ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ 作:夜鳥空
ちょっとずつ書いていると、最初と最後で微妙に話がズレるのが恐ろしいところさんです。
整合性の合わない部分があるかもしれませんが、ご指摘いただければ幸いです。
投稿前に誰かにダブルチェックしてもらう勇気は筆者にはありませんであいた……。
はーい、では皆さんそれぞれの神殿の長に≪
……ふう、まさか誰にも許可を取らずに乱入していたとは思わなかったなぁ。
まあその代償は高くつくことになったので、精々みんなが頑張っている
あれ、至高神さん。そんな真剣な顔で何を書いてるんですか? みんなで送る予定の≪
うわ、これ、良いんですか? いや私としては美味しい展開になるんで喜ばしい限りなんですけど、関係各所の胃に甚大な被害が出るような……。でも、たまにはこういう
だんだん戦略級ゲームじみてきた実況プレイ、はーじまーるよー。
前回、
季節は暑さが和らぎ始めたころ。赤い手の勢力が各地に散らばっていることが判明し、秩序勢力はどったんばったんおおさわぎ(誇張的表現)。金髪の陛下も温存していた軍を動員、綺羅星の如き将星の活躍もあり混沌の軍勢を順調に駆逐しているとのこと。個々の戦闘力は高くても、戦術や戦略といった視点から見ればノイズにしかならない冒険者を戦列に加えるような末期戦になるかと戦々恐々としていましたが、流石にそんな事態にはならずに済みそうです。
まさか油まみれになっているとはあちらさんにとっても想定外だったのでしょうが、
お腹が大きくなってきた奥さんの傍に居たい筈のゴブスレさんも、感情を兜の奥に隠しながら新人たちを引き連れて西方の辺境を縦横無尽に駆け巡る毎日。定期診断の時は必ず牧場で吸血鬼侍ちゃんと分身ちゃんを迎えてくれますが、それ以外は出ずっぱりみたいですねえ。
ゴブリン駆逐の体制を整えるため、独立行動が可能になった分身ちゃんを筆頭に森人狩人さん、森人少女ちゃん、令嬢剣士さんは一時的に住まいをギルドの訓練場に移し、負傷して帰還した冒険者の治療や救出した女性のフォローなどに日夜注力しています。ギルドも昨年まででは処理がパンクしていたであろうゴブリン退治依頼の多さに事態を重く見たようで、受付嬢さんを頭に専門対策チームを結成。訓練場に常駐し事態が収拾するまでカンヅメだそうです。おのれゴブリン……!
さて、分身ちゃん率いる
「ほら、そろそろ起きなさい。今日はおっぱい乙女と王都へ行く日でしょ? 朝食の前にそこのお姫様といっしょにお風呂入って来なさい」
>「……うにゅ?」
「うぇぇ……もう朝ぁ? ぜんっぜん寝た気がしないわよぅ……」
ほっぺたに触れる柔らかな唇の感触と一緒にかけられた声でモゾモゾとベッドの上で動き出す吸血鬼侍ちゃん。目の下には分厚いクマが出来ています。
ここ一か月ほど、金髪の陛下の
そんな怠そうな吸血鬼侍ちゃんの身体に、芸術品のような裸体を惜しげもなく晒した妖精弓手ちゃんの肢体が絡みついています。目を瞑った状態で、同じく生まれたままの姿の吸血鬼侍ちゃんの鎖骨辺りに顔を擦り付け、満足したら猫のように背を逸らせて伸びをする2000歳児。エプロン姿の女魔法使いちゃんを見て、くぁ~と欠伸をして吸血鬼侍ちゃんを抱き上げました。
そうそう、妖精弓手ちゃんと女魔法使いちゃんは、パートナーが産休に入って手持無沙汰な槍ニキ&重戦士さんと一緒に大物潰しをギルドからお願いされて毎日下級魔神やらオーガやらを追いかけているみたいです。軍が取りこぼした
「ん、おはよ~。それじゃシルマリルを磨いて来るわね。着替えは食事の後でいいのかしら?」
「ええ、食べ溢しなんて付けたら洒落にならないから、適当にシャツを着せといて頂戴」
りょーかいといいながら吸血鬼侍ちゃんを抱えてお風呂へ直行する妖精弓手ちゃん。されるがままな半分寝ている吸血鬼侍ちゃんの手を見ても、例の指輪は嵌っていません。つまり昨晩は普通に寝ていただけですね!
