ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ 作:夜鳥空
いやね、
入浴中に
でもさ、流石に
なに、もうちょっと
コホン。前回、吸血鬼侍ちゃんの強烈なファンが現れたところから再開です。
支配者のポーズで大胆な告白をした売国奴を見て、分身ちゃんたちも呆然と立ち尽くしているばかり。何とも言えない空気が制御室を漂っています。
しかし、10年以上前から分身ちゃん……『
「ふぅン、その言い方だと、ひょっとして君も冒険者だったりするのかい?」
お、いち早く復活した森人狩人さんが気になっていたことを訪ねてくれました。止まったままの分身ちゃんを抱き上げ、彼に見せつけるように頬擦りしているあたり良い性格してますよね。
「その通りだよ葉っぱ喰いの狩人君。家督を継げぬ辺境貴族の三男坊だった私だが、魔術の才能はあってね。かつて学院で学んでいたこともある。そして自分の力を試したくて『死の迷宮』へ挑むために学院を飛び出したんだよ。そこの実家に家名に泥を塗っている彼女のようにね」
わぁお、これが社交界で鍛え上げられた舌戦の作法ってやつですね。軽いジャブを放ったつもりが全方位に反撃が飛んで来て、森人狩人さんと令嬢剣士さんの顔に青筋が浮かんでます。森人狩人さんが戦棍を起動しようとして森人少女ちゃんに羽交い絞めにされちゃいました。
「どうどう、上姉様落ち着いてくださいませ。……それで、学院から『
「ああ、そうだ。幸いなことに
え、結構強くないですかそれ? 過去を懐かしむように語る彼を見る一行の目が、変態を見る目から警戒対象を見るそれに変わっています。少なく見積もっても銅等級、下手をすれば銀等級近い実力はあるかもしれません。でも、到達することが
「残念ながら、私たちは優秀ではあっても英雄では無かった。『
淡々と彼が語る過去の惨劇は、階層こそ違えど『死の迷宮』ではありふれたものでした。想定外の消耗の早さに撤退のタイミングを見失い、行き詰る
「君と出会ったのはその時だ! 私の腰ほどまでしかない小さな体躯で上位魔神に斬りかかり、膝、股間、腰、両肩と鮮やかに切断していく剣舞! 上半身が床に落下する前に首を刎ねるのを見た瞬間、死の恐怖で縮み上がっていた私自身に全身から血が集まるのがありありと判った!!」
恍惚の表情で叫び出す売国奴に、再びドン引きの一行。あ、大声で分身ちゃんが再起動しました。キョロキョロと周りを見るその姿に、過去出会った『
「歓喜に震える私を一顧だにせず、君は迷宮へと消えてしまった。きっと、あの時の君に私などという塵芥は目に入らなかったんだろうね。他の階層でも君に助けられたという冒険者はいたが、誰一人として君の事を知る者は居なかった」
命からがら迷宮を脱し、仲間を見捨てたという周囲の目も気にせず『
「失意の中で領地へ戻り、腐っていた私の耳にある噂が聞こえてきた。『死の迷宮』最深部にいた吸血鬼が、新王に手駒として飼われていると」
信憑性の欠片もない噂だが、私はそれが真実だと確信したと語る売国奴の目には、まごうことなき狂気の光。森人少女ちゃんが気圧されて後ずさるのを面白そうに眺めながら言葉を続けています。
「陛下に近付くために反王派
しかし、陛下子飼いである君に近付くことは出来なかったと表情の抜け落ちた顔で語る売国奴。口を噤んだ彼の横から、呆れた様子の黒狐が口を挟んできました。
「だが、彼も諦めの悪い男でね。お前を手に入れるために、こちらが出向く前に自分から私に接触してきたのだ。随分歪んだ愛情だとは思わんかね?」
お、ようやくそっちの目的も話してくれそうですね。今の段階だとロリコンおじさんの歪んだ愛を後押ししている変態でしかないですから。黒狐とその背後にいる混沌の勢力にも何らかのメリットがあるはずです。冥途の土産に是非教えて下さい! 冥途に送られるのが何方かは言いませんけど。
「その男の歪んだ欲望については理解できなくとも納得は致しましたわ。では、貴方と混沌の勢力は何故彼に協力しているんですの?」
「フン、その問いに答える前に、こちらからひとつ問うてみよう。お前たち、
あっ。
そう、きたかー……。
「吸血鬼って、そりゃあ此処にいるちみっ子がそうだろう? お前さん何を言っとるんだ?」
唐突な黒狐からの問いに戸惑いを隠せない一行。分身ちゃんを横目に返事をした鉱人道士さんを嘲笑うかのように黒狐が笑い出しました。
「クハハ! そうか、
急に話を振られた森人狩人さんと森人少女ちゃんも、質問の意味が分からないのか無言のままです。その様子を見てさらに笑いを強める黒狐。馬鹿にした様子の彼を睨みながら、令嬢剣士が抜き放った軽銀の剣を突き付けます。
「話が見えませんわね。素直に言うつもりが無いのなら、捕縛して然るべきところで吐いて頂きますが?」
「なに、お前たちのあまりの無知に笑いを堪え切れなかったのだ。……ではもうひとつ問おう。お前たちは吸血鬼の弱点について知っているな?
