ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 妖精弓手ちゃんの動く姿が可愛すぎたので初投稿です。



セッションその18-8

 前回、合体魔神をボコボコにしたところから再開です。

 

 さて、再生魔神軍団との決着が付いたところでメインターゲットである『常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)』のほうはどうなっているでしょうか。原作でのムーブと太陽戦士さんの台詞から察するに一定のダメージを与えるごとに変身……変形?を繰り返すことが予想されますが……ん?

 

 

 

 

 

「主さま!? 主さまぁぁぁぁぁ!?!?」

 

「近寄っちゃダメ! あなたまで取り込まれてしまうわ!!」

 

 

 ファッ!? 悲痛な叫び声を上げる若草知恵者ちゃんを光背王(キング)ちゃんが必死に抑え込んでます!

 

 

「くっ、剣も呪文も効かんとは……!」

 

「いったいどれだけ変身を残しているんだ……ッ!」

 

「お姉様……っ」

 

 

 蟲人英雄さんと太陽戦士さん、神官銃士ちゃんが消耗した様子で膝を着き睨みつける先には白と黒が不規則に入り混じった巨大な球体が、一行を嘲笑うかのように悠然と浮かんでいます。いったいナニがあったんでしょうか、ちょっと映像を巻き戻してくださーい!

 

 


 

 

「――走れ雨馬(ケルピー)矢の如く、土から森川、海から空へ……!」

 

『うぇぇ……したまでびしょびしょだよぉ……!』

 

「良いぞ森人(エルフ)のお嬢さん! トオォォォォォ!!」

 

 

 全身に炎を纏い、火球となって迫る『常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)』に降り注ぐのは恵み齎す清らかなる雨。若草知恵者ちゃんの≪雨乞(コールレイン)≫によって火を消され行動不能(スタッガー)状態となった魔神に蟲人英雄さんがジャンプキックを決め、再び岩盤浴を強要していますね。幾度目かの再起動を果たした魔神が幅広く身体を変形させ、不規則に回転する絵柄を展開してきましたが……。

 

 

「絵合わせで御座いますね。それでしたら……!」

 

『おま、それはひきょうすぐるでしょう!?』

 

 

 必中の≪力矢(マジックミサイル)≫は狙った絵柄に命中! ポンポンポンと発射された火球が一行に迫ってきて……。

 

 

「一流の蹴りを見せてあげるわ!」

 

投手(ピッチャー)返しです!」

 

「グワァラゴワガキィーン!」

 

「追撃もあるぞ! ≪太陽礼賛! 光あれ!≫」

 

 

 バッチコーイな三人によって跳ね返された火球が着弾し地上へと落下する『常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)』。衝撃で露出した内部に太陽戦士さんの≪霹靂(パニッシャー)≫が降り注ぎ、魔神の内部機構がバチバチとショートしていますね。

 

 

 ……ふむふむ、どうやら若草知恵者ちゃんの活躍もあって戦況は優勢に進んでいたみたいですね。再起動を繰り返すたびにその姿を変える魔神ですが、先に情報を知っていたおかげで好き勝手に行動させず攻めを継続できているようです……と、スタン状態から復帰した『常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)』がまた変形しましたが、これは……!

 

 

「大きな手、でしょうか……?」

 

「ひとたび掴まれれば脱出は難しそうだな……!」

 

 

 球体の一部が展開し現れたのは巨大な手。赤黒く明滅する紋様が掌へと集まり、分厚い装甲の一部が開きました。透明な素材でできた(コア)と思しき球の中、全身を液体に浸しプカプカと浮かぶのは胎児にも似た異形の姿。肥大した頭部にある大きな瞳を見開き、欲望に満ちた目でソレが見つめる先は……。

 

 

『――おまえがままになるんだよ!!』

 

 

 出産を経験しながらも少女のような可憐さを保っている、若草知恵者ちゃんの下腹部です!