「魔力炉確認ヨシ! ちゃんとお湯は沸かしてくれてるわね」
階段を降り、リビングを経由して風呂場へ向かう途中で妖精弓手ちゃんが目を向けた先、部屋の壁面に外殻の隙間から赤い光を放つ魔力炉が嵌め込まれているのを指差し確認しています。女魔法使いちゃんの爆発金槌に使われているのと似たソレは、先日分身ちゃん主導の養殖でドロップした魔神の核を使用した湯沸かし専用のものですね。
今までは毎回爆発金槌から外していたのですが、いちいち面倒臭いのと女魔法使いちゃんが泊りで出掛けているときに使えなくなってしまうので、武具店のじいじにお願いして新調してもらいました。
「にしても、実際に目にすると凄かったわね~あの≪
>「りろんてきにはどんなしんごんじゅもんにもつかえるけど、
小さな丸い木製の椅子に腰かけてギュッと目を閉じている吸血鬼侍ちゃんの髪を洗う妖精弓手ちゃん。普段はお湯で流すだけで、汚れが気になる時は≪
絶妙な力加減で頭皮をマッサージされ、吸血鬼侍ちゃんの口からは言葉にならない声が漏れています。他人にシャンプーしてもらうのって、なんであんなに気持ちが良いんでしょうか?
……さらっと流しそうになってしまいましたが、どうやら吸血鬼侍ちゃん一党は呪文行使における単語発動の次の段階に踏み込んだみたいですね。もともとは剣の乙女たち
「シルマリルの魔力を体内に保持しているあいだ、術者同士の魔力の波長が合うように変化するんだっけ? これから毎日魔力供給するつもりなのかしらね~このむっつりさんは」
>「つ、つかわなければのこりつづけるから、まいにちするひつようは……ひぅっ!?」
あわあわが顔に付いて目が開けられない状態の吸血鬼侍ちゃんを椅子から降ろし、抱きすくめるようにして身体を洗っていく妖精弓手ちゃん。指の間や脇腹といった敏感な場所を素手で撫でるように擦り、悪戯っぽい笑みを浮かべながら小さな背中に身体を押し付けています。視覚を封じられた状態で感覚が鋭敏になっている吸血鬼侍ちゃんはされるがまま、頭のてっぺんから爪先までまんべんなく洗われてしまいました。
「はい、おしまい。気にする人は少ないと思うけど、これで血の匂いは薄くなったんじゃないかしら。……ありゃ、せっかく綺麗になったのに、なんでそんな顔してるのよ?」
>「えう……」
椅子をひっくり返して手桶に変え、湯を汲んで吸血鬼侍ちゃんの頭からかけながら笑う妖精弓手ちゃん。吸血鬼侍ちゃんを抱えたまま脱衣場へ戻ると、髪から滴り落ちる雫をふわふわのバスタオルで拭きとり、そのまま吸血鬼侍ちゃんの全身を包んで抱き締めてわしゃわしゃと拭っています。
石鹸の匂いで身体に染み付いている血臭が薄れたのが不安なのか、ちょっと俯き加減の吸血鬼侍ちゃん。それを見た妖精弓手ちゃんは、やれやれといった様子で自分ごと吸血鬼侍ちゃんをバスタオルで包み、タオルの内側でなにやらゴソゴソ始めました。
「血の匂いを付けるわけにはいかないから、代わりに麗しの
>「おあ~……」
……タオルの下から見える吸血鬼侍ちゃんの足がピンと伸びきったり、へなへなと崩れ落ちそうになって支えられていますが、いったい内部でナニが行われているんでしょうか? あとさっきから女魔法使いちゃんがフライパン片手に2人のこと眺めてますよ?
