ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 なかなか冒険に向かうまで進まないので初投稿です。


セッションその9ー4

 前回、妖精弓手ちゃんの爆弾発言で場が混乱したところから再開です。

 

「いくら真実とて、もう少し言い方というものがあるだろうに。我が朋友も、客人に掴みかかりあまつさえ吊るし上げるとは……。2人とも森人としての誇りは何処へ置いてきたのだ!」

 

 森人の侍女さんによって倒れた花冠の森姫は運ばれていき、夕餉の席はお開きに。そのまま従兄殿こと輝ける兜の森人さんによるお説教タイムに突入しました。一党の前で正座させられ、頭上からクドクドとお小言を浴びせかけられている妖精弓手ちゃんと不良闇人さん。俺は森人じゃねえだろとの呟きに対し、いいから白粉を塗れと返すあたりいつものことなんでしょうね。

 

 宴席での無作法を咎めるものから始まり、2人の私生活にだらしなさや片付けが出来ないところをいい加減直せと言うあたりまで従兄殿の話題が広がった頃、森人たちと吸血鬼侍ちゃん、それに分身ちゃんが揃って同じ方向を向きました。訝し気に他の種族がそれを眺めるうちに、屋内に斥候と思しき出で立ちの森人さんが飛び込むような勢いで入って来ました!

 

「報告! 情報にあった神獣が出現、あらゆるものを蹴散らしながら(くに)へ侵入しようとしています!!」

 

「なに? 進路上の民の避難を急がせろ! ……続きはこの騒動が終わってからだ」

 

 斥候さんを伴い部屋を出て行く従兄殿。その後を追おうとしていた不良闇人さんを呼び止め、妖精弓手ちゃんが事情を確認し始めました。

 

「ねえ、神獣とか言ってたけど、あに様は何をそんなに焦っているの?」

 

「んあ? そういや言ってなかったか。俺らがゴブリンを追っていたのは物のついでってヤツでな、本来の目的は神獣……なんつったけな。まあそいつの目撃情報があったから探してたんだよ」

 

 そいつが川から離れると面倒なことが起きるとか言ってたっけなあと思い出すように話す言葉に顔を青褪めさせる妖精弓手ちゃん。まさか、と呟く彼女を心配して吸血鬼侍ちゃんが顔を覗き込みます。

 

「だいじょうぶ? しんじゅうってのはあぶないの?」

 

「ええ、私の想像が間違っていなければ、傷一つ与えずに元居た場所へ帰さないといけない生き物よ」

 

「……ゴブリンではないのだな」

 

 こんな時でも通常運行のゴブスレさんに違うわよ!とツッコミをいれつつ、気持ちを落ち着かせるために深呼吸をする妖精弓手ちゃん。歌うような旋律とともに紡がれるのは、数々の異名を伴う伝説の獣の名前です……。

 

 

 

 

 

 はい、というわけでやって来ましたエルフの森の外縁部。とりあえず様子を見に行こうという妖精弓手ちゃんの言葉に従い移動してきた一党。あ、女巫術師さんたちには一般森人さんたちとともに避難してもらいました。慣れない連携はかえって危険に繋がりかねませんし、銀等級をはじめ等級詐欺が顔を揃えた面子と比べるとどうしても実力不足は否めませんので。

 

 流石にここまで来ると全員の耳にもハッキリと神獣の鳴き声が聞こえてきます。周囲の樹上をひっきりなしに斥候が行きかい、正確な進路を割り出そうとしているようです。遠くには土煙とともに巻き上げられる木々や岩の飛び交う様子が確認できますね。お。土煙の奥に巨大なシルエットが見え始めました! そろそろ目視できそうで……?

