ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 暖かいのと寒いのとの差で風をひきそうなので初投稿です。

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セッションその9ー5

 前回、神獣をおうちにおかえりしたところから再開です。

 

 『双頭のレルニアン・ヒュドラ(デュアルヘッド・モケーレ・ムベンベ)』の背中に取り付いていたゴブリンが身に着けていた赤い手の御印(シンボル)。その真相を探るべく、冒険者たちは森の奥深く川を遡上せんと早朝から船出の準備をしています。

 

「≪風の乙女(シルフ)や乙女、接吻おくれ。我らの船に幸ある為に≫」

 

「流石は対話を司る若草の娘。精霊との親和性は私なぞ到底及ばぬ域にあるようだな……」

 

 森人さんたちが用意してくれた白樺の船に鉱人道士さんお手製の垣盾を据え付け、急ごしらえの戦船となった船体に森人少女ちゃんが≪追風(テイルウインド)≫を唱えると、風の精霊たちが踊り舞うように舟の周囲を巡り始めました。荷物の積み込みを指揮していた従兄殿も、その術の見事さに感嘆の声を上げていますね。

 

「わかくさのむすめって、な~に?」

 

「なに、聞いていなかったのか? あの娘は王の代弁者として精霊や他種族との対話、交渉を司る"若草"という氏族の生まれなのだ。あの狩人の娘も、害獣や森に侵入してきたものを排除する"叢雲"の氏族の出であろう」

 

 へー、そういう氏族たちによって森人の社会は運営されているんですね。あれ、じゃあ100歳にもなっていないのに外交官として活躍していた森人少女ちゃんて……。

 

「我らは年齢ではなく、その技術、職能が認められた段階で成人したとみなしている。それを加味しても、あの娘は際立つ存在であった。使節団が何者かに襲われ、消息を絶ったと報告があった時は己が耳を疑ったが、まさかゴブリンによるものだったとはな……」

 

「……ゴブリンは、きらきらかがやいてるエルフがねたましくて、よごしてやりたくてたまらないから。ヒュームはすぐにころしても、エルフはずっとなぶりつづけるの」

 

 口調こそ淡々としているものの、前髪の奥に隠し切れない赫怒の炎がちらついている吸血鬼侍ちゃんを見て、従兄殿が驚いた顔を見せています。本来であれば捕食対象でしかない森人2人を庇護している理由の一端を感じ取ったのでしょうか。準備が完了したことを告げる森人少女ちゃんに手を振る吸血鬼侍ちゃん。その前にしゃがみ込んで視線を合わせ、手を差し出してきました。

 

「小さき不死者よ、傷つきし同胞(はらから)と、我が従妹のこと、頼んだぞ」

 

「このみにかえてもまもりぬくことを、あまねくせかいをてらすたいようにかけてちかいます」

 

 握り返してきた手の小ささと冷たさ、それに反比例する瞳の暖かさに瞑目した様子の従兄殿。頭を振って雑念を払いつつ、そういえば……と森人の古老たちが話していたことを漏らしてくれました。

 

「水の街から何やら報せを受け取ったらしくそっちに注力しているが、赤い手についても私から上奏するつもりだ。後ほど分かったことは伝える……必ず戻って来い」

 

「ありがと。それじゃ、いってきます!」

 

最後に船に飛び乗り、見送りに来た森人さん達に大きく手を振る吸血鬼侍ちゃん。冒険者を乗せた船が見えなくなるまで、彼はずっと川面を見つめてるのでした……。

 

 

 

 

 

「ねえちっこいの、あに様と出航前に何を話してたの?」

 

「ん~? おてんばなぎりのいもうとをよろしくってたのまれた……おあ~」

 

 妖精弓手ちゃんに後ろから抱きすくめられている吸血鬼侍ちゃん、現在船の中心辺りで頬擦りされているところです。荒療治で水に潜れたとはいえまだまだ船の縁は怖いらしく、船体中央に設けられた休憩スペースに絶賛引きこもり中。向かい側では船酔いしたらしい分身ちゃんが、森人少女ちゃんに膝枕されてダウンしていますね。お肌ツヤツヤな森人少女ちゃんに対し、分身ちゃんは若干煤けております。