 

 

「ひっ!?」

 

 

 言葉こそ理解出来ないものの、そこに秘められた意味が伝わるには十分過ぎる視線に晒され悲鳴を上げる若草知恵者ちゃん。直接視線こそ向けられてはいませんが、場に充満する悍ましい気に神官銃士ちゃんと光背王(キング)ちゃんも身を隠すように後ずさりしています。ふたりを庇うように進み出た蟲人英雄さんと太陽戦士さんが何かに気付いたように顔を見合わせ、怒りに身を震わせ始めましたね……。

 

 

「そうか、奴め彼女の胎を使って自らを産み直させようとしているな!」

 

「傷付いた身体を捨て現世に降臨するつもりか……許せんッ!!」

 

 

 剣と拳を構え直し、魔神と相対する二人。ですが、もっとブチ切れている娘がいるんですよねぇ……。背後より飛来した緑光が魔神に激突したのはその直後です!

 

 

『あがががががが!?』

 

 

 鋭角的な軌道を描きながら上空へと魔神を打ち上げていく緑色の閃光。上空から応援していた吟遊詩人さんをあっという間に通り過ぎ、手を収納し防御態勢となったことなど関係無いと装甲を歪ませていきます。

 

 異界の生成上限ギリギリまで上昇したところで繰り出された〆の一発は強烈な打ち下ろし! 地上に大穴を空けながら帰還した『常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)』を見下ろすのは、怒りゲージが振り切れたために無表情となった吸血鬼君主ちゃんです。

 

 歪になった装甲に手を当て、取り込んだ呪物の権能を行使すればだらりと垂れ下がってくる魔神の手。抵抗するように震動する外殻を無理矢理こじ開け、透明な素材越しに目の合った魔神に放つのは……。

 

 

 

 

 

 

「…………!」

 

 

 言葉ではなく、必ず殺すという決意のみ……と、黒く硬質化した拳を叩きつけられ、徐々に罅割れていく最後の壁を見た魔神が慌てたように動き始めました。自分にダメージが入るのも構わず放たれた衝撃波によって弾き飛ばされた吸血鬼君主ちゃんを、空高く跳躍した蟲人英雄さんが受け止め格好よく着地しました。集結した一行の前で『常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)』が変形していくのは、冒頭で観た白黒の入り混じった姿です……!

 

 

『さあ、どこからでもどうぞ……!』

 

「おそらくアレが最終形態だろう……!」

 

「みんな、気を抜くな! 慎重に攻めるぞ!!」

 

 

 今までの形態とは違い、自ら攻めることなく悠然と浮かぶ姿に警戒を促す太陽戦士さんと蟲人英雄さん。神官銃士ちゃんは太股のホルスターから短筒を引き抜き、吸血鬼君主ちゃんはおなかに手を当てて(ケイン)を取り出すポーズ。若草知恵者ちゃんを庇うように光背王(キング)ちゃんが構えたところで青い顔の若草知恵者ちゃんが呪文を唱え始めました。

 

 

「≪サジタ()≫……≪ケルタ(必中)≫……≪ラディウス(射出)≫!」

 

 

 牽制として放たれたのは先ほども使用した≪力矢(マジックミサイル)≫。術者の力量によって増大する本数と必中という特性から初手に選択されることの多い呪文。形態変化によって呪文抵抗を持ったかどうかを確かめるのにも向いた魔法ですが……。

 

 

『かかったなあほが!』

 

「!? 消え……きゃあっ!?」

 

「なに!? 脚が、動かな……ッ!?」

 

 

 魔力の矢が命中する直前に球体は突如消失。直後、若草知恵者ちゃんの真上に出現しました! 陽光が遮られたことで異変に気付いた若草知恵者ちゃんの悲鳴にみんなが目を向ければ、泥沼に踏み入ってしまったかのように若草知恵者ちゃんと光背王(キング)ちゃんの足が地面へ沈んでしまってます。

 

 

「まってて、いまたすける!」

 

 

 状況の変化にいち早く動いたのは吸血鬼君主ちゃん。即座に泥沼の上へと飛翔し、漆黒の泥からふたりを引き上げました……あ! 獲物を逃がさんと言わんばかりに泥中から無数の触手が生えてみんなを絡めとろうとしています!

