ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 資格試験が連続していたので初投稿です。



セッションその19-4

 

 さてさて、そろそろ到着する頃合いですかねー?

 

 他の()ばっかり推しの子に逢いに行って自分は行けてないってずっと不満そうでしたし、四方世界(あっち)で羽目を外さないといいんですが。

 

 まぁ、例の杖の代わりと推しへのプレゼントを届けるついでに解放騎士(アレ)を見物できるんですもん、誰だってテンション上がっちゃいますよねぇ!

 

 にしても、≪豊穣≫さんと化身(アバター)の取り合いしてたって話は耳にしてましたが、確かにあの化身(アバター)はN子さんもちょっと羨ましいかも……。

 

 


 

 

 前回、解放騎士が予想通りやらかしてくれたところから再開です。

 

 さて、王都観光組に映像を切り替えようと思ったのですが……路地裏で合体を解除したところで、吸血鬼君主ちゃんだけみんなと別れて先に受付の列に並ぼうとしています。

 

 どうやら子どもたちから「パパといっしょがいい!」とおねだりされていたようで、解放騎士の一件がなければもっと早く受付を済ませ、観光組と合流するつもりだったみたいです。大会受付のほうが観光組の集合よりもだいぶ早く、合流時間には余裕を見ていたようですが……突発的なイベントはしょうがないですね。

 

 

「それじゃ、いってきまーす!」

 

「みんなのみまもり、よろしくね!」

 

 

 さて、王都観光組ですが……おや、ホテル一階に設けられたカフェにいましたね! テーブルの上で広げられた大皿山盛りの果物に目を輝かせている子どもたちを、大会に参加しないパパママたちが優しく見守っています。

 

 

「あまーい!」

 

「こっちはすっぱーい!」

 

「「でもおいしー!」」

 

「あらあら、汁がほっぺについちゃってますよ?」

 

 

 そっとハンカチで口元を拭いてあげているのはスヤスヤ眠る若草六女ちゃんを抱えた若草祖母さんですね。先のゴブリン殲滅戦で凄腕の精霊術師であることが判明した彼女ですが、大会には参加せず子どもたちの面倒を見る側に回ってくれました。

 

 同じように子どもたちといっしょに観光を楽しむ予定なのは牧場住まいの夫婦たち。ゴブスレさんもオマエも参加しろよと槍ニキと重戦士さんに圧を掛けられていたのですが……。

 

 

「――いや、()()が何をしでかすか、外から監視する者が必要だ」

 

 

 ……とのことで、残念ながら不参加ということに。ゴブスレさん的にもゴブリン相手以外に剣を振るうつもりは無いみたいですし、槍ニキたちもあっさりと引いてくれましたね。

 

 若草の祖母孫コンビの他には、まだ闇人五女ちゃんが小さな闇人女医さん、大勢の観客の前で戦うなんでむーりぃという妖術師さん、それから相方である圃人剣士ちゃんと話し合い、豊穣の霊薬をグビって吸血鬼君主ちゃんとれあぴょいし、幸せそうにおなかを撫でる圃人巫術師さんもいっしょにお茶を楽しんでいます……と、どうやら待ち人が来たみたいですね!

 

 

「みなさん、おはようございます」

 

「今日は全力で楽しみましょうね!」

 

 

 石人形(ストーンゴーレム)が開く重厚な扉から現れたのは、髪型と胸部装甲以外そっくりな王妹のふたり……といってもダブル吸血鬼ちゃんと結ばれた女神官ちゃんの成長は著しく、見慣れた神官服ではない神官銃士ちゃんとお揃いの服装を内側から押し上げるお山と優美なラインを描く安産型のおしりは殿方の視線を集めるのに一役買っていますね。

 

 隣で笑う神官銃士ちゃんも鍛錬を重ねたことと魔力供給によるバストアップの相乗効果により、彼女のボディは重厚さを増した様子。身体を動かすたびにワンテンポ遅れて「ゆさっ」と揺れる暴力的なたわわの破壊力は星風長女ちゃんを狂わせて余りある代物へと変貌を遂げました。

