ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ 作:夜鳥空
前回、白いのと黒いのに目を付けられたところから再開です。
さて、吸血鬼侍ちゃんの前には2人の森人。輝ける兜の森人こと妖精弓手ちゃんの従兄殿と、やたらガラの悪い闇人が吸血鬼侍ちゃんを狙っています。周囲には他にも複数の気配があり、どうやら完全に包囲されちゃってるみたいです。
「命乞いなら聞いてやってもいいぜぇ? 首から下を燃やしてからだけどなぁ!」
うーんこのテンプレな
となると対処法は限られてきちゃいます。分身ちゃんが妖精弓手ちゃんを連れて来てくれるまで時間を稼ぐか、全員を無力化するか。もちろん森人のみなさんに怪我を負わせてはいけませんし、森を傷つけて『小枝を踏み折れば、骨を折ってあがないとする』なんて言われるのも勘弁願いたいところ。やはり逃げ回って妖精弓手ちゃんの到着を待つのがベターで……。
「オイオイ、何逃げ腰になってんだチビ吸血鬼? しゃがめば見えなくなっちまうってかぁ?」
「やめんか馬鹿者、下手に暴れて森を傷つけられては敵わん。それに逃げ出すというのなら所詮その程度の小物。わざわざ森に灰をばら撒く必要はあるまい」
>「むぅ~……」
あ、吸血鬼侍ちゃんがムッとした表情に。不良闇人さんの安っぽい挑発もですが、従兄殿のそれも大概ですよね! お、ヤるってのか?とガンをとばす不良闇人さんにあっかんべーをして、
「野外、ましてや森中において、本気で森人の射手から逃れられるとでも思っているのか?」
従兄殿の声が響く森中、木々の間を縫うように飛行する吸血鬼侍ちゃんに向かって地上、そして樹上から無数の矢が飛来してきます! 一射で2本3本の束ね撃ちは当たり前、従兄殿なんて横山光輝キャラばりに途切れない連射を浴びせてくる始末。おまけにどの矢もホーミングしてくるせいで吸血鬼侍ちゃんも躱し辛そうにしています。統制の取れた射撃で飛行進路を限定し、徐々に追い込んでいく様は流石量産型レゴラスと言わざるを得ません。しかも回避のために高度を下げて飛んでいると……。
「オラ、さっさと落ちろってんだよクソチビ吸血鬼!!」
>「あぶないなぁ……」
不良闇人さんが振るう血刀から伸びた炎が、吸血鬼侍ちゃんを焼き尽くさんと迫ってきます! 森の中で振るっているのに植物に燃え移らないのは、ひょっとして森人特有の加護か何かなんでしょうか? 振るっている当人は白粉が剥げてますけど。
日光が届かない程密集して木が生えているため吸血鬼の再生能力は機能しそうですが、射手の数を減らさないことにはジリープアー(徐々に不利)ってヤツですね。吸血鬼侍ちゃんもそう判断したのか、どうやら反撃に打って出るようです。いったいどうやって怪我をさせずに無力化するつもりなのでしょうか……。
「な!? 何処から現れ……ホワァァァァァァァ!?」
「や、やめろ! 私には愛する妻と娘が……ぬふぅ!?」
「え、まさか貴女そういう……!? あっ……んぅ……やぁ……」
「な、なんだ? 何が起きている!?」
次々に奇声を残して沈黙していく同胞の異常事態に混乱している従兄殿。あれだけ吸血鬼侍ちゃんを追い立てていた矢の雨も止んでしまいました。土が剥き出しとなった地面に倒れ伏す射手に慌てて駆け寄りますが、近付いたことで目に入ってきた光景が彼の混乱をさらに加速させます。
うつぶせに倒れた男性の右手は何かを指し示すかのように頭部方向へ伸ばされ、指先が土に何かを記していました。流麗な森人語で書かれたソレは、彼が最期の力で遺したメッセージ……。
『すごかった』
「何が『すごかった』だ馬鹿者ー!?」
従兄殿が魂の叫びを上げたのと同時刻、顔を歪ませながら木々の合間を疾走していた不良闇人さん。恍惚の表情を浮かべたまま気絶している森人をそっと地面に横たえる吸血鬼侍ちゃんに漸く追い付いたようです。炎揺らめく血刀を吸血鬼侍ちゃんに突き付けていますが、その切先は震え、顔には冷や汗が噴き出ています。なんだか吸血鬼侍ちゃんを怖がっているような……。
