ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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お外を出歩くのが躊躇われるので初投稿です。
 


セッションその6ー4

 前回、ゴブスレさんと夜会話(真)したところから再開です。

 

 天幕で仮眠をとり、夜営道具を格納し夜明け前に出発した一党。山稜に太陽が顔を覗かせた頃に目的地である巣穴を目視できる場所までやって来ました。

 

 美しい山肌を汚すようにポツポツと見える黒い穴。恐らくあれが巣穴の入り口なんでしょうね。攻め込む前の手順確認も兼ねて、再び風除けとなる岩陰に防水布を敷き、小休止をとることになりました。

 

「街で飲んだ時は何この泥水って思ってたけど、寒い時に飲むと不思議と美味しく感じるわね」

 

 琺瑯引きのマグカップで珈琲を啜りながら妖精弓手ちゃんが耳をピコピコさせています。南方から稀に入ってくる珈琲豆ですが、カカオ豆と違い飲料というより薬用として考えられているようであまり浸透していません。上手に焙煎しないと焦げ臭かったりして飲めたものではないというのもありますが、吸血鬼侍ちゃんが準備していたものは好評なようですね。同じく希少且つ贅沢品な砂糖も持ってきたので、カロリー摂取とカフェインによる覚醒作用で英気を養いましょう!

 

「それで、オルクボルグとしてはアレをどう攻めるのかな?」

 

 珈琲にも火酒を垂らして飲んでいる森人狩人さんがゴブスレさんに問いかけています。昨日も行軍中ちびちびやってましたけど、見た目によらず結構呑兵衛ですよね。

 

「探索時は侍1人と野伏が前衛、中衛に戦士と神官。接敵時には野伏と戦士が入れ替わる。奇襲に備えて狩人ともう1人の侍は後衛を任せる」

 

「了解、今日はちゃんと弓を持ってきたからね。妹姫(いもひめ)様ほど上手くはないけれど、援護くらいは任せてもらおうかな」

 

 まぁ持ってきたのは吸血鬼侍ちゃんなんですけどね。≪手袋≫から短弓と矢筒を取り出して森人狩人さんにパス、ついでに野外活動用の装備を全員から回収して身軽になってもらいます。分身ちゃん前衛と後衛どっちがいい? 今日は暴れたい気分? じゃあ前をお任せしますねー。休憩に使った道具を格納したら、いよいよ探索開始(ダンジョンアタック)です!

 

 

 

 

 巣穴の入り口と思われる洞窟の前には破壊された防護柵と思われる残骸と食い荒らされた狩りの獲物の残り滓。それにどす黒く変色し凍り付いた血溜りが残されていました。血溜りからは何かを引き摺ったような跡が洞窟内部へ伸び、まるで一党を誘いこもうとしているかのように見えます。

 

「やはり、ここにいた一党の人たちはもう……」

 

 青褪めた顔で女神官ちゃんが血溜りを見つめています。おや、ゴブスレさんが血溜りで何かを見つけたようです。何かありました?

 

「飛散した内臓(モツ)の欠片だ。ゴブリンの持つ武器ではこうはならん。もっと大型の生物が喰い千切った跡にも見える」

 

 ゴブスレさんの後ろから血溜りを覗き込む吸血鬼侍ちゃん。たしかに血の中に肉片のようなものが混ざってますね。となると、大型の狼や巨人(トロル)でも餌付けしているんでしょうか。

 

「わからん、が警戒するに越したことはない。最低でも呪術師(シャーマン)はいるだろう」

 

 ゴブスレさんの指差す先、洞窟の入り口にはトーテムが作られています。これはやはり増援がいる可能性が高いですね……。ゴブスレさん、接敵時の陣形をちょっと変えてもいいですか?

