ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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はじめて感想と評価を頂戴したので初投稿です。


セッションその1ー2

 前回ゴブリンの黒光りする素敵なモノ♂で貫かれたところから再開します。

 

 原作で女魔法使いちゃんの死因となった毒ナイフですが、狙い通り無事に前面胴体中央に命中しました(バトルテック並感)。胸甲で守られた部分からは外れていますが問題ありません。ここでキャラクリ時に吸血鬼を選択した最大のメリットが出てきます。

 

 このゲームのダメージ適用において最も重要なのは、身体のどの部位に命中したのかという点に尽きます。命中箇所が防具によって護られていればその分被ダメージは減少しますし、格好つけて兜を装備していない状態で頭部に殴打攻撃を受ければ、ダメージに加えてよろけや転倒といった付随効果が発生する可能性が出てきます。また腕部や脚部に一定以上のダメージを受けるとその部位が使用不可になったり、最悪部位欠損という取り返しのつかないバステに繋がりかねません。そこで吸血鬼の種族特徴が威力を発揮します。

 

 まず大規模ダメージによる即死無効という点が大きいです。通常生きているキャラクター・モンスターともに一撃で生命力の半分を超えるダメージを受けた場合、ショック死してしまう可能性があります。これを大規模ダメージによる即死と呼ぶのですが、アンデッドの一種である吸血鬼はその対象となりません。負傷数が生命力と同じ数になるまでは立ち続けることができるわけです。またラウンド終了時の再生能力もあるため、陽光の下でなければ即死する危険性はほぼ無いと言って良いでしょう。通常のPCと違い、負傷数が生命力の2倍まで食いしばることは出来ないのでその点に関しては注意しなければいけませんが、それでも肉盾としては破格の性能です。

 

 ちなみにアンデッドには毒・病気に対する完全耐性という素敵な特徴もありますので、ポジって青い顔になる吸血鬼はでませんのでご安心ください。

 

 ……ぶっちゃけ元々は防御特化ビルドを目指す予定でしたので、村正の存在が当初の予定を狂わせたということなんですががが。

 

 説明が長くなってしまいましたが、要するに下手に躱そうとして武器が持てなくなったり移動力が低下したりするよりは、再生能力にものをいわせてボディで受けたほうがお得なんだなぁと思っていただければ問題ありません。

 部位破壊に関してはもうひとつ重要な点があるのですが、のちほど実際に行いますので見ていただいたほうが早いでしょう。

 

 さて、腹部にナイフをもらってゴブリンに押し倒される形で転倒状態の吸血鬼侍ちゃん、お相手氏の息が臭いのかとっても嫌そうな顔をしています。興奮した荒い呼吸を聞いているこっちも不快ですので、その体勢のまま喉笛を噛み千切って差し上げましょう! 固定値だけでゴブリンの生命力を超えますので、もう助からないゾ☆

 

 夥しい血液が降り注いできますが我慢、どうせこの後血まみれになる運命です。突き立ったままのナイフは抜かないと再生の邪魔になるのでさっさとポイーで。ちなみにゴブリンの血は飲めたものではないらしく、摂取しても吸血扱いにはなりません。不味いな。毒にも薬にもなりゃしねぇ(CCO)って感じですね。

 

 押し倒された姿勢からゴブリンをどかして女魔法使いちゃんを確認しましょう。あーゆーおーけー? こっちは血まみれだけど全部ゴブ汁だからヘーキヘーキ! 腹にナイフ刺さってた? 服で止まったから無傷だよ? 嘘じゃないってばホラホラ(ペロン)。 

 え、なに女神官ちゃん? 洞窟の入り口のほうから誰か来た? あ、あの特徴的な鎧姿は……!

 

 女魔法使いちゃんと押し問答をしていると、我らがゴブリンスレイヤーさんがエントリーしてきてくれます。原作よりも若干早いタイミングでの到着ですが、途中での棍棒作成に時間をかけていたのでその分早く追いついてくれたわけですね。

 

 え、あと2人はどうしたかって? 分断されて奥でまだ戦っているんですよー。2人を救出してやりたいんですがかまいませんね! 