 

「申し訳ございません主さま。やはり昨晩はご無理を申し上げてしまったようで……」

 

「きにしないで、みんなのチャージもひつようだったから……」

 

 はい、お察しの通りちゅ~だけでは済まされず、しっかり充填作業(意味深)もさせられていた2人。困難が予想される冒険前に消耗(意味深)するのは如何なものかと、いつもなら女魔法使いちゃんが止めに入ってくれるのですが……。

 

「まあ考えてもみたまえよ義妹(いもうと)くん。2人が頑張ってくれると4人の呪文回数が増えるんだ。つまり得をしているんだよ!」

 

「そうかしら? ……そうかも」

 

 こういう時ばかり口が上手い森人狩人さんに乗せられ最後の砦があっけなく陥落。全員の呪文が1回ずつ多く使えるようになりました……。なお、矢鱈目を輝かせた女神官ちゃんがかぶりつきでその一部始終を見学しようとしていましたが、妖精弓手ちゃんによって回収され無事保護されていたことを此処に記しておきます。

 

 

 

 

 

「最初はいいオンナを何人も侍らせやがってこのクソチビども!って思ってたが、そのザマを見てるとやっぱ羨ましくねえな……賦活剤(エリクシル)飲むか?」

 

「みんなたいせつなひとばかりだから……ちょっとあいじょうがおもいけど」

 

 お目付け役として同行してきた不良闇人さんの差し出す賦活剤(エリクシル)を受け取り、クピクピと飲み干す分身ちゃん。森人秘伝のそれはすぐに効果を発揮し、青白かった分身ちゃんの顔色が良くなってきました。最初本人は同行を面倒臭がっていたのですが、神獣の件が一応片付いたことと従兄殿から頼まれたことで臨時の一党メンバーということに。ぶつくさ言いながらもこうやって気を配ってくれるあたり、面倒見は良いのかもしれませんね。

 

「なあ、言いたくなかったら言わなくていいけどよ。お前さんとあの狩人女、クソチビに生命と誇りを守られたってのは……」

 

「はい、ゴブリンからです。あの地獄から助け出され、生きる意味を見出せなかった(わたくし)に対して、主さまは『自分のモノになって欲しい。ゴブリンを殺し続けるために血を吸わせて欲しい』と仰って下さいました。そうでなければ、氏族からの憐みの視線に耐えられず自ら命を絶っていたことでしょう」

 

「……(ワリ)ィ、嫌なモン話させちまったな」

 

「いえ、だからこそ主さまとともにこうして冒険に赴くことが出来ているのです。主さまを中心として『血』によって繋がった今の仲間(かぞく)を、(わたくし)は心から愛しておりますから」

 

 そう嫋やかに笑う森人少女ちゃんを、妖精弓手ちゃんが眩しいものを見るような顔で見つめています。執拗な頬擦りが止まり後ろを振り向く吸血鬼侍ちゃん。どこか寂しそうな妖精弓手ちゃんの手を取り自分の頬にあてがい、小さな声で囁きます。

 

「もしのぞむなら、ぼく『が』ずっととなりにいてあげる。……ドキドキした?」

 

「……もっとロマンチックな場所なら合格点あげても良かったかもね、このエロガキめ」

 

「おあ~……」

 

 左右のほっぺたを引っ張られて抗議の声を上げる吸血鬼侍ちゃんを見て、妖精弓手ちゃんの顔にも笑顔が戻ってきました。只人(ヒューム)3人の眷属化についてもそうですが、そろそろ森人3人との関係もしっかり考えなきゃいけませんよ吸血鬼侍ちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、なんでしょうかこのにおい……?」

 