「吸血鬼の弱点といえば、日光に聖銀、神々の奇跡に流水……冒険者なら知っていることですわ。……それが何か?」
自信なさげに答える令嬢剣士さんを見て、ますますふてぶてしい笑みを深める黒狐。その視線が沈黙を保つ分身ちゃんに向けられます。
「成程成程、では、君が言うその弱点とやらは、
それは、と言いかけて口を紡ぐ令嬢剣士さん。バレている可能性が高いとはいえ、分身ちゃんがデイライトウォーカーであることは最大級の秘密です。口を閉ざした彼女を見て、耐えきれないとばかりに哄笑を上げ始める黒狐。あー、
「真偽はさておき、冒険者どころか童の寝物語で語られるほど弱点の多い吸血鬼。だがその姿を実際に見たことがある者はどれだけいる? お前たちもその
そこで一旦話すのを止め、黙ったままの分身ちゃんを見る黒狐。俯いて沈黙を保つ分身ちゃんを獲物を嬲るような瞳で見つめながら、良く響く大声で言い放ちます。
「当たり前だ! この王国、いや、この地方に暮らしていた吸血鬼の悉くは、そこの
……うん、良くその結論に達したと彼を称賛するべきかもしれませんね。
彼の言う通り『
「……この地方で吸血鬼を見ない理由はわかったよ。でも、それとご主人様を求める変態に協力する理由が結びつかないんだけど?」
うなだれたままの分身ちゃんを強く抱き締めながら、茶化すように問いを投げかける森人狩人さん。しかしその瞳は全く笑っていません。急かすような物言いに両手で焦るなとアピールしながら、黒狐の愉悦タイムは続いていきます。
「そう結論を急ぐな
「まさか、主さまに強制的に眷属を作らせるつもりですか!?」
悲鳴のような森人少女ちゃんの声に満面の笑みで頷く黒狐。もちろんそんなことに吸血鬼侍ちゃんも分身ちゃんも協力するわけがありません。でも、こういう場合大抵言うことを利かせる方法を用意してるんですよねぇ……。あ、黒狐の演説をにこやかに聞いていた売国奴が懐から何かを取り出し、みんなに見せつけるように掲げています。
「もちろん愛する君にそのような強制はしたくない。だがこれも2人の未来のためだ。この迷宮に蓄積された膨大な魔力を君に注ぎ込み、
そう叫ぶや否や、掲げていた呪物……
>「!? はなれて!!」
「ご主人様、何を……っ!?」
ずっと動きを止めていた分身ちゃんが翼を展開し、強引に森人狩人を弾き飛ばして距離を空けました! 驚愕の表情でそれを見送る森人狩人さんに向かって、
部屋中に満ちていた赤い光が渦巻き、中心に吸い込まれていく非現実的な光景。やがて渦の中心に小さな人影が見え始めました。見慣れたフード姿でも、迷宮時代から愛用していたという貴族風の衣装でもなく何処か異国の風を感じさせる装束。肌の露出を極限まで減らし、黒地に血の色の脈動が蠢く羽織袴姿。コピーであった村正と血刀こそ消失してしまったものの、その出で立ちは、何処かあの『
「……おお、あの頃と服装は違えども、その身に纏う剣気と血臭。まさに私が恋焦がれた吸血姫そのもの! さあ、どうか私の隣まで……!!」
売国奴の感極まった声に導かれるように、ゆっくりと歩き出す分身ちゃん。それを引き留めようと駆けだした森人狩人さんの足に絡みつくものがあります。
「ご主人様、正気に戻りたまえよ……くっ、なんでご主人様の触手が邪魔を……っ!?」
「ちょっ、やめ、離して……っ!?」
「主さま、なぜ……?」
周囲を見渡せば、既に他の仲間たちも触手によって拘束されているのが分かります。ある者は後ろ手に、ある者は両腕を上に交差した状態で絡め捕られ、体中を無遠慮に触手が這いまわっていますね。普段の夜戦の際に触れてくるのとは全く違う悍ましい感触に、女性陣の口から噛み殺せなかった悲鳴が漏れ出ています。
「うーむ、こいつはどういう事かの? ちみっ子があんな連中の言いなりになんぞなるわけが無いと思うんだが」
「であれば、何らかの邪法によって意識を操られていと考えるのが妥当。十中八九あの護符ではありませぬかな?」
どうやら拘束するだけで絞殺そうとはしていないからか、意外と平気そうな男性陣。冷静に事態を観察しています。2人の予想通り、おそらく売国奴が持っているのはこの『死の迷宮』にあった
「素晴らしい!
