ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 節分に豆を年齢分食べるのが辛かったので初投稿です。



セッションその8ー1

 たくさんの人に春が来た実況プレイ、はーじまーるよー。

 

 前回、ゴブスレさんの結婚を盛大にお祝いしたところから再開です。

 

 幸せ溢れる宴から数日後の早朝、吸血鬼侍ちゃん一党の拠点ハウスに今日も女魔法使いちゃんの声が響いています。

 

「ほら、さっさと準備する! 建設現場近くでゴブリンの目撃情報よ!」

 

 どうやら朝一でギルドの張り出しを見に行ってくれてたみたいですね。寝坊助な面々を起こそうと寝室のドアを開けた女魔法使いちゃん。おや、内部の状況を見て頭を抱えちゃってます。どれどれ、どんな具合なんでしょうか。

 

 

 

「ん……ちゅっ……ぷぁ。……これでくるしくない?」

 

「はい、とても楽になりました。……また、夜にお願いしても?」

 

「もちろん。ちのかわりにすわせてくれてありがとう」

 

 艶めかしい曲線を描く剣の乙女のお山をちゅーちゅーしていた吸血鬼侍ちゃん。服の乱れを整え、どこかスッキリした様子の剣の乙女に優しく抱き寄せられ、一党内最大のふかふかを堪能してますね。

 

 キングサイズベッドの奥側には、同じく分身ちゃんにちゅーちゅーされている令嬢剣士さん。分身ちゃんが吸うままに任せ、鼻歌を歌いながら頭を撫でる姿は慈しみに溢れています。

 

「……ふふ、まさか子を宿していないのに母親の真似事をするようになるとは。運命とはまこと奇妙なものですわね」

 

「……やっぱりきもちわるい? おっぱいがでるのも……きゅうけつきも」

 

「そんなことありませんわ。最初は驚きましたけど、より深い絆で皆さんと結ばれましたもの」

 

 不安そうな表情を浮かべる分身ちゃんを胸に埋めながら微笑む令嬢剣士さん。血『で』繋がった関係というのも悪くありませんわと優しく頬をつつかれ、差し出された指をぱくりと口に含む悪戯に成功した分身ちゃんにもちょっとだけ笑みが戻ってきました。

 

 ……いつもの光景ですね、ヨシ!

 

 

 女魔法使いちゃんに起きたのと同じ現象が2人にも発生してますが、ここ数日みんなの協力で行われた()()によって、竜血(スタドリ)を摂取した吸血鬼侍ちゃんの魔力を体内に取り込んだ際の変化について、いくつかわかったことがあります。

 

 まず、身体能力及び魔法行使能力の一時的向上。流石に集団的祝福(+3/+3修正)ほどではありませんが、清浄の名誉(+1/+1修正)くらいは強化されるみたいです。

 

 次に、体内にストックされている吸血鬼侍ちゃんの魔力を消費することで、消費した呪文回数を1回復活させることができました。勿論消費した場合強化修正は消えてしまいますが、一党全員の呪文回数が増加すると考えれば素晴らしい効果と言えるでしょう!

 

 ……ただ個人差があるのですが、代償として魔力をストックしている間、胸が張ってしまったり人によっては母乳が出てしまうという状態異常が起きることも判明しました。現在確認されているのは只人の3人。森人の2人には起きていないので、もしかしたら種族差が関係しているのかもしれません。

 

 何故オパーイにそんなことが起きてしまうのか。

 吸血鬼侍ちゃんの頭脳担当である分身ちゃん曰く、『そそいでたいないにのこっているまりょくは『ぼく』のいちぶみたいなものだから、からだがあかちゃんとかんちがいしちゃってるんだとおもう。つかってなくなればもとにもどるから、しんぱいしなくてもだいじょうぶ』とのこと。

 

 どうやら少しずつ魔力を身体に馴染ませて、眷属化の際に失敗するのを防ぐ試みのようです。みんなは強化修正と呪文回数が増えてうれしい、吸血鬼侍ちゃんはちゅーちゅーするときに吸血ほど相手に負担をかけなくて済むからうれしい。……一石二鳥ですね!(白目)

