ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 試験続きで間が空いてしまったので初投稿です。




セッションその19-5

 前回、地母神さんが化身(アバター)で登場したところから再開です。

 

 膝上でニコニコと笑う圃人(レーア)の正体に気付いた女神官ちゃんがポロっとこぼしてしまった呟き。

 

 四方世界において神は既知の存在ではありますが、化身(アバター)を介して顕現した姿を目撃するのは非常に稀なことです。

 

 

「なんと、神が盤外より来訪するとは……!」

 

『都会は進んでいるのですね~』

 

「いや、その理屈はおかしいでしょー!?」

 

 

 はえー……と感心した様子の入り江の民(ヴァイキング)夫婦に鋭いツッコミを入れる光背王(キング)ちゃん。信仰篤き女神官ちゃんの言葉は疑い難いものですが、まさか神様が目の前に現れるなんて……。

 

 

「かみさまなのー?」

 

「そうだよーパパのパパとおんなじだよー」

 

「おおかみさんもそうだよねー!」

 

「わふぅ!」

 

「お義姉(ねえ)ちゃんもだったよね、たしか!」

 

「ああ、そうだな」

 

 

 他にも総大主教(グランビショップ)、クソマンチ師匠、道化師(フラック)なんかもそうですし、剣の乙女ちゃんもある意味至高神さんの化身(アバター)と言っても良いかもしれませんね……いや、みんな四方世界に出張し過ぎでは???

 

 

「ぐぬぬ……いや、ワシは偉いんじゃぞ!? ワシを信仰する者たちからは"おひいさま"と崇められ……んお?」

 

 

 おや? 女神官ちゃんの膝上でぐぬぬ顔を披露していた"おひいさま"が横から伸びてきた手によってひょいと持ち上げられちゃいました。

 

 手を辿った先に見えるのは、真剣な眼差しで"おひいさま"の顔を覗き込んでいるの新進農婦さん。隣に立つ新進農夫さんもゴクリと唾を飲み込み、畏敬に満ちた表情を浮かべていますね。

 

 

「――すごい農家力(のーかちから)を感じる……!」

 

「ああ、まさに農耕士、いや農耕の神様に間違いない!!」

 

「お、おう。≪豊穣≫のやつと若干権能が被っておるが、あやつはどちらかというと動物、ワシは植物を司っておるからのう! お主らからも良き土の匂いを感じるぞ!!」

 

 

 新進農婦さんに肩車された姿勢で呵々と笑う"おひいさま"を「ありがたやー」と拝む新進農夫さん。牧場関係者のみんなも一斉に祈りを捧げる光景はなかなかにシュールですが、そこは信仰が恩恵に直結する四方世界、神様にダイレクトアタックする機会を逃すわけにはいきませんよね!

 

 

 

 

 

「――おっと、ワシとしたことが。愛し子たちの顔を見て満足してしまい、本来の要件を忘れるところじゃった。……先ずは、コレじゃ!」

 

 

 監督官さんガイドによる王都観光も大詰め。吸血鬼侍ちゃんから無事に出場登録も終わったと連絡が(脳内通信で)届いたので、宿へと戻る道すがら。出店で購入したお菓子を両手に抱え、新進農婦さんに肩車されご満悦だった"おひいさま"がモゾモゾと動いてますね。新進農婦さんにお菓子を預けひょいっと地面に降り立ち、身に着けていた風呂敷に手を突っ込みました。

 

 

「オイオイオイ、なんだよソレ……」

 

「あ、よだれでちゃった……」

 

 

 好奇心でキラキラと輝く子どもたちの視線を一身に浴びるなか、引っ張り出されたのは一本の硝子瓶。封がされているにも関わらず辺りに漂い始めた馥郁たる香りに気付いた呑ん兵衛たちの目つきが変わり、ゴクリと唾を飲み込んでいます。差し出された瓶を受け取った女神官ちゃんが悪い大人たちの視線で居心地悪そうに身動ぎしているのを楽しそうに見ていた"おひいさま"が、フンスとダブル吸血鬼ちゃんに匹敵する胸を張りながらプレゼントについて話し始めました。

 

 

