ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 引っ越し&ジョブチェンジが無事に終わりましたので初投稿です。



セッションその18-4

 

 前回、吟遊詩人さんのゲージがMAXになったところから再開です。

 

 太陽神さんが名残惜しそうに地平線へとその輝きを隠し、空に星が瞬き始めた辺境の牧場。見る者の気分を落ち着かせる篝火の周りにはおゆはんを済ませた面々が集まっていますね。

 

 

「えへへ、ママのおひざにいちばんのりー!」

 

「じゃあわたしはパパといっしょ!!」

 

「ぷるぷる……もちもち……」

 

 

 抜群のスタートを決めた星風長女ちゃんが女魔法使いちゃんに突撃し、吸血鬼侍ちゃんを抱き枕にした叢雲次女ちゃんはパパごと叢雲狩人さんの膝上に。むにっと形を変えて平べったくなったスライム君の上には若草三女ちゃんと牧場の双子ちゃんが乗っています。他の子たちもそれぞれ両手で毛布(ブランケット)を抱え、パパやママの近くでお気に入りの場所を確保したみたいですね。

 

 さて、今宵の主役である光背王(キング)ちゃんは……お、期待と不安の入り混じった表情で若草知恵者ちゃんの淹れた黒豆茶(コーヒー)を啜ってますね。隣に座る吸血鬼君主ちゃんが緊張気味な彼女の顔を覗き込んでいます。

 

 

「ドキドキしてる?」

 

「……ええ、そうね。ずっと知りたかったお父様のことが判るかもしれないのだから」

 

「ぼくもおんなじだよ。ほら」

 

 

 そう言って光背王(キング)ちゃんの手を自らのぺったんこな胸へと導く吸血鬼君主ちゃん。薄い布地越しに感じられる太陽の温もりと、常より早い鼓動が彼女の手に……。

 

 

「ん、あったかい――って、吸血鬼(ヴァンパイア)の心臓が動いているわけないでしょー!?」

 

 

 HAHAHA、ヴァンパイアジョーク!! ……悪戯が成功しニヤリと笑う吸血鬼君主ちゃんをギリギリと締め上げる彼女の顔からは負の感情が消えたみたいですね。子どもたちがヒソヒソと言葉を交わし、お星様に負けぬほどにキラキラと瞳を輝かせ始めた頃……。

 

 

「さて、準備は宜しいですかな?」

 

 

 ダブル吸血鬼ちゃんの冒険譚で創作意欲が天元突破している吟遊詩人さんによる、『記録に残らない冒険者』の始まりです!

 

 

 

 

 

「――私の知る彼は、文字通りの只人(ただびと)でした。特別な生まれでもなく、恵まれた体躯を持つわけでもない、何処にでもいるごく普通の若者。そして誰よりも『諦め』を知らぬ、実に只人(ヒューム)らしい少年だったと言えるでしょう」

 

 

 愛用のリュートを片手に淡々と語られ始めた『記録に残らない冒険者』の生い立ち。爪弾くリュートの音を触媒として唱えられた≪幻影(ビジョン)≫の呪文によって、一行の前に1人の少年の姿が浮かび上がりました。何処かぽややんとした雰囲気を放つ彼の首には、光背王(キング)ちゃんと同じ太陽神さんの聖印が下げられています。

 

 

「これといって特徴のない農村に生まれ、他の若者と同じように冒険者に憧れ、生まれ育った地を離れた少年。体格こそ少女と見間違うほどであったものの、太陽神の声を聴き、癒しの奇跡を授かっていた彼は同じ新人たちと一党(パーティ)を組み、初めての冒険へと赴いたそうです」

 

 

 冒険者になる前から奇跡を使えたとは、なかなかの信仰心を持っていたみたいですね。当時は混沌の軍勢との戦争の真っ只中、戦場で信仰心に目覚める兵士は多かったみたいですが……。

 