 3人でジェットストリーム懇願すると、ゴブスレさんはおもむろにゴブリンの死体に手を伸ばします。はい、いつものアレですね。あ、私もうじゅうぶん浴びているから大丈夫ですよね? ダメですか? そっかぁ……。

 

 うへぇ、匂い立つなあ。えづくじゃあないか(本人が)。3人揃ってゴブリン汁を堪能したら奥へ向かいましょう。おっと、青年剣士君の剣が落ちています。やはり壁面に引っ掛けてしまったようですが、周囲には殴殺されたゴブリンの死体がいくつも転がっています。

 この数から察するに、武道家ちゃんの拳だけでなく青年剣士君の棍棒も役に立ってくれていたかな? 2人の姿が見えないとすると、乱戦の最中に奥へと追い詰められてしまったのでしょうか。

 

 おぅわ!? 奥から何か飛んできましたよ! 

 飛来した物体に目を向けると、それは左腕があらぬ方向に曲がり、全身に傷を負った青年剣士君じゃないですか。どうやらホブゴブリンにいいのを貰って吹き飛ばされてしまったようです。

 同時に曲がった通路の先から女武闘家ちゃんの悲鳴が! あ、ゴブスレさんもしかして突っ込むんですか? ご一緒してもよろしい? あざーす。

 

 青年剣士君の手当ては女子2名に任せ奥へ急ぎます。曲り道の先では床に落ちた松明に照らされ、邪悪な姿を浮かび上がらせる大柄な人型が女武闘家ちゃんを左手で掴み上げていました。右手には棍棒、おそらくあれで青年剣士君をホームランしたのでしょう。ゴブスレさんに、先行してホブの体勢を崩すので止めは任せる旨を告げて、吸血鬼侍ちゃんの存在に気付かせるよう声を上げながら突っ込みます。吶喊(NS隊長)!

 

 せっかくのお楽しみを邪魔されておこなのでしょう、右手の棍棒をフルスイングしてきますが、慌てずにアタリハンテイ力学の精髄である前転回避を駆使して裏回りします。後ろが取れたらその無防備でだらしねぇケツに……ではなく、両の膝裏を一閃します。効力値によるダメージ増加が入って両足とも部位破壊ができました。やったぜ。支えを失った巨体が床に崩れ落ち、衝撃で女武闘家ちゃんが左手から零れ落ちますが、それには目もくれずゴブスレさんは起き上がろうとするホブに止めを刺しています。その容赦のないところ、すこだよ。

 

 ホブの死亡確認や女武闘家ちゃんの怪我の具合、周囲の確認を行っていると、女神官ちゃんが《小癒》を使用したのでしょう。まだ足取りは危ういですが、なんとか自力で歩いてくる青年剣士君と後衛2人がこちらへ向かってきています。

 

 合流して状況を整理しているあいだに、部位破壊のもう一つの特徴について説明しましょう。

 

 先ほどのホブゴブリンへの攻撃ですが、通常の命中であっても恐らく倒せていたと思います。では何故わざわざ部位狙いを行ったのか? 第一の理由として、ゴブスレさんの信頼度を稼いでおきたかったからです。

 

 初見で吸血鬼侍ちゃんの攻撃力を予想するのはほぼ不可能である以上、安全にホブを処理するには2人がかりのほうが確実です。小柄な体躯と俊敏さを活かして先行、しっかりと仕事を果たし有言実行っぷりを見てもらいます。好感度の上り幅が小さいゴブスレさんへの印象をよくするためにチャンスを逃さず稼いでいきます。

 

 第二の理由は、前述のとおり部位破壊とダメージの関係を皆様に見ていただくためです。

 一定以上のダメージを特定部位に与えた場合、その部位が使用不能、或いは破壊されるのが部位破壊となります。ですが部位破壊が発生した際、その部位が許容できる以上のダメージは負傷数の増加に影響を与えません。無明逆流れをそのまま喰らったら二枚おろしになりますが、左腕だけに喰らえば即死は免れる。イメージとしてはそんな感じです。今回の場合は両足に致命以上のダメージが入ってますが、部位破壊に吸収されてダメージがカットされたということですね。