 

 

 

 

「「MOOOKKEEEEEEEEELLL!!」」

 

「GOOOOOOOOB!?」

 

 

 

「あの、私の目が変になっていなければ、()()()()()()()()()()見えるんですけど……」

 

「『モケーレ・ムベンベ(川をせきとめるもの)』……只人(ヒューム)の言葉だとレルニアン・ヒュドラって言うんだったかしら」

 

 まあヒュドラだから首も増えるでしょうよと乾いた笑いを浮かべる妖精弓手ちゃんですが、こりゃまた雑ゥ!な難易度調整ですねぇ……。いつぞやのオーなんとかさん(オーガジェネラル)の時を思い出しますよ。

 

 首の本数によって大きく強さ……というか、面倒臭さが変わるヒュドラですが、一般的に1本なら動物、2本から魔獣、8本以上は神獣に属すると言われています。絶対尻尾斬られるやーつ(ヤマタノオロチ)や妖精弓手ちゃんが言ってたカニさんとお友達なやーつ(レルニアン・ヒュドラ)が有名ですね。しかも対峙するのはおろか傷を付けるのもダメといわれるとなかなか難易度が高いミッションです。戦闘不能までボコって、あとから≪小癒(ヒール)≫すれば許してくれませんかGM? ダメ? しょうがないにゃあ……。

 

「やはりゴブリンではないか」

 

「いや、確かに背中に乗っかってるけど、アレを小鬼竜騎兵(ドラグーン)とは呼びたくないわよ……」

 

 目敏くゴブリンを見つけテンションが上がっているゴブスレさんに眉間を揉みながら女魔法使いちゃんがツッコミをいれています。確かにどう見ても制御できてませんからね。ここは原作通りゴブスレさんに革綱で雁字搦めに……ってアレ? ゴブスレさん革綱作ってないじゃない!?

 

 あ、不良闇人さんが男衆と従兄殿の仲を取り持って宴会が前倒しになった影響で、準備パートが潰れていたんですね。オマケに酔いが回っている蜥蜴僧侶さんは無策のまま眼前のヒュドラ……仮称『双頭のレルニアン・ヒュドラ(デュアルヘッド・モケーレ・ムベンベ)』に挑もうとして、鉱人道士さんと森人狩人さんに抑え込まれてますし。……もしかして、これは吸血鬼侍ちゃんが何とかしないといけない展開なのでは?

 

 

 

「ねえちっこいの、なんとかしてあの神獣を大人しくさせられないかしら?」

 

「……あとでちょっとだけちゅ~してもいい? たぶんおなかがペコペコになっちゃうから」

 

「ええ、全員説得しておくから、平原から山脈まで選り取り見取りよ! ……あれ、なんでかしら。急に目の前がぼやけてきたわね……」

 

「お前ら、普段からこんな調子なのかよ……。流石に俺でも引くわー」

 

 何故か自爆して目から心の汗を流し始めた妖精弓手ちゃんとドン引きしている不良闇人さんがいますが、ここは華麗にスルーしてヒュドラを取り押さえに行きましょう! あ、ヒュドラの動きを止めたら背中のゴブリンはお願いしますね。

 

 

 

「「いってきま~す」」

 

「頑張りたまえよご主人様」

 

「主さま、どうかご武運を」

 

 森人2人の応援を背に受けて飛翔する吸血鬼侍ちゃんと分身ちゃん。樹上で攻めあぐねていた森人さん達の唖然とした顔をよそにヒュドラの前に着地します。暴走中とはいえ半神の獣、目の前に邪悪なるアンデッド?が姿を現すと、無差別に振るっていた暴力を2人に見舞わんと全力で突進してきました! どうやらそれぞれの頭で1人ずつむーしゃむーしゃするつもりのようですね!

 

「キャッチのじゅんびよ~し」

 

「かくごかんりょ~。いざ~」

 

 ストライドを広く取り、両手を前に構えて受け止める体勢の2人。それを不遜と受け取ったのか、勢いを殺さずに頭からヒュドラは突っ込んできます。そのあまりに無謀な挑戦に樹上で推移を見守っていた森人さんたちからは退避を促す声がかけられますが、決して退こうとはしない2人。そして……。

 

 

 

ズドォン!!