「それはワシ自らの手で丹精込めて作り上げたものじゃ。【神酒(ソーマ)】【生命の霊薬(ネクタル)】【変若水(おちみず)】……四方世界(こっち)では様々な名で呼ばれとるが、まぁアレじゃ、神々の飲料というヤツよ」

 

「えっと、そのような貴重な品物を、どうして私に……?」

 

「……まったく、ワシの前で隠し事なぞ出来るわけがないだろうに」

 

 

 戸惑いの表情で受け取った瓶と"おひいさま"の交互に視線を向ける女神官ちゃんを見てやれやれと肩を竦める"おひいさま"。……本人は隠しているつもりなんでしょうが、残念ながら盤外(こちら)からは全部マルっとお見通しなんですよ?

 

 

「おぬしの想い人である吸血鬼(ヴァンパイア)との寿命差、ずっと悩んでおったろう? 永遠を添い遂げるには定命の者(モータル)の肉体はあまりに儚く、さりとて不死の者(アンデッド)になるのは地母神の神官(ワシの子)として如何なものか、とな」

 

「――ッ!?!?」

 

 

 "おひいさま"の言葉に顔を青褪めさせる女神官ちゃん。信仰の対象そのものである存在から隠していた本心を暴かれたショックに震える女神官ちゃんに対し「最後まで話を聞かんか馬鹿者」と漏らしつつ、彼女の頬にそっと手を伸ばし優しく撫でながら"おひいさま"が言葉を続けます。

 

 

「いつもお主を見ておったと言っただろうに。お主の生き様(スタイル)が気に食わなくば、とうの昔に注意しておったわ。……お主が愛したのは、得体の知れぬ者(エイリアン)ではなく親愛なる隣人(ネイバーフッド)、そうであろう?」

 

「……はいっ! おねえちゃんは、私たちとってかけがえのない大切な人です!!」

 

「――もう! お姉様()()は、私()()にとって、ですのよ?」

 

 

 背後から手を伸ばし、女神官ちゃんを抱きしめながら訂正するのは神官銃士ちゃん。まわりのママたちもうんうんと頷いてますし、パパたちは照れ顔で頬を染めている吸血鬼君主ちゃんをうりうりと小突いてますね。姉妹愛の尊みに脳を焼かれてつつも、咳払いをして"おひいさま"が注目を集めます。

 

 

「オホン! 話を戻すぞ。そこな吸血鬼(ヴァンパイア)の生命力移譲で肉体の若さは保てても、寿命までは伸ばすことは出来ん。だが、この酒は違う!(ギュッ)」

 

「神々の飲料とは名前だけの代物ではない。飲んだ者の肉体を変化させ、その魂が衰えぬ限り不老の身体を得ることが出来る……ああ安心せい。不老であっても不死ではないので、飲むのを止めれば老いることも出来るし、死にたくなっても死ねないなどという悍ましい結末も気にせんでよいからな!」

 

 

 ああ、そこ重要ですよね! ダブル吸血鬼ちゃんや眷属ママ、森人(エルフ)ママたちが四方世界を去ったあともたったひとりで生き続けるのは拷問以外の何物でもないですし、絶対に死ねないというのも考えものですよねぇ。地面に膝を着き、宝物のように瓶を抱きしめる女神官ちゃんの頭を撫でていた"おひいさま"は、続けてその身に纏っていた羽衣をそっと女神官ちゃんの肩に掛けました。

 

 

「――それから、お主ら血族(かぞく)応援()している()たちの数多の祈りが織り込まれた羽衣じゃ。使い方は自ずと判る、役立ててみせよ」

 

「わぁ……!」

 

 

 ふわり、と自らの身体が地面から浮かび上がり、少女のような喜びの声をあげる女神官ちゃん。慣れればお空の遊覧飛行も可能みたいですし、吸血鬼侍ちゃんとのデートも楽しめそうですね!

