ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 休日は色々捗るので初投稿です。
 


セッションその7 りざると

 

 前回、分身ちゃんがあやしい企みを抱いていたところから再開です。

 

 急性的な魔力の過剰摂取によって体調を崩した吸血鬼侍ちゃん。それを介抱(意味深)した女魔法使いちゃんの身体にその時不思議な事が起こり、ちゅーちゅー(血)がちゅーちゅー(乳)に変化してしまいました。

 

 黒幕である分身ちゃん曰くただちに健康への影響はないそうですが、何か身体への違和感とか出てたりしませんかね?

 

「いや、不思議と調子は良いし、魔力も充実してるわね。なんというか、今まで使われていなかった機能が解放されたような気分?」

 

 確かに、お肌や髪の艶も良いですし、身体も軽そうですね。吸血鬼侍ちゃんの知らぬところでやらかした張本人の分身ちゃんは……下手な口笛を吹いて誤魔化す気満々の様子。まぁ必要が迫ったら教えてくれると思いますので、先に鉱人の里での用事を済ませてしまいましょうか。

 

 

 

 

「お、ようやっと来やがったな! それじゃ出すモン出してもらおうじゃねえか」

 

 工房には既に腕まくりをした隻眼鍛冶師さんが待ち構えていました。昨夜まで巻いていた包帯は全て解かれ、黒光りする肌と見事な白髭を晒しています。神官さんに≪小癒(ヒール)≫でもかけてもらったんですか? え、あんな怪我肉喰えば治る? 週間少年跳躍の海賊かな?

 

 綺麗に物が退けられた作業台の上に必要なものを≪手袋≫から取り出して並べていく吸血鬼侍ちゃん。真銀(ミスリル)のインゴットをはじめ、添加する鉄やクロム、モリブデンの粒、それに炎への耐性を期待して竜血も一袋出しておきましょうか。それと、一番重要なものを出すので大きめの容器を貸してくださいな!

 

「おうよ、そこの壺に頼まぁ!」

 

 隻眼鍛冶師さんの指差す先には大きめの酒瓶くらいの陶製の壺。うーん、もっと注ぎ口が広かったら壺の上で首を刎ねて一気に注いで(ヴァニラ・アイスごっこして)みたかったんですが。残念ですが漏斗を使って普通にやりましょう。

 

 分身ちゃんに押し付けるのも悪いと思って吸血鬼侍ちゃんがやるつもりだったんですが、なーぜ-かー昨晩までフルだった吸血ゲージが減っているので、分身ちゃんにお願いします(白目)

 

 漏斗の上で左掌を村正で貫き、切先から流れる血を瓶に注いでいきます。抜いたほうが出血量が多いんじゃないのと思われるかもしれませんが、抜くと再生が始まってあっという間に傷が塞がってしまうんです。だから、刺したまま微妙に刀を抜き差しする必要があるんですね。

 

 見てる周りが痛そうですが、刀をグリグリしている本人はいたって涼しげな顔。むしろあれは、減った血を補給するためにお昼何を食べようか考えている顔ですね。

 

 瓶の淵ギリギリまで注いだらしっかり栓をして、吸血鬼の血ボトルの完成です! そのうち凝固してしまいますが、合金に使用する際は砕いて使うので問題ないとのこと。

 

「うし、これで素材は揃ったな。竜皮は鞣し作業に入ってるから終わり次第加工に移るとして……チビ助とたわわっ子! ちょっとツラ貸しな!」

 

 おや、まだ何かあるんですかね。背後の布で仕切られた一画に呼ばれました。中は……どうやら採寸場のようですけど、一体何が始まるんです?