 

 そうそう! 余談ですが、只人(ヒューム)圃人(レーア)の女の子たちがダブル吸血鬼ちゃんと結ばれてすぐお乳が出るようになったのに対し、森人(エルフ)のみんなが妊娠・出産するまで出なかったのは定命(モータル)長命(エルダー)の差に因るもので、一度出産を経験した後はもれなく全員飲み放題になるそうです。

 

 

「ふわふわ……いただき……っ!」

 

 

 おっと、予想通り星風長女ちゃんが我を忘れ、たわわ目掛けて一直線。ですが王妹殿下1号2号は背後の人物に道を譲るように左右に分かれてしまい、空中で軌道修正のできない星風長女ちゃんはそのまま衝突コースに。しかし痛みと衝撃を覚悟しギュッと目を瞑る彼女が感じたのは、予想とは違う、そして予想を遥かに上回る柔らかさでした。

 

 たわわの海に顔を埋めた星風長女ちゃんの鼻をくすぐる初めての香りは、海辺に暮らす民特有の潮風を感じさせるもの。そのまま擦り付けたい衝動を我慢しながら顔をたわわより引き剥がし、見上げた先に見えたのは……。

 

 

『あら、可愛い♪ それにとっても元気ですね♪』

 

圃人侍女(かのじょ)も女性の胸に並々ならぬ情熱を抱いていたし、これも血筋か……」

 

「ふわぁ……きれいなおねえさん……!」

 

 

 普段の分厚い鎖帷子から王都で流行中のドレスに着替え、眼帯の代わりに精緻な刺繍の施された布で嗜虐神さんの徴を覆っている奥方(フースフレイヤ)。そして彼女の肩を抱き、狼毛のファーが特徴的な海獣の革でできた外套を伊達に着こなしている頭領(ゴジ)入り江の民(ヴァイキング)夫婦です! 妖精弓手ちゃんや剣の乙女ちゃんとも趣が異なる美しさに呆けたように見惚れていた新進農夫さんが奥さんに思いっきり足を踏みつけられ、床をのたうち回っていますね。

 

 

「もう、淑女たるものそんなはしたないことしちゃダメじゃない。この(キング)のようにいつでも優雅に……うにゃあああああ!?

 

 

 続いて現れたのはウマ娘(セントール)の民族紋様をあしらったワンピース姿の光背王(キング)ちゃん。喋っている途中で駆け寄ってきた子どもたちにもみくちゃにされているのは平常運転ですね。そんな彼女から子どもたちをひっぺがしているのは、みんなを迎えに行ってくれていた監督官さんと査察官さんのふたり。これで吸血鬼君主ちゃん以外は全員揃ったみたいです!

 

 

 

 

 

「さてさて、それじゃあ出発だよー! みんなおまもりは着けたかなー?」

 

「「「「「はーい!」」」」」

 

 

 監督官さんの呼びかけに利き手を掲げる子どもたち、その手首には小さな金属球が縫いつけられたリストバンドが。まわりのママさんたちも同様のものを身に着けています。金属球の輝きには視聴神のみなさまも見覚えがあることでしょう。そう、ダブル吸血鬼ちゃんの身体を構成する一部であるヒヒイロカネですね!

 

 火竜の革をベースにヒヒイロカネを組み込んだ隻眼鍛冶師さん謹製のおまもり、子どもたちやママさんが良からぬ輩に狙われる可能性を考慮し、ダブル吸血鬼ちゃんが装備者の位置を把握できる逸品に仕上げてくれました。鉱人(ドワーフ)らしい繊細な造りは芸術的価値も高く、リストバンド以外にも好みに合わせてチョーカーやアンクレットとして身に着けているママさんもいるんだとか。吸血鬼君主ちゃんもこれらの反応を辿ることで合流するみたいです。

 

 ホテルから出発し、監督官さんの先導で通りを練り歩く一行。自分のママと手を繋いでいる子もいれば、子ども同士で腕を組んでいる子、お気に入りのママに甘え、おんぶしてもらいながらたわわを堪能している剛の者もおりますねぇ。