「お、おまっ、お前なぁ!? なんつー怖ろしいことをしてくれてんだコラァ!?」
最初に仕掛けてきた時とはまるで別人のような様子に首を傾げている吸血鬼侍ちゃん。お、なにか思い当たる節でもあったんでしょうか? 両手を後ろで組み、身体を左右に揺らしながら不良闇人さんに向かっていってますね。
>「おに~いさん! なんだか~、さいしょのよゆうがないみたいだけど~、いったいどうしちゃったのかな~?」
ゆっくりと近付く吸血鬼侍ちゃんの顔は、最近とんと見ていなかった
>「ほかのおにいさんとおねえさんは、がんばってたえようとしてたけど、おにいさんはにげちゃうつもりなの~?」
ピンク色の舌をチロリと出し、これ見よがしに唇を舐め上げる姿は完全に非合法! 可愛さ全振りの見上げるような視線に呑まれた不良闇人さん、気付けば背後を大樹によって塞がれてしまいました。近寄るんじゃねえと荒く叩きつける怒声も微妙に裏返っており、吸血鬼侍ちゃんの嗜虐的な笑みを深めるだけのスパイスに。
>「おとなのオスなのに、そんななさけないこえでなくんだね~。はずかしくないの~?」
「五月蠅ぇぞこのメスガキ吸血鬼!? 大人を舐めたらどうなるか、その貧相な身体にわからせてやるからな!!」
折れかけた
>「ざんね~ん! そんなちからまかせなうごきじゃ、だれもまんぞくしてくれないよ~?」
突如前後のステップに切り替えた吸血鬼侍ちゃんの動きについていけず、バランスを崩してしまう不良闇人さん。前につんのめった顔面を吸血鬼侍ちゃんに鷲掴みにされ、強引に頭を傾けられたところで吸血鬼侍ちゃんの狙いに気付いたみたいですが、ちょ~っと遅かったですねぇ……。
「ちょっ、待て、それはヤベえって……ッ!?」
左手で顔面を、右手で左肩をガッチリと固定し、無防備に外気に晒された褐色の肩口。吸血鬼侍ちゃんの小さな口が汗ばんだ不良闇人さんの肌に触れ……。
>「ちゅ~」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!? あっ」
「いくら馬鹿でチンピラで白粉の剥げた屑だといっても、我が朋友は決して弱き者ではない。それをこうも容易く……!」
従兄殿が悲鳴を聞きつけ到着した時には、全てが終わった後でした。口から魂のような何かをはみ出させたまま、尻を高く持ち上げたうつぶせ状態で崩れ落ちている不良闇人さんと、口元をハンカチで拭っている吸血鬼侍ちゃん。どちらが勝者かは一目瞭然です。
>「すっごいのうこうな
よっぽどチビ呼ばわりされたのを根に持っているんでしょうか、普段のぽわぽわ甘えん坊吸血鬼侍ちゃんからは想像も出来ない程のメスガキっぷりですねクォレハ……。完全に腰が抜けて動けない不良闇人さんを指でつつきながら追い打ちをかけています。
悔し気に睨みつけてくる視線を受け、メスガキ度はいや増すばかり。あ、と声を上げ、可哀そうな人を見る目で不良闇人さんの顔を覗き込みながら、
>「おに~さん、もしかして……ど~ていさん?」
「ゴハァ!?」
盛大に血を吐き動かなくなった不良闇人さんを満足げに見下ろす吸血鬼侍ちゃん。達成感に満ちた表情のまま、駆けつけてきた従兄殿に向き直ります。小首を傾げるその姿に腰が引けていた次期族長ですが、ゴホンと咳ばらいをして吸血鬼侍ちゃんに正対しました。
「その者は『精霊の愛し子』でな。生まれながらに火の精霊と深く繋がっていたが故に迫害され、闇人の国を追われたのだ。独占欲の強い精霊は、愛し子が他の者と深い仲になる事を決して許さぬ。……別にその屑が異性に好かれていないわけでは……あまりないぞ?」
友人をフォローしているようにみえて徹底的に扱き下ろしてませんかね従兄殿? 屑より重要なことがある、と吸血鬼侍ちゃんに訝し気な目を向けてきます。
「我が同胞、そして森の木々を傷つけることなく制したのは何故だ? それほどの力を持つのならば、如何様にも殺せた筈」
