ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

176 / 180

 上期〆の書類作成作業に追われていたので初投稿です。




セッションその19-7

 

 前回、的当て(シューティング)部門が始まるところから再開です。

 

 

「おーい、こっちこっち!」

 

 

 両腕にダブル吸血鬼ちゃんをぶら下げた令嬢剣士さんの向かった先は的当て(シューティング)部門参加者たちの集合場所。ブンブンと手を振る妖精弓手ちゃんの傍らには上の森人(ハイエルフ)夫婦の姿も見えますね。令嬢剣士さんの腕から勢い良くテイクオフしたダブル吸血鬼ちゃんですが、片方は妖精弓手ちゃんの金床に着弾、もう片方は空中でちょっぴり軌道を変えて……。

 

 

「あらあら、とっても悪い子がいるみたいね」

 

「えへへ、ふわふわー……」

 

 

 花冠の女王に受け止められ、ぽふりとたわわに顔を埋めているのは吸血鬼侍ちゃんのほうですね。夫の目の前で人妻のたわわを満喫するとは流石【辺境最悪】、令嬢剣士さんに回収されながらのてへぺろ顔には輝ける冠の森人(あにさま)もため息しか出ないご様子。

 

 

「むふー……エネルギーじゅうてんかんりょう!」

 

「それじゃ、いってきまーす!」

 

 

 過激なスキンシップを食い入るように見つめる他の参加者たちを置いてけぼりにして、妖精弓手ちゃんたちと別れて通路を進むダブル吸血鬼ちゃん。徐々に聞こえてくるのは興奮冷めやらぬ観客たちの声です。偶像(アイドル)部門で使用した機材が撤去された殺風景な舞台、その中心に立つふたりを観客たちが何が始まるのかと見守る中、吸血鬼君主ちゃんがインベントリーから取り出したのは……。

 

 

「なぁ、あれって……」

 

鶴嘴(つるはし)、だよな……?」

 

 

 ダブル吸血鬼ちゃんの背丈よりも大きな一本の鶴嘴。禍々しい魔力を秘めたそれは、かつて【死の迷宮】を構築する際に万知神さんに貸したことをすっかり忘れ、そのままコントロールルームに放置されていた悲しい品物。迷宮解放の際に六英雄(オールスターズ)が回収した宝物のなかでも一二を争う貴重品。≪死王(ダンジョンマスター)≫の呪文を増幅させる破壊神さん自慢の逸品ですね! なお鶴嘴に並ぶもうひとつのおたからは『吸血鬼侍』ちゃん(なんかやべーやつ)というのが王国首脳陣の共通見解だそうです。ですよねー。

 

 

「あしもとこていヨシ!」

 

「おおきくふりかぶってー……!」

 

 

 影の触手を舞台に打ち込み、頭上高く鶴嘴を振り上げるふたり。たっぷりと魔力の込められた切っ先が固い床面へと突き立った瞬間、ドクン……と空間に響く鼓動が周囲に広がり、平面だった舞台がその姿を変えていきます。

 

 不規則に隆起した複雑な足場が乱立する石造りの密林(ジャングル)。石柱の枝葉を縫うように飛び交っているのはカラフルな標的(ターゲット)を掴む無数の蝙蝠(眷属)たち。ダブル吸血鬼ちゃんの能力を有効活用した的当て(シューティング)部門の競技場が完成しました!

 

 

「なんじゃこりゃあ!?」

 

「うお……でっか……っ」

 

 

 アナウンスに従い己が得物片手に入場してきた選手たちも、僅かな時間で姿を変えた会場に目を丸くしています。ですが、競技内容を聞くにつれその瞳には力が宿り、磨き上げてきた業を競い合うべく攻略の糸口を掴もうと真剣な眼差しで舞台を見回していますね。控室でおこなっていたくじ引きで決まった順番に従い、左手の飛去来器(ブーメラン)と赤い胸当てが特徴的な格闘家が舞台へと駆け上がったところで観客席に視点を移してみましょうか!