 

 

「ほーら、ぐるぐるー!」

 

「わわ、すっごーい!」

 

「どうやったらおねえちゃんみたいなちからもちになれるのー?」

 

「よく食べ、よく眠り、よく遊ぶこと。もうすこし大きくなったらひたすらカラテあるのみですわ!」

 

 

 神官銃士ちゃんの腕にぶら下がり、歓声を上げているのは新進長女ちゃんと太眉長女ちゃんのお姉ちゃんコンビですね。一段と増したそのパワーの秘訣を聞き出そうと話をせがむ姿は幼くとも肉食系の片鱗を感じさせます。

 

 

「ふわふわ……ふわふわ……♪」

 

『フフ……私たちもそろそろお子を授かりたいですね、旦那(おど)様♪』

 

「う、うむ……」

 

 

 おっぱい星人(星風長女ちゃん)を抱えながら、頭領(ゴジ)に熱の籠った視線を向ける奥方(フースフレイヤ)。昨夜は王都で購入したえっちな下着装備で随分と盛り上がっていたとの情報が嗜虐神さんから寄せられています。

 

 そうそう、ふたりが何故王都に来ているのかといえば、金髪の陛下から大会の来賓として招かれたのがひとつ。もうひとつは鮮魚便の動向についての視察というのが目的だそうです。その関係で輸送に携わる馬人(セントール)の代表である光背王(キング)ちゃんとも会談が行われ、解放騎士のやらかしに関しても「アイツが悪い」ということで話が付いたとのこと。その流れで王妹殿下1号2号から今日の王都観光に招待されたんですね。

 

 

「ちょ、ちょっと!? あんまり離れたらダメだってばー!?」

 

「えへへ……ごめんなさーい!」

 

「くっ、くやしいけど可愛いから許しちゃう!」

 

 

 好奇心のままに四方八方へ散らばろうとする子どもたちを影の触手で捕獲しているのは妖術師さん。体重差で負けないよう只人(ヒューム)形態で頑張っていますが、そのせいで普段よりもより犯罪者じみた表情になっちゃってますねぇ……。

 

 

「もう! (キング)を好きなのはうれしいけれど、みんなでいっせいに抱き着いてくるのだけは勘弁して欲しいわ……」

 

「まぁまぁ、それだけ子どもたちから愛されていらっしゃるんですよ。……おねえちゃんたちからも、ね?」

 

「そ、そうかしら?」

 

 

 乱れた髪を手櫛で整えつつ、女神官ちゃんの言葉に頬を染める光背王(キング)ちゃん。言葉では否定してもウマ耳と尻尾がピコピコしているのを隠せておりません。その細い腰には白兎四女ちゃんがひっつき虫のごとく貼り付いており、自分やママたちとは形が異なる長耳に興味津々なご様子。

 

 

「…………」

 

 

 査察官さんや妖術師さんが目を光らせているとはいえ、流石にこの大人数。ふと目を離した隙にみんなから離れてしまう子も出てきてしまいます。

 

 1カメ担当の扁桃頭(アメンドーズ)君に気を取られた若草三女ちゃんがフラフラと一団から逸れていくのを路地裏から見ているのはしぶとく絶滅していなかった冒険者崩れ(福本モブ亜種)。大会を観に集まってきた人たちを狙ってスリや恐喝を目論んでいたようですが、見目麗しい森人(エルフ)の幼女という好事家にとっては垂涎の対象に目を付けてしまったようですね。

 

 

「いいか、絶対に傷を付けるんじゃねぇぞ?」

 

「わかってるっつーの! まぁ見てろって」

 

「Yesロリータ、Goタッチ!」

 

 

 顔を隠す金属兜に麻袋と準備は万全、薄暗い路地に若草三女ちゃんが近付いたところでいっせいに動き出しました。「うしろうしろー!?」と必死にジェスチャーをする扁桃頭(アメンドーズ)君に首を傾げている彼女の頭上から麻袋を被せようとしたところで……!

