ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 うまいこと時間が作れたので初投稿です。

 


セッションその19-10

 

 前回、メインイベントが始まったところから再開です。

 

 結界の準備と陛下の挨拶が終わり、用意された控室へと戻っていく選手たち。叢雲狩人さんの甘い芳香とたわわを堪能していたダブル吸血鬼ちゃんですが、吸血鬼君主ちゃんは白兎猟兵ちゃんに肩車をしてもらいながら眼前に揺れる長耳をはむはむ。吸血鬼侍ちゃんのほうは……。

 

 

「……むむむ、ひょっとしてまた大きくなったのかな?」

 

「ひゃんっ!? り、頭目(リーダー)さんたちが揉んだり吸ったりするから……っ」

 

「ふふん、ぼくたちとちがって、まだまだせいちょうするからね!」

 

 

 おっと、空いたスペースに圃人剣士ちゃんを捕獲して、ふたりがかりで過激なスキンシップを繰り出してますね。胸当てと鎧下の隙間に手を滑り込ませ、圃人(レーア)っぱいの成長を確認しています……あ、VIP席から飛んできた≪力矢(マジックミサイル)≫がエロフとエロ吸血鬼(ヴァンパイア)の頭部に2発ずつ命中しました。視線を向けた先では女魔法使いちゃんが「さっさと移動しろ」という眼で睨んでますねぇ。

 

 

「なーにやってんのさ。ホラ、早くいくよ!」

 

「はーい……ぐえー」

 

 

 ありゃ、交易神さんの神官コスな勇者ちゃんが、手に持つ槍の()()で器用に吸血鬼侍ちゃんを引っ掛けて回収してっちゃいましたね。……石突側じゃないのでしっかり身体に刺さってる気がしますが、魔法の武器じゃないので問題ないでしょう、きっと。

 

 

「相変わらずエロいことしてんなぁ、見てるこっちは眼福だけど」

 

「……真顔でそう言い切れるお前は随分成長したと思うぜ? いやマジで」

 

 

 そんな一党(パーティ)の後ろに味わい深い表情で続く神殿騎士君。最初は下水で四苦八苦していた彼も今では立派な大司教(聖女ちゃん)の盾、頬を赤らめることなく眼前のR17.9な光景を脳内に保存ずる図太さに隣の槍ニキがドン引きしています。

 

 同じ(?)至高神の聖騎士(パラディン)として対抗意識があるのでしょうか、VIP席からダッシュしてきた至高神の聖女ちゃんに怪鳥蹴りで吹き飛ばされる神殿騎士君を解放騎士(リベレーター)が憎々し気に睨みつけ、そんな彼を頬を腫らせた小鬼(ゴブリン)たちがせせら笑う負のスパイラルが構築されてますね。

 

 

 

 さて、選手たちが控室に消え審判兼治療役の神官たちが配置についたところで、改めて無差別部門の規約(ルール)を確認しましょうか。

 

 試合は一対一(タイマン)で行われ、使用する武器や防具の制限なし。呪文についても使用制限は無いですが、観客にまで害を及ぼすものは禁止されています。戦闘不能またはギブアップの宣言により決着となりますが、審判(レフェリー)によって危険と判断された場合はそこでストップ。無論相手を死なせてしまった場合は問答無用で負け扱いですので、致死性の高い毒物の使用は禁じられてますね。

 

 なお「体格差というハンデを埋めるために小鬼(ゴブリン)たちが毒を使用する事を禁じるのは不公平だ」などと言う輩がいたそうですが、回復だけでも手一杯になると予想される神官たちからの「それ圃人(レーア)にも同じこと言えんの?」や「じゃあ責任取ってお前が全員≪解毒(キュア)≫しろよ? お前が連れてきた連中だろ(意訳)」という至極真っ当な意見に封殺されたそうです。

 

 

 ――とまぁ、そんな話をしているうちに一回戦最初の試合が始まりそうですね。原作(TRPG)と同様手番(ラウンド)は30秒で進行していきますので、1試合あたりの時間はそんなにかからないでしょう。とは言え試合数もなかなか多いですし尺の都合もありますので、ダブル吸血鬼ちゃんたちが出場する試合や注目のカードに的を絞っていきましょうか!