「……感極まっているところ邪魔して悪いが、ちゃんとこちらの要望にも応えてくれよ。その吸血鬼を頂点に、この迷宮で眷属を量産する。それさえ履行するのなら、その母体は好きにしたまえ」
あー、成程。完全に理解した。
背後の影に一行を拘束させたまま歩き続け、遂に売国奴と黒狐の前まで辿り着いた分身ちゃん。人形のような無表情の顔に手を伸ばし、売国奴が壊れ物を扱うように撫でています。その光景を直視出来ないのか、先程まで分身ちゃんの名を叫んでいた仲間たちも力を失くし、俯いてしまいました。
「……長かった。こうして君に触れるまで、10年以上の時間が必要だった」
愛おし気に頬を撫で続ける売国奴。普段なら速攻でぶん殴ってるはずの分身ちゃんも、ただただ無表情を貫いたまま。その光景に満足そうに頷き、売国奴が顔の高さを等しくするように屈みました。
「最初に君にお願いしたいのは、私を君の眷属にすることだよ。君を見た日からずっと、体を鍛え魔術の腕は磨き続けてきた。私が持つ君への愛があるならば、
うーんこの自信、何所から湧いてくるんでしょう? でもこのくらいの気持ちを剣の乙女や女魔法使いちゃんにも持って欲しいですね。そのほうが眷属化の成功率も上がりそうですし。
売国奴の要求に微かに頷き、彼がいそいそと露出させた肩に口を近付けていく分身ちゃん。売国奴の顔が恍惚に染まっているのは、吸血に伴う快楽を期待してか、それとも彼の中で完成している輝かしい未来を夢想してでしょうか。ゆっくりと分身ちゃんの牙が肌に触れ、彼の幸福が絶頂に達したその瞬間……。
ぶづん
「グッ、があぁぁぁぁぁぁぁ!?」
肩口に走った激痛に、反射的に分身ちゃんを突き飛ばす売国奴。脂汗の浮かんだ顔で見る先には、口元を血で染めた分身ちゃんが口内の肉塊をペッと吐き捨てる姿。肉を抉られた肩から溢れる血を止めようと傷口をおさえて蹲る彼の耳に届いたのは、可愛らしい声で紡がれた無慈悲な一言でした。
>「まっず」
驚愕の表情を浮かべた売国奴の前で、嫌いな食べ物を口に入れてしまった子供のようにペッペッと舌を出している分身ちゃん。その口元に、背後からハンカチを持った細腕が伸びてきました。手際よく
「うん、たしかに不味いね。毒にも薬にもならなさそうだ。口直しに
>「うん、ちょっとだけすわせて? ちゅ~……」
首筋に顔を埋めた分身ちゃんの後頭部を愛おし気に撫でつつ、勝ち誇ったような笑みを蹲る売国奴に向けて、序盤の意趣返しをキメた森人狩人さん。羞恥と怒りの色を浮かべる売国奴ですが、失った血が多いのか徐々にその顔は青褪めていきます。おっとり刀で駆け付けた蜥蜴僧侶さんと森人少女ちゃんが、死なない程度に≪
「何故だ、何故お前は自分の意思で行動している。そいつが提唱した覚知神の業は完璧だった筈。……何故だ!?」
今まで保っていた余裕を失い、浅黒い肌を紅潮させて叫ぶ黒狐。彼の疑問ももっともでしょう。
「迷宮の魔力に侵されたお前は、迷宮の制御鍵であるその護符に逆らうことは出来ない。お前の
お、やはり黒狐、頭は良いようですね。自分で言ったことが信じられないのか、首を横に振りながら、あり得ない、あり得ない……と繰り返しています。拘束された売国奴が虚ろな目でその痴態を見つめる中、肌が破れるほどに頬を掻き毟っていた売国奴が、分身ちゃん
「お前は……お前はいったい、なんなのだ……?」
突然
しかし、
彼、売国奴は単純に『吸血鬼侍ちゃんを自分のモノにする方法』を求めるべきでしたね。変にロマンを求めて
……まぁ、『死の迷宮』に蓄積されていた魔力の殆どを『分身ちゃん』に注ぎ込んでくれたおかげで、漸く彼女が
え? じゃあ本体こと吸血鬼侍ちゃんはなんなのかって?
それはですね……おっと、ちょうど儀式阻止組のほうも
それでは今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
……ああ、うん。いい仕事したんじゃない。これで
まったく、こんなことが出来るんだったら、毎回GM神を困らせるのはいい加減止めたらどうなのさ? 毎回許可は取ってる? まぁ、そうだけど……。
……今回は感謝してる。助かった。
……なんだい、お礼を言うのがそんなに変だとでも言うのかい? そうそう、素直に受け取っておけば良いんだよ!
……ありがとう。
GW中にセッションその10を終わらせたいのでので失踪します。
いつも誤字脱字のご連絡ありがとうございます。
お気に入り登録や感想、評価についても執筆速度が上がるかもしれませんのでよろしくお願いいたします。更新の燃料になります故……。
お読みいただきありがとうございました。