 

 

「な、なんだ!?」

 

「身体が動かねぇ!?」

 

「ヒィ!? なんで空中に浮かんで……!?」

 

 

 突如地面を離れ浮かび上がる冒険者崩れ(福本モブ亜種)たち。まるで金縛りにでもあったかのように動かない全身がギリギリと締め付けられていきます。啓蒙が足りていない彼らには見えませんが、路地裏の奥には2カメ担当の扁桃頭(アメンドーズ)君が網目模様を怒りで強調しながら、徐々に彼らを握りしめる力を強めていますね。

 

 やがて彼らの耐久力は限界を迎え、全身から血しぶきを上げたところで握りつぶすように≪転移≫にも似た異能が行使され、良い感じに発狂状態な冒険者崩れ(福本モブ亜種)たちは衛兵の詰め所前に投げ出されちゃいました。背後の雑音に若草三女ちゃんが振り向いた時には此処で犯罪が起きかけていたという痕跡は無く、映像担当二名計14本の腕で行ってらっしゃいのジェスチャーを返されつつ彼女はみんなのところへ戻っていきました。

 

 なお冒険者崩れ(福本モブ亜種)たちですが、突然虚空から人が現れたことに詰め所も一時騒然となったものの、全員前科者であったためにすぐさま拘束され、牢屋にダンクシュートされたみたいです。おんなじような顔をした連中が先に何人もぶち込まれているあたり、何度でも蘇るみたいですねぇ……。

 

 

「まずはここ、奇術師や吟遊詩人が集まって互いの業を競い合ってるんだよー!」

 

 

 おっと、どうやら最初の目的地に到着したみたいですね! 監督官さんが指し示す先は広場に設営された天幕(テント)村になっており、奇抜な格好をした集団が歌や踊り、動物使いや手品などで観客たちを楽しませています。隙間を埋めるように軽食や酒を提供する屋台も出ており、お祭り気分で財布の紐が緩んだ人たちが気前よくお金を落としているようですね。

 

 その他に目を惹くのは演劇でしょうか。古くから伝わる様々な英雄譚……破壊神を破壊した男やゼ〇ダじゃないほうなどは老若男女問わず大人気ですし、マニアックなところだと「竜退治はもう飽きた」と嘯きながらわんこ一匹を相棒に狂った絡繰り仕掛けの神を討伐した少年なんかの話も熱心なファンがいるとかいないとか。なお今一番人気なのは……。

 

 

「あ、見て見てあそこ凄い人だかりだよ! なんのお話しをやってるんだろう?」

 

 

 しばらく通りを流した後、牧場長男くんの手を握る牛飼若奥さんが指差す先には若い女性を中心にたくさんの人が集まっていますね。木材で組み上げられた舞台にはHFOが三人と巨大な竜の頭部模型がひとつ。砂嵐を表現する黄土色の布地が背景にはためくなかで、膝を着くHFOたちを嘲笑う声が響き渡ります。

 

 

「ハッハッハ、その程度かニンゲン共! 所詮は鱗無き脆弱な存在に過ぎんということだな!!」

 

 

 口をカパカパ稼働させながら放たれるのはどこかで聞いたことのあるイケボ(CV:速水奨)。大きく開いた顎からトドメのブレスが放たれようとしたその時――!

 

 

「――何をやっている貴様等、それで我が好敵手(ライバル)を名乗るつもりか!」

 

 

 書き割りを飛び越えて現れたのは艶やかな黒い外套(マント)を翼のように広げた美丈夫(イケメン)、竜の吐息をその背に受けながらHFOを見下ろす姿に女性陣からは黄色い歓声が沸き上がっています。

 

 

「……へっ、まだまだこれからよ!」

 

 

 真紅の槍を杖代わりに気障な笑みを浮かべて立ち上がる槍使いと……。

 

 

「■■■■■■■■■■――ッ!!」

 

 

 狂戦士もかくやといった形相で巨大なだんびらを構え直す重戦士、そして……。

 

 

「ああ、そうだな。俺が、俺達が……」

 

 

 

 

 

「「「――辺境三勇士だ!!!」」」

 

 

 全身を金属鎧に固めた剣士の獅子吼に合わせ、決めポーズをとるHFOたち! 「それでこそこの【辺境最悪】の好敵手(ライバル)よ!」と満足げなイケメン吸血鬼(ヴァンパイア)がポーズに加わったところで、神官コスに身を包んだおねえさんがナイスなお山を揺らしながら観客に向かって声を投げ掛けます!!