 確認したところ、家の手伝いで農作業を行う際に毎日欠かさず太陽神さんに祈りを捧げてくれていたそうです。無垢な祈りを捧げてくれる推しの子が冒険者になりたがっていると知り、思わず声をかけちゃったんだとか。 一歩間違えたら声掛けの事案じゃないですかねそれ。

 

 

 太陽神さんが当時の記録を持っていましたので、視聴神のみなさんには吟遊詩人さんの語りと並行してそちらも見ていただきましょうか! 映像には両腰に湾刀(イースタンサーベル)を佩いた只人(ヒューム)の少女と石弓を片手に決めポーズをとっている半森人(ハーフエルフ)の少年と一緒に、兵士と思しき屈強な2人の男性と挨拶をしている彼の姿が見えますね。

 

 

「二刀流の女剣士と軽装の射手、3人で受けた依頼は軍の駐留する砦への物資搬送でした。初めての冒険に向かう彼らの心は期待と緊張に溢れていたことでしょう。軍からも歴戦の斥候(スカウト)が2人派遣されておりましたし、頼れる大人の存在は彼らには眩しく見えていたと思います」

 

 

 ふむふむ、どうやら軍だけでは人手が足りず、冒険者を後方支援に用いていたのでしょう。混沌の勢力が攻勢を強めていた時期でもあり、多種族連合軍の成立までは至っていない頃合いでしょうか。緊張のあまり鯱張って歩く3人を斥候(スカウト)の2人が笑いながら指導していますね。

 

 

「道路は整備され、道中の安全は保障された新人向けの依頼と言って良いものでした。熟練の斥候(スカウト)から野営の技術や戦場での心構えを聞きながらの3日間の行程。こうやって実績を積み重ね、いずれは金等級まで……そんな夢を抱いていた彼らが目にしたのは――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――夥しい数の怪物(モンスター)によって蹂躙され、砦が陥落する瞬間だったのです」

 

 


 

 

「な、なんなんだよ……なんなんだよアレ!?」

 

 

 その重厚な防御力と兵士たちの高い練度によって王国の盾として名を馳せていた鉄壁の偉丈夫。難攻不落を謳われていた砦は既に過去のもの、幾本もそびえ立ち全方位に目を光らせていた櫓は全てが半ばから倒壊し、分厚い城門は突破され、内部に入り込んだ混沌の軍勢が懸命に戦う将兵を蹂躙する様を見た半森人の射手が目の前の現実を受け止めきれずに悲鳴をあげています。

 

 

 牛頭人(ミノタウロス)の剛腕で押し潰され、合成獣(キメラ)の爪で引き裂かれ次々に斃れる兵士たち。その背後から無数の小鬼(ゴブリン)が押し寄せ、数の暴虐で兵士たちを無残な肉塊へと変えていきます……。

 

 

小鬼(ゴブリン)どもめ、よくも……ッ!」

 

「待て!」

 

 

 引き倒された兵士を助けようと、斥候(スカウト)の制止も聞かず飛び出す女剣士。抜き放った湾刀(イースタンサーベル)で2、3匹の小鬼(ゴブリン)を斬ったところで群れに飲み込まれ、やがて小鬼(ゴブリン)たちの悍ましい歓声と尊厳を踏みにじられる彼女の声が残った4人の耳に届きました。

 

 

「あ、ああ……」

 

「お、おい、早く逃げようぜ!? 俺らがいたところでなんの役にもガッ!?

 

 

 恐怖で立ち竦む少年の腕を取り、逃げようと提案する射手を撃ち抜いたのは人外の膂力で投擲された短槍(ショートスピア)。崩れ落ちる身体を少年が支える横で斥候(スカウト)2人が視線を向けた先には、ニヤニヤと笑みを浮かべる複数の魔神(デーモン)の姿が。上手く的に当てたのを喜ぶ醜悪な姿を見て、斥候(スカウト)の2人が視線を交わし、腰の剣に触れながら背後の少年に語り掛けます。

 

 

「――すまんな新人(ルーキー)。もっと面倒を見てやりたかったんだが、ちとそれは難しくなってしまった」

 

「……代わりにひとつ、頼みがある」

 

 