 

 


 

 

「――続いては、あの【辺境最悪】の小さなサムライと、猛き蜥蜴人(リザードマン)の闘士の対決です!」

 

 

 ……というわけで、ちょっと時間を早送りして吸血鬼侍ちゃんの試合でございます!

 

 黒を基調とした幕末スタイル衣装な吸血鬼侍ちゃんと相対しているのは、蜥蜴僧侶さんのようなスマートな体形ではなく、丸太のように太い四肢と尻尾を持つ桃色肌の鱗人……蜥蜴人(リザードマン)の亜種である鰐人(クロコダイン)ですね。身に纏う鎧には無数の傷が刻まれ、本人の身体にも歴戦の跡が誇らしげに残っています。大きな口をカパッと開き、シューシューと牙の隙間から独特の音を響かせながら吸血鬼侍ちゃんへと話しかけています。

 

 

『フム、まさかこんなにも早く吸血鬼(ヴァンパイア)殿と戦えるとは……父祖たる猛き滄龍(モサス)の導きに感謝を!』

 

「えっと……『鱗無き身であれど、我が牙と爪は朋友たる其方と同じ。その交わりを以て友誼(遊戯)の始まりを示さん』……でいいかな?」

 

 

 ファッ!? 吸血鬼侍ちゃん蜥蜴人語(薩摩弁)喋れたんですか!? たどたどしいながらも流麗な言葉遣いに鰐人闘士も目を丸くし、観客からは「なに言ってるか判らないけど可愛い!」という声が上がっています。

 

 

「えへへ、とかげさんにおしえてもらってたの! これがはなせれば、とりのひと(ハルピュイア)さかなのひと(ギルマン)ともなかよくなれるって!!」

 

 

 なるほど、蜥蜴僧侶さんに……ふたりとも彼のことが大好きですし、きっとあの巨体によじ登りながら教えてもらってたんでしょうね。

 

 

『まさか我らの言葉すら理解されているとは……あの若造のいう通り、実に素晴らしい! 是が非でも()()()()()()()()()()()!!』

 

「……ふぇ?」

 

 


 

 

「いかん、いかんぞ!?」

 

「そんなのお兄ちゃん許しませんよ!」

 

「ダメに決まっているだろうが!!」

 

 

 

「お、叔父様?」

 

「えっと、お兄様?」

 

「あにさままで、いったいどうしたのよ……」

 

 

 突然叫びだした男たちの奇行に騒めくVIP席。蜥蜴人語(薩摩弁)を解する頭領(ゴジ)、陛下、輝ける兜の森人(あにさま)には聞き逃せない爆弾発言でしょうねぇ。『えっと……』と躊躇いがちに奥方(フースフレイヤ)が会話を要約すると、女性陣も「あちゃー……」という顔になっちゃってます。

 

 

「ヘルルインったらモテモテねぇ……これも女冥利に尽きるってヤツかしら?」

 

「っていうか、故郷でどんな紹介したのよ?」

 

「『鱗が無いのが悔やまれるほどに強く、陽光の如き暖かさを秘めた戦士である』と……」

 

「独り身ならいざ知らず、既に(家庭)を持った相手を勧めてどうする、亭主殿……」

 

「返す言葉も無い、本当に申し訳ありませぬ……」

 

 

 巨体を縮こませる蜥蜴僧侶さんに呆れた目を向ける女将軍さん。『強さ』を何よりも尊ぶ方々にそんな紹介の仕方をしたら……そうもなるでしょうねぇ。舞台上では頭上にでっかい『?』を浮かべる吸血鬼侍ちゃんへと熱心な説得が続いております。

 

 

『我らが巣へと居を移し、部族の雌たちと強き子を成して頂きたい! 無論、今(つがい)となっている方々も全員連れてきて頂いて結構、強き雄が多くの雌と番うのは天然自然の理であります故!』

 

「あうぅ……///」

 

 

 如何ですかな! と満面の笑みを浮かべる鰐人闘士を前にたじたじの吸血鬼侍ちゃん。チラチラと視線をお嫁さんたちへ向ける姿を見て女魔法使いちゃんが冷や汗を浮かべています。

 

 

「不味いわね……蜥蜴人(リザードマン)は外見の性差が殆どない種族。そしてふたりとも旦那さんの大ファン……」

 

「ま、まさか……っ」

 

 

 女魔法使いちゃんの呟きにゴクリと唾を飲み込みながら続きを促す神官銃士ちゃん。一同が耳を傾けるなかで女魔法使いちゃんが出した結論は……!

