを見て股間を膨らませてますねぇ。なんて醜い絵面なんだ……。女性を孕み袋としか見ていない視線を感じて2人の殺意ゲージがみるみる上がっていってますねクォレハ……。

 

 では、とびきりの雌を自分のモノにしようと小鬼英雄(チャンピオン)が突っ込んで来たので戦闘開始です!

 まずは飛行してきたときのペアごとに別れて挟撃の体勢に移ります。前後に細かくステップを刻んで攻撃を誘い、空振った腕に雷光を纏った戦棍(トニトルス)を叩きつける森人狩人さん。ヘイトが逸れたのを見計らって、隙の大きな《点火》は使わず戦鎚として用い軸足を狙う女魔法使いちゃん。んーいい感じに削ってますね。

 雌の匂いに釣られて田舎者(ホブ)も近寄ってきますが吸血鬼侍ちゃん×2の絶壁鉄壁の守りに阻まれ次々に首無しゴブリンにクラスチェンジしています。これならこのまま押しきれるかな?

 

「きゃっ……!?」

「義妹くん!?」

 

 あ、女魔法使いちゃんがゴブリンの死体に足をとられて転倒しちゃいました。好機と見たのか、小鬼英雄(チャンピオン)が森人狩人さんの牽制を無視し、グレクラを両手持ちに変えて振り下ろしの体勢に入ってます。恐らく足を潰して動けなくするつもりなんでしょう。

 女魔法使いちゃん、回避は……駄目みたいですね。それじゃ突き飛ばしてどーん!

 

 

 

 

ぐちゃり

 

 

 

 

「痛ッ、ちょっと大丈夫……!?」

 

 グレクラが振り下ろされた場所は陥没し、周囲に血が飛び散ってます。

 小鬼英雄(チャンピオン)は邪魔臭い小さな雌を仕留めて満足げに哄笑しています。何が起きたのか理解したくないのか、女魔法使いちゃんは突き飛ばされた体勢のまま動こうとしません。

 そんな姿を眺める森人狩人さんは……え、巫山戯てないで早く起きろ? しょうがないにゃあ。

 

 あ、そぉーれ!

 

「GOORB!?!?!?」

 

 半ば埋まっていたグレクラがみしりと持ち上がり、地面との隙間から小柄な人影が姿を現しました! まぁ吸血鬼侍ちゃんですね。小鬼英雄(チャンピオン)をグレクラごと片手で振り回し、何度も何度も地面に叩きつけてます。おやおや、グレクラが耐えきれずに壊れちゃいました。手に残った残骸は適当に田舎者(ホブ)にでも投げつけておきましょう。あ、当たったら粉々になりましたよ、田舎者(ホブ)の頭が。

 

 一緒に地面とキスした仲であるゴブリンの死体から出た血に塗れて全身が赤黒く染まってますが、吸血鬼侍ちゃんがダメージを受けた様子はありません。あっちで痙攣している小鬼英雄(チャンピオン)は後回し、とりあえず女魔法使いちゃんを正気に戻すのが先決ですね。おーい元気してれぅ?(ぺちぺち)

 

 あーあーゴブリンの血が顔にべったり付いちゃってます。舌で器用に舐めとっている吸血鬼侍ちゃんも余程不味いのか、ぷんすこ顰めっ面です。ありゃ、prprしたぐらいじゃ刺激が足りないのか、まーだ時間かかりそうですかねー?

 

 よーし、なかなか起きないお姫様にかます伝統の一発だ! やれぃ吸血鬼侍ちゃん!!

 

「んむぅ!? んーんーんぅー!? ……ん、んむぅぅ、ん、ぷぁ」

 

 これ絶対入ってるよね(舌が)な濃厚接触でやっとお目覚めの女魔法使いちゃん。潰されたんじゃなかったのかって? ピンピンしてるよ? いや心配かけさせるなって言われても、森人狩人さんは最初から気付いてたみたいだし……。ねぇそこで分身ちゃんを愛で続けてる森人狩人さん?

 

「まあね。こうやってこの子(分身ちゃん)が消えないで残っているし、それに……」

 

 それに?

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ……おおう、そこまでわかりますか。まさか殆ど全部お見通しとは。

 ひとつだけ訂正があるとすれば、吸血鬼侍ちゃん、満腹じゃなくて腹八分目ってとこかナー?

 

 森人狩人さんの指摘通り、今の吸血鬼侍ちゃんは普段の腹ぺこ状態とは性能がダンチです!

人並みどころか見た目通りでしかなかった膂力が、本来吸血鬼が持つレベル、しかも(ロード)のそれを発揮できるようになっているといえばお察し頂けるかと。

 圃人の外見でありながら巨人と手四つしても勝つ圧倒的な《力》。吸血鬼とは()()()だって吸血鬼狩りの家系の人(ヘルシングさんち)も言ってますから間違いありませんね!