 魔神から目を逸らさないまま、少年が身じろぎしたのを感じ取った短く刈り込んだ金髪の斥候(スカウト)。冷たい汗を流しながらも獰猛な笑みを浮かべた彼が告げたのは……。

 

 

 

 

 

「いいか、合図と同時に一目散に引き返せ。そしてなんとか街まで辿り着いて、この惨状を伝えてくれ」

 

 

 ――少年1人で逃げろという、あまりにも残酷で優しい頼みでした。

 

 

「そんな、僕も一緒に戦います!」

 

「ダメだ。ソイツの言っていた通り、新人冒険者など足手纏いにしかならない」

 

 

 少年の言葉を正論で封じるもう1人の斥候(スカウト)。深く被った帽子で目元を隠しながらの突き放すような口調にグッと唇を噛む少年。そんな彼の頭にポンと大きな手のひらが乗せられます。

 

 

「あー……こいつは口下手でな? なに、アイツらを斃し、戦友たちと合流したらすぐに追いかけるさ。だから、お前さんは先に出発してくれ!」

 

「でも……!」

 

「いいからホラ行った行った!! ……良いか、絶対に振り向くんじゃないぞ?」

 

 

 強く背を押され蹈鞴を踏む少年。射手の亡骸を下ろし、振り返ることなく一目散に駆け出した彼をやれやれといった様子で見送った2人は、厭らしい笑みを浮かべたままその遣り取りを眺めていた魔神の集団へと剣を抜き放ち吶喊していきました……。

 

 


 

 

斥候(スカウト)の言葉を信じ、休むことなく駆けた少年。3日掛かった行程を休むことなく夜通し走り、翌日の朝には出発した街へと辿り着いたのです。邪魔な装備は全て捨て、聖印と水袋だけを身に着けた姿でギルドに現れた時の事を、私は今でも鮮明に覚えております。……それが、私が彼と最初に出会った瞬間なのです」

 

 

 そこまで語ったところで区切りを付け、聴き入っていた一行を見渡す吟遊詩人さん。初回からハードモード過ぎる冒険にみんな言葉を失ってしまってますね。

 

 

「フム……たしか夜闇に乗じた飛頭蛮(ペナンガラン)によって監視が無力化され、城門が内側から開かれた戦と記憶してますな」

 

「ああ、只人(ヒューム)の視覚の限界を突かれ、大きな被害を被った。森人(エルフ)鉱人(ドワーフ)など夜目の利く種族の重要性が認識され、多種族連合が成立する切っ掛けになった戦いでもある」

 

 

 当時を思い返すように言葉を紡ぐ蜥蜴僧侶さんと女将軍さん。蜥蜴僧侶さんはともかく女将軍さん、何歳から従軍していたんですかねぇ……。

 

 

「彼の持ち帰った情報によって砦の陥落は迅速に伝わり、すぐさま増援が送られました。依頼こそ失敗に終わったものの、その功績は十分に評価されるものでした……本来であれば、ですが」

 

 

 いつのまにか普段の胡散臭い笑みから陰鬱な笑みへと変貌していた吟遊詩人さん。その変わりように一同も訝し気な表情を浮かべています。みんなからの視線に促がされるように続けて彼の口から出てきたのは……。

 

 

「ギルドで訴える必死の言葉と僅かな休息だけで増援に同行する彼に興味を覚え、詩の題材になると軽い気持ちでついていった当時の私は若く、あまりにも愚かな存在でした。軍が砦に駆け付けた時、既に混沌の軍勢の姿は無く、代わりに敷地内には奇怪なオブジェが乱立しておりました……」

 

 

 

 

 

「生きながらにもぎ取られた四肢によって築かれた山、内臓を貪られぽっかりと空洞の生まれた胴体。そして、地面より生えた槍先に突き立てられた、夥しい数の兵たちの首。そのどれもが苦悶に満ち、凄惨極まりない方法で殺されたことをありありと物語る戦利品(トロフィー)だったのです……」

 

 

「「うぇぇ……」」

 