……って感じに。後衛は吸血鬼侍ちゃん1人で十分なので、先に術持ちを潰しておきたいなぁと。

 

「わかった。全員に周知するぞ」

 

 あっさりと受け入れてくれましたが、これは信頼されているってことでいいんですかね? それともより効率を追い求めた結果なのか。どちらにせよ、なるべく味方の損害を抑える方向で動くことに変わりはありませんので、気合い入れていきましょう!

 

 

 

「……で、最初に見つけたのがコレなんだから、こっちの殺意を上げるのに一役買っているだけって連中には理解できないのかな?」

 

 口調こそウンザリという感じですが、森人狩人さんの目には赫怒の炎がちらついています。

 

 入り口からすぐに掘られた脇道、腐敗臭の籠った部屋にそれはありました。四肢を引き千切られ積み上げられた山と、その前に並べられた3つの首。眼窩には矢が突き刺さり、舌は大きく突き出した状態で顎に縫い留められています。

 

 尊厳という言葉を粉砕するために作られたような光景に息を呑む一党。分身ちゃんが何かを言いたそうに吸血鬼侍ちゃんを見ています。どうやら気持ちは同じようですね。頷きを返すと、分身ちゃんはその冒涜的な部屋に足を踏み入れ、山の中に手を差し込み何かを探し始めました。

 

「ちょ、ちょっとなにやってるのよ!?」

 

 慌てたような妖精弓手ちゃんの声が洞窟内に響きますが分身ちゃんの手は止まりません。遺体の山を漁るのを止め戻ってきたその手には、血と泥で汚れた白磁の認識票が3枚握られていました。

 

>「遍く世界の叡智を貪る知の蒐集者よ、行き詰まりし思考を洗い流す一滴(ひとしずく)を我に与えん」

 

 分身ちゃんが≪浄化≫を唱えると、袖はおろか服全体に付いていた汚泥が消え去るのと一緒に認識票が本来の輝きを取り戻しました。差し出された認識票を受け取った吸血鬼侍ちゃんは、自らのそれと同じように首から下げ、服の下に大切にしまい込みます。

 

 遺体を連れて帰るのは後回しになってしまいますが、認識票だけでも回収するのは冒険者にとって約束のようなものです。自分が冒険の途中で斃れた時、同じように回収してもらいたいですからね……。ゴブスレさんもそれはわかっているので、分身ちゃんを止めることも無く黙って見ていてくれました。

 

 

 遺体に祈りを捧げていた女神官ちゃんも立ち上がり、再度隊列を組んで奥へと向かう一党。通路の先でT字路にぶつかった際にゴブスレさんが選択したのは足跡の多いほう。万が一挟撃を受けた際に後衛である吸血鬼侍ちゃんが受け持つ人数を少なくするのと、前衛の攻撃力を見込んだ判断ですね。

 

 先陣を切って広間へ突入した分身ちゃんの暗視()に映るのは、30は下らないゴブリンの群れ。横穴から奇襲しようと鶴嘴や円匙を担いだ集団、弓を構えた集団、最奥で命令を下しているのは呪術師(シャーマン)でしょうか? 一党を迎え撃つべく準備を整えていたようですね。

 

 女神官ちゃんの≪聖光(ホーリーライト)≫が先んじて決まり、ゴブリンは目を抑えて悶えています。聖なる輝きを背に()()()()()()()()()()()()呪術師(シャーマン)の頭上へ飛翔する分身ちゃん。村正を呪術師(シャーマン)の頭に突き立て、引き抜くと同時に首を刎ね着地。そのまま後衛から順に食い荒らしていきます。

 

「その、お2人とも大丈夫ですか?」

 

 予めお聞きしてましたから呪文維持は継続していますが、と後ろの吸血鬼侍ちゃんに尋ねる女神官ちゃん。吸血鬼侍ちゃんからも分身ちゃんと同様、身を焦がす煙が上がっています。

 

 目晦ましや戦闘中の灯りとして非常に有用な≪聖光(ホーリーライト)≫。忘れられがちなんですが、アンデッドに対する抵抗不可、装甲無視の継続ダメージ源にもなるんですよねぇ。今の女神官ちゃんの術者レベルなら再生でペイできるダメージで済みますが、この先成長していくと再生を上回るダメージになるので注意しましょう。