ふう、弓を構えてはいるものの、やっと話を聞く姿勢に入ってくれましたね! 吸血鬼侍ちゃんにちゅ~されて行動不能になっていた森人のみなさんも復活して徐々に集まってきました。
>「ぼうけんをいっしょにしているかみのえるふのおんなのこから、おねえちゃんのけっこんしきにしょうたいされました。かのじょとほかのみんなはゴブリンのしゅうげきをうけて、まだかわぞいにいるとおもいます。おにいさんがいとこさんでしょうか?」
まさか従妹の仲間とは思っていなかったのでしょう。固まってしまった従兄殿を見て困った様子の吸血鬼侍ちゃん。心配はいりません、頼れる援軍がもうすぐそこまで来ていますから! ほら、向こうから吸血鬼侍ちゃんを呼ぶ声が聞こえてきましたよ……。
「ち~っこいのぉぉぉぉぉぉぉ!!」
分身ちゃんに抱えられ、木々の間を縫うように飛んで来た妖精弓手ちゃん。空中で分身ちゃんから離れ、神業的な身体制御で一直線に吸血鬼侍ちゃん目掛けて落ちてきます。渾名を呼ばれ振り返った吸血鬼侍ちゃんの目にしたのは……。
「無闇矢鱈に血を吸うんじゃないわよこの馬鹿ぁ!!」
>「ぐえ~……」
綺麗に揃えられた妖精弓手ちゃんの靴裏、それが自分の顔に直撃する瞬間でした。そのまま吸血鬼侍ちゃんの上にのしかかる体勢で着地した妖精弓手ちゃん。まわりの唖然とした表情に気付き、慌てて立ち上がり可憐な笑顔で従兄殿に挨拶しています。
「久しぶりね、あに様。結婚おめでとう!」
「あ、ああ……。その下敷きになっている吸血鬼は良いのか?」
>「まえがみえない……」
ヘーキヘーキ、こんなの掠り傷よ!なんて言ってますけど、顔面陥没を掠り傷とは言わないんだよなぁ……。
妖精弓手ちゃんの説明によって、吸血鬼侍ちゃん&ゴブスレさん一党と、ゴブリンに襲われていた女巫術師さん一党の森人の集落への逗留許可が下りたために現在人員の移送中です。襲撃地点からほど近い川岸に筏は係留できたものの、そこから徒歩では時間がかかるうえに救出した一党の疲労も気になります。幸い飛行手段を持つ者が多いので、現在地点まで二回に分けて手早く運ぶことになりました。
冒険者なのでレディーファーストというわけではありませんが、またゴブリンが襲ってこないとも限らないので相談の結果先に女性陣を連れてくることに。吸血鬼侍ちゃん、分身ちゃん、女魔法使いちゃんがそれぞれ妖精弓手ちゃんと女巫術師さん、令嬢剣士さんと森人少女ちゃん、森人狩人さんと女巫術師の妹さんを抱えて飛んでいるところです。
「まさか、こんなかたちで森人の集落を訪れる事になるとは思いませんでしたの……」
こわごわと地面を見ながら吸血鬼侍ちゃんにしがみついている女巫術師さんがため息交じりに呟いています。枝を避けるたびに感じる揺れに身を竦め、豊満なお山を吸血鬼侍ちゃんにギュッと押し付けていますね!
「ゴブリンに襲われてこう言うのはアレだけど、森人の結婚式なんて滅多に見られないんだから! いい機会だと思って楽しんでいって頂戴!」
風きり音に負けないように顔を寄せて自慢気に語る妖精弓手ちゃん。まだ興奮から冷めていないのか、薄い胸から早めの鼓動が吸血鬼侍ちゃんに伝わってきています。分身ちゃんは問題ないと思いますが、まだ人を運ぶのに慣れていない女魔法使いちゃんは……うん、大丈夫そうですね。若干遅れ気味ですが、しっかり前の2人を認識して飛んでます!
「私たちを降ろしたら次に男衆の番だけど、ちゃんと道順わかってるの?」
>「だいじょうぶ、さっきすったちのにおいをたどるから」
「ああそう……まあ役に立ったなら吸われた連中も浮かばれるでしょうね」
いや、誰一人として死んでませんからね? 妖精弓手ちゃんの執り成しで矛を収めてくれた森人さんたちに対して、血を吸ったことをしっかり謝った吸血鬼侍ちゃん。未だ警戒している人が半分、何故か赤い顔でハァハァ言っている人が半分だったのですが、どういうことなの……?