「うん、まあこんなもんかしらね」
「いいじゃない、いつもよりずっと男前かもね」
>「うぅ……おでこもあしもす~す~する……」
朝食を済ませた後、2人がかりで目一杯おめかしさせられた吸血鬼侍ちゃん。口調とは裏腹にまんざらでもなさそうな女魔法使いちゃんと、グッとサムズアップしている頭にたんこぶをこさえた妖精弓手ちゃんの視線の先、いつもと違う装いに戸惑っている吸血鬼侍ちゃんの姿があります。
白のドレスシャツに吊り紐の付いた紫色のキュロット。同色のショートブーツに覆われた脚部は普段インナーで隠されている素足を惜しげもなく晒しています。髪型も服装に合わせて変えられ、アイデンティティであるメカクレはちょっとおませさんなオールバックになり、禁断のオデコちゃんも露わに整えられています。
胸元が寂しくならないように装飾品としてリボンタイが付けられていますが……あ、よく見たらこれ女魔法使いちゃんに渡していた
「おっぱい娘が居なくて良かったわねシルマリル。あの
「ああ、分身ちゃんに半ズボン履かせて鼻からお嬢様分を噴き出してたものね……」
……なるほど、一党の常識人ポジだと思ってましたけど、この面子の中で生きていけるんですから令嬢剣士さんも性癖が迷子になっていたんですねぇ。
「……お化粧してもなかなかクマが隠せないわね。しょうがない、今日は依頼明けの休息日だから吸っていいわよ? そんな顔でおっぱい乙女に逢わせるわけにもいかないし」
>「ありがとう。じゃあちょっとだけ」
おや、疲れが抜けきっていない吸血鬼侍ちゃんを見かねて、ちゅーちゅーさせてくれるみたい。手慣れた様子でエプロンとシャツをずらし、吸い口を露出させる女魔法使いちゃん。ふるふると揺れるソレを両手で上下から支え、何度か啄むように口付けをした後に吸い始めた吸血鬼侍ちゃんの頭を優しく撫でています。そんな2人の行為を妖精弓手ちゃんが指を咥えて羨ましそうに眺めていますね。
>「……ぷぁ。ん、だいぶらくになった」
「顔色も良くなったしこれで暫くは大丈夫でしょ。でもキツかったら早めに言いなさい? アンタが倒れて王国の兵站が崩壊でもしたら目も当てられないんだから」
>「そんなことはない……とおもう、たぶん」
いやー流石にそのあたりは陛下ならしっかり考慮してくれていると思いますよ? ぺろりと先端に残ったぶんを舐め取った吸血鬼侍ちゃんの顔色は、先ほどよりも随分と良くなっています。服の乱れを整えた女魔法使いちゃんに抱き着き、頬擦りをしながら感謝を表していますね。甘えたがりな吸血鬼侍ちゃんをまんざらでもない表情で眺めていた女魔法使いちゃんですが、≪転移≫の鏡の表面が波打つのを見てちょっと名残惜しそうにしながら吸血鬼侍ちゃんを引き剥がしました。
「ほら、お迎えが来たわよ。会議の最中に寝たらダメだからね?」
>「ん、がんばる。……それじゃ、いってくるね」
「ちゃ~んと
妖精弓手ちゃんの声を背に鏡の中へと飛び込む吸血鬼侍ちゃん。嵐が去った後の静けさにも似た静寂が一党の家に訪れるのでした。
「……ねぇ、
「……試してみる? ……んッ!? もう、力加減には気を付けて頂戴。敏感なんだから」
「ご、ゴメン! ……あ、なんかこれすっごい癒される。シルマリルがハマるのもわかるわ」
>「とうちゃ~……わぷっ」
「んっ……急に飛び込んだら危ないでしょう? ちゃんと確認してから≪転移≫しないと、いつぞやのように*いしのなかにいる*ことになるかもしれませんわ」
「おお、それは巨乳防御。まさか【死の迷宮】時代では使えなかった業を習得していたとは……」
はい、出会い頭の事故を起こした吸血鬼侍ちゃんが降り立ったのは王宮内にある≪転移≫の鏡の間でした。豊満なお山に埋まるように受け止められた吸血鬼侍ちゃん。それを窘めるように剣の乙女が「私、怒ってますのよ?」なポーズをしていますが、残念ながら口元の緩みが隠せていませんね。そんな様子を驚嘆の表情で見ているのは銀髪侍女さん。いや、巨乳防御って……まあ当時女司教ちゃんだった剣の乙女のお山は、一党の他の女性に比べればささやかなものでしたけど。
「乳繰り合っているところ申し訳ないけれど、早速会議室に向かうよ。それと今日は補給のために一時帰還した将軍たちも参加するからね」
「ふふ、わかりました。さぁ行きましょう」
>「おあ~……」
先導するように歩き出す銀髪侍女さんを追いかけるように速足で歩く剣の乙女。その胸元にはしっかりと吸血鬼侍ちゃんがキープされています。最近長身の女性から抱っこされたまま運ばれることが多いですね吸血鬼侍ちゃん。やはりサイズがちょうどいいんでしょうか?