 

「オルクボルグが踏み込む前に……っと!」

 

 広間の地面の隆起した部分に雷光を纏った戦棍(トニトルス)を叩きつけ、砕いた破片を散弾のようにゴブリンに向けてばら撒く森人狩人さん。体中を穴だらけにした死体が次々と出来上がっていきます。

 

「上手いものだな……。これで二十一」

 

 ゴブスレさんも目晦ましから立ち直りつつあるゴブリンの喉を短剣で突き、その手に握られていた鶴嘴で次のゴブリンに向かっています。流石戦士、あらゆる武器に精通しているといわれる所以ですね。

 

「「「GOBGOBGOB!!」」」

 

 お、予想通り後ろからも来ました。ナイフを木の棒に括り付けた粗末な槍で武装したゴブリンが、無手の吸血鬼侍ちゃんを刺し殺さんと突撃(チャージ)してきました。背から受ける≪聖光(ホーリーライト)≫によって伸びた吸血鬼侍ちゃんの影に踏み込んだ次の瞬間……。

 

「「「GO!?」」」

 

 影から伸びた触手がゴブリンたちを股間から頭頂部に抜けるように貫き、体内で枝分かれしたそれが胴体を突き破って出てきました。そのまま通路を塞ぐ格子として残り、来るかもしれない次の増援に対する妨害として利用しましょう。さて、そろそろ広間のほうも片付いたかな……。

 

「――()ぅッ!?」

 

 !? 今の声は! 吸血鬼侍ちゃんが振り返ると、太股に矢を受け蹲る妖精弓手ちゃんの姿。悪あがきで放たれたゴブリンの矢が運よく前衛をすり抜け(クリティカルし)、妖精弓手ちゃんに当たってしまいました。しかも射撃姿勢で受けたことが災いし、転倒した際に鏃尻近くで矢柄が折れ(回避ファンブルによって)、鏃が体内に残ってしまったようです。こんなところ原作再現しないでいいから(憤慨)

 

 分身ちゃんと視界を共有すれば、広間のゴブリンは残り数体。女神官ちゃんは広間を照らす光源を維持しないといけないのでまだ動けない状態です。森人狩人さんを呼び戻して後方警戒を頼み、吸血鬼侍ちゃんは妖精弓手ちゃんの処置を行いましょう!

 

 荒く息をする妖精弓手ちゃん。太股の傷口は既に変色を始めています。傍に落ちている矢柄には毒を塗った跡が。毒付きの鏃が体内、事態は一刻を争いますね……。姫騎士さんの時に用いた感覚麻痺の噛みつきを使って、早急に鏃を摘出しないと。

 

 まず毒がこれ以上回らないように影の触手で傷口の上部、股関節に近い部分を締め上げます。別の触手を妖精弓手ちゃんの口元に近付ながら、処置について説明しましょう。

 

「どくつきのやじりがはいりこんでいるから、きせきをつかうまえにとりださないといけない」

「いたみをやわらげるためにかみつくけど、したをかまないようにそれをくわえてて」

「いそがないとまにあわなくなるから、かくごをきめて。……おねがい」

 

 若干涙目になってますが、傷口から這い上がる悪寒から深刻さを感じとったのでしょう。なるべく痛くしないでよと言いながら触手を咥えてくれました。あの、先っぽからじゃなくて横から齧りついてくれれば良かったんですが……。まぁいいか。効果に違いはありませんから(目逸らし)

 

 傷口を露出させるために爪でストッキングを破り、紫色に染まった傷の傍に牙を立てる吸血鬼侍ちゃん。そのまま待っていると身体から力が抜け、麻酔が効いてきたのが分かります。

 