 

「お前ェらの狩ってきた竜が思いのほかデカかったからな。依頼の鎧に使ってもまだ素材が余っちまう。商工会で買い取っても良いんだが、せっかくだからお前ェらの装備も作ってやんよ」

 

 お、これは嬉しいサプライズ! 着々と魔法戦士の道を歩んでいる女魔法使いちゃんの防具は重要ですし、店売り品だと素のステータスに追い付かない吸血鬼侍ちゃんにとってもオーダーメイドは有難いですね。採寸するとともに愛用している武器を見せ、どういう方向性で装備を整えるか相談が始まりました。

 

「あまり重い防具だと魔法行使に影響が出るから、なるべく動きを阻害しない方向でお願いしたいのだけれど……」

 

「フムン……ほんじゃ革手袋(グローブ)外套(クローク)がええか。炎の耐性が上がれば得物の出力を上げても問題なくなるってもんよ。ついでに得物も置いてけ、こっちで赤竜の素材を組み込んで使い手に熱が伝わらんよう調整しといてやる」

 

 え、そんなこと出来るんですか!? そうしたら暫くは店売りの杖で凌いで、ゴブスレさんの鎧と一緒に送ってもらいましょうか。で、吸血鬼侍ちゃんはどんな感じがいいですかね?

 

「チビ助は防具なんざ着たって意味無ぇだろうが。もっと面白ぇモンを鍛えてやる!」

 

 そう言いながら吸血鬼侍ちゃんの腕の長さや村正を構えた時の脚幅、村正そのものの寸法を測り始める隻眼鍛冶師さん。もしかして鍛えてくれるのって……。

 

「おうよ! その湾刀……ムラマサだったか? そいつぁ只管に切れ味を追求した業物だ。したら相棒は魔力を秘めたカタナがお似合いってヤツだろ?」

 

 おー、村正を研ぎに出している間に使おうと思ってじいじに取り寄せを頼んだことがあるんですが、湾刀って全然市場に出回ってないんですよね。手に入らない割に作りが繊細なので、吸血鬼侍ちゃんの膂力で扱うとあっという間にダメになっちゃって……。あまりにも費用対効果が悪いのでメンテ中は素手(パンチ)で冒険していた吸血鬼侍ちゃんです。

 

「全部まとめて春までには仕上げて送ってやっから、出来上がりを楽しみに待ってやがれ!」

 

 お土産にドラゴンの正肉(しょうにく)と≪竜牙兵(ドラゴントゥースウォリアー)≫用の牙、精霊術の触媒に使える竜皮の切れ端をどっさり貰った一党。令嬢剣士さんたちの進捗も気になりますので、辺境の街へと帰りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずるいずるいずるい! また私が居ないときに限って面白そうなことしてきて!!」

 

「おあ~……」

 

 はい、予想通りのリアクションありがとうございます。ギルドに戻るなり絡んできた2000歳児が、ドラゴン退治を耳にするなり吸血鬼侍ちゃんの肩を掴んでグラングラン揺さぶっています。

 

 分身ちゃんは目の下に隈をこさえた令嬢剣士さんに拉致され、女魔法使いちゃんは森人狩人さんと互いが不在の間にあった情報交換の真っ最中。どうやら吸血鬼侍ちゃんに救いはないようです。

 

 

「こっちが延々とゴブリン潰しをしている間にドラゴン退治とか、私も連れて行きなさいよ」

 

 酒場のテーブルに吸血鬼侍ちゃんと向かい合わせに座り、葡萄酒を呷るように飲む妖精弓手ちゃん。いや、ゴブスレさんを足止めするって言いだしたのはそっちじゃないですか。それに本来は鎧の発注に行くだけで、ドラゴン退治は予定にない突発的なものでしたし。

 

「あーあ、私も冒険がしたい。もっとドキドキを感じたい……」

 

「……ドキドキするのがぼうけん?」

 

「そう! 迫り来る脅威、死角から現れる強敵、手に汗握る宝箱の罠解除! その先に浪漫と達成感が……ってなに?」

 

 身を乗り出して力説する妖精弓手ちゃんに対してちょいちょいと手招きをする吸血鬼侍ちゃん。何の疑いもせず顔を近付ける妖精弓手ちゃんの唇に……。

 

 

 

 

 

 

 

 ちゅっ

 

「んなっ!?」

 

「ちょっとだけぼうけん。……ドキドキした?」

 

 不意打ちで触れるだけのちゅーをされて真っ赤になる妖精弓手ちゃん。なるほど、これは(意識の)死角から現れた、迫り来る脅威ですね。他に冒険を完遂するのに必要なのは……。

 

「キマシ?」

 

「キマシ!」

 

「尊死しそう」

 

「俺もあそこに混ざりたい……」

 