 

 ……と、あれ? 女神官ちゃんのはしゃぎように満足げに笑っていた"おひいさま"が路地裏に吸血鬼君主ちゃんを引っ張り込んでいきました。なにやらヒソヒソ話をして、ヤバいブツの遣り取りが如くこっそりとなにかを受け渡ししています。吸血鬼君主ちゃんがブツをインベントリーにしまったのを確認すると、訝し気に見やる一行にキメ顔を向けて……。

 

 

「お主らの行く道は辛く険しいものじゃろう。じゃが諦めさえしなければ必ず道は拓かれる! ……その大きな欲望(ユメ)、叶えて魅せるが良いわ!!」

 

 

 ひらひらと手を振りながら一行から離れていく"おひいさま"。その歩む先には卑猥に腰をグラインドさせている道化師(フラック)の姿が見えますね。神官銃士ちゃんたちが「うわぁ……」という顔をしたところで「おお、もうひとつ忘れておった!」という声とともに"おひいさま"が振り返り……。

 

 

「お主らの牧場、なかなかに良い畑を育てておる。来年の春にワシ特製の苗を持っていくから、歓待の準備をしておくのじゃぞ?」

 

「「「「「「……へ?」」」」」」

 

 

 道化師(フラック)のケツを蹴り上げ、呵々と笑いながら消えていく姿をポカンとした表情で見送る農耕士たち。やがて「どどどどうしよう!?」や「盛大な宴の準備をしなきゃ(使命感)」という困惑と喜びの入り混じった歓声が王都の通りに響くのでした……。

 

 


 

 

「はぁ……流石に疲れたわ……」

 

「あはは、お疲れー……うわ、机の上にでっかいお山がふたっつ……ッ

 

 

 王宮に戻る入り江の民(ヴァイキング)夫婦と王妹殿下1号2号、そしてその護衛である銀髪侍女さんをお見送りし、宿へと帰ってきた観光組。部屋では女魔法使いちゃんがたわわを机の上に乗せ、背中を椅子に預けた状態でぐったりとしているのを只人寮母さんが労わっています。他の登録者たちも皆一様に疲労感を漂わせており、登録会場の混乱を容易に想像させる状態ですね。

 

 

「ママー! あのねあのね……!!」

 

「おっきなドラゴンがね……」

 

「かみさまがね……」

 

 

 子どもたちは観光中に遭遇したイベントの数々をママたちにジェスチャーを交えてお話ししたり、初めて食べた珍しいごはんの感想を伝えたりと活発に動いていましたが……。

 

 

「「「「「スヤァ……」」」」」

 

 

 電池が切れたようにほとんどが一斉にダウン。おやつもたっぷり食べていたので、おゆはんは無しでそのまま夢の国へと旅行に行っちゃいました。何人かは目を擦って懸命に起きていますが、背後から伸びてきた手が彼らをそっと抱き上げ、高らかに宣言します。

 

 

「眠いのを我慢するのはダメよ。(キング)といっしょに寝る権利をあげるわ!!」

 

「「「はーい、おうさまー……」」」

 

 

 また明日とお別れするつもりだったのに、子どもたちにおねだりされてズルズルと宿まで同行しちゃった光背王(キング)ちゃんがまとめて捕獲、バチコンをウインクをキメてベッドルームへと消えていきました。子どもたちが全員眠りについたのを確認したところで、登録組と観光組がそれぞれの状況について報告していますね。

 

 

「ほー、神サンがねぇ……」

 

 

 "おひいさま"の話を聞きながらジョッキを傾ける槍ニキ。ダブル吸血鬼ちゃんの過去映像を観た面々は神が四方世界に顕現することを知ってますのでそんなに驚いてはいませんが、女神官ちゃんへのプレゼントについては興味津々みたいです。

 

 

「そちらは随分と厄介なことになっているようだな」

 

 

 一方で大会側の状況に兜奥の顔を顰めているのはゴブスレさんですね。参加希望者の殆どは今大会の部門について好意的だったみたいですが、「魔法が使えない者に対する配慮が足りてない(俺をもっと優遇しろ)」や「身体能力の差を考えないのか(只人よりデカいヤツを参加させるな)」という声が一部の参加希望者(いつもの福本モブ)から上がっていたそうです。

 

 

「『腕試しと異種族間交流』っつー大会の目的を忘れて騒ぐ連中なんざどうでもいいだろうが。それよりもだ……」

 

 