 触手を咥える力も抜けてしまったのか、口元に隙間ができてしまってますね。ちょっと苦しいかもしれませんが、一回り触手を太くして隙間を塞ぎましょう。もうちょっとだけ我慢してねー。

 

 『手』の権能を使い、黒く硬化した爪で傷を切開。溢れる血の中から鏃を抉り出し、≪小癒≫を唱えます。すぐさま口から触手を抜き取り、解毒薬を飲ませ……麻酔が効いてて難しそうですね。後でしこたま怒られそうですが、緊急ということで許してもらいましょう。

 

「ん!? ん、んぅ、んんん……。うぇぇ……」

 

 解毒薬の水薬を呷り、口移しで飲ませる吸血鬼侍ちゃん。気管に入らないよう舌で誘導された薬はすぐに効果を発揮し、苦ぁ……と言いながら口元を拭う妖精弓手ちゃんの顔色は平常に戻っています。傷から流れた血を舐め取り、取り出した包帯を巻き付ければとりあえずの処置は完了です。出血が多かったので無理は出来ませんが、歩くくらいなら支障はないでしょう。

 

妹姫(いもひめ)様の治療は上手くいったみたいだね」

 

 後方の警戒を引き継いでもらっていた森人狩人さんが戻ってきました。どうやら増援は無かったようですね。妖精弓手ちゃんの手を取って立ち上がらせ、埃を払ってあげています。

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫なわけないでしょう!? すっごい痛かったし、噛みつかれるし、変なモノ咥えさせられるし……!」

 

 うがー!と吠える妖精弓手ちゃんに対し、それだけ元気なら問題ないなと一刀両断のゴブスレさん。それよりも見てもらいたいモノがある、と広間の奥の部屋を指し示しています。どうやら治療している間に分身ちゃんと女神官ちゃんの3人で探索していたようですね。

 

 ゴブスレさんの後を追って歩く一党ですが、やはり怪我が気になるのか妖精弓手ちゃんの歩き方が片足を引き摺るようなものになっています。地面の隆起に足を取られて転倒でもしたら元も子もないので、外套(つばさ)で絡め捕り、お姫様抱っこで運んであげましょう。ジタバタと暴れる妖精弓手ちゃんですが、後遺症が残ったりしたら大変なのでこのまま強引に進んじゃいます。ジッとしててね。

 

 

 

「なんて……酷い……」

 

 女神官ちゃんの呟きが空しく響く覚知神の礼拝堂。祭壇と思われる長方形の大岩の上には一党の1人であろう半森人(ハーフエルフ)の軽戦士が横たわっていました。……胸から下を失った状態で。

 

 ゴブリンの汚濁に塗れ、内臓を失いぽっかりと穴の開いた胴体。額にはガラクタを組み合わせて作られた焼印によって刻まれた覚知神の御印(シンボル)。内臓は潰され塗料として用いられ、祭壇前の床にも大きな覚知神の御印が描かれています。

 

「血溜りのあった入り口から、上半身だけを此処まで運んできたのだろう」

 

 恐らくゴブスレさんの考察は正しいでしょう。焼印も遺体を辱める所業も、ここに安置されたから行われたみたいですし。ということは彼女を喰い千切った何者かは別の場所にいる?

 

「ああ。そしてこの儀式を先導している奴も同じ場所にいる」

 

 異様に統率の取れたゴブリンと祭壇の整備され具合、それに宗教に精通した儀式の取り計らい。そして森人少女ちゃんの≪託宣(ハンドアウト)≫で予見された忌々しき神の尖兵という語句。これらの状況証拠から、ゴブスレさんは未知なるゴブリンの存在を確信したようですね。

 

 小鬼指揮官(マーシャル)? 小鬼将軍(ウォーロード)? 否、それを表すのに最も相応しい呼び名は……。

 

 

 

 

小鬼聖騎士(パラディン)……だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 




出勤形態が変わるかもしれないので失踪します。

いつも誤字脱字のご連絡ありがとうございます。
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お読みいただきありがとうございました。
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