 

 

 

 

 

「――つまり、あのふたりにとって蜥蜴人(リザードマン)の女の子は全員超絶イケメン女子ってことなのよ!!」

 

「「「「「な、なんだってー!?」」」」」

 

 

 

「えっと、そうなんですか頭目(リーダー)さん?」

 

「うん、みんなとってもカッコイイよね! それに、あっちのぼくはママ(半森人夫人さん)みたいなスマートでオトナっぽいひとがせいへきのどまんなか! そんなこが『もうゆるして』っておねがいしてくるまでせめつづけるのがすきなんだよ!!」

 

「マジかよ……」

 

 

 圃人剣士ちゃんの問いに答えつつ、さらっと相棒の性癖を暴露する吸血鬼君主ちゃんに戦慄を隠せない槍ニキ。ダブル吸血鬼ちゃんの目線だと蜥蜴人(リザードマン)の女の子はみーんな王子様系の中性的な美形に見えているみたいです。

 

 

「……ちなみにそっちの好みは?」

 

「ぼく? ぼくはねー……えへへ、ぎゅってだきしめてあたまをなでながらあまやかしてくれるこを、ぎゃくにトロトロにとろけちゃうまですりすりしたりちゅーしたりで、あまえたおすのがすき! ……『もうがまんできない!』ってなみだめでにらまれると、こうふんするよね?」

 

「わかりみが深い」

 

 うーんこれはまごうことなきエロ吸血鬼(ヴァンパイア)、女魔法使いちゃんや妖精弓手ちゃんが苦労する姿が容易に想像できますね。そんな吸血鬼君主ちゃんに深く頷きを返している神殿騎士君ですが、最近彼に新たな奇跡を授けた至高神さんによりますと「聖女ちゃんとひとぴょいした翌朝は、毎回彼女の大司教服(エロ装束)に≪浄化(ピュアリファイ)≫を唱えてる」んだとか……彼もまた深ーい業を背負っているんやなって。

 

 

「いけませんわお母様、このままでは頭目(リーダー)が貴族の務めをほっぽり投げて蜥蜴人(リザードマン)の集落へ行ってしまいます!」

 

「えぇ……? いや、流石のあの子でもそれはないのでは……?」

 

「ダメです! さぁお母様、なんとか思い留まらせる妙手をひとつ!!」

 

 

 必死の形相で半森人夫人さんに詰め寄る令嬢剣士さん。ですがその頬の震えから笑いを堪えるのに必死なのが丸わかりですね。さぁさぁと手摺際まで母親を押し出し、眼下の吸血鬼侍ちゃんへと呼びかけました。会場全体の目が集中したところで半森人夫人さんが咳ばらいをし、吸血鬼侍ちゃんへ告げるのは……。

 

 

 

 

 

「……んんっ。この試合に勝利したら、お昼寝の時に添い寝してあげましょう。もし優勝したら……そうですね、追加でその可愛らしいおでこに『ちゅー』では如何ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――まけられないたたかいが、ここにある!」

 

『グォッ!? な、なんという闘気……これが【辺境最悪】の圧ということか!!』

 

 

 吸血鬼侍ちゃんチョロ過ぎません??? 近年稀にみるやる気で村正と魔王剣(サタンサーベル)をブンブン振り回す姿に冷や汗が止まらない鰐人闘士。しかし彼もまた一流の戦士、腰に下げていた巨大な戦斧を構え、高々と宣言します。

 

 

『此方が勝った暁には、巣作り(りざぴょい)三昧の日々を送って頂く! 三世代ほど経過すればサムライ殿の血統も確立するでしょうな!!』

 

「きっついインブリードはオススメしないよ……!」

 

「ああもう、試合開始(はじ)めぇッッッ!!」

 

 

 ――おっと、危険な発言が飛び出しかけたところで審判が試合開始を宣言し(てくれ)ました!