 女騎士さんを背に乗せ、最後の追い込み腕立て伏せに邁進中の重戦士さんに集まる視線。背から降りた女騎士さんの差し出すタオルで汗を拭きつつ、真剣な表情で告げるのは……。

 

 

 

 

 

「――格好(カッコ)つけて格闘部門(ステゴロ)に登録したは良いが、蜥蜴のダンナに勝つ方法が思いつかねェ……ッ」

 

「「「「「あー……」」」」」

 

 

 はい、みんな蜥蜴僧侶さんは無差別部門に参加するものとばっかり思っていたのですが……。

 

 

「フム、長老たちは無差別部門に集中しておりますな。同胞とはいつでも試しが出来ます故、拙僧は此方に……」

 

 

 ざわ……ざわ……。

 

 

 という感じで、大怪獣バトルではなく漢のタイマンを希望した蜥蜴僧侶さんの登録によって格闘部門の参加希望者はみんな腰が引けた状態に。一部の頭蛮族な連中や経験値目当ての正道新信徒(RTA走者)がニッコニコでエントリーする以外は互いに視線で牽制しあう展開となってしまったそうです。

 

 このままでは盛り上がりに欠けてしまうということで、急遽ダブル吸血鬼ちゃんのどちらかが格闘部門に参加するべきかと脳内通信をしていたのですが……。

 

 

「へっ、ドイツもコイツも情けねェな。せっかくだから俺ァ格闘部門を選ぶぜ!!」

 

 

 ……と啖呵を切った重戦士さんを皮切りに己の肉体を信奉する面々が続き、無事格闘部門には非常に暑苦しい参加者が集ったそうです。

 

 

「やっぱ素直に無差別部門へ参加すりゃ良かったかなぁ……痛ってぇ!?」

 

「情けないことを言うな。……それに、口ではそう言いながらも身体は正直に見えるが?」

 

「……へへっ。頭はやめとけっつってるんだが、筋肉(こっち)が言うことを聞かねェんだよなぁ……ッ!」

 

 

 ほっそりとした指先を鍛え抜かれた胸板に滑らせながら囁かれるパートナーの言葉に対し、牙をむくような笑みを見せる重戦士さん。艶っぽさを微塵も感じさせない遣り取りに「わかる」という顔を見せる肉食系女子の多いこと。ピクピクと興奮を隠せないように震える雄っぱいにはダブル吸血鬼ちゃんも……あれ、いない?

 

 

「っと、そういやチビ助ふたりは何処行ったんだ?」

 

「エロガキのほうはちっぱいエロフ3人(金床&若草祖母孫)に向こうの部屋で搾り取られてるわよ」

 

 

 あ、ほんとだ。子どもたちが寝ているのとは別の寝室から声が漏れてますね。どれどれ……。

 

 

「――どーおシルマリル、麗しの森人(エルフ)に前後から挟撃された感想は?」

 

「やっ、そんなとこ、きたないから……っ!?」

 

「あらあら、いつも『みんなにきたないところなんかないよ!』と(わたくし)たちの全身余すところなく内側まで味わっていらっしゃるというのに。そもそも代謝が止まっているので汚れることもありませんよね……んっ……ちゅぷ……っ」

 

「むぐ……ぷぁっ。ふふ、また一回りご立派に……素敵でございます♪ ちゅっ……はむっ」

 

「ふふっ、ふたりともご奉仕に夢中ねぇ。それじゃ、生意気なおくちと可愛いさくらんぼはわたしがもーらい♪」

 

「ふわぁ……」

 

 

 複数の水音とともに漏れ聞こえてくる吸血鬼君主ちゃんの快感を押し殺した喘ぎ声、スイッチの入っちゃった新進農婦さんがパートナーを引っ掴んで個室に消えていくのを生暖かい目で見送った後、女魔法使いちゃんが床面を指差しながら言葉を続けます。

 

 

「ワルガキのほうは下の酒場でよそのオトコと密会中。ウチの純情乙女も一緒よ」

 

 


 

 

「へぷちっ」

 

「おや、誰かが噂をしているのかな。お大事に(ブレスユー)

 

 