 

 

 

 衝突によって周囲には土煙が舞い、2人の姿は見えなくなってしまいました。上から叩きつけるように振り下ろされたヒュドラの頭は地面にめり込み、その動きを止めています。背中のゴブリンがギャーギャーと騒いでいますが、ヒュドラが動きを再開する兆候は見られません。徐々に晴れていく土煙の中に森人さんたちが見出したのは……。

 

 

「MBEEEEEEE……!?」

 

 

「お~も~い~……」

 

「あばれんな、あばれんなよ……」

 

 ガッチリと両の顎を受け止め、動きを拘束している2人の無事な姿でした。よく見れば足元に僅かに赤い液体が残るポーションの瓶が。なるほど、2人とも竜血(スタドリ)でバフをかけたうえで力比べに挑んだんですね! あ、ちなみにきたない言葉を発しているほうが吸血鬼侍ちゃんです。

 

 ヒュドラも必死に2人を振りほどこうとしていますが、その小さい身体からは想像もつかない程の膂力で抑え込まれ頭を持ち上げることができないみたいですね。さらに地面からは影の触手が這い上がってきて、四肢や尻尾に絡みつき自由を奪われるがままになっています。手にしたナイフで背中を刺したり、思いっきり踏みつけたりしているゴブリンも触手に纏わりつかれ、必死に振りほどこうと無駄な努力の真っ最中。そこに飛来する1本の矢が……。

 

「よくやったわ2人とも、そのまま動きを封じてなさい! ……よっし命中!」

 

「デタラメや」

 

 ごめんなさい、それ同じ作者の別作品なんですよ不良闇人さん。静止した状態で森人の矢を躱せるはずもなく、眉間を撃ち抜かれて落下する小鬼竜騎兵(ドラグーン)。ヒュドラに踏み潰されるまでもなく地面の赤いシミに姿を変えました。背中の騒々しいのがいなくなったからでしょうか、ヒュドラの目から凶暴な光が徐々に薄まり、恐るべき咆哮は小さな唸り声へと変化していきます。身体の力みがなくなったことを確認した2人が触手を影の中へと戻すと、ズン……という地響きとともにその場に座り込んでしまいました。

 

「つかれた~……」

 

「おなかぺっこぺこだおう……」

 

 赤竜の時とは違い、動く目標を受け止めるのは流石にしんどかったのか2人もその場にしゃがみ込んでしまいましたね。勢いのまま大の字に寝転ぶ吸血鬼侍ちゃんと、おなかを抱えて空腹をアピールする分身ちゃん。目の前のヒュドラをチラチラ見てますが、ソレから吸っちゃダメですよ!

 

「MOKEEE……」

 

 そんな2人の様子をジッと観察していた『双頭のレルニアン・ヒュドラ(デュアルヘッド・モケーレ・ムベンベ)』。柱のように太い前足を片方の頭に近付け、大きく開いた口に当てるとそこからベキリという破砕音が。口をモゴモゴさせたまま吸血鬼侍ちゃんの前に顔を降ろし、器用に舌を伸ばし何かを地面に吐き出しました。

 

「くれるの?」

 

「MBEMBE……」

 

 彼、或いは彼女が吐き出したのは立派な牙でした。吸血鬼侍ちゃんの問いに何事か答えるように喉を鳴らすと、そのままゆっくりと来た方向へ歩いていきます。声も無くそれを見送る森人さんたち。そのまま神獣は森の中へと消えていきました……。

 

 

 

「2人ともご苦労様。……あれ、それあのヒュドラの牙じゃない、へし折っちゃったの?」

 

「ううん、ヒュドラがおいてった」

 

