ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 無事に試験が終わったので初投稿です。




セッションその18.5-1

 

 立つ鳥跡を濁さずな実況プレイ、はーじまーるよー。

 

 

 太陽神さんのテンションが頂点に近付き、暑さが増してきた西方辺境。辺境の街へと続く街道をゆっくりと進む二台の荷車が見えますね。

 

 

「もう少しで街に着くけど、交代しなくて大丈夫かしら?」

 

「はい! ずっと平らな道でしたから、まだまだ余裕です!!」

 

 

 牧場で生産された乳製品や新鮮な野菜を満載した荷車を曳いているのは艶やかな黒髪が美しい英雄雛娘ちゃん。隣を歩く女魔法使いちゃんに笑顔で返事をしつつ、元気いっぱいな様子です。

 

 前回の終わりに妖精弓手ちゃんが言ってましたが、英雄雛娘ちゃんに月のものが訪れるようになり、本格的に魔力供給が行われ始めました。育った環境の影響で成長が阻害され加入時にはガリガリだった身体ですが、食育とトレーニング、眷属ママたちからのちゅーちゅー、そしてあむあむごっくんな魔力供給の結果、驚くほど改善されました!

 

 身長はグングン伸びて女神官ちゃんを超え、冒険者セット(ランドセル)を背負いながら大小二刀を振り回してもブレない体幹と槍ニキに匹敵する踏み込みを搭載したボディは猟犬の如きしなやかさ。

 

 さらに本番が解禁されたことで肉体改造は加速し、グッと女性らしいプロポーションに大変身! 剣聖さんに勝るとも劣らない恵体は瑞々しい生命力と魔力に満ちており、ギルドや訓練場でその姿を見た新人冒険者たちの劣情を煽りっぱなしみたいです。

 

 

「ねぇねぇ、わたしもたまには曳きたいんだけどなー?」

 

「……いや、ここは俺に任せろ」

 

「パパ、がんばって!」

 

 

 後ろの荷車を曳いているのはダブル吸血鬼ちゃんたちから贈られた装備に身を固めたゴブスレさん。牧場長男くんを胸に抱く牧場若奥さんの繰り出す上目遣いのおねだりに塩対応しつつ、黙々と英雄雛娘ちゃんの荷車に続いてますね。ダブル吸血鬼ちゃんのインベントリーを利用すれば高速でたくさんのものを運べますが、受け渡しのやり取りやコミュニケーションも大事なお仕事。緊急事態でもなければこうやって荷車でえっちらおっちら運ぶのがいつもの光景です。

 

 二台の荷車が進む道は王都に続く石畳のソレとは違い、土が剥き出しになったもの。一見草を刈って踏み固めただけにも見えますが、実はけっこう手間が掛かっているんです。ちょうど去年この道を造っているときの映像がありますので、ちょっと見てみましょうか!

 

 


 

 

「ではみなさん、作業をはじめてください!」

 

「「「「「はーい!」」」」」

 

 

 防寒着に身を包んだ受付嬢さんの声に元気よく返事をする冒険者たち。訓練場で学ぶ新人たちに加え、秋~春にかけて依頼が減り日々のごはんに困り始めた低級たちの姿もちらほら。ギルドから支給された円匙(スコップ)を手に踏み固められた道の左右を掘り、集めた土を道の上に撒いていきます。

 

 

「さーてヒヨッコ共、その有り余ってる力を存分に発揮してもらうぜぇ?」

 

 

 悪い笑みを浮かべているのは訓練場の教官に就職した戦斧士さん。ガタイの良い前衛たちと一緒にひとり一本丸太を担ぎ、土の撒かれた道を丸太の断面で叩き平らに均していきます。地面が均等に突き固められたところで、今度は大量の麻袋に土を詰め始めました。

 

 ぎっしりと隙間なく並べられた土嚢を丸太で叩き締め、さらに土を被せて丸太でもう一叩き。地均しと土嚢の敷設の組み合わせによって道は固くて丈夫に、以前に比べて4インチ(10センチ)ほど高くなったため雨水は掘り下げた道の左右へと流れる仕組みになっています。雨が降りぬかるみができると馬車や荷車が立ち往生し流通が滞ってしまう原因になりますので、排水はとっても重要なんですね!