 

 

「ふんぐぎぎ……ていっ!」

 

 

 翼を振り回して触手を引き千切り、なんとか若草知恵者ちゃんと光背王(キング)ちゃんを泥沼の淵まで接近していた蟲人英雄さんと太陽戦士さんに投げ渡すことに成功しましたが、その代償として全身に触手が巻き付いてしまった吸血鬼君主ちゃん。吟遊詩人さんが相棒に指示を出し接近しようとしますが……触手の海には近付けず、救出は難しい様子。やがて小さな手がトプンと消え、脱出しようと藻掻いていた吸血鬼君主ちゃんは完全に引きずり込まれてしまいました……。

 

 


 

 

 ――と、ここまでの状況を確認しましたが……え、これ不味くないですか!? 若草知恵者ちゃんの≪核撃・爆裂(フュージョンブラスト)≫や太陽戦士さんの≪霹靂(パニッシャー)≫、神官銃士ちゃんの悲しみの一撃(ボルテックシューター)を叩き込んでも球体がダメージを受けている気配がありません。おまけに晴天だった異界の空が徐々に薄暗くなってきています……。

 

 

「これは、面倒なことになりましたね……」

 

「どういうこと? 早く助けなきゃいけないのは判るけれど……」

 

 

 上空から降りて来た吟遊詩人さんの真剣な眼差しを見て問いかける光背王(キング)ちゃん。一行の視線が向けられた吟遊詩人さんが口にしたのは、四方世界にとって最悪な想像です……。

 

 

「彼の頭目(リーダー)殿は陽光の加護授かりし日の当たる道を歩むもの(デイライトウォーカー)。彼女を取り込むということは太陽の簒奪であり、日食の再現でもあります」

 

「そうか! 同士の持つ星の力(核融合炉)を使い、次元に穴を空け(プレーンズウォークす)る算段なのだな!!」

 

 

 うぐぐ……たしかに! 吸血鬼君主ちゃんの心臓である星の力(核融合炉)の出力は膨大であり、その力を利用すれば再度四方世界へと降臨可能です。日食の再現というのも以前太陽神さんが破壊神さん(スサノヲ)の乱暴にキレて引き籠った例のアレを再演していると言えるでしょう。一刻も早く吸血鬼君主ちゃんを助け出さなければいけません!

 

 

「でも、どうやってお姉様を……っ」

 

「いくら攻撃しても効果はありませんし、何か方法は……」

 

 

 なんとか落ち着きを取り戻した若草知恵者ちゃんを胸元に抱きしめたまま俯く神官銃士ちゃんと、必死に思考を巡らせる若草知恵者ちゃん。停滞した場を動かしたのは、顎に手を添え考え込んでいた吟遊詩人さんです。

 

 

 

 

 

「――私に良い考えがあります」

 

 

 それ失敗するヤツじゃありません???

 

 

 

「先程から魔神を観察していたのですが、ひとつ気付いたことがありまして。アレほど苛烈な攻撃を行っていたのに、今は防御一辺倒……どうでしょう、違和感を感じませんか?」

 

「言われてみれば……お姉様を取り込んでからは此方が何をしても無反応ですわね」

 

「それにあの球体……呪文抵抗を抜けずに消失したり耐性で減衰されることはあっても、必中である≪力矢(マジックミサイル)≫が外れるなど通常考えられないことです」

 

 

 状況を確認しながら推論を述べる吟遊詩人さん。どこぞの道化師(フラック)のように理不尽な理由(ギャグ補正)で躱されることはあっても、四方世界の理を書き換えでもしない限り≪力矢(マジックミサイル)≫が必中なのは確実です。もしそんな例外もなく外れるのだとしたら……。

 

 

「――『狙う対象が間違っている』……ということでしょうか」

 

「はい、つまり上空のアレは『常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)』であって『常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)』ではない。言わばその()の如きものではないでしょうか」

 

「では、魔神の本体は……!」

 

 

 興奮を隠せぬ神官銃士ちゃんの言葉に頷きを返し、吟遊詩人さんが指差したのは球体の下に広がる漆黒の沼。つまり吸血鬼君主ちゃんを飲み込んだ影こそが本体ということですね!