 上階の話の影響か、可愛らしいくしゃみをする吸血鬼侍ちゃん。宿に設けられた酒場のテーブル席に、ノースリーブのボタンシャツにタイトジーンズ&認識阻害の眼鏡というパーフェクト若奥様装備の剣の乙女ちゃんに抱きかかえられた体勢で血のように赤い葡萄酒(ワイン)をチビチビと舐めていたみたいです。

 

 

「毒・呪い・病気すべてに完全耐性を持つ吸血鬼(ヴァンパイア)がくしゃみ……実に興味深いですね!」

 

 

 吸血鬼侍ちゃんに声を掛けたのは砂漠の国で一緒に王宮へと潜入した銀毛犬娘ちゃん、揚げた薄切りの豹芋(ポテトチップス)を吸血鬼侍ちゃんの口元に差し出す相棒(バディ)の半森人局長さんが隣に座っています。

 

 

「しっかし、本気(マジ)で無差別部門に参加するたぁなぁ。安心しな、骨は拾っといてやるよクソ後輩、燃え尽きてなかったらな」

 

「余計なお世話だクソ先輩。アイツに挑める絶好の機会(チャンス)なんだ、躊躇う理由なんざひとつも無ぇよ」

 

 

 RTA走者とTASさんの向かい側、剣の乙女ちゃんの隣に座っているのは肉団子(ミートボール)入りパスタを争うように貪っている不良闇人さんと少年……おっと、結婚してパパになったことですし、初代牙狩りの長から継承した聖剣に因んで『月光魔術師』君と呼ぶことにしましょうか!のふたり。

 

 なお着席こそしていませんが、ふたりの背後にはそれぞれの奥様と娘さんが浮かんでおり、吸血鬼侍ちゃんの後頭部でふにゅりと柔らかく形を変えている剣の乙女ちゃんのたわわを食い入るように見つめています。

 

 背後霊4人は浮かんでいるので、8人掛けの大机に腰を下ろしているのは(剣の乙女ちゃんの膝上の吸血鬼侍ちゃんを含めて)全員で8人。残った席に座っているのは、特徴的な帽子を目深に被った青年と魔術師風の恰好をしたスレンダーな森人(ちっぱいエルフ)の少女……視聴神さんたちにもお馴染み、影の中を走る者(シャドウランナー)のカップルですね!

 

 

 ちょっと前に話題に上がりましたが、混沌の勢力との争いが秩序側有利となり金髪の陛下の名声が高まる一方、体制に不満を持つ門閥貴族や平等主義者といった内憂が首をもたげてきているというのが王国の現状です。陛下を中心とする王国中枢や他種族、そしてダブル吸血鬼ちゃんたちにとって彼らの存在は邪魔であり、向こうもまた同様の考えを持っているのは間違いありません。

 

 

「陛下をはじめとする王国の中心人物と他種族の来賓が一か所に集まる今大会、一発逆転を狙う連中にとっては絶好の機会に見えることでしょう」

 

「大会観覧に遅参という言い訳を添えて、王都近郊に門閥貴族が集まってきてるからね……()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ああなるほど、既に王都入りしている貴族は時勢を把握し金髪の陛下に頭を下げた、門閥貴族にとっては『貴族の誇り』を失った面汚しというわけですね。解放騎士(リベレイター)が王都を混乱させているのに乗じて攻め込む算段なのでしょう。

 

 

「――門閥貴族と蜜月だった商人たちも、資金提供や胡散臭い連中を王都に潜り込ませる手引きをしていた」

 

「はいこれ、そんな連中の名簿(リスト)だよ」

 

「どもども、後ほど確認させていただきますねー」

 

 

 森人魔術師ちゃんの差し出す紙束をニッコリと笑いながら懐にしまい込む半森人局長さん。そのまま出荷(粛清)リストになるんだろうなぁ……。

 

 

「既にいくつかの細胞(セル)は潰してある。連絡時に使用されていた符丁も解読してあるから確認して欲しい」

 

「良い仕事。陛下にボーナスを申請しておこう」

 

「いらん。……前払いで貰い過ぎていたからな、当初の予定通りじゃ釣り合わない」

 

 

 銀毛犬娘ちゃんの言葉に首を横に振る密偵君。ニヤリと笑いながら視線を向けた先には吸血鬼侍ちゃんが同じくエロイ笑みを浮かべています。ワイングラスの縁に指を滑らせる姿はまさに悪の大幹部といった雰囲気です。