「ではこれより戦況の確認と今後の方針を定める会議を始める……のだが、その、なんだ。余が言うのもアレだが、卿はそれで良いのか?」
赤毛の枢機卿と義眼の宰相を左右に、背後に銀髪侍女さんを従えた陛下の声で始まろうとした御前会議なのですが、早速出だしから躓いています。まあ原因は吸血鬼侍ちゃんなんですけどね!
出席者の視線を集めて居心地悪そうに身を捩る吸血鬼侍ちゃん。その小さな身体が座っているのは剣の乙女の膝の上。乙女の腕が腹部をガッチリとホールドしているため脱出は難しそうですね。
後頭部をお山に挟まれた状態で見上げれば、そこに剣の乙女の幸せそうな笑顔。お互いデスマーチだったのでここ一か月会議以外では顔を合わせることも出来なかったためか、普段よりもスキンシップが情熱的です。
「ハハ、良いではありませんか! もしかしたら陛下が尻で磨いていらっしゃる玉座よりも良き座り心地なのかもしれませんぞ!!」
馬鹿でかい声をあげているのは猪武人さん。王国の至宝である将軍の1人で、王国最強の騎馬隊である黒色槍騎兵を率いる猪の獣人さんです。けっこう失礼な事を言ってますけど、陛下には前線で暴れて欲しいという思いを込めた発言の為、いつもお咎めはありません。まあ宰相の額には青筋が浮かんでるんですけどね。
「フン、退くことを知らぬ猪はこれだから困る。少しは我が盟友たる
さらっと毒を吐いているのは同じく将軍である金銀妖瞳半森人さん。左右で色の違う瞳を皮肉気に歪めて輜重部隊を置いてけぼりにして混沌の軍勢を殲滅していたことを指摘しています。あ、盟友の狼人さんは風の精霊と契約した将軍で、部隊全体に≪
「…………」
陛下の前であるにも関わらず言い争いを始めた2人を黙って眺めている只人の男性は沈黙将軍さん。陛下ですら声を聞いたことがないというほど無口な人ですが、宰相と銀髪侍女さんとは非常に仲が良いそうです。かわいい圃人の奥さんとの間に子供もいるらしいのですが……時折彼の背後にうっすらと何かが見えるんでしょねぇ。吸血鬼侍ちゃんを見る目も何処か他の人とは違いますし、もしかして彼もまた
3人を含む将軍の多くは吸血鬼侍ちゃんと顔見知りで、補給物資の緊急輸送や
もっとも【死の迷宮】出身のヴァンパイアロードであることは内緒で、銀髪侍女さんのような特殊な訓練を受けた密偵、陛下の人材コレクションに引っ掛かった風変わりな吸血鬼みたいなものだと認識されていますね。
いちおうスキャンダルってレベルではない案件なので、現在王国で吸血鬼侍ちゃんの正体を知っているのは陛下、枢機卿、宰相、銀髪侍女さん。あとは陛下の【死の迷宮】時代からの仲間くらいでしょうか。ややこしい真理は秘匿しておいたほうが良いって
「ふむ、軍と
防衛部隊のローテーションや輜重部隊の警備増強など、吸血鬼侍ちゃんにはちょっと難しい話が続いていた会議。休憩や軽食を挟んで行われていたそれもひと段落し、疲れ目をほぐすように眉間を揉んでいた陛下の
「実は先日、私を含め王国の主だった神殿の長が、一斉に各々が信仰する神より≪
「ほお、それは珍しい。この世界を眺める神々は何と言っているのだ?」
興味深げに眉を歪ませる陛下に対し、舟を漕いでいる吸血鬼侍ちゃん頭を優しく撫でながら剣の乙女が告げた内容は、その穏やかな表情とは裏腹に苛烈なもの。僅かに上向きな口元は、かつて受けた凌辱を払拭する絶好の機会が訪れたことに対する喜びの表れなのかもしれません。
「赤い手の残響に端を発する小鬼禍はもはや