「百合の間に挟まりたい男子だ! 捕らえろ!!」

 

「おやおやおや? 妹姫(いもひめ)様ともあろうお方が、まさか口吸いのひとつで真っ赤に酔われてしまうとは。ひとつ上の森人(ハイエロフ)とはいえ、初心(うぶ)処女(おとめ)であれば致し方ありませんなぁ」

 

「うっさいわね! だいたいなによ『ひとつ上の森人(ハイエロフ)』って!? そんなんだから年中発情してるスケベ森人(エロフ)なんて不名誉な渾名付けられるんでしょ!」

 

 煽り勢筆頭(ギルド調べ)の森人狩人さんにからかわれ、ムキになって追いかける妖精弓手ちゃん。ギルド内を所狭しと駆け回る麗しの森人(エルフ)2人……実に絵になりますな! おや? 誰かが吸血鬼侍ちゃんの肩を叩いて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日の出てる間はイチャイチャするなって、私言いませんでしたっけ?」

 

 ヒエッ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 吸血鬼侍ちゃんは受付嬢さんにお説教されてますので、その間に令嬢剣士さんに拉致された分身ちゃんの様子を窺ってみましょうか。恐らく森人少女ちゃんや監督官さんと一緒にいると思うのですが……ああ、ギルドの個室に詰めて作業をしているみたいですね。

 

「……というわけで、なんとか宰相閣下の承認を得るところまでは漕ぎ着けましたの。あとは一週間後の陛下との直接会談で勝負ですわ!」

 

「王都のギルド本部にも掛け合って、西方辺境を訓練場を含めた冒険者支援体制のテストベッドにする方向で話をつけました」

 

「陛下を説き伏せる最後の一押しを、主さまにお願いしたいのです」

 

 紙とペンを使って戦い続けていた3人。みんな肌色も悪く髪のツヤも落ちてしまうほどに疲弊していますが、瞳だけはギラギラと輝いています。剣を振らずとも、魔法を唱えずとも救える命が、守れる笑顔があるならばという想いでここまで頑張ってくれたのでしょうか。感謝を口に出そうとした分身ちゃんを指で制し、令嬢剣士さんが首を振っています。

 

「お礼を頂くにはまだ早いですわね。すべては陛下をご納得させることが出来るか否か。ご褒美に関しては、すべてが終わった後にたっぷりと請求させて頂きますわ」

 

「わかった。そのときはかなえられることなら()()()()するからね?」

 

 分身ちゃん!? ちょっと、まずいですよ!

 

「ん? 主さま……」

 

「今、なんでもするって」

 

「言いましたわよね?」

 

「……ほんたいが」

 

 あっ(察し)

 

 責任を本体に擦り付けようとしてますが、甘い考えですなあ。 監督官さんは分からないけど、2人がロックオンしてるのは分身ちゃんですから。残念だったねぇ!(JMNG)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かくして時計の針は進み、陛下へプレゼンする当日となりました。ついでに名残惜しいですが、≪手袋≫も返却する予定です。使い勝手が良いので、なんとか貸出期間を延長できませんかねぇ。

 

 前乗りで王都を訪れていた一党、当日王宮へ出向くのは令嬢剣士さん、森人少女ちゃん、分身ちゃんの3人です。え、吸血鬼侍ちゃんですか? 

 

「主さまは(わたくし)が説得してまいりました。計画の説明はしましたが、ハッキリ言ってこのプレゼンにはついてこれそうもないので……」という森人少女ちゃんの言葉で察してあげてください。

 

 代わりというわけではありませんが、吸血鬼侍ちゃん、女魔法使いちゃん、森人狩人さんの3人は先の知識神の文庫(ふみくら)訪問と、例の合金の製錬法を頂戴した報告を半鬼人先生にしに行く予定です。森人狩人さんは行ってないだろう? ほら、王宮に行かせるよりマシだから(白目)

 

 

 

 

 

 「……よかろう、卿の意見を是とする。上手くやって見せるのだな」

 