「オルク……こわい……きらい……!!」

 

「そうね、パパもママも小鬼(オルク)が大っ嫌い。だからあいつらを滅ぼすためにみんな頑張ってるの!」

 

 

 吟遊詩人さんのリアルな描写にうんざりとした表情なダブル吸血鬼ちゃん。小鬼(ゴブリン)のやることはどれも陰惨で救い難いものばかり。記録映像では斥候(スカウト)2人の首を前に泣き崩れる少年の姿が映っています。耳を引き絞りパパのようにガチガチと歯を鳴らす星風長女ちゃんを落ち着かせるように、妖精弓手ちゃんが優しく撫でてあげてます。

 

 

「初の冒険で失敗したことと、仲間や兵を見捨てて1人で逃げてきたという謂れなき言葉が彼の心身を深く傷付けたのでしょう。兵たちの埋葬を手伝い現場の状況を報告し、僅かな報奨金を受け取ったそれ以降、彼が冒険者ギルドに姿を見せることはありませんでした」

 

 

 あー、だから冒険者ギルドにも記録が残っていなかったんですね。初回で失敗しそれ以降顔を出さなくなる新人……失意のまま故郷に帰ったか、何処かで野垂れ死んだと思われるだけでしょう。

 

 

「やがて彼の存在は忘れられ、冒険者たちの間で話題になることもなくなりました。……数年後、辺境を渡り歩いていた私は馬人(セントール)の集団と出会いました。そして、その中には仲睦まじき馬人(セントール)の姫と、彼の姿があったのです」

 

 

 おお、これは素晴らしいボーイミーツガール! 次はそんな2人の出会いのシーンですね! それでは当時の映像をご覧ください!!

 

 


 

 

「「「GOBGOBGOB!!」」」

 

「く……このような場所でなければ貴様らなぞ一蹴してやったものを……ッ」

 

 

 ふむふむ、どうやら場所は山間の映像みたいですね。小鬼(ゴブリン)の群れに囲まれているのは後ろ髪を尻尾のように結った四脚の馬人(セントール)の女の子。斜面を滑落したのか右の前肢が奇妙に曲がり、苦痛を堪えた表情で小鬼(ゴブリン)たちを睨みつけています。

 

 右手の(ハチェット)で何体か斃しているようですが、やはり多勢に無勢。にじり寄る小鬼(ゴブリン)たちの獣欲に満ちた瞳に嫌悪感から身を捩っていますね。食いでのある獲物に涎を溢れさせた小鬼(ゴブリン)が飛び掛かってくるのを見て(ハチェット)を向けますが、負傷した脚が身体を支えきれずに転倒してしまいました。バランスを崩した拍子に彼女の手から零れ落ちる(ハチェット)、好機と見たゴブリンが一斉に襲い掛かってきたその瞬間……!

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「GOB!?」

 

 

 横合いから繰り出された蹴りで吹き飛ぶ矮小な体躯。胸部に命中したソレは華奢な肋骨を圧し折り、小鬼(ゴブリン)は肺に突き刺さったことで血の海で溺れています。地面に落ちていた(ハチェット)を拾い上げ、襲撃者たちに向けているのは……もちろん太陽神さんを信仰している少年です!

 

 刃の付いた武器は不得意なのか、(ハチェット)を寝かせ分厚い刀身で小鬼(ゴブリン)を殴りつける少年。撤退することなど頭に浮かばない集団をなんとか全滅させ、血と汗と泥に塗れた姿で馬人(セントール)へと駆け寄ります。突然の闖入者に目を丸くしている彼女の負傷を見て、躊躇うことなく太陽神さんさんへ癒しの奇跡を願う祈りを唱えました!