……性別を問わず見るものを魅了する豊満な肢体から放たれる見えざる威によって、文官はおろか歴戦の将軍たちですら声を発することが出来ないほどの圧迫感が会議室に広まっています。あの宰相ですら頬に一筋の汗を浮かばせる重たい空気を払拭したのは、くぁ~という場違いな欠伸の音でした。
>「んにゅ……ひとのはらをつかわなければかずをふやせず、ひとになんらえきをあたえることもない。おなじくひとにいぞんしている
「……少なくとも、卿とは言葉を交わし友誼を結ぶことが出来た。そこは大きな違いだと余は思うがな」
>「あ~うん、あいつらひとのはなしをきかないから」
「うむ、そうだな! まあ会話が出来んほうが無駄な命乞いを聞かずに済むから、そういう意味では助かっているぞ!!」
欠伸を噛み殺しつつ、ほっぺたで剣の乙女のお山の感触を堪能しながら話す吸血鬼侍ちゃんに対し、毒気を抜かれたように肩の力を緩める陛下。ヴァンパイアロードであることを知っているが故の苦笑にも似た表情を見て、事情を知らない面々は冗談だと受け取ったようですね。呵々と笑い飛ばす猪将軍さんの大声で、場の雰囲気は明るいものに戻りました。
「では、諸神殿も小鬼禍の撲滅に協力してもらえるということで良いのだな?」
「ええ、学院や
>「???」
「……卿は上手くやっている。卿の運んだ物資によって、兵たちは飢えることも矢玉の残量も気にせず戦うことが出来ているのだ。兵の損耗も極めて低く抑えられている。これは誇るべき卿の成果なのだよ」
>「……うん!」
念押しするように訪ねる陛下に対し、嫋やかな笑みとともに返答する剣の乙女。なるほど、神殿と冒険者ギルドを結びつけるためにここのところ忙しく動いていたんですね! 半鬼人先生を代表とする元"牙狩り"の人たちも動かすことが出来れば、森人や鉱人の国とも協調して事態に対処できるかも。こういう戦略的な視点から物事を俯瞰できるからこそ、陛下も剣の乙女を重用しているんでしょうね。
分身ちゃんならワンチャンあるかもしれませんが、残念ながらちのうしすうがアライさん並な吸血鬼侍ちゃんには逆立ちしても真似できそうにありません。話についていけてない吸血鬼侍ちゃんに気付き、義眼の宰相がそっと落ち着いた声で褒めてくれました。難しい話は分からなくても褒めてもらえたのは嬉しいのか、吸血鬼侍ちゃんも笑顔になりましたね! 日もとっぷりと落ちた頃ようやく会議は終わりとなり、全体の半分も理解できなかった吸血鬼侍ちゃんも苦行から解放されました。
「さて、随分遅くなってしまったね。どうする、どちらを先に送ろうか?」
>「え~と、ぼくはあとで「2人とも、この子の家へ送っていただけますか?」……ふぇ?」
いつものように銀髪侍女さんに先導され≪転移≫の鏡の間を訪れた吸血鬼侍ちゃん。相変わらず剣の乙女に抱きかかえられた状態です。いくら吸血鬼侍ちゃんが軽いとはいえ長時間ホールドしていられる筋力と持久力、流石金等級冒険者といったところでしょうか。レディーファーストではありませんが、先にお疲れであろう剣の乙女を帰そうとしていた吸血鬼侍ちゃん。剣の乙女の発言に目を丸くしています。
「お話ししたいことがありますの。とても、とても大切なことです」
>「……ん、じゃあふたりともうちでおねがいします」
「了解、あまり羽目を外しすぎないようにしたまえよ?」
何処か決意に満ちた表情を浮かべる剣の乙女を見て、普段なら茶化して来る銀髪侍女さんもやけに素直に門を開いています。波打つ銀色の向こう側に浮かび上がるのは見慣れたリビング。2人が鏡を抜けた瞬間、背後から小さな声が届きました。