 

 先手を取ったのは鰐人闘士、訓練場で新人たちを指導している戦斧士さんが両手でやっと持ち上げられるかどうかという巨大な斧を片手で軽々と担ぎ、巨体に見合わぬ俊敏さで吸血鬼侍ちゃんへ向かって石畳を一直線。間合いのはるか外から振り下ろされる一撃に対し、二刀を交差させて受けの構えをとる吸血鬼侍ちゃん。空気を割り砕きながらの初撃は金属同士がぶつかり合う甲高い音を試合会場に響かせます。

 

 

『渾身の一撃を受け止められるとは……里の戦士にもそうは居りませんぞ!』

 

ぼくたち(ヴァンパイア)はね、ちいさくてもちからもちなの……わわっ」

 

(フン)ッ!』

 

 

 おおっと、戦斧を受け止められた状態から間髪入れずに右の蹴り上げ! 唸りを上げて迫る丸太のような脚に上手く自らの脚を合わせて後方へと距離を空けた吸血鬼侍ちゃんですが、空中で体勢を立て直したその目に映るのは両手で戦斧を構える鰐人闘士の姿。裂帛の気合とともに振るわれた戦斧からは目に見えぬ真空の刃が放たれています!! 緻密な身体制御で独楽のように回転しつつ不可視の斬撃を背中の羽根で打ち払いますが、鰐人闘士のターンは終わりません!

 

 

『コォォォォ……カァァァァッ!!

 

 

 大きく開かれた顎から放たれたのは灼熱の吐息(ブレス)。蜥蜴僧侶さんのような出鱈目な威力ではないため呪文抵抗(Iフ〇ールド)で防げたみたいですが、熱を伴う閃光が吸血鬼侍ちゃんの視界を奪います。影の触手をアンカーのように用いて吐息(ブレス)の範囲から逃れた吸血鬼侍ちゃんに向かって、戦斧を地面に突き立てた鰐人闘士が両の手を捻るような奇怪な構えを取りました!

 

 

『成程、武器も吐息(ブレス)も効果はいまひとつ。長期戦は此方に不利……ならば、全力で参る!!』

 

「あたた……あ、やばっ」

 

 

 鰐人闘士の両手から放たれたのは、膨大な『気』が込められた竜巻の如き力の奔流。武闘家が使う『遠当て』に原理は似ていますが、種族由来の生命力によって増幅され、左右逆回転の竜巻に挟まれた対象を粉砕するそれはまさに『痛恨の一撃』! 石畳を削りながら観客席を護る障壁にまで到達した竜巻の通った跡には塵ひとつ……。

 

 

 

 

 

『……無念、此方の負けですな』

 

「うぇぇ、ぺっぺっ……うん、でもあたってたらまけちゃってたかも!」

 

 

 砂煙の晴れた舞台上には鰐人闘士の首筋に高熱を帯びた血刀を突き付けた吸血鬼侍ちゃんの砂礫塗れの姿が。よく見れば触手アンカーを打ち込んでいた場所に吸血鬼侍ちゃんが通れそうなちっちゃな穴が開いています。ブスブスと煙を上げるそこから鰐人闘士の背後まで石畳が不自然に沈降してますし、もしかして……。

 

 

「ほう! あのちみっこ、燃やすモンを選べるようになったんか!!」

 

「嬉しそうな顔しおって……まぁ、鍛冶師冥利ってヤツだがの」

 

 

 観客席で自慢げに鼻下を擦る隻眼鍛冶師さんと、その脇腹を小突く鉱人道士さん。そういえばトロール燃やし祭りのときは生命体しか燃やせなかったですもんね。鍛冶神さん情報によりますと、侍の職業(クラス)をマスターしたことで武器の新たな力を引き出せるようになったみたいです!

 

 村正の場合は『斬りたいものだけ斬れる』と、現在張られている結界と同じ……といいますか、村正の効果を参考に結界が調整されたというのが正解とのこと。魔王剣(サタンサーベル)のほうは『攻撃を物理属性から魔力属性に変更する』……つまり物理防御の無視ですね。霊体なんかにも直でダメージが入るのでアンデッド全般に良く効くことでしょう。

 

 (真言)万知神の神官(奇跡)のマルチクラスに種族特性の死霊術……精霊術こそ相性の問題で習得できませんが、これで祖竜術まで使えるようになったら……え? 蜥蜴僧侶さん√の場合、吸血鬼(ドラキュラ)は竜の眷属だから使えるようになってた? いや、終盤でそんな爆弾情報出さないでくださいよ!?