 

「まあそうね。傍から見たら性的倒錯者の集団であることを除けばだけど」

 

 ジト目で一党を眺める妖精弓手ちゃん。魔法が使えないから関係ないし、そんなはしたない真似できるかとぷんすこしています。吸血鬼侍ちゃんにお山がおっきくなるかもしれないよと言われた時の懊悩とした表情はなかなか見応えがありました。

 

 

 

「分身ちゃんは監督官さんと約束があるんでしょ? 業務開始時間に間に合わなくなるわよ?」

 

 女魔法使いちゃんの指摘を受け慌てて支度を始める分身ちゃん。いつもの長衣とフードの恰好ではなく、予め監督官さんに渡されていた服に着替えています。装飾の施されたシャツに膝丈のサスペンダー付きズボン。白のソックスと非常にマニッシュなデザイン。髪型もメカクレからオールバックに整えられ、ぱっと見は貴族の少年にしか見えなくなってしまいました。

 

 『この格好で一日ギルドでアルバイトして欲しい!』というのが監督官さんの()()()()の内容でした。細部まで凝った指定をしてくるあたり、やはり筋金入りの変態淑女ですねクォレハ……。

 

「よくお似合いですわ。今日一日、ギルドのお手伝い頑張ってくださいね」

 

「ありがとう! それじゃいってきます、()()()()()()

 

「い、いってらっしゃい! ……ふぅ、危うく乙女心が噴出してしまうところでしたわ」

 

 手を振りながらギルドへ向かっていった分身ちゃん。それを見送る令嬢剣士さんは鼻を抑え、必死に何かを耐えている様子。自分からお願いしたことでやられてちゃ苦労しませんて。

 

 『(わたくし)のことは、是非お姉ちゃんと呼んでくださいまし!』という令嬢剣士さんの()()()()ですが、なかなかの破壊力を秘めているようですね。剣の乙女と女魔法使いちゃんも「いい……」「いいわね……」という顔で歩いていく分身ちゃんの後姿を眺めています。

 

 

 

「っと、危ないところだったわ。義妹(いもうと)ちゃん、そこの愚義姉(ばかあね)は……ダメみたいね」

 

「はい、流石に今回は耐えきれなかったようで。本日は寝かせておいてあげたいと思います」

 

 我に返った女魔法使いちゃんが見る先には、輝かんばかりの裸体を惜しげもなく晒して寝ている森人狩人さんと、上からシーツをかけている森人少女ちゃんの姿。まず先に≪浄化(ピュアリファイ)≫をかけているあたり、昨晩の惨状が容易に想像できますね。

 

 『最近セクハラや親父ギャグなど、目に余る言動を繰り返している上姉様を()()()()()くださいませ』という森人少女ちゃんの()()()()。一応決行する前に森人少女ちゃんが反省を促したのですが聞き入れてもらえず、仕方なく実力行使に出ることに。

 

 竜血(スタドリ)を連続摂取しながらの終わりのないちゅーちゅータイム。慈悲を乞う森人狩人さんに対し、「まだ話す余裕があるのですね。では続けてください主さま」と素敵な笑みを浮かべながら言葉を返す森人少女ちゃん。

 その笑顔に恐怖した2人はより一層激しくちゅーちゅーし、途中から参戦した森人少女ちゃんと3人でユニバァァァス!!した結果、なんとか()()()()()ことに成功しました。

 

「私が主さまから注いでいただいた幸せを、上姉様にも味わっていただきました。きっと幸福な夢を堪能されていることでしょう」

 

 曇りなき眼でそう言ってのける森人少女ちゃん。やっぱり重量級なんだなーと再認識させられちゃいましたね……。

 

 

 

 