 

 

「このまま世界が闇に閉ざされれば、魔神の(本体)はこの異界を覆い尽くし、やがて四方世界まで広がるでしょう。ですが、裏を返せばそれは……」

 

(本体)を消してしまえば、ヤツはその存在を保つことが不可能になる!!」

 

「ええ。そして、その鍵を握るのは……」

 

 


 

 

「――さて、心の準備はよろしいですか?」

 

 

 不規則に模様を変化させる本体()の上空、空飛ぶ蝲蛄(ファンタズマ)に跨る吟遊詩人さんが問いかけるのは同じく背に乗っていた光背王(キング)ちゃん。彼女の周りを精霊たちが楽しそうに回り、若草知恵者ちゃんの唱えた≪降下(フォーリング・コントロール)≫がバッチリ効果を発揮していることを伝えています。

 

 

「ええ、大丈夫。ここまでお膳立てしてもらったんだもの、完璧にやり遂げて魅せるわ!」

 

 

 パチンと両手で頬を叩き立ち上がった彼女を見て、四方から(本体)を囲うように立っていた神官たちが祈りの聖句を唱えます。万知神さん経由な若草知恵者ちゃんを含めた四人が唱えた≪聖歌(ヒム)≫が闇に覆われつつある異界に響き渡るなか、空飛ぶ蝲蛄(ファンタズマ)の背から空中へと光背王(キング)ちゃんが足を踏み出しました。

 

 

「んんー、なんと素晴らしき歌声。では私もご一緒させていただきましょう!」

 

 

 ご機嫌な様子で吟遊詩人さんが爪弾くのは、何処か寂しげな旋律。その音色に合わせて、光背王(キング)ちゃんが歌い始めます……!

 

 

ひとりきり暗闇の中 君の涙の意味を知った

願う場所踏み出したけど 誰も傷つけたくなくて

 

 

 光背王(キング)ちゃんの歌声に呼応するように、地上より立ち昇ってくる淡い光。ひとつひとつは小さいソレが、融け合うようにひとつになっていきます。

 

 

海を渡す風は今日も 迷わずに明日に向かうのに

心はどうして 動き出せない

 

 

『な、なにをするだぁぁぁぁ!?』

 

 

 頭上に集まる魔力に危機を察知した『常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)』が(本体)を波打たせ触手を伸ばそうと試みますが、ほんの僅かに伸ばしたところでその目論見は潰えます。

 

 

「そうはいきませんわ!」

 

「今だ、祈りをひとつに!!」

 

「「「「太陽礼賛! 光あれ!」」」」

 

『うぉおおおおあっちぃいいいい!?!?』

 

 

 四方から同時に唱えられた≪聖光(ホーリーライト)≫が(本体)を照らし、その存在を本体()の下へと押しやっていきます! 白黒の模様も苦痛に悶えるように乱れ不安定な震動を起こす中、力強さを増した歌声が降り注いてきました!

 

 

どんな運命が 待っているんだろう

悔やみたくないよ 生まれたこと

悲しみの中に 勇気がある

輝きつかむと 信じている

 

 

 精霊たちを引き連れながら、空中で華麗に歌い踊る光背王(キング)ちゃん。やがてその手に光が集い、一振りの剣へと姿を変えました!