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

「何この……何?」

 

「あ、あれは……!」

 

「知っているのですかお祖母様(ばあさま)?」

 

「ええ、あれは≪風雲拳(エレメンタルフィスト)≫。かつて森人の勇者(ゼ〇ダじゃないほう)壮大な戦い(スマ〇ラ)の最中に編み出したという、徒手空拳と飛去来器(ブーメラン)を組み合わせた伝説の格闘技です。肉体的な強靭さに加え風の精霊との親和性も要求されるため、勇者以外に習得したものは現れず幻の流法(モード)とされていたのですが……」

 

 

 まさか只人(ヒューム)にその使い手が残っていたなんて……と驚きをあらわにする若草祖母さん。会場全体に響く雄たけびとともに繰り出される拳、蹴り、ブーメランを用いた()()によって次々と標的(ターゲット)が壊されていく光景に子供たちは大興奮。なお冒頭で宇宙圃人(レーア)顔な圃人剣士ちゃんを見ておわかりいただけると思いますが、ほとんどの観客は困惑を隠せていませんね。……といいますか、的当て(シューティング)部門なのにブーメランを投げる気配を感じないのですが。

 

 

「あの、お兄様?」

 

 

 開幕早々のビーンボールに戸惑う女神官ちゃん。規約(ルール)上あれはどうなのかと陛下に裁可を求めますが……。

 

 

「フハハハハハハ! 面白い、己が肉体を矢に見立て、的確に標的(ターゲット)を破壊するとはな!!」

 

「ええ、素晴らしいカラテですわ!!」

 

 

 あ、ダメみたいですね(白目)。

 

 膝上に若草三女ちゃんを乗せた姿で爆笑する陛下とその隣で辛抱たまらんとシャドーを繰り出す神官従士ちゃんを見た女神官ちゃんのハイライトさんが無限の彼方に旅立つ間にも、会場では拳を繰り出す風圧で複数の標的(ターゲット)を破壊する筋肉モリモリマッチョマンの只人(ヒューム)や、やたら誘導(ホーミング)する亀の甲羅を投擲する赤い帽子がトレードマークな鉱人(ドワーフ)などの活躍……活躍?が続いています。審判席の近くではダブル吸血鬼ちゃんがせっせと眷属を補充している姿も見えますね。

 

 

 さて、そんな面白珍生物ユニークな選手が続く中、さっそうと舞台に現れたのは見る者すべてを魅了する麗しき上の森人(ハイエルフ)。白緑色の長髪をリボンでまとめ、イチイの弓を手に観客へと笑顔を振りまく姿はさながら絵画から抜け出してきた女神の如し。大胆に露出した脇から続くささやかな胸部と、チラリと顔を覗かせる純白の大腿部に生唾ゴックンな観客席の男たちですが……。

 

 

「ママのかっこいいところ、しっかりと見てなさーい!」

 

「がんばってー!!」

 

 

 貴賓席の手すりから身を乗り出し、慌てて女神官ちゃんに抱きかかえられた星風長女ちゃんとのやりとりに衝撃を受け、膝から崩れ落ちていきました。

 

 

「さーて……それじゃはじめますか!」

 

 

 観客の約半数が崩れ落ちた惨状を気にもせず、木芽鏃の矢をつがえニヤリと笑う妖精弓手ちゃん。開始の合図とともに石柱の森の中へと走り、表面の僅かな凹凸を足場にして軽やかに樹上へと駆けていきます。柱の先端に達したところで天高く跳躍、眼下で舞う標的(ターゲット)の未来位置を正確に捉え、束ねた矢を次々に放ちました。

 

 

「――いち、に、さん! に、に、さん、さん、さん! ……っと。あら、もうおしまい?」

 

 

 ふわりと羽毛のように石柱へと着地する妖精弓手ちゃん。標的(ターゲット)の2枚抜き3枚抜きは当たり前という神業を前に、美貌のみならず目を奪われていた観客たちから大きな歓声が上がっていますね。自らを称える声に長耳を機嫌良さそうに震わせる妖精弓手ちゃんの姿に星風長女ちゃんは大喜び。他の子たちも普段のお片付けができないだらしねぇ金床ママのかっこいい姿に大興奮です!

 

 

「さて、技巧のみが森人(エルフ)の弓ではないと知らしめてやらねばな」

 

 

 お、妖精弓手ちゃんと交代で舞台に登場したのは輝ける兜の森人(あにさま)ですね。妖精弓手ちゃんの持つそれよりも一回り以上大きな弓は非常に頑丈そうで、彼の強弓っぷりが容易に想像できます。眉目秀麗な立ち姿に黄色い悲鳴が飛び交う中、ふと思いついたようにダブル吸血鬼ちゃんのほうへと近づいていきました。

 

 

「星風の伴星よ、観客席の護りを強めておけ。……義妹ならまだしも、私と妻の弓相手には少々物足りぬからな」

 