 さて、剣の乙女を仕事に送り出し、森人狩人さんは寝かせたままギルド訓練場の建設現場へ向かう一党。吸血鬼侍ちゃんは女魔法使いちゃんと妖精弓手ちゃんを、分身ちゃんは森人少女ちゃんと令嬢剣士さんを抱えて飛行中です。

 

 え、重さを均一にするなら妖精弓手ちゃんと森人少女ちゃんは逆じゃないかって? 好きな娘をぎゅってしたいんだよ言わせんな恥ずかしいってやつみたいです。すごくいい……(恍惚)

 

「今回の依頼、ギルドはゴブリンスレイヤーに回すつもりで除けておいたみたいだけど、計画に携わってる私たちが受けるのが筋だと思って引き受けてきたの」

 

 風に負けないよう大きめの声で吸血鬼侍ちゃんに話しかける女魔法使いちゃん。どうやら掲示板に張り出される前の依頼だったようです。朝晩はまだ冷えますが、だいぶ暖かくなって依頼の数も増えている状況。例年通り人気の無いゴブリン退治ですので、なるべく数をこなしていきたいですね。

 

 建設現場に到着し、すぐに現場監督さんと情報を交換する一党。どうやら近くにある陵墓を出入りする姿を作業員の一人が目撃したとのこと。すぐに引き返してギルドに通報したのは正しい判断だったと思います。現状では目立った被害はないようですが、食料に目を付けられたりしたら面倒です。早速駆除してしまいましょう!

 

 

 

 

 

「幽かにですが死の精霊の姿が見えます。恐らく古代の陵墓ではないかと。となればあすこが入り口となりましょう」

 

 ゴブリンを目撃した作業員の案内で辿り着いた小高い丘。森人少女ちゃんが言った通り、そこにぽっかりと空いた大穴が陵墓の入り口のようです。地面を見れば草陰に隠れた沢山の足跡。大きさからしてゴブリンのものだと思いますが……。

 

「この異様に大きな足跡は、ゴブリンなのでしょうか?」

 

 令嬢剣士さんが首を傾げながら眺めるそれは、田舎者(ホブ)にしても大きいものです。流石に鉱人の城跡で戦った小鬼重戦車(ジャガーノート)ほどではありませんが、牧場防衛時に大量に現れた小鬼英雄(チャンピオン)に近いサイズであることは間違いありません。

 

「ゴミ溜めあり、トーテム無し、見張りなし。……はぐれ小鬼英雄(チャンピオン)が子分を従えているってところかしら?」

 

 ゴミ溜めを棒で掻き分け、人間の残骸が無いことを確かめながら呟く妖精弓手ちゃん。見つかるのは動物の骨や、陵墓に眠っていたものと思われる割れた陶器の欠片ばかり。どうやら虜囚はまだ出ていないようですね。

 

「つかまっているひとがいないなら、わざわざたたかってやるひつようはないよね?」

 

「左様でございます。疾く殲滅いたしましょう」

 

 鮫のような笑みを浮かべる吸血鬼侍ちゃんと、その顔を見て頬を紅潮させる森人少女ちゃん。トラウマこそ克服しましたが、ゴブリンに対する憎しみの炎は生涯消えることはないのでしょう。冬山で自分以外の仲間を失った令嬢剣士さんも同意するように頷き、家宝の双剣を抜き放ちます。

 

「しょうめんはぜんぶせいあつするから、それいがいからのけいかいをおねがいするね?」

 

 返事代わりに頷きを返す一党に微笑みかける吸血鬼侍ちゃん。さあ、侵入と略奪(ハック&スラッシュ)の時間です!