 

 また、未知の左右を掘り下げたことで視界が良くなり、野盗やゴブリンを発見しやすくなる点も見逃せません。使用した資材は土と麻袋だけですので修繕も簡単、力仕事が不得意な後衛や未亡人などに麻袋の縫製を依頼することで雇用の創出にも繋がり、冬を越せない人を減らすことにも繋がりました。道を造り終わってもその後の保全作業が見込めますので、持続的な産業になったと言えるでしょう!

 

 なお麻袋の素材となる繊維は半森人夫人さんが安価に提供してくれているため、ギルドの財政を圧迫することはありませんでした。数の暴力によって今年の春には辺境の街~牧場間は無事開通、こうやって荷車が快適に通れるようになりました!

 

 


 

 

 のんびりゆったりと進む二台の荷車。血に飢えた冒険者たちによってゴブリンは依頼の取り合いになるほど最優先で駆除されていますが、そこは危険に満ちた四方世界。突然空から野良赤竜(レッドドラゴン)が襲ってきたり、そうでなくても野党の類が現れても不思議ではありません。

 

 女魔法使いちゃんが傍に居るとはいえ、一行はとっても少人数。荷車を曳いていては咄嗟に動けないとゴブスレさんなら言い出しそうですけど、そこはご安心ください。上空から荷車を見下ろす位置に、小さな影が浮かんでいますから!

 

 

「とってもたかーい! ほら、あんなにみんながちっちゃくみえるよ!!」

 

「ほんとだねー。……だいじょうぶ? たかくてこわくない?」

 

「ぜーんぜん! おねえちゃんがささえてくれてるから、こわくないもん、ぎゅーっ!!」

 

「えへへ……ぎゅーっ!」

 

 

 お父さん譲りの灰色の髪を風に靡かせ、全身で喜びを表す牧場長女ちゃん。心配そうに訊ねる吸血鬼君主ちゃんに笑顔で返し、お姫様だっこされている姿勢のまま感謝のハグをしていますね!

 

 「子どもには自分の好きなことをさせてやりたい」というパパの教育スタイルから、頻繁にダブル吸血鬼ちゃん一行(パーティ)をはじめとする冒険者一家のところへ顔を出している牧場長女ちゃん。若草祖母さんの勉強会にも積極的に参加したり、鉱人道士さんや隻眼鍛冶師さんのところで刃物の扱い方を教えてもらったりと積極的に活動しています。

 

 太眉長女ちゃんや泣き黒子長男くんを引き連れ、年上である新進長女ちゃんも引っ張って行く姿はボス気質に溢れているともっぱらの評判、眷属ママからのちゅーちゅーによって成長も早く、既に五歳児相当の肉体と精神になっているみたいです。

 

 そんな彼女の最近のお気に入りは吸血鬼君主ちゃん。胸元までしか届かない体格差(まだ吸血鬼君主ちゃんのほうが大きいです)をものともせずにじゃれつき、おひさまの匂いをすみずみまで堪能。「しょうらいははおねえちゃんのおよめさんになる!」と言ってゴブスレさんを真顔にさせたり、「じゃあわたしもなる!」と叢雲次女ちゃんに対抗意識を芽生えさせたりと毎日がおおさわぎなんだとか……いろんな意味で将来が楽しみですね!

 

 

 

 

「とうちゃーく!」

 

「この子と遊んでくれてありがとうね! ぎゅーっ!」

 

「ふわぁ……」

 

 

 そんなこんなで辺境の街に到着した一行。片手に地図を持った神官たちが其処彼処で走り回り、街はお祭りでもないのに喧騒に満ちています。預かっていた牧場長女ちゃんを牛飼若奥さんへとお返しし、ご褒美のハグで尊死した吸血鬼君主ちゃんを呆れた様子の女魔法使いちゃんが摘まみ上げてズンズンと先導、向かう先は冒険者ギルドです。

 

 

「下姉様、此方で御座います」

 

「ん、おまたせ。後輩はもう出た後かしら」

 