「「はーい!」」

 

 

 元気の良い返事とともに鶴嘴へと魔力を送るふたり。競技参加者の矢玉から観客を保護していた障壁(シールド)が半ば可視化するほどに分厚く張られたのを見て満足そうに頷き、開始位置へと戻る輝ける兜の森人(あにさま)。「開始(はじ)め!」の声の後に破砕音と甲高い衝突音が響き、妻子持ちであることに衝撃を受け膝から崩れ落ちていた観客の約半数が顔を上げた先には驚きの光景が広がっていました……。

 

 石柱をまるで牛酪(バター)のように貫き、標的(ターゲット)に命中する矢。放たれた勢いのまま障壁(シールド)へと突き立ち、軋むような音を上げています。開始位置から一歩も動かず淡々と矢を放つその速度は妖精弓手ちゃんに及ばぬものの、障害物を意に介さず一直線に標的(ターゲット)を射抜き続ける姿はまさにグレーターレ〇ラスといったところでしょうか。すべての標的(ターゲット)を破壊し、満足げに舞台から去る後ろ姿に盛大な拍手が送られています。

 

 

 その後何人かの挑戦を挟み、舞台に姿を見せたのは妹である妖精弓手ちゃん以上の弓の使い手と噂される花冠の女王(あねさま)。細身でありながら豊満という矛盾を実現した肢体をゆったりとした絹の長衣に包み、手には幾本かの弦が張られた楽器にも似た弓が携えられています。薄布を押し上げるたわわに魅了され、老若男女問わず陶然とした表情を浮かべる観客たちを見て妖精弓手ちゃんがむくれていますね、かわいい。

 

 

「たいおんきょうぼうぎょしせいー!」

 

「うー!!」

 

 

 ……あれ、司会席の近くに待機しているダブル吸血鬼ちゃんが両耳を抑えながらしゃがみこんでますね。突然のカリスマガードに可愛いと何故の入り混じった視線が向けられるなか、花冠の女王(あねさま)がその繊手をそっと弦にあてがい優しく爪弾き……。

 

 

 

 

 

 ――キィン、という鼓膜に甚大なダメージを与える音の後、すべての標的(ターゲット)と、輝ける兜の森人(あにさま)の貫通撃で脆くなっていた石の森が一瞬にして弾け飛びました。

 

 

「うへぇ……あねさまったら、また力加減間違えてる……」

 

「い、いったい何なんですの、今の音は!?」

 

 

 シュッと引き絞った長耳を手で押さえ、しかめっ面を浮かべる妖精弓手ちゃんの隣で戸惑いの声を上げるギリギリ防御が間に合った令嬢剣士さん。周囲には間に合わなかった感覚の鋭い参加者たちがブクブクと泡を吹いて倒れちゃってます。音を矢として放っていたようですが、張り切りすぎて加減の度合いを見誤ってしまったみたいです。惨状に気づいた花冠の女王(あねさま)が真っ赤な顔で精霊たちに癒しのおまじないをお願いしているのが見えますね……。

 

 舞台が崩壊してしまったため競技は一時中断。鶴嘴で石の森を修復し競技が再開した裏で、魔力補給のために別室へと移動するダブル吸血鬼ちゃんの後ろには……。

 

 

「やらかしの責任はきっちりとらないとね。……シルマリル、ヘルルイン、おなかいっぱいになるまでちゅーちゅーしていいわよ」

 

「あ~れ~……」

 

 

 青筋を浮かべる妖精弓手ちゃんに両肩を掴まれ、別室送りにされる花冠の女王(あねさま)。4人の消えた部屋に音声担当の扁桃頭(アメンドーズ)君がマイクを近づけると……。

 

 

「いけません、わたしには夫と子が……!」

「問答無用、やーっておしまい!」

「えっと、やさしくするね?」

「いただきまーす……ちゅー」

「ん……く……ふわぁ……っ」

 

 

 身じろぎする気配が弱まり、かすかに聞こえる甘い声。やがて扉が開き、満足そうにおなかをさするダブル吸血鬼ちゃんが出てきました。ぽっこりおなかのふたりに続き、上の森人(ハイエルフ)の姉妹も選手控室に戻っていきます。

 

 

「どーよあねさま、うちの旦那様たちの技巧(テクニック)。あにさまとの夜戦に使えそうじゃない?」

 

「ええ、とってもすごかった。それに……赤ちゃんプレイ、実に盛り上がりそう」

 

 