 不思議なこともあるのねえと外套(つばさ)を翻して2人を回収しに来た女魔法使いちゃんが2フィート(60cm)近い長さの立派な牙を手に取って眺めています。明日酔いから醒めた蜥蜴僧侶さんに何か良い使い道がないか聞いてみましょうか。……おっと、そんな3人の傍に上から幾つもの人影が降ってきました。従兄殿を始めとした森人の斥候さんたちですね。

 

「まさか本当に傷を負わせることも無く神獣を追い返すとはな。御蔭で(くに)の内部に被害が及ぶ事態は避けられた。……礼を言う」

 

「すきでやったことだから、きにしないで?」

 

「それよりも、あっちのほうがもんだい……」

 

 律儀にしゃがんで視線を合わせながら話す従兄殿に対して、分身ちゃんがある方向を指差しました。その先には赤いシミにクラスチェンジしたゴブリンの残骸を漁るゴブスレさんと森人狩人さん、そして2人を何とも言えない表情で眺めている不良闇人さんの姿が。

 

「どうかなオルクボルグ、何か手掛かりになるものは見つかったかな?」

 

「鉄製の短剣に革鎧、それに……なんだこれは」

 

 おや、珍しく不明瞭な言い方をするゴブスレさんが残骸から何かを拾い上げて眺めています。血まみれのそれを襤褸布で拭い暫く眺めた後、吸血鬼侍ちゃんたちのほうへ歩み寄ってきました。

 

 

「表面処理の粗さから考えて、奴らが作ったものだと思う。これに見覚えはあるか?」

 

 追い付いてきた残りの一党や森人さん達の前に手を広げ、見つけたものを開示するゴブスレさん。金貨ほどの大きさのメダルに紐が通された装飾品。どうやら粗末な首飾りのようですが……。

 

「うーん……学院の資料ではそんな神の御印(シンボル)は見た記憶がないわね」

 

「わ、私も神殿で読んだ書物では見たことがないと思います……!」

 

 森人さんたちも同様に首を傾げています。ゴブリンのことですし、適当に作った物の可能性も十分に考えられますが……。おや、寝っ転がった体勢のまま首飾りを見ていた吸血鬼侍ちゃんが勢いよく跳び起きました。ゴブスレさんから差し出されたそれを手に取り、顔を苦々しげに歪めています。

 

「……コレが何か知っているのか?」

 

「せいかくなところはわからないけど、ちょっとまえにむかしなじみのへんたいがいってた。()()()()()()()()()()()って」

 

 たしかに! 吸血鬼侍ちゃんが手から下げたソレは、ゴブスレさんが拭ったにもかかわらず赤い色が。鉤爪の生えた()()()の手は血のような赤に彩られ、輝く宝珠を握りつぶさんとしているようなモチーフになっています。微かに描かれた紋様は、おそらく鱗を簡略化したもののように思えますが……。

 

「いずれにせよ、この(くに)の近くにゴブリンがいる。ならばやることは変わらない」

 

「ん、そうだね」

 

「やることはひとつだね」

 

 淡々と話すゴブスレさんに笑顔を向けながら声を返す2人。溜息をつくもの、鮫のような笑みを浮かべるもの、またこの展開ですか地母神様と肩を落とすもの……。反応は様々ですが、誰一人として一党の中で反対する者はいないようですね。

 

 

 

 

 

「「「「「「「ゴブリンは皆殺しだ(よ)(です)」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オイオイオイ、いつの間に冒険者てのはあんなガンギマリゴブリン絶対殺す集団になったんだ?」

 

「知らん、私に聞くな。そもそもお前だって冒険者だったのだろう? お前のほうが詳しいのではないか」

 

「馬鹿言うな!? 俺がいた牙狩りだってもう少しマトモだったっつーの!!」

 

 

 

 




 急に気温が上がって体が怠いので失踪します。

 いつも誤字脱字のご連絡ありがとうございます。
 お気に入り登録や感想、評価についても執筆速度が上がりますのでよろしくお願いいたします。

 お読みいただきありがとうございました。
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