 

 

「さぁみんな! こわいドラゴンに立ち向かう英雄(ヒーロー)たちを応援してあげて!! みんなの声が英雄(ヒーロー)たちの力になるんだ!!!」

 

「「「がんばえー!」」」

 

「「「まけるなー!!」」」

 

「「「いっけー!!!」」」

 

 

 観客の間をすり抜け、最前列に齧り付きになりながら元気よく声援を送る子どもたち。ここまでの反応が返ってくるとは思っていなかったらしいおねえさんが一瞬硬直しましたが、そこは矢張りプロ。瞬時に立て直しその勢いを利用することにしたみたいです。

 

 

「もっともっと、ドラゴンのパワーを跳ね返すくらい大きな声で!」

 

「「「「「みんな、がんばってー!!!」」」」」

 

「まけないでー!」

 

「そこじゃ、鼻っ面をねらうんじゃ!!」

 

 おねえさんの良い煽りにますます声を張り上げる子どもたち。その必死さが伝播したのか、次第に大人たちも本気の応援を始めちゃいましたね。いつのまにか合流していた吸血鬼君主ちゃんも子どもたちに交じってエールを送っていますし、その隣でキレの良い右フックを繰り出している()()()()()()()()()()圃人(レーア)の女の子も……ん?

 

 

「グオォォォォ!? こ、この私が破れるとは……美事なりッ!!」

 

 

 舞台上では床面に仕込んであったトランポリンを用いたヒーロージャンプからの四連続必殺技によって、ドラゴンが称賛の言葉を送りながら頭を垂れていきました。辺境三勇士とそのライバルたる吸血鬼(ヴァンパイア)がガシッとダイナミックプロ握手をしたところで劇は終幕、観客からは惜しみない拍手が送られています。役者さんたちの舞台挨拶が行われるなか、ススッと一行に近付いてきたのはやり遂げた男の顔をした吟遊詩人さんです。

 

 

「おお、まさか皆様に観ていただけるとは! 子どもでも楽しめるような構成にするのは初めてでしたが、これがなかなか楽しいもので。実に良く筆が走ってくれましたよ!!」

 

 

 とっても満足げな子どもたち&吸血鬼君主ちゃんと対照的に何ともいえない表情の大人たちが数人。色々ツッコミどころ満載でしたが、当事者としてはどうなんですかね?

 

 

「えっと、わたしは面白かったかな! キミの冒険ってあんな派手なのもあったんだなって!!」

 

「――そうか」

 

 

 苦いものをなんとか飲み下し、どうにか一言絞り出したゴブスレさん。新進農夫さんは「超カッケー!」と語彙力の低下した感想を垂れ流してますし、向こうでは初めて観た演劇の熱気に当てられ上気した顔の奥方(フースフレイヤ)頭領(ゴジ)が甲斐甲斐しく介抱していますね。

 

 

「たゆんって……たゆんって……やっぱりみんなおっきなのが良いんですよね……」

 

「そんなことありませんわ! お姉様はどんな大きさでも無問題ですのよ……あ! ほらあちらで軽食がいただけるみたいですし、ちょっと覗いてみましょう!」

 

 

 司会役のおねえさんにジトっとした視線を送る女神官ちゃんを必死に宥める神官銃士ちゃん。天幕(テント)の下に机と椅子を並べた休憩所へ半身ともいえる存在をズルズルと引っ張っていきました。朝ごはん&フルーツ盛を平らげた筈の子どもたちも応援でカロリーを消費しちゃったので、早目のお昼にするみたいですね!