抱えてきた女性陣を降ろし、間を置かずに男性陣を迎えに行く3人。残り人数は5人ですが、蜥蜴僧侶さんがクッソ重いため実質二人分の扱いですね。流石に女魔法使いちゃんに見知らぬ男冒険者を抱えさせるのを許容できるほど吸血鬼侍ちゃんも心が広くないので、吸血鬼侍ちゃんが蜥蜴僧侶さん、女魔法使いちゃんがゴブスレさんと鉱人道士さん、分身ちゃんが残り2人となりました。
「ウーム、拙僧も竜が如く飛べれば良いのですが、いかんせん持続時間が短いのが難点ですなぁ」
>「
「左様、侍殿や軍師殿のようには上手くいかぬのが、まこと歯痒いものですな……」
流石に10分しか飛べないうえに、両手が
そんなほんわか飛行している吸血鬼侍ちゃん組とは一変して、フラフラと安定せずに飛んでいるのは女魔法使いちゃん組です。なにやらゴブスレさんに対して女魔法使いちゃんが文句を言っているみたいですが……。
「だーかーらー! 私は気にしないからもっとしっかり抱き着いて頂戴! バランスを崩したらそれこそ3人纏めて地面のシミよ!?」
「いや、だが……」
「そうじゃぞかみきり丸! こうグッと抱き寄せるようにな……ぐぇ!?」
「アンタは落としてやろうかしらこの助平ジジイ……ッ!」
うーん、どうやら牛飼娘さんと吸血鬼侍ちゃん両方に遠慮してゴブスレさんが女魔法使いちゃんの腰に手を回すのを躊躇っているみたいです。奥ゆかしいというかなんというか……。
「あのままでは危のうございますな……。侍殿、ここから集結地点までは如何程で着きますかな?」
>「もうあとごふんくらいのところまできてるかな?」
「であれば、拙僧も己が翼で飛ぶと致しましょう。侍殿は向こうをお頼み申す」
>「あれをつかうの? ……ん、わかった」
蜥蜴僧侶さんが懐から取り出したポーションを飲み干したのを確認し、支えていた手を離す吸血鬼侍ちゃん。空中で大きく広げた蜥蜴僧侶さんの腕が、風を受けながらメキメキと音を立てて翼へと変化していきます!
「いつの間にあんな芸当が出来るようになったんかのう、鱗のは!」
「ああ、この間の赤竜の血液から作った魔法薬を使ったのね。結構材料費高いのに……」
吸血鬼侍ちゃんにゴブスレさんを任せ、女魔法使いちゃんにお姫様抱っこされるかたちになった鉱人道士さんが驚嘆の声を上げています。どうやら赤竜の血を触媒に、呪文の持ち越しが出来る≪
両の翼をはためかせ、優雅に空を舞う蜥蜴僧侶さん。今はまだ祖竜の力を借りなければいけませんが、いずれは竜へとその身を昇華させ、自分の力だけで羽ばたくことが出来るようになるでしょう!
「すまんな、迷惑をかける」
>「きにしないで。ふたりみたいにおっきくないけどね~」
「もとよりお前にそんな感情を抱いたことはない」
女魔法使いちゃんから離れて気が緩んだのでしょうか、吸血鬼侍ちゃん相手に軽口を叩く貴重なゴブスレさんが見られました。そんな、ひどいと項垂れたふりをする吸血鬼侍ちゃんに対し、顔を背けた状態で言葉を続けるゴブスレさん。
「……友に、そのような劣情を抱きたくはないからな」
>「ん、わかってる。じょうだん」
葉擦れで掻き消されてしまうほどの小さな声で呟くその言葉に、柔らかな笑みを浮かべたまま返事をする吸血鬼侍ちゃん。種族も性別も、生きているか否かの違いすらある2人ですが、その間には確かな友情があるのかもしれませんね。
「おっそーい! 早くしないと日が落ちるまでに着けないわよー!!」
おっと、地上から妖精弓手ちゃんのこちらを急かす声が響いてきました! 焦らず急いで着陸し、男性陣を降ろしたらすぐに出発です。目指すはエルフ王の森、気を抜かずに進みましょう!
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
目と鼻がムズムズしてきたので失踪します。
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