「幸せを見つけたなら、決して手を離してはいけないよ? これは人生の先輩からのお節介だ」
「……はい、ありがとうございます」
……外見からはまったく推測できませんが、銀髪侍女さんっていったい何歳なんでしょうかね? 女神官ちゃんと同じくらいにも見えますし、でも陛下と一緒に【死の迷宮】に挑んでいた筈ですし、今の言動から察するに剣の乙女よりも年上なのかも。そもそも
さて、背後の鏡は普通の姿見へと戻り、何事もなく帰宅した吸血鬼侍ちゃん。お出掛けしているのでしょうか、女魔法使いちゃんと妖精弓手ちゃんの姿は見えませんね。剣の乙女には何やら重要なお話があるそうですが、とりあえずおゆはんを食べてからじっくりと……おや? 剣の乙女が抱えた吸血鬼侍ちゃんをリビングのテーブルに腰掛けさせて……。
>「かんたんなものならぼくにもつくれるから、さきにおゆはんに……んむぅ!?」
う、うわぁ……紅潮した頬の剣の乙女が、テーブルの上へ仰向けに寝かせた吸血鬼侍ちゃんに覆い被さり、両腕を頭上で交差させて拘束する体勢で唇を奪っています。普段のちゅーちゅーで吸血鬼侍ちゃんがしている啄むようなキスでも、森人の女性陣が親愛の確認として行うマーキング的なキスでもなく、口腔を蛇が暴れまわるような激しい口付け。ビックリして硬直している吸血鬼侍ちゃんの舌を絡め捕り、吸い上げ、絶え間なく甘い蜜を送り込む剣の乙女。歯茎の裏や舌の根元の粘膜を蹂躙されて身体を跳ねさせている吸血鬼侍ちゃんを見て、さらに奥まで蛇のように長い舌を侵攻させ始めました。
永遠に思えるほど口腔を貪られ、互いの口から銀糸が繋がる光景を見ながら反射的に本来不要である呼吸を荒く行う吸血鬼侍ちゃん。一方で勢いの衰えない剣の乙女は、てらてらと
>「ぷはぁっ……はぁ、はぁ……ねぇ、どうしたの? こんなきゅうに……ひゃう!?」
小さな耳を執拗に舐った後、尖らせた舌先を耳穴へと挿入し、同時に指で反対の耳穴を刺激し続ける剣の乙女。両の穴を異なる刺激に襲われて、吸血鬼侍ちゃんは口元から雫をこぼしながらされるがままですねぇ……。
完全に吸血鬼侍ちゃんが茹で過ぎた青菜のようにくてっとした頃になって、ようやく攻め手を緩めた剣の乙女。テーブルとの間に吸血鬼侍ちゃんを挟み込むように蠱惑的な肢体を押し付け、互いの呼吸が肌で感じられるほどに顔を寄せて囁いています。
「至高神様から賜った≪
再び顔を寄せ、吸血鬼侍ちゃんの半開きの口に舌を滑り込ませる剣の乙女。無意識のうちに繋がりを求めているのでしょうか、おずおずと舌を出し自らも動き始めた吸血鬼侍ちゃんを愛おしそうに抱き締め、全身で吸血鬼侍ちゃんを快楽に溺れさせるように昇り詰めさせていきます。何度目かの脱力を迎えた吸血鬼侍ちゃんの頭を撫でながら語る、先程の続きの言葉は……。
「汝が為すべきことと、汝が為したいことは相反するものにあらず。汝は自らの幸せを求めることを諦めてはならない。……そう至高神様は仰ってくださいました」
「どうか、私を幸せにしてくださいませんか?」
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
なんとか新年度を迎えるために失踪します。
いつも誤字脱字のご連絡ありがとうございます。
お気に入り登録や感想、評価についても執筆速度が上がりますのでよろしくお願いいたします。
お読みいただきありがとうございました。