 ゴブリンとの偶発的遭遇(ランダムエンカウント)を呪文や奇跡の消耗無しで突破(地に足が着くことにテンションが上がった吸血鬼侍ちゃんと分身ちゃんが蹂躙)し、さらに川を遡っていた一党。周囲に漂う、花とも水とも湿り気を含んだ土のものとも異なる甘ったるい香り。一番最初にそれを口に出したのは女神官ちゃんでした。他の面々も気付いたようで首を捻っていますが……ああ、森人2人の顔が険しくなっています。

 

「上姉様、これは……」

 

「うん、間違いないね。人の尊厳が穢された、奴らの巣穴で嗅ぎ慣れた()()臭いだ……ッ」

 

 僅かに怯えを含んだ森人少女ちゃんとは対照的に、ガチガチと歯の根が合わぬほどの憤怒を滾らせる森人狩人さん。そっと頭を胸元に抱き寄せる分身ちゃんの手の冷たさに昏い熱を奪われ、体内のそれを放出するように大きく息を吐きました。

 

「だいじょうぶ。ここにはぼくが、なかまがいるから。みんなでいっしょにあいつらをわからせてやろう?」

 

「……うん、ありがとうご主人様。おかげで邪魔な熱はなくなったみたいだ。あと火照っているのは……ふふ、ここだけかな?」

 

「そっちは、ぜんいんぶじにもどってから……ね?」

 

 おどけたように自分の下腹部をさする森人狩人さんと、それに軽口を返す分身ちゃん。普段は飄々としていますが、ゴブリン絡みで一番暴走しやすいのは間違いなく彼女なんですよねぇ。訓練場の時に見せた狂気の片鱗は未だに森人狩人さんの中に残り続けているのでしょう。魂に絡みついたそれは、最早彼女を形成する一部になってしまっているのかもしれません……。

 

 

 

「たぶん、みてきもちのいいものじゃないから、ぐあいがわるくなったらすぐにいってね?」

 

「ちっこいのがそこまで言うんじゃ、よっぽどのモノが見られそうね。まったく嬉しくないけど」

 

 森人狩人さんの狂気にあてられて動けなくなっていた女神官ちゃんを、船の中央に引っ張り込みながらみんなに告げる吸血鬼侍ちゃん。どうやらこの臭いの原因は察しているみたいです。≪手袋≫から気付け用の薬草と甘味入りの発泡水薬の瓶(瓶入り黒いしゅわしゅわ)を取り出す姿を見て、妖精弓手ちゃんの顔からも血の気が引いてしまっていますね。

 

「たしかに、巫女殿や野伏殿には少々厳しいかもしれませぬな……」

 

 戦場(いくさば)で同じものを経験したことがあるのでしょう、蜥蜴僧侶さんも爪を鳴らしながら徐々に強まる臭いに顔を顰めています。立ち込めていた霧が薄くなり、硬い表情の冒険者の前に、その光景は広がっていました……。

 

 

 

 

 

「なんて、悪趣味な……ッ」

 

「まるで百舌鳥の早贄ね……」

 

 嫌悪感に顔を歪ませる令嬢剣士さんと、感情を切り離したように無表情な女魔法使いちゃんが見つめる先。乱雑に並べられた杭によって股間から口までを貫かれ、甘ったるい腐臭を放つ奇妙な果実たち。ただ生命を弄びたいがだけに作られた冒涜的なオブジェが、一党の前に広がっています。

 

「こら間違いなく小鬼どもの所業じゃな。一攫千金を狙った冒険者や、行商人たちが狙われたようだの」

 

 あまりに悍ましい光景に耐えきれず嘔吐してしまった女神官ちゃんの背中をさすりながら、鉱人道士さんが亡骸の周囲に散らばる遺品を見て判断しています。吸血鬼侍ちゃんが差し出す黒しゅわ(コ〇ラ)で酸いものを洗い流しながら、地母神への祈りを呟き続る女神官ちゃん。ゴブリンの手で生み出された悲惨な光景を一番見て来たであろうゴブスレさんでさえ、眼前の惨状に眉をひそめているように思えます。

 

「……あれ、あの亡骸だけ妙に綺麗ね……」

 