 

 

「≪太陽礼賛、光あれ!≫」

 

「そなた、神官だったのか……っておい! どうした、しっかりせぬか!?」

 

 

 馬人(セントール)にとって死に直結しかねない脚の怪我。それを瞬く間に治療した癒しの奇跡で飛び込んで来た只人(ヒューム)の少年が神官であると察した彼女が感謝を述べようとしますが、緊張の糸が切れたのか彼女のバ体にもたれかかるように気を失ってしまったみたいです。

 

 状況の推移について行けず困惑した表情の馬人(セントール)でしたが、やがて何かを決心した表情で彼を()()()()()()()、ゆっくりと歩き始めました……。

 

 


 

 

「えっと、たしか馬人(セントール)が自分の背に人を乗せるのって……」

 

「信頼、あるいは親愛の証ですね!」

 

 

 匂い立つアオハルに黄色い声を上げる女性陣。剣の乙女ちゃんや妖精弓手ちゃんも混ざっているあたり、何歳になっても女の子は恋バナが好きなんですねぇ……。

 

 吟遊詩人さんが再会までの話を少年から聞き出した際にも随分と惚気話を聞かされたらしく、次から次へと出てくる2人のラブラブな思い出話に女性陣はもう首ったけ。両親の駄々甘い過去をみんなに知られた光背王(キング)ちゃんも真っ赤な顔を両手で隠してますが、残念ながら尻尾がブンブン振れているのでまったく隠し切れていませんね!

 

 

「背に只人(ヒューム)の少年を乗せて帰ってきた姫の姿に馬人(セントール)たちは大騒ぎ。ざわつく一族の者たちを前に姫はこう宣言したそうです。『私はこの者にふたたび大地を駆ける機会を与えられた。ならば、私はこの者が駆けるための大地となり、この者を私が駆ける大地としよう!』……つまり、彼を自分の夫にすると、ね?」

 

 

「「「「「きゃー♪」」」」」

 

 

 やだ……光背王(キング)ちゃんのママってば男前過ぎ……!

 

 気絶している間に婿入りが決まってしまい当初は困惑していた少年でしたが、自然の中での暮らしと馬人(セントール)たちの穏やかな心によって傷付いた心身が少しずつ癒され、徐々に生来の明るさを取り戻していったそうです。

 

 そのぽややんとした性格で他種族との交易の際に助言者として立ち会ったり、また彼らにとって希少な癒しの奇跡を使えたりと有用さを見せたこともあり、他のウマ娘ちゃんたちからも熱い視線を向けられていたんだとか。……危うく争奪戦が勃発しそうになったりもしたそうですが、光背王(キング)ちゃんのママ一筋だとアピールし続けて回避したそうです。

 

 

馬人(セントール)只人(ヒューム)の番か……興味深いが、ひとつ疑問があるな」

 

 

 お、黄色い声を上げる女性陣のなかで唯一沈黙を保っていた闇人女医さんがスッと手を挙げました。一同が注目する中、彼女が口にしたのは……。

 

 

 

 

 

「――どうやって2人はうまぴょいしたのだろうか」

 

「「「「「!!」」」」」

 

 

 ひとたび思いたったら考えずにはいられない、生命の神秘についてでした……。

 

 

 

 

 

「さて、続きを話してちょうだい?」

 

 

 ニッコリと笑う妖精弓手ちゃんのお願いにガクガクと頷きを返す吟遊詩人さん。彼女の背後では頭頂部から煙を上げる闇人女医さんがスヤァ・・・とソファーに身を預けています。

 

 

「――彼が馬人(セントール)たちと暮らすようになって数年、多種族連合の結成に伴い、只人(ヒューム)以外の種族が並び立って戦場へと赴く機会が増えていきました。馬人(セントール)はその突破力を買われ、後の黒色槍騎兵隊の母体となる部隊に配属されていきます。戦いは馬人(セントール)にとって誉れですが、それを見送る彼の表情は明るいものではありませんでした」

 

 

 多種族連合の結成により、混沌の軍勢を押し返し始めた秩序の勢力。戦線は膠着状態に陥り、決定打を欠いた状況が続いていた時期ですね。

 

 

「そしてある朝、彼は太陽神からの≪託宣(ハンドアウト)≫を授かりました。それは、あの初めての冒険の時、砦で遭遇した以上の惨劇が引き起こされようとしているという、神からの警告だったのです。同じ太陽神の信徒と協力し、恐るべき魔神を滅ぼせと……」