 

 

「我は夜明けを齎す者にして、光背(ヘイロー)の血統と絢爛舞踏(ダンシングブレーヴ)の称号を受け継いだ一流のウマ娘(セントール)! さぁ、あしきゆめよ。私たちの太陽を返してもらうわ!!」

 

 

 『勇者』が冒険者における頂点であり、『栄纏神の神官』が兵士たちの心の支えであるならば、『絢爛舞踏』は力無き人々の眠りを護り、明日を呼ぶ希望の象徴。その足音は騒々しく夜明けを告げ、その手に握る剣は闇を祓う一筋の光なのです! ≪降下(フォーリング・コントロール)≫を解除した光背王(キング)ちゃんの一撃は過たず本体()を斬り裂き……。

 

 

『いでぇよぉぉぉぉぉ!?!?』

 

 

 地上で蠢く(本体)の至る所に亀裂が入り、同時に本体()から血のように赤い魔力が吹き出しました!

 

 

 

おお(Ooh)素晴らしい(Majestic)! これぞまさに『叙事詩に残る一撃』と言えるでしょう!!」

 

 

 興奮冷めやらぬ様子で降下してきた吟遊詩人さんと合流し、眼前の魔神を見つめる一行。地上の(本体)は干ばつに遭った大地のように深く罅割れ、宙に浮かんだ本体()からは夥しい魔力が零れ落ちていますが……。

 

 

「お姉様……ッ」

 

「主さま……」

 

 

 どうしたんでしょう、吸血鬼君主ちゃんが出てこないですね……流石に取り込まれてしまってはいないと思うのですが……おや? 本体()の様子が……。

 

 

「んしょ、んしょ……いまもどるねー!」

 

 

『らめぇ、さけちゃうぅぅぅぅ……ひぎぃ!?』

 

 

 鈍い音とともに本体()から突き出てきたのはちっちゃな手。メリメリと裂け目を押し広げられ悲鳴にも似た声を上げる『常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)』を嘲笑うように上半身を覗かせ、何かを抱えた状態で(本体)の上に降り立つ吸血鬼君主ちゃん。着地の衝撃で(本体)は灰と化して崩れ去り、破裂した本体()からは魔力の残滓が血雨のように地上へと降り注いでいます……。

 

 

「お、おかえりなさいませ主さま!」

 

「ん、ただいまー!」

 

 

 服が血の色に染まるのも構わず吸血鬼君主ちゃんを強く抱きしめる若草知恵者ちゃん。彼女を安心させるように頭を撫で、ほっぺにちゅーする吸血鬼君主ちゃんですが……他のみんなの視線は反対側の手で捕まえているモノに釘付けですねぇ……。

 

 

「貴公、それはもしや……」

 

「うん、アイツのほんたい! またにげようとしてたからつかまえてきた!!」

 

 

 若干小さくなったようですが、それでも吸血鬼君主ちゃんが持つと半分以上引き摺るサイズの胎児にも似た魔神……強固な鎧でその身を覆い、太陽神さんの権能を横取りしていた『常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)』の本体が、温かな液体から引き摺り出された姿で震えていました。

 

 

「きみは、ソイツをどうするつもりだい?」

 

 

 懐から細身の刀剣(バイオブレード)を取り出し、怒りのあまり外骨格を青色に変化させながら問う蟲人英雄さん……あ、(ケイン)とは別物扱いなんですねソレ。 極々一部の存在を除き、決して判り合えないのが魔神という存在です。もし吸血鬼君主ちゃんが魔神を見逃すというのなら内部侵入&破壊(バイオアタック)も辞さない構えですが……。

 

 

『やめて……ひどいことしないで……!』

 

 

 憐れみを誘うようにか細く鳴き声を上げる魔神を両手で捧げ持ち、目を合わせる吸血鬼君主ちゃん。その目に宿るのは……。

 

 

「あんしんして、ころしたりなんかしないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しにたいっておもっても、ぜったいにしねないようにするだけだから」

 

 

 相手を資源(リソース)としか見ていない、背筋が凍るほど無機質な光です……。

 

 

 

『やめろーしにたくなーい! しにたくなー……!?』

 

 

 吸血鬼君主ちゃんの手から逃れようと身を捩る『常闇ノ皇(プリンスオブダークネス)』の身体に突き立つ幾本もの影の触手。残った魔力を吸い上げながら逆に送り込んでいるのは星の力(核融合炉)で熱せられ液体と化したヒヒイロカネでしょうか。肉を焼く液体金属を流し込まれ内部から改造される痛みに苦痛の叫びを垂れ流す魔神の身体が徐々に皺だらけとなり、やがて幼虫が蛹となるようにズルリと皮が剥け落ちました。