 

 

 

 

「あまりがっついてはいかんぞ、あとで腹が痛くなるからな」

 

「「「「「いただきまーす!」」」」」

 

 

 闇人女医さんの注意も半ばに元気よくいただきますを唱え、卓上に手を伸ばす子どもたち。各地から集まった名物や定番のもの、特定の種族でしか食べられることのない食材を使った料理など様々な品が所狭しと並べられています。

 

 基本的に好き嫌いのない子ばかりですが、やはりそれぞれお気に入りのものがあるようで。角切り牛肉の串焼きを美味しそうに頬張る叢雲次女ちゃんと太眉長女ちゃん。星風長女ちゃんや牧場長男くんはほうれん草の冷製スープを美味しそうに飲んでいますね。……頭領(ゴジ)が面白半分に差し出した干しイカを延々と噛み続けている若草三女ちゃんは渋い趣味してると思います。

 

 

「はい、ゆっくりー……ゆっくりー……」

 

「あむ……ちゅる……」

 

 

 おっと、両脚の間に白兎四女ちゃんを座らせ、吸血鬼君主ちゃんが何かを食べさせてあげています。挽いた豆が浮かんでいるのは白いドロッとした粥のようなもの。王国では小麦が主な穀物で最近は豹芋(ジャガイモ)が増加中、お米に関しては温暖で水が豊富な南方の一部で細々と栽培されている程度ですが、屋台で出しているところがあったみたいです。

 

 薄い塩味が付いており、好みで甘辛く煮た肉や魚をトッピングして食べるものですが、白兎四女ちゃん向けにシンプルな味付けのまま口に運ぶ吸血鬼君主ちゃん。お気に召したのでしょう、白兎四女ちゃんも長耳と尻尾を満足そうに震わせていますね!

 

 

「そうじゃろうそうじゃろう! コメは元気の源、どんな調理法にも合う万能食材じゃからのう!!」

 

 

 その様子を見ながら満面の笑みを浮かべているのは先ほど見かけた少女です。彼女の前には山盛りの白米と川魚の焼き物、そして卵焼きが並んでいます。美味しそうに白米を頬張る姿は見る者をほっこりとさせますが……そろそろ誰かツッコミを入れてくれませんかね???

 

 

「パパー、そのこはパパのおともだちー?」

 

 

 おお! 聞いてくれたのはまさかの星風長女ちゃん!! お山がないので吶喊することはありませんでしたが、ちゃんと知らない子だと認識していたみたいです。とんとんと白兎四女ちゃんの背中をたたき、げっぷを促している吸血鬼君主ちゃんですが……。

 

 

「??? みんなのおともだちじゃないの?」

 

「……おほん、あまり見ない服装をされてますけれど、どちらからいらしたのでしょう?」

 

 

 ……駄目みたいですね(嘆息)。互いのおともだちと思っていたために双方頭上に?マークが浮かんでます。薄々そんな気がしていましたわという顔で切り出したのは神官銃士ちゃんですね。あっという間にごはんとおかずを平らげ、口元を布で拭った少女は一行の視線を受け止め、自信満々な顔つきで言い放ちます。

 

 

「うむ、我が愛し子とその想い人、そしてその血族(かぞく)の様子を見に参った! 皆健やかに成長しておるようだな!」

 

 

 ひょいと椅子から飛び降り、向かう先には女神官ちゃん。えぇと……と首を傾げる彼女の膝上によじ登ると、伸ばした手でその頭を優しく撫ではじめました。困惑を隠せない女神官ちゃんでしたが、自分に向けられる()()()()()眼差しから相手の正体を察したみたいですね。まさか……と呟く彼女に満面の笑みでかけられたのは……。

 

 

「辛い時も苦しい時も、いつもお主を見ておったぞ。――よく頑張りましたね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……地母神様?」

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 





 路上教習が待ち構えているので失踪します。

 評価や感想、お気に入り登録ありがとうございます。モチベーション維持とやる気アップに繋がりますので、是非とも感想や評価をお願いいたします。

 誤字報告につきましても非常に助かっております。読みやすい文章を目指しているのですがこれがなかなか……難しいねんな。

 お読みいただきありがとうございました。
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