 胸元を抑えながら肉食獣の笑みを浮かべる花冠の女王(あねさま)と、それを悪戯めいた顔で眺める妖精弓手ちゃん。控室の輝ける兜の森人(あにさま)がゾクリと背筋に走った悪寒に身を震わせてますが……強く生きてもらいたいですね。

 

 

 ――さて、途中でアクシデントもありましたが、とうとう最後の選手の出番がまわってきました。トリを務めるのは我らが令嬢剣士さん、休暇を勝ち取り大会を観にきた将兵たちの野太い声援に応えるように魔剣(アヴェンジャー)を天高く掲げています。省エネのロリ形態(モード)から大人の栄纏神の神官形態(モード)へと変身し、合図とともに鋼の翼を羽ばたかせて飛翔! 石柱の合間を縫うように飛行しながら腰だめに相棒を構えます!

 

 

「妹姫様のような優雅さとは無縁ですが、家族と同胞を守護(まも)るための暴威(ちから)こそ我が誇り! さぁ、とくとご覧あれ!!」

 

 

 牛の鳴き声のような音をバックに石の枝葉ごと標的(ターゲット)を薙ぎ払っていく発射速度毎分3900発の魔力弾によって粉々に砕かれていく舞台。時折流れ弾が観客席に飛んでいきますが、強化しておいた障壁(シールド)によって阻まれ被弾する人は出ていませんね。

 

 砕けた石による粉塵が渦を巻いて消え去った中心には、軽銀製の長剣に電光を纏わせた令嬢剣士さんの雄々しき立ち姿が。残り僅かになっていた標的(ターゲット)を≪稲妻(ライトニング)≫で粉砕し、くるりと軽やかに一礼する戦乙女もかくやという華やかさに観客席からは盛大な拍手が上がっています。

 

 なお最後の選手のため、舞台を粉々にしたことは不問とされるみたいです。どうせまた次の競技のために作り変えますしね?

 

 

「どうだ、そなたらの母たちはすごいだろう?」

 

「うん、すごくすごかった!」

 

「そんなすごい母をはじめとするそなたらの家族がこの国の大切な友人であることを、もっとこの国の民たちに知らしめることが重要なのだよ」

 

「わかったー!」

 

 

 貴賓席では膝上の星風長女ちゃんの頭を撫でつつ、陛下が我が事のように妖精弓手ちゃんたちの活躍を自慢していますね。パパやママとはちょっと違う金属質な光沢の金髪を弄んでいた星風長女ちゃんですが、陛下のプチ帝王学にはしっかりと長耳を傾けている様子。

 順調に成長すれば彼女が次代のまとめ役になる可能性が高いですし、義眼の宰相や赤毛の枢機卿も彼女に期待しているみたいですね。

 

 ……なお、相変わらずおっぱいソムリエなようで、砂漠の姫君……もとい砂塵王妃さんが近寄ってくると即座に陛下の膝上から抜け出し、腕に抱えられていた赤ちゃんごとロイヤルたわわを満喫していることを視聴神さんたちにはお伝えしておきます。

 

 

 ……おっと、控室にいた選手たちが会場に戻ってきましたね。今大会では各競技の終了後にすぐ順位が発表されるため、観客たちは興奮冷めやらぬまま表彰式が見られるようになっています。

 

 的当て(シューティング)部門の優勝者は先ほど偶像(アイドル)部門で最後に演奏していた影を走る者(ランナー)のひとり、只人(ヒューム)木管楽器(サックス)奏者でした。音を用いた遠距離攻撃という花冠の女王(あねさま)と似た技法の使い手でしたが、破壊力こそ及ばぬものの観客たちの出す声や音を完全に打ち消し、雑音の消えた世界で美しい旋律とともに標的(ターゲット)を破壊する芸術性の高さが評価されていましたね。

 

 準優勝は闇人(ダークエルフ)勝負師(ハスラー)。魔力から生成された複数の白球をキューで突き、ぶつかり合った白球が標的(ターゲット)を連鎖的に捉える美しさが決め手だったみたいです。コメントで「優勝した彼と同様、裏の世界から足を洗う切っ掛けとしてこの大会に参加した。今後は撞球(ビリヤード)の指導を行うつもりなのでよろしく」とぶっちゃけたあたり、王国の浄化は上手くいっているみたいです。

 