 

 ワンパンできないとかダメじゃん、とお思いの方。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 逆に考えるんだ。いつでも精神コマンド「てかげん」が使えるんだって(ニッコリ)。

 

 

 

 

 はい、RTAでの使用は難しいですが、通常プレイ時に一党のレベリングを行う際にはひっじょーに便利なシステムです。生き物を殺めることに抵抗を感じている心優しい新人さんも、これでレベリングするだけで立派な冒険者魂が身に付くことでしょう! 自キャラの撃破数カウントが伸びないという欠点はありますが、低レベル時の成長が厳しいこのゲームにおいて、ある種の救済措置として用意されているのかもしれません。

 もちろん強大なエネミーを少しずつ削って倒すというギミックじみた使われ方もありますので、とりあえず核ぶっぱ(ティルトウェイト)が好きな方からは微妙な顔をされているようですけどね猿渡さん。

 

 

 

 

 ……実はこの部位破壊とダメージカットを悪用した、吸血鬼ならではのバグ技じみたテクニックもあるのですが、それは機会がありましたら紹介したいと思います。あんまり早いうちに公開してエラッタあたるとゲーム進行の方針が崩れちゃうので。ネタバレはいかんぞ! 非生産的な!

 

 

 はい、説明している間に負傷者の手当てが終わったようです。周囲を警戒していたゴブスレさんも戻ってきました。あ、やっぱりまだシャーマンが残ってますか。いつ出発する? 私も同行しよう(仲間面院)。

 他の面々も後を追いかけて来てくれますが、青年剣士君と女武闘家ちゃんがやはり不安ですね。怪我もそうですが、何より精神的な面のほうが危ういかもしれません。

 とはいえホブを処理した以上、残りはシャーマン一体と普通のゴブが少々。こっちにはまだ呪文を使っていない女魔法使いちゃんに回数を残した女神官ちゃん、何よりゴブスレさんがいます! パパパっとやって、終わりっ!

 

 

 

 

 

 

 いやぁ、ゴブリンシャーマンは強敵でしたね(無慈悲なカット)。

 奥の広間をキレイキレイした後は、そう、例のアレです。

 ゴブスレさんが死亡確認! をする音が響く広間、吸血鬼侍ちゃんの耳に微かに聞こえてくる呼吸と身じろぎの音。音の源である人骨で出来た椅子の裏、木板の奥にはゴブリンベビーがぎっしり詰まっています。さっさと始末しても良いのですが、全部倒したところで大した経験にはならないんですよねぇ。

 

 あっ、そうだ(唐突)。

 

 ここは他の白磁級冒険者のみんなに経験を積ませてあげましょう(善意から生まれる悪意)。

 

 ねぇみんな、やらないの? ぼうけんしゃのしごとだよ? ここでみのがすとまたぎせいしゃがでるよ? ぼうけんしゃはみんなやってるんだからさ(同調圧力侍)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 えー、さすがにちょっとやりすぎたようです。

 女神官ちゃんは一体でダウン。女魔法使いちゃんは,《火矢(ファイアボルト)》で二体仕留めた後、杖で一体を仕留めてギブアップ。青年剣士君と女武闘家ちゃんは最初の一体を仕留め損ねて完全にグロッキーです。生き残りがいないかの確認を終えたゴブスレさんが戻ってきたので、手分けして残りを処理していきます。お茶っ葉の芯芽だけを摘み取るようにベビーをプチプチし終わればミッション終了です。ギルドに戻って報告しましょう。

 

 実況者ですが、帰り道の空気が最悪です。

 洞窟を出て新鮮な空気を吸った瞬間女神官ちゃんが口から乙女の尊厳をリバース。女魔法使いちゃんは歩きながらこっちの腹部あたりをチラチラ見つつ無言で考え事。

 青年剣士君と女武闘家ちゃんは瞳から生気が失われ、名前の前に「心折れた」って称号が付いていそうな雰囲気です。ゴブスレさん、なんとかなりませんかこの空気!? え、全員生き残ったのが奇跡みたいなもの? 到着時に全滅しててもおかしくなかった? まぁ、そうなるな(ZIUN師匠並感)。え、自分ですか? なんかゴブスレさんの師匠と同じものを感じる? 気のせいじゃないですかねぇ。