 お、どうやら王宮では令嬢剣士さんが立案したギルド主体の冒険者支援計画が承認されたみたいですね! 張り詰めた気持ちが緩んだからか、令嬢剣士さんの目には光るものが浮かんでいます。その後ろでは分身ちゃんと森人少女ちゃんがハイタッチ。≪転移≫の鏡で来ていた剣の乙女もホッとした表情ですね。赤毛の枢機卿と魔法の義眼の宰相もようやく肩の荷が下りたという眦をさげた珍しい顔を。これで少しは貧乏貴族の三男坊(暴れん坊陛下)の出現が少なくなれば良いのですが。

 

「じゃあへいか、てぶくろのへんきゃくといんごっとのひきわたし、おねがいします」

 

 分身ちゃんが本体から預かってきた≪手袋≫を取り出し、銀髪侍女さんに渡そうとしますが……おや、陛下が止めてますね。どうしたんでしょう。

 

「あー……。鉱人の城跡で見つけたインゴットについては後ほど国庫に納めて貰うが……」

 

 ううむ、果断を信条とする陛下が珍しく言い淀んでます。何か問題でも発生しましたか?

 

「いや、そうではない。……卿は、今暫くその魔具を使う気はあるか?」

 

 へ? いや、便利ですからあれば嬉しいですけど、陛下もよくご存知の通り、コレは流通を破壊する危険極まりない代物ですよね?

 

「無論使用には制限を設けるが……つまりアレだ、二匹目の泥鰌を狙うというヤツよ」

 

 あーなるほど。赤毛の枢機卿と宰相を見てみますが……赤毛さんは苦笑してますし、義眼さんはいつもの無表情のまま口笛を吹いてやがります。つまり、また埋蔵金を見つけて来いってことですよね?

 

「幸い混沌の軍勢が現状攻め入ってくる気配は無い。兵站にも若干の余裕がある故、その魔具の優先度は高くはない。ならば有効に使える有能な人物に預けることに問題はなかろう」

 

 耳障りの良い褒め殺しに聞こえますが、「放置しとけばネームドを斬り殺して回る野良ユニットを使い倒してやるぜ」をオブラートに包んでいるだけという悲しさ。まあ≪手袋≫の有用性は冬の間に証明されてますので、貸してくれるというなら素直に借りておきましょう。

 

「そうか! あーいや、無限に資源が湧いてくるハンマーや、畑に植えるだけで優秀な兵士が採れる種子など有効な魔具を見つける事、期待しているぞ!」

 

 ちょっと物欲駄々洩れ過ぎやしませんか??? 後ろで赤毛さんが真顔になってますよ陛下。あと竜退治をしても国庫が潤うほどは貯めこんでなかったです。……ホントですよ?

 

 

 

 

 

「しかし残念だったね、弟君と会えなくて」

 

「薬学の実習で泊りがけで出てるんじゃしょうがないわよ。先生に言伝はお願いしたから問題はないでしょ。もう小さな子供じゃないんだから」

 

 さて、半鬼人先生を訪ねて学院に向かっていた3人ですが、報告が終わって街中を散策している様子。会話から察するに、今回も弟君は女魔法使いちゃんに会えなかったみたいですね。

 

 あの先生がご主人様がボコボコにされた相手なんだろう?とからかわれ、涙目になっている吸血鬼侍ちゃん。どうやらトラウマ克服までの道のりはまだまだ時間がかかりそうな予感。

 

 まだ合流までは時間があるし、先に何処かでお昼を食べましょうかという女魔法使いちゃんの提案で屋台が並ぶ広場へやって来た3人。腸詰を麺麭に挟んだものや、揚げた魚と芋の皿盛り、大きな平鍋で炒め上げられたピラフなど美味しそうなものばかりです。

 

 早くも森人狩人さんは腸詰の麺麭挟みに齧りつき、溢れる肉汁を堪能してますね。女魔法使いちゃんは移動式の石窯で、小麦粉の生地に蕃茄のソースとチーズを乗せて焼いた平麺麭に興味津々の様子。さて、吸血鬼侍ちゃんは何にしようかな……。

 

 

 

 

 

「ンンン~? まさかこのような場所でお会いするとは奇遇ですねぇ!」

 

 う わ あ 。食事時に見たくない知り合い上位ランカーのエントリーです。塊のまま直火で炙り表面を削った肉を麺麭に挟んだ最近流行の軽食を片手に、相変わらず腰をグラインドさせながら歩いてきました……。

 

 特徴的なアイシャドウに道化師を模した装束、相変わらず変な色の舌ですねこの不死の蛞蝓(フラック)は。あんまり近寄らないでいただけます? 一緒にいるところを見られて、知り合いに噂とかされると恥ずかしいし……。

 

「おやつれない。赤竜を吸い殺した麗しき吸血姫の詩は王都でも好評を博しているというのに」

 

 いやいや、ちょっと誇張が激しすぎやしませんかねぇ? 吟遊詩人の詩なんてそんなもん? そうかも。で、わざわざそれを言うためだけに顔を出したとでも?