 

 

 ……さて、舞台上では鰐人闘士が負けを認めたことで吸血鬼侍ちゃんの勝利が宣言されました! 大迫力の試合に観客たちも大満足、鰐人闘士にも健闘を称える声が……。

 

 

『この馬鹿! なーに負けたくせに清々しい顔してるのさ!!』

 

『ああ、ちいつよな吸血鬼(ヴァンパイア)とりざぴょいするチャンスが……』

 

『オラ、責任持ってお前がアタシたちを孕ませるんだよぉ!!』

 

 

 ……見目麗しい淑女たちからの暖かい言葉に鰐人闘士さんの目から涙が零れてますね(白目)。

 

 

「パパ、すごーい!」

 

「かっこいいー!!」

 

「ワニさんもかっこよかったよー!」

 

 

 VIP席の手摺に鈴なりになってぶら下がっていた子どもたちもパパの活躍っぷりに大興奮。普段はママたちとイチャコラしていたり、一緒になって遊んだりする友達みたいな距離感ですが、どっちのパパもやるときはやりますからね! なおちょくちょく一緒に寝た寝台(ベッド)から抜け出して、夜な夜なママたちにチャージ(意味深)しているのはまだナイショです。

 

 


 

 

「おかえりー! おつかれさまー!!」

 

「ただいまー! ……むふー!!」

 

 

 控室に戻ってきたところで、いつものハグを交わすダブル吸血鬼ちゃん。ご褒美を想像しているのか、吸血鬼侍ちゃんの顔は緩みっぱなしですね。

 

 

「……あのな? 年齢差とか祖母孫セットとかについてはもうとやかく言わねぇけどな? 流石に人妻はやめとけよ???」

 

「……それ、経験談っすか……痛ってぇ!?」

 

「そんなことかんがえてないもん! パパさんともなかよしなんだよ!!」

 

 

 神殿騎士君の脇腹に相棒の石突をねじ込みながら、かつてないほどに真剣な表情で語る槍ニキ。その一方で心外という顔の吸血鬼侍ちゃん、実況にこそ登場していませんが、令嬢剣士さんのパパ、半森人夫人さんの旦那さんであるご当主とは非常に良好な関係を築いております。

 

 パパさん的にダブル吸血鬼ちゃんはわんぱくで手のかかる男児ポジションらしく、領地に招待してくれた時は一緒に馬の遠乗りやキツネ狩りで絆を深めていました。なお領内でゴブリンが発見された際は血族(かぞく)&血に飢えた冒険者を招集し、きっちり根切りにしたそうです。

 

 

「はーい頭目(リーダー)さん、顔吹きましょうねー!」

 

「わぷぷっ!? えっと、その、おこってる?」

 

 

 にこやかな笑みを浮かべ、吸血鬼侍ちゃんを胸元に抱き寄せてタオルで顔を拭う圃人剣士ちゃん。後頭部に感じる柔らかな感触と蒸しタオルの温かさのダブルパンチに眉を下げる吸血鬼侍ちゃんですが、優しい手つきで顔を清める圃人剣士ちゃんに怯えた様子を隠せてませんね。タオルの両面で髪の毛まで綺麗に拭ったところでくるりと吸血鬼侍ちゃんをひっくり返し……。

 

 

「んむっ!? ん……ぴぃ!?

 

 

 強引に唇を奪い、舌を絡める圃人剣士ちゃん。吸血鬼侍ちゃんのちょっぴり長い舌を自分の陣地に引きずり込んだところで、その先端にガブリと嚙みつきました! 突然の衝撃に足ピン状態な吸血鬼侍ちゃんをきつくハグし、滲み出てきた血と唾液を音を立てて啜っています。腰が抜けたフニャフニャ吸血鬼(ヴァンパイア)が出来上がったところで口を離し、啜った血で赤く染まった口内を見せつけた後にふんわりたわわで吸血鬼侍ちゃんを包み込みました。

 

 

「その、あたし、妹姫(いもひめ)さまみたいに待てないし、みんなと一緒にいる時間が減るのはいやだ。だから……っ!」

 