「はい、主さまとご一緒に下水道の入口へと向かわれました」

 

 

 ギルド前にはたくさんの神官たち。信仰する神格もバラバラ、冒険者登録票を下げていない神殿付きや農家へ就職したまで集まっています。彼らを取り仕切り、指示を出しているのは戦斧士さんと同じくギルドに就職した武僧さんですね。

 

 

「さぁさぁ、自身の担当する箇所が判らぬかたはいらっしゃいますかな? 困った時は恥ずかしがらずに助力を求めましょうぞ……おや」

 

 

 吸血鬼君主ちゃんたちに気付き、にこやかに一礼をする武僧さん。困ったちゃ……もとい、妖術師さんを引き取ったことで非常に感謝されているみたいです。先に到着していた若草知恵者ちゃんが差し出す地図を吸血鬼君主ちゃんと英雄雛娘ちゃんが受け取り、自分の担当場所を確認していますね。

 

 

「それじゃ私はゴブリンスレイヤーたちとギルドに顔を出して来るから、三人とも頑張ってらっしゃい」

 

 

 ヒラヒラと手を振りながら荷車を片手で曳きギルドの裏手へと向かう女魔法使いちゃん、ゴブスレさん一家もその後に続いていきます。その場に残った神官クラス持ちは集団とともに自分の受け持つ場所へと移動し、始まりの合図に備えています。

 

 辺境の街を網羅するように散開した神官たち。みんなが持つ紙片に記されているのは街の地下に張り巡らされている古代文明の遺産……下水道の見取り図です。それぞれの習熟度を考慮して間隔を空け、下水道の直上にて待機することしばし。街の中心からシュポンと花火が打ち上げられたのを合図に、それぞれが信仰する神へと祈りが捧げられます!

 

 

「「「≪いと慈悲深き地母神よ、どうかその御手で、我らの穢れをお清めください≫」」」

「「「≪我らに、飲み水を≫」」」

「「「≪鍛冶神さま、我が穢れを払う姿を見るがよい≫」」」

「「「≪太陽礼賛! 光あれ!!≫」」」

 

 

 地面目掛けて唱えられた≪浄化(ピュアリファイ)≫の奇跡は盤外(こちら)からの『いいね!』によってクリティカルで発動! 長年にわたって堆積していた汚泥や塵芥を水へと変え、下水道に住み着いていた巨大鼠(ジャイアントラット)大黒蟲(ジャイアントローチ)肥喰らい(スライムイーター)といった怪物(モンスター)を巻き込みながら下水の出口へと押し流していきます!!

 

 

「お、そろそろ飛び出て来そうだねぇ」

 

「みな、落ち着いて処理してくださいね!」

 

「どくをもってるやつがおおいから、かまれたりひっかかれないようきをつけてね!」

 

 

 そして街の外に複数ある下水出口で待ち構える冒険者たち。冬に土を掘るのに活躍した円匙(スコップ)は今度は怪物退治に大活躍。濁流に揉まれ息も絶え絶えな怪物(モンスター)に容赦なく振り下ろされていきます。駆除された怪物(モンスター)は一か所に集められ叢雲狩人さんがまんべんなく焼却(がががー!)。疫病の原因となる目に見えぬ存在(細菌)まで焼き尽くしてしまいました。

 

 

「……ふむ、どうやら上手くいったようですな」

 

「はい。初回は人数を多めに動員いたしましたが、次回からはもう少し人数を絞っても問題は無いと思います」

 

 

 やれやれと肩の荷が下りたように笑う武僧さんと、彼に用意していたお茶を手渡す若草知恵者ちゃん。道路整備に続き、今回試していたのは神官による下水道の清掃です! ≪小癒(ヒール)≫、≪解毒(キュア)≫に続いて修得している神官の多い≪浄化(ピュアリファイ)≫。ひとりひとりの効果は小さくても、みんなで唱えればカバーできることが証明されました。

 

 仰する神格が異なる場合でも問題無く効果が発揮されるため、≪聖歌(ヒム)≫を用いた増幅(ブースト)が不要というのも良い点。また神官同士の連帯感も生まれるため、マイナーな神格や混沌に属する神格を信仰する神官への理解も深まることでしょう! ……なお浄化漏れがないよう若草知恵者ちゃんも唱えておりましたが、彼女ひとりで街全体をカバーしていたのは内緒です。