 

 

 

 太陽の灯りが僅かに差し込む玄室。光を避けるように部屋の隅で寝ているゴブリンの数全部で五。美しい壁画が描かれていたであろう部屋は汚物とガラクタで溢れ、耐え難い悪臭が充満しています。音も無く入り口から歩み寄る吸血鬼侍ちゃん。その足元から伸びた影が部屋の床一面に広がり、次の瞬間……。

 

「「「「「GO!?」」」」」

 

 無数に突き出た触手がゴブリンの身体に巻き付き、ギリギリと締め上げていきます。窒息などという生易しいものではなく、肉と骨など意に介さず諸共に捩じ切り、かすかに風船が破裂するような音を立てるばかりで断末魔の叫びを上げることすら許さない殺し方。影が吸血鬼侍ちゃんのサイズに戻った時には、四肢と頭部がバラバラになった五体分の肉片が転がっているだけです。

 

「相変わらずえげつないコトするわねぇ。……どうしたの?」

 

 床にばら撒かれたゴブリンだったものを避けながら近付く女魔法使いちゃん。吸血鬼侍ちゃんがしゃがみこんで何かをしているのに気付いたようです。

 

「おはかをあらされておこってる。てをかしてほしいって……」

 

 そういうなり棺の傍らに立ち、自らの血を垂らす吸血鬼侍ちゃん。血を受け止めた棺の中に黒き淀みが生まれ、それが次第に形を成していきます……。

 

「これは、悪霊(ゴースト)? いえ、もっと力強い……まさか幽鬼(レイス)ですの?」

 

 令嬢剣士さんの呟きとともに、仮初のカラダで顕現する幽鬼(レイス)。陰鬱な空気を纏う女性の姿のそれは、何かを訴えるように吸血鬼侍ちゃんの前で腕を振っています。

 

「……うん、わかった。いっしょにやっつけちゃおうね」

 

「ちっこいの、そいつが言ってることが分かるの?」

 

「すきなひとのおはかをあらすやつらをとっちめてほしいって」

 

 女幽鬼は全身で怒りを表現すると、ふよふよと扉をすり抜けて陵墓の中へ。暫くすると戻ってきて、吸血鬼侍ちゃんの耳元で何かを伝えようとしています。頷きを返しながら手で女魔法使いちゃんにマッピング用紙を求め、スラスラと地図を描き始めました。

 

「りょうぼのマップと、ふほうきょじゅうしゃのはいちはこんなかんじ。まんなかにおっきいのがねてるみたい」

 

 出来上がったのは陵墓全体の詳細な地図とそこで寝ているゴブリンの配置図。中央の大部屋には不細工な怪物が描かれています。恐らく巨人(トロル)なんでしょうが、吸血鬼侍ちゃんてばあんまり絵心はないみたいですね……。

 

「これ、トロルのつもり? まあ特徴は出てるけど……。だとしたら再生能力が厄介ね」

 

 デフォルメされた絵から女魔法使いちゃんが知識判定に成功してくれたようです。傷口を酸か火で焼かないと、首を斬り落としても再生すると言われている厄介なモンスター。時間をかけていると戦闘音を聞きつけて周囲から増援が湧いてくる可能性もあります。

 

「迂闊に進んでいくと挟撃されそうね。どうするつもり?」

 

 妖精弓手ちゃんが地図を指でなぞりながら吸血鬼侍ちゃんに視線を向けています。どうやらこの陵墓、斥候(スカウト)の目から見てもなかなか巧妙な作りになっているようですね。問いかけに応えるように後腰から血刀を抜き、胸に突き立てて刀身を生成する吸血鬼侍ちゃん。刀身から発する炎の照り返しを受けて真っ赤な瞳がユラユラと輝いています。

 

「とびらをくさびでふさぎながら、ひとへやずつこんがり。おぶつはしょうどく!」

 

 

 

 

 

 

 

「OLRLLLT!?!?!?」

 

 上手に焼けましたー! と言わんばかりの笑顔で血刀から炎を噴出させている吸血鬼侍ちゃん。火炎放射器のように伸びた炎の舌(Flame Tongue)は室内のトロルとゴブリンを舐めまわし、焼け付いた喉からはヒューヒューという掠れた音が出るばかり。同様の手段で他の部屋は制圧済みで、扉の隙間に楔を打ち込み横槍が入らないよう工作してからの蹂躙です。

 