「ん、ごめんね。でもだいじょうぶ! みんなをおいてはなれたりなんてしないよ!! ……ワニさんたちは、ぼくがいなくてもだいじょうぶみたいだしね?」

 

 

 むぎゅっとたわわを堪能しつつ、圃人剣士ちゃんの背中を優しく撫でる吸血鬼侍ちゃん。どうやら吸血鬼(ヴァンパイア)耳にはさっきのやりとりが聞こえていたみたいです。ジト目で続きを促す圃人剣士ちゃんの首後ろに手を回し、自らの牙で傷を付けた舌を彼女の口へと差し込み、魔力とともに血を注いでいきます。染みわたる魔力の感覚に身を震わせ、頬を紅潮させた圃人剣士ちゃんを絶壁に抱きしめ、耳元に口を近づけて……。

 

 

>「――準備ができたらいつでも言って頂戴? 貴女の望むときに、眷属にしてあげる」

 

「ふぁっ……は、はいっ!」

 

「だんなさまってばスケコマシですねぇ」

 

「ねー!」

 

 

 やだ、吸血鬼侍ちゃんってば超悪女! 不意打ちの大人口調に圃人剣士ちゃんの脳はこんがりと焼かれ、瞳にすら浮かんで見えます。既に愛の証を授かっている白兎猟兵ちゃんは余裕そうですが、初めて目撃した槍ニキと神殿騎士君は普段とのギャップも相まって前かがみになっちゃってますね……と、白兎猟兵ちゃんの長耳がヒクヒクと揺れてますね。どうやら注目の試合が始まるみたいです。控室の呪物に選手が映ってますね、どれどれ……。

 

 

「あ、みなさん観てください! 例の騎士様が出てきましたよぅ!!」

 

「ん、おお……って相手は圃人(レーア)か」

 

「あ、アイツ……!?」

 

 

 鷹揚に観客へ手を振る解放騎士(リベレーター)と相対しているのは、圃人(レーア)基準では巨漢といっていい体格の剣士。只人(ヒューム)用の長剣(ロングソード)大剣(グレートソード)の如く両手で構え、油断なく眼前の相手を睨みつけています。

 

 

「しりあいなのー?」

 

お、温度差で風邪ひきそう……じゃなくて! えっと、あたしの故郷の庄でいちばんの力自慢だったヤツです。身体もでかかったから、いっつも威張り散らしてたんですよ」

 

「ほー……たしかにイイ身体してんな。胴鎧(ブリガンダイン)を着込んでも構えが崩れてねぇ」

 

「あ、ほんとだ。重鎧着たまま動くのって結構しんど()()()からなぁ……」

 

 

 過去形なあたり大分鍛えてますよね神殿騎士君、まぁそうでもなきゃカシナートのようなもの(グラインドブレード)なんて到底制御できないでしょうし。

 

 映像では解放騎士(リベレーター)が優位に試合を進めているみたいです。圃人(レーア)の振るう剣を左手の盾で受け流し、右手の魔力を帯びた長剣(ロングソード)で肩や太ももなど鎧で護られた箇所を打ち据えていますね。ダメージが蓄積して動きが鈍ったところで圃人(レーア)の剣を大きく弾き飛ばし、彼の喉元に切っ先を突き付けました。

 

 

「フッ……まだやるかね?」

 

「ま、まいった……ッ」

 

 

 審判の「勝負あり!」の声に湧き上がる黄色い声。見栄えだけは良いので若い女性を中心に彼を称える声が上がっています。声援に対して当然とばかりに手を振って返すまでは良かったのですが……。

 

 

「――ああ、ちょっと待ちたまえ!」

 

「あ? ……敗者になんか言うことでもあるのかい、騎士サマよ?」

 

 

 

 

 

「なに、ちょっとした助言(アドバイス)()()()()と思ってね」

 

 

 

 

 

「私に負けたことを気に病む必要はない、()()()()()だからね」

 

「競技大会という君たち圃人(レーア)()()()()()()()()に出場した心意気は()()()()()、それは()()()()()()()()()()()()()()

 

只人(ヒューム)の用いる長剣(ロングソード)()()()振るうなど、()()()()()()()()()()()ようなものではないか! ()()()()()()()得物を使用するべきだったね」