 

 

 

 さて、下水の詰まりが解消されたこというとは排水可能な水量も増加したということ。街外れに建設された真新しい大きな建物の前で、浄化完了の連絡を受けた妖精弓手ちゃんが軽やかに声を上げています。鮮やかな色彩で描かれた浴槽神さんを看板に掲げたその施設の正体は……。

 

 

「さぁさぁ、魔神の核(デーモンコア)を利用したたっぷりのお湯に足を伸ばして浸かれるお風呂! 入浴料はひとり銀貨1枚……なんだけど、今日は開店記念でみーんなタダ!! 蒸し風呂(サウナ)もあるし、冷やした檸檬水や麦酒も売ってるわよー!」

 

 

 魔神養殖で腐るほど手に入った核をふんだんに活用した大型公衆浴場……つまり銭湯です!

 

 先だってギルドの訓練場に建設した風呂が実に気持ち良いとの噂が生まれ、街から視察しに訪れた役人がホカホカになって帰っていったりと評判になった銭湯。ぜひ街にも建設して欲しいとの要望があったのですが、排水処理とお湯を沸かす燃料の問題があり開業には時間が掛かっておりました。

 

 しかし最大のネックであった湯沸し問題が解決したことで事態は加速。訓練場の修繕時に風呂を満喫し銭湯員と化した大工さんたちの頑張りもあって、本日辺境の街にスーパー銭湯が誕生したわけです。

 

 普通の家庭や宿では湯に浸かる入浴は一般的ではなく、水や湯で身体を拭く程度で銀貨1~2枚。風呂場がある宿屋でも宿泊料とは別に銀貨3~5枚ほどの料金が掛かってしまいます。そんな状況で設定された入浴料は驚きの銀貨1枚! これには宿屋からの猛反発が……と思われるかもしれませんが、大多数の宿屋からは歓迎の声が上がっています。

 

 

「正直銀貨1~2枚程度じゃ手間に見合わないんだよねぇ」

 

「風呂に入れない新人たちを泊めてると、どうしても部屋に匂いがね……」

 

「人前で肌を晒したくない人はそもそも金に糸目を付けないし、棲み分けが出来て良いと思うよ」

 

 

 ……という感じで、宿屋は湯を沸かす手間がなくなり冒険者が清潔になってニッコリ。冒険者と街の人は安価に入浴できてニッコリとwin-winな関係に収まりました。残り湯を使って自分で洗濯するほか併設された洗濯屋も利用可能なので、依頼で訪れた先で服装や身体の不潔さに顔を顰められることもなくなるとギルドは考えているそうです。

 

 

 ここ数年で一気に生活レベルが上昇している辺境の街、ダブル吸血鬼ちゃんたちの稼ぎや活躍で経済が回り、訓練場の運営が成功したことで冒険者の質もグーンと良くなりました。

 

 そこにダメ押しという感じで行われている開発ラッシュの理由。それはダブル吸血鬼ちゃんたちが辺境の街から離れる前に、自分たちを受け入れてくれた街のためにできることをやっておこうという思いが切っ掛けなのでした……。

 

 

 

 

 

 ……さて! 荷車組のほうはどうなっているでしょうか。荷受け場として用いられているギルド裏手の空きスペースにやってきたゴブスレさんたち。そこには監督官さんと受付嬢さんが品物の到着を待っていました。

 

 

「お、来た来た! いつもありがとねー……っと」

 

 

 元気よく手を振る監督官さんの横を通り過ぎる緑色の疾風。営業スマイルとは違う心からの笑みを浮かべた受付嬢さんが向かう先はもちろんゴブスレさん……ではなく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちわ! えっと、これがきょうもってきたしなもののいちらんになります!!」

 

「はい、こんにちわ。それでは一緒に確認をしましょうね♪」

 

 

 お母さんと同じ赤いふわふわヘアーと、半ズボンから覗く生足が眩しい、牧場長男くんのところでした。

 