 

 女魔法使いちゃんを起こしている間に小鬼英雄(チャンピオン)が気絶から回復したようです。先ほどの悪夢を思い出したのか、吸血鬼侍ちゃんを見る目には明らかな怯えが感じられます。そんな君に良いお知らせがあるんだ。分身ちゃんと共に一礼して後ろへ下がりましょう。

 

 帽子や口元を覆う襟巻を吸血鬼侍ちゃん2人に預けながら、女魔法使いちゃんと森人狩人さんが前に出ます。馬鹿にされたと思ったのか、或いはこの雌2匹のほうが弱いと判断したのか目に光が戻っています。

 2人の美貌と肢体に興奮したのか、吸血鬼侍ちゃんと対峙していた時には見る影もないほど縮こまっていたモノも、再び存在を主張し始めましたね!ロリコンじゃないだけだって?そうねぇ……。

 

 震える足で立ち上がり、2人を自らの孕み袋にしようと突進してきました。もしかしたら人質にしてここから逃げることを考えているのかもしれません。

 強欲さが溢れる突進に対し2人は冷静に動きます。女魔法使いちゃんは後ろに下がりつつ爆発金槌を≪点火≫。森人狩人さんは掴みかかってきた手を雷光を纏った戦棍(トニトルス)で打ち払い、跳躍して頭部に一撃を与えました! たまらず動作を止める小鬼英雄(チャンピオン)の膝に、赤化した金属塊を叩きつける女魔法使いちゃん。千切れ飛んだ足は焼けた肉の臭いを放ち、傷口も炭化して出血さえしていない状態です。

 自重を支えられず仰向けに倒れ込んだ小鬼英雄(チャンピオン)の両肩を同様に焼き潰すと、女魔法使いちゃんは森人狩人さんとチェンジ。こんな場所でなければ誰もが見惚れてしまう笑みを浮かべながら、両手で握った雷光を纏った戦棍(トニトルス)小鬼英雄(チャンピオン)の下腹部に狙いを定めて振り上げています。

 

「君個人に恨みはないけど、それはそれとしてゴブリンは須らく死ぬべきだと思うんだ」

 

ぐちゅり

 

「GOOOOOOOOOOORB!?!?」

 

 ヒエッ……。

 振り下ろした感情(戦棍)は彼女にとっての悪夢の象徴を見事に粉砕していますね……。遠巻きに様子を窺っていた男性冒険者がみんな前かがみになってます。誰だってそーする吸血鬼侍ちゃんだってそーする。

 

「アンタはゴブリンの中では英雄だったのかもしれないけど、私たちにとってはただのゴブリンと同じ、金貨1枚分の価値しかないのよ」 

 

ドグシャッ

 

 口から泡を吹きながら痙攣している小鬼英雄(チャンピオン)の頭部を爆発金槌で潰し、女魔法使いちゃんがトドメを刺しました。お、どうやら重戦士さんと槍ニキのほうも片付いたようです。……もしかして2人とも見てました? そんな前隠さなくても大丈夫ですって、たぶん。

 

 もうそろそろ夜明けでしょうか、血と臓物の臭いが充満する闇の世界が薄っすらと明るくなってきました。おや、なんか同志耳長ちっこいのが森のほうを指差してます。どうやらゴブスレさんと女神官ちゃんが帰ってきたみたいですね! 女神官ちゃんの顔色から察するに(ゴブスレさんの顔色? わからないです><)、小鬼王(ロード)はしっかり仕留めてくれたことでしょう。

 ……あれ、ゴブスレさん手を三角巾で吊ってませんよ? よっぽど上手く立ち回れたんでしょうか。まぁ怪我なんてしないほうが良いに決まってます! 詳しいことは後の祝勝会で聞けばいいよね!

 

 あら、全部終わって気が抜けたのか、2人とも干し草の上に座り込んじゃってますね。お疲れ様2人とも。怪我とかしてない? 吸血鬼侍ちゃんはどうなのって? 一時HPが最大HPの5倍あるくらい元気だよ?

 

 森人狩人さんはスッキリした? まだまだ()り足りない? じゃあお風呂入ってー、しっかり休んでー、それからまたゴブリン退治しよっか。時間はいくらでもあるし、好きなだけ付き合うからさー。

 

 女魔法使いちゃんはどう? 学院から離れてやってることがこんなの(ゴブリン退治)だけど、冒険者になって後悔してない? 刺激に溢れてて飽きない? そりゃよかった。それよりも、もう隠し事はないだろうって? さて、可愛い子には秘密がいっぱいあるからね。ごめんなさい調子に乗りました!

 

 

 あ、お日様が出てきましたよ! せっかくだから2人もアレやろうアレ! そうそうしゃがんだ状態から一気に背伸びして、胸を逸らしつつ両手はの字にね! あ、分身ちゃん消えないでもうちょっと我慢して! 4人でできることなんて滅多にないんだから! じゃあせーのーでっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「Long may the sun shine!(-太陽あれ!-)」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HUNTED NIGHTMARE

 

 

 

 

 

 

 

今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 




挿絵の諦めがつくまで失踪します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。