 こんな閉所で炎なんて大丈夫なのかと使ってから気付いたのですが、どうやら燃焼には酸素ではなく吸血鬼侍ちゃんの血に含まれる魔力が用いられているようで、炎が付着した対象の生命そのものを燃やす仕組みみたいです。他の部屋で使用した際、ゴブリンが腰に巻いていた襤褸布が焼けずに残っていたので判明しました。

 

 最初は火を放つなんてと怒っていた女幽鬼さんも、陵墓に損害を与えず不法居住者だけを燃やす光景に今ではニッコリ。あんまりはしゃぎ過ぎて危うく自分に火が燃え移るところでした。この炎、幽霊も燃えるんですね……。

 

「あいつらをしょりしてくれてありがとうって。おれいをしたいけど、ここにあっためぼしいものはむかしとうくつしゃがもってっちゃったんだって」

 

 制圧が完了したところで一党に向き合う女幽鬼さん。深々とお辞儀をする姿は高い知性を感じさせます。お宝がないのは残念ですが、先に見つけた者が持っていくのは冒険者の習い、しょうがないですね。

 

「ですが、これで心残りなく輪廻に還ることが出来るのですね。再び愛する方と巡り逢えることを祈っております」

 

 神官らしく旅立ちを祝福してくれている森人少女ちゃんですが、なぜか女幽鬼さんが困った顔をしています。暫くもじもじしていましたが、意を決したように吸血鬼侍ちゃんの耳元に口を寄せています。あ、吸血鬼侍ちゃんの表情がどんどん味わい深いものに……。

 

「あいするひとはべつにこいびととかはんりょじゃなくて、ずっととおくからながめていたひとだって」

 

 ええ……? 一同の顔に困惑が浮かんでいます。照れたように頬に両手をあててクネクネしてる女幽鬼さんですが、もうちょっと詳しく事情を話してもらえませんかねぇ……。

 

 

吸血鬼侍ちゃん通訳中……   吸血鬼侍ちゃん通訳中……   吸血鬼侍ちゃん通訳中……   吸血鬼侍ちゃん通訳中……

 

 

「ええと、つまり一方的に好意を抱いていた殿方がお亡くなりになった際に」

 

「自分と命を共有することで生き返らせようとして、失敗して幽鬼になってしまったと」

 

 

 はい、割合どうしようもない理由でしたね! どうやらかつてこの辺りを治めていた領主のイケメン息子に恋した土着の魔女が、一方的にストーカー行為を繰り返した挙句、彼が可愛いお嫁さんをゲットしたことに絶望。

 領民に慕われていた彼が早逝したのをいいことに陵墓に侵入し、彼と命を共有することで擬似的な蘇生を目論んだ結果、見事に失敗。とうに輪廻に還っていた彼の魂は現世に蘇ることはなく、儀式に失敗した魔女は肉体を失ってずっとこの陵墓に住み着いていたそうです。

 

「っていうか、普通に変態じゃないの! さっさと諦めて地獄に落ちなさいよ!」

 

 妖精弓手ちゃんがキレてますが、残念ながら当然ですね。いやあそれほどでもーというジェスチャーをしてますが、誰も褒めてませんよ女幽鬼さん。あと森人少女ちゃん、死してなお想い続ける……素晴らしい愛ですね! なんて言ってますけど、それ絶対間違いだから。

 

「で、結局どうするのかしら? 放置しておいても碌な事なさそうだし、さっさと消滅(じょうぶつ)してもらう?」

 

 女魔法使いちゃんが爆発金槌を素振りする様を見て天井近くまで飛び退る女幽鬼さん。女神官ちゃんか剣の乙女あたりなら痛くしないで送ってくれると思いますけど。……ふんふん、え、本気ですか? まあ吸血鬼侍ちゃんが言えた義理じゃないですよねー。

 

「せっかくはなせるあいてにあえたから、もうちょっとレイスせいかつをエンジョイしたいって。すがたはけせるので、さわぎにならないようにするからおねがいっていってる」

 

 それつまり一党に憑いてくるってことですよね? 森人少女ちゃん以外がうげぇという顔をしてますが、そんなことはお構いなしに一党と同じ高さまで降りてくる女幽鬼さん。なんか変なモノを拾ってしまいましたが、これで依頼は達成ということでいいでしょう。現場監督さんに伝えて、訓練所建設を進めてもらいましょうか!