 

「そもそも君たちは戦うことに向いていない()()。職業の選択は自由なのだから、剣を持つことは我々(只人)に任せて()()()()()()()()()()

 

「いや、それよりも小鬼(ゴブリン)と交流することを()()()()()()! 背格好も同じ程度だし、彼らにとっても接し(嬲り)やすいに()()()()()()!!」

 

 

 

「なぜなら、君たち(圃人)彼ら(小鬼)同じ大会で技を競い合う(大した違いのない)()なのだから!!」

 

「――――――ッッッッ!!」

 

 

 ……砕けんばかりに拳を握りしめていた圃人(レーア)ですが、ギリギリのところで解放騎士(リベレーター)に殴りかかるのを思い留まり、振り返ることなく舞台の上から去っていきました。

 

 

「――フム、礼も言わずに逃げ去るとは、やはり圃人(レーア)小鬼(ゴブリン)同様、我ら(只人)()()()()()()()()()()()種族のようだ。まぁ世の理から外れた吸血鬼(ヴァンパイア)を生み出したのだ、それも仕方あるまい」

 

 

「まったくだ! 社会(只人)常識(ルール)というものを教え(押し付け)ねばいかん!!」

 

「まずはちゃんと靴を履かせないと! 裸足なんて蛮族そのものよ!!」

 

 

 会場の一角で大声で話し合う『平等主義者』たち。その瞳には一切の濁りが無く、自分たちが行おうとしていることに何の疑問も抱いていないことが見て取れます。周囲の観客たちは彼らから距離を置くように離れていますが、そのことに関しても気にも留めていませんね。

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

 控室でその場面を見ていたダブル吸血鬼ちゃんたちも、一切の言葉を発していません。それぞれの顔に浮かんでいるのは、呆れ、哀れみ、そして………。

 

 

「――決めた。アレ(解放騎士)は絶対、あたしがぶちのめす」

 

 

 吸血鬼侍ちゃんにあすなろ抱きされたまま静かに震える圃人剣士ちゃんの身体から立ち昇る、怒りのオーラです。

 

 

「アイツは馬鹿で意地悪だけど、あんな屈辱を受ける謂れはなかった。それだけじゃない、あたしたち圃人(レーア)小鬼(ゴブリン)玩具(オモチャ)が相応しい、そう言いやがった」

 

 

 

「なによりも、あの騎士ですらないクソッタレは、あたしたちの頭目(リーダー)さんを侮辱したッ! 頭目(リーダー)さんのコト、なんにも知らないくせにッ!!」

 

 

 昏い感情の籠った叫びは、白兎猟兵ちゃんや神殿騎士君が思わず腰に手を伸ばしかけるほどのもの。そんなひりついた空気をほぐしたのは、緑衣に槍を持った少女の明るい声です。

 

 

「――そっか! じゃあこの先アイツと当たるまで負けられないね!! えーっと………うん、次の試合とその次の試合に勝てばアイツと当たりそうだ!!」

 

「へっ、もし負けちまっても、そんときゃ俺がアイツのケツにこいつを喰らわせてやるよ!」

 

「………あ、もしかして気付いてない? 2回戦で当たるのボクだよ?」

 

「げ、マジかよ!?」

 

 

「うーん、ぼくたちだとはやくてじゅんけっしょうだねー………あむあむ」

 

「ですねぇ妹様ぁ……ひゃふぅ!」

 

「おやおや、これじゃあ私と当たる前に誰かが仕留めてしまいそうだねぇ」

 

 

 愛槍を掲げてドヤる槍ニキに茶々を入れる勇者ちゃん(世を忍ぶ仮の姿)。白兎猟兵ちゃんはまーだ吸血鬼君主ちゃんにおみみをしゃぶられちゃってますね。みんなの励ましに圃人剣士ちゃんの負の感情は散らされ、「よーし、まずは1回戦突破だー!!」と気合も十分な様子。近づいてきた自分の番に備えて柔軟運動を始めてますね!

 

 

 というわけで、解放騎士(リベレーター)最期の瞬間が刻一刻と迫る無差別部門、次回もお楽しみに!

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 




 獣を狩るゲーム熱が再燃してきたので失踪します。


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