 

 

「でーきたっ!」

 

 

 ()()していた触手を抜き取り、満足そうに頷く吸血鬼君主ちゃん。その小さな手に残ったのは、膨大な魔力を放つ漆黒に染まった金属球です。コツンと叩いて太陽神さんの力を盤外(こちら)へ返し、あとに残った魔神を燃料()に稼働している星の力(核融合炉)をみんなへ自慢げに見せてますね!

 

 

「えへへ……これをあのこにあげればおそろいのパワー! そとのせかいにかえしたわけじゃないから、まじんがふっかつするしんぱいもないよ!」

 

「二度とこの世界に現れることがないのは良いことだが、ウーム……」

 

 

 ドヤ顔でヤベーイ代物を掲げる吸血鬼君主ちゃんを見て頭を抱える太陽戦士さん。うん、まぁ、ダブル吸血鬼ちゃんが同時にピチューンでもしなければ復活することはないでしょうし、目の届くところにあるからある意味安心じゃないですかね?

 

 蟲人英雄さん的にはどうなのか……あ、「おそろいのパワー!」のところで親友を思い出したのか、目を真っ赤に腫らして涙を……って、元から真っ赤な目でしたね!

 

 ≪浄化(ピュアリファイ)≫で穢れを浄めた後、気が抜けたように立ち尽くしていた光背王(キング)ちゃんに近付いていく吸血鬼君主ちゃん。むぎゅっと正面から抱き着き一流のたわわを堪能しながら、彼女の頭を撫でています。

 

 

「あいつのなかにいるときに、おうたがきこえてきたの。とってもじょうずだったよ!」

 

「――当然よ! だってわたしは(キング)、一流のウマ娘(セントール)なのだから!!」

 

 

 お山から吸血鬼君主ちゃんを引っぺがし、改めて抱え直した光背王(キング)ちゃん。コツンと額同士をくっつけながら、ふにゃりと年相応の笑みで呟きます。

 

 

「ありがとう、小さなおうさま。ちょっとだけ、王の在り方ってのが判った気がするわ」

 

「……うん、どういたしまして。ぼくも、きみみたいにみんなからすきっていわれるおうさまになりたい!」

 

「ふふ、そうね! お互い足を止めている暇はないわよ!!」

 

 

 額を触れ合わせたまま笑い合うふたり。どちらからともなくその唇が近付いていき……って、まずいですよ!?

 

 

 

 

 

「むー! ズルいですお姉様、私もご褒美が欲しいです!! 主にお姉様の温かくて濃いーい魔力とか……!」

 

「そちらは陛下から止められていらっしゃいますよね? ……でも、今日は(わたくし)も随分と消耗しておりまして……ちらっ♪」

 

「んなっ!? あ、あなたたち不潔よ!? それにそういうのはもっと慎み深く……!」

 

 

 慌てた拍子に取り落とした吸血鬼君主ちゃんに伸びる肉食女子の魔の手を見て真っ赤なお顔の光背王(キング)ちゃん。ちょっとHな雰囲気のBGMを演奏し始めた吟遊詩人さんが蟲人英雄さんに再び教育的指導され、太陽戦士さんが遠い目になっているところで空間に罅が入り始めました。どうやら通常空間に戻る時間が来たみたいですね! いかん危ない危ない……。

 

 

 さぁ、戻ったら戦後の処理と吸血鬼侍ちゃんのパワーアップイベントです! 長かったセッションもようやくリザルト、編集完了まで少々お待ちください!!

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 





 圃人剣士ちゃんの再登場を待ち望んでいるので失踪します。

 評価や感想、お気に入り登録ありがとうございます。そろそろ原作に追い付きそうですが、番外編の構想もありますので気長にお待ちいただければ幸いです。

 お読みいただきありがとうございました。
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