 

 

 

 

 

「……で、ゆうれいさんがついてきちゃったんだ」

 

「……そうか。昔姉に言われたことがあった。あそこには怖い女幽霊が出るから、()()()は絶対に近付くな、と」

 

 姉の言っていたことは正しかったのだな、と呟くゴブスレさん。そのころからへんたいふしんしゃ扱いだったんですか女幽鬼さんは。いやだから褒めてませんって。

 

 トロル燃やし祭りから数日後。監督官さんから解放された分身ちゃんとしょうきにもどった!と言い張る森人狩人さん、何故か憑いてきた女幽鬼さんを面子に加え、デイリークエストのゴブリン退治を終えた一党。受付嬢さんに報告を終え、さてご飯でも食べて帰ろうかと思っていたら最近姿を見ていなかったゴブスレさんに会うことが出来ました。

 

 聞くと地母神の神殿から技能実習を兼ねて子供たちが牧場に来たために、牛飼娘さんとともに仕事を教えていたんだそうです。引率として同行していた女神官ちゃん、チーズの供給源である家畜に興味を持った蜥蜴僧侶さんも一緒になって手伝うという大所帯に。

 

 そろそろつわりが始まりそうな牛飼娘さんを楽にしてあげるためにも、子供達には早く仕事を覚えて貰いたいとゴブリン退治を一旦休み、牧場の手伝いに専念すると決めたんだとか。

 

「すまんな、迷惑をかける」

 

「そんなこと気にしてないで、愛しいお嫁さんのことだけ考えてなさいよ。訓練場が軌道に乗れば、アンタの仕事は指導する側に変わるんだから」

 

 軽く頭を下げるゴブスレさんに対し、手を横に振りながら鷹揚に答える女魔法使いちゃん。他のみんなも同意見ですから、牛飼娘さんを大事にしてあげてくださいね。

 

 

 

 助かる、と再び頭を下げるゴブスレさん。しかし、傍から見るとなかなかすごい光景ですね。森人(エルフ)が3人に只人(ヒューム)のたわわが2人、違法圃人(レーア)こと吸血鬼侍ちゃんが分身ちゃんと合わせて2人の合計7人の美女美少女に囲まれているんですから。女幽鬼さん? 座ってて、どうぞ。

 

 新婚と知っている冒険者は時折ゴブスレさんをからかうくらいに馴染んでますが、新人と思しき白磁等級たちからはやっかみの目で見られてますねぇ。そんな目で見るくらいなら玉砕覚悟でナンパしたほうが良いのでは? 小数点以下で成功すると思いますよ(黒本並感)

 

 

 

 お、そんな話をしていたら勇気ある挑戦者(チャレンジャー)が現れたようです。ドスドスと大きな足音を立てながら近付いて来たのは外套を纏った()()()()()。一党が座るテーブルの傍に来た彼を見た女魔法使いちゃんが、ポカンとした表情を浮かべています。んん? この子もしかして……。

 

「あれ、なんであんたが辺境の街(ここ)にいるの? 新学期が始まったばかりじゃない」

 

 女魔法使いちゃんが問いかけますがまったく耳に入っていない様子の少年。一党を見回し、ある人物に真新しい杖を突き付け、ギルド中に響き渡るほどの怒りの籠った声で叫びました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「オマエが……! オマエが姉ちゃんを手籠めにして無理矢理一党(パーティ)に参加させたクソ野郎だな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 




消化が悪くてお腹にきたので失踪します。

いつも誤字脱字のご連絡ありがとうございます。
お気に入り登録や感想、評価についても執筆速度が上がりますのでよろしくお願いいたします。

お読みいただきありがとうございました。

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