 

 

 

 

吸血鬼(わたしら)が言えたことじゃないけど、アレ良いの? だいぶ拗らせてると思うわよ?」

 

 

 太陽神さんも高いうちからイチャコラしている年の差カップルを示しながらゴブスレさんに問い掛ける女魔法使いちゃん。牧場長男くんの肩に手を置き、たわわを押し当てつつ香水の良い匂いを漂わせながら目録をふたりでチェック。高い場所の品を確認する時には脇に手を入れて抱き上げ、自然にボディタッチをする受付嬢さんとそれを自然に受け入れている牧場長男くんの間に漂うのは既に熟練夫婦の域に達した雰囲気です。

 

 ゴブスレさんへの恋に破れ、表面上は復活しながらも酒の席では延々と愚痴っていた受付嬢さん。ゴブスレさんが帝国騎士に叙された挨拶回りの際、彼に手を引かれて不安そうに周囲を見回す牧場長男くんを見た瞬間、新たな恋の対象を見つけたそうです。

 

 双子の姉である牧場長女ちゃんとは違い、大人しく争いを好まないタイプの牧場長男くん。みんなのパパママたちといっしょに牧場を駆けまわるよりも、家畜の世話をしたり妖精弓手ちゃんや蜥蜴僧侶さんからそれぞれの種族に伝わる物語を聴いたりするのが好きというなんとも草食系な性格に。僅かなりとも闘争の気配を孕む冒険者な女性よりも、争いの匂いがしない女性に懐くのは自然な流れだったのかもしれません。

 

 

「当人同士の問題だ。俺が口を挟むことではないだろう」

 

「うんうん! ……たしかあの人も貴族のお嬢さまだよね? 家の都合で誰かと結婚するよりは、好きな人と結ばれて欲しいかなって」

 

 

 牧場夫婦的にはふたりの関係は問題ないみたいです。まぁお義父さんと牧場寮母さんも親子くらい年が離れてますし、自分と同年代の()()()()ができても……いや、文字にすると凄い言霊ですねコレ。

 

 

「――それに、彼女にも()()()()()()()()()。俺達にしているのと同じ()()を」

 

「処置って……たしかにあんまり公然と言えるようなことじゃないわね」

 

「お、やっぱ判る? 私たちも頭目(リーダー)ちゃんたちにしてもらってるんだよねー」

 

 

 ゴブスレさんの言葉に応えたのは監督官さん。品物の確認が終わったところで受付嬢さんが牧場長男くんをお茶に誘い、恋人繋ぎでギルドの中へと消えていくのを生暖かい笑みで見送った後、ポリポリと頬を掻きながら残った面々に向き直りました。

 

 

「『だいすきなひとたちには、ずっとずっとげんきでいてほしい。そのほうがおいしくちゅーちゅーできるから!』……まったく、ふたりとも傲慢と言うには可愛らし過ぎるよねぇ」

 

 

 ダブル吸血鬼ちゃんが施している処置……はい、勘の良い視聴神の皆様ならもうお判りですね! 牧場夫婦をはじめとするお世話になっている面々や王国の関係者、それに受付嬢さんと監督官さんにしていること……それは『生命力譲渡による抗老化(アンチエイジング)』です!

 

 接触面を経由して生命力を相手に送り込むダブル吸血鬼ちゃんの得意技。夜会話ほどの効果はありませんが、ちゅーちゅーさせてもらったお礼に牛飼若奥さんや魔女パイセン、女騎士さんに行ったところ肌艶の向上や血行の促進が発覚。賢者ちゃんまで動員して調査した結果、確かな効果があることが証明されました。

 

 ちゅーちゅーしたあとのほっぺすりすりに秘められた効果に女性陣が即座に反応。寿命こそ延びないものの若さが維持できるとあって、首を傾げる旦那も巻き込んで一斉に処置開始。金等級三家族を皮切りに新進夫婦や牧場夫婦のご両親、陛下と王妃に加え、牧場長男くんをロックオンしている受付嬢さんとそれを応援している監督官さんにもダブル吸血鬼ちゃんによるほっぺすりすりが行われました。

 

 今はまだ変化は見られませんが、賢者ちゃんの予想では半年に一度程度の処置で今後天に召されるまで20代前半~30代前半くらいの肉体を維持し続ける見込みなんだとか。途中で中断しても急に老化したりはしないそうですし、『おいしさながもち!』とダブル吸血鬼ちゃんも大喜び。みんなには健康で長生きしてもらいたいですからね!