 3位は妖精弓手ちゃん。優勝できなくて不満顔かと思いきや、自らの技を磨き上げた姿勢に感じ入るものがあったのか惜しみない拍手を送っていました。良き敗北者(グッドルーザー)としての妹の振る舞いを見た花冠の女王(あねさま)の目には光るものが。なお上の森人(ハイエルフ)夫婦は大会終了後、お説教が待っている模様。

 

 


 

 

「――いい感じに盛り上がっているみたいだけど、あちらさんはどんな顔してるのかしらね」

 

「きっと『あの森人(エルフ)を好きに弄んでやりたいなぁ』とか考えてるだけですよぅ」

 

 

 ところ変わってダブル吸血鬼ちゃん一行専用の控室。呪物(モニター)越しに令嬢剣士さんたちの競技を見ていた女魔法使いちゃんが端末に手をかざすと映像が切り替わり、解放騎士(リベレイター)たちの様子が映し出されました。

 

 

「GOBGOBGOB!」

 

「GOB!」

 

「「GOGOB!!」」

 

 

 専用に拵えられた鎧兜を床に放り捨て、アップになった上の森人(ハイエルフ)姉妹の映像をニタニタ笑いながら眺めている小鬼(ゴブリン)たち。意味は判らずともその声色と表情から白兎猟兵ちゃんの想像に近しいことを言っているのは間違いなさそうです。戦士(ファイター)と思しき大柄な小鬼(ゴブリン)が妖精弓手ちゃんを指差し、いきり立つ分身を誇示しながら卑猥に腰を動かすのを普通サイズの小鬼たちが囃し立てる光景にダブル吸血鬼ちゃん一行の視線が良い感じに冷えていってますねぇ。

 

 

「GOBGOB……GO!?

 

 

 お、卑猥な動きを続けていた小鬼(ゴブリン)の頬に白銀の籠手が炸裂し、部屋の壁に叩きつけられました。口の端から血を流す小鬼(ゴブリン)の胸倉を掴み上げ、その顔を覗き込むのは眉目秀麗な聖騎士……解放騎士(リベレイター)です。

 

 

「何度言えば判るのかね? 下品な想像を表に出すのは止めたまえ」

 

「GOB……」

 

 

 頭皮を撫でる冷たい金属の感触に身を震わせる小鬼(ゴブリン)解放騎士(リベレイター)の背後には唯一立派な鎧を身に着けた状態で待機していた堂々たる体躯の小鬼(ゴブリン)が嘲りに満ちた表情で彼を見下しています。あれがもっとも解放騎士(リベレイター)が期待している個体……おそらく聖騎士(パラディン)ですね。解放騎士(リベレイター)から見えない位置で馬鹿にしてくる聖騎士(パラディン)を憎々しげに睨み、口元を拭いながら席へと戻った戦士(ファイター)を見た解放騎士(リベレイター)が大げさな身振りとともに声を張り上げます。

 

 

「なんと傲慢なのだろう、森人(エルフ)は他種族の導き手にでもなったつもりなのだろうか。あのように自らの技をひけらかすなど、平等とは程遠い行為ではないか!」

 

「それに闇人(ダークエルフ)を表彰台に上げるとは! 彼は人知れず静かに暮らしたかったはず、それを衆目の晒し者にするなど闇人(ダークエルフ)に対する()()そのもの!!」

 

 

 矢継ぎ早に繰り出される彼の思想の発露。意味は判っていないでしょうが、彼の表情と時折混じる「エルフ」という言葉に侮蔑の臭いを感じ取った小鬼(ゴブリン)たちが追従の声を上げ、それに解放騎士(リベレイター)が反応し、独演会はヒートアップしていきます。

 

 

「なによりもあの吸血鬼(ヴァンパイア)! 何故あのような()()を陛下は認めているのか。……やはり何らかの呪法によって操られているに違いない、そうでなければ小鬼(ゴブリン)よりも生き汚いアンデッドがあれほどまでにか弱き乙女たちを己が手中に収めるなど考えられぬ。今はまだあれだけの()()で済んでいるが、これ以上彼奴らの毒牙に掛かる者を増やすわけにはいかん!!」

 

 

 あーあー、女魔法使いちゃんの顔から感情が消え去り、仮面みたいになっちゃってます。叢雲狩人さんはケタケタと楽しそうに嗤い、白兎猟兵ちゃんと剣の乙女ちゃんは右手の得物をガシャンガシャン、圃人剣士ちゃんは拳を呪物(モニター)に叩きつけようとして慌てた英雄雛娘ちゃんに羽交い絞めにされてますね。