 

「いいえ、また稼がせて頂きましたので、今回はちょっとしたプレゼントをお持ちしました!」

 

 どーぞと言わんばかりに無理矢理手にねじ込まれたのは()()()()()に包まれた小さな包み。余程軽い物が入っているのか、持っているのを忘れそうなほどの重さです。

 

「そう遠くない未来、具体的に言えば3セッション後くらいの冒険で必ずお役に立ちますとも! では、良き後日談を……」

 

 言いたいことだけ言って姿を消す道化師。相変わらず第四の壁を突破してきますね……。あれ、今のって収穫祭の時の……と女魔法使いちゃんが言ってますが、いいえ人違いです(迫真)

 

「いや、どう見ても知り合いでしょ、プレゼントまで貰ってるし。……中身は何かしらね?」

 

 すっごく開けたくないんですが、開けないと詰む可能性がある以上覚悟を決めますか!

 

 

 

「……私の目には何も入ってないように見えるんだけど、ご主人様には何か見えているのかな?」

 

 腸詰の麺麭挟みを食べ終わった森人狩人さんが、顎を吸血鬼侍ちゃんの頭に乗せながら覗き込んできます。リボンと包装を解き、開けた箱の中身はからっぽ。森人狩人さんがひょっとして噂の『馬鹿には見えないアイテム』ってヤツかなーなんて言ってますが、大丈夫、()()()()()()()()()()()()()()

 

「え、じゃあ今の変なヤツ、空の箱を押し付けていったってこと?」

 

「……ううん、たぶんわたしたかったのはこっち」

 

 包装に使われていた()()()()()を、フードに付けていたリボンと交換しながら呟く吸血鬼侍ちゃん。()()を寄越してきたってことは、しっかり備えておけという彼なりのお節介かもしれません。

 

「しばらくはだいじょうぶ。でも、ちょっときをつけないとかも」

 

「そう。じゃあ今はゴブリンスレイヤーの結婚式と、装備の受領の事だけ考えときましょうか」

 

 それに、何かあったらちゃーんとみんなを守ってくれるんでしょ? と言いながら吸血鬼侍ちゃんのほっぺたを指でつついています。馬鹿にされたと思ったのか、つつかれる瞬間にぱくりと口に含み、熟練の舌使いで舐り始める吸血鬼侍ちゃん。ひゃんと可愛い声を上げる女魔法使いちゃんと、羨ましそうな顔で指を突き出してくる森人狩人さんを引き連れて、向こうから歩いてきた王宮組に手を振っています。

 

 あ、変装した剣の乙女が一目散に駆け寄って来まし……おっと! 転びそうになったところに吸血鬼侍ちゃんが滑り込んでギリギリセーフです。そんな慌てなくても逃げたりしないので、気を付けてくださいよ? また放置プレイが続いて寂しかった? これから暫くは時間に余裕があると思うので、ちゃんとお仕事を片付ければいつでも会えますから、ね? 

 

 慌てて駆け寄ってきた面子と合流し、とりあえずお昼にしようという流れに。さっきペロリと平らげていた森人狩人さんは……まだまだいけるって顔をしてますね。吸血鬼侍ちゃんは分身ちゃんの手に≪手袋≫があるのを不思議そうな目で見ていますが、そのあたりも何処か座れるところでゆっくりとお話ししましょうか……。

 

 

 

 

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 




最近夜明け前に目が覚めてしまうので失踪します。

いつも誤字脱字のご連絡ありがとうございます。
お気に入り登録や感想、評価についても執筆速度が上がりますのでよろしくお願いいたします。

お読みいただきありがとうございました。

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