 

 

 ……そういえば、以前ダブル吸血鬼ちゃんに大量の釣書が届いているというお話をしたのを覚えていらっしゃいますかね?

 

 永遠の生命というものに魅力を感じない定命の者(モータル)は少なく、吸血鬼(ヴァンパイア)の眷属となることで仮初とはいえ手にすることの出来る禁断の果実。あの売国奴を筆頭にダブル吸血鬼ちゃんを取り込んで不老不死を目論む貴族は多く、つい先ごろまで様々な手を使って一党(パーティ)に圧力を掛けてきていました。

 

 しかし、先の戦の活躍によって金等級に昇格し、同時に貴族として叙されることを金髪の陛下が布告。同時に半森人局長さんが裏で「陛下が王妹ふたりを『辺境最悪』へと嫁がせ地盤を盤石なものとし、邪魔な門閥貴族を滅ぼす算段を始めた」という噂を流したことで大混乱。

 

 火打石団の件で急所を抑えられていた家は慌てて土下座し、そうでない貴族は互いに連絡を取り合いつつ軍備を増強しているんだとか。混沌との戦いが優勢になった途端にこの始末というのが何とも言えませんが、『兵を集める』という行動自体は銀髪の宰相、そしてダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)の頭脳担当たちにとっては好都合なのです。何故ならば……。

 

 

『――民の暮らしを向上させるには戦の在り方を変えねばならぬ。膨大な血と鉄の浪費を伴う数による総力戦ではなく、突出した個による代表戦。……時代錯誤と笑う者は好きにさせよ。すべての兵士(ゴブリン)を失ったときに、彼奴等は自らの過ちをその生命で贖うことになるのだからな』

 

 

 精鋭による斬首戦術と大量破壊兵器による戦場支配、そして非正規戦に特化した集団による残党狩り。四方世界からゴブリンを駆逐した後に目指すのは、かつて強大な魔法使いたちがその術を競い合っていた時代にも似た決闘方式。ダブル吸血鬼ちゃんたちが目指す戦いの姿が、その先にあるのですから!

 

 

 

 ……コホン、ちょっと話が脱線してしまいましたね。要約すると陛下をはじめとする王国中枢とダブル吸血鬼ちゃんたちの意見は一致し、兵を無駄に消耗させずダブル吸血鬼ちゃんたちを用いて混沌の軍勢に相対するという方針です。そのための金等級昇格と貴族位の授与であり、また王妹殿下1号2号をお嫁さんとしてお迎えするわけです。

 

 そうそう、北の城塞都市を領地として任されるにあたって、ダブル吸血鬼ちゃんには陛下から課題が出されました。その内容は『貴族の本分である領地の経営に加え、そなたたちには駐留部隊の練兵に冒険者ギルド支部の誘致と建設、それから入り江の民との交易拠点の建設も任せる』というもの。

 

 一見ムチャぶりにも程があるように見えますが、実際は『知り合いに声をかけ、手伝ってもらいなさい』という陛下からの助言です。その第一歩として声をかけられたのが……。

 

 

 

 

 

頭目(リーダー)ちゃんたちのお願い、引き受けることにしたよ! 後任はあの子が問題無く引き受けてくれそうだし、支部の新規立ち上げ、私に任せなさーい!!」

 

 

 やきうと麦酒(おビール様)と吸血鬼吸いをこよなく愛する監督官さんなのでした!

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 





 年末年始が勤務なので失踪します。

 前話で総文字数が150万を超えていました。200万字には届かないと思いますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。 

 評価や感想、お気に入り登録ありがとうございます。モチベーション維持とやる気アップに繋がりますので、感想や評価をお願いいたします。重ねて誤字報告もありがとうございます。

 お読みいただきありがとうございました。

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