 

 

「あのことベッドインして、ひとつうえのおとこになったんだもんね!」

 

「ぶっふぉ!?」

 

「言い方ぁ!!」

 

 

 ……2秒前までのシリアスは何処へやら。咽る密偵君の隣では真っ赤な顔の森人魔術師ちゃんがチラチラと密偵君の身体に視線を走らせています。ゴシゴシと口元を拭う彼の袖口から覗いているのは鈍色の鉄腕ではなく、程よく焼けた小麦色の人肌です。つまり……。

 

 

「白いほうのクソチビの≪蘇生(リザレクション)≫で、自前の逸物を取り戻したってワケか」

 

「言いたいことは判るが言い回しを考えろよクソ先輩」

 

 

 ドヤ顔で下ネタを披露する不良闇人さんをジト目で睨む月光魔術師君。背後の女性陣もアウトのジェスチャーとともに巻き付けたツインテールを発火させてますねぇ。辺りに香ばしい匂いが漂うのを華麗にスルーしつつ、密偵君が帽子を被り直します。

 

 

「……潰し切れなかった残りは明日の蜂起と同時に他の同業者(ランナー)と共同で始末する。アンタらは大会に注力してくれて構わないさ」

 

「アチチ……あいよ、どうせロクでもないことが起きるのは確定してんだ。派手にかましてやんよ」

 

(わたくし)どもは各将軍と連絡を密にし、門閥貴族の動きを監視してますね」

 

「もし連中が民に狼藉を働くようなら、栄纏神の神官や叢雲の狩人(ハンター)、首狩り兎を投入する。その時は迎えに行くから」

 

「……あんまり、みんなにころさせないでね? もしひつようならぼくとあのこがやるから」

 

 

 渋めだった葡萄酒(ワイン)の口直しでしょうか。器用に口でボタンを外し、露わになった深い谷間に顔を埋めながらの吸血鬼侍ちゃんの呟きに目を丸くする影の中を走る者(シャドウランナー)のふたり。隣の月光魔術師君は苦虫を嚙み潰したような顔をしてます。

 

 

「安心して。3人は警告と陽動、戦が始まる前に貴族の首を刈り取るから無駄に兵を死なせたりはしない」

 

「ん、それならいいや……はむ……」

 

 

 銀毛犬娘ちゃんの言葉を聞いて、安心したように目を瞑る吸血鬼侍ちゃん。鼻先で布地をずらし、露わになった吸い口を頬張ってゆっくりとちゅーちゅーし始めました。

 

 

「んっ……ふふ、誰も横取りしたりしませんわ。ぜーんぶあなたのものですから……」

 

「んー……あのこもおばーちゃんたちのちっちゃくてかわいいおやまにかこまれてるから、こっちのおやまはぼくがひとりじめ……ちゅー……」

 

 

 老化とはオサラバしたことで垂れる心配がなくなり、ダブル吸血鬼ちゃんがいつでもちゅーちゅーしやすいように下着をつけていない剣の乙女ちゃんの圧倒的なたわわ。その片方を口にしつつ反対側をたぴたぷと持ち上げる吸血鬼侍ちゃんのワザマエから目を離せない密偵君。おもわず本音が漏れてしまっても仕方がないでしょう。

 

 

「うお、すっげ……」

 

「見るな馬鹿ぁ!!」

 

 

 密偵君の頭を両手で強引に引き寄せ、自らの身体で視線を遮る森人魔術師ちゃん。慎ましいお山が彼の顔にあたっているのは偶然か、はたまた「あててんのよ」なんでしょうか。

 

 

 謀略の場であった筈の空気はあっという間にピンク色に。各自の仕込みは十分、あとは明日の本番を待つばかりといったところですね! 牙狩りのふたりも奥様と娘さんに引っ張られて宿屋の一室に消えていったことですし、今宵のカメラはここまでにいたしましょうか。

 

 さて、明日の大会。いったいだれがどの部門に出場するのか? ぜひ視聴神さんたちも予想してみてくださいね!

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 





 大型免許の卒検が控えているので失踪します。

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