 

 もしかして:マンチ

 

 ギルドに到着したら、疲弊した面々には休んでいてもらいゴブスレさんと2人で受付嬢に報告しましょう。踏み台に乗ってもゴブスレさんの肩くらいまでしか届かない吸血鬼侍ちゃんの垂直方向へのチャレンジ精神よ(優しい配慮)。受け取った報酬はゴブスレさんを含め六等分しますが、要らんと言ってくれるゴブスレさんマジ序盤の神です。ありがたくいただきましょう。

 

 報酬を持って4人の待つテーブルへ向かい、ちゃんと五等分して渡します。やはり白磁等級の報酬の低さに思うところがあるのでしょう。生命賭けて挑んだ結果がこれじゃあ正直割に合いませんし。部屋を借り切って腹を割って話し合ったらどう? と提案しこちらも宿泊手続きをとりましょう。受付嬢さーん、ギルド管理の大部屋にチェックインさせてくれー!

 

 

 え、大部屋はいっぱい?

 

 そっかーあいてないのかー。

 

 ……まぁ、自称半吸血鬼を名乗る不審人冒険者と同部屋なぞみんな嫌に決まってますよねー。

 1人部屋は流石に予算的に厳しいので今日は青空簡易宿泊所かなぁ(野宿の上品な言い回し)。

 

 え、リフォーム前の老朽化した1人部屋で良ければ4人部屋の1人当たりの値段と同じでいいんですか!? ぜひぜひそこでお願いします!

 

 

 思わず飛びついてしまいましたが、これたぶん要監視対象とか訳アリ冒険者の一時確保場所ですよね。ギルドにいた黒曜や鋼鉄等級冒険者の目がそう言ってます。

 まぁまぁまぁ、吸血鬼侍ちゃんには後ろ暗い所なんかないので(強弁)、ありがたく借りることにましょう! 実際のところ睡眠は必須ではありませんし、装備の手入れや剣の乙女への手紙を書いたりは夜中にするつもりでしたので、むしろアリなんじゃないかな?

 

 それでは早速鍵を受け取って部屋へ向かいます。やたら頑丈そうな木製の扉を開ければ、そこはまさにドヤァ……(簡易宿泊所)って感じの間取りです。部屋の面積の半分をベッドが占め、残りの場所に机と椅子、簡易な物入が配置してあります。只人には手狭でしょうが、圃人サイズの吸血鬼侍ちゃんには十分すぎる広さです。

 

 荷物を片付け、さて手紙でもしたためようかと思っていたらおやノック音、誰でしょうか? 女魔法使いちゃん? 入ってもいいかって? どうぞどうぞ。狭いんでベッドに座ってくださいな。

 

 アイスティーもないんだ、ごめんね。洞窟で助けられたお礼? いいっていいって、大したこと(リソースの消費)も無かったし、はじめての冒険で仲間を失ったりしたら悲しくなっちゃうし。青年剣士君と女武闘家ちゃんは故郷に帰る? 心折れちゃったかー。でも冒険者なんて人生はっぱ隊より地に足付いた生き方を送るほうが幸せかもしれんぜよ。

 女神官ちゃんは(予定通り)ゴブスレさんに付いてくことを決めたんだ。大変だと思うけど、彼女ならきっと大丈夫だって!

 

 んで、女魔法使いちゃんはどうするん? 女神官ちゃんと一緒にゴブスレさんに付いてく?

 それとも

     「くにへ かえるんだな おまえにも かぞくがいるだろう・・・」

 する?

 

 

 

 

 

>君がそう問いかけると、幾分かの逡巡の後、覚悟を決めたような表情で彼女は言葉を発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

>「……あんた、本当は半吸血鬼(ダンピール)なんかじゃないでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おファッ!?

 

 

 

 

 

 




挿絵が間に合わなかったので失踪します。

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