 

 

「一刻も早く吸血鬼(ヴァンパイア)の呪いからこの国を解放しなければならない。()()()()()()()()、哀れな乙女たちを目覚めさせるのだ。己の罪深さを知った彼女たちならば我らが計画に快く賛同し、()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 

 

 

 

 

「――さ、()()()()()()()? それにそろそろ次の部門が始まるみたいだし」

 

「そ、そうですね! じゃあいってきます!!」

 

「ん、頑張ってらっしゃい。あなたもよろしくね」

 

「ワン!」

 

 

 にっこりと笑いながら映像を試合会場へと切り替える女魔法使いちゃん。ダブル吸血鬼ちゃんによって会場は騎乗部門へと作り変えられており、狼さんを連れた英雄雛娘ちゃんが足早に部屋を出ていきました。音もなく女魔法使いちゃんの背後へと忍び寄った叢雲狩人さんがそっと手を伸ばしたのは、いつも悪戯で揉みしだいているたわわではなく笑みの形で固まっている頬でした。

 

 

「……よく我慢したね、えらいえらい」

 

 むにむにと解きほぐすように頬を撫で、ほかのみんなに見えないように女魔法使いちゃんの顔を胸元に埋める叢雲狩人さん。深い谷間から湧き出てきたのは、新鮮な屍人(フレッシュゾンビ)と化した眼鏡重戦士(福本モブ)相手にブチ切れた際に顕在化した女魔法使いちゃんの一側面。血族(かぞく)を傷つける相手を鏖殺せんと猛り狂う、鬼子母神の如き本能です。

 

 

「あの子たちと、陛下との約束だから、アイツは()()()()()()()。どんなに殺したくなっても我慢するし、どんなに殺してくれと懇願されても殺してやらない」

 

「うん、そうだね。小鬼(オルク)に散々弄ばれた私たちに向かって『小鬼(オルク)の花嫁になれ』だなんて言う奴だ。殺してあげるなんて()()()()ことするわけないじゃあないか。……そうだろう、私の可愛い義妹(いもうと)君?」

 

「……ん」

 

 

 たわわから離した顔を叢雲狩人さんの顔へと近づけ、甘えるように唇を重ねる女魔法使いちゃん。労わるような舌の動きに攻撃色は薄れ、徐々に瞳が快楽に蕩けていくのが見て取れます。ぴっちりインナースーツの先端で存在を主張し始めた相手の吸い口へ互いに手を伸ばし、女騎士さんや魔女パイセンが熱い視線で見守る中、さらなる繋がりを求めて指先が期待に震える先端へ触れようとした瞬間……。

 

 

 

 

 

「あー! 優勝できなかった、くーやーしーいー!!」

 

 

 空気を読まずに……いや、逆に空気を読んだ妖精弓手ちゃんが控室へと飛び込んできました。太陽神さんも高いうちから『ちょっとHな雰囲気』に満ちた光景にしばらく硬直していた後、彼女が出した答えは……。

 

 

 

 

 

「――えっと、大丈夫? おっぱい揉む?」

 

 

 

 

 

「――大丈夫だし、おっぱいは揉まないわ」

 

「いや、そもそも妹姫(いもひめ)様には揉めるほどの膨らみなんてカヒュッ

 

「ふふん、たった数年でこんなに成長したのよ? 数百年もすればたゆんたゆんよ、たゆんたゆん!」

 

 

 助走なしの怪鳥蹴りで叢雲狩人さんを沈め、薄い胸を張る妖精弓手ちゃん。たしかにうっすらと谷間らしき陰影が描写されるようになりましたけど、それって妊娠&出産によるものなんじゃ……いえ、なんでもないです。

 

 

 妖精弓手ちゃんの乱入でなんとか平静を取り戻した女魔法使いちゃん。ですが解放騎士(リベレイター)に対するヘイトは天井知らずに上昇を続けております。いったいどんなファンサービスが彼を待ち受けているのでしょうか、期待と不安が高まっていきますね。

 

 次回は騎乗部門からですね、英雄雛娘ちゃんの活躍、期待してますよ!

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 





 職場環境が激変する予感がするので失踪します。次話はまた少し間が空いてしまいそうですが、エタったりはしませんのでお待ちいただければ幸いです。

 評価や感想、お気に入り登録ありがとうございます。モチベーション維持とやる気アップに繋がりますので、是非とも感想や評価をお願いいたします。

 お読みいただきありがとうございました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。