 

 

 吟遊詩人さんの言葉に込められた圧に押し黙る一同。そんなみんなの耳に強く地面を踏みしめる足音が入って来ました。少女剣士ちゃんに撫でられて気持ち良さそうに目を瞑っていた狼さんが跳ねるように顔を上げ、闇の中から現れた人物へと駆け寄って行きました。同時に太陽神さんからの≪託宣(ハンドアウト)≫を受信した吸血鬼君主ちゃんが光背王(キング)ちゃんの手を取り、狼さんの後を追うように人影へと導きます……。

 

 

「ワン!」

 

 

 ――現れたのは3名の男女。誰もが太陽の香りを纏い、決意に満ちた表情を浮かべています。

 

 駆け寄ってきた狼さんをその豊満なたわわで受け止め、ゆっくりと撫でているのは腰に短筒を下げた神官銃士ちゃん。光背王(キング)ちゃんを真ん中の人影の前に誘い、彼女の手を離して抱き着いてきた吸血鬼君主ちゃんを受け止めたのは黒と濃緑の外骨格に身を包み、腰帯(ベルト)太陽石(キングストーン)を闇の中で輝かせる蟲人英雄さん。そして……。

 

 

「あ、あなたは……!?」

 

「最後に会ったのはまだ君が小さい頃だったが、覚えていてくれたのか……」

 

 光背王(キング)ちゃんと視線を合わせるように腰を落とし、バケツ兜の奥から優しい瞳で彼女を見つめる太陽戦士さんです!

 

  突然の3人の登場に驚きを隠せない一行。いち早く再起動したのは妖精弓手ちゃんでした。

 

 

「あー!? ずっと探してたんだからね!」

 

「すまない、事情があって彼とともに神殿を離れていたんだ……」

 

 

 妖精弓手ちゃんの声にギチギチと牙を鳴らしながら申し訳なさそうに答える蟲人英雄さん。むぅーっと頬を膨らませる彼女を見てた吸血鬼君主ちゃんが慌てて飛び移り、もちもちほっぺを擦りつけてぷしゅーと空気抜きをしています。

 

 

「えっとね、かみさまがごめんねって。どうしてもしんでんちょうさんじゃなきゃダメだったんだって」

 

「むぅ……まぁそういうことなら。で、その事情ってのはなんなのよ?」

 

「――それは、俺が話そう」

 

 

 首筋に抱き着いていた吸血鬼君主ちゃんを胸元に抱え直し、吸血鬼吸いで気分を落ち着けた妖精弓手ちゃんに応える太陽戦士さん。吟遊詩人さんへと視線を向け、頷きが返ってきたのを確認した彼が告げるのは……。

 

 

「かつて、俺と神殿長、そして彼……『絢爛舞踏(ダンシングブレーヴ)』の3人で立ち向かい、彼がその命を以て封印した魔神が復活しようとしている」

 

 

 

 

 

「数多の魔神を率い、無尽蔵に怪物(モンスター)を生み出す混沌(カオス)そのもの。蝗人(ローカスト)を狂わせ、神殿長の親友を奪った元凶。あの大悪竜(オロチ)やエキビョウでさえ、奴にとっては単なる使い捨ての道具に過ぎぬ存在」

 

 

 

 

 

奈落ノ底(アバドン)黒イ太陽(アルシエル)、あるいは常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)。万物を照らす太陽を飲み込み四方世界に闇を齎そうとする恐るべき大魔神を滅ぼすため、貴公らの力を借りたいのだ!!」

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 





 参考資料の大神を遊び直すので失踪します。


 なかなかタイトなスケジュールで時間がとれず、更新が遅くなってしまいました。

 研修が終わり、仕事に慣れるまで時間が掛かりそうですので、また次話までは時間を頂戴することになりそうです。

 評価や感想、お気に入り登録が更新の原動力になりますので、よろしければお願いいたします。


 お読みいただきありがとうございました。
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