 おや、高い気温と湿度によって腐敗が進み崩れた亡骸が多い中で、妖精弓手ちゃんが何かを見つけたようです。形を留めた長い耳が確認できることから森人と思われるそれに近付き、()()()()()()()()()()()()()()()()に手を伸ばし……。

 

 

 

「!? それにさわっちゃだめ!!!」

 

 

「ELFOOOOOOOIL……!」

 

 

「嘘!? なんで死体が動いて……ッ!」

 

 突如太い杭を圧し折りながら動き出した森人の死体が、口を限界以上に開き妖精弓手ちゃんに噛みつこうとしています! 咄嗟に割って入った吸血鬼侍ちゃんに突き飛ばされ難を逃れた妖精弓手ちゃんの目に飛び込んできたのは、首を切断されながらも吸血鬼侍ちゃんの左腕に噛みつく死体の頭部と……。

 

「ぎぃ!? うぁぁぁぁ・・・・・・ッ!?」

 

 ≪火球(ファイアボール)≫で下半身が吹き飛んでも、小鬼重戦車(ジャガーノート)に丸齧りにされてもケロリとしていた吸血鬼侍ちゃんが苦悶の声を上げる光景。見れば噛みつかれた部分から染み出る()()()()黒い液体が、()()()()()()()()()しているのが分かります!

 

 

「うぅ……! がああああああああああああッ!!」

 

 

 肉体を侵される激痛に耐えながら、残った右手で左肩を掴み、ぶちぶちと音をたてながら左腕を引き千切る吸血鬼侍ちゃん。投げ捨てられたソレは左腕を飲み込みながら、徐々に名状しがたい形状へと変化しようとしています!

 

「全員離れてろ! ……さっさと燃えっちまいなこのゴミ野郎!」

 

「ELFOOOOOOOIL……」

 

 その形状変化が終わる前に不良闇人さんが放った炎が左腕を包み、死体の頭部であったものと一緒に焼き尽くしていきます。炎の中で悶えるソレは次第に動きを弱め、断末魔の悲鳴とともに灰も残さず消えていきました。荒い息を吐いていた吸血鬼侍ちゃんが、しりもちをついたままの妖精弓手ちゃんに駆け寄り安否を確かめています。

 

「だいじょうぶ? あのくろいのついてない?」

 

「……この馬鹿! 私のことより自分のことを心配しなさいよ!」

 

 怒ったように声を上げ、吸血鬼侍ちゃんを抱き締める妖精弓手ちゃん。残った右手でその頭を撫でながら、だいじょうぶだいじょうぶとあやすように吸血鬼侍ちゃんは頬擦りしています。

 

「実際どうなんだクソチビ、結構ヤベェ勢いで喰われてたみてぇだが?」

 

「ん、もんだいない。……ちょっといつもよりじかんがかかりそうだけど」

 

 傷口を見せたくないのか、先に長衣の袖を再生させた吸血鬼侍ちゃん。普段なら時間をかけずに治るはずの欠損が未だ肩口から再生が進んでいないようです。おや、万知神さまから着信(キーワード)が届いたんでしょうか? 妖精弓手ちゃんのハグから抜け出し、中身の無い袖を振りながら、一党に黒いドロドロについて話し始めました。

 

 

 

「たぶん、せいめいたいをくらってぞうしょくするタイプ。ヒューム()ドワーフ()リザードマン()よりも、エルフ()がさわったらあぶないとおもう。あと、つよいまりょく()にもひかれるみたい。じっさいにしんしょくされたかんじだと、じったいがあればアンデッド()はあっというまにとりこまれちゃいそう。……みんなぜったいにさわっちゃだめ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もしかして:ファイレクシアの油/Phyrexian oil

 

 

 

 

 

 ちょっとGM??? これはひょっとして世界の危機(World Crisis)ってやつでは???

 

 

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 




 花粉症の足音が聞こえ始めたので失踪します。

 いつも誤字脱字のご連絡ありがとうございます。
お気に入り登録や感想、評価についても執筆速度が上がりますのでよろしくお願いいたします。

